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シナリオ詳細

降る春の日
降る春の日

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 花束を思わせるその一面の花は色とりどりで。其々に意味があるのだと言っていた人がいる。
 その花畑を少女は気に入っていた。生まれたときから共に在ったそれは家族と呼んでもいいだろう。
 けれど、幼い少女には花畑の世話は無理だ。病に倒れた父を思えば少女はどうすることもできないと泣きながら、一つ思い当たった。
 父の病を治すために必要な『おくすり』の用意をすればいいのだ。
 でも、自分ではできないから――だから、『冒険者(つよいひと)』におねがいしよう。


「ちょっとした冒険をしにいこうぜ? 勿論、クライアントはちゃーんと此処にいるんだ!」
 自信満々に笑顔を浮かべて、『男子高校生』月原・亮 (p3n000006)はそう言った。
 彼の傍らには年の頃にして5に満たないだろう少女が不安げに揃う特異運命座標達を見上げている。
「名前、言える?」
「あ、あ……ジネヴィラ、です」
 まんまるの青の瞳に不安を揺らした少女、ジネヴィラは亮と特異運命座標の顔を見比べた後、ぺこりと頭を下げる。この少女が今回のクライアントなのだと亮は付け足した。
「ジネヴィラは綺麗な花畑の管理人の一人娘なんだけどよ。
 花畑の管理人――ジネヴィラのお父さんが病気で倒れちゃったらしいんだ」
 その治療薬には小高い山の上に朝日が昇る瞬間だけに咲くという花が必要になるのだそうだ。咲いているときに積む事で治療薬に必要な要素がしっかりと移行するらしく、夜のうちに山を登り切らなくてはならない。
 ジネヴィラの足では到底無理だし、何より山には魔物がでるのだ。
「ジネヴィラは此処でお留守番。で、俺達は山に登って治療薬になる花を取ってくるんだ」
 春の暖かな気候の中、山登りだなんてちょっとした冒険だ。
 冒険譚が好きな情報屋の少女ならば頬を緩めて「教えてくださいなのです」とせがむことだろう。
 頑張ろうぜ、と力強く言った亮の傍らで少女はぱちりと小さく瞬き特異運命座標へと言った。
「ぱぱが、治ったら……み、みんなお花畑にあそびにきて、くれますか」

GMコメント

季節は廻れど、夏あかねです。よろしくお願いいたします。
山を登ってお花を確保してきてくださいね。

●情報確度
 Bです。お山は危険がいっぱいです。

●治療薬となる花
 朝日を帯びて花開くという不思議な花です。
 治療薬になると言われていますが山の上にある為に確保が難しいのです。

●花の咲いている山
 幻想の山岳部にある小高い山です。夜更けに上り始めて朝日の頃に山頂に辿り着けます。
 一本道の為に迷いませんが、夜は魔物達がうろうろしているために、襲撃に備える必要があります。
 魔物は獣の姿をしているものが大多数で、夜と春という季節柄少し気が立っているようです。結構いっぱい出てきます。わちゃわちゃしてます。

●ジネヴィラ
 花畑の管理人の一人娘。5歳。
 かわいらしい女の子です。頑張って依頼しに来ました。

●同行NPC
 月原・亮が同行します。指示が無ければ本人なりの最善を。
 指示があれば、無茶でない範囲のみ従わせていただきます。オールラウンダー。がんばります。
 花の確保後、ジネヴィラの花畑に行くことも可能です。その際はプレイングにご記載ください。

 皆さまの冒険をお待ちしております。

  • 降る春の日完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月25日 21時05分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ルアナ・テルフォード(p3p000291)
守護の勇者
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
大いなる者
セアラ・シズ・ラファティ(p3p000390)
flawless Diva
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
オカカ(p3p004593)
兎に角
ニゲラ・グリンメイデ(p3p004700)
特異運命座標
タチカゼ(p3p004756)
科戸の風
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
お節介焼き

リプレイ


 山を登る。
 小高い山だと言えど、春先の気候ではうっすらと汗が滲み出す様な――そんな、朝を待ち望む幻想で山を登る。
 時を刻んだ針を追い掛けて、カンテラをゆらゆらと揺らした『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は続く道をゆっくりと見上げた。つり目がちの瞳がきょろりと見回したのは春先の青々とした緑たち。
「綺麗な山だけれど夜は危ないのだわ」
「うん。森のみんな、力を貸してね……」
 植物たちと意思を交わし、断片的な情報を得ながら野兎たちとも情報を共有する――魔女の術を生かしながら『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)は未だとっぷりと沈んだ暗闇の中を歩み続けていた。
(なるべく戦いたくないなあ……血の匂いとかで魔物がきちゃいそうだもん……)
 ぱちぱちと爆ぜる音をさせた松明を手にした『遠き光』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は深く息をつく。幼さを感じさせる外見をしているが――実年齢は28歳と大人のレディだ――己よりもさらに年若い見た目の少女からの依頼となればルアナも確りとその願いを聞き届けなければど両手に力を込める。
「この山に居るのはどんなモンスターなんだろう……?」
「馬も食べちゃう食いしん坊な魔物かもしれんのう」
 冗談めかして、『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)は幼さを感じさせるかんばせに好奇を乗せる。食いしん坊はデイジーも同じ。強気な彼女はからりと笑い山登りを楽しむ様にカンテラを揺らす。
「何、大丈夫じゃよ。硬くてそれなりに量のあるエサの準備は確りと済んでおる」
「ジネヴィラは魔物についてあまり詳しくなかったみたいだけど、現地に鹿が住んでることを教えてくれたのは助かったね」
 山に生息する動物たちならば魔物の餌になる可能性も高いだろうと『見習い』ニゲラ・グリンメイデ(p3p004700)はカンテラを手にしたままゆっくりと傾斜を上がる。
 は、と肩で息をした『flawless Diva』セアラ・シズ・ラファティ(p3p000390)は確かめる様に足をつき海中とは違う感覚に戸惑う事無く歩み続ける。お花摘みのお仕事というファンシーな冒険は血腥い世相とは離れ、心が躍る。
「朝日を浴びるとお薬になるなんて不思議なお花です」
「ああ、確かに。幻想にそう言った華が咲いているとはな。……それにしても父想いの幼子、か……ふふっ、実に微笑ましいではないか」
 ローレットで懸命に依頼を伝えていたジネヴィラを思い出し『科戸の風』タチカゼ(p3p004756)の口元には人知れず笑みが浮かぶ。
 腰から下げた太刀をしっかりと確かめる様に握り込むタチカゼの『父』という言葉にぱちりと瞬いたニゲラは「父か」と呟く。
「お父さんか、そういえば田舎のみんなは大丈夫かな? 病気になってなければいいんだけれど」
「故郷に帰る理由にもなるのだわ」
 うんうんと頷く華蓮の傍らでぴょこぴょこと跳ねた『兎に角』オカカ(p3p004593)はカンテラを抱きかかえながら「えいえいおー」と声を発する。
「よーし、がんばって山のぼるよー! 亮くんもよろしくねー」
「ああ。一緒に頑張って山を登って花をゲットしようぜ」
 オカカの言葉に『男子高校生』月原・亮 (p3n000006)は大きく頷きオカカが悩む『カンテラの位置』に首傾ぐ。小さなオカカがカンテラを浸けるなら角かと装着を手伝う亮にオカカは「わー、明るく見えるねー!」と楽し気に跳ねた。
「おひさまが出る前にてっぺんにいかなきゃー」
「うむ。朝日が登り切る前に魔物を出来る限り避けながら登るぞ。いざ、出発!」
 びしり、と山頂目掛けて指さしたデイジーの声に従い『ジネヴィラのパパの為に花を摘む』一行はいざ、出発!


 山を登る。
 ぐんぐん、と。両方の足に力を込めて。
 山を登る。
 何処まで続くのか――ひょっとして、この先にあるのはモンスターばかりの危険地帯ではないのかと考えてしまう様な暗闇を裂きながら。
 カンテラの灯りがゆらゆらと揺れている。
「さて、モンスターに見つからないように気を付けていきましょうね」
 木々の合間を縫って空からの偵察を行う華蓮を見上げてタチカゼは前方だけではなく後方にも気遣わなければと意識を集中させる。
 カンテラに照らされて花珠一文字の薄桃の照りが僅かに光る。美術品としてん価値も高い脇差と、己が自作の居合刀を確認し、タチカゼは小さく息をつく。
 父の為にとローレットを訪れた幼い娘の姿が、父の刀に縋って泣いた己の姿と僅かに重なって見える。
(――必ずや救って見せよう)
 息をつき、タチカゼがじり、と後退する。合わせ、警戒を重ねるニゲラは松明の灯りを重ね、周辺をきょろりと見回した。
「いざ魔物が出現すれば、用意した肉を置いて気を散らせよう」
 タチカゼのその言葉の通り、冒険者たちは皆、魔物用の餌を準備済であった。ニゲラは袋に詰め込んだ餌を確認し、魔物が嫌う可能性があると松明の焔を掲げて進む。
 がさがさと音たて姿を現した獣がびくりと体を揺らし、冒険者たちを捕食者の目で見たその刹那――
「むむむ……おにくだー!」
 ぴょんとオカカが跳ねる。咄嗟に『おにく』の口を上げて投げ入れるオカカ。
 鴨が葱を背負って来るのです。そう、袋の口を開けると匂いが広がる其れはオカカが自分が食べられないようにと準備したものだった。
「馨しい……!」
「他が来る前に逃げるでござる!」
 思わず呟いたデイジーの横をすり抜けてタチカゼが走り出す。「戦いに来たわけじゃありませんから、行きましょう」と走るニゲラに合わせてエスラとセアラは顔を見合わせ一気にその場を走り抜けた。
 ぜ、ぜ、と肩で息をしながら山頂を目指す冒険者たちを襲う者は一度きりではない。
「何かが接近する音が聞こえます。ご注意を」
 山道では方向を把握するのは難しいと肩を竦めたセアラにこくり、とエスラが頷く。
 ファミリアーを駆使して周辺警戒を怠らぬエスラにセアラやオカカの耳は確かな情報として役に立っていた。
 ぐん、と肉薄したモンスターに投げ入れた肉は効果は薄そうだ。動いているほうがいいのかしら、とぼやいたエスラの声に華蓮はぞ、と背筋に奔る冷たいものを感じた。
「ぜ、絶対に餌として認識されているのだわ!?」
「危険度マックスだね?」
 ルアナはグレートソードを手に一気にモンスターへと飛び掛かる。超視界を生かし足場を確認しながら行動するルアナはこの場で勝負になるんだね、と肩を竦める。
 攻撃を受けた事で流れる血の香が他のモンスターを呼び寄せる気がするとぼやいた彼女にセアラは頷く。癒しを送り、冒険者たちは万全に戦えるが血潮の香が他のモンスターを呼び寄せるとなると山を登る事さえも不利になる。
(いろんな音がしますね……木々のざわめき、風の音、草の流れる音)
 ――それから。
「後ろです」
 顔を上げたセアラにこくんとニゲラが頷きショートソードを振り被る。後方にも意識を向けていたタチカゼが続きモンスターを斬り伏せ、その身を山頂へ向けて反転させた。
「往くぞ!」
 止まってはいけないと殿に立ったデイジーが声を張る。クラーク家の家宝たる大壺蛸天から決して手を離さぬようにと両手に力を込めて、デイジーは懸命に山頂を目指した。
「止まらぬように!」
「わあわあ、モンスターがいっぱいくるー! ボクはごはんじゃないよー、じゃましないでー」
 慌てて跳ねるオカカは全力攻撃を以てモンスターを制する。この中で一番『餌らしい』かもしれないと己の身をぷるぷると揺らしたオカカはいやいやをするように首を振った。
「カンテラはじゃまだー」
 角の先っぽで揺れる光が影を作る。モンスターの影に収まってしまう己が食べられてしまわぬようにと懸命に戦うオカカを支援するようにエスラはグリモアールを開いた。
「そこだわ」
 神秘への親和性を高め、魔物たちと戦いたくないと敵勢因子の排除だけど優先しながら首を振るりと振る。
「お願い……魔物さん達。意地悪しにきたわけじゃないの。出来れば傷つけたくないわ」
 魔物たちを傷つければ有限たる時間のロスも大きくなるが、それ以上に『森の友人』達が偶然気性が荒いだけかもしれないのに、という不安さえも浮かんでくる。
「今は、迷ってる場合じゃないわね……!」
「そうね。迷ってちゃジネヴィラのお願いが聞けないもの!」
 頑張りましょうとやる気を見せた華蓮の言葉にエスラは大きく頷く。
 幼い少女のお願いを聞き届け、無事に花をゲットし父を病から救ってやりたいのだとタチカゼは声を張る。
「いざ行かん!」
「山頂はもうすぐの筈だよ! 此の儘、走り抜けちゃおう!」
 ぜいぜいと肩で息をしながらも止まらぬようにとルアナが告げる。その言葉にこくりと頷いたセアラは癒しを謳いながら息を整え、何処からか聞こえる音に「あっ」と声を漏らした。
「近い……!」
「わあー。またくるよー!」
 息遣いが聞こえる。それも鼻を鳴らし何かの匂いに誘われるかのような――
 オカカは自分が餌扱いされているのかなあ、と首を傾げるが振り仰いだ仲間たちの姿に「かえりち」と小さく溢した。
「成程……返り血の香に誘われて来てるのね」
 エスラは己のローブや仲間たちの衣服についた獣の血潮の香が餌と認識されているのだとすぐさまに把握した。
 もしも走り撒いたとしても腹を空かせた獣は追ってくるだろう。山頂での戦いは花を思えば避けたいところだが――
「餌って余ってる?」
「バッチリなのじゃ! 顎の運動になる位固い肉を準備済みなのじゃ」
 ふふん、と鼻鳴らせたデイジーが布袋をルアナへと手渡す。ルアナの眼前に迫るモンスターはぐるると喉を鳴らし、春先の空腹をアピールするようにじりじりと近づいて――
「あっちいってよー!」
 ぶん、と肉を投げたルアナは困った様な顔をする。モンスターの意識がちらりと其方に向く。
「月原さん、いくよ!」
 こっちこっちと手招きダッシュで背を向けたルアナに倣って亮は走り出す。モンスターの返り血でモンスターが寄ってくるなんて、と嘆くルアナの声を聞きながらオカカは「大変だー!」とカンテラ揺らして笑った。
「もう直ぐ朝日が昇る時間なのだわ! ダッシュ!」
 ほらほら、走ってと言うように方位磁石と時計を手にした華蓮の声が背中を押す。慌てて走る冒険者たちの目の前にあったのはゴール地点である山頂と――雲の切れ間から覗く暖かな光であった。


 何処からか光がさしている。
「ふー、つかれたねー。おひさま? おひさまかあーきれいー」
 それが朝日なのだと気づいたオカカは「きれいー!」と感嘆の声を漏らした。
「朝日を帯びて、病を治す薬になる……んだよね? その花は」
 どれかな、と瞬くルアナは山頂に一つ小振りながらも空色を映しこんで咲いている花を見つけ「あれかな」と瞬いた。
 頷いた亮にセアラは安心した様に胸を撫でおろす。その花を摘み、届ければ小さな少女の願いも叶ったも同然だ。
「お父さんの病気も直せるんだね」
「幼い娘の願いも叶ったりでござる」
 良かった、と笑みを漏らすニゲラにタチカゼは大きく頷く。空色の花は朝の爽やかな風にひらりひらりと揺れていた。
 大壺蛸天を手にしたデイジーは「水を入れて花瓶代わりにすれば新鮮に持ち帰れるのじゃ」と花を見下ろし笑みを溢した。
 咲く花は決して大輪とは呼べないが小振りで可愛らしいものだった。朝日を帯びて花弁に空の色が映り込んでいるのが印象的だ。
 その花が朝日を帯びて薬剤的効果を得るその詳細はジネヴィラの父ならば知っているのだろう。少し気になるかしらとエスラは柔らかに笑い、ひょこりと顔を出した栗鼠たちにありがとうと笑みを溢した。
「空の色が映り込むんだね。これで病気から救えるんだ……。
 すごくかわいくって、綺麗なお花だね」
 デイジーの蛸壺で揺れている花を見遣ってルアナはにへらと笑みを溢す。幼い笑みは安堵に満ち溢れていることが良く分かる。
 山を下りたならばジネヴィラの花畑に行くこともできると亮が言っていたことを思い出しルアナは仲間たちをくるりと振り仰いだ。
「終わったら花畑に行きたいなぁ。折角の機会だもん。綺麗なものって、心の栄養だと思うんだ」
「ジネヴィラさんのお花畑……。わたしも行ってみたいですね。お花畑」
 きらり、とセアラの瞳が輝いた。満開の華が穏やかな春の日には丁度似合うことだろう。
 花の中、得意の唄を歌おうと人魚姫は心に決めてゆっくりと両手を重ね合わす。
「素敵な場所で一曲歌えればそれはとても光栄なことでしょう」
 それがジネヴィラの父の回復祝いの優しい歌になるだとセアラは何処か幸福そうに微笑みを溢した。
 夜の山とは違い、優しい気配を感じさせる道を下りながら花を届けるために冒険者たちは往く。
 ゆっくりと、それでいて迅速に。周囲の警戒を怠らずに向かうは依頼人・ジネヴィラの住まう花畑。
 辿り着いたのは一面にチューリップの咲き誇る花畑であった。小屋から顔を出したジネヴィラは手渡された花に安堵した様に胸を撫で下す。
 これがあれば父の病は治り、これからも花畑を継続できると子供は子供らしい口調でそう告げた。
「ねえねえ、ジネヴィラちゃんいっしょにあそぼー」
 ぴょこんと跳ねたオカカにジネヴィラは良いのだろうかと幾度も瞬き、面識のあった亮へと視線を送る。
「遊びましょうね」
「……えっと、あの――……はい」
 柔らかに微笑んだエスラの声にジネヴィラはこくり、と小さく頷いた。
「おべんとうもあるから、良かったら皆で食べましょ♪」
 華蓮は「ほら、ジネヴィラ。お茶なのだわ」と普段通りの『お節介』を見せる。姉妹のいないジネヴィラにとってはそれが何所かくすぐったいのだろう。恥ずかしそうにカップを受け取りちらちらとタチカゼやオカカへと視線を巡らせる。
「美しい景色を見ながら、のんびりするのは至福の時間なのだわー」
 はあ、と息をついた華蓮の声に「きれい……ですか」とジネヴィラはたどたどしく問いかけた。
「とても。個人的にはね、ジネヴィラの花畑みたいにチューリップだけが咲いているみたいな――こういうのも好きなんですよね」
 一面のヒマワリが、一面の薔薇が、そうした視界を埋め尽くすほどの華が並んでいるのが好きだとニゲラは柔らかく笑う。
 ジネヴィラとその父が大切に大切に育てた花々は季節によって違うのだろうが広い敷地に視界いっぱいの『花』を見せてくれるだろう。
「……うれしい」
「うむ、お主も幼いのに父の看病よく頑張ったのじゃ! これは妾からのねぎらいじゃ」
 亮の傍で安心しきった顔をして、特異運命座標(おねえさんたち)を見ていたジネヴィラの頭にふわりと花冠が乗せられる。
「……わ」
 驚きに瞬いたジネヴィラはデイジーを見遣った後、照れくさそうに小さく微笑んだ。
「ありがとう、ございます」
「うむ、これからも綺麗な花をよろしくたのむのじゃよ」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様です、イレギュラーズ!

春の風と共に少女の願いは果されました。
これにて、一件落着です。
ジネヴィラちゃんの花畑にまた遊びにいらしてくださいね!

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