PandoraPartyProject

シナリオ詳細

聖剣騎士領キャラメル・ロット、始動!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 無辜なる混沌でローレット・イレギュラーズ達が活動を初めてからしばらくが経つ。
 その間、所属メンバー達は国の存亡のかかった戦いから、街の住民達のちょっとした困りごと解決まで、まさに何でも屋といった形で解決に乗り出していた。
 イレギュラーズ達の活躍はめざましく、彼らの名声は高まっていく。
 やがて、イレギュラーズに領地をという声が上がり始める。
 彼らによる統治を望む声も少なくなく、イレギュラーズ達もその声に応えて領主を名乗り出る。

 弱冠13歳のセララ (p3p000273)もその1人。
 数々の依頼において、獅子奮迅とも言うべき彼女の活躍は混沌の民の知るところ。
 特に幻想におけるセララの知名度はかなり高く、彼女の率いる聖剣騎士団メンバーもまた活動を認められ、領地を割譲されることと相成った。
 騎士団には錚々たる顔ぶれの聖剣の勇者達が集っており、盗賊達はおろかモンスターですらこの地を避けて通るほど。おかげで治安はすこぶる良好なのだとか。
 特産品はドーナツ畑からとれる新鮮なドーナツ……の予定らしいが、それはこれから。
 なにせ、領地における課題は山積みなのだ。


 領主であるセララは意気揚々とこの地の治世に着手するのだが……。
「食料? 労働力? 税金? 医療? 保険に年金問題?」
 混沌に来てから騎士団を率いつつ戦いに身を置いて来たセララにとって、それらはあまり考えたこともなく、目を白黒させる問題ばかり。
「一体、どこから手を付けたらいいのー!?」
「お困りのようでありますね……」
 領主室で頭を悩ませてしまうセララの元に駆けつけてくれたのは、7人の執政官達だ。
 まずは、セララにとって気の置けない相棒であるハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク (p3p000497)。
「きたよ、あたし参上!」
「リディア・T・レオンハート、推参しました!」
 そして、聖剣騎士団の団員である長谷部 朋子 (p3p008321)、リディア・T・レオンハート (p3p008325)。
「これはまた大変だね。どうしたものかな」
「手が要りようかい。何からすればいいかな?」
「メイドであるこの私もお役に立てるかい?」
 八田 悠 (p3p000687)、カイト・C・ロストレイン (p3p007200)、メートヒェン・メヒャーニク (p3p000917)。いずれもセララにとって大切な仲間達である。
「おじいちゃんも手を貸すヨ」
 それに、ジュルナット・ウィウスト (p3p007518)が聖剣騎士団外から名乗りを上げてくれた。

 まずは、何から手を付けるべきかを話し合わねばならない。
 例えば、幻想の貴族達の領地でもそれぞれの規律が存在するのだが、このキャラメル・ロットでもある程度の規律は必要だろう。
 日々暮らす上での制度、法律を提案せねばならない。国が前提として存在する場所ではあるので、いわゆる条例クラスのものと認識すれば問題ない。
 また、ドーナツを特産物としたいセララだが、美味しいドーナツ……農作物を成長促進するような手法を提案したい。
 多数、美味しいドーナツを領地民へ、または隣接する領地の人々や領地を往来する商売人、冒険者らにも振舞うことができれば、キャラメル・ロット製のドーナツとして知名度も上がる事だろう。
「あと、領民達のやる気を出させるようなイベントとか、お祭りはないかな!?」
 セララは目を輝かせて集まった執政官達へと提案する。
 折角なのだから、領民達が楽しいと思えるような催しができれば、日々の生活にも張りが出るのではないかと彼女は考えたのだ。
 様々な案が上がる中、セララはこれだと思ったことを列挙していく。

 ともあれ、やる事はあまりにも多い状況だが、セララは改めて意気揚々と仲間達と共にキャラメル・ロットの発展の為に業務に着手し始めるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます。

●目的
 領地を依頼前地点よりも発展させること。

●概要
 聖剣騎士領キャラメル・ロットにおいて、領主であるセララさんがてんてこまいな状況なので、彼女を助けてあげてくださいませ。

 具体的には、領地を治める上で必要なことを取り決めていければと思います。
 必須決定事項は、制度法律の制定。ドーナツ畑の効率的な育成・収穫方法について、キャラメル・ロットオリジナルのイベントの3点です。
 それ以外でも、できることがあれば、どんどん提案してください。
 農地が多いこの領地で何ができるのか、領主のセララさんと共に考えていただければと思います。
 ゆくゆくは、セララさん以外の方々も領地を持つに当たり、ノウハウを得ることができるかもしれません。
 あまりに適当にお仕事をやっていると、領民から悪評が立ってしまいますので、真剣に取り組んで頂きますよう願います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 聖剣騎士領キャラメル・ロット、始動!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年09月05日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
八田 悠(p3p000687)
あなたの世界
メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)
メイドロボ騎士
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
天空の騎士
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進

リプレイ


 幻想某所にある聖剣騎士領キャラメル・ロット。
 領主室で頭を痛めていた『魔法騎士』セララ(p3p000273)の元に、頼もしい7人の仲間達が集う。
「戦場を切り拓く王剣、スコフニュング推参です!」
 堂々とした振る舞いで『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は名乗りを上げて。
「栄えある聖剣騎士団の一翼として戦場のみならず、領地発展の道も切り拓いて見せましょうとも!」
 集まったメンバー達は個々に意気込みを語る。
「セララちゃんにヘルプを求められたからには張り切るっきゃないよね!」
 『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)は早速、聖剣騎士領の為に何ができるかを考え、たくさん学んでいきたいと語る。
「鉄帝の軍人が幻想の領土を良くするのって気ノリしないけど、セララ領だから何とかせねばならない」
 『マム』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)も友達以上の存在であるセララの為に、一肌脱ぐことにしていた。
「セララくんの領地と思いきや、これは騎士領なんだな!」
 天義の騎士である『天空の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)だが、聖剣騎士団団員であり、カリバーンの名を頂戴したからには腰を上げねばならないと助力を決めた。
 領主の手伝いと言えばメイドの仕事と、『メイドロボ騎士』メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)もまたセララを助けるべく参じていた。
 本来であれば、メイドは主が快適に働ける環境づくりを行うのが役回りではあるのだが。
「望まれるのなら、領地運営の手伝いくらいはこなせなくてはね」
 すでに、『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)はこの領地に適した法律をと、あれこれ考えてくれている。
「ドーナツ畑、フム……中々に面白い特産品となりそうだネ」
 唯一聖剣騎士団の属していない『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)だが、自然と共に生きる幻想種として、植物を育てる方面での手伝いを申し出てくれていた。
「少しでも住み良い街にするべく、きちんと手をかそう!」
 改めてカイトが気概を語り、皆が大きく頷く。
「皆が執政官として来てくれた! やったー!」
 セララはこれで領地の発展間違いなしと、胸を躍らせるのである。


「まず、整備するのは社会保障だね」
 領地の法律づくりに着手した悠は領民達の為、無条件、あるいは領主であるセララの課した労働の対価を制定する。
 対価として、領民には食料と現金を支給する。その対象は登録制とすることで、戸籍作成を同時に行う。
「犯罪行為は単純に放火、窃盗、暴行などだね」
 特に、食料面において害をなした場合は一等重罪と悠は規定する。
 それらの罰則、労働の成果について至急の増減も条文に明記。その際、増減は現金のみと限定する。
 なお、減額が大きい場合は支給額が0となることを禁じ、長期にわたって支給を減額して規定額を満たさせる処置をとる。

 ところで、混沌の地にあってはモンスターの発生など不確定要素は少なくない。
「さてさて、あたしの得意な腕っぷしを活かせる軍事を育てていきたいよね!」
 やはり、聖剣騎士団団長セララのイメージと言えば、輝かしい戦歴を持つ騎士団。攻め込む為の軍よりも領地を守る為の軍がピッタリだろうと朋子は考える。
 朋子の主観によると、軍の連弩や統率は大前提として、重要なのは「プライド」……「誇り」とのこと。
「よりぶっちゃけて言えば、『かっこよさ』が何より大事だとあたしは思う!」
 体を張って居場所を守る。攻め込んでくる外敵を撃退する。領民の憧れとなる……そうした行動に付随する「かっこよさ」が群のモチベーションを高め、質の良い結果をもたらすと朋子は力説する。
「誰だって褒められたりかっこいいって言われたりすれば嬉しいでしょ? かっこいい自分をもっとかっこよく見せたくなるでしょ?」
 まだ募集をかけ始めて然程多くはないが、軍に入ろうと考える領民もちらほら出始めており、朋子の主張に耳を傾ける。
「その『かっこよさ』の基準を『領と民を守ること』にして、キャラメル・ロットの民が安心して過ごせるようになる軍隊こそがセララちゃんの領……聖剣騎士領キャラメル・ロットには必要なはず!」
「「おおーー!!」」
 集まった志願兵が朋子の語りに応じてテンションを上げ、声を荒げる。
 資源が豊かな領地は、言い換えれば盗賊やモンスター等にとって格好の獲物となると朋子は語って。
「それを守り切る「かっこいい軍隊」というプライドを目指して、あたしが徹底的に鍛えてあげる!!」
「「押忍、お願いします!!」」
 こうして、朋子による領地軍の厳しい指導が始まるのである。

 改めて悠は法律と合わせて、教育の質も高めようと考えていた。
「法律を有効化させるためには、領民がそれを理解する知識と、順守する理性を持つ必要がある。その為の教育だ」
 教育を行う教室はセララがいる領主の屋敷を間借りし、対象は年齢が一定範囲の領民は無償、授業に参加した生徒には昼食を提供する。
「教育の内容は読み書きに計算をと考えているよ」
 悠が用意した教材は読み書きに関しては童話などの物語を使う。
 例えば、『はなさかじいさん』等、正直さ、良心によって利益を得て、他人を害することで自分も損をするといった内容の話を使用する。
 計算についても、ただ数式を解いてもらうだけでない。
 例題として、引き算は「悪いことをしたから、本当は多くもらえる筈だったのに数が減った」等といったものを使う。
 いずれも、道徳的な要素を合わせ、領民に倫理観をつけてもらうことが悠の狙いだ。
「クラス分けは年長と年少に分けての授業だな」
 その形態は、某世界の寺子屋を思わせる。
 授業によっては、他人に教えられる者は生徒でも教師役となってもらい、報酬としてはドーナツ1個など約束する。
 飲食は、教師がいる場所のみでのみ許可し、影で生徒間でのダッシュが発生することを予防するのだが……。
「どれも、将来的には問題が起こる作りだ」
 いずれも、長く続けていれば、誰かが不正を働くことを悠は見据えているが、まずは制度を根付かせる為に大本の部分を運用し始めることが第一だろう。
「永い事業になるんだろうなあ」
 こちらに関してはまだ立案段階だが、それだけでも悠は嘆息してしまう。
「うん、お願いするよ!」
 悠が作った制度に一通り目を通したセララは、紙面に領主としての判を押すのである。


 続いて、この領地の特産としてセララが考えているのは、ドーナツ畑である。
「むむ??? ドーナツ畑?? そんなものは初めて聞いたなあ……」
「ドーナツは木に沢山実るんだ!」
 難しい顔をしていたカイトだったが、セララが笑顔で一喝したことで、なぜか説き伏せられたカイトは「わかった」と表情を明るくして。
「ならばその甘そうな畑を、栄えさせて名産としよう!!」
 何の疑いもなく、セララ時空にのまれてしまったカイトだが、ドーナツは小麦粉をこねて作るのが一般的である。
 しかしながら、できなかったと断言してしまうとセララがやんわり遠慮気味に落ち込みそうである。
 そう考えたカイトはなんとかセララの夢を叶えてやりたいと奮起する。
 まずは、ドーナツの元……原材料である小麦粉を育てる畑を作りつつ、畑の景観にドーナツの形をした小物をクリスマスツリーの飾りのように吊り下げればとカイトは考えて。
「これなら、団長が喜ぶファンシーな感じになるかな」
 あとは市場で小麦の種を購入。それを畑に植えつつ、別途用意した苗木にドーナツの飾りなどを吊るしていく。
 飛行種であるカイトは翼を羽ばたかせ、高所にまで飾り付けができるのは便利だと考えていたのだが……。
 基本、小作農となる領民は幻想に済む人間種ばかり。彼らに手伝ってもらいつつも、手数が足りない。
「これ1日じゃ絶対に終わらんな」
 やる事があまりに多すぎて、農家の人々の気持ちを汲んでしまうカイトだ。
 ……ところが、である。
「な、なんだってー!!」
 カイトはそうして作業を行ううちにとんでもないことを知ることとなる。
 なんと、ドーナツの木というものが別世界に存在し、それを持ち込んだ者がいるのだという。
 あまり背丈の高くない木に、林檎や梨のように実る珍しい品種。
 しかしながら、その味はドーナツさながら。
 品種改良することで、リング、ツイスト、球形などの形や、ケーキ、イースト、クルーラーなど記事も変わるという。
 収穫すれば、お好みで粉砂糖やデコレーションも。
 成長も早く、ドーナツの苗を植えれば数か月で育ち、あとは定期的に実るドーナツを収穫するだけで良いという実にお手軽な作物である。
 おかげで、カイトはかなりの部分で大きく方針転換することに。
 なお、彼のやったことが無駄にならぬよう、飾りつけしたドーナツ畑は客寄せ用に。小麦畑もドーナツを自作するようにと残すことにしたようである。
 さて、セララが思い描くドーナツ畑はジュルナットが主導で動いていて。
「ドーナツ畑で使う方式は果樹、という事は……」
 放置しておけば多数の実……ドーナツが実り、一つ一つに渡る栄養、旨味が少なくなってしまう。
 この為、枝の間引きが必要だとジュルナットは判断していた。
 大きな枝は4~50センチで枝先切り。その枝からは3、4本を上限にして。
「沢山の栄養をドーナツに送ってもらうように育てようネ!」
 ただ、実った美味しそうなドーナツの実は甘い香りを放ち、モンスター以外にも、害虫、害鳥に狙われてしまう。
 合わせて、日に焼けて焦げてしまうことも懸念したジュルナットはドーナツに革などでカバーをかけていく。
 そうした作業は小作農である領民達も手慣れたもので、ジュルナットとしても非常に心強い。
 収穫は、手袋を装着してから行うようジュルナットは指導していた。
 カバーを外してから房より少し上を果物収穫用のハサミで切り、後でヘタを取るようにすれば、衛生面も安心だ。
「あと、何が足りない? あ! ドーナツを売るところかな??」
 収穫した後になるが、小麦畑から採れる小麦の加工場に、ドーナツの販売店を作ることをカイトが提案する。
「税金もドーナツは優遇しちゃうよ。特産品として推奨なのだ!」
 そこはセララも力を入れたいところのようで、販売経路を確保し、他領地へと向けてドーナツ専門の行商人やキャラバンも手配していく予定だ。
「さて、ドーナツだけじゃ3食は賄えないから通常の農業もしないとネ」
 また、ジュルナットは幻想の環境を鑑みながら野菜をいくつか作ろうと考えている。
 現状はまだ計画のみだが、他の領地を参考にして野菜をチョイスしようとジュルナットは考えている。
「あと、料理に合わせる香草類を育てるのも大切だネ」
 夏にはローリエ、冬にはミントの二毛作。飲み物、味付けと多様に使えるのがウリなのだとか。

 また、農業以外にも、リディアは酪農を推進していた。
「酪農は安定した暮らしと雇用の第一歩! ビバ、一次産業!」
 紅茶、ミルクティーと色々飲み物はあるが、ドーナツに一番合うのは新鮮な牛乳……ミルクそのままが最強だと主張するリディアだ。
 リディアは酪農の中でも乳牛の飼育に関して制度、法律の制定へと当たる。
『牛さんの健康管理について何か制度を定めてね!』
「承知しました!」
 事前にそんなお達しをセララ団長から受けていたリディアは、飼育環境の整備と衛生管理も加え、【牛さんのお世話に関する法律五ヵ条】を制定する。

 1.毎朝、牛さんに挨拶をしましょう(今日も元気かどうか確認!)。
 2.美味しい牧草を沢山食べさせてあげましょう(牛さんは草食です。ドーナツを食べさせるのはダメ!)。
 3.寝床は定期的に掃除してあげましょう(不潔は万病のもと!)。
 4.一週間に二回は、牛さんを洗ってあげましょう(お水は冷たすぎると牛さんがビックリします)。
 5.ミルクを絞る時は手洗いを忘れずに(牛さんのお乳は優しく扱いましょう)。

「ふぅ……こんなところでしょうか!」
 これできっと、美味しい牛乳が採れるはずだとリディアは会心の笑みを浮かべて。
 そうしたら、腕によりをかけてその牛乳を使ったスイーツを作って、騎士団メンバーや領民に振舞いたいとリディアは未来の展望を思い描くのである。

 メートヒェンも別途食事関係をと動いていて。
「やはり、特産品のドーナツを活かしたいところだね」
 領内で美味しいドーナツと牛乳を生産するとあれば、それらを多くの人が気軽に楽しめる店が必要になるとメートヒェンは考える。
 カイトの考える販売店と合わせる形で、店内飲食も可能な店をメートヒェンは考える。
 リディアは牛乳にこだわりを見せているが、メートヒェンは店にするのであれば、ミルクティーに向いた茶葉やカフェオレにしても美味しいコーヒー豆も混沌中から取り寄せられるよう手配する。
「あとは普通の食事が出来る場所も必要だよね」
 まだこの聖剣騎士領は発展途上。様々な建設に携わる人々も多いし、騎士団も訓練を頑張っている。
 その為、まずは肉体労働者向けのお店から建設を進め、領民にとってリーズナブルな店、領内の作物などを使った特色ある観光客向けの店などと力を入れていこうとメートヒェンは考える。
「高級志向のレストランもいつか必要になるだろうけど後回しかな」
 店舗一つとっても、土地、建物に店舗運営の為の銃器や備品、店主に従業員と用意する者は多い。
 メートヒェンの店舗計画もかなり時間がかかりそうだ。


 もう一つ、セララはキャラメル・ロットならではのオリジナルのイベントを計画していた。
「劇場を作って劇の公演をするよ」
 それによって、観光客を呼び込むのがセララの狙いだ。
 まずは、劇場建設。セララは雇ったガテン系の人々に助力しつつ手早く造れると判断した野外ステージを完成させる。
 その劇場だが、あーだーこーだ悩んでいたハイデマリーが相棒のセララより任された形となって。
「さて、鉄帝歴史の劇でもやらせようか?」
 しかしながら、セララはただハイデマリーに任せるつもりはないらしい。
「劇団の名前は『劇団ラグナロク』で行こう!」
 台本、ストーリーのネタは事欠かない。なぜなら、イレギュラーズとしてこれまで数々の冒険譚があるのだから。
『イレギュラーズの冒険を見れるのは劇団ラグナロクだけ!』
 これを宣伝文句に、セララは集客を考えている。
 そんな彼女の主張に、ハイデマリーは小さく唸って。
「しかし、練習とかも考えると経験者・プロは欲しいでありますな」
「とりあえず、役者はボクとマリー、足りない頭数は領地内で希望者を募集だね!」
 さらりと重要なことを言われ、ハイデマリーは唖然としてしまう。
「いやいやいや、なんで? 何で私とセララで舞台を?」
「だいじょぶだいじょぶ、練習すれば演劇とかできるようになるから!」
「あー……わかりました。やりますよ、やれっばいいでありますよね」
 諦観したハイデマリーは、真面目に台本を作ろうと考えるのだった。

 劇の準備が進む中、メートヒェンは劇場の周囲で屋台など出店の出店などをの申請を受け付ける。
「色々な人が屋台を出せば、領地特有の料理も生まれてくれるかもしれないしね」
 申請した店の情報を纏めてガイドブックに。最初は小冊子にして、メートヒェンは無料分布することにしていた。
「まずはドーナツと牛乳、それに美味しい料理も沢山あることを知ってもらって、多くの人に興味を持ってもらうのが先だからね」
 他の店の準備もあり、メートヒェンは忙しなく動き回っていた。

 ハイデマリーが手掛けたのは、『魔法少女物語』という実にシンプルな魔法少女メインの劇だ。
 事件によって役者が変わるイレギュラーズの活躍は一旦置いておいて、今回は定期公演しやすい演目を優先させた形だ。
「定期公演ってことは定期的に劇参加しないといけないわけで、とりあえず、三部構成でいきましょう」
 一度やると決めた彼女はギフト次元多重思考を最大稼働させ、1人で大量の文章の作成、修正を行い、ストーリーを構成していく。
 その内容はセララが魔法少女らしくあるようにこだわるハイデマリーは、衣装もセララの漫画を元に耐久性、スポットライトの影響も考え、生地を相談して服飾の専門家に製作を依頼する。
 それらが進行する間、セララとハイデマリーは劇の練習。鉄帝軍人であるハイデマリーの教育指針は徹底的である。
「マリー厳しい!」
「何を言ってるでありますか? 全員完璧に統率できるまでやるでありますよ?」
「うん、一緒に練習するの楽しいから頑張るよ!」
 ラストは主要登場人物でエンディングダンス。
 劇の後はお土産で、セララがギフトで作った漫画を参加者にプレゼントを計画中だ。
「定期的に公演していれば有名になるはず」
 まだ劇の幕が開くにはしばしの時を要するが、セララは劇団によって領地を盛り上げたいと考えながら、劇の練習に励むのである。

 そんな領地の光景を眺めていたカイト。領民からの支持は上々のようだ。
「いやあ、のだかでいいなあ」
 彼は息抜きに他のセララの領地を見に行くべく、ドーナツを手土産として向かっていったのだった。

成否

成功

MVP

八田 悠(p3p000687)
あなたの世界

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPはベースとなる一番難しいと思われる条例の部分に敢えて手を加えたあなたへとお送りいたします。
 今回はリクエスト、並びにご参加、ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM