PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<巫蠱の劫>カウンター・オブ・JUSO

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●名探偵セララ
「つまりね、呪詛にカウンターを仕掛ければ二度目三度目の襲撃を防げると思うの」
 和服姿のセララ(p3p000273)は座布団の上に正座して、湯飲みでお茶を啜っていた。
 木の板で作られたコースターめいたものに湯飲みを置いて蓋をすると、全く同時に蓋を閉じた向かいの男がトンと膝を打った。
「なるほど道理でおじゃる」
 彼の名は諸端折・麻呂伸(もろばたおり・まろのぶ)。式部省に務める役人である。
 特に低くも高くもない、だいぶ中間管理職的立場にあるものの懇意にする上司が霞帝派閥にあることから呪詛による暗殺が懸念されていた。
 懸念されてはいるがいつどこの誰から狙われるかわからないし、もっと言えば狙われた時点で逃げようがないのであらかじめローレットのイレギュラーズ(主にセララ)を雇っておいたという次第である。
「それで呪詛の内容を調べて、広めた犯人を特定できないかなあ。それで『ご用だ!』て乗り込むの」
「麻呂は反対でおじゃるなあ。今もあちこちの役人が躍起になって調べておるが、未だ分からぬことでおじゃる。仮に分かったとしても、そういう強力な政治カードは切り時があるんでおじゃるよ」
「カードゲームだったの?」
「似たようなものでおじゃる」
 そういや最近使ってない『役人さん』のジョブカードを取り出してみるセララ。
「じゃあさじゃあさ、呪詛の特性を利用して襲ってくる『忌』を片っ端から倒し……つつも、『あえて送り返さない』っていうのはどう?」
「……送り返さない、とな?」
 わずかに身を乗り出す麻呂伸。
 セララは深く頷いた。
「そうそう。呪い返しフェイントってやつ」

●呪詛返し
 豊穣郷カムイグラ。海洋王国からすれば『地図の向こう側』に存在した島国である。
 その規模感はともかくとして、独特の文化や風土、バグ召喚によって大陸文化が人づてに伝わっていたことで案外話が通じやすいということから、海洋王国との国交が進んでいる。
 中でも『此岸ノ辺』と『空中庭園』をポータルリンクしたローレット・イレギュラーズは簡単に行き来できる人員として端々で雇用され、清明の紹介もあって宮内の役人達が直接声をかけることもあった。
 セララがお呼ばれしたのも、そういう事情ゆえである。
 ――と背景を語ったところで、話に戻ろう。

「『呪詛』って、妖怪を切り裂いて対象人物に『忌』を送りつけるっていう呪術でしょ?
 これには、『忌』を倒された場合術者へ帰ってくるっていうリスクもあるよね。
 けど情報屋さんが調べたところによると、【不殺】攻撃で倒した『忌』は術者へ帰らずに消えるみたいなの。
 もし自分が呪詛をかける側だったら、打ち返されないかハラハラするはず。着弾観測っていうか……ちゃんと目標の人物を殺せたかどうか確かめるよね。で、もし失敗したなら次は確実に自分にかえってくるからって急いで防御を固めるはず」
「ほほう……だというのに来るはずの『忌』が来なければ……?」
「そそ。気になって仕方なくなっちゃうし。覗いちゃうよね」
 麻呂伸は再び膝を叩くと、持っていた扇子をセララへと突きつけた。
「さすがは名探偵セララ! では早速そのための布陣を組むのじゃ!」
「がってんしょーち!」

 と、このようにして『敵を殺さずに倒す』というミッションが生まれたのだった。
 彼女たちの顛末やいかに。

GMコメント

 OPの殆どが背景説明となっているので、こちらではプレイングに必要な情報を要約してまとめるものであります。

■オーダー
・成功条件:現れた妖怪を倒す
・オプション条件A:妖怪すべてを【不殺】攻撃で倒す
・オプション条件B:妖怪の一部をあえて普通に倒してしまう

 依頼内容は諸端折・麻呂伸の護衛なので、『忌』妖怪を倒すだけで成功条件は満たされます。
 その上で麻呂伸は呪詛の特性を利用して【不殺】攻撃のみで『忌』を倒すことで相手にフェイントをかけるという戦略を実施しようとしています。

■エネミーデータ
 『忌』は半透明な妖怪として現れ、媒体にした妖怪の姿をまねています。
 とはいえスペックは全然異なり、対応策ももちろん異なります。
 ホントは出てくるまで何が来るのか分かりませんが、メタ情報として記述します。相談やプレイングにご利用ください。

・タタラ牛(個体数そこそこ)
 壁をぶち破る勢いで現れる暴れ牛妖怪。
 突進力がすさまじく、固い防御を無理矢理打ち抜いて吹き飛ばしてしまう。
 この妖怪の突進攻撃には直接的な家屋破壊効果がある。

・ヒグマ蜂(個体数そこそこ)
 剛毛に覆われた巨大な蜂。主に空中を低空飛行し、六本の腕による打撃や投げ技、必殺の針攻撃が脅威。
 動きが素早いため攻撃を回避するのが難しい。防御で対応するのがベストだろう。

●不殺攻撃について
 今回に関しては『トドメは〇〇を使う』と書いておけば不殺攻撃によるトドメを意図的に選択できるものとします。
 メインスキルとトドメスキルの二つを使い分けるプレイングをお楽しみください。

■フィールドデータ
 諸端折・麻呂伸のすまう大きな屋敷が舞台になります。
 とても広い和室の真ん中に麻呂伸が座っており、あちこちからいきなり『忌』の妖怪が出現する形になります。ぶっちゃけどっから現れるか分からないので警戒のしようがなく、麻呂伸の周りをぐるーっと囲んで迎撃姿勢をとるのがベストになるでしょう。
 あまりに離れすぎると麻呂伸の身が危うくなるので、いざって時には庇う担当を二人ほど用意しておくと安心です。

  • <巫蠱の劫>カウンター・オブ・JUSO完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
セララ(p3p000273)
魔法騎士
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
三國・誠司(p3p008563)
一般人
希紗良(p3p008628)
鬼菱ノ姫

リプレイ

●呪詛
「魔法騎士!」
「「セララ&マリー、参上!」」
 『魔法騎士』セララ(p3p000273)と『マム』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)がシンメトリーポーズをとった。
「狙われたままじゃ麻呂も安心して寝られないだろうし、犯人を捕まえて平和な日々を取り戻すのだー!」
 ぱちーんとウィンクするセララの横で、『マム』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)はマジカルステッキ型レールガンのセーフティレバーをガキュンとひいた。
「相も変わらず気ノリしないでアリマスなぁ……まぁ、やると決めたらちゃんとしますけど……」
 口をへの字にしてつぶやくハイデマリー。
 その後ろでは諸端折・麻呂伸と『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)が肩を組んでいた。
「麻呂! 麻呂じゃないか! はい、ティティーッス!」
 2ショットを狙う千尋と麻呂伸……の間からニュッて出てきてダブルピースする『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)。
「今回は海仕事じゃねーですが……せらっさんのお呼びとアレば即参上でごぜーます。ティティーッス」
 マリナは指をちょきちょきすると、仲間達に知的なふんいきで振り返った。
「重曹にカウンターを仕掛けるとか、せらっさんはちっこいのによく思いつきますね」
「重曹」
「重曹?」
「呪詛でごぜーますっ」
 ギャアンッて振り返って訂正するマリナの周りで、千尋とセララと麻呂伸がダブルピースでかごめかごめした。
「重曹返しやー! 重曹返しのマリナはんやー!」
「重曹吹き付けられるー!」
「消化器を振り回して襲いかかるのでおじゃるな」
「やめてくだせー!」
 重曹豆知識。20世紀初頭には酸アルカリ消火器といって携行消化器に重曹水溶液が用いられていたよ。ちなみにこの方式は令和でも粉末消火器として現役だよ。
 両手で顔を覆ってしゃがみこむマリナをみんなで一通り愛でたあと、『砲使い』三國・誠司(p3p008563)は飛び火しないようにそーっと離れながらキャノンをかついだ。
「この呪詛のしくみからして、ぜってー術者は陰険だな。
 呪う相手に指向性を持たせるシステムとか気になることはあるけど、まずは妖怪退治といきますか!」
「ちなみにですけど」
 『不揃いな星辰』夢見 ルル家(p3p000016)は帽子を深く被りながら言った。
「古くから対人呪術は相手の名前や身体の一部といった『つながりのあるもの』を媒体にすることが多いみたいですね。恋のおまじないとして消しゴムの裏に相手の名前書いたりしませんでした?」
「えっなにそれは」
「ともあれ、呪詛は宮中の役人のみならず高天京全体で流行しているようす。その手軽さと被害の明確さからして、『流行させること』自体に意味があるようにも見えますね。
 なれば呪詛を無効化するという行為は思った以上の効果を上げるかも知れません」
 どこからともなく宇宙苦無を取り出すと、ルル家は目を光らせた。
「宇宙警察忍者、夢見ルル家! お呼びとあらば即参上! この戦い、しっかりと収める所存!」

 なぞの爆発を背景にキメたルル家をよそに、広すぎる邸宅の和風庭園を『全霊之一刀』希紗良(p3p008628)はぼんやりと眺めていた。
「呪いを返される……自分がかけた呪いによって最悪死ぬかもしれないと分かっていても呪わずにはいられない。
 そこまでして誰かを傷つけたり殺めたりしたいものなのでありましょうか」
「『囚人のジレンマ』だっけか? 誰もが自分を殺せるボタンを持ってると分かったら、少しそそのかされただけで自分も同じボタンを押しちまうんだろうぜ。実際こんな状況、少数でもパニくるっつーのに大量に人がいちゃあな……」
 武者鎧の腹をぽんと叩き、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)はため息をついた。
「それでも、人として踏み越えてはならない一線だと、キサは思うのでありますよ」
「かもしれねえな。いや、だからこそ、か」
 ゴリョウは希紗良のいうことに同意しつつ、同時に『大衆に一線を越えさせた』者の存在と意図を考えていた。
 テロとは多くの場合、破壊ではなくそれによる大衆の変化を目的とするものだ。呪詛の流行が一種の情報的テロであるならば……。
「っと、考えすぎたな。今は目先の依頼が優先っと!」
 ゴリョウは装甲に覆われた両手で拳を作ると、顔の前でゴツンとぶつけあわせた。
「っしゃあ、防衛戦を始めるぜ!」

●『忌』
 全方位を警戒しやすいという理由から、麻呂伸の護衛は庭で行われることになった。
「ここから動かずにぐるって囲んでいれば安全かな?」
「敵がそれを許容してくれるくらいヤサシイとは思えないでありますが……」
「ま、そうだな。状況次第で屋敷じゅうを動き回ればいいだろ」
 セララとハイデマリー、そしてゴリョウは麻呂伸からみた三方向を囲むように立って、それぞれの方向へと同時に構えた。
 というのも、ルル家が手をかざしエネミーサーチの感知状態を知らせたためである。
 まるで空気がねじれるように、風景が歪むようにして無数の妖怪が出現。
 身体の大きな暴れ牛や剛毛に覆われた無数の腕をもつ巨大蜂など、みるからに人を殺しそうな妖怪たちだが、そのすべてがこちらへと平たい敵意を向けていた。
「拙者たちを無視して麻呂伸殿をピンポイントで狙うわけじゃなくて安心しましたね。そこまで愚かじゃないぶん面倒でもありますが――」
 ルル家はいちど跳躍すると、羽音を鳴らして急接近するヒグマ蜂へと宇宙苦無をひらめかせた。
「死なない程度に華と散りなさい! ――『超新星爆発』!」
 すさまじい速度で繰り出した連続の斬撃がヒグマ蜂の腕を切り落としていく。
 と同時に、大きく希紗良が剣を繰り出した。
「諸端折の許には行かせないでありますよ! いざ!」
 今度こそは防御をはかったヒグマ蜂だが、希紗良の斬撃はそれをすり抜けるようにして無理矢理相手の羽を切り落とし、返す刀で強制的に地面へとたたき伏せた。
「安心してください。峰打ちです」
 返した刀を再び戻すと、ブブブと音を立てて震えるヒグマ蜂を見下ろす。
「妬み・嫉み・怒りに恨み。その理由やどちらが悪いかなどを問わず、これらの悪心は人の中に芽生えるもの。芽生えたら晴らしたいと思うもの。なれど……」

「はむっ」
 セララはイチゴチョコレートののったドーナツをぱくぱく食べると、横から突っ込んできたタタラ牛めがけて剣を繰り出した。
「まだむぐぐぐー!」
 食べてる途中ー! と言いたかったっぽいが、ドーナツを加えたままタタラ牛の額に剣をかざし、魔法の力を噴出することで拮抗をはかるセララ。
 そんなセララの側面に素早く回り込んだハイデマリーは、ビターチョコレートののったドーナツを加えたままマジカルレールガンを連続発射。
 タタラ牛の肉体をぶち抜き、ぐらりと弱った隙にセララの非殺傷魔法がついた剣による斬撃へとコンボを繋いだ。
 音を立てて倒れるタタラ牛。
 その真上をすり抜けるように、ヒグマ蜂が麻呂伸めがけてすべての拳を振り上げた状態で急接近。
 ゴリョウはその間に割り込むと――。
「おぉっとここから先は通行止めだ! 出直してきなッ!」
 籠手の反応装甲をフル活用しながらヒグマ蜂のパンチを正面から受け止めた。
 それでも止まらぬヒグマ蜂のラッシュを、展開した盾によって防御。
 まるでマシンガンでも撃ち込まれているかのような絶え間ない打撃音だがしかし、ゴリョウのどっしりとしたボディが麻呂伸の前から動くことはなかった。
「大丈夫か、ゴリョウさん!」
「まだまだイケるぜ。三國、ぶっ放せ!」
「よっし……!」
 三國は肩にかついだ御國式大筒【星堕】からグラス型スコープを展開すると、今まさにゴリョウを殴り続けているヒグマ蜂に狙いをつけた。
 スコープ内を動くターゲットマーカーが中央で重なったその瞬間、固いスイッチを力強く押し込む。
 衝撃。わずかなノックバック。
 あえて踏ん張らずに飛び、『強襲式魔導甲冑』のホバリング機能を用いて浮きあがる。
「おかわりだ。どんどんくらえ!」
 傾き墜落しかかったヒグマ蜂をターゲットしたまま、キャノンのモードをミサイルランチャーに変更。
 それを察したゴリョウは大きく飛び退き、高所から誠司の放ったマイクロミサイルがヒグマ蜂へと殺到。大爆発を引き起こした。
 ぷすぷすと煙をあげ、飛行能力を喪失して地面へおちるヒグマ蜂。
 それでも起き上がろうとするヒグマ蜂を、マリナの非殺傷弾が跳ね飛ばした。
 煙をあげるフリントロック銃を向けたまま息をつくマリナ。
 別方向からタタラ牛が突っ込んでくるが、マリナは飛び退き転がることで突撃を回避。
 片膝立ち姿勢で振り返り今まさにターンし再突撃をしかけようとしているタタラ牛の横っ腹に魔術弾を撃ち込んだ。
 弾丸が爆発し、激しい水の渦になってタタラ牛を転倒させる。
「オラッシャー!」
 転倒したタタラ牛の腹を盛大に蹴りつける千尋。
「俺は偉大な空手家じゃないんで牛を正面から相手取るなんてできねえんだ」
 そんな風に言いながら、たまたましめていたネクタイをするすると解いた。
 よろめき起き上がったタタラ牛が今度は千尋に狙いをつけ、角を向けつつ突撃をしかける。
 千尋の筋力ではたとえ角を両手でキャッチしたとてそのまま突き飛ばされてしまうことだろう。体格でも負けている。よしんば足をふんばったとしてもそのまま壁まで叩きつけられるに違いない。左右に飛んで交わすにも相手の勢いが強すぎる。
 が、千尋にはスラムで生き抜いてきた『技』があった。
「よっ、とお」
 軽く身体を斜めに傾けながらネクタイをロープのように放ち、相手の角を引っかけひねり落とすことで無理矢理カーブさせる。
 首に打ち込んだ膝蹴りがクリーンヒットし、タタラ牛はそのまま気を失った。
「どうですかぁ。格好いいですかァ」
 とか言いながら麻呂伸に両腕を広げてみる千尋であった。

●決着
「スピニング――」
 畳を踏み込み、キラリと光る目。
 全方位から迫るヒグマ蜂たちを前に、セララは豪快な大回転斬りを繰り出した。
 ピンク色の魔法の刃が広がり、ヒグマ蜂たちを一斉に吹き飛ばす。
 壁や天井にぶつかった彼らはそれぞれ転落し、しばらくもがいたすえに動かなくなった。
「数が増えてきたね。敵も焦ってるのかも」
「屋内に誘い込んでルートを限定するであります」
 麻呂伸の手を引き、『こっちへ』と走り出すハイデマリ。
 廊下の角を曲がって走ると、それを追いかけて壁をこすりながら無理矢理カーブするヒグマ蜂たちが現れた。
 が、それこそがハイデマリーの狙いである。
 素早く反転。マジカルレールガンをデスペラード姿勢で構え、強引に通路を打ち抜くように発射した。
 黄金のビームが抜けていき、角の壁を破壊してヒグマ蜂たちを一斉に野外へと放り出していく。
「よう兄ちゃん、パー券もってる? もってねーなら入れねえんだわココ」
 千尋は両手の指を立てながらヒグマ蜂たちの間へと割り込んでいく。
「今日は麻呂ダンスナイトなんだわ」
 アンダスタン? と言いながら鎖を手に取り、殴りかかるヒグマ蜂を防御する。
「って、いや、ちょ、いくら運がいいからってそう何度も避けられるもんじゃ……。
 お前コラ! 2on2のゲームだったら灰皿投げられてんぞコレ!
 おま……相方ッッッ!!!」
 ラッシュにボコられはじめる千尋――もろとも。
「死なない程度に華と散りなさい! パート2!」
 宇宙ガトリンガン(棺型)を肩に担いだルル家が千尋とヒグマ蜂たちにどかどか撃ちまくった。
「ヌワーーーーー!?」
 更に服の裾をぺろっとめくり、飛び出した触手でヒグマ蜂の一体を絡め取って締め上げていく。
「こっちは任せてください。麻呂のほうは任せましたよ!」
「合点!」
 ゴリョウは四股を踏むよな構えをとると、正面で大地をがりがりと前足でかいているタタラ牛とにらみ合った。
 ひときわ大柄なタタラ牛。油断したなら、吹き飛ばされるだけではすむまい。
 タックル、直撃。
 しかし籠手から展開したエネルギークローが牛の身体に食い込み、吹き飛ばされることをギリギリで踏ん張った。
 鎧はヒビいり、頑丈さが自慢のゴリョウが口の端からわずかに血を吐く。
 押さえつけるだけでやっと……だが、そんなさなか麻呂めがけて別のタタラ牛が迫っていた。
「ぐお――三國ィ!」
「行かせねえ!」
 誠司はキャノンを逆噴射モードに切り替えると、勢いよく突っ込んでタタラ牛の横っ腹へとタックルをかけた。
「やったぜ! ディフェンスに定評のある三國!」
「やめてそのバスケ選手みたいな呼び方!」
 至近距離からキャノンを撃ちまくり、牛とガチる誠司。
 その一方で希紗良はヒグマ蜂と一対一で向かい合っていた。
「一体何体来るのでありますかね。これしきの事で根をあげるキサではありませぬが、戦闘不能にした妖が少々邪魔であります……」
 が、そんな状況をも乗り越えてこそ戦士。
 希紗良は繰り出されるパンチを刀の腹で受けて流すと、相手の脇をすりぬける形でターン。
 拳の間合いを抜け、刀の間合いへと至る。
 それを避けるべく飛び退こうとするヒグマ蜂だが、直前に希紗良の放った斬撃が羽に傷をつけていたことに気づかなかった。
 無理な飛行がバランスを崩させ、崩れたバランスが巨大な隙となる。
「――いい剣の稽古になるでありますよ」
 希紗良の刀が輝きを増し、ヒグマ蜂をX字に切り裂いた。
「おそらくはこれで」
 マリナは帽子をおさえ、フリントロック銃を側面方向へと突き出した。
 発射された非殺傷弾がヒグマ蜂を撃ち抜き、墜落させる。
 そして改めて周りをうかがい、静寂が訪れたことを確認した。
「戦闘終了です。ぴーす」

●やがて来る後日談
 直後の話、ではない。
「今回のおびき出し作戦は、予測された『呪詛返し』がやってこなかったことへの不安からついつい麻呂のところをのぞきに来てしまうという心理をついたものです。
 あの防衛戦直後はまだ、呪詛返しを恐れて家に逃げ帰り防御を必死に固めていたところだったでしょう。
 なので――」
 頭に木の枝をさし、マリナが茂みからにゅっと頭を出した。
「そこまで時間がたったお屋敷がこちらです」
「俺らもっかい集合する必要あったん?」
「麻呂の兵士だけでも大丈夫だろうけど、お仕事は最後までやってこそだもんね」
 千尋や誠司、セララたちも茂みから顔を出し、周囲を警戒していると……。
 同じく頭に枝を刺して茂みの中をゆーっくり移動してくる見知らぬ役人と鉢合わせた。
「あ」
「「あ」」
 ドッタバッタの確保劇があったのは、いうまでもない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――呪詛の犯人を確保しました。
 ――呪詛の秘密についてもう少し迫ることができそうです。

PAGETOPPAGEBOTTOM