シナリオ詳細
アマゾネスの村
オープニング
●アマゾネスの村
男は均整の取れた筋肉質な身体をガタガタと震わせながら、森の中に潜んでいた。
着ていた服は半ば脱がされており、ボロボロである。
端整な顔は、真っ青であり、涙目だった。
(なんで、私がこんな目に!)
声に出すと見つかってしまうため、男は心の中で絶叫した。
いつも通り治安を守るためのパトロールをしていただけなのに、気付けば誘拐され、こんな辺鄙な村に連れてこられた。
金銭的な誘拐ならまだ良い。
だが、求められているのは金でも宝石でも地位でもないのだ。
誘拐した自身とそう変わらない背丈の屈強な女どもを思い出すだけで、恐怖で顔が引きつる。
そもそも女性はあまり得意ではないのだ。
別に男が良いわけではない。
ただ、肉感的だったり積極的な女性が本当に駄目で、平気な女性はかなり限られているのだ。
仲間との会話で、アマゾネスの村については聞いたことがあったが、そんなものは都市伝説だと思っていた。
仲間がある意味役得かもな、と笑っていたのを思いだして、その顔を心の中で殴打した。
――全然役得じゃねぇええええー! 誰か助けてくれ……っ!
年甲斐もなく男は泣いた。
声も出さずに。
本当に嫌なのだ。
どれくらい嫌かと言うと、彼女たちと結婚するくらいなら、女顔の美少年と結婚したほうがいいくらいに。
見つかったら、もう逃げられないのだ。
●まともじゃない依頼
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、遠い目をしながら依頼書を集まったメンバーに配った。
「依頼、なのです」
そう言うユリーカの表情は引きつっている。
内容に目を通した面々は、その内容に同じ様に顔を引きつらせて固まった。
――依頼内容。
そこには、アマゾネスの村から息子を取り返して欲しい、と言う貴族の男からの切実な内容が描かれていた。
南の端に、アマゾネスだけの村がある。
彼女たちは外部から男どもを呼び寄せて、夫とし、子供を作る。
夫となった男は死ぬまで村から一歩も出ることが出来ず、一夫多妻制。
口説いて連れていくなら勿論問題は無いのだが、実際は彼女たちは見目麗しい若い男を誘拐しているのが真実であり、犠牲者は後を絶たないのだ。
ちょくちょく問題とはなっているのだが、なんやかんやで解決していない。
まぁ、もしかするとある意味では羨ましい、という話があるのかも知れないのだが。
「今回の依頼は貴族のお父様、からです。貴族とはいっても、騎士の一族なのでそこまで上の階級ではないのですが……。どうも、2週間前から息子さんが行方不明になっていて、独自に調べたところ、誘拐されてしまったみたいなのです。アマゾネスさんの村に」
その言葉に集まったメンバーは顔を見合わせた。
この先に待つのは、王道展開だろう。
「誘拐された騎士様、腕は結構たつらしいんですが、女の人は殴れないらしくて、自力で逃げるのはちょっと難しいみたいなのです。お父様は言いづらそうにしてましたけど、誘拐された後の展開は、まぁお察しください、な感じになると思うのです。勿論、騎士様がそれで良いなら誰も止めないのですが、この騎士様、フェミニストではあるんですが、同時に女性はあんまり得意ではないらしく……。お父様もそれを知っているので、今回ローレットに助けを求められたのです。あ、得意ではないと言っても、男性が好きな訳ではないのです。嗜好はノーマルなんです。ただ、肉食系女子は苦手らしいのです……。アマゾネスの特性上、絶対肉食女子なのです。このままだとその後の展開はピンクな展開なのです。正直、2週間たってるので、そこはちょっと諦めて欲しいのですが、でもこのまま監禁コースは可哀想なので……よろしくお願いします。村の場所はこの地図にあります。あと、騎士様の容姿とかの特徴も」
渋々ながら頷いたメンバーだったが、ふと一人のメンバーが冷めた目をして口を開いた。
――ちなみにこの依頼持って来たのは?
「ソルトさんです」
まともな依頼をください。
そう強く面々は思った。
- アマゾネスの村完了
- GM名ましゅまろさん
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年04月30日 21時40分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ひゃっはー!
アマゾネスの村は熱気に包まれていた。
先日、外界から浚ってきた男が逃げ出したからだ。
だが、ギスギスした感じではない。
アマゾネスたちのテンションは高く、非常に楽しそうだったのだ。
「逃げられれば逃げられるほど、嫌がられる方が燃える! そのほうが屈服させた時が良いからな」
髪を短く刈り上げた女が楽しそうに笑った。
女とは思えない発言だが、彼女はれっきとした女性である。
たとえ190くらいの身長と、その辺りの屈強な冒険者が華奢と思える程立派な体躯をしていても、生物学上、彼女は紛うことない女性だった。
「ふふふ。そうね。そのほうが事に及んだとき楽しいわよね」
その隣で、肩までの長さの、先ほどのアマゾネスよりは女らしい女が同意の意を示す。
比較的小柄な方ではあるが、それでも170後半くらいはあるだろう。
胸も他のメンバーと比べれば、一応は柔らかそうではある。
(五十歩百歩……!)
木の陰からイレギュラーズの8人が同じ事を脳内で叫んだ。
やっぱりゴツいのは変わらない。
(いや、わかりやすいけどね?嫁取りもどの世界にも色々あるけどね?いやまあ、なんていうか。好みってのもあるからね、うんとりあえず仕事だからね、助けようね。どうにも気が抜けるけど!)
『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)がやや引きつった笑みを浮かべる。
仕事だとは分かっているのだが、どうしてもしまらないのだ。
(アルバートも大変だな……!)
『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)はちょっとだけわくわくしていた。
(騎士ってかっこいいじゃん!)
若干本来の目的からはずれているような気もするが、まぁ、終わりよければすべて良しである。
「やれ騎士様は不幸なんだか、なかば強引にでも身が固まるのは後からすれば幸運なんだか。僕の知るところではないんだけど、どうにも互いの本意の状況じゃなさそうだしねぇ」
『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)が、周囲を探りながらそう呟く。
「結婚と言う概念は私たちには良く分からないんですが……大変なのかも知れないですね。……それはそうと、あの話しぶりだと、アルバートさんはいないようですけれど」
同じ様に周囲を探っていた『刃に似た花』シキ(p3p001037)は、眉を僅かに顰めながら言った。
アマゾネスたちの話しぶりではどうやらアルバートは逃げ出したらしい。そして未だ見つかっていない、という事らしかった。
「逃げ出す気概は残っていたようですね。まぁ、今回はアマゾネスの知識を持ち帰るのがメインで救出はついでですし」
「いや、メインはアルバート殿の救出だからな!」
陰陽 の 朱鷺(p3p001808)の言葉に、『異端審問官』ジョセフ・ハイマン(p3p002258)が的確に突っ込んだ。
この戦い最悪の場合、失うのは男性陣営の貞操(?)のためか、割と女性陣営はまったりと状況を楽しむ余裕があるらしい。
「男に負けたら、強引に押しかけ女房……。ホーミングアマゾネスですね。ミサイルより恐ろしいです」
自身に降りかかるわけではないが、『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)はそっと身体をぶるりと震わせた。
「騎士なのだからびしっと戦って逃げれば……あ、そういえば勝っても押しかけられるだけで結果は変わらないのでありますな」
『叛逆の風』竜胆 碧(p3p004580)が思いついたかのように呟くが、そういえば、と思い直した。
男である時点で、勝っても負けても、貞操を奪われるエンドは確定なのだ。
「誰だ!!」
そんな中、一人のアマゾネスがイレギュラーズたちの気配に気付いた。
短刀が木へと突き刺さっている。
碧がその短刀を木から引き抜き、アマゾネスたちの元へとゆっくりと歩み寄る。
「外部の女、か」
僅かに眉を寄せたアマゾネスだったが、瞳から冷静さは失っていない。
「やはり女でありますな。精神的に成熟している」
激情に任せて襲ってこない事へと感嘆の声に、アマゾネスは肩をすくめてみせる。
「どっしりと構えるのが我らの美徳だからな。 お前もその身のこなし、一般人ではないな。どこかの軍属と見受けるが?」
「過去の事であります」
「外部の者が何をしに……」
別のアマゾネスが不愉快そうに声を上げたその時。
「騎士が見つかったぞ!」
赤茶色の髪のアマゾネスが、男、アルバートを引きずって、広場へと現れた。
●アルバート
「さ、触るなぁ、貴様どこ触って……っ、あっ、ちょ!! そこはだ……!」
現れたアルバートは、とんでもない格好になっていた。
着ていた服はぼろ切れのようになっていて、しっかりと身体を覆えているのは大事な部分だけである。
だが、下履きだけ履いている様な状態であればまだマシだった。
中途半端に布きれがボロボロになっているというのは、いかにも抵抗しました! というその状態は歪んだ性的嗜好を刺激しかねない。
現に捉えたアマゾネスたちの視線は爛々と輝き、その指先もにぎにぎと手つきが怪しい。
一応男女間ではあるのだが、屈強な身体が男子にしか見えないため、絵面は最低最悪だった。
「うん……。なんだろうね。全然嬉しくないね。てか、きつい。つらい」
リンネが遠い目でそんなアマゾネスたちを見つめた。
年頃の女子であれば多少は興味を持つ異性の身体なのだろうが、今視界に入ってきているのは一応男女ではあっても、何の嬉しさも湧かない。
「まぁ、でも助けない、とね。と言うわけだから、僕たちと戦って貰うよ。チーム戦でね」
悠の言葉にアマゾネスたちがアルバートを嬲る手を止めて、楽しそうににぃっと笑う。
「ふむ。掟を知っていての、という事かな? ならば受けて立とうじゃないか
。だが、良いのかね、8人の中には男が二人ほど混じっているが? 我らに勝った場合、我らはその男に憑いていくが?」
問題ないか? との言葉に、視線は明確に男性陣営であるカイトとジョセフへと向った。
「愛のない婚姻? 駄目だ。駄目だぞ、そんなものは!しかも一方的な都合を押し付けて!」
ジョセフが叫ぶように言った。
自分はこの世界に来て友愛を知った! そう言う男の熱弁に、アマゾネスはにやにやと笑っていた。
「そちらが勝ったら、こちらの男性陣を婿に出来る。悪くは無いでしょう?」
鶫の言葉に、アマゾネスたちは互いの顔を見た。
その表情からは断る、という選択肢はないように見受けられる。
今回は男性陣営を餌にこの決闘を受けさせるつもりだった8名なので、アマゾネスが積極的に受け入れた事にイレギュラーズは内心ガッツポーズをしていたのだが、実は決闘は、基本的にふっかけられたら全部受ける類いのものだったため、アマゾネスたちにとっては勝っても負けても美味しい話だったのだが、幸か不幸か男性陣はまだ気付いていない。
「腕には自信がありそうだけど、上には上がいるということをきっちり教えてあげないとねー。こっちは8人!そっちも8人!それでやり合えばすっきりきっちり決着つくでしょ。誇りがあるならかかってきなさい!まあ、怖気付くなら仕方ないけどね?」
リンネの言葉に、アマゾネスたちは満面の笑みだった。
ーー勝っても負けても男をゲット出来る上に、強い相手と戦える!
アマゾネスたちの武器を握る手にも力が入る。
「同意の上という事だな。良いだろう」
「では、尋常に勝負!!!」
族長の娘であるアマゾネスの声と共に、8対8の戦いは始まった。
●戦う理由は貞操のため
「強い人を斬れる、というのは……凄く、楽しみです」
抜かぬ刀でシキが距離を詰める。
抜刀しては命を奪ってしまう、と言う理由からだ。
緩いウェーブのかかった髪のアマゾネスがその一太刀を受け止める。
リンネのマギシュートがアマゾネスの身体を押しやると、別のアマゾネスがリンへと切りつけた。
前衛のカイトは要となる女性を守るため積極的に切り込む。
朱雀緋飄の炎がアマゾネスを襲う。
反射的に、集中してアマゾネスたちがカイトを狙い、カイトの身体が僅かに傾くのを、ジョセフのマジックロープが敵を絡め取りサポートする。
悠のSPDがカイトの傷を癒やした。
朱鷺の手によって式符より出でた光明の白鴉がアマゾネスの一人の動きを止めると、その隙を鶫の放った矢が射た。
アマゾネスとの戦いは当初こそ拮抗していたが、やはりイレギュラーズたちには実力は及ばなかった。
徐々にその戦線はイレギュラーズ優勢へと傾く。
それでもアマゾネスたちも、必死に食らいつき、イレギュラーズへと猛攻をかけるが、アマゾネスたちの与えた傷は、サポートに徹している碧のSPDによってすべて癒やされていた。
対するアマゾネスの回復は心許なく、戦いの中で負った傷を癒やす事が間に合っていなかったのも勝敗の差だったろう。
シキの果敢な猛攻に一人のアマゾネスが感嘆の声を上げる。
「その動きは男と判断しよう!素晴らしい、私の物になれ!!」
「僕が斬っても死なないくらい、強い人なら……いいよ。……じゃあ、まず左腕」
「わわ、駄目! 死ぬからそれ!」
シキの言葉にリンネが慌てて止めに入る。
「斬れないと……つまらないな」
戦いの理由はなんとも言えない理由だったが、その決闘自体は素晴らしいものだった。
そう、これが貞操を巡る戦いである事を思いい出さなければ、だ。
だが、アマゾネスたちの男性陣営を見る、蛇を思わせるその眼差しは、その現実を皆に思い出せるのだ。
ーー視界の端のアルバートが泣きそうな顔で震えて見つめているのを8人は出来る限り見ないようにした。
●決着
「ふん。負けた、よ。乾杯だ」
族長の娘が地面に仰向けに倒れながら荒い息で負けを認めた。
残りのアマゾネスも、皆地面に倒れ伏している。
「女は6人だ。6つまで願いを聞こう。負けた以上従う」
その言葉にイレギュラーズは力強く頷くが、疲労感は半端ない。
どんなにシリアスを気取っても、理由を思いだしてテンションが下がるのだから。
しかしながら、一応勝利した6人の願いは過半数がアルバートの解放だった。
知識やらなんやらについては別段隠しているわけではなかったため、アマゾネスたちは気軽に頷いた。
アルバートの件については、族長の女は少しだけ残念そうに肩を落としたが、切り替えたようにじっとジョセフとカイトを見た。
その視線には熱がこもっている。
男が勝った場合は、その相手に婿入りするのだからだ。
ジョセフは慌てて自身について語った。
諦めて貰うためだ。
己の悪行を話せばアマゾネスたちも引くだろう、とそう見込んで。
「私は夫として最悪の部類に入る。素顔すら晒せない男だ。……それとも、果て無き苦痛と愉悦に耐えられる者がこの中に居るのかな?」
だが、その言葉にアマゾネスたちは顔を見合わせ、にやり、と挑戦的に笑った。
「全く問題ない!」
8人全員声を揃えたその言葉は、めっちゃ大きい声だった。
細かい事は気にしないアマゾネスたちにとっては、ジョセフの背景はあんまり関係ないらしい。
(あ、これは駄目だな)
だから、ジョセフは早々に諦める。
(三十六計逃げるに如かず! )
ジョセフは大柄な身体に似合わぬ素早い動きで、その場を走り去る事にした。
このまま行けば色々と大切なものを失うのは間違いない。
「あ!逃げたぞ!」
「追いましょう!!!」
アマゾネスの数人がジョセフを追って走り出す。
逃がす気はない、とばかりに。
そんな様子を、悠は複雑そうに見つめた。
(僕も本当は男なんだけど、な。まぁ、でも今は女に見えて良かった、のかも?)
異世界へと渡っての変化は正直慣れはしないのだけれど。
良い事もある、と思う事にした悠だった。
「俺はアルバートを貰っていくぜ!え、女性を貰うんじゃないのかって?俺は、好きなやつ、って言ったぞ? 騎士ってカッコイイじゃん」
キラキラとした眼差しでカイトが言うと、アルバートが視線を上げた。
「お前、男では、ないのか? いや、だがそんな願いを言うと言う事は女なのか……獣の類いは余計に分からないな。……なるほど、この男が好きなのか。そうか、良いだろう」
カイトは別に女装もしていないし、そもそもアルバートとはこの依頼がはじめてだし、それ以前に別に恋情も抱いていないのだが、アマゾネスは勝手に納得していた。誤解も良いところである。
(何が良いんだ?)
カイトは内心首を傾げるが、どうでもいいか、とすぐに忘れた。
アルバートの手をがっしりと握ると、地面へと立たせる。
「……君は」
握られた手をしばらく見ていたアルバートは、じっとカイトを見つめた。
「?」
不思議そうな顔をしたカイトに、アルバートは視線を逸らす。頬が少し赤いのは気のせいだと思いたい。
(え、なんで視線逸らしたんだろ? 今照れる要素あった? え?)
リンネはアルバートの反応に首を傾げた。
「とりあえず任務は遂行できましたね。無事にアルバートさんを助け出せましたし」
「ジョセフさんは大変そうです、けれど」
シキの言葉に全員がジョセフが去った方向へと視線をやった。
(まぁ、彼ならなんとかやるだろう)
そう思いたい仲間たちだった。
●その後
「さて。依頼の目的は果たしましたが。このままにはしておけませんね。第二第三の被害者が出る前に、貴方たちに教育を施します。拉致などせずとも済むように」
白衣を着て、伊達眼鏡をかけた鶫が、こういう展開ではお決まりの眼鏡くいっ、をしたのを見て、アマゾネスたちが少し興味を持ったらしい。彼女に近づいた。
「良いですか? まず狙うのは、筋肉フェチの男性です。少数派ではありますが、意外といるのですよ。その手の方って。徹底的にフェチ心をくすぐった上で、(ピー)を(ワカワカ)して(パプー)するのです。そして更に……」
きわどい話に、アマゾネスたちは楽しそうに、きゃっきゃっと声をあげる。
その仕草は女らしいが、でも声はやっぱり低いし、どこからどう見ても男である。
「そんな事よりも私に知識を!」
一人のアマゾネスを捕まえた朱鷺はアマゾネスの珍しい話を嬉々として聞いている。
アマゾネスも頼られて悪い気はしないのだろう。
「あの、ちょっと近い、です」
その近くでシキが背の高いアマゾネスから逃げるように身体を反らしている。
どうやらシキの男女どっちとも取れる中性的な容姿が余程気に入ったらしい。
「貴方、とても可愛らしいんですもの。ねぇ、せっかくだから残っていかない?私サービスするわ?」
「いえ、結構です」
「冷たいところがまた素敵!!」
クールなシキの眼差しも、彼女にとってはただのご褒美らしい。
「それにさっきの子が言っていたわ。運命の赤い糸がって!」
「いや、それは意味が違うのであります」
碧の突っ込みにもアマゾネスは挫けないが、アマゾネスたちが女性に無体を働く事は終ぞ無かった。
肩や尻はちょっと触られたものの、まぁ、その当りは我慢できなくはない。
美容に興味はないか、と悠が聞いたところ、どうやら彼女たちは髪の毛の手入れに重点を置いているらしい事が判明した。
蜂蜜を使ったトリートメントを提案したところ、彼女たちには非常に高評価だった。
木陰で、アルバートとカイトが会話をしている。
情けない出で立ちだったアルバートは、今やしっかりとした身なりになり、 この村に来た時の立派な鎧を身につけている。
どこに出しても恥ずかしくない騎士に見えるアルバートに、「騎士はかっこいい」と思っているカイトは楽しそうに話しかけており、アルバートも楽しそうだった。
「う、うーん」
「どうしたであります?」
「何かありました?」
リンネが腕を組んで、悩ましげな声をあげるのを見て、碧と悠が首を傾げる。
「ううん、なんでも、ないよ!」
(いやいや、さすがにねー ちょっと近いだけだよね。女性が苦手だから)
ちょっと疑って掛かったリンネだったが、考えすぎだ、と首を左右に振って笑った。
●事件後の男性陣営のマジで笑えない災難
依頼完了後、ローレットに報告をしに行った折、【蛍火】ソルト・ラブクラフト(p3n000022)が神妙な顔でカイトに声をかけていた。
ーー何か最近困った事はないか? と。
不思議そうに首を傾げるカイトにソルトは言えなかった。
ギルバートが、何故か突然、同性同士の事情を知りたがるようになった事を。
あと、カイトをやたらと気にしていた事を。
あと、酒に酔ってちょっと、ほーんのちょっとだけアルバートに個人情報を漏らしてしまった事も言えない。
脳内でてへぺろ! をしながら、ソルトは今回の事には関わらない事に決めた。
そして同時期、ローレットの受付にて。
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)を尋ねた一人の屈強な男のような女が、ジョセフの特徴を挙げながら人捜しを依頼していた。
8人の戦いは勝利に終わった。
だが、アマゾネスと言うのはしたたかである。
実は一人でも、ローレットの男に手を出すな! と、願いで言えば、確実に皆が逃げられたのだが、残念ながら彼女たちは控えめな願いでアルバートの解放を願っただけに留まった為、彼女たちはローレットに強い興味を抱いてしまった……らしい。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
(`・ω・´)お疲れ様です。
アマゾネスさんがローレット男性を狙う日は近いかも知れませんので、強い女性と友達になって守って貰う事を推奨します。
GMコメント
●成功条件
騎士様の救出。手段は問わない。
●アマゾネスたち
褐色肌と黒に近い茶色の髪が特徴。
例外なく屈強であり、そこらのもやし男子よりも全然力がある。
小さくても170後半はあり、平均身長は187㎝。
胸と言うより大胸筋。
18歳で成人であり、全員が戦士。
イレギュラーズと同等とはさすがに言わないが、その辺りの冒険者程度の実力は持っている。
原罪の若い女は村全体で30名ほど。
●騎士様
アルバートという名前。
25歳。183㎝、80kgの屈強な青年。
顔は端整で男らしい感じ、髪は金色の短髪です。
腕は結構たちますが、女性に暴力を振るえない、ちょっとへたれです。
肉食女子が苦手ですが、同性愛者ではありません。
しかし、アマゾネスが怖すぎて、彼女たちと結婚するくらいなら美少年と結婚した方がましだと思うくらいに現在深刻な恐怖状態です。
誘拐されて2週間たちますが、メタ的視点ですが、今はまだセーフです。
依頼書に「女性と経験はない」と酷い個人情報が父親によってばらされています。
ソルトと面識があり、彼の似顔絵が今回メンバーに配られています。
※村の独自ルール※
強い者が正義。
村の女が、外の村の女に負けた場合、その女の願いを一つだけ叶えるという掟がある。
ちなみに外部の男に負けた場合村の外に出てその男と(半ば無理矢理)結婚する事になる。
※アマゾネスは性別を見分ける能力があまりない。
理由は彼女たちが男と本当に変わらないから。
ボーイッシュだったりすると女子でも男性扱いするし、可愛ければ女子認定する。
だから騙そうと思えば騙せるよ!
「参考までに救出の一例」
・女イレギュラーズ(もしくは女装男子)がアマゾネスに一騎打ちを挑み勝利し、騎士を返して貰う。
・こっそり騎士様を救出し脱兎の如く逃げる。
など。お好きな展開をお選びください。
※この依頼はギャグ寄り+程よく下ネタです。
また、参加者プレイング次第ではBLやGL(両方ギャグ)ネタになる可能性があります。
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