PandoraPartyProject

シナリオ詳細

小オアシスの町おこし

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●輝く太陽! オアシスの恵み! 波を描く砂丘! あとなんか踊り子とかライブとかそういうの!!!!
 照りつく太陽が砂を熱している。
 からりと乾燥した空気は夏のある国とは異なる暑さを齎している。
「うーーーーん! 違う! 違うんだよなぁ……!」
 いかにも監督といった風情の男が悩まし気に唸った後、パンって台本を丸めた奴を太ももに叩きつけて叫ぶ。
「どうにもこう、光がない! なんていうのかねーこうさぁ……」
 要領を得ない監督の言葉に指摘を受ける踊り子たちの顔も『ちっ、ちゃんといえや』みたいな渋い顔をする。
「いや、君らが悪いんじゃないんだよね!
 こう、こうさぁ……踊りのキレも太陽に煌く汗も良い感じなんだけどさ……ダメなんだよねぇ……」
 ろくろをくるくるしながらむむってな感じで続けた監督は、そのまま溜息を吐いた。
「このステージはさぁ、このオアシスを盛り上げてこってプロジェクトなわけ。
 普通にキレがあって普通に流麗なダンスじゃ意味がないの」
 ぼりぼりと頭を掻いた監督は、そのまま顔を覆って洗うような仕草をして、パンッと顔を叩いた。
「もういいや! 今回は止め止め! 君達ももう帰っていいよ。ギャラは今までの分は支払うから」
 そう言って監督は踵を返した。
 その背中はどこか悲しそうですらあった。


 ラサ傭兵商会連合――通称『傭兵』は混沌大陸が西部の砂漠地帯を国土とする国である。
 東に国境を構えるゼシュテル鉄帝国とは別の意味で過酷な環境に国土の過半を置くこの国でも、人々は力強く生きてきた。
「うーん……しかし、どうしようかなぁ……やっぱりどうにも駄目だ……」
 ラサの都ネフェルストから数日ほど歩いた先にある小さなオアシスーーカルチェーナ。
 美しい砂丘に囲まれた湖を中心に広がるこの小さな町の町おこし。
 それが今回、彼が監督として起用された企画である。
 そこそこデカい金を動かして執り行われたこの企画は、今、あるピンチに陥っていた。
「駄目だなぁ……ぱっとしない。踊り子たちのダンスを交えたミュージカル程度じゃだめだよなぁ……」
 ぐぬぬとうなった男は、ふと、ある噂を思い出す。
 それは、隣国レガド・イルシオンに本部を置き、少し前にはラサにおいて起きたあの事件を解決に導いた何でも屋――ギルド・ローレット。
 彼らはその主目的以外にも本当に何でもやるのだという。
「よし! 英雄とかって言われるらしいし、彼らに頼んでみればプロモーションとしては二重の意味で美味しそうだ。
 こりゃあ、ローレットに頼むしかない!」


 ――とまぁ、こんな具合で私達ローレットにお仕事が着ました。
 そう、アナイス(p3n000154)が君達に微笑みかける。
「このまま依頼を受けてもいいのですが。実は今回、依頼人の監督にクビを言い渡された人々が怒ってしまいまして。
 どこぞの強盗崩れの傭兵にこの案件をめちゃくちゃにしてこいと依頼したみたいなのです。ついでにこちらも懲らしめてください」
 そこまでは頼まれなかったのだろう?――そんな感じの顔をしたイレギュラーズに、アナイスは首を振る。
「先ほど、強盗崩れと申し上げた通り、こちらの傭兵にはこちらの傭兵で討伐依頼が出てました。
 何かしらの内に、いつの間にか放っておかれてしまった案件のようです。
 せっかくならば一気に片付けてしまいましょう」
 さらりと、ちょっぴりせこいことを言ってのけた柔和な笑みを浮かべる彼女に圧されるように、君達は現場に向かうのだった。

GMコメント

さて、こんばんは、春野紅葉です。

「もうそろそろコメディがしたい……」などと申しており……
プロモーションムービー作ってついでに悪徳傭兵ぶちのめそうぜ!!です。

ではさっそく詳細をば。

なおこちらは相談期間が『6日』になっています。ご注意を。

関係者さんはプロモーションムービーの観客、町の住人と言った感じで登場するかもしれませんが、採用可能性は低いです。

●オーダー
プロモーションムービーの制作および傭兵の討伐

●ロケーション
 ネフェルストからやや離れたところにある小さなオアシスの町。
 風光明媚な砂丘、美しい青々とした湖、湖の水を受けて生える木々、
 オレンジっぽいようでいて青の混じった独特の色を放つ美しい街灯が灯るレンガ製の町並みをしています。
 湖の近くで水の掛け合いっこみたいなことをするのもよし、踊ってみたりするもよし、船を浮かべて湖を進むもよし。
 湖で釣れる海産物と木の実を使った郷土料理を楽しむもよし。美しい街並みをお散歩するもよし。何をしても構いません。
 ちょぴりセクシーでも、格好良くても、美味しそうでも。
 町を壊すこと、マイナスプロモーションでさえなければ何をしても構いません。
 ようは町おこしのプロモーションにいい感じに寄与出来れば成功です。

●傭兵退治。
5人組の傭兵です。
全員前衛のアタッカー、剣士タイプです。
実力は全体的に大したことありません。
今の皆様であれば、ちゃんと連携が取れてさえいれば負けることはないです。

戦場は町中、監督の泊っている寄宿の近くにある広場になります。
見通しは抜群で、戦闘に一切の支障はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 小オアシスの町おこし完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年08月31日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ジョゼ・マルドゥ(p3p000624)
ノベルギャザラー
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る菫、友に抱かれ
アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ

リプレイ

●先にプロモーションシーン書いたらかつかつになったので行殺しようと思う
 熱砂に包まれた小さなオアシス。
 そこを中心とした小さな町に訪れたイレギュラーズは、監督の泊っているという宿のロビーにてとある人物を待っていた。
「ギルド・ローレットってのはホント、何でもやるんだなぁ。
 強盗退治にプロモ作りだってよ、聞いてるだけで面白ェってな」
 現れたのは灰とも城ともいえる微妙な毛並みの獣種。『ノベルギャザラー』ジョゼ・マルドゥ(p3p000624)のダチコーであるジュノー・マカノフである。
「ほら、強盗崩れの5人組の詳細だ……柄久多屋にも依頼が来ててさ。
 そっちがぶっ倒してくれるってんなら好都合さ、任せたぜ、ダチコー」
 そんな言葉と一緒に5人組の情報をもたらした彼はそのままふらりと町中に消えていった。

 それからすぐの事、イレギュラーズは宿を出てすぐにある広場へと姿を見せ――直ぐにそいつらを見つけた。
「撮影の人足に雇うにはこれまでの行いが悪すぎたな。残念だよ」
 やれやれと言った感じで銃を構える『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)はやや後ろに下がる。
 その様子を見た傭兵たちの方も、剣を抜いた。
 恐らくは狙いが自分達だと気づいたのだろう。
「さくっと片付けてやりましょう」
 シルクハットの下、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は薄く微笑みを浮かべると、ステッキをくるりと回す。
「監督に手出しは、させません……」
 幻に続けるように頷いて『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)はタクトを構える。
「プロモ撮って傭兵退治して……やること多いね!」
 そう言いつつ、視線を背中の宿の3階辺りへ。きらりと光るそれはカメラの反射。
「イレギュラーズの戦いをキッチリ撮っといてよね!」
 天使の懐剣を握り締め、『幻耀双撃』ティスル ティル(p3p006151)は前へ。
 剣士たちが剣を抜いて雄叫びを上げる。
「不幸を愉しむどころではありませんよ、全く」
 これからの慣れない撮影を思いながら『影を歩くもの』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)は呟いた。
「少々八つ当たり気味になります。覚悟なさい」
 そう言いながら舞い踊るヴァイオレットの影が蠢きたつ。
「みなさん、私が支えますから!」
 信託者の杖を掲げた『働き兎』アイシャ(p3p008698)は魔力と共に勇壮なるマーチを奏で、仲間を鼓舞する。
「ぬぬぬ! 吾輩たちのプロモーションを邪魔しようとはふてぇやつですぞ!
 みなさん! やーっておしまい! ですな!」
 なんてことを言いながら『おかえりなさいませご主人様』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)はメイジオーブを剣士たちに向けた。
 けしかけられた疑似生命たちが剣士たちを責め立てる。
 それに続くように、イレギュラーズ達による連続砲火が5人の傭兵へと注ぎ込まれていく。
 前衛のみで形成された5人の傭兵は、射程外から降り注ぐ銃弾や魔術を前に手も足も出ず蹴散らされたのだった。

●水辺のきゃっきゃっうふふ!!!!プロモの定番だよね!!
「街の魅力を伝えるとならば、三つの面から伝えるべし!
 それすなわちレジャー! グルメ! 観光!
 この三本柱を抑えてこそのプロモーションでありますぞ監督殿!」
 なんて来て早々に監督へ進言したジョーイの提案が採用され、あれよあれよという間に旅コミカルチェーナプランが開始した。
「カルチェーナはとても綺麗な街ですね。
 たくさんの人にこの街の魅力を知って頂きたいです」
 白いうさ耳をぴくぴくと揺らしてアイシャは頷く。
 今回のムービーにおいてはジョーイと一緒にレジャーのプロモーションをする予定であった。

 時間はお昼時――陽光煌く湖のほとり、ほんのりと砂浜のようになった場所から歩いて湖の近くまできた二人。
 アイシャは水着姿である。当初は恥ずかしさを隠せなかったが、湖に入って濡れる可能性を踏まえれば着ておいた方がいいという判断だ。
 露出度の少なめなワンピースタイプ、うっすらと青い色使いで落ち着いている。
 見ようによっては普段着にも見えなくないデザインもあって今は落ち着いている。
「わぁ……とっても綺麗な湖!」
 陽光を反射させ、風に乗って微かな波を立てる湖は、近くで見れば下が見えるような透明感がある。
「オアシスのレジャー! それすなわち、水辺での戯れ!
 そういうわけでー、アイシャ殿ー、一緒にあそびましょうぞー♪」
 (*´ω`*)って顔がバイザーに浮かぶジョーイに、アイシャは湖に足がつかる程度のところでくるりと回って笑みを浮かべ――。
「砂丘を歩いて来ましたし水遊びしたくなりますね。こんな風に……えいっ♪」
「わぷっ」
(>_<)って目を閉じたような顔?をするジョーイはふるふると顔を振る。
「ふふっ、びっくりしましたか?
 でも涼しくなったでしょう?」
「今度はこちらの番ですぞー!」
 そんな少女にジョーイの方も軽く水を掬って投げる。
「きゃっ…! お返しされちゃいましたね。
 でも冷たくて気持ちいいです♪」
 そのままジョーイの手を取ったアイシャは湖のもう少し奥へ入っていく。
「ほら、見てください。綺麗なお魚も泳いでますよ」
 慣れたもんだとばかりに足元を遊泳する小魚たちが足に触れてくすぐったい。

●当依頼は皆様の挿絵ピン化をすごく楽しみにしております
 ティスルは天高くまで舞い上がっていた。
 歩くだけでも美しく感じられた小さな町を、空から撮影したその写真はプロモーションムービーのオープニングとして扱われることになる。
 昼はもちろん、この景色はきっと、夜景は夜景でまた別の美しさを見せるだろう。
「さて、それじゃあ、行きますか!」
 その状態から緩やかに降りたティスルは低空を飛行しながら煉瓦製の町並みを疾走する。
 くるり、くるりと曲芸のように舞い踊るティスルの動きは珍しいという他ない。

 ――さて、陽の明かりが落ち、やがて月の明かりが昇ろうとしていた。
 ジョゼは湖を生息地とするらしい小魚をモチーフにしたアクセサリーの類を見ていた。
 湖の色を現すように綺麗な透き通ったガラスでできたペンダントが繋がるネックレス。
 湖そのものを示したような綺麗な宝石の着いた指輪。
 他には木の実を加工して作った保存食のようなものまである。
「おっ、ここか?」
 だが、一番の目玉は――歩き続けたある建物――そこは監督に事前に聞いておいた土産物屋だ。
 ちりんちりんと音を立てる扉をくぐれば、そこは色とりどりの輝きに満ちていた。
 町中にある独特な光を放つ街灯。
 それをコンパクトにして、家具やインテリアのようなものとして扱えるサイズにしたもの。
 光る機能こそないが、可愛らしい形をした街灯をそのまま小さくしただけの雑貨。
「へい、らっしゃい」
 職人気質を見せる旦那が顔を出す。
 ここは町中に輝く街灯を作る職人たちの総本山。
 顔を見せた男こそ、この街灯を広めた張本人だった。
 ジョゼは街灯のことを聞きながら、さらりと土産物の事を紹介していく。
(深緑との交易があるとは言え、オアシス以外は砂ばかりだからなぁ。
 町おこししたいというのは分かる。でもだからって丸投げするか? 私ら素人だが?)
 ラダは、思わずため息をついていた。
 明かりのない昼間でもその独特な形状の街灯は、町の様子を彩っていたが、やはり明かりがあればその幻想的な風景はより一層の味があるというもの。
 美しい街灯に彩られた街並みを練り歩いた後、そのまま湖畔へと足を進める。
 簡易の船を出して、カメラを構える監督と一緒に湖上へと進んだラダは、やがて船を止める。
 水面に映るは満天の星々と、美しく輝く白い月。
 砂丘を超えて湖上にかかる月の輝きは妖しくも美しい。
「よし、もうそろそろ良さそうだな」
 ラダは銃の引き金を引いて合図を出す。
 そして――ヒュゥゥと独特な音色が耳につく。
 やがて岸の方から打ち上げられた花火が、湖上に映り二つの景色となって夜景に彩りを添えた。
 ティスルは打ち上げられる花火の様子を映像に取りながら、ドリームシアターでもう一人の自分を生みだすと、空へと舞いあがる。
 ぐるぐると花火の周りを飛びまわれば、まるで妖精のような雰囲気さえある。
(悪徳傭兵団を捕縛し、悪人の不幸を楽しむつもりでしたのに……
 まさかワタクシのような日陰者がプロモーションムービーなどというものに参加させられる事となるとは……)
 そんなことを考えていたヴァイオレットも、仕事ということもあって夜景の中にとけるようにいた。
 カメラマンが色彩豊かな街灯の町並みを撮る中で街灯揺らめく街の影からするりと現れ、跳ねるように舞い踊る。
 蠱惑的でさえある褐色の美貌で舞い踊れば、誘惑されるようにそのカメラの視線は誘導されていく。
 舞の終盤、手をさらりと動かして視線を切らせ、自然とカメラが町の中を移せば、既にヴァイオレットの姿はそこにはない。
 ギフトの効果により影を操れば、町そのものをステージとするがごとく艶舞が続く。
 ふらりと姿を現した別の場所へとカメラが動く。
 計算された舞踊によってカメラは街全体へとその視線を動かしていく。
 そして舞の最終盤――湖上を魅せるように動いた踊りのその後ろで、鮮やかな花火が打ち上げられた。
 美しい花火をバックに逆光に照らされる姿が鮮やかに夜を彩っていた。

●地元の郷土料理とかB級料理みたいなのって絶妙なバランスの味が多い気がする
 幻はここまでのプロモーションムービーにおいては裏方のような立ち位置で己のギフトを用いて小道具の作成などを手伝っていた。
 そして、ついにそんな彼女の番がきた。
 もちろん、お化粧は忘れていない。元々の素材が良いこともあって、色白の美肌にうっすらと載せるだけで充分な美しさを魅せる。
 ここは町の中で一つだけひょっこりと飛びぬけた階層を持つ建築物。
 複数の料理店が密集していくつか入っているその建物の最上階――町の多くを見渡せるここは、この町の郷土料理を出してくれるお店である。
 ジョゼやラダが地元のダチコーから聞き仕入れた知識と、ラダのコネクションを駆使してお店を貸し切りにしてもらったのだ。
 ジョゼはそんな店内において、先んじて店内にいた。
「ありがとよ、ダチコー」
「こっちこそ、助かったぜ」
 カウンター席、隣に座るジュノーがカランと音を立てたグラスに入ったカクテルをグイッと煽る。
 ラダはティスルと一緒の席にいる。
「うーん、分からない……どうする使うんだこれ」
「ラダさん、それ写真撮る方よ! 持つならこっち」
「あっ、そうなの――か?」
 言い切るよりも前にパシャっといい音が鳴った。
 どうやら何かの拍子にシャッター部分を押してしまったようだ。
 アイシャは水着から着替えてアイスコーヒーに口をつける。
 独特の苦みと風味が口の中に広がっていく。
 ジョーイは監督と話をしていた。
「監督殿、戦闘の様子もばっちし撮影してたみたいでありますな!」
 ジョーイはカメラにおさめられた映像を見ながらo(*^▽^*)oて感じの顔文字を表示させる。
 この際ローレットと定期提携をして広場でバトルショーみたいなのも開いてみてはいかがかと思いますぞ!」
 続けたジョーイの言葉に監督が目を輝かせる。
「慣れない撮影のせいで疲れてしまいました。全く……これもアナタ達のせいですよ」
 縛り上げられた傭兵たちを見下ろしてヴァイオレットは溜息と共にグラスを煽る。
 ワインのような色合いこそしているが、ただのグレープジュースだ。
 明るさを絞ったオレンジ色のランタン風の照明に照らされる中で飲む姿の色っぽさといったらない。
 メイメイと向かい合うようにして座って、この店の名物であるらしいメニューを頼む。
 まず、二人は料理人の許可を得て厨房に訪れ、質問に答えるためにいる一人の料理人から、あれは何をしているのか、どういうのを作っているのかといった質問を聞いて答えてもらっていく。
 続々と料理が完成していく頃、二人は席に戻って少しの間待っていた。
 やがて料理長と一緒に現れ、テーブルに定食が並べられていく。
 新鮮な魚を利用した淡水魚を揚げ焼きやナッツの炒め物、その他にも薬味を主体とした郷土料理の数品。
 幻の方はヤシの実でカクテルを、メイメイの方はココナッツミルクを頂いている。
 料理の数々が並べられた机の上でも見栄えの良さを工夫してみる。
 「この土地では、美味しいものを食べる時に行うポーズはないのでしょうか?」
 幻の言葉に料理長は少し首を傾げたあと、特には思いつかないと述べる。
 とりあえず、頂きますと礼をした後、二人はそれぞれ、料理を口に運ぶ。
 幻が最初に口にしたのは、挽肉と何かを煮込んだ料理。
 触感はちょうど、挽肉の他には茄子のようだが、酸味も加わっているようだ。
「これは……美味しゅうございますね」
「はい、美味しい、です……んんっ、スパイスが効いていて、後を引きます、ね」
 魚の揚げ焼きを口にして、目を輝かせて頷いたメイメイに、後からピリリとしたスパイスが舌を刺す。
 大人びたしっとりとした食事を進める幻と、天真爛漫に目を輝かせながら食事を進めるメイメイ。
 楽しみ方こそ違うものの、美味しそうに目を輝かせて楽しんでいた。
「町の良さ、は、人のあたたかさ、でもある、と、私は想い、ます。
 こんなに、美味しい料理があるなら、きっと」
 メイメイは顔を綻ばせながら笑う。
 たとえ消える物だとしても、砂を店の中に出すのはさすがにNGだったので、代わりに作り出した絵の具のような何かでテロップ風の物が表示されていく。
 イレギュラーズや、元々監督が雇っていた者達が全員集合した晩餐を最後に、プロモーションムービーが締めに向かっていく。

 後日、イレギュラーズの下に完成品としてPVのサンプルが届いたという。
 その完成品はやがてラサでも色々な媒体で起用され、無事にプロモーションとして活用されたとか。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでしたイレギュラーズ!
町おこしという名の実質イベントシナリオでした!

PAGETOPPAGEBOTTOM