シナリオ詳細
鮮やかな赤に染まりて
完了
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オープニング
●正装して挑む
「夏の実りに感謝して、今年も実りを大地に返しましょう」
綺麗に着飾った女性が舞台上からそう宣言する。そしてその言葉に、子供たちは無邪気に喜び、一部の男女が目を輝かせる。
その視線の先は去年の秋から今年の夏の間に結婚した新婚たち。
ウエディングドレスほどではないけれど、白を基調としたワンピースに身を包んだお嫁さんたちをそれぞれの旦那様が抱きかかえる。
「皆さん準備は良いですか?
ルールは例年通り、この会場から村に入るまでの農村地帯だけです。
投げて良いのはこちらが用意したトマトだけ! それ以外を投げた人は覚悟しておいてください!」
この場合の覚悟は、決して広くはないこの村近隣で「夏祭りでトマト以外を投げた」と噂されることだ。ただそれだけだが、知り合いばかりの場所でよくない噂が流れると、色々と辛いのだ。
特にこの夏祭りの最後を飾るトマト投げは縁起物。それを妨害したとなると、その人の良縁は望めなくなる
「それでは、花婿は出来る限り花嫁を守って家まで頑張ってください! それ以外の人たちは、新婚夫婦からおすそ分けを貰うために頑張ってトマトをぶつけてください!」
その言葉を切っ掛けに、真っ赤に熟したトマトが宙を舞った。
●幸せのおすそ分けを貰いに
「新婚夫婦にトマトを当てると、お祝い出来て幸せのおすそ分けが貰えるんだって」
真っ赤なトマトを片手にフェリーチェが首を傾げる。
「新婚夫婦は「トマトに当たらずに家に帰れたら幸せるなれる」っていう言い伝えがあるから頑張ってトマトを避けるんだけど、トマトが当たるのは幸せのおすそ分けでもあるから、むしろ辺りに行く夫婦もいるみたい」
その辺りは夫婦に寄りけりなのだが、要はみんなで騒いでお祝いすればいい。
「新婚さんからの幸せのおすそ分けだから結婚関連を願って投げる人多いみたいだけど、別にそれ以外の幸せを願って投げても良いんだって。良かったらみんなもお祝いとおすそ分け貰いに行かない?」
- 鮮やかな赤に染まりて完了
- NM名ゆーき
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年07月04日 16時42分
- 章数1章
- 総採用数4人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「トマトをぶつけるなんて初めてだな」
そう呟くリゲルの手の中には真っ赤に熟したトマト。
美味そうでそのまま齧りつきたいくらいだけど、今日はキューピッドになったつもりで遠慮なくぶつけて行くのだ!
「おめでとう!」
言い伝えを信じてそそくさと走る夫婦ではなく、笑顔でうろうろとするぶつけて欲しそうな夫婦の衣服を目掛けてアンダースローでトマトを投げるリゲル。
軽く飛んできたトマトをその身に受けながら「有難う」「貴方にも幸せがありますように」なんて笑顔で言われると嬉しくなる。
「幸せのお裾分けか……」
幸せと言われてリゲルの胸に浮かんだのは――。
「サマードレスを着た妻とデートがしたいな」
涼し気で軽やかなドレスに花飾りのついたリボンはきっと妻によく似合うだろう。
リゲル自身はどんな服を着て行こうか。妻に合わせた色合いの、涼し気な服か、それとも妻の引き立てる色合いか……。
海辺の砂浜、高原、ひまわり畑。
目を輝かせて笑顔を浮かべる妻を想像すれば、行きたい場所が次から次へと目に浮かぶ。
なんて幸せに浸れたのもつかの間。
「うわっ!」
幸せな考え方をしていたリゲルの顔に、流れ弾のトマトがべちゃり!
「くっ! 想像に浸っていて口でキャッチし損ねた……!」
受けてばかりでは帰れない!
幸せのおすそ分けを貰うべく、少し本気を出してリゲルは沢山の夫婦にトマトをぶつけるために駆け出した。
「皆にトマトの祝福あれ!」
成否
成功
第1章 第2節
賑やかな村の一角で、アトははちきれんばかりに熟したトマトに嚙り付いていた。
「熟しすぎてるかと思ったが結構行けるな、このトマト」
むぐむぐと口を動かすアトを見て、子供たちが楽しそうに笑う。
「これは新郎新婦たちに投げるトマトだよー!」
「食べるのはあっちの方が美味しいよ」
賑やかな子供たちにアトの目が開かれる。
「え、投げるもんだって?」
「そうだよ? 当てたら幸せのおすそ分けが貰えるの!」
当てる気満々な子供たちを見て、アトはにっと口元に笑みを浮かべた。
「幸せのおすそ分けか! なら僕も本気で当てに行かないとな!
主に果ての迷宮に当選するという幸せを! 僕は! 欲している!!」
アトの放つトマトはガチの願いを背負っている。
アノニマスで要注意人物と思われないようにしながらトマトを投げる村人の間をすり抜け、新郎の動きが鈍るタイミングを観察する。
「……よし、今だ!
皆の衆、このタイミングだ! 思いっきり空に向かってトマトを投げろ! 幸せの雨あられを新郎新婦に浴びせてやれ!」
アトの号令に、子供たちがノリノリでトマトを空に向かって投げる!
「フッ、地形的に見ればここでの動きは落ちる。だが横合いからの攻撃にはやつも慣れる頃!
ここで上空からのトップアタックを喰らえッ!!!」
「ちょ、えぇぇ!?」
犠牲になった新郎新婦が「やられたらやり返す」とばかりに投げたトマトは、一直線にアトの顔面に向かっていった。
成否
成功
第1章 第3節
「ここがあのトマトの異世界ですねっ!」
思わずどこの異世界だよ! と突っ込みたくなるが、利香としてもノリと勢いで行ってみただけなのでそこまで深い意味はない。その証拠に「まあ言ってみただけですが!」 なんていいながらいひひ! と笑っている。
「新婚さんにトマトをいくらでもぶつけまくっていいんですね!」
腕と豊満な胸でトマトを抱える利香に、周囲がちらちらと眼差しを向ける。
その視線をどう受け止めたのか、理香はトマト片手に宣言する。
「念のためいいますけど、手出しなんて絶対にしませんからね! むしろカップルは末長く爆発してもらいます!」
ほっこりするけどそうじゃない。
男性陣の利香に見惚れる眼差しに少しは気づいてあげよう!
だが利香は気づかずおもむろにトマトを齧る。その艶っぽい仕草に新婚さんも気を引かれた所で――
「末長くしてくださいっ!」
そう叫びながらぶつけまくるのだった。これぞ後方イレギュラーズ面スタイル! 普段前衛で戦う利香には新鮮な戦い方だ!
「え? 幸せですか? そこの白銀の騎士様とその奥さんにでもあげとけばいいですよ!」
その言葉に白銀の騎士が嬉しそうに微笑む。
「後はそうですね! 適当に商売繁盛! 闇市成功! MVP!」
そんな煩悩に溢れた幸せのおすそ分けを願って投げたトマトは、見事な剛球となって一番遠くまで逃げていた新婚さんに向かっていくのだった。
「ふぅ! 良い仕事しましたね!」
成否
成功
第1章 第4節
それはアティの中の知識にはないお祭りだった。
「トマトをあてると幸せのおすそ分けですか?」
「そうだよ!」
はしゃぎながらトマトを投げる子供たちの後ろでアティは思案する。
今日はハレの日。
祝福される二人は白い服は、今日もために用意したのかもだろう。
「白くて素敵なお召し物にぶつけるのは、なんだか悪いことをしている気分ですが、おすそ分けのために頑張っちゃいましょう」
だけど彼らもトマトの洗礼を理解した上でこの場に挑んでいるのだ。ここで遠慮するほうが彼らに申し訳ない。
強く突くと弾けそうな、真っ赤に熟した柔らかいトマトを選んだアティは、思い切って近くにいた新婚夫婦に向かってトマトを投げた。
ぺしょん。と当たったのは惜しくも新郎の足元。だけどよく熟したのを選んだお陰か、落ちて潰れたトマトの一部が、新郎の足元を赤く染めることが出来た。
「あ、当たってないですけど、赤く染めることは出来ました」
当たらないと思って投げたけど、当たると嬉しい。そうなると次も当てたくなる。
「願い事があるなら、言葉にした方が叶いやすいよ?」
見上げてくる子供たちの言葉にはっとなる。
「おっと、投げる時は欲しいおすそ分けをでしたね。
……ご主人に繋がる何かがみつかりますように」
伴侶ではないけど、自分の、唯一無二のご主人様。
今どこでどうしているのだろう。
きっと会える日が来ると信じて、アティは真っ赤なトマトを投げつけた。
成否
成功
NMコメント
赤く染まった花嫁と言う言葉がふっと思い浮かび、気が付けばこんなトマト祭りになっていました! あれぇ?
何はともあれ、皆さんも新婚さんをお祝いしたり、幸せのおすそ分け貰いに行きませんか?
●目的
・新婚さんにトマトを当ててお祝いをする&幸せのおすそ分けを貰う。
花婿さんは花嫁さんを抱き上げているのでそこまで素早く動けません。当てやすいです。
むしろ辺りに行く夫婦もいます。
●やること
・トマトを投げる。
この時具体的にどんな幸せのおすそ分けが欲しいが言うと、当たりやすくなります。
・お祝いする。
おすそ分けを貰うのだから結婚のお祝いもしっかりとしましょう。
トマトを投げずにご馳走を頂くのもありです。ご馳走は食べたいものを言えば、近い物をくれると思います。
●その他
・大体10日程度で締める予定です。
・海洋に豊穣、妖精と色々続いておりますが、頭使わず緩く楽しい夏祭りをお過ごしください!
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