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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 異聞録捌》進撃開始

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■獅狐戦争、二幕
 狐人の騎士、イグニスと彼の義兄弟コルス。そして二人の妻を含めた騎士団はイレギュラーズの知恵と助力により、兎人の街を護る事に成功する。
 これで全てが終わればよかったのだが、そうもいかないのが戦争である。
 何故ならば。今までは多少の諍いはあれど、獅子人も他種族に侵攻するなどしなかった。あくまでも平等な付き合いと取引をしてきたのだ。それを急に反故にした理由を探らねばならない。
 戦いの後に一度書簡は送りつけたが、使者は散々に追い散らされた。この事もまた、不信感を募らせる。
「親父には報告書を送っておいた」
「お疲れ様だよ」
 イグニスとコルスが、兎人の街で間借りしている宿で顔を突き合わせる。本来であれば帰還している時期だが、獅子人達の驚異が去ったとは思えない為に駐留していたのだ。兎人達もただ護られるだけは嫌だと、武具の修繕や食料調達など忙しなく働いている。
「……あの親父の事だから、全て終わるまで帰ってくるなって言いそうだけどな」
「あはは……それは確かに」
 苦虫を潰したような顔をするイグニスに、愛想笑いをするコルス。しかしてどうしたものかと頭をひねる。
「いっそこちらから攻めてみるかい?」
「それにはとてもじゃないが戦力が足りないさ」
 コルスの提案に、手をひらひらとさせ否定するイグニス。
 獅子人達は一人ひとりが屈強な戦士な上に、彼らの本国は背後を険しい山に覆われた地。故に攻めるには真正面からの力押ししかなく、今の戦力では追い返されるのがオチと予想できるのだ。
「しかしこのまま何もしないのも……」
「ああ……なのでな。親父には増援も依頼しておいた」
「おや、やる気だね」
「それに先んじて……俺達は野営地を先に作っておくべきだと思ってな。場所はある程度決まっている」
 イグニスが地図を広げる。獅子人達の国と兎人達の街の間には広大な草原が広がるのみだが、中間ほどの地点に一箇所大きな森があるのだ。
「ここを少し失敬して、足がかりを作っておくんだ」
「いいね。ここなら森の中だし、シルヴィアの力も発揮できるかも」
「メルティもな」
 作戦を煮詰める二人。
 今この街には300人の配下がいる。先の戦いでは幸いにも死者は出ていない。怪我人も皆回復している。
 かといって全員で向かうと目立つ上に、街の守りがなくなるので獅子人に攻められると脆い。故に100人で向かう事に。
 だが、兎人達が30人ほど手伝いを申し出てくれたので有り難く受け取る事にした。
「何事もなけりゃいいんだけどな……」

NMコメント

 シリアスな戦争シナリオの続きです、以下略です。
 今回のシナリオは狐人の騎士達が野営地を作るのに追従するのですが……森にいる魔物に襲われます。魔物を撃退してください。
 余力があれば野営地作成を手伝っていただけると今後の展開に少しボーナスがあるかも……?
 以下味方と敵詳細。
■イグニス・ルークス
■コルス・フォレスト
 今回も騎士達の総指揮を執ります。強力な前衛ユニット二人ですので、前衛が薄い場合は大いに頼って下さい。また、何か指示がありましたらプレイングでどうぞ。
■シルヴィア・フォレスト
■メルティ・ルークス
 森の護り人の娘達です。回復支援に長けているのですが、今回は結界作成の為に他の行動がとれません。彼女達がシナリオ終了までに無事で居た場合、野営地は結界に護られ獅子人や魔物に発見されない安全地帯になります。
■狐人の騎士×100
 今回は野営地作成の為の材料や食料を守る事に専念する為戦闘には参加しませんが、ある程度の自衛能力はあります。彼らに被害が出ると後のシナリオに悪影響が現れます。
■兎人達の若者×30
 男女入り混じったお手伝いです。戦闘能力はほぼありません。彼らに被害を出さずに魔物を討伐すると以降のシナリオでさらなる援護が得られます。

■森の天狗×1
 天狗のような風貌をしている魔物です。反応、回避、機動力に優れヒットアンドアウェイが得意。また、飛行ペナルティを受けません。
P天狗の風舞い:飛行能力を持ちます。飛行ペナルティを受けません。【足止め無効】【飛行のない者(簡易飛行・媒体飛行は駄目)のマーク・ブロック無効】
P天狗の気まぐれ:時折戦闘領域を離脱します。数ターン後に不意打ち攻撃。完全に離脱されると姿を見せるまで攻撃不能。【超嗅覚・統率・看破・直感・聞き耳があると威力軽減】【超反射神経・ファミリアー・エネミーサーチ・感情探知・超視力・超聴力・温度視覚があると無効化】
A風起こし:神遠・範囲攻撃。【飛】【停滞】
A飛び蹴り:物中・単体攻撃。【移】【ブレイク】【防無】
A風に乗る:自付。【副】反応・回避・機動力・EXA上昇

 以上となります。よろしくお願い致します。

  • 《狐の嫁入り 異聞録捌》進撃開始完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月19日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

■森の天狗
 総勢130名とちょっと。彼ら彼女らは野営地にと決めた森に到着し、奥へ進んでいく。
「境界での仕事は初だが…“本”はどこかの異世界なんだっけ」
 『天晶鉱龍』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)が誰にともなく呟く。ふよふよと浮いて移動する彼女は人ならざる存在であるが、狐人、兎人達は誰も気にした様子はない。
 恐らく彼らにはェクセレリァスは鳥人にでも見えているのだろう。ま、いいけどねと一つ肩を竦ませて、木々の間に目を走らせる。
「……この世界も戦争をしているのか、誰に与する事になろうとも少しでも早く犠牲の少ない形で決着が着けば良いが」
「戦争は長引くと面倒だから手早く済ませたかったのだけど、残念だわ」
 隊の先頭を歩く『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の小さな嘆きに同調するは『狐です』長月・イナリ(p3p008096)だ。二人ともファミリアーで鳥を呼び出し、上空から周囲を警戒している。
 今回の目的は森の中での野営地作成。だが、敵は木々の間を自由に飛び回る天狗ときた。いつ、どこから襲撃があるかわからない為に気は抜けない。
 道案内をする兎人達は、すぐに帰れば襲ってこないけども。こんなに大人数で長時間滞在する以上は絶対に襲ってくると予想している。それでも、勇気を振り絞って今回の行軍に参加しているのだ。
「……ああ、来てるネ」
 木々の間を抜けるそよ風に教えられる『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)は、一点を見つめる。彼の狩人としての技量は、その存在を見つけることができた。
「まだ遠い、こちらを見ているだけダネ……このまま行こうカ」
「わかった。総員、気は抜くなよ!」
 流石のジュルナットの技量でも、遠く離れた天狗へは攻撃できない。仕方ないのでこのまま歩む事を決める。彼の言葉に、イグニスが声を張る。緊張は解けない。
 騎士達は兎人や資材を中心に円陣を組みながら、森の中を歩んでいく。

「……まだ来ない?」
 兎人の案内で辿り着いたのは池のほとり。すぐ近くに水場があるのは有り難いと、騎士達と兎人達は資材を広げ野営地作成に当たり始める。それでも奇襲を受けていいように、騎士達は背に盾をつけたままである。
 シルヴィアとメルティの姉妹は広場の中程に立ち、精神を集中させて結界を作るべく呪文を口にする。二人を守るのは旦那達の役目だ。
 ふわりと浮いて彼らの様子を見守るェクセレリァスは、周囲を警戒する三人に声をかける。
「いや……来る!」
「気をつけて!」
 ベネディクトとイナリの声に、騎士も含めた全員が戦闘体勢に入る。兎人達は資材の影に隠れ、身を隠す。
 風が吹く。木々がざわめく。イレギュラーズ達の目には遠くから飛ぶ天狗の姿がはっきりと見えている。
「この方向は、コルスクン!」
「くっ!」
 ジュルナットが叫ぶ。天狗が遂に姿を見せ……一瞬後にはコルスに対し蹴りを放つ!
 身軽なコルスは間一髪身を伏せて、立ち上がる勢いそのままに殴りつけて吹き飛ばす。ジュルナットがその軌跡をなぞるようにして矢を放つ。
 トス、と枝で作られた装束に矢が刺さる。表情は面のようなものをつけていて全く読めない。
「調子に乗らないでよ、ね!」
 ェクセレリァスも上空より矢のような何かを放つ。振動を伴い放たれたそれは、空気を揺らがせ天狗に襲いかかる!
 二人の矢に射抜かれた天狗は体勢を立て直そうとするも、そこへベネディクトが襲いかかる。
「貴様の好きにはさせん!」
 ベネディクトの突き出すニ槍に身体を挟まれ、慌てて空へと逃げ出す天狗だが……。
「見えているわよ、その動き!」
 イナリの降ろすは火之神。本来森であれば火は厳禁だが……神の加護か、延焼は天狗の周囲の空間だけに留まり、目標だけを包み焼く!
「ギャアァァァ!」
 これにはたまらないと、素早く戦闘領域を離脱する天狗。しかし、イレギュラーズ達は目標から視線を外さない。

■もしかして……?
 戦闘はイレギュラーズの優位に進む。
 幾度となく超遠距離、その外から奇襲を仕掛ける天狗だが。イレギュラーズの目から逃れる事は出来ない。彼らの指示により被害は軽微。誰も戦闘不能になるほどのダメージは負っていないのだ。
「この程度……!」
 天狗の起こす風に身体を跳ね上げられるェクセレリァスだが、すぐに体勢を立て直すと金色のビームをその身体から放つ。
「逃さないヨ」
 天狗の逃げる方向へ牽制射撃を数発放つジュルナット。彼の目はいつもの優しげなものではなく、狩人の、獲物を見る厳しいものへとなっている。
「長月!」
「任せなさい!」
 ェクセレリァス、ジュルナットの射撃により逃げ道を塞がれた天狗。それに向けて即席のコンビネーションで襲いかかるベネディクトとイナリ。二人の槍と炎が天狗を追い詰めていく。
「やはり強いな……友人達は」
「ええ、そうね……」
 その戦いの様子を後方から見ていたイグニスとメルティが、感嘆の声を漏らす。……と、シルヴィアが何かに気づく。
「……もしかして、あの魔物……?」
「シルヴィア?」
 今なお、炎に身を焼かれ、身体を射抜かれながらも戦意を失わない天狗。再び森の中へと姿を消し、奇襲をかけようとするが。
「見事な飛行性能だ…けど、気に入らないね。撃ち落としてやる」
 いい加減に業を煮やしたェクセレリァスがその姿を追いかけ、木々を薙ぎ払いながら一撃を放つ!
「キィエェェェ!!」
 逃げる事を辞めた天狗が、反撃とばかりに彼女を蹴り飛ばし。二人して再び広場へと飛んでくる。
「中々にしつこい……!」
「だけど、これで終わりダヨ!
 再び火之神の力を借りて攻撃しようとするイナリの後ろで、ジュルナットが矢を放ち影を縫うように天狗を大地に縛り付け。
「これで、終わりにする!」
 イナリの炎に身を焼かれた天狗が、遂に地面に膝をつく。その姿にトドメを刺すべくベネディクトが力いっぱいに槍を振りかぶり……!
「ギィヤァァァ……!」
 最期の絶叫を残し、天狗はその生命を散らせた。

 襲撃者を倒した一行は、念の為に周囲をもう一度探索するが敵の姿はどこにも見えない。ベネディクトは腕力を活かして騎士達と共に資材を運び、寝床を作り上げていく。
「豊穣の神よ……その恵みをここに……!」
 イナリがその力を発揮して、広場の一角に五穀の恵みを実らせる。その姿に兎人達の一部は歓喜し、彼女を崇め始めていた。
 シルヴィア、メルティ姉妹の結界も完成し。野営地は完全な安全地帯と化す。
「……凄いなぁ。外から見たら、誰もいないように見える」
 試しに、と森の上空から野営地を見下ろしたェクセレリァスが驚いたように声をあげる。これならもう、襲撃を受ける事はないだろう、と。
「ところでシルヴィアチャン。君は気づいたんじゃないかな?」
「……ええ」
 ジュルナットが、シルヴィアに声をかける。ジュルナットは木々の声を聞いた為に、シルヴィアは守り人としてある事に気づいたのだ。
 あの天狗は、この森を守る者だったのだ、と。
「そうだったのか……」
 汗を拭いながらベネディクトが会話に混ざる。確かに、あの天狗の敵意は異常であった。いくらすばしっこく、木々の間に隠れられるとはいえこちらは100を超える部隊。それにたった一匹で勝負を挑んできたのだ。
「悪いこと、しちゃったかしら」
 兎人達の異様な盛り上がりから逃げ出すようにやってきたイナリも話に加わる。もしかして、火之神の力を使ったから、あの天狗は……。
「気にしなくていいヨ」
「そうなの?」
 野営地に戻ってきたェクセレリァスがきょとんとした表情をする。ジュルナットは笑っていた。木々から直接話を聞ける彼ならではの事実を知っているから。
「あの天狗は、年月をかければ復活するんだってサ」
「なるほどな。では……少しばかり間借りをさせて貰うぞ」
 陽が落ち始めた空を見上げ、イレギュラーズ達は天狗に届けと祈る。
 いつかまた、あの天狗が森を駆け巡れるように。

成否

成功

状態異常

なし

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