PandoraPartyProject

シナリオ詳細

7つの詩のメランコリー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「セブンピークス、ってご存知ですか?」
 ローレットの酒場で食事をしている君たちの前に、新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がぴこぴこと小さな羽を揺らしながら話しかけてきた。
「沼地や、泉、海辺に現れる、アンデッドさんなのです。彼女らは必ず七人で現れるのです」
 君たちは無言で続きを促す。
「彼女らは生者を湖に引きずりこんで、セブンピークスのメンバーにしてしまうのです。そして最初にセブンピークスメンバーになったものが引退できるのです。そのアイドルユニットセブンピークスなのですが」
 今、なにかおかしな単語が混じった気がする。
「センターメンバー引退ライブとして、とある漁村の入江で日夜大音響でライブをしているようでして」
 明らかに方向が変わった。
「で、漁村の方々は海辺には近づけないですし、騒音被害もひどいですし、あと生業もままならなくなりまして……」
 どうやらとてつもない迷惑がそこに存在しているのだけはわかる。
「ですので、このアイドルユニットセブンピークスをやっつけてください。7人いますけど、基本的にはまとめて1体のアンデッドと思ってくださってかまわないのです。というわけでよろしくおねがいしますのです! あ、うっかり死んじゃうと次のセブンピークスになっちゃうので気をつけてくださいね!」
 新米情報屋はぺこりとお辞儀をして、なんだかよくわからない案件を君たちに押し付けると、また別の情報を他のイレギュラーズに紹介するためにぱたぱたと走っていくのであった。


「イチコったらあれ、自分の元カレが大往生して引退(じょうぶつ)決意したんですって」
「まじで~、そうよね、あのこもうかれこれ20年くらい一番(センター)だったもんね」
「つぎの一番(センター)は私かぁ。何年くらい現役できるかなあ?」
「次入ってくる子はジャンル的にロリ系?」
「とにかく!イチコの引退ライブ、がんばろ」
「みんな、ほんとありがとー! 私、引退(じょうぶつ)しても皆のことわすれない!」

GMコメント

鉄瓶ぬめぬめです。
 アイドルユニット(アンデッド)とのバトルでございます。

 今回イチコさんが成仏したいとのことで引退ライブを行うことで次の犠牲者を呼び寄せているようです。
 とはいえ漁村の皆さんはセブンピークスのことを知っているので、入江に近づくことはできません。
 イレギュラーズのみなさん、漁村の皆さんの睡眠不足を解消してあげてください。

 ●ロケーション
 とある漁村の入江です。
 セブンピークスは入江より20m向こうの海側にいます。20m先はそれなりに水深はありますので、近接の方は何らかの工夫が必要です。
 事前に小型漁船は借りることはできますが、壊さないように注意してください。また、船で戦うと割と揺れるので命中、回避にそれなりのペナルティがありますが、非戦で軽減できるものがあれば適用いたします。移動力にも多少のペナルティがあります。

 ●てきさん
 セブンピークス
 ぶっちゃけ所謂七人ミサキです。アイドルグループです。違和感はきにしないでください。
 とりあえずぶっ倒してください。一緒に引退ライブを飾って一緒に歌ってくださっても構いません。
 わりとゆるい感じですがノーマルですので、それなりに作戦を立てつつキャラクターらしさを出して楽しく遊んでいただけるとよいかと思います。真面目に戦っていただいてもかまわないです。
 基本的には1体のゴースト(アンデッド)ですので、HP自体はワンユニット扱いになります。
 PCが上手に歌をうたえるとちょっとボーナスが付いてダメージが増えるかもしれません。

 ・歌う。彼女らは感動的な歌を歌いますので全体にBS恍惚状態を付与することがあるかもしれません。
 ・皆で一緒に! 連続したソロパートを歌うことで、7人全員から集中攻撃を受けます。なんでそうなるかわかりません。
 ・握手会 冷たい手で握手して、氷結状態を付与します。

 基本的にだいたい超遠距離~遠距離攻撃です。その他Mアタックありの攻撃があったり、ショックのある攻撃したり、麻痺のある攻撃をしたりと、BSが多いので対策もお願いします。

 以上よろしくおねがいします。

  • 7つの詩のメランコリー完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月24日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘルマン(p3p000272)
陽気な骨
主人=公(p3p000578)
ハム子
琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
ライネル・ゼメキス(p3p002044)
風来の博徒
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
九重 竜胆(p3p002735)
青花の寄辺
Morgux(p3p004514)
暴牛
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

リプレイ



「「「「イレギュラーさんたち来てくれたんですね!!!!」」」」
 彼らイレギュラーズが現地につくなり、目に隈のできた漁師たちが泣きついてくる。
 ~♪
 沖合から聞こえる歌声。確かに美しい旋律だ。しかし昼夜問わず四六時中ともなれば、完全に騒音公害である。
「コンサートか、しかしなんだってこんなところで……まぁ、海上なだけに会場といわれたら納得せざるを得んが」
 呟くは『風来の博徒』ライネル・ゼメキス(p3p002044)。
「んんん?」
 そのダジャレを耳ざとく問い返す『異世界なう』主人=公(p3p000578)の頭を押し返しながら、ライネルは沖合を見つめる。
 7人の少女たちが仲睦まじく歌う姿は確かに愛らしいアイドルユニットでしかない。
(……ひょっとしてセンターに抜けられたら困るからわざとなのか? だいたい、アイドルユニットなのに俺みたいなのが引っかかって死んだらどうなるんだろうな)
 安心してほしい。問題なくセブンピークスwithライネルとして立派にユニットになれるだろう。
「ほんとに、幻想っていうのは何でもありだね」
 『蒼ノ翼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)もまた沖合をみつめる。彼女はこの世界にきて、いろいろな事件を解決してきた。最初の頃などいちいち驚いたものだが、今ではそんなこともなくなった。なんとも順応性というものの恐ろしいことか。
「とはいえ、こんな馬鹿騒ぎに巻き込まれて日々寝れない住民にとっては地獄か」
「そのとおりでございます! 私なんて『いけいけにゃんにゃんラブキッス★君のハートにらぶにゃんねこぱんちでかれぴっぴ★』というフレーズが耳にこびりついて、何度もリフレインするのです。コレは呪いですか??」
 所謂ディラン効果、若しくはイヤーワーム効果というものだ。音楽に触れる現代人にとっては寝不足の一因ともなっている。
「成仏したいのか、歌いたいだけなのか判らないけど、日夜大音響ライブとか近所迷惑ってレベルじゃないわね……」
 先程からかれぴっぴを連呼している住民を尻目に『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)が平和を取り戻さねば!と両の拳を握る。
『結、俺からのアドバイスだ。お前もあんなふうに歌ってみたらどうだ? 可愛らしく見えるかもしれないぞ』
「あなたこそ、歌えばいいじゃない、ズィーガー」
『そりゃあ無理だ。結より俺のほうが上手くて、意気消沈させたら戦闘どころじゃないだろう?』
 相棒のインテリジェンスソードとの軽口の言い合いはいつものこと。
「ああいうの、私のいた世界では七人ミサキっていうんだけど……まあ私の知ってる奴とはだいぶ違うわね」
 右手を庇にして沖合を眺める『一刀繚乱』九重 竜胆(p3p002735)は半眼で呟く。
「そもそもアイドルユニットってなによ。そりゃあ、彼ら彼女らに個性があるのは分かるけれど、個性的にも程があるでしょ」
「まあまあ、一応は元の世界では冠婚葬祭とか祭事には関わってたからね、正しく逝けてない魂があるなら成仏のお手伝いはしてあげなきゃ、この辺りに住んでる人も困ってるみたいだし」
 意外といい歌だな、と思ってしまった『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は、手を猫の手にして『にゃんにゃん★』と動かしてみる。
 それを見ていた竜胆もまた、おなじように猫の手にして手をくいくいと動かす。
「そうそう、いいじゃないですか、竜胆ちゃん」
「いえ、そのコレは……! ほら? 迷惑とは言え相手が気分よく成仏出来るなら、彼女達の流儀に少しは乗ってあげるのもいいかも……って」
「はい、判ります! 良いものは残したいです。だって、ボクたちが成仏させちゃったら、もうあの歌は聞けなくなっちゃうんだもん。それって、もったいないかなって。にゃんにゃん★」
 焔が笑顔でそう言えば、竜胆もまたその気になってくる。
「そうね、そうだわ」
「あ、それならボクも! ボクも歌うよ! 歌には自信があるんだ! にゃんにゃん★」
 公もアホ毛をぴょこんと揺らしながら二人の会話に混ざる。
『結、お前も混ざればいいだろう。ユニットを組んで友達になってもらえばいい』
「うるさいなあ、私はいい!」
「結ちゃんもにゃんにゃん★する?」
 焔が魔剣と話す結に問うが、結は長いポニーテールを揺らしながらブンブンと首を横に振った。
「……度し難い、煩わしい」
 『暴牛』Morgux(p3p004514)もまた半眼で沖合を見つめる。アイドルだかなんだか知らねえがなんとも煩い。あれなら、Vainの小言のほうがまだ静かだ。
 如才なく住民から人数分の船を借りた彼は、ぴょんと桟橋から小型船に飛び乗る。ガクンと揺れるが相対したことではない。彼の戦場神としての体捌きの前では此の程度戦闘に支障はないだろう。
「つぅかさぁ!」
 突然『陽気な骨』ヘルマン(p3p000272)がキレる。
「アイドルってのは光り輝いていて、可愛く華やかで、なんというか夢を与えてなきゃダメなんだ。仕事に疲れて家に帰ってくる、そして迎えてくれるテレビの向こうの君! アイドルってのは癒やしなんだよ! 偶像なんだよ! つーかなんだお前ら!! 人様に迷惑かけやがって!! アイドルなめんな!! 歌って踊れりゃちやほやされると思ってんじゃねーぞ!!」
 魂の叫びだ。
「あ、でもアンデット系アイドルはありだと思います」
 そして突然迎合した。

 とまれ。戦闘の開始である。


 「セブンピークスだかなんだか知らないけど、迷惑なのよ! 誰もアンタ達の歌なんて聞きたくないんだからさっさと退治されてくれる?」
 大声を張り上げながら、陸地から結は挑発する。内心はドッキドキだ。彼女が敵をひきつけ、その内に近接攻撃手が近づけるようにと。
『イチコ! みて! 久々の観客よ! 引退ライブ! がんばろ!』
 七人の少女たちがパチパチと手を叩きながら近づいてくる。
「わーお! 爆釣じゃん! お前さん」
 隣で神秘の親和性を高めたヘルマンが遠距離術式でイチコを迎撃した。手応えはあまり感じられない。これこそが体力がワンユニットとして扱われてる所以だろうか。明らかに攻撃はヒットしたものの、ダメージがどれほど損害を与えたのかは見えづらい。
「なら、ガス欠まで撃ち続けるぜぇ?」
 ヘルマンが導き出した回答は至ってシンプル。倒すまで撃ち続ければいいだけの話だ。
「わかりやすくて良いな。なら前衛が近づくまでは私達が弾幕を張ることにしよう」
 ルーキスもまた親和性を高めた魔弾を展開する。幽艶なるイグニスの名を冠した原初の銃はその銘の元になった魔石に魔力を蓄え燐光を放ちなが真っ直ぐにセブンピークスを穿つ。
「立ち見席ってのもありだろ?」
 こんなやりかた、よっぽどの物好きじゃねえと引っかからないだろうにな、そう思いつつ魔力弾を打ち込むは風来の男。
「なあ、ヘルマンこういう時は光る棒でも振るもんなのかね?」
「そうそう! サイリュームってんだ! まあ、今回はそれで握手会が始まっても困るし、今回はナシってことで」
「そうだな、じゃあ、この術は投げ銭ってことで。役者に投げるみたいな。あれだろ? 今からやっこさんには成仏してもらって見送るんだから殺意ってよりは祝福ってことで」
「おお、いいねえ! お前さん。そりゃあ粋だ」
「縁起物は大事だよ、縁起物は」

 一方こちらは近接組。即席アイドル三人組フューチャリングMorgux。
(これ絵面的に俺がアイドルの追っかけみたいになってないか?)
 少々うんざりした顔でMorguxは思う。まあ、敵がどう思おうと知ったことではないが。
「アイドルはみんなを笑顔にするもの……! 自分達が気持ちよくなるためだけに歌ってるキミたちなんかには絶対に負けない!」
 ハム子が船上からビシ! と指をさして宣言する。
『なになに? 貴方達が次のアイドル候補?』
『いいわよぉ! 芸能界の恐ろさ! 教えてあげる! みんな! 歌うわよ!』
 イチコの号令のもと、ハイテンションだった曲調が変わり、バラードが全周囲に広がる。結の挑発で近寄ってきていたこともあり、接敵は想定より早かった。それは良いとしよう。だが陸地の後衛もまた効果範囲に入ってしまう。
 なんとかヘルマン以外は恍惚状態を避けることは出来たが。
「そろそろ行こうか、ローマーンース!! らっせ、らっせーロマンス! 皆で行こうぜローマンス! あなたも私もローマーンス! タイガー、ファイヤー、サイバー、ファイバー、ダイバー、バイバー、ジャージャー!」
 当のヘルマンはキレッキレのヲタ芸を披露している。
 その様子は虎のごとく(タイガー)、炎のごとく(ファイヤー)、人の造らざる(サイバー)、繊細な心もまた維新(ファイバー)、海を飲み、女も喰らう(ダイバー)、その振動はこころのあるがままに(バイバー)、刹那な刻の流れに身を任せ(ジャージャー)、バイブスを上げていくその情熱的動きはアイドルを克己する。
 しちゃだめじゃん。
「ろーまーんーす……」
『なにか言ったか? 結』
「ううん! なんにも!」
 結は一瞬だけヘルマンの勢いに乗せられそうになっていた。そのノリを振り払うかのように体内の気をズィーガーに集中させ、彼を通して光の柱をアイドルたちに振るっていく。

 前衛組で恍惚状態にかかったのはMorguxと焔。
 Morguxは己の内側から溢れ出す、その高揚感に戸惑う。なんだこれは、くそ! くそ! 俺を惑わせるな!
 ギリ、と唇を噛むがその痛みさえまるで天上に突き上げられたかのような高揚感でかき消されていく。それを燃やすかの如くに振るわれる黒炎はいつもより精彩がない。
「わぁ、やっぱりいい曲だよね。ボク君たちのファンになっちゃったかも」 
 焔はむしろノリノリである。彼女にとってアイドルライブというのははじめての経験だ。歌と自分が一体になって、会場、もとい海上を埋め尽くしていくような開放感。
 それは少女の心を高揚させる。ボクもこんなふうに歌が歌えたらいいのに。そう思ってしまう。
 ~♪
 だから覚えたばかりのメロディーラインに彼女らの歌詞をのせる。そうすれば、世界が広がったような気がした。歌にのせた一刀両断が海を割る。なんとも派手なパフォーマンスであるが、彼女の攻撃は残念ながらハズレだ。
『わー、かっこいい! ロリ系アイドルはいないけど、武闘派アイドルもいい方向性?』
「な、なんだか楽しそうな状態ね」
 恍惚状態を脱した竜胆は、オリエンタルなリズムの鼻歌にのせて一刀の元に海ごとセブンピークスを両断する。まさに一刀繚乱のその咲き誇るかのような太刀筋は美しい剣姫の舞踏。
 その攻撃に合わせるかのように後衛陣から飛ぶ魔力弾は後光のようにアイドル剣士を照らす。
「LOVE! ロマンス、RINDO!!!」
「いや、そういうのいいから!!」
 ついでにヘルマンのロマンスも飛んできた。
『ねえ、イチコ、あのこ、私達の歌に耐えてるみたい。ちゃんと聞かせてあげよ?』
『うん! きいて! 私達の歌!』
 耐えるMorguxに向かって、少女たちが歌を紡ぐ。恍惚状態の彼にとってその集中攻撃は好機。
「ほう、Morguxのやつ、個人ライブみたいな感じになってきているな」
「ファンサ神じゃん!」
「アホか! おまえら! つぅか! 煩え!!」
 少女たちの猛攻はMorguxの体力を勢いよく奪っていく。だからこそ彼はそこに勝機を見出している。体力は底上げしている。反射は肉を切らせて相手の骨を断つ刃。
 Morguxはにぃっと笑う。ギリギリで耐えきった。しかしあと一撃でも喰らえば、彼は倒れてしまうだろう。
 岸から焦ってルーキスが焼け石に水だとは思っていてもヒールオーダーを飛ばす。
「まあ、無いよりはマシ程度だけどね」
「応よ、戦いってのはこうじゃなきゃな」
 嘯くMorguxの前にハム子が立ちふさがりライトヒールでの回復を施す。
「もしボクが負けたら新メンバーでも何にでもするといいさ。でも勝った時には引退では無くグループごと解散してもらうんだから。覚悟してよね!」 
 その見栄はセブンピークスを刺激する。
『先輩に対する態度なってなーい! ねえねえ、いれちゃう? 画鋲いれちゃう?』
「なんだか、いじめが古いよ!」
『あのこ枕だって噂流す?』
「陰険だー!」
 
 その瞬間は本当に突然だった。
 焔に伸ばされた手に続く、セブンピークスの霊体の顔が揺らぐ。
 成仏だ。焔はそう思う。だから彼女は冷たいバッドステータスを受けると識っている手であっても、しっかりと握り返す。体の奥底を凍らせるようなその冷たい手は、なぜだか、本当になぜだか温かいような気がした。
 ~~♪
 そして彼女らの歌を歌う。
「ボクこの歌好きになっちゃった。まだ下手かもしれないけど、ちゃんと練習するよ、それでこんな素敵な歌を歌ったアイドルがいたんだって他の人にも教えてあげるんだ! だから、もうこれ以上迷わずに、正しく成仏して?」
 ぽたりと雫が焔の手に落ちた。
 もう、アイドルたちの顔はみえないというのに。
「貴女達は此処で引退だけれど、歌も踊りも悪くなかったわよ。やってる事は迷惑だけど、人を引き付け魅了する確かなアイドルだったんだもの」
 竜胆もまた、彼女たちにそう告げる。
「アンコールは必要ないよね?」
 ハム子もまた消えゆくセブンピークスに呟いた。
「まあ、煩えが、悪いもんではなかった」
 船の上で膝をついたMorguxがそっぽを向いてそういったとき、セブンピークスの姿はあとかたもなく消えていった。
「皆もおつかれー!」
 ハム子が岸にいる4人に手を振る。

『別に歌ってもよかったのにな』
「しつこい!」
 へたりとその場に座り込んだ結をズィーガーがからかう。
「見事成仏ってことか。ああ、ほんとに全く」
――この世界は謎だらけだ。
 一輪の花を海に投げ込んだライネルは苦笑する。
 ~~♪
 聞こえてくる旋律にライネルがはた、と振り返ればバツの悪そうなルーキス。
「いえ、ちょっと耳にのこっちゃって、まあアレだけの騒音だったらつい、ついね」
 ライネルがくすりと笑う。
「とにかく、住民の安眠は勝ち取れたところで、手早く帰るとしましょうか」
 ルーキスは照れ隠しなのか煙管をくゆらせながら踵を返す。あとに残るは独特な薬草の香り。
「かわいいねえ、それにいい声だ。歌えばよかったのに」
 その様子にライネルはくつくつと笑った。
「ろーまーんーす!」
 恍惚状態の続いていたヘルマンのヲタ芸は深夜過ぎに住民が煩えとタコを投げつけたところで(ダメージをうけて)終わった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

というわけで無事セブンピークスは退治されました。
漁村のみなさんはとても感謝していたようで、安眠できたようです。
明日からは通常営業に戻れそうです。

イレギュラーズのみなさまご参加ありがとうございました!

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