PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ラヴラビ・ケイヴ

完了

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●古き書はかく語りき
 ――その鍾乳洞には、言い伝えがある。
   古来より、その迷宮の奥へ共に行くことは最大の贈り物とされていた。
   狭き入口から一歩踏み入れれば、そこは迷い路。
   焦りに足を滑らせれば、その身体は真っ逆さま。
   冒険心だけでは不十分、時には剣を振るい道を切り開け。
   立ちはだかる壁を登れば、そこにはきっと『祝福』が待っている。

●メロウ・パープルの嘆き
「――ダンジョン不足だわ」
 境界図書館の机に頬杖をついて『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は小さく嘆く。傍らに積まれた本は、彼女を護る要塞の如き有り様で――手元の本を溜息交じりに閉じると、溜息と共に要塞の頂きへと追加する。
「ねえイーリン、まだお眼鏡に叶う一冊は見つからない?」
 要塞の向かいからそっと首を伸ばし、『私の航海史』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)はイーリンへと声を掛ける。
 愛しい恋人から「デートしましょう」と誘いを受けたのは先刻の事で――世界からの贈り物が変わる前の自分なら、散歩に行く犬のように耳と尾を振っていただろう。そうして浮かれたウィズィではあったが、待っていたのは甘いひと時――ではなく、小柄な彼女がすっかり見えなくなる本の要塞。
「何処も魅力的ではあるんだけどね……あと一歩『足りない』のよ」
 どうやらイーリンはこの図書館にて次のデート先――ダンジョンを探しているようで。かくしてウィズィはかれこれ数時間、こうして放っておかれていたのだった。
(まぁ、退屈ではあるけど、本を読むイーリンの表情も、見てて飽きないし)
 ならば、気が済むまで付き合うとしよう――
「此処だわ、ウィズィ! 行きましょう、さあ、今すぐ!」
 前言撤回。勢い良く立ち上がったイーリンは、一冊の本を開いてウィズィへと見せる。
 古びた本に描かれているのは、洞窟――いや、鍾乳洞だろうか。二人の冒険者が、手を取り合い、時には剣を奮い奥へ奥へと進む様子が描かれている。
「『古来よりその迷宮の奥へ共に行くことは最大の贈り物とされていた』から始まるダンジョンなんて、二人で行くには面白いじゃない?」
 イーリンの真っ赤な瞳は、それは楽しげに燃えていて――ならば、ウィズィの答えはただ一つしかないのだった。

NMコメント

 リクエストありがとうございます、飯酒盃おさけです。
 ラヴァーズ・ラビリンス・ケイヴ。恋人達の迷宮鍾乳洞へようこそ。

●目標
 迷宮鍾乳洞の最奥へと辿り着く。

●迷宮鍾乳洞
『その迷宮の奥へ共に行くことは最大の贈り物とされていた』という言い伝えがある鍾乳洞。
 何やら最奥では、ロマンティックな光景が見られるとの噂です。
 装備の有無に関わらずランタンは準備しているものと扱いますので、視界はご安心ください。

・序盤
 非常に天井が低く、身を屈めないと進めません。
 足元に大きな亀裂があったり、壁を押すと鍾乳石が下から勢い良く生えてくることもあるのでご注意を。
 別れ道も多く、何らかの対策をしないと迷い続けてしまうでしょう。
 
・中盤
 開けた場所です。
 大量のコウモリ(至単HP吸収)や、時には大蛇(巻き付きによる拘束使用)が現れます。
 殲滅しているとじり貧になりかねない為、強行突破が得策でしょう。
 
・終盤
 一休みしたら、岩場を登って行きましょう。
 時にはどちらかが手を滑らせてしまうかもしれませんが……しっかりと手を取れば、きっと大丈夫です。

・PL情報
 最奥で待ち受けているのは、頭上から差し込む光に照らされた七色の鍾乳石のホールです。
 差し込む光がスポットライトのようになり、二人だけのステージを用意しています。
 そこで誓った愛は、きっと二人のこれからの祝福となるでしょう。

 その他、ありそうなトラップやアクシデントは自由にプレイングに記載してみてください。
 お二人らしく、このダンジョンを乗り越えてみてくださいね。

●備考
 この相談は、机に大量に積んでいた本を片付けながら作戦会議――というシチュエーションとなっています。
 余裕があれば、ちょっとしたRPを挟んでみるのも楽しいかもしれませんね。

 それでは、二人だけの楽しいダンジョンデートへいってらっしゃいませ。

  • ラヴラビ・ケイヴ完了
  • NM名飯酒盃おさけ
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月31日 22時55分
  • 参加人数2/2人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (2人)

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
騎戦の勇者
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ


「ふふ、まさか本当に迷宮(ダンジョン)があるなんて!」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)の赤き瞳は、ぽっかりと口を開け来訪者の挑戦を待つその入口を真っ直ぐと見据える。その表情は、まだ見ぬ迷宮の奥に何があるのか――そんな喜びで溢れていて。
 その横顔を頭一つ高い位置から見やった『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は困ったように眉を下げながらも、傍らの彼女への愛おしさを隠さない。
「ほんと、前の私ならこんなデート考えられなかったよ?」
「あら、それは私が変えたということかしら。光栄ね」
「まあね、私も今や冒険者だし……何より恋人が喜んでくれるんだもの」
(いつか、皆からも冒険者カップルって目で見られるようになりたいなぁ)
 町娘から、冒険者へ。そして傍らの冒険者と共に――ウィズィはそう、未来への願いを胸に抱く。
(二人で迷宮、ほんと思えば遠くに来たものね)
 傍らの冒険者――イーリンは、辿って来たいくつもの過去を思う。
「さ、行きましょ。私達が紡いだ物語に」
 ザックのベルトを握り締め、言葉を続けようと口を開きかけ――
「『神がそれを望まれる』?」
 続く言葉はこれでしょう? と言わんばかりのウィズィに、イーリンは表情一つ変えないまま彼女の眼前にと目いっぱい手を伸ばし――ぺちり、鼻を指で弾く。
「……痛っ、やっぱそのセリフ取っちゃダメだった?」
 鼻先を擦り、むぅ、と膨れるイーリンの顔には思わずイーリンの笑みも零れるもので。
 ゆるく頭を振り、予想されていたものは違う言葉口にする。
「神が……いいえ、私がそれを望むから」
「……最高、やっぱイイ女。そうだね、さあ、冒険譚を始めよう!」
 神が望むのではなく、彼女自身が望む冒険へ――さあ、行こう。


 意気揚々と洞窟に乗り込んだ二人は、幾度目かの分かれ道で立ち止まっていた。
「う、ずっと屈んでるから腰が痛い……」
「普段はその背の高さに助かっているけれど、こうなると私の身体の方が便利かしら?」
「いや、イーリンもさっきつっかえてたじゃん」
 そこ、と指す場所はしっかり着込んだ冒険装備ですら主張が感じられる場所。今でもすごいけれど、脱ぐともっとすごくて、そうこの前は温泉で――
「――そういうことね、解ったわよ」
「え、何か見つけた?」
 危うく習得していないはずの心眼が発動しかけたウィズィへと声を掛けたイーリンは、右の道へと躊躇なく進もうとする。理由を問えば、これ、と左の道を指す。
「こっち、よく見ると右とは違って何か強い力で掘られているみたいなのよ」
 狭い通路にぎゅう、と二人肩を寄せ合い地面を見れば、確かに自然の道というより「何らかが人為的な力で掘り進めた様子だ。
「おお、ってことはこっちが正解ってことだね」
 そういうこと、と満足気なイーリンは、手元の書に万年筆を留めると、ザックへと戻す。ここまでの道筋を詳細に――地図だけだはない、風や水の通り、不自然な窪み、そしてその道を選んだ理由と正誤。ありとあらゆる手掛かりを記載していたその書が、かちりとピースにはまる。そうして彼女は、この迷路を抜ける手立てを知るに至ったのだ。
「それじゃ、後は進むだけだね」
「えぇ、行きましょ……あら?」
 かちり。
イーリンが音の出所を見れば、手が壁の一部を不自然に凹ませていて。
 その瞬間にいち早く動いたのは、ウィズィだった。
「危ない!」
 身を屈めた姿勢から、一瞬で地を蹴り低い体勢のまま飛び出す。勢いのままイーリンを突き飛ばすと、二人もつれ合うように転がり――
「……ありがと」
「もう、何回目! 心臓いくつあっても足りないよ……まぁでもさ、何回だって守るし、何回迷ったってへこたれないけどさ」
 実の所、割れ目に落ちかけたり足を滑らせる恋人をこうして抱き留めるのも幾度目かで。
 前途多難。それでもウィズィは、絶対に幸せな結末に辿り着けると信じている。


「かい! ほう! かん!」
 腕を伸ばし、全身で迷路を抜けた喜びを表すウィズィ。隣のイーリンも、腰を左右に捻り身体を動かしている。
 狭い迷路を抜けた先は、岩肌が露出し、あちこちに乳白色の鍾乳石が生えている。脇道らしきものもなく、奥へと一直線に道が続いていた。
「このまま何事もなく奥へと辿り着ければいいけど……まあそうはいかないよねぇ」
「そりゃあそうよ、だってここは迷宮、ダンジョンだもの。それにウィズィ、図書館で読んだでしょう? 迷路を抜ければ待ち構えているのは――」

 ――キィーッ!

 イーリンの言葉を遮るように、目指す奥の暗闇から飛び出してきた無数の黒い影。そして地を這ってゆっくりと近付いてくる数匹の大蛇は、シュウ、と息を荒くする。
「そうだった、気抜いてられないんだった……」
「そうよウィズィ、頭を使ったら次は身体ってこと」
 剣を構えるイーリンに、肩を落としたウィズィも気を取り直すと愛用のナイフを構える。
「作戦は?」
「普段通りに」
「りょーかい。さあ、Step on it!! ツートップで行くよ!」
 言うやいなや、ウィズィは大きく――兎の如き跳躍力で跳ねる。薄暗い洞窟の中で、淡く光ったナイフをそのままコウモリの群れへと投げつけると、黒い影は勢いよく弾け飛んだ。
 縁を繋いだ者同士、呼吸を合わせてイーリンもそこへ滑り込むと、囁く魔書が手の中の剣へと力を送り込み――たった一撃をもって、小さなコウモリすら恍惚させる剣撃を放つ。
 続けて次の対象へいざ、と踏み込んだイーリンは道を塞ぐ大蛇へと、後の先たる剣の構えをし――
「ふふ、どうかしら惚れ直したかしらってきゃぅっ?!」
 それはもう「ファンブルとはこういうものです」と言わんばかりに滑ったイーリン。
転んだ先は大蛇の胴体部分。勿論大蛇も、獲物が飛び込んで来れば逃がすはずもなく。
「ちょっ……イーリン!?」
「やめなさ、こら、ん……!」
 湿った大蛇に締められたイーリンは、抜け出そうともがき服が捲れていく始末で――一瞬ごくりと喉が鳴るも、ウィズィは慌ててナイフを握り直し、大蛇へと飛び掛かる。
「イーリンを離せ、この!」
 ウィズィの真骨頂であり、必殺のその一撃。ナイフを振るう、ただそれだけの傷は致命傷となり――大蛇の胴を切り裂いた。
「けほ、助かったわ……!」
「お礼は後、まずは切り抜けるよ!」
 走って、走って、走り抜けて――


「イーリン、できたよ」
 ぱちぱちと爆ぜる火にかけた鍋から立ち上る湯気が、ゆらゆらと揺れる。
 休息で心身を休めることに秀でた冒険者二人は、崖を前に食事をとることにしていた。
「んしょっと……ここは平気そうね、うん」
 声を掛けられたイーリンは、岩場に刺したナイフを押し引きし強度を確認すると、ウィズィの元へと降りてくる。
「はい、これ。お手製」
 素朴な紙に包まれたサンドウィッチと、軽い金属ボウルによそられたスープ。
 二人並んで反り立つ岩場を見上げながら、いただきますと声を合わせ食べたそれは、走り続けた身体に優しく沁みる。
「あとはこれを越えたらゴールだね……何があるんだろ?」
「そうね……例えば天蓋とか? あ、うまっ」
「やった。貴女と出会ってもう1年、これ位は出来るようになったよ」
 思わず零れたその感想に誇らしげに返す姿に、イーリンも「出会ってから一年か」と笑みを返し――活力を取り戻した身体で、いざ最後の関門、壁登り。

「よっ、と」
「あら、初めてにしてはセンスあるじゃない」
「でしょ、いざとなったらイーリンだって助けちゃうんだから――てっわわあ!?」
「ふふ、どっちが助けるって?」
 軽口交じりなその言葉とは裏腹に、掴まれた手首は痛い程の力。
 互いに手を伸ばし、手を取り合って。
 そうして岩場を登って、辿り着いたのは――

「綺……麗……」
「――ああ、なるほど」
 壁を登り切った二人は、その瞬間理解する。
 ここが冒険のゴールである、図書館で読んだ本の一節なのだと。
 劇場のホールほどの広さの空間は、あの壁の先に有ったとは信じがたい程の天井の高さ。
 そして、その遥か頭上のたった一か所の穴から零れる光が、辺りに広がる乳白色の鍾乳石を照らし――全てを七色に染め上げていた。

「『古来よりその迷宮の奥へ共に行くことは最大の贈り物とされていた』なんてどんな宝物が待っているかと思ったけれど。えぇ、これは確かに贈り物ね」
 呼吸を整えながら土埃の付いた手を軽く払い、その右手を胸に当てたイーリン。
 その左手は一回り大きな手に取られ、反射的にほんの少し力が籠りかけるが――すぐに力を緩めると、するりと指が絡む。そうして指を絡み返し隣を見やれば、目を丸くしたウィズィがふへ、と気の抜けた顔で笑う。
「立ちはだかる壁を登れば、そこにはきっと『祝福』が待っている、だっけ。本当、世界の全てに祝福されてるみたいだね」
 それはまるで、この世全ての色を持っているかのようで。
 どちらからともなく、繋いだ手をそのままに光の射す一点――天然のスポットライトの下へと、歩幅を合わせて進む。照らされたそこで二人頭上を見上げ、目線を下へと戻せば――互いにぱちり、目が合う。
「身に過ぎた幸せだなんて言ったら、怒る?」
「んー、怒りはしないけど。もっと幸せになろうよ、二人で」
 だから、とウィズィは呟く。
「また、こうして……二人で‪──‬」‬
 二人で、の続きは重ねた唇に乗せて。
 ここまでの道のりでカサついた、色気も何もない唇だけれど――きっと、伝わる。
「ええ、またこうして」
 その瞳よりずっと赤く頬を染めたイーリンは、もどかしげに、けれど心底幸せそうに微笑む。その表情は、二人だけだからこそ見せるもの。
(ここで愛を誓うんじゃない、誓った結果がここなんだ)
 そして、その誓いは、これからもずっと。
 ウィズィが繋ぐ手に力を籠めると、同じだけの強さで握り返された――

成否

成功

状態異常

なし

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