PandoraPartyProject

シナリオ詳細

竹林の向こうに君を思えば

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●
 竹の葉がざわざわと風に乗り揺らめいている。
 呼吸のたび、竹特有の匂いと水っぽさが身を包む。
 夏らしさを――あるいは梅雨らしさを感じさせるその空気に目もくれず、青年は竹林を駆け抜けていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……くそったれ……なんであんなのが……!」
 呼吸を荒げ、ちらりを後ろを振り向けば、影が見える。
(まずい……追いつかれる……!)
 すさまじい速度で接近してくるそれは、追われ始めた頃より更に速度を増しているように思えた。
(拙い拙い拙い……どうする、どうすればいい……今さら死など惜しくはないが……
 こればかりは姫様にお渡しせずに死ねるものか!)
 青年は自らが抱え込むソレを僅かに見下ろした。
 それは、可憐な花を咲かせた小さな花と、その葉である。
 根元から綺麗に掬い上げられたそれは、煎じれば万病の薬草になると言い伝えられる代物だった。
 必死に走るといえど、どんどんと速度を増すあちらに対して、こちらは速度は上げられない。
 運悪く、昨夜に降り注いだ雨が土をぬかるませ、葉を湿らせている。
 下手に速度を上げれば最後、この竹の間を躱しきれず――あるいは足をもつらせてこけてしまう。
 そんなことになれば、確実に襲い掛かられる。
 それだけは避けたかったのだ。
 走りながら思考を纏め、グッと足に力を入れたその時だった。
 次の一歩、足が何かを踏みつけた。
(しまっ……筍か何かか……!)
 ぐらりと、身体が後ろに倒れていく。
 反射的に手をついて、その手がぐきりと音を立て、激痛。
「はぁ、はぁ……はぁ、くっ……」
 再び走り出そうとした、その時、後ろからドン、と重い衝撃がした。

●
 鈴という娘は、幼い頃から綺麗な声をしていた。
 良く笑い、よく泣き、よく話すその子は、その鈴のような綺麗な声ゆえ、『お鈴』と名付けられた。
 けれども、その美しき声と引き換えとでもいうのか、彼女は生来の病弱な娘であった。
 娘には兄のように慕う鬼人種の青年がおり、青年もまた、お鈴を妹のようにかわいがっていた。
 そんなお鈴が今度、嫁に行く。
 それだけならば、青年は妹分の晴れの日を喜んだのだろうが――お鈴は不意に熱を出した。
 医者に掛かってみれば、根深い病であり、ある薬草でもなければ徐々に体中の水分が抜け、最後には死に至るという。
 驚いた青年は、跳び上がるようにしてその薬草の生える場所へと走り出してしまったのだという。
「どうか、兄様を連れもどしてくださいまし……」
 14、5であろうか、和装に身を包んだ少女が声を揺らして君に告げる。
「あの薬草が生える場所は……ならず者の地、妖がおるのです……」
 なんでも、その薬草が生える付近には、妖怪の類が住んでおり、それ故に危険なために薬草が高騰しているのだという。
「わたくしの病が治ったとて、兄様がそのために死ぬなど、わたくしには耐えられませぬ」
 袖を濡らす少女はそう言ってケホケホと咳をした。
 慌てて傍に控えていた女の鬼人種が女性を寝転ばせ、そっとその頭に濡れた付近を乗せる。
「どうか、どうか神使様方……兄様を、兄様を……」
 うわごとの様に言葉を繰り返す少女を背に、君達は伝えられた場所へと走り出した。

GMコメント

さて、こんばんは、春野紅葉です。

少女のためにも、無事に連れ帰ってあげましょう。

それでは、詳細をば。

●オーダー
・青年を無事に連れ帰る。
・薬草の花を無事に持ち帰る。

●戦場
竹林です。辺りは一面竹だらけ。鬱陶しいぐらい生えてます。
また、足場は昨日の雨の影響か非常に悪く、ぬかるみ、濡れています。
何もしない場合、反応、回避、防技に少しマイナス補正が入ります。

●敵データ
ならず者、妖と目される8体の敵です。ここだけの話、実は全員が人間です。

高天京に住まう商人と手を組み、件の薬草の他、幾つかの薬草の群生地を占拠し、
値段を釣り上げて分け前を貰っています。

虎を飼いならす者が1人、剣士が3人、槍使いが2人、弓使いが2人。
剣士のうち、見るからに業物風の太刀を携えた者がボスのようです。

●NPCデータ
【鬼人種の青年】
イレギュラーズが介入する時点で、虎に乗りかかられ、今にも襲われようとしています。
戦闘能力はありません。大事に薬草を抱えています。

お鈴への感情は妹への物。
幸せになってほしいと願っています。
結婚に関しても同様です。

【お鈴】
高天京にあるとある名家のお嬢様です。
結婚を間近に流行り病にかかり、命は良く持って半年と医者から言われています。
何もなければオープニングのみで登場します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 竹林の向こうに君を思えば完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年07月29日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マルク・シリング(p3p001309)
軍師
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
彼岸会 空観(p3p007169)
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
ルリ・メイフィールド(p3p007928)
特異運命座標
シガー・アッシュグレイ(p3p008560)
紫煙揺らし
バスティス・ナイア(p3p008666)
猫神様の気まぐれ
小烏 ひばり(p3p008786)
笑顔の配達人

リプレイ

●
 竹林は雨を吸って雫を垂らし、足元に恵を与える一方でぬかるんだ大地はその一歩を緩める。
 しかれども、竹林を駆け抜けるイレギュラーズの足元は『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)のようにお鈴宅の世話人から借り受けた草履を履くや、彼岸会 無量(p3p007169)のギルド『空』にて鎖爪かんじきを購入した者などが多く、さほどの悪影響が見られない。
「結婚とは、人生の新たな門出。出来る限りの最善となる様尽くしましょう」
「大切な妹分の為に、危険を承知で薬草を採りに行く……良い兄貴じゃねぇか」
「その勇気を無駄にしない為にも急いで助けに行かないとね!」
 無量の言葉に頷いた『スモーキングエルフ』シガー・アッシュグレイ(p3p008560)と『鋼のシスター』ンクルス・クー(p3p007660)が続ける。
「誰かの事を想って走り出す気持ちはわかります。必ず、彼女の元へお兄さんをお届けしますよ!」
「うん、心優しい2人の為に何としても助けて出して薬草をお姫様に届けないとね」
 お鈴と彼女曰くの兄様の事を思い『想い出渡り鳥』小烏 ひばり(p3p008786)と『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)も頷き、さっと竹を避けて走り抜ける。
「くそ、ど、どけ!」
 鬱蒼とした節だった竹林の向こう側、そんな声がする。
 純白の翼をはためかせる『特異運命座標』ルリ・メイフィールド(p3p007928)は竹を躱しながら疾走、見えてきた声の主の方めがけて弓を構えた。
 すぐに魔力で出来た青い矢が形成され、びょうっと放てば、声の主――その上に乗りかかり、大口を開けた虎めがけて炸裂し吹き飛ばす。
「無事ですかね? 感謝して崇めてもいいんですよ!」
「えっ、あっ……君達は……」
「お鈴ちゃんからの依頼だ……自分よりも兄貴の心配なんて、出来た妹分だ」
「ひ、姫様からの……ありがとうございます……!」
「大丈夫ですか? ここからはわっちがあなたを守ります!」
 吹き飛ばされた虎と青年の間に割り込むように立ちふさがったひばりとシガーの言葉に、青年が動揺しつつ頷いた。
「傷を見せてもらえるかな? ……少しだけじっとしてて」
 青年の傷の状況を確かめたマルク・シリング(p3p001309)はハイヒールをかける。
 唸り声をあげる虎の向こう側から、そいつらが続々と現れたのはそんな時だ。
「……殺せてねえだけじゃなくて、なんだか増えてねえか?」
 分厚い刃をした業物らしき太刀を担ぐ男が状況を見渡してぽつり。
「妖の仕業と聞いてたんだが……これはまた、人間にしか見えない妖が居たもんだ」
 続々と現れる敵を見渡したシガーは魔剣を抜き、状況を見定めてふわりと事情の推察を為す。
「おいおい、妖にしちゃあ随分と羽振りが良いじゃねぇか」
 ゴリョウは自らの身体に聖躰降臨を施しながら近づいていく。
「ん~…相手は妖って聞いてたけど、私も見た感じ人間ぽく見えるかな?
 イレギュラーズの方がよっぽど妖らしいよ?」
 修道服を晒すように前に出たンクルスもまた同じように言って笑みを浮かべる。
 業物を持つ男が舌打ちする。
「どうやら、そこのガキのお守りみてぇだなぁ……まぁいい。
 そいつもだがあんた等にも生きて帰ってもらうわけにゃいかねえ。
 野郎ども! こいつらをぶちのめしてやれ!」
 そっと刃を撫で、男が構える。雄叫びを上げた後ろの剣使いと槍使いが前に進み、先端は開かれた。
 ゴリョウは真っ先に飛び込んできた敵のリーダー格らしき男の剣を天狼盾『天蓋』で防ぐと、重心をぐっと前に出す。
「ぶははははっ! そんな業物持ってる割にゃあ随分と軽い剣じゃねえか!」
「いうじゃねえか! ほんとに軽いかどうか試してみろ!」
 その後ろから現れた剣使いの攻撃を銃旋棍『咸燒白面』で打ち返しながら、ゴリョウは不敵に笑って見せる。
「貴方が死ねばお鈴さんは幸せになれぬ。死ぬ気で生きる為に動きなさい。
 私達の誰を盾としても死ぬ事だけは避けなさい」
 そう青年へと言い残した無量の額、閉ざされた第三眼が唸りながらイレギュラーズを見る虎に注がれる。
 本能的な嫌悪感か、虎の意識が無量の方に集中した。
 大地を蹴り飛ばし、竹の間を走り抜けた虎が飛び掛かってくるのに合わせるように、無量の鬼渡ノ太刀が動く。
 静かに、敵の全てを見透かしたように撃ち抜かれるは外三光。前足の付け根を貫かれた虎の血が無量を濡らす。
 シガーは無量へと意識を集中させている虎に接近すると、その勢いのままにピトレイヤルを振り下ろす。
 大上段から叩き込まれた一撃が虎の胴部を切り裂いた。
 その攻撃への報復が如く、鉄鞭を握る男がシガーを叩く。
「おれの相棒になんてことしてくれてんだ!」
 そう叫ぶ男が虎をかばうように立てば、恐らくはこれがこの虎の飼い主だろう。
 ンクルスは近づいてきた剣使いの懐に飛び込むと、そいつに二度にわたってバックドロップを決め、ダメ押しとばかりに跳び上がる。
 起き上がろうとするそいつへと、そのままパワーボムを叩き込めば、再び地面に倒れた男の動きは鈍い。
 そんな男の動きを助けるように2人の槍使いが突きを繰り出してくる。
「私欲を以てして人を害し、私利の為に罪を重ねる。
 人ではないあたしが言うのもなんだけれど、君達みたいな輩こそ人でなしっていうんだよ
 妖でもない人でもない、獣以下の人でなし、きっちりしっかり神の怒りを下してしまおう」
 バスティスは相手の様子を見て呟き、魔力を書物に込めて媒介とし、ハイヒールをンクルスへともたらした。
「人を救う薬草を力で独占なんて……許せないな」
 マルクは杖を握る。現れた敵の様子を見て何となく察しをつけると共に呟く。
「その薬草で救われる命を、結果的に君達は奪おうとしているんだ。負けられない!」
 高められた魔力はゴリョウへと治癒術式となって降り注ぐ。
 敵の奥、弓を番えた2人が、やや上の方へ向けて矢を放つ。
 矢は放物線を描いてイレギュラーズの後ろ、青年たち目掛けて降り注ぐ。
 ひばりはそれを見るや、青年を後ろへ隠し、そのまま跳躍、幾つかの矢が身体を掠めた。
 しかし、防御態勢を整え、万全の状態で挑むひばりには大きな傷とはならない。
 その傷は直ぐに反応したルリが放った魔力の矢により瞬く間に癒えていく。

 敵の業物に禍々しいオーラがあふれ出す。
 そのまま大上段から振り下ろされた強烈な一撃が天蓋を弾きゴリョウの身体に傷を刻み――反撃とばかりにゴリョウもトンファーを叩き込む。
「ぶはははっ! 見事な業物持ってても豚一匹切り倒せねぇようじゃまだまだだねぇ!」
 再び聖躰降臨を施しながら笑えば、男がじろりと睨み返す。
 その身体にみなぎる力は戦いの始まった頃より濃い。
「ちっ……鬱陶しい野郎だ!」
 ゴリョウの並々ならぬ気迫に男が舌打ちする。
 態勢を立て直すお互いの間に、再び横槍ならぬ横剣で入ってきた剣使いがゴリョウの身に傷を刻む。
「ぶはははっ! そう言ってもらえりゃ俺の役割は十分だ!」
 健在を示すように、ゴリョウはそう笑って見せた。
「下がってくださいね! あなたも元気な姿でお届けしなくてはいけませんから!」
 鬼人種を後ろに隠すようにしてじりじりと下がるひばりは常に弓使い2人の方に視線を向けている。
「は、はい……」
 ひばりの視線の先、ぎりぎりと引き絞られた矢が放たれる。
 複数の矢は大きな範囲を伴ってひばりと青年を纏めるように降り注ぐ。
 ひばりは青年に覆いかぶさるように立ちふさがると、その身に放たれた矢を一心に受け止めた。
 降り注ぐ矢の特に危険なものを槍ではたき落とし、重くならないものは身で受け終えれば、石突きを地面に叩きつけて自らの健在を喧伝する。
 その視線の端っこで、虎と虎使いが地面に伏したのが見える。
 ンクルスは槍使いの一人が突き出してくる槍を懐に抱える様に持つと、ぐっと引っ張った。
 がくりと体勢を崩した槍使いの方へ一歩前に身体を躍らせ、襟首を掴み、思いっきり叩き落とす。
 プロティータ・キュオミール――ンクルスお気に入りの『ドヴェーリ・ヴィ・ライ』が主人公オレーシャ=カラチュリンの動きをまねたその動きは槍使いには分からないのか驚愕と共に体勢を崩させる。
 無量は鬼渡ノ太刀を構えなおしながら、一気に疾走する。
 つい先ほど虎に最後の一撃を見舞った太刀は鮮血を散らし、ンクルスへと槍を突き出す男めがけて愛刀を走らせる。
 驚異的な速度で放たれた後の先を穿つ三連突きが槍の穂先を弾き、その腕を貫いた。
 それだけでは終わらない。彼女の瞳には数多の次がある。
 無意識に選び抜かれた唯一閃は男の首を刈り取るべく真っすぐに振り抜かれた。
 結びつけられた『最適の一太刀』は、一度ならず数度にわたって最適を選び続けていく。
 どれかが最後となった槍使いの身体が大地へ落ち、ぬかるんだ音を立てた。
 無量の後を続くシガーは魔剣を構えなおして間合いを整え、一気に槍使いの懐へと飛び込んだ。
「さて、長い武器だけども、ここらで年貢の納め時ってところかね」
 長大な間合いを武器に間合いを取る男へと一気に至近すれば、がら空きなその体めがけて剣を閃かせる。
 型の伴わぬ連撃は対処を誤らせ槍使いの身体に傷を刻んでいく。
 マルクはンクルスとシガー、二人を射程に含む位置まで前に出ると、杖を地面へと突き立てた。
 自らを中心として浮かび上がった魔方陣から放たれた純白の聖域が2人の傷を瞬く間に癒していく。
 バスティスは幾度目になるか分からぬ集中と共に魔力を込め上げていく。
 強烈な輝きと共に放たれる高位の医療術式はボスと剣使いを相手に戦い続けるゴリョウの傷を癒し続けていた。
 敵の――特にボスの注意を引くという目的もあって健在を示し続けるゴリョウの傷は決して軽いというわけではない。
 だが、バスティス、マルク、ルリと豊富なヒーラーの存在もあり、彼の傷は本来想定されてしかるべき水準を遥かに上回る少なさだった。
 そんなルリはひばりの方へと視線を向ける。
 堂々と佇む彼女の傷はかなり深い。自らの身体のあらん限りの生命力を魔力に籠め、弦を弾く。
 美しい魔力を帯びた矢を、ひばりの頭上付近目掛けて撃ち込んだ。
 矢はひばりの頭上で弾け、優しい光となってその傷の多くを癒していく。

●
 連携の取れたイレギュラーズの攻撃は、徐々に戦況を傾けつつある。
 少しばかり長引きはしているが、安定した回復がもたらされていることにより前線は安定している。
 それは逆に、癒し手を持たず早期決着を前提とする敵にとっては作戦の失敗を意味しているに等しい。
「我々の目的は貴方達の討伐でなく、彼と薬草の確保。
 彼が貴方達の縄張りで好き勝手をした事は謝罪しましょう……然し、薬草を必要としているのは然る名家のご令嬢。
 此れを見逃して下さるのであれば、『薬草をお分け下さった方々』として御礼を出せないかと掛け合っても宜しい」
 倒れた虎使いと槍使いから弓使いへと攻撃すべき敵を見る中、敵のリーダー格を視野におさめた無量が問いかける。
「おいおいおい、そりゃあないぜ。そりゃあ無理があんだろ。
 そもそも、俺たちゃ別に縄張りを荒らされたからあんた等とやり合ったんじゃねえ!
 儲けがあるから、あんたらに俺達の姿を見られたからやっただけだ」
 無量の交渉――いや、恐喝にも等しき言葉に、男は首を振る。
「それに、あんたのその眼、その眼は殺し合いをいとわない奴の眼だ。
 そんなんに構ってちゃ命がいくつあってもたりゃあしねえ。
 まぁ、つまり――あばよってこった!」
 敵のボスはそういやゴリョウと合わせていた剣を跳ね上げ、無理矢理ながら間合いを作りだす。
「てめえら、逃げるぞ! 走れ!!」
 他の者達へと振り返ることなくそう声を張り上げた。
 驚いた様子を見せる敵が、繰り返された言葉に慌てふためきながら身を翻して走り出す。
 くるりと尻尾を巻いて逃げていく男と、その手下たち。
 あの様子であれば、もうこの近辺を再び占拠するようなこともあるまい。
 何より、問題点の幾つかは、恐らくは地面に転がるこれらであれば十分であろう。

●
「心配させないよう、笑顔で薬草を届けてやんな」
 シガーは衣服を着替えた青年へとそう言葉をかける。
「薬草は無事かな? 君の優しいお姫様の為に何としても持って帰ってあげなくちゃね」
「はい、皆様のおかげで無事です」
 続けるバスティスの言葉に、青年はこくりと頷いた。
「お届けものです! とお鈴さんの所まで行きたい所ですが……、わっちからではなく、あなたからお渡しするのが嬉しいですよね」
 想いを届けるだけでなく、繋ぐこともお仕事です! とひばりは青年に微笑を掛ける。
「妹さん、病気が治って、幸せになれるといいですね」
 お鈴のお宅へ移動したところでマルクは青年にそう声をかける。
「ええ……ありがとうございました! 直ぐに姫様の下に参ります!」
 そういうと、青年はそのまま屋敷の中へと消えていった。
「後は裏を上手く話してくれると良いのだけど……」
 屋敷に来る前、刑部省の出張所のような場所へ送り届けた縛り上げた虎使いと槍使いの事を思いだしてンクルスはふぅ、と息を吐く。
「その辺はそいつらに任せるしかねえなぁ」
 ゴリョウは屋敷の中へと消えた青年に優しい視線を向けた後、そう答える。

 それから数日後の事――イレギュラーズの下に快癒を果たしたお鈴からお礼の手紙が届いたとか。
 ついでに、薬草の値段を釣り上げていた商人も捕まったという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

小烏 ひばり(p3p008786)[重傷]
笑顔の配達人

あとがき

お疲れ様でした、イレギュラーズ。

敵のボスは逃げてしまいましたが、依頼としては成功といえるでしょう。
なお、逃亡した彼らは行方をくらまし、件の薬草の他、一部の薬草の群生地は解放されたようです。

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