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シナリオ詳細

人智を越えし巨鳥

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●隊商の受難
「……どうにか、あと少しで着けそうだな」
 ラサの砂漠を、隊商が進行する。そのリーダーらしき商人は、遠目に目的の街が見えてきたのを見て、ホッと安堵の息を漏らした。
 ――と、その直後。隊商全体を、黒い影が覆う。
 ハッとした隊商の一員が空を見上げると、隊商の上から巨大な白鷲が降下して接近していた。
「うわぁ! 出たぞー!」
「化け物鷲だぁ~!」
 白鷲は、慌てふためき足を止めた隊商のラクダ数頭を片足でまとめてむんずとつかみ取ると、さらにもう片方の足で別のラクダ達を掴み取る。そして嘴でまた別のラクダを咥えると、バサリ、と羽ばたいて高度を上げた。
 ラクダ達はもがくも白鷲の足や嘴から逃れることは出来ず――もっとも、逃れたところで地面に叩き付けられるだけだが――積んでいた荷の一部が、次々と空から振ってきた。
「……畜生、あと少しだったってのに! これじゃ、商売になりやしねえ!」
 ラクダから落ちたリーダーらしき商人が悔しそうに叫び、砂漠に拳を叩き付ける。積み荷とラクダの半分の喪失は、彼にとって非常な痛手となった。

●商会の依頼
 ギルド・ローレット。『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)は、気が重そうな表情で眼前のイレギュラーズ達を見やった。
「――さて、ちょっと……どころじゃなく厄介な仕事が舞い込んできました」
 しばらく沈黙が場を支配していたが、勘蔵は重い口を開き始める。厄介な仕事とは一体何かと固唾を飲んで、イレギュラーズ達は続きを待った。
「皆さんは、ロック鳥と言うのをご存じでしょうか? 象三頭をも足で持ち上げるという伝説を持つ、巨大な鳥です」
 その言葉に、ざわめきだすイレギュラーズ達。まさか――。
「そう、そのロック鳥の討伐が今回の依頼です。
 ここ最近、交易路を中心に隊商のラクダや馬などを狙って来ていまして、その被害が尋常では無いことから、ラサのいくつかの商会から合同で依頼が出されました。
 皆さんには被害の出ている地域を中心に空を捜索して頂き、ロック鳥を見つけ次第退治して欲しいのです」
 イレギュラーズ達の予想は当たりだと言わんばかりに、勘蔵は依頼の内容について触れた。
 さらに、敵が敵だけに依頼に参加出来るのは一定以上の実力を持つもののみであること、ロック鳥との戦闘は空中戦になるだろう事についても触れていく。
「……おい。と言うことは、飛べない奴は参加出来ないのか?」
「それについてはご心配なく。ちょっとした伝手があります。
 なので、飛べる飛べないは関係なく、我こそはと思う方はご協力をよろしくお願いします」
 イレギュラーズからの質問に答えると、勘蔵は頭を下げて依頼への参加を乞うのだった。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。
 今回のシナリオは、ロック鳥との空中戦です。よろしくお願いします。

●成功条件
 ロック鳥の退治(殺害)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●ロケーション
 ラサの砂漠上空。時間は昼間。
 天候は晴天から曇天までの間で、戦闘への影響はありません。
 飛行スキルが無い場合、後述するオスプレイズが手伝ってくれます。
 また、簡易飛行や媒体飛行は使用出来ません。

●ロック鳥 ✕1
 数十メートルクラスの巨大な白鷲です。
 その巨大さ故に命中や回避は雑ですが、攻撃の威力と生命力は桁違いです。
 また、マーク、ブロックは弾き飛ばされるだけで、無効となります。

・攻撃手段
 体当たり 物超貫 【移】【万能】【弱点】【邪道】【崩れ】
 嘴 物超貫 【移】【万能】【弱点】【邪道】【失血】
 爪 物遠範 【移】【万能】【弱点】【出血】
 握撃 物遠範 【移】【万能】【防無】 クリーンヒット以上で足に捕われて移動不能になります。

・部位狙いについて
 敵が巨大であることから、この戦闘では部位を狙った攻撃が可能です。
 ただし、狙う部位の大きさに応じて、命中にペナルティーが入ります。
 一定以上のダメージが特定の部位に蓄積されると、その部位は機能しなくなります。

●スレイブウィンドエレメンタル ✕2
 ロック鳥に付き従う風の精霊で、巨大であるロック鳥の飛行をサポートしています。
 位置はロック鳥の翼の根元に固定となり、ロック鳥が移動すれば共に移動されます。
 戦闘においては、ロック鳥の側方や後方をカバーします。

・攻撃手段
 暴風 神/至~超/域 【識別】【恍惚】【体勢不利】
 ※射程別に同じ攻撃手段を持っており、敵との距離に応じて撃ち分けてきます。

●オスプレイズ ✕8
 ミサゴの飛行種で編成された、海洋の空中輸送部隊です。
 過去の依頼で勘蔵は海洋から彼らを借り受けたことがあり、その時の伝手で今回も借り受けました。
 機動力6の運搬性能持ちで、飛べないイレギュラーズがいる場合は彼らが空中に連れて行ってくれます。
 飛べないイレギュラーズを運ぶ場合を除き、戦闘には参加しません。オスプレイズに運ばれている場合、回避は彼らの能力に準拠することになります。
 運んでいるイレギュラーズが戦闘不能となった場合、速やかに戦場から離脱させてくれます。
 また、彼らに運ばれていないイレギュラーズが戦闘不能となった場合、落下の衝撃で死亡しないよう保護して離脱してくれます。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • 人智を越えし巨鳥Lv:20以上、名声:傭兵0以上完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年08月21日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
桐神 きり(p3p007718)
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進

リプレイ

●遭遇、ロック鳥!
 自前の飛行能力で、あるいは海洋の飛行輸送部隊オスプレイズの隊員に抱えられ、イレギュラーズ達はロック鳥を退治するべくラサの空へと舞い上がる。
「空かー……」
 『守護の獣』ウェール=ナイトボート(p3p000561)がぼそりとつぶやいた。地に足を着けない状態での戦闘に、不安が混じっているようであった。
(……動きにくて大変だろうが、俺のやれる事を頑張るだけだ!)
 だが、ウェールは怯むことなく、パン! と頬を掌で叩いて自身に気合いを入れた。
「なかなかこう、抱き抱えられて移動するのは面映ゆいものがあるよね。
 ……まあ、そんな悠長なことも言ってられないか」
 『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)は、ウェールとは違ってオスプレイズ隊員に抱き抱えられて飛行している。確かに照れくささはあるものの、ロック鳥を討伐するには飛行出来ねば話にならない以上、そんなことは気にして入られなかった。

「あの影、どんどん大きくなってくるっすよ! 何処まで大きくなるっすか!」
 『ゲーミング』ジル・チタニイット(p3p000943)が、驚きを禁じ得ずに叫ぶ。遠くから現れたロック鳥は、最初は点のように見えたが、瞬く間に巨大な影へと変わっていった。
「ここまで大きい鳥とは想定していなかったわ……。あれに挑まないといけないのよね。
 ……いいえ、ここまで来たのだからやるしかないってわけよ。やってやるわ」
 初めはロック鳥の大きさに半ば呆然としていた『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)だったが、すぐに気を取り直す。ルチアの言うとおり、流石にここまで来て止めるというわけにはいかないのだ。
「まあ! なんて大きな鳥さんなのかしら~。
 小さな頃に、大きな鳥さんに乗ってお出かけする絵本を読んだ事があるのよ。
 この鳥さんと仲良くなれたら旅行が捗りそうなのに~。
 今回の依頼の内容は退治……倒さなきゃいけないのは、少し残念ね~」
 ロック鳥の大きさに感嘆しつつ、仲良くなれたらと言うのは『魔法仕掛けの旅行者』レスト・リゾート(p3p003959)のレストらしいところであったろう。ただ、今回は倒さねばならないという事実に、少しシュンとしてみせた。
「話に聞いてはいましたが、今回の敵はスケールがすごいですね……。
 空中戦も初めてですが、これほど巨大な敵との戦闘も初めてです。
 それなりに色々やってきたつもりですが、まだまだ経験不足だったようですねー。
 ふふふ、この戦い、とても楽しみです!」
 桐神 きり(p3p007718)は、ロック鳥の巨大さに怯むことなく、初めての体験に心を踊らせていた。そして、同様なのはきりだけではなかった。
「ロック鳥とは、実際に目にするのは初めてだ。
 ははっ、ここまで大きな鳥が自由に空を翔けるとは、凄まじいね。
 これほど雄大な敵と見えることになるとは、これだから冒険は辞められないね……!」
 痛快でたまらないという様子で、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は独り言ちながら笑う。
「……噂には聞いていましたが、凄い大きさですね……!
 ですが、怯んだりは致しません!
 むしろ、故郷でのドラゴン狩りを思い出して燃えてきますよ!」
 『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は、ロック鳥の巨大さから過去を思い出し、これから待ち受ける戦闘に高揚していた。

●神速の先制攻撃
(普段はあれこれとサポートで立ち回っているが……)
 最初に仕掛けたのは、ゼフィラだった。
 迫り来るロック鳥の視界からふっと消えたかと思えば、次の瞬間には拳銃『テトラビブロス』による零距離射撃をその足に直撃させていた。弾丸が、鱗のような外皮に覆われた足を貫いていく。
「――今回は思い切り、暴れさせてもらおうか!」
「キエエエエエエ――!!」
 不意に足を襲った痛みに、ロック鳥が吼えた。何が起きたか、理解出来ていない風だった。
「おりゃーっす!」
 次いで、ジルが邪悪を裁く神聖なる光をやはりロック鳥の足に向けて放ち、輝きの中に包み込んでいく。激しく輝く光は、その中でロック鳥の足を苛んでいるのであろう。ロック鳥は、不快そうに頭を忙しなく動かしていく。
「俺の中の、獣よ……!」
 ウェールは自身の厭う狂気を、獣性を燃え盛る炎へと変換する。炎はロック鳥の足へと迸ると、内包する狂気と獣性をロック鳥に伝染させた。ロック鳥の視線が、ギョロリとウェールの方に向く。ロック鳥の敵意を自身に向けることに、成功したのだ。
 イレギュラーズ達の戦術はウェールにロック鳥の敵意を集中させ、ロック鳥の攻撃をウェールに集めながら他の者は側方からある程度の距離を取ってロック鳥を攻撃する、と言うものだった。側方と言うのは、巨体による体当たりをまとめて食らうのを防ぐため。ある程度の距離を取ってと言うのは、一塊にまとめて爪に傷つけられたり足に握り潰されるのを防ぐためだ。
 そして、イレギュラーズ達が最初に狙ったのはロック鳥の足だ。象三匹をまとめて掴むと言うロック鳥の足の握力を、イレギュラーズは最大の脅威と感じていた。よって、足を潰すのが最優先となったのだ。
 レストは魔法陣から真紅の薔薇の花びらを無数に召喚し、やはりロック鳥の足を集中的に狙って浴びせかける。
「おばさんの薔薇の魔法から、逃げ切れるかしら~?」
 疑問形ではあるが、レストはロック鳥がこの花弁を回避出来るとは思っていない。レストの確信どおり、花弁は一枚一枚が鋭い刃となって、ロック鳥の足を細かく切り刻み、赤い血を滲ませる。
「行って、管狐!」
 ルフナは小さな狐を、ロック鳥へと放つ。敵意が形となった狐は、ロック鳥にまとわりつくと、生気を奪いつつその運気を貶めた。
「頑張って、ジル! 一緒に勝ちましょう!」
「うん、頑張るっす! 力が湧いてきたっすよ!」
 ルチルはジルに声援を送る。その声はジルを奮起させ、神聖なる光を放った分の気力の消耗を回復させた。
(長期戦になりそうですね。それなら……)
 心を鎮める術式、明鏡止水をきりは自身に展開する。心が冷静になることで、技や術を使う際に、気力の消耗を少なくしながら大きな効果をもたらすことが出来るようになるのだ。
「足だけでも大きいですね……行きますよ!」
 象三頭を掴むというだけあって、ロック鳥の足は人間よりもはるかに大きい。感嘆するようにつぶやきながらも、リディアは『蒼煌剣メテオライト』による審判の一撃を叩き込んだ。
 ロック鳥の左右の翼の根元から、その飛行を補助する風の精霊が姿を現す。風の精霊はゼフィラとリティアを狙い、荒れ狂う風を叩き付けた。そのあまりにも暴力的な風は、二人の全身を殴りつけるように苛み、体力を奪っていった。
 ロック鳥はウェールに向けて体当たりを仕掛けるが、これはウェールが辛うじて回避する。だが、ヒュゴウ! と自身を掠めて通り過ぎたロック鳥の巨体と勢いに、もしまともに食らっていたら、とウェールは心の中で冷や汗をかいた。

●ロック鳥の足を潰せ
 風の精霊の攻撃を受けたゼフィラとリディアは、赤い布を巻き付けた腕を上に上げた。これは、空中で声が届かない時に備えて用意しておいた合図で、傷や体力の回復を求めるためのものだ。なお、もう片方の腕には黒い布が巻いてあり、こちらは状態異常の回復を求めるためのものだった。
 それを見て、回復が行える者は二人の回復に入る。ジルの大天使の祝福が、レストとルチアときりのミリアドハーモニクスがゼフィラを癒やしていく。同様に、ルフナの神奈備がリディアをリディアを癒やした。
 だが、ここで風の精霊は再び荒れ狂う風をゼフィラとリディアに放つ。リディアは回避したものの、ゼフィラは先程までではないにせよ再びダメージを受けてしまった。
 ロック鳥は、今度は足でウェールを掴もうとする。ウェールは避けきれず、ロック鳥に足にがしっと掴まれてしまった。
「がはっ!」
 肺の空気が押し出され、内臓が圧し潰される苦しさにウェールが呻く。しかし、ウェールもただやられているだけではない。自身の生命力を狼と黒虎の二匹の姿をした炎へと変換すると、ロック鳥の足の根元へと放った。ウェールを掴んでいるのがかえって徒となり、ロック鳥の足は二匹の獣を避けられずいいように蹂躙された。
「キエエエエエエ――!!」
 外からは炎が、内からは猛毒が、ロック鳥の足を蝕んでいく。流石に苦痛に耐えきれなかったか、再度、ロック鳥が咆哮した。

 戦闘は、イレギュラーズ達が押されている――様に見えた。ロック鳥はその足で掴んだままのウェールをさらに握り潰しにかかり、風の精はゼフィラに集中して荒ぶる風を浴びせかけていく。二人の受けるダメージは大きく、元より支援や回復を担っているルチアやきりだけでなく、本来であれば攻撃に回るはずであったジルやレスト、ルフナまでが回復に回らざるを得なかった。しかし、そこまでしても次第に回復が追いつかなくなっていくのが、次第に目に見えて明らかになっていった。
 だが、ロック鳥とて決して優位とは言えなかった。ゼフィラの一撃一撃は重く、ロック鳥の足を着実に、深く傷つけていた。もっとも、そのために風の精の敵意が向いてしまい、二体からの攻撃が集中することになってしまったのだが。
 そして、ウェールが二匹の獣によってもたらした炎と毒は、敵の持つ生命力に応じてダメージをもたらす特質がある。ロック鳥はその生命力が膨大であるだけに、被害も甚大なものとなっていた。炎と毒は足だけではなく胴体にも回り、外は焼け爛れ、内は腐り痛んでいく。
 どちらが先に耐えきれなくなるか――戦況がそんな様相を呈する中、ゼフィラの零距離射撃が灰と腐肉となって朽ちかけている足の肉を次々と弾き飛ばし、リディアの斬撃が足の肉をザックリと削ぎ落とす。
「ギエエエエエエ――!!」
 これまでより低く、濁った咆哮が戦場に響いた。同時に、ウェールを掴んでいた足が緩む。ロック鳥の足は、もう使い物にならなくなったのだ。ウェールは、ロック鳥の足から脱出した。

●風の精、斃れる
 ロック鳥の足を潰したとは言え、まだロック鳥には嘴と体当たりが残っていた。そして、風の精もまだまだ健在だ。一方、ウェールもゼフィラも、ルチア、きり、ジル、レスト、ルフナの五人から回復を受け続けているにも関わらず、傷は癒えきる事はなくむしろパンドラを費やす所まで追い込まれていた。
 戦闘の趨勢は、まだまだどう転がるかわからない。
「はは、こうも集中的に狙われるとは、ね……」
 既に満身創痍に陥っているゼフィラが、風の精の片方に接近し、射撃を敢行する。銃弾は風の精に着弾して深手を負わせたが、そこが限界だった。風の精の巻き起こす暴風が反撃とばかりにゼフィラに叩き付けられると、ゼフィラは耐えきれずに昏倒した。
 もう一体の風の精は、こちらもやはり満身創痍のウェールに暴風を叩き付ける。
「ぐっ!」
 ウェールが風に煽られて体勢を崩したところに、ロック鳥の突進が来た。体力が万全であれば耐えきることも出来ただろうが、満身創痍の身ではそうも行かなかった。力尽き落下するウェールだったが、オスプレイズの一人に保護されて戦場を離脱した。
「……よくも!」
 リディアは二人の復仇の念に燃えつつ、ゼフィラが深手を与えた方の風の精に審判の一撃を叩き込む。審判は正しく下され、風の精は消滅した。
「ジルさん、ここは攻めの一手ですよ! 残る風の精も、仕留めてしまいましょう」
「わかったっす! もうこれ以上好きにはさせないっす!」
「おばさんも、行くわよ~!」
 戦況を的確に判断したきりの指示を受けて、攻勢に出たジルの放った神聖なる光が、その輝きで風の精とロック鳥の翼をまとめて灼く。その輝きが収まらぬうちに、レストが精神力によって生成した衝撃波を風の精に浴びせた。ジルの光の輝きによって隙を作ってしまった風の精は、レストの衝撃波をまともに受けてしまう。
(ウェールが倒れた今、ロック鳥が誰を狙ってくるかわからないけど……)
 ルチアはリディアに不可侵の聖躰を降ろす。ロック鳥はともかく、風の精の攻撃傾向はこれまで最も近いゼフィラを集中的に狙っており、ゼフィラが倒れた今攻撃を受ける危険性が高いのはリディアだったからだ。
「いくら風の精でも、ラサの砂漠に吹く熱砂の嵐には耐えられないよね」
 ジル、レストの攻撃を立て続けに受けた風の精に対し、ルフナはとどめとばかりに砂混じりの熱風を吹き付ける。熱風は風の精の身体を徐々に削り取り、やがて無に帰した。

●ロック鳥は地に墜ちて
 風の精達が倒れた後、ロック鳥は翼に集中攻撃を受け、飛行出来なくなり地に突っ伏すことになったが、そうなるともうただの的だった。イレギュラーズ達の集中攻撃を受け、炎と毒に蝕まれ、苦痛に悶えながらその生を終えた。
「えい、えい、おーぅ!」
 リディアが肩で息をしながらも、戦闘の興奮が覚めやらぬまま、鬨の声を上げた。
「「「えい、えい、おーぅ!」」」
 ルフナ、ルチア、オスプレイズ達がそれに応じる。ルフナもルチアも回復に次ぐ回復で、疲労困憊と言う有様だった。
「……ところでこの鳥、もの凄く食べ甲斐がありそうっす」
「止めた方がイイと思いますよー。毒が回ってるでしょうから」
 ジルの言うとおり、ロック鳥の巨体は確かに食べ応えがありそうと言えた。食べ応えというレベルの話ではないような気もするが。しかし、きりがそれを止める。ウェールの与えた猛毒が全身に回っているのは事実であり、食用にした際の安全性には大いに不安があった。
(鳥さん、ごめんなさいね~。今度は敵としてではなく、お友達として出会いたいわね~)
 レストはロック鳥の遺骸を眺めつつ、少ししんみりとした気持ちになった――。

成否

成功

MVP

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼

状態異常

ウェール=ナイトボート(p3p000561)[重傷]
永炎勇狼
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)[重傷]
夜明け前の風

あとがき

 ご参加、ありがとうございました。かくして、隊商のラクダや馬に被害を出していたロック鳥は退治されました。

 MVPは、ロック鳥の攻撃を引き付けつつ、炎と毒でロック鳥の生命力を大幅に削ったウェールさんにお送りします。ロック鳥のHPが膨大だっただけに、毎ターン最大HPの4%のダメージは洒落にならない痛手でした。

 それでは、お疲れ様でした!

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