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シナリオ詳細

<魔女集会・前夜祭>不思議な倉庫の大きな冒険

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔女たちの誘い

『今回の集会の会場は幻想よ』
『魔女集会で会いましょう、私の可愛い夜の子供達』
『ワルプルギスより』
 ――とある魔女へ送られた招待状より。

 『夜(ナハト)』、と呼ばれる魔女たちの集団が存在する。
 魔女たちは、時折『魔女集会』と呼ばれる集会を開き、集う事があるのだ。
 それは、怪しげな邪教の宴――という訳ではない。主には情報交換や交流、歓談が目的の健全なものであり、実際、イレギュラーズ達の中にも、夜(ナハト)に所属し、魔女と呼ばれる、と自ら語る者たちがいる。
 此度語られるのは、そんな魔女にまつわる、一つの冒険の物語だ。

「魔女集会に必要なアイテムを回収する、ですか……」
 『胡散臭い密売商人』バルガル・ミフィスト (p3p007978)は、手元の手紙を見つめながら、そう言った。
 幻想の、とある街にある、小さな倉庫。見るからにみすぼらしく、事情を知らないものが見れば廃墟と見まごうその倉庫の前に、八名のイレギュラーズ達が集合していた。
 手紙に記された言葉は短い。
『可愛い可愛い夜の子供たち、私達のお願いを聞いてちょうだい』
『「魔女の水晶玉」、「魔法の鍋」、「儀式用の皿」。この三つが魔女集会に必要なの』
『必ず八人で、取りに行ってね』
 それは、夜(ナハト)に所属する魔女からの、物品回収の依頼である。そのため、指示通りに八名のイレギュラーズが集まったわけだが……。
「それにしたって、八名は多すぎないか?」
 『カースド妖精鎌』サイズ (p3p000319)が声をあげる。その言葉通り、幾ら倉庫内が散らかっていたとして、歴戦のイレギュラーズを八名、と言うのは大げさが過ぎる。前述したとおりに、倉庫は小さい――小屋、と言っても差し支えないほどに。そもそも八名が全員はいれるのか、と言う所から怪しいほどなのだ。
「とは言え、八名、という指示があった以上、何かあるのだろう。例えば、魔法のゴーレムが警護についている……とかね」
 『雷光・紫電一閃』マリア・レイシス (p3p006685)がゆっくりと頷きながら、そう告げる。依頼主は、魔女だ。その中には強大な力を持つ者もいるだろうし、そのような相手から八名で、と指示があったのは――魔女の気まぐれ、と言う可能性もあるが――何か理由があるのだろう。
「とにかく、入ってみようか。中を確認しないと、なんとも言えないからね」
 『箱庭の魔女』ユメ (p3p007344)の言葉に、仲間達は頷く。ユメもまた頷いて、倉庫の扉を開けて、中を覗き込み――頭を振って、しめた。
「なるほど、なるほど――これは一筋縄ではいかないね」
 苦笑する、ユメ。
「何か奇妙なことが御座いましたか?」
 『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻 (p3p000824)が尋ねるのへ、ユメは静かに、中を除くように促す。
 幻が中を覗いてみれば、
「――なるほど」
 思わず苦笑するしかないような光景が、そこには広がっていた。
 まず、端的に言って、中は様々なものが積み重なっている――そこまでは予想済みだ。問題は、中が、『異様に広かった』という点にある。
 入り口は、確かに小屋のような倉庫――しかし中は、二階建ての屋敷のようにも思えるほどだ。一瞬、脳が現実を認められないような感覚を覚える。果たして、魔女のギフトか、魔法の力か――空間を捻じ曲げたのか、あるいは外から見える景色自体がフェイクなのか。理由は不明だが、なんにせよ、この屋敷のような光景こそが、真実の『魔女の大倉庫』なのだろう。
「ハ、ハハハ! 流石は魔女の依頼だな! これは確かに、八人は必要であろうよ」
 『虚言の境界』リュグナー (p3p000614)が楽しげに笑いながら、そう告げる。八人……それでも足りぬかもしれない。それに、マリアの言葉どおり、何らかのトラップや、護衛の類も警戒するべきであろう……まったく、見かけとは裏腹に、厄介な依頼であるようだ。
「こうなると……早い所、探し始めた方がいいだろうな。日が暮れてしまう」
 『特異運命座標』不動・醒鳴 (p3p005513)がぼやく。そしてその言葉は、仲間達も想いを同じくするところであった。この屋敷を八人で。しかも、おそらく妨害ありで……となれば、ちょっとした冒険に値するミッションなのだから。
「じゃあ、さっそく始めようか。探すのは、「魔女の水晶玉」、「魔法の鍋」、「儀式用の皿」……OK、全部見つけて、ミッションクリアだね」
 『混ざり切らない灰色』カティア・ルーデ・サスティン (p3p005196)の言葉を合図に、イレギュラーズ達は魔女の大倉庫へ、その一歩を踏み入れたのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 此方の依頼は、魔女たちからの依頼(リクエスト)により発生した事件になります。

●成功条件
 「魔女の水晶玉」、「魔法の鍋」、「儀式用の皿」の回収

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●状況
 魔女たちから突如送られてきた手紙。
 そこには、倉庫から三つの物品を回収してきてほしい、と言う依頼が記されていました。
 現地に向かったイレギュラーズ達を待ち受けていたのは、大きな屋敷のような大倉庫。
 皆さんは、あちこちに物が詰まれ、魔法的なトラップと倉庫番が徘徊するこの大倉庫を探索し、見事三つの物品を見つけ出して回収しなければなりません。
 倉庫は、大きな豪邸のような広さを持っています。一階部分には6か所ほど、二階部分には4か所ほどの部屋があり、廊下や部屋には魔法生物が徘徊し、侵入者を迎撃してくるようです。
 また、各所や詰まれた物品には魔法的なトラップが仕掛けられており、その種類は笑えるものから、ちょっと笑い事では済まないものまで、色々とあるようです。
 とはいえ、流石に死ぬほどのようなものではないようで、仮に失敗しても、倉庫からつまみ出される程度で済みそうです。

●エネミーデータ
 詳細は不明ですが、以下のような魔法生物が、中を警護しているようです。

 マジックゴーレム
  魔法で生み出されたゴーレム。生命力と攻撃力に長けていそう。

 オートマタ
  魔法で生み出された機械人形。俊敏さに長けていそう。

 人工精霊
  魔法で生み出された精霊。遠距離攻撃や各種属性に応じたBSに長けていそう。

 以上となります。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。

  • <魔女集会・前夜祭>不思議な倉庫の大きな冒険完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月15日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)
グレイガーデン
不動・醒鳴(p3p005513)
特異運命座標
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ユメ(p3p007344)
箱庭の魔女
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
シャドウウォーカー

リプレイ

●魔女の大倉庫
 さて、イレギュラーズ達が足を踏み入れたのは、大きな洋館のようにも見える、魔女の大倉庫だ。
 入り口の大ホールには二階へと続く大階段があって、左右には奥へとつながる廊下が見える。
「まずは、一階部分から探索いたしましょう」
 『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)の言葉に、仲間達は頷く。魔女たちからは、取ってくる物品の指示こそされたものの、それがどこにあるかは教えられていない。となると、結局端から端まで探し回るのが、一番の近道という事だ。
「この倉庫……まさに奇跡と言ってもよい。魔女様とは、奇跡を起こす事のできる――真の奇術師、なのでしょうか」
 幻の言葉通り、外からはうらぶれた小さな小屋にしか見えなかった倉庫の中は、このような豪邸じみた建物だったわけである。まさに奇跡的と言える術だ。魔女と言う者たちの力は底知れない。
 真の奇術師とは、真実、奇跡を起こすものである。幻にとっての奇術師の定義に則るならば、魔女とは真の奇術師であるのかもしれなかった。それを確認するためにも、前夜祭を終わらせ、魔女たちに直接相対しなければならない。
 そのためには、今回の依頼もスムーズにクリアすることは必要だろう。
「とりあえず、左側の廊下から行こうか。迷ったら左、なんてな」
 と、『特異運命座標』不動・醒鳴(p3p005513)。仲間達は頷くと、ホールを抜けて左手の廊下へ。奥には長い廊下が続いていて、魔力でともしているのか、消えぬ燭台があたりを照らしている。倉庫という事もあってか、窓は見受けられない。
「……音が聞こえるな。何かが動いているような……」
 聞き耳を立てていた醒鳴の言葉に、頷いたのは『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)である。
「ならば、多分護衛の類がいるんだろうね。倉庫整理って聞いてたけど、なんだかダンジョンの探索じみて来たなぁ」
「クハハハハ! 故に場数を踏んだイレギュラーズを呼び出したのだろうよ!」
 『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)が笑う。確かに、倉庫の捜索には、ある程度の実力を持ったメンバーが必要と言えるだろう。ロクに情報も与えず放り出したのは、魔女からの信頼か、あるいは試練か、それとも遊び心だろうか?
「いずれにせよ、究極的に言えばただのモノ探しだ。我らが束になってかかれば、突破できぬこともあるまい。せいぜい楽しむとしようではないか!」
 そう、イレギュラーズ達が力を合わせれば、この程度の試練は試練たりえないはずだ。一歩を進んだイレギュラーズ達の前方から、ずず、ずず、と巨大な何かが身体を引きずるような音が聞こえる。
 それはやがて燭台の明かりに照らされて、その姿を現す。それは、2mほどの大きさの、ゴーレムだ!
「でたね、警備係だ!」
 『雷光・紫電一閃』マリア・レイシス(p3p006685)が、その身に雷を纏う。ばぢん、と紅い雷が爆ぜ、マリアが戦闘態勢に入ったことを周囲に知らせた。
「探索をしなくちゃならないことも考えると、あんまり時間をかけてらんない! みんな、一気に決めよう!」
 マリアの言葉に、仲間達は頷いた。そして、ゴーレムへ向けて駆けだす!
「その力、封じさせてもらうよ!」
 『混ざり切らない灰色』カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)が封印術式を練り上げ、解き放った。ゴーレムに直撃した術式が、その動きをわずかに鈍らせる――次の瞬間に、
「さぁ、ショウの始まりで御座います!」
 幻の奇術が花開いた。想い人の夢を見せるという奇術は、ゴーレムに何を見せたのだろうか? あるいは創造主の夢を見せたのかもしれない。いずれにしても、脳裏に突如浮かんだイメージに、ゴーレムが混乱した様子を見せる。
「これで、フィニッシュだ!」
 マリアの放つ、紅の雷を纏った飛び蹴りが、居合斬りめいて神速のヒットをゴーレムに与える。一撃目で胸部を破壊し、二撃目で頭部を蹴り上げ、粉砕した! 頭部を失ったゴーレムは、ぐらり、と身体を揺らすと、そのまま地に倒れて、バラバラに砕けた。
「よーし、絶好調だね!」
 にっこりと笑うマリアに、仲間達も笑顔を返す。みごと警備係を倒した仲間達であるが、このゴーレムだけがその全てという訳ではない。いずれにしても、警備係の討伐だけが、この任務の目的ではないのだ。
 ゴーレムの残骸の近くには、一つの扉がある。倉庫か、次なる廊下であるのか。それは、開けてみなければわかるまい。
「うむ。では、手始めにこの扉から開けてみるか」
 リュグナーの言葉に、仲間達は頷く。
「警備係がいるかもしれない。気を付けて」
 醒鳴の言葉に、リュグナーは頷いた。ゆっくりと扉を開く――果たしてそこに、警備係の気配はなかった。だが、部屋は暗く、何があるかは判別できない――と、イレギュラーズ達が思った瞬間である。ぼっ、と音がするや、壁にかけられていた燭台が次々と明かりをともした。人が来たのを感知し、オートで明かりをともす魔法がかけられていたようだ。
「驚かされるなぁ……さすがは魔女って所だね」
 カティアが言う。仲間達も、おおむね同意する思いだ。
 部屋の中は、イレギュラーズ八人が入り込んでも、なお広い、と感じる程度には広大なものである。つくづくスケール感が混乱するが、これも魔女の奇跡の一つなのかもしれない。
「ここから探すのか……」
 思わずぼやくカティアに、しかし上機嫌なのは『箱庭の魔女』ユメ(p3p007344)だ。
「ああ! ああ! なんと素晴らしい世界だろぅね! こんなにも愛すべきガラクタに囲まれることはそうそうないだろう!」
 両手を広げて、その感激の度合いを現す――確かにユメの言葉通りに、周囲には目的不明のがらくたにしか見えないものが、山ほど積み上げられている。
「ああ、聞こえる、聞こえる――彼らの声が。ふふ、ふふ。そうだろうそうだろう、ここはとても良い所だ。ああ、聞き給え! 皆が歓迎の歌を歌ってくれているよ!」
 放っておいたら、その歌とやらに乗って踊りだしかねない。それほどに、ユメのテンションは高く上がっている。よっぽどこの場所が気に入ったのだろう。
「まぁ、ユメ君ほどではありませんが、気持ちが上がるのは分りますよ」
 『胡散臭い密売商人』バルガル・ミフィスト(p3p007978)が言う。
「一般人からしてみれば、魔女由来の品を見られるというのは貴重です。密売……いえ、商売人としても、血が騒ぎますよ」
 にぃ、と笑うバルガルである。
「なんにしても……とにかく、倉庫の探索を始めよう」
 サイズが言った。
「……ついでに、整理もしてあげた方がいいのかな」
 そうぼやくほどに、辺りは雑然としていた。

●倉庫番イレギュラーズ
 一つ目の部屋の捜索を終えて、次の部屋へ。時には戦い、次の部屋の捜索へ。イレギュラーズ達は、順調に、探索を進めて行った。
「うんうん、ここは心地いい場所だね。ああ、上に物が詰まれて苦しいのかい? 助けてあげようねぇ」
 ユメが笑みながら、床に雑然と置かれていたガラクタの一つを持ち上げる。下から姿を見せた物品を愛おし気に撫でながら、ユメは次なる物品との対話に熱中していた。
「思った通り……いや、それ以上に骨が折れるね」
 サイズがぺたり、と物品にタグ付けしながらつぶやく。これでも整理は半分ほども終わっていない。諦めるべきか。でも、中途半端に手を付けてしまったから、終わらせないとなんとも気持ちは悪い。
 問題は、その数の多さもさることながら、時折仕掛けられた魔法的なトラップの数々である。そのほとんどが笑い事で済むようなものであったが――例えば、
「んにゃっ!?」
 マリアが声をあげる。その方を見れば、マリア目がけて水鉄砲のようなものが虚空の魔法陣から発せられて、顔面をしとどに濡らしている。
「うう、びしょびしょだよぉ……」
 濡れた顔を、ハンカチで拭うマリア。このような、子供のいたずらのような物もあれば、触れた瞬間に倉庫内のどこかへ飛ばされるようなものまである。
 幸いにして、そういった重篤なトラップには引っかからずに探索を進めて行ったイレギュラーズであるが、それを見極めるためには相応に気力が必要と言う物である。
「成程、このような仕組みが……面白い」
 くく、と笑いながらトラップを解除するリュグナー。目の前に魔法陣が浮かび上がり、ぱりん、と割れて消えた。これで、トラップ解除、という事の様だ。
「魔女の気まぐれにも困ったもんだな」
 苦笑しつつ、入り口から警備係の登場を警戒する醒鳴。幸いにして、警備係の姿は今の所見えないから、物品の探索に集中できた。
 物品に仕掛けられたトラップ以外にも、倉庫そのものの不可思議な形状が、イレギュラーズ達の精神を疲労させていった。例えば、ネズミがようやく通れるくらいの小さな扉があった。これは飾りか何かかと思えば、触れた瞬間、扉の向こうへと瞬間移動していたりする。
 とにかく気が抜けない。これに加えて、先ほども登場した警備係が居たり、物品にトラップがしかけられたりしているのだ。流石に疲労もたまっていくという者だろう。
 しかしイレギュラーズ達も、そこは歴戦の勇士たち。どうにかこうにか『魔女の水晶玉』を見つけ、次なる部屋へ。
 そこは食堂である。儀式用とは言え、皿があるなら食堂だろう、という気持ちで立ち入ったわけだが、そこでもイレギュラーズ達は目を見開くことになる。
「皿が……浮いてる……」
 カティアが思わず、声をあげた。食堂には様々な種類の皿が、ふよふよと浮遊して、あちこちを漂っている。まるでポルターガイストか、奇術の類か。
「一つ一つ、割らないように探すと致しましょうか」
 幻が苦笑しつつ、そう言うのへ、仲間達もうなだれつつ、頷いた。
「聴こえているかい、君達の出番はもうそこまで来ているよ。さあ早くみんなの前にお披露目しなくちゃあね!」
 しかしながら、元気なのはユメである。やはりこの倉庫の構造、置かれている物品の類が、ユメのテンションを高らかに上げていた。浮かぶ皿、一枚一枚を愛おし気に撫でつつ、『儀式用の皿』を探して食堂を歩く。
「ふむ、魔術とは関係ないものはあれど、どれも貴重な品のようですね」
 バルガルがふむ、と唸った。しまわれていた物品も、価値のあるものから貴重なものまで。バルガルの鑑定眼が光る。とはいえ、価値は分れど、すべてお預けなのが少々辛い。
「一枚くらい持って帰っても……いえいえ、冗談ですよ」
 自分に言い聞かせるように、頭を振るバルガルである。密売人……いや、古物商としては、お宝の山をここに眠らせておくのは、辛かったりするものだ。
「さておき、探すなら奥の方でしょうね。儀式用ならば、さほど頻繁には使わないはず……となれば、しまい込むなら奥の方です」
 バルガルの言葉に、イレギュラーズ達は食堂の奥へ。最奥の暖炉に近くに浮いている何枚かの皿を丁寧にどかすと、暖炉に飾られていた大きな皿が目に映る。
「いや、本命は浮いてないんですか……」
 バルガルが苦笑しつつ、飾られていた皿を取り出す。
「ああ、ああ、間違いないね! この子が儀式に用いる皿だ」
 その皿の声を聴いたユメが頷く。こうしてイレギュラーズは、二つ目の物品を手に入れたのである。

●最後の探索
 きりきり、とオートマタが二階の廊下を飛び回る。壁を蹴り、天井を蹴り、イレギュラーズ達を包囲せんばかりに後方へ。
「おっと、速さにはそれなりに自信があるのさ!」
 追う紅雷――マリアがオートマタの前方へと先回りして、蹴りの一撃で叩き落した。
「バルガル君! ユメ君! 確保した物品が壊されないように守ってくれ!」
 醒鳴が叫び、黄色い人工精霊へと迫る。放たれる雷を回避しながら、空中へと飛びあがり、落下の勢いを乗せたままの飛び蹴り――ダイコンライダーキック! 蹴りが精霊のコアをたたき割り、雲散霧消させる。
「呼んでおいて随分な歓迎ではないか。――悪いが少し、大人しくして貰おうか」
 残るオートマタへ、リュグナーの蛇影が迫る。赤黒いそれは、オートマタを縛り上げると、そのまま粉々に粉砕してしまった。
 幾度目かの警備係との遭遇。イレギュラーズ達も相応に傷ついていたが、とはいえ、イレギュラーズ達を全滅させるには遠い。
「さて、次の扉ですが……」
 ふぅ、と額の汗をぬぐいつつ、幻が言う。次なる扉は、一見すると何の変哲もない扉。とはいえ、それでも油断はできないのがこの倉庫が魔女の倉庫たるゆえんなのだが。
「よし……じゃあ、開けるよ?」
 カティアが扉を開く――果たしてそこには――拍子抜けするくらい普通の倉庫の光景があった。
「おっ……と?」
 思わずカティアが声をあげる。今まで異常過ぎて、あまりにも普通の光景に、逆に驚いてしまったのだ。
 とはいえ、未だ油断はならない。一行はゆっくりと中に侵入する。内部は相応に広い。八人がそれぞれ別行動できる程度には。屋敷のサイズから考えると、確かにこれだけの広さの空間が二階にあるのはおかしいのだが、比較的おとなしめの異常に、イレギュラーズ達も些か慣れが発生していたのかもしれない。
「これなら、普通に探すだけで済みそうだ」
 醒鳴が言うのに、仲間達は同意する。とはいえ、トラップには充分気を付ける必要はあるのだが。
 一行は各々、探索を開始する。
「鍋は……あんまり、箱に入れたりしないよね。布に包んでるのかな?」
 カティアが言う。其れらしいものを探せばいいだろうか。とはいえ、それらしいものを探すだけでも、時間はかかりそうである。
「まぁ、制限時間はないんですし、ゆっくり、慎重に探しましょう」
 バルガルの言葉に、一同は頷いた。
 ユメのギフトを駆使し、それらしいものの声を探る。積み上げられたガラクタの奥から引っ張り上げて、照合する。
 これを何度も繰り返した。時には罠を回避し――たまにしょうもない罠に引っ掛かって。小一時間ほど、ワイワイと騒ぎながら探索を続けた。
 果たして――埃まみれになりながら、イレギュラーズ達は一つの大きな鍋を見つける。
「ふむふむ、そうかぁ。キミが『魔法の鍋』なのだねぇ!」
 ユメが笑った。
「これにてすべての物品がそろったわけだ! 喜びと共に、些かの寂しさを感じるよ。ワタシはここを去らなければならない……!」
 感極まったように両手を掲げるユメ。ユメにとっては、ここを去る事は、些か惜しむべき事態なのだろう。とはいえ、他のイレギュラーズ達にとっては、ようやく仕事の終了だ。確かに不思議な空間であったけれど、あまり長居したいとは思わないかもしれない。
「では、ユメ様、バルガル様。アイテムの確保をお願いいたします。これより帰還しますが、まだ警備係がうろついていないとも限りません」
 幻がそう言う。帰り道こそ油断してはならない。一行は倉庫から抜け出すと、一階へと続く廊下を進んだ。

 アイテムを手に入れたわけだが、警備係はそれで帰してくれる、と言うプログラムをされているわけではないらしい。徘徊する警備係を、時に戦い、時にやり過ごした。
 そのまま、廊下を抜けて、ホールへと戻ってくる。中央の大階段を下りて、一階へ。あたりを警戒しつつ、警備係が居ないことを確認し、ほっと一息。
「何とか……これで、依頼達成かな」
 サイズが声をあげるのへ、一同は頷く。
「ふむ、中々楽しめたな! 息抜きにはちょうど良い仕事であったよ」
 クハハ、と笑うリュグナーである。
「それにしても、どうしてこんな複雑な倉庫をお作りになられたのでしょうね。自分で取り出す手段はお考えにならなかったのでしょうか? ……その手段こそが、僕達なのかもしれませんが……」
 ふむ、と幻が首をかしげる。あるいは魔女なら、もっと手軽に探すことができるのだろうか? それともこの依頼自体が、魔女の気まぐれだったのか――それは、魔女自身に聞いてみなければわからないだろう。
「なんにしても、すごい所だったね。流石に疲れたよ」
 カティアが苦笑していう。探索開始から、結構な時間がたっているはずだ。
「……それに、この中の時間が、外と一致しているとは限らない……そんな気もしてしまうね」
「外に出たら、三日くらいたってるかも、なんて? 勘弁してほしいなぁ」
 マリアが笑う。流石にそう言う事は無いだろう。ないのだが、そんな気がしてしまうのが、この倉庫の不思議な所と言えるだろう。
「ああ、ああ、夢の世界はもうおしまいかな。アタシの天国が。ああ。ああ」
 両手に物品を抱えながら、ユメががっくりとうなだれる。やはり、ユメにとってはこの不思議な倉庫は天国のような場所だったのだろう。
「まぁ、今度は魔女にお願いして、警備係や罠を解除してもらってから遊びに来るのがいいだろうなぁ」
 その様子に、醒鳴が苦笑する。確かに不思議て興味深い場所ではあったが、警備係と罠をやり過ごすのは厄介だ。
「それでは、帰りましょうか、皆さん」
 バルガルの言葉に、仲間達は――ユメも渋々――頷いた。
 ゆっくりと、入り口の扉を開く。
 そこには、今までの不思議な空間が嘘だったみたいな、いつも通りの幻想の通りの光景が広がっていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 リクエストありがとうございました。
 不思議な倉庫の冒険は、無事に完了しました。
 魔女たちも、皆さんの冒険の結果に、満足していることでしょう。

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