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シナリオ詳細

再現性東京2010:学園に現われた鏡面迷宮!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鏡の中のダンジョン!
 私立伊加川学園の夜――。
 大きな姿見の鏡がある、その突き当り。

「マジでダンジョンなんてあんの? なら、ぜってーやべーじゃん」

 ひとりの男子生徒が言った。
 この学園には、1F西側の廊下の突き当りに、大きな姿見の鏡がある。
 集まった生徒たちは、再現性東京の夜に起こる秘められた怪異を知る由もない――。

「この鏡の前で呪文を唱えると、鏡の世界に引き込まれるらしいぜ!」
「きゃははは! なにそれ? ウケるー」
「学園七不思議の七番目の不思議。まさかミラーワールドであったとは」
「戦わなければ生き残れないってヤツ?」
「古ぃよ! 今は、俺が変身するだろー」

 そんな感じで生徒たちが盛り上がっている。
 携帯を取り出し、その面白い瞬間を写メしようと構えていた。

「それで、呪文ってどんなの?」
「テクマクなんとか、そういうのとは違ったらしいですよ」
「てきとーじゃん」
「裏サイトに書いてあったから、それを読みますね。ええと……姉は血を吐く、妹は火吐く」
「呪文なの、それ?」
「いや、よくわかんないですけど。オカ板だと評判のコテハンの書き込みでしたし、信憑性は高いかと」

 ともかく、である。
 その生徒は、最後まで奇妙な呪文を唱えた。
 呪文を読む声がなくなくなると、静まり返った夜の校舎の雰囲気が戻ってくる。
 その一瞬の沈黙は、どこか重苦しかった。

「ちょ、ちょっとー、何も起こらないじゃん!」

 間の悪い沈黙に耐えきれなかった女子生徒が、それを打ち払うように声を上げた。それにつられて、他の生徒たちも無理でも会話を続けようとする。

「まあ、こんなもんだって。なんか起こるわけねーって」
「でもでも、ビビってた顔は動画に撮りましたぞ」
「ちょっ、消せよー」

 などと、じゃれ合っていた、そんのとき――
 鏡に異変が起こる。
 ぼうっと光を放つと、生徒たちを引きずり込んでいく。

「……な、なんだよ? ここは?」

 鏡に引き込まれたひとりが、目を覚ます。
 いつの間にか、気を失っていたようだ。
 他の生徒たちは、どこに行ったのだろう?
 見回すと、見覚えがある校舎の景色。
 しかし、その校舎の廊下は多方向に伸び、広大に広がり、まるで迷路のようであった。

●求む、鏡面世界捜索隊
「市立伊加川学園の生徒たちが、鏡の迷宮に迷い込んだようです」

 音呂木・ひよのからの報告であった。
 鏡面世界という概念がある。
 鏡の中に、もう一つの世界があるという考えだ。
 鏡を見ていると、もう一人の自分が写り、その背後にはもう一つの世界が広がっているように見える。
 だから、その世界も存在しているのだと。

「どこぞのオカルティストが生み出したという鏡が、その学校の姿見の鏡として設置されたようです。どういう経緯で伊加川学園に持ち込まれたのかは、わかりませんが……」

「鏡の迷宮に囚われたうち、ひとりは私が助け出しました。しかし、中の広大な迷宮を捜索するには、手が足りないのです。残り4人の生徒がいまだ取り残されているのです」

 今のところ、生還者は一人だ。
 その生還者は、記憶処理をして帰宅するだろう。
 今日起こったことは何事もなく忘れ、明日からは再現された東京での日常を過ごすだろう。
 その前に、聞き出した迷宮の様子を、ひよのは集まった者たちに告げる。

「鏡の中迷宮は、いわば学園を映した迷宮となっています。一見すると普段の学校の光景そのままのようですが、廊下は幾重にも分岐する通路となり、教室の数も異常に増えています。トラップもあれば、夜妖<ヨル>たちも跋扈していました」

 つまりは、学園を写した鏡面世界のダンジョンなのだ。
 このダンジョンを攻略し、迷い込んだ生徒を見つけ出さねばならない。

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 さて、再現性東京に出現したダンジョンです。と言っても鏡の中にあるんですけどね。
 夜が来る! とダンジョンが現れる再現性東京で繰り広げられる現代伝奇テイストです。
 この鏡面迷宮ですが、今回は最深部までの探索が目的ではなく、迷い込んだ生徒たちの救出となります。
 深入りして調べたいってプレイングはあっても構いませんが、その場合には何らかの何かがあります。
 以下に、それぞれを説明しましょう。
 なお、私立伊加川学園は再現性町田市にあるごく普通の私立再現性高等学校です。

・鏡面迷宮
 由来は分かっていません。
 作成者であるとあるオカルティストが込めた何らかの悪意が感じられ、映した光景のダンジョンを構築し、トラップや魔物が待ち受けているようです。

・迷い込んだ生徒
 以下の4人となります。ダンジョンのどこかにいます。分散して手分けして捜してもいいし、皆で一団となって探索しても構いません。

可瑠川ミチカ(かるかわ・―)
 ギャル系JK。高等部2年。ノリはいいですが、考えは浅いタイプ。けっこう寂しがり屋。

陽田翔太(ようだ・しょうた)
 クラスで目立った存在の高等部2年。テニス部所属。実はガジェオタ。携帯は3種持っている。

磯良くぬぎ(いそら・くぬぎ)
 眼鏡で黒髪の女の子。高等部1年。オカルトにくわしく、魔法や魔術を研究しているらしい。

因沼銀次郎(いんぬま・ぎんじろう)
 ゲームオタ、鉄オタ、特撮ヲタ。高等部2年。生還者の情報では、真っ先にマッピングしていたとのこと。

布田健児(ふだ・けんじ)
 救出された生還者。高等部2年。夜の学校に忍び込む計画の発起人。情報はすべてひなのに話した。

・夜妖
 鏡面迷宮で出現したのは、10匹程度のインプだと思われる。他にもいるかも知れないが、現在のところ不明。
 布田は、迷宮の奥に引きずり込こまれかけたが、ひなのに救出された。

 事前情報は以上となっています。
 迷宮については、どのように攻略していくかのプレイングを参照し、救出できるかの成否を判定します。
 それでは、皆さんどしどしどーんと参加してくださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 再現性東京2010:学園に現われた鏡面迷宮!完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月06日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

R.R.(p3p000021)
破滅を滅ぼす者
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
七鳥・天十里(p3p001668)
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
酒匂 迅子(p3p008888)
ゴーストオブお正月島

リプレイ

●鏡の迷宮に挑む生徒たち
「学校、鏡、怪異――。以前境界でそんな事件にあたったが、混沌でも似た事件に遭おうとは。本当に、まるで異世界のようだ」

 夜、私立伊加川学園。1F西側の突き当たりにある大きな姿見鏡の前に、希望ケ浜学園の生徒達が集まっている。
 彼らは、この再現性東京で魔を祓う者たちだ。
 呟いたのは、その中の一人、『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)である。

「鏡の奥のまた奥が気にならない訳ではないが、此度は生徒の捜索が最優先だ。ミイラ取りがミイラになる事だけは避けねばなるまいな」

 『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)は、情報屋である。嘘つきを意味する通り名を持つが、一度たりとも嘘は言わない。ただ、真実を明言しないだけだ。
 この言葉も、嘘がないとしたら捜索を最優先するというのは本心のようである。
 ラダの視線が、ちらりと動いだ。

「そうなると、手分けして探せるようチーム分けだな」

 ラダの提案に、皆がうなずく。
 行方不明になっている生徒は四人。犠牲となる前に救出しなくてはならない。

「まったくもう、夜遊びはいけないのだわよ……。でも、こうやっていけないことを皆で楽しむのも青春の一ページなのだわ」

 微笑しながら『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が言う。
 面倒見がいい彼女は、少年少女特有の冒険心をどこか微笑ましくも思っている。
 彼らも大人になれば、このときの思い出話をするだろう。
 そのためにも、助け出してやらねばならないのだ。
 8名の希望ケ浜学園の生徒たちは、三班に分かれて捜索を開始する。
 深夜0時、鏡が月明かりのような光を放つ。
 それは迷宮の門が開いた証だ。
 その光の中に飛び込んでいった。

●鏡の迷宮の捜索
「よく見知った、でもよく知る場所でない場所で迷ったなら、自分がよく知る場所を目指そうとすると思うんだぞ」

 A班は、『蒼蘭海賊団団長』湖宝 卵丸(p3p006737)と、『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)、ラダ・ジグリの3人だ。
 卵丸は、生徒たちの行動を推測して行動を開始している。
 鏡の中は、いつも鏡が映している私立伊加川学園の光景である。迷宮となっているが、迷い込んだ生徒たちにとっては毎日見ていた光景だ。
 脱出するためには、その見慣れた光景を辿るはずだ。

「卵丸さん、セーラー服似合ってるのですよ」
「え……?」

 湖賊の卵丸は兵たちの服装であるセーラー服姿だ。
 ここ、再現性東京だと何故か女子高生の制服に採用されている。
 顔立ちが可愛らしく女の子っぽい。ちょっと気にしているところだ。
 メイは単純に可愛いので評価しているのだが、卵丸はちょっと赤面している。

「でも、人を引き込んでしまう鏡ですか。い話の定番なのですよ。そんなものに実際に引き込まれてしまったらすごく怖いのですよ……」

 鏡に関わる怪談は多数ある。
 合わせ鏡の呪法や鏡の中の自分が振り返る、20歳までに忘れないと呪われるというムラサキカガミの呪いなどなど……。
 怖い気配を感じつつ、メイはaPhoneを起動してみる。
 この希望ケ浜のみで使用できるという端末だ。
 GPSで、位置情報を得られる。

「メイは罠と敵との遭遇を警戒するですよ」

 迷宮に囚われてしまった生徒たちが、位置共有アプリをインストールしていれば、捜索も手っ取り早い。

 びしっと手を上げて、自分の担当をアピールする。

「誰かいないか? 返事をしてくれ! 私たちは鏡の迷宮に迷い込んだ君たちを助けに来たんだ」

 ラダがさっそく声を上げて呼びかける。
 夜の学校だと、その声は校舎に響く。一層の不気味さを感じさせる。

「……あっ、待ってなのですよ!」

 メイのaPhoneに反応があった。
 誰かから、画像がドロップされて共有されたのだ。
 この画像を手がかりに、送り主を捜せるだろう。
 さっそくラダのaPhoneとも共有する。

「きっと、行方不明の生徒からなんだぞ」

 卵丸は言うと、ふたりを誘導する。
 エコーロケーションと人助けセンサーが、捜索には役に立つ。

「画像の様子だと……放送室みたいですよ」

 送信されて来た画像を見て、メイはそう判断した。
 その途端、校舎の窓ガラスが次々と割れていく。
 足許にガラスの破片が散らばり、行く手を阻む。
 この鏡の迷宮でのトラップだ。
 さっそく、メイがこれを排除にかかる。
 手を切ってしまわないよう、慎重にどけていく。

「危ないから、手を切らないようにな」
「心配ないですよ、ワレモノ注意っと」

 メイは、心配するラダに微笑みを返す。

「放送室には、C班が向かっていたからそっちに任せるんだぞ」

 卵丸がそう判断し、探索を続けるのだった。

●逃走と酒盛り
「来たるべき破滅に曝される命を、破滅の定めから救う。それもまた“破滅を滅ぼす”道理のひとつ……」

 『破滅を滅ぼす者』R.R.(p3p000021)は、誰に利かせるでもなくつぶやき、鏡の迷宮を探索する。

「鶏退治の次はダンジョン探索かー。いいぜーいいぜー、俺様たぎっちゃうよ」

 『ゴーストオブお正月島』酒匂 迅子(p3p008888)は、すでに酒が入っていた。
 女おっさん侍である彼女は、まるでパチンコ屋に並ぶおっさんたちがワンカップを空にするかのように誰に遠慮することもなく、飲む。

「……A班からのメッセージだ。生徒からのもので、放送室だと思われる」

 aPhoneからのショートメッセージを受け取り、R.R.が伝えた。

「陽田くんの可能性が高いから、残りの三人……可瑠川さん、磯良さん、それと因沼君を捜すのだわ」

 華蓮は他の三人の性格を分析しつつ、向かいそうなところを推測していた。
 捜索を終えた教室の扉には、印をつけておく。
 仮に、迷い込んだ生徒たちと行き違いになったことも考えて「次は~を探索します、来てください」のメッセージも残す。

「可瑠川さん、寂しがり屋みたいだからにぎやかなところにいるんじゃないかしら?」
「にぎやかなところ、か……」
「じゃあ、酒盛りやってりゃ向こうから集まってくるじゃん! というわけで、一杯やらない?」
「相手は未成年だし、学校で酒盛りはよくないわ

 さっそく酒瓶を抱える迅子であったが、さすがに華蓮に止められてしまった。彼女の故郷、お正月島のようにはいかない。

「……待て、騒がしいぞ」

 R.R.が何かに気づいた。
 翼を羽ばたかせる羽音が複数と逃れようとする足跡がふたつ、それと悲鳴だ。

「おっ、来ちゃったか?」

 迅子が言うと、前方からふたりの女子生徒が駆けてくる。可瑠川ミチカと磯良くぬぎだ。
 これを追っているのは、数匹の小悪魔、インプたちだ。

「た、助けて……!? な、なに? 酒臭っ……!?」

 校舎に漂うアルコール臭に、ミチカは思わず顔をしかめる。
 迅子の酒気探知に引っかかったのだ。

「おい学生さん、お前さん一杯いける口か? まずは救出駆けつけ三杯イケヤ」

 無論、そんな状態ではない。
 そもそも、未成年に酒を進めるべきではない。
 ふらりと前にやってきた迅子に向かってインプが殺到する。
 どうも、インプたちも酒気に引かれたのかもしれない。
 夏にカブトムシや蚊が寄ってくる、あれた。

「迅子が囮になっているうちに、排除するぞ」

 R.R.は、インプを撃ち落とすべく構えた。
 ファントムチェイサーを放ち、確実に一匹ずつ狙う。

「おっとぉ、ただ囮になってるだけじゃないんだな、これが」

 迅子はオーラソードに酒気をまとわせて斬り殺していく。
 数はいたが、希望ケ浜学園の生徒たちの敵ではなかった。

「ふたりとも、大丈夫ね? あと一人、因沼君は?」
「あいつ、ひとりで探索始めてたから。ダンジョンは、右手法で出口に出られるとか、訳わかんないこと言ってたし」

 ミチカがうんざりしたような表情で、華蓮に答えた。
 どうも因沼は単身でダンジョンのマッピングを行なっているようだ。

「マッピングをしているのだわね。拘っていたりしたら、脇道小道に入り込んでいる可能性が高いと思うのだわ」
「脇小道か、しこたま飲むとだいたい駆け込むぜ」

 酒場での振る舞いを思い出しつつ、迅子は言う。
 脇の小道に駆け込んで何をするかは、お察しください案件だ。

「マッピング情報を、引き継ぐ事ができればいい。まだこの迷宮には謎が残っている」

 この迷宮の情報はまだほとんどない。
 R.R.は、今後の潜入についても考えていた。

●鏡写しの悪意
「学校が迷宮に……なんかどこぞの怪談みたい。時間経つほどよくないだろうし、早く助けてあげないとね」

 C班は、七鳥・天十里(p3p001668)とリュグナーのコンビである。

「放送室は、この辺になるはず」

 アプリを使いこなしたところをみると、テニス部だがガジェット好きの陽田翔太の可能性は高い。

「そうかも、布田君から聞いた連絡先とも一致するし」

 ラダからの連絡によれば、事前に布田から聞き出したアドレスが、翔太のものと一致するようだ。

「こ……こっちだぁ……!」

 ふたりとも、声が帰ってくると顔を見合わせて確認する。
 さっそく声の方向に向かう。
 3F、放送室から、助けを求める声が聞こえる。

「ほ、本当に助けてくれるのか……!? 怪物が、化けているわけじゃないよな……?」
「安心して、僕たちは君らを助けに来たんだ。他の生徒は?」
「それが、はぐれちまって。どこにいるかもわからないんだ……」

 天十里は怯える翔太を落ち着かせる。
 こういうときだからこそ、笑顔を忘れない。

「怪物が化けているんじゃないのかと言ったが……くわしく教えてもらえないか?」
「あ……? ああ、鏡の中のせいか知らねえけど、こっちの姿を映すやつがいるんだ」

 姿を真似する怪物……つまり、そういう能力の夜妖がいるらしい。
 情報を聞き出したリュグナーがそう判断する。

「そっちで生徒が見つかったって?」

 A班の卵丸、メイ、ラダの3人が駆けつけてくる。

「そうだよ、陽田君が見つかったんだ」
「それは、よかった……」

 3人に答える天十里。
 しかし、リュグナーは何かを感じた。

「おっと待った。……そうか、そういうことか」

 リュグナーは相手の瞳を見た。
 そこに映ったのは、自分の姿だ。
 aPhoneでメイの番号に発信する。しかし、コールはない。
 確認すると、3人に向かってオセの狂眼を放つ。

「…………っ!?」

 驚く天十里であったが、すぐにその意図を察した。
 3人から、化けの皮が剥がれたのだ。

「味方に化けていたんだね」
「瞳に我の姿が映っていた。味方ならば、おそれることはないからな」

 リュグナーと眼を合せた者の瞳には、もっとも恐れる姿が映る。
 味方ならば、自分を恐れる姿が映るわけがない。
 果たして、味方の姿を移したインプたちであった。

「A班が心配だな。行こうか」

 天十里が頷き、ともに駆け出した。

●脱出へ
 一方、A班はマッピングを続ける因沼銀次郎を見つけ出した。

「右手法なら、どんなダンジョンでも脱出できるはずなのに……」

 戸惑う因沼は、そのように釈明する。

「迷宮の形が変化してるかもしれないんだぞ」

 因沼のマップとエコーロケーションによって、卵丸はその可能性に気づいた。
 鏡の中の迷宮ゆえに、外の世界の常識は通用しないようだ。

「安心しろ、出口だったら目印がある」
「……目印?」
「正確には、耳印だか」

 ラダが言うと、キュイー、キュイーと可愛らしい鳴き声が聞こえていた。

「入ってきた場所に、カピブタめざましを置いてきた。音のする方に向かえば外に出られる」
「さすがラダさんなのですよ!」

 メイもその機転に感心する。
 仲間たちも、カピブタめざましの鳴き声を目指すはず、これで合流して脱出できるはずだ。

「キキキキキィィィィ!!」
「インプたちです!?」

 すぐに迷宮内の夜妖たちが襲いかかってきた。
 ラダが大口径のアンティークライフルを構え、メイと卵丸が前衛の配置につく。
 駆けながら放った卵丸の斬神空波を切り裂き、続いてメイの ブルーコメット・TSがインプを貫いた。
 インプたちは、もう敵ではなかった。
 あっという間に片付けると、他の3人を見つけた仲間たちもカピブタめざましの鳴き声に集まっている。

「全員いるな? なら長居は無用だ、脱出するぞ」

 R.R.の言葉に全員が頷き、鏡の世界から外の世界に帰っていく。
 この姿見の鏡は彼らによって回収され、希望ケ浜学園の管理品となったという――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

酒匂 迅子(p3p008888)[重傷]
ゴーストオブお正月島

あとがき

鏡の中世界から、無事に4人を救出しました。
依頼成功、おめでとうございます。
探索に有効なアイテムやプレイグング、ギフトがありましたので採用させていただきました。
迷宮に通じる鏡は回収されたので、何かの機会にまた関連した依頼を出すかと思います。
そのときは、またよろしくお願いします。それではまたの機会に!

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