PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ゴーン・オブ・ザ・デッド

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●おじさんゾンビ紀行

「クソッ! 解った! 行ってやる……行けばいいんだろう!」

 男は受話器に向かって怒鳴ると、それを思い切り本体に叩き付けた。
背後に置いてある巨大な楽器ケースを一瞥し、そしてイライラと豪華な書斎の中を歩き回る。
 ふと、思い立ったように窓際に歩み寄り、カーテンをの隙間から外を覗き見れば──その視界に飛び込んで来るのは今朝と変わらぬ光景。
 我が家の玄関先を徘徊し、門扉を揺らすゾンビの群れだ。
 視線を遠くに飛ばしても、見えるのは閑静な住宅街の路地を埋めるゾンビ、またゾンビ、そして常にゾンビ。時々、生きている人間。そしてゾンビに食われている人間。
 溜息を一つ零し、また別の窓に歩み寄る。
 そこから見えるのはこの豪邸の庭と……その庭を徘徊する、彼を目的地まで連れ出すはずだった側近達の、すっかり変わり果てた姿であった。
 まるでB級パニック映画のような光景だが、これは彼にとって紛れも無い現実。
 男は革張りの椅子に深々と座り、デスクの引き出しから断って久しい煙草を取り出し、火を着けた。
 深々と一服した所で、禁煙の為に灰皿を置いていない事を思い出すが、この頭を抱えるような事態の前では、そんな事はどうでも良い事だと思い直す。

 男は、無実の罪で起訴されていた。
なんとか拘留を逃れ、海外へと密出国する手はずに奔走した。コネクションをフルに活用し、危険を承知で怪しい裏社会の連中と接点を持ち、金も随分つぎ込んだ。
 それも、全ては自身の潔白を証明する為に。
 この国に居ては、彼を嵌めた人間のほうが圧倒的に多くのコネクションを持ち、遥かに優位に立ち回れる。
 一度海外に出て体勢を立て直し、自身の潔白と、そして彼を陥れた人間が居る事を暴かなければならない。
 
 そして今日、この日こそ、逃し屋と合流して、この国を旅立つはずだったのに!
少し前から起こっていた感染症が、まさかゾンビウィルスだとは誰も思わなかっただろう。そもそも、ゾンビなんてものが実在する事自体が信じがたい。
 まぁ、街がゾンビだらけになったのはいい。いや、良くないが、そうなってしまった物は仕方が無い。だがどうして、なんでよりによって今日なんだ!

 男はデスクで煙草をもみ消すと……本当に頭を抱えてしまった。


●ゾンビランドへようこそ

「──と、言う訳で、この困ってるおじさんを助けて欲しいんだ」

 境界案内人、カストルは困ったような笑みを浮かべてイレギュラーズ達を見回しました。

「彼の名前はカルトス。この世界の敏腕のビジネスマンで、多くの企業に携わって来た人物だ。
 今回も、経営不振に陥っていたとある大企業の経営責任者に就任して、ものの数年で立て直して見せた切れ者……とはいえ、今回は少しばかり“切れ過ぎた”みたいでね。
 彼が経営責任者になる前からその会社に居た重役の一人がキレちゃって、彼に濡れ衣を着せて陥れようとした。
 その謀略の手を逃れ、海外逃亡する予定だったんだけど、その当日になって謎のゾンビウィルスが蔓延。街はゾンビで溢れちゃった、って訳。
 彼を海外に出す逃し屋は、彼の家から1.6kmの距離にあるパブに居る。そのパブまで、このおじさんを連れて行って欲しいんだ。
 君達は、カルトスには逃し屋が手配した人材、逃し屋にはカルトスが手配した人材、という事で通るようになっている。
 彼は本当に無実なのかって? ああ、それは大丈夫。彼の潔白は僕が保障するよ。別に僕と名前が似てるからって訳じゃない。
 とは言え、彼の潔白は僕達がこの世界を外から観測しているから解る事。この世界の司法がその事実を知るには、少しばかり時間がかかると思う。何せ、ゾンビパニックの真っ最中でもある事だし。
 この世界は魔法も無ければ魔種も居ないけど、同時に何の力も無い人々の世界なんだ。
そんな場所にとって、これは結構な大事だよ。だけれど──」

 そこで一息間を取って、カストルはにっこりと笑います。

「君達イレギュラーズにとっては、どうって事ないだろう?」

NMコメント

オープニングをご覧頂きありがとうございます。
皆様始めまして、当LNでデビューとなります、NMのあんきも鍋太郎と申します。
本オープニングは99分の上映時間と1.5リットルのペールエールで出来ています。

●目標
楽器ケースに隠れたカルトスを、家から1.6km離れたパブまで運んであげてください。

●世界観
概ね、現代の日本の高級住宅地をイメージして頂ければと思います。
突如謎のゾンビウィルスが蔓延し、ゾンビで溢れています。

●状況
現在、カルトスは自宅の3階にある書斎に居ますので、そこからのスタートとなります。窓を割って入って来たり、天井から落ちて来たりと、格好良くカルトスの前に登場しましょう。
乗り物をお使いになる場合、大型の物は屋内に乗り込む事は難しいので乗り物の場所まで連れ出してからの移動となります。
また、表通りには自動車が乗り捨ててあるので、それも活用して頂けます。
カルトス邸の門扉の前には詰め掛けていた報道陣がマスコミ・ゾンビと化して生前と同じような行動を取っています。
庭には使用人ゾンビが居ますが、こちらは少数です。
パブまでは大通りを行くか、個人宅の庭先や裏路地などを駆使して行く事が出来ます。
前者は広い道で舗装路なので移動が速く乗り物も使い易いですが、目立つ上にゾンビの数が非常に多いので大変です。
後者はゾンビの数は少なく目立たずに移動出来るものの、塀や生垣等の障害物が多く、大型の乗り物は入り込めない上、細い路地では挟み撃ちにあう危険性があります。
いずれにせよ、人間が一人入った重く巨大な楽器ケースを持ち歩かなければならない、という点に留意が必要です。
時間帯は昼となります。

●パブについて
「レミントン」という屋号の、トラッドな英国風パブです。玄関をノックすれば入れてくれます。
パブという店柄、ドアや窓が頑丈で、食料とお酒がある事から、何人かが避難して来ているようです。飲みに来ているだけかもしれません。
冷えたビールと常温のエールがあります。ソフトドリンクもあります。仕事終わりに一杯やるのも良いでしょう。地球ではないので全席喫煙可です。
ゾンビパニックの最中ですのでお会計については誰も気にしません。

●ゾンビについて
わずかな悲しみを湛えた虚ろな目をしています。
両手を前に突き出して「う~」とか「あ~」とか唸りながらそこらじゅうをゆっくりと徘徊しています。
生きている人間を見ると肉を喰らおうと襲い掛かってきます。
知能は無く、走りもしません。連携はしませんが「全ての固体の行動原理が完全に同じ」という点には注意が必要でしょう。
四つん這いのやたらすばしっこいのや、巨大で頑丈な固体等はおりませんのでイレギュラーズの皆様にとっては恐ろしい相手ではありませんが、活動を停止させるには首を切り落とすか脳を破壊する必要があります。

●登場人物
・カルトス
66歳の男性。ごく普通の人間です。
世界を股に駆けるメガビジネスマーンでしたが、いろいろあって無実の罪を着せられピンチです。
逃がし屋を雇い、国外逃亡の予定でしたが出発当日になって街にはゾンビが溢れてしまいました。
パニックのせいか、当初のプランに固執しているようで、楽器ケースの中に隠れて皆様に運んでもらいます。何故楽器ケースなのかは判りません。

・逃がし屋
バミューダパンツにアロハシャツ、サングラスにストローハットをかぶった初老の怪しい男性です。
待ち合わせのパブに到着していましたが、ゾンビが街に溢れたためカルトスを迎えには来てはくれないようです。
パブから先については、ゾンビが居ても平気な手段があるようで、パブにさえ着けば彼が何とかしてくれます。

●サンプルプレイング
さっさと片付けて一杯やるぜ。
窓からカルトスの部屋に入り、奴を楽器ケースに詰め込み、表に出てゾンビを蹴散らし、車に乗り込んでパブまで飛ばし、冷えたビールを飲む。
完璧なプランに乾杯だ。

●最後に
このLNはフィクションであり、実在のCEO、自動車メーカー、ショッピングモール、血とアイスクリームとは一切関係ありません。

それでは、皆様のご参加と素敵なプレイングをお待ちしております。

  • ゴーン・オブ・ザ・デッド完了
  • NM名あんきも鍋太郎
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月13日 22時01分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

只野・黒子(p3p008597)
群鱗
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
蓮杖 綾姫(p3p008658)
悲嘆の呪いを知りし者

リプレイ


 コン、コン。
 静まり返って居た書斎に響き渡ったノックの音に、カルトスは顔を上げた。この邸内、いや、少なくとも1.6km先までは、ノックなどというマナーを保っているような者は存在しないはずだ。
 いったい何者が……と思った次の瞬間。細切れになったドアが室内に吹っ飛んできた。
 かなり大胆に開かれたドアから、直剣を携えた『放浪の剣士?』蓮杖 綾姫(p3p008658)が入ってくる。その後ろに「せっかくノックしましたのに……」とボヤく橋場・ステラ(p3p008617)と、グリーフ・ロス(p3p008615)が続く。

「な、なんだね、君たちは」

 突然の闖入者に、カルトスは立ち上がる。その立ち居振る舞いには、グリーフの瞳を持ってせずともはっきりと「狼狽」という感情を読み取る事ができた。

「カルトスさん、私達はパブまでの護送を請け負って参りました」
 
 綾姫が一歩前に出て言う。護送を請け負う? 外はこんな状況なのに、女性が三人で?

「護送……? 君たちが、私を?」

「綾姫さんの言う通りです。ところで、そもそもの脱出計画の為に、車両の用意があるのではないですか?」

「一階のガレージに下りれば私の車があるが、ガレージからでは正門にしか車は出られないし、正門はあのザマで……いや、そうではなくてだな!」

 カストルはステラの質問に律儀に答えはしたが、状況は飲み込めていないようだ。言いたい事は山ほどあるが、何を言えばいいのか解らないという様子だ。

「車があるなら何よりです。それに、正門については問題ありません」

 ステラは窓際に行くと、勢い良くカーテンを開ける。どういう事かと歩み寄ったカルトスが窓から外を見ると、正門の前に地味な灰色のセダンが滑り込んで来た。
 『群鱗』只野・黒子(p3p008597)がハンドルを握るそれが近付くと、門扉に集っていたマスコミ・ゾンビ達は何かに取り憑かれたようにセダンに群がって行く。
 ゾンビの群れを引き連れてゆっくりと発進して行くセダンを見送ったカルトスが、三人を見回す。あまりの急展開に、すっかりと呆けてしまっていた。
 「失礼します」という綾姫の声にそちらを向いたカルトスの頬に、軽い平手打ちが飛んだ。そしてその手が、緩んでいたネクタイを締めなおす。

「かの企業のトップがこれでは少々見苦しいのでは?」

 その言葉に彼はハッと我に帰る。そうだ。危機的状況は今回が初めてでは無い。投機的投資、博打スレスレの人事。並みの経営者では取れない大胆な手法で、厳しいビジネスの世界を戦い抜いて来たのではないか。どの道、自分一人ではどうしようも無いのだ。それならば、降って沸いたこの希望に賭けてみるべきだ。この博打に勝って生き延び、自らの汚名を濯ぐのだ。

「では、行きましょうか」

 綾姫に微笑みと共に促されたカルトスは、すっかり元来の凛々しさを取り戻していた。しっかりとした足取りで楽器ケースに歩み寄り中に収まった彼に、グリーフが声をかける。

「なるべく、お静かに。ゾンビを引き寄せますし、舌を噛みますので。揺れはご容赦を」

 彼女の落ち着いた様子は、カルトスの決意を確たるものにしたに違いない。

「気遣い痛み入る。私の命、君たちに預けた!」

 カルトスの言葉に、ステラが力強い抜刀で答えた。楽器ケースの蓋が閉じ、脱出劇が幕を開ける。



 鈍いモーター音と共に、ガレージの電動シャッターがゆっくりと開く。
 その音を聞きつけた庭のゾンビ達がそちらに向かおうとする、が。

「せいっ!」

 ステラの剣がそれを許さない。紫電を纏う居合一閃に、その首が切り落とされる。
 何者にも妨げられる事無く、ゆっくりとガレージから現れる黒塗りの高級セダン。運転席にはグリーフが収まり、屋根の上には綾姫が控えている。
 シャッターと共に開いた門扉の周辺に残っていたゾンビを切り捨てたステラが素早く助手席に乗り込むと、高級セダンはグリーフのベテランショーファーもかくやの滑らかな運転により、何も無いかのようなスムースさで路上へと滑り出して行った。



「この先、300m先を右方向です」

 暢気な案内音声に、只野がチラリとナビの画面に落とす。その視線をルームミラーに向ければ、後ろを付いてくる高級セダンと、それに取付こうとするゾンビの顔面に綾姫の蹴りが入るのが見えた。
 
「輸送班も順調のようでうすね」

 まったく落ち着いた様子で、只野は独り言ちる。パブまでは僅か1.6km。道が空いていれば、ほんの二、三分の距離である。
 が、路上はゾンビの大渋滞が起きていた。その渋滞を解消させるのが彼の仕事だ。
 ナビによると目的のパブは一本隣の通りの先、Y字路の角にあるらしい。この作戦では、やはり大通りを行くのは正解のようだった。
 只野は冷静に、路上の状況を見極める、そして後続の邪魔になりそうなゾンビの集団を自らに誘引していく。セダンに群がる我を忘れたゾンビ達が、ロックされたドアや窓を叩きまくっているのもお構いなし。彼は、彼に与えられた仕事を完璧にこなしてゆく。



 只野が邪魔な集団を引き受け、その取りこぼしをステラと綾姫がバッサバッサと切り捨て行く。何体か轢いたりもしたが、グリーフの保護により車はビクともしない。
 箱乗り状態からシートに戻り、ナビで周囲の地図を確認していたステラが後部座席を振り返り、鎮座している楽器ケース、その中で外界と遮断されたカルトスを案じるが、この頼もしい乗り心地なら彼も不安は無いだろうと思い直す。
 
 何せ、たった1.6kmである。
 イレギュラーズの作戦がしっかりと機能した為、道中は至って順調だった……が。

「これは……」

 ステラが呟き、グリーフがほんの僅かに眉を顰める。
 パブの前は、予想以上の大混雑に見舞われていた。普段なら満員御礼といった所だが、今の状況ではまったく有り難くない。
 只野のセダンがその一部を削り取り、向かって左の通りに誘い出して行くが、それでもまだ多い。
 ドンッ、ドンッと車内に音が響き渡った。綾姫が屋根の上で仁王立ちになったのだ。

「魔剣、解放!」

 綾姫の裂帛の声と共に、魔力を伴う強烈な斬撃(?)が向かって右の通りに連なるゾンビの一団を吹き飛ばす。残るはパブ正面の集団。

「拙にお任せください!」

 ステラが車から飛び出し、残ったゾンビ集団の、そのド真ん中へ切り込んで行く。

「戦鬼──暴 風 陣 !」

 唸りをあげ旋回する剣が生み出すのは、小さいが強力な暴風域。唸りが轟音となり、残っていたゾンビを吹き飛ばした。
 パブの前を掃討した彼女は、そのまま脇の路地へと駆け出して行く。

 すっかりとゾンビの居なくなったパブの玄関先に、高級セダンを横付けする。
 屋根から飛び降りた綾姫が後席のドアを開け、グリーフが楽器ケースを引き摺り出し地面に置く。綾姫が扉をノックしようとするのを、グリーフが制止した。

「綾姫さん、少々お待ちを」

 振り返った彼女が見据えるのは、車に付いて来てしまったゾンビ達。その虚ろな瞳の奥に、果たして感情があるのかどうか……それは誰にも解らない事だった。いずれにしても、あのゾンビ達もパブに近づける訳にはいかない。
 グリーフの全身の力が、魔力となって迸る。その破壊的な力は、乗ってきた車ごとゾンビ達を吹き飛ばした。
 グリーフが扉へと向き直り、楽器ケースに手を添える。警備のプロは最後まで気を緩める事は無い。

 パブに、ノックの音が響き渡る。



 
 パブを通り過ぎた際に案内を終了したナビの画面上で、只野は具合の良い広場を見つけていた。パブの少し先に、公園があったのだ。
 僅かにゾンビを引き離し、この非常時では憩う市民の姿も無くなった公園に車を乗り捨てる。 

「これは、ちょいと目立ち過ぎましたかね」

 セダンを降り、振り返った只野の視界に映るのは、彼目掛けて押し寄せてくる大量のゾンビであった。
 一人でこれをどうにかするのは厳しそうだった。だが、只野視線は、ゾンビの集団の中に煌く剣の切っ先を認めていた。
 剣を振るう者は小柄らしく、その姿はゾンビの中に隠れて見えないが、只野には心当たりがある。

「いざとなれば俺の事は捨て置け、と言っておいたはずなんですけどね」

 だが、そういう事なら、と。今まさに彼に掴み掛からんとしていたゾンビの胸倉をつかむと、それをゾンビ集団の先頭に投げ込んだ。




 綾姫とグリーフがパブに入ると、店内の視線が二人に集まる。その中で、カウンターでアイスクリームを舐めていた男が楽器ケースをみとめると、破顔した。伝えられた逃し屋の風貌に一致する。
 カウンターの中のバーテンダーが何か頼めというような目で見ているが、それは今ではない。

「やけに外がやかましいと思ったら、奴さん、とんだツキに恵まれたようだなぁ。マスター、飲み物を二杯だ」

「いえ、二杯ではありません」

 軽い調子の逃し屋に、僅かな緊張を滲ませながら綾姫が答えると、ドカン、と大きな爆発音と共に店が揺れた。
 店内のざわめきが収まる頃、再びドアが開き、只野とステラが入ってくる。只野は乱れたオールバックを直し、ステラが剣を鞘に収めた。

「成る程、四杯って訳か。どれ、ここから先は俺の仕事だ。後は任せておきな」

 グリーフが前に出て、逃し屋に楽器ケースを託した時……小さく、だが確かに、何かを伝えるように、ケースが内側から5回叩かれた。
 それは、きっと……。

 
 楽器ケースを引いて裏のほうへと去って行く逃し屋を見送った4人の前に、グラスが並ぶ。
 怪しい男だったが、後は彼に任せる他無い。だが、何も恐れることは無いだろう。
 四人がハッピーエンドの為に尽くしたのだから、カルトスは、きっと上手くやる。彼の明るい前途を願って、もう一つやっておくべき事があった。


 控えめにグラスのぶつかる音と共に、脱出劇の幕は降りる。



ゴーン・オブ・ザ・デッド ~fin~

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM