PandoraPartyProject

シナリオ詳細

明るい笑顔のその裏で

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝という国の名前を聞けば、まず屈強な男たちを思い浮かべるだろう。力がモノをいうかの国では大闘技場ラド・バウで幾人もの闘士たちが己の力を高めるために拳や武器を振るっている。
 一方で、弱き者と虐げられる女子供、老人たちも鉄帝では見受けられる。首都に存在するスラム街『モリブデン』を舞台に巨大移動要塞『歯車大聖堂(ギアバジリカ)』を止めたことはイレギュラーズの中でまだ記憶に新しいだろう。
 こうして強き者が日の目を見て、弱き者が日陰へ追いやられる。それはギアバジリカの一件で少しずつ変化しているのかもしれないが──誰しもが寒さに身を縮め、飢えに苦しむ必要がない時を得る日まではまだかかりそうだ。
 そんな日々の中、ラド・バウは変わらず強者同士の血と汗が飛び交う小さき戦場であった。周囲で観客が湧き、中央では闘士たちが思う存分戦い抜く。しかしそんな戦いも終われば、会場はまた違った雰囲気に包まれるのだ。
 中心に立った『アイドル闘士』パルス・パッション(p3n000070)はマイクを口元に、ぐるりと回りを見渡す。先ほどまでの戦いを見て高揚した観客たちは、既に心得たと光るそれを持っていた。
「ここからはボクのステージだよ! 最初は皆一緒に!」

 \\ぱっるすちゃーん!//

 観客が一斉にコールして、合わせて手に持ったライト──練達が開発したらしい──を振る。パルスはそんな観客たちに大きく手を振って応えると、マイクを手にしっかりと握って。
「今日は応援ありがとう! 最後まで楽しんでねー!」
 先ほどとはまた違った熱気が会場を包む。同時に曲のイントロが鳴り始め、パルスの眩しい笑顔と共に歌声が響いた。

 そんな会場の外で、8名のイレギュラーズは待っていた。来るならばそろそろだろう。鉄帝人たるもの、正面堂々来ないわけはない。
 パルスへあのような脅迫状を送り付けてきたくらいなのだから──。



 時は遡る。ローレットには真剣な表情をしたパルスが訪れていた。
「パルスさん、どうされたのです?」
 いつも元気溌剌な彼女が浮かべる表情に『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が心配そうな視線を向ける。パルスははっとしていつものような笑顔を見せたが、やはりそれはすぐ引っ込んでしまった。
「皆にお願いしたいことがあるんだ」
「依頼ですね? お話を聞くのです!」
 いそいそ羊皮紙とペンを用意したユリーカ。彼女へパルスが見せたのは匿名から寄せられた手紙──脅迫状の類である。
「ボクのことが気に入らない人からみたい。ラド・バウで戦うならボク自身が相手になってあげるんだけど、向こうはライブ中を狙おうとしてるんだ」
 文面は刺々しい口調で『次の試合後に予定しているライブを中止しなければめちゃくちゃにしてやる』というような内容が書かれている。
 もちろん、倒せないから代わりに倒してくれということではない。鉄帝人は強い者が多く、ただの住民であってもそんじょそこらのモンスターくらいは倒せてしまう。ラド・バウに出る闘士であればそれ以上だ。それでもローレットへ依頼する理由は『襲撃がライブ中だから』。
「これまでも乱入してくる人はいたし、そのたびにボクや皆が撃退していたけれど……本来ならライブを楽しみたいじゃない? ボクだって気持ちよく歌いたいし!」
 つまり、TPOを弁えない輩に時間を割きたくないと言うわけである。
 脅迫状にはご丁寧にも『正面堂々ぶち壊してやるから覚悟しろ』と書かれている。裏口だとかを使う気はないとも見て取れた。
「それでは、イレギュラーズの皆さんには闘技場の正面入口で待ってもらうようお願いするのです」
「うん、よろしく! 終わったらライブも見に来てって伝えてよ」
 ユリーカの言葉にパルスはようやく笑顔を見せ、人数分の入場券を彼女へと差し出した。

GMコメント

●成功条件
 鉄帝闘士たちの撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明点もあります。

●エネミー
・『俊敏なる猫』ニャルム
 獣種の女性。C級ファイター。小柄な格闘士です。歌って踊れる闘士パルスに嫉妬しています。その割には正々堂々、ちゃんと正面から入るつもりのようです。
 二つ名の通り俊敏な動きが強みです。攻撃力はそこそこですが、手数でもカバーします。

影に紛れる猫:不意打ちの一撃。【防無】【必殺】
格闘術:より圧をかけた格闘戦術です。【体勢不利】

・D級ファイターたち×4
 ニャルムの取り巻き。男2女2。パルスよりニャルムの方が強いのだと信じて疑いません。バカなので力ずくで示してやる必要があるでしょう。
 彼女のようになりたいと俊敏さを磨いていますが、それよりは体力・耐久力の方が優れています。回避はそこそこです。

気合:気合は力なのです。【攻撃力UP】
深呼吸:体勢を整えます。【HP中回復】

●フィールド
 真昼間の大闘技場前。広くスペースが空いており、周囲には人もいますが戦いを始めれば野次馬となって観戦するでしょう。

●ご挨拶
 愁と申します。
 パルスちゃんのライブを恙なく続けるためにも、ここは勝っていきましょう!
 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 明るい笑顔のその裏で完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年08月28日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
風の囁き
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
蔓崎 紅葉(p3p001349)
目指せ!正義の味方
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海武闘
シュヴァイツァー(p3p008543)
宗教風の恋
アルテラ・サン(p3p008555)

リプレイ


 明瞭には聞こえないながらも、中で行われているライブの盛り上がりは外まで伝わってくる。それを聞きに入場券のない者が集まっている様子も見られた。流石に正面玄関は出入り口のため、塞ぐような行為はなかった──させなかったのかもしれない──が。
 そこに8人のイレギュラーズが立ちはだかる。あれは何だと見る者もいれば、目的は不明ながらもその正体に気付く者もいる。ともあれ、出入り口にいる屈強なガードマンたちが止めないのだからと誰も声をかけずにいた。
「裏口からは誰も来なさそうね〜」
 ファミリアーと感覚共有している『魔法仕掛けの旅行者』レスト・リゾート(p3p003959)は静かな裏口に襲撃の気配は低いと見る。現れるまで油断はできないが、手紙の差出人は正面から正々堂々と、と書いていたのだ。それを信じたい気持ちもあった。
「お手紙を書いた子は、人を羨んじゃう気持ちを抑え切れなかった子……なのかしら~?」
「アイドル闘士への嫉妬、ねぇ」
 肩を竦める『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)。嫉妬するのは勝手だが、狙うタイミングは考えて欲しい。ライブをぶち壊されて困るのはパルスだけでなく、観客もなのだから。
「TPOを考えられれば一人前のレディなんだけどな」
 『宗教風の恋』シュヴァイツァー(p3p008543)は彼女の言葉に頷く。タイミングさえ考えてくれるのならば、真正面から来るという精神は賞賛されても良いのだ。世の中には卑怯な手を使ってでも相手を蹴落とし、自らがのし上がろうと考える輩など沢山いるのだから。
「まあ、正直さ。乗り込んでくるのっていい機会だと思うんだよな」
 近くで感じることでわかる何かもあるはずだ、と『レディの味方』サンディ・カルタ(p3p000438)は戦い方を考えていた。もちろん作戦としては仲間と共有しているが、その心持ち次第で相手の受け取り方も異なるだろう。純粋な負の感情であればどうしようもないが、『憧れ』という感情の裏返しであるのなら少しでも良い影響を与えたい。
「しかし相手の顔を潰す行為は、許し難いものだ」
「だね。まずは曇った目をしっかり覚まさせてあげないと」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)の言葉に頷いたルーキスが視線を巡らせる。そろそろお出ましのようだ。
「ちょっと、邪魔なんだけど」
 猫のブルーブラッドが刺すような視線を向け、その後ろに控える4人組もまた圧をかけてくる。しかしこの程度で揺らぐイレギュラーズではない。
「おやおや、せっかくの人々の愉しみを己の欲で奪おうとでも?」
 感心しませんねぇ、と告げるアルテラ・サン(p3p008555)にサンディは続けて送り主であることを相手へと確認する。手紙の存在を知るイレギュラーズたちにC級闘士として知られるニャルムは忌々しそうに彼らを、いやその先のライブ会場を睨みつけた。
「へぇ。自分じゃなくたって勝てるだろうって? いいわ、ねじ伏せてあげる!」
 拳を握るニャルムにジョージもまた構える。瞬発力は僅差であるが、ニャルムの方が上か。突き出される攻撃をジョージが受け止め、相手の守りを崩さんとする一撃を放つ。
 色めき立つ取り巻きは、しかし鋭く足元に刺さったカードにたたらを踏む。その眼前ではサンディがにやりと笑い、声高々に言い放った。
「ここを通りたきゃ、C級闘士・大怪盗サンディ様が相手だぜ!」
 C級といえば敬愛するニャルムと同じ。どよめく彼らは『放っておくわけにはいかない』とサンディへ武器を向ける。こちらの想定通りだ。
「さて、と。まずは小手調べといきましょう」
 黒銃から放たれる魔弾は的確に撃ち抜く──はずであったが、ニャルムは華麗にかわしてジョージへ連撃を叩き込んでいる。ただの周りが見えない女というわけではなさそうだ。直後レストの向けた衝撃波も躱し、ニャルムは小さく眉を寄せる。
「何、その程度?」
「所詮は牽制さ」
 狙いは別──とまで口にする必要はないだろう。口を噤んだルーキスはアルテラの放つ眩い光に目を細める。別に攻撃というわけではなく──むしろ攻撃は今しがた躱された光の一矢なのだが──アルテラのポージングで呼び起こされる光はただただ眩しい。しかしそういうギフトだし本人はノリノリなのだった。
 ひとつひとつの攻撃は当たらず、まるで無意味のように思えるかもしれない。けれどもそれは1人で戦っている時だ。仲間たちと執拗に、息をつく暇無く畳み掛ければ確実に余裕は削がれていく。
「正面からやってやるよ、ちくしょうめん。ってか」
「ふざけないでよ……、っ!?」
 シュヴァイツァーの振り回す武器が鬼ら火を生み、ニャルムの肌を焼く。普段ならこのような攻撃、カスリもしないのだろう。彼女の目が見張られた。シュヴァイツァーのそれは数度と燃え上がり、直後ニャルムの頭上に影がさす。
「鉄帝流です、喜んで相手してくれますよね?」
 『目指せ!正義の味方』蔓崎 紅葉(p3p001349)が鋭角からニャルムへ向かって落ちてくる。蒼き彗星を思わせるそれは直撃こそしなかったものの、掠るだけで危険を思わせる威力で。そこへ飛来した魔力の塊にキッと視線を向けたニャルムは、一瞬ぽかんとして思わず声を上げた。
「な、な、何してるの!?」
「……え、私ですか?」
 言葉の矛先が自分だと遅れて気づいた『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)は目を瞬かせる。その腕はなにかを持って忙しく降ったり揺らしたりしているのだが、持ち物の正体に気づいた者は敵味方関係なく「え?」って顔をした。
 そう。樹里がまるでペンライトのように降っていたのは──ぱんつである。誰のであるかまではまだ判別できないが、ガン見していればそのうち気づくだろう。(恐らく)闇市産パルスのぱんつである。
 だが、そちらばかり気をとられるわけにもいかない。
「ほら、もう1回いきますよ!」
 紅葉のブルーコメットが複数回飛来する。少なからず傷を負ったニャルムは紅葉を早急に倒さんと拳を振り抜いた。
 正面入り口で繰り広げられる戦いに周囲へギャラリーができる中、ほぼ孤軍奮闘であるサンディは4人の攻撃を受け流しつつカウンターを仕掛けていた。体力耐久には自信がある。あちらの攻撃は男女関わらず重いが、サンディとて易々と倒れる気はない。そして仲間へ近づける気も更々ない。
「お前たちはD級、俺は最下層とはいえ腐ってもC級だ!! 負けてられっか!!!」
「ニャルムさんよりパルスを推すようなやつに、こっちこそ負けてられるか!!」
「そうだ!」
「ニャルムちゃんはいいぞー!」
 サンディの言葉に負けじと言い返す取り巻きたち。しかしサンディは「ハッ」と笑った。
「パルス……ちゃんはB級だぜ? これ位超えられなくてどうすんだよ!」
 危うく呼び捨てしそうになり、観衆の目を思い出して慌ててちゃんづけするサンディ。不自然なそれに観衆も取り巻きたちも気にする様子はなく、むしろ周りからはパルスはいいぞ、いいやアンタらも負けてないぞなどと自由な言葉が叫ばれる。
(ああそうだ、こんなところで負けてたまるかってな!!)
 サンディはパンドラを燃やし、強烈に自らの数を回復させる。アルテラとレストのヒールが上乗せされ、サンディはしかと大地に足をつけた。
「まだまだ俺はいけるぜ! 倒せるならやってみろ!」
 ただひたすら耐え続けるという耐久勝負。ギャラリーが増えていくと周囲の圧迫感も増し、同時に流れ弾が被弾する可能性もあるわけで。
「あんまり近づくと危ないわ、もう少し離れてみててね~?」
 レストは仲間の手当てをしながら周囲にも控えめに声をかける。語気が強くないのは彼女自身の性質もあるだろうが、その中に含まれるニャルムを応援する声も届いているから。
「あ、ニャルムちゃんだ!」
「パフォーマンスか何か?」
「いい勝負じゃん」
「頑張れー!」
 口々に発される言葉に、ジョージは拳を受け止めつつ彼女を真っ向から見返す。
「わざわざ、卑怯な手で見せ場を潰すより、正々堂々、挑んだらどうだ」
 彼女とて、この状況で自分に全く人気がないとは思っていまい。シュヴァイツァーもまた武器を振り回して横合いから襲いかかりつつ口を開く。
「パルスちゃんに勝ちたいならみっともない真似はできないよな?」
「当然!」
 応えたニャルムは足を振り、シュヴァイツァーのガスマスクめがけて蹴り上げた。当たった──その感触を感じたニャルムがつぎにみたのは、運命力の煌めき。ガスマスクをずらした様子もなくシュヴァイツァーはそこに立っている。
「ああ、なんとも素晴らしく美しい技を放つのか……!」
 そんな言葉とともにアルテラは輝き、仲間の士気を上げる。すかさず雷撃を生み出したルーキスはそれをニャルムへ──そしてサンディの足止めする取り巻きたちへと向けて撃ち放った。
「うーん、あっちは流石お国柄って感じ」
 サンディと取り巻きたちの様子をちらりと見つつも、その視線はすぐさまニャルムへ。あちらも程よく数を減らしたいところだが、何より大事なのはニャルムという頭をへし折ることだ。
「──立ちはだかる全てを貫き喰い破れ」
 最初はばんつを振り回す奇行を見せていた樹里も、オーダークリアには力を惜しまない。そろそろ力も切れてしまいそうだが、ニャルムとてだいぶボロが出てきている。
 しかし、ここで戦況が動く。取り巻きたちがこちらへ向かって駆け出したのだ。
「はいちょっと大人しくしててね」
 すかさずルーキスの雷撃が飛ぶが、その程度では立ち止まらない。ジョージはすかさず彼らの前方へ立ちはだかり、威圧を放った。
「俺の威圧──受けきれるか!」
 取り巻きのうち1人がその威圧に圧倒され、されども倒さねばならないと襲いかかる。アルテラはポーズを決めて輝きながらジョージを鼓舞し、彼を信じて仲間たちはニャルムへ攻撃の矛先を向ける。
 戦いが終わりを告げたのは、観客がひときわ大きく歓声を上げた瞬間だった。
「おい、見ろ!」
「そんな……ニャルムさんが……」
 取り巻きたちが信じられないという目で膝をついたニャルムを見つめ、シュヴァイツァーは静かに口を開く。
「どうする。ニャルムさんが居なければ続ける意味は無いんじゃないのか」
 その言葉に応えはなく。されども、彼らが項垂れ彼女と同じように膝をついたことこそが紛れもない答えだった。



 イレギュラーズへの拍手喝采と共に、膝をついたニャルムたちは唇を噛み締めた。何度も味わったことのある敗北は相変わらず苦い。そんなニャルムの前へ膝をついた樹里は、彼女の手をそっと握った。
「ニャルムさん」
「……え? は?」
 樹里がニャルムに渡したもの、それは──ぱんつである。訳が分からないと言いたげにそれと樹里の顔を見比べるニャルムへ、樹里は「パルスちゃんのです」と告げる。いやそんなことが聞きたいわけではなくどうしてぱんつなんだとかどうしてそんなものが流出してるんだとか。口をパクパクさせる彼女の態度を思いきり勘違いして樹里は深く頷く。
「えぇ、えぇ。わかっていますよ。嫉妬はしていても、本当は憧れていたんですよね?」
「は!? そ、そんなわけないでしょ! そもそも戦いを他人に押し付けるような奴──」
 目くじらを立てたニャルムの脇からずいっとガスマスクが、ではなくてシュヴァイツァーが割って入る。その圧に思わずニャルムがのけぞり、言葉が途切れた隙にシュヴァイツァーは口を開く。
「今、中はライブで盛り上がってる。恙なく終わらせたいから、俺達に任せたんだ。何も君を侮ったわけじゃないさ」
 外に居ても歓声は小さく聞こえてくる。楽しそうなそれはライブが成功している証拠で、それをぶち壊そうとした自覚があるのかニャルムはぐっと言葉を詰まらせた。座り込んだニャルム、そして目線を合わせるようにしていた2人の近くへひょこりとレストが寄ってくる。
「ねぇねぇ、ニャルムちゃん。良かったら……うちの会社の観光地でお仕事してみない~?」
 レストの──正確には彼女の両親の──会社は観光や旅行に携わっている。中には客を楽しませるようなステージも少なくなく、当然ながら歌い手や踊り子は沢山いるのだ。見習う対象が多ければそれは成長に繋がるだろうし、それまでは強さを生かして警備員の仕事をすればよい。
「やりたい事をやってみないなんて、勿体無いわよ~。それに頑張ったら、将来はパルスちゃんとのライブバトル……なんて」
「やる」
「出来ちゃうかも~? ……あ、あら? 即答なんておばさんびっくりだわ~」
 まあまあうふふと笑うレストだが、目の前のニャルムは真剣な表情である。その後ろでは取り巻きの4人が「行っちゃうんですか!」と嘆いているが、レストが同行するなら雇うと告げると嬉々として申し出た。
「やれやれ……いいのかい? 向こうが歌と踊りが得意だからって同じ分野でやる必要もない。キミはキミが自身を持ってできる事を探した方が良くないか?」
 命とは通常有限だ。どうせ同じ時間を過ごすのなら、より有意義な方が良いだろう。パルスと比べなくとも、ニャルムにはファンがついている。
 けれどもニャルムは首を振った。自分の意思で、歌と踊りと強さを求めるのだと。そこまで言うのであればルーキスとて否定的な言葉をかけるつもりもなく。
「それじゃさっそく、敵の視察にいくぞー」
「えっ!?」
 きょどるニャルムへ入場券を押し付け、その背中をぐいぐい押す。ニャルムは誰か助けてくれないかと視線を巡らせるものの、誰しもが行ってこいと言わんばかりだ。
「貴様も、潰すそうとしたものを真正面から体感してみたらどうだ」
 もう目は醒めていそうだが、とジョージは呟き。アルテラは取り巻きの4人もライブへと誘う。ライブのパルスを見て欲しい。そしてニャルムになくパルスにあるモノを見つけて欲しかった。
「私、相手をライバル視することも自分が凄いと思う事も否定は致しません。ただ、今一度己を見つめ直してみるとよろしい」
 ライバル視するからこそ、とも言う。相手の姿を見ることで、自分を振り返ることは重要だ。それはパルス同様ニャルムにも『素晴らしいと強く信じてくれるファン』がいるからこそ尚更そう思う。
 否定でもなく、されど肯定でもなく。ただ諭す言葉にニャルムは小さく肩を竦めた。
「……わかった、行ってくる」
 そう告げる彼女も心のどこかでは分かっているのだろう。違うものがある。自身になくてパルスにあるものがある、と。
「頑張って。それは、持って行ってください」
 親指を立ててグッドラック、と言わんばかりの樹里。彼女の顔を見たニャルムは──ようやく握らされていたパンツの存在を思い出した。
「い、いらないー!!」
「何でですか! 持って行って下さいよー!!」
 話の中心にあるのがパンツだなどと一体誰が思うだろう。そんな押し問答はニャルムが樹里へ投げ返して中へ逃げ込んだことで幕を閉じたのだった。

成否

成功

MVP

サンディ・カルタ(p3p000438)
風の囁き

状態異常

サンディ・カルタ(p3p000438) [重傷]
風の囁き
蔓崎 紅葉(p3p001349) [重傷]
目指せ!正義の味方

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 いつか、ライブバトルを見られる日が来るかもしれませんね。

 またのご縁をお待ちしております。

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