シナリオ詳細
宗教法人『河原のエロ本』
オープニング
●学校帰り河原でやや湿ったセンシティブブックを発見し隠れながらも慎重にページめくったあの日の感動と秘密をあのなんだっけそういうあれをあがめるやつ
「エチエチエッロイム」
「「エチエチエッロイム」」
胸の上に両手でハートマークを作った三角頭巾の男達。
彼らはいっぱい何かを詰め込んだリュックサックを地面に下ろすと、大きく深呼吸をした。
ここは天義の田舎町。大きな日本で言えば一級河川にあたるような川がゆっくりと流れる砂利の河川敷。
見るからにあやしい頭巾を被った集団は鎌をリュックサックから取り出すと、目をギラリと光らせた。
「さあ、始めましょう。浄化の儀式です」
「「エチエチエッロイム!」」
ギャワァと唸って方々へ散った男達は猛烈に……猛烈に、河川敷にはえた雑草をもりもりと狩っては一箇所に集め魔法で焼いて周りをぐーるぐーる回った後川にはいってゴミを拾ったり泥をすくったりして水質を整え一通り終わったところで祭壇の前に膝をつきビールをカシュってあけてカンパーイした。
えっなにこの人達自治会のおじさんたちかなにかなの。そう思うのも無理からぬ。彼らはこの地方で地味に勢力を伸ばす宗教法人『河原のエロ本』の皆さんである。
今やってるこれは『浄化の儀式』とよばれ週一で街のあちこちで行われていることらしい。
……が、このボランティア清掃作業みてーな行いはあくまでオマケ。
リーダーっぽい男は胸の前でハートを作ってバッと立ち上がった。
「では皆さん。いよいよ『聖なる儀式』を始めましょう。エチエチエッロイム」
「「エチエチエッロイム!」」
男達はリュックサックに手を突っ込むと、その中からとても言葉にできない書を取り出し、目を血走らせながらクククと笑い始めた。
「クククこれを見た者の驚愕が目に浮かぶようだ」
「ヒヒヒたまらねえ。辛抱たまらねえよお」
「フフフ聖なる儀式の場です静粛にデュフフ」
男達は書を一旦ビニールひもで結んだのち川の水がかからず日にやけすぎずあえて残して置いた雑草ポイントによーくみれば分かる程度のチラ見え具合でそれらの書をスッと隠した。
隠し方を細かく観察し、顔を近づけたり離れて指で画角をとったりしながら熱心にセットを終えた彼らは、再び整列して例のポーズ。
「「エチエチエッロイム!」」
「今日も聖なる儀式は正しく執り行われました。いずれこの河原を訪れる少年の性癖がただしく開花しますように」
「「エチエチエッロイム!」」
……という一連の光景を、河原でおにぎり食べながら観察するハメになったローレット・イレギュラーズことあなたと仲間達。
それぞれがそれぞれらしい感想を語りあいつつ、今日の仕事内容を確認していた。
ローレットに依頼された業務は主に二つ。
今回彼らがやったようにセンシティブブックを少年たちが偶然見つけられそうな場所にいかにも捨ててあるっぽい見た目でスッと隠しておいてあげること。
もう一つは彼ら『河原のエロ本』を弾圧する別の宗教団体『黄金貞操帯(ゴールデンベルト)』による襲撃を防ぐことである。
襲撃っていうか本を見つけては即燃やすっていう彼らの活動を物理的にブロックしてお帰り願うことである。
「ローレットの皆さん」
一通りやり遂げて賢者みたいな顔(?)になった覆面の男達が振り返る。
「『聖なる儀式』の手順は分かりましたね?
本来なら崇高な理念と信仰のもと、これらの儀式は自主的に行われるべきなのですが……昨今ゴールデンベルトの弾圧が厳しくなり我々の形見は狭まる一方。
青少年が正しいエロ本で正しい性の目覚めを得ることで将来彼女にえげつない変態プレイを強要したりとんでもないことでしか興奮できない身体になることがないようそっと見守り導くのが我らが務めであるはず……」
「しかし奴らは……おセンシティブだ、って!」
「火炎放射器でお宝を燃やしよる!」
クウウッて顔(?)をしかめる覆面の男達。
「ここはひとつ、あまたの問題を解決してきたローレットの皆さんにお願いしたい」
「どうか皆さん――」
「「エチエチエッロイム!!」」
- 宗教法人『河原のエロ本』完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年06月23日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●エロとはエピソードロマンの略。人生のときめきが、歴史が詰まっているのさ。
駄菓子屋の戸が開き、サンダルを履いた二人の男性が亜現れた。
白髪の鎧武者と、赤い魔道装甲の少年。
二人はガリガリするアイスバーの袋を開くと、コーラ飲料会社の広告がついた赤いベンチに腰掛けた。
「……」
足下に置かれた本の束。いかにも今からどこかへ捨てに行きますといわんばかりにビニールひもで結ばれ、ミンミンという蝉の声と甘いソーダの香りに混じって陽光をてりかえしている。
「たまに落ちてるあの本……一冊二冊なら見かけるけど。
こんなに沢山置いてく人たちがいたんだ……。
しかも天義で……」
天義には清潔や清浄を好む、極端に言えば潔癖なイメージをもっていた『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)にとって、宗教法人『河原のエロ本』は衝撃的な存在だった。
「そうか? 俺の知る限り、エロを禁じて栄えた文明はないぞ。
なにせロマンがあるからな。センシティブブック探しは俺も昔はよくやったもんだ。
海底の岩にビニール本が挟まってるんだが、表面がこすれて印字がぐしゃぐしゃになってたりな」
しゃくりとかじるアイスバーの食感。
正義を短く定義するのは、人類史的にも難しいことだが、こと天義国内に限定しても正義の形は数多く存在する。それはさながら21世紀地球において三大宗教と呼ばれたあれこれにおいても、解釈の違いや主張する派閥によって教派が別れ、時には戦争の引き金にすらなっていた。こと性に関しても様々な解釈が分かれ専門家の間では未だに激論の的だともいう。
「なあ少年。結局のところ、男ならエロ本が欲しいよな」
「…………」
内心めっちゃ欲しかったし配布されたセンシティブブックにはいっている『イレーヌ美乳本』なる背徳的な本は、ぶっちゃけ持って帰りたかった。
気持ちをこらえ、バーをかじるチャロロ。
「オイラにもわかるよ、これがお宝だってこと。それを必要とする人が、きっといるってことがさ」
所変わって川の土手。
短く綺麗に刈り取られた芝の斜面に、『シャウト&クラッシュ』わんこ(p3p008288)と『自称・邪眼の乙女』黄瀬 紅葉(p3p008322)は並んで体育座りしていた。
吹き抜ける風が、二人の間に置かれたビニール袋の持ち手をゆらし中に詰まった夢いっぱいのセンシティブブックをちら見せした。
その一つを手に取り、ぱらりとめくってみる紅葉。
ピッといって耳と尻尾をたてる紅葉。
一方でわんこは突如として立ち上がり、拳を天へと突き上げた。
「クウウッ、それにしても黄金貞操帯、何たる外道か……!
過度な規制は何時かえっっっげつない反動となるんデスヨ!?
その事を分かれってんだ畜生め!!!」
「そ、そういうものなのかしら……。これが未来の男の子のためになるの?」
「なりマスヨ!」
「そ、そう……が、がんばるわね」
「特にそれはハウツー本といってめっちゃ重要な本デス。
そういうのが無いと異常性癖に偏ったり病気が蔓延したりしマス。例えば――」
「具体的に説明しないで!」
ピイッといって隠した耳をまた建てる紅葉。
すこし離れた、同じく土手。
斜面に座り、河原の広場で草野球をする市民たちにヤジなのか声援なのかわかんないなにかを飛ばしながら缶ビールをカシュッてやる『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)がいた。
わんこの叫びを聞いて、ぷっはあした唇を手の甲でぬぐった。
「そうよね。抑圧しすぎれば、人の欲望はいつか歪んだ形で爆発してしまう。……この国はもう、自由でなきゃ」
「………………」
今更シリアス顔をしても遅いぞ。と言いはしないものの、横からスーって真顔のままスライドして顔をのぞき込む『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)。
「このままじゃ天義の青少年達がピーにピーをピーしたり、ピーにピーをピーされることで興奮するようになっちゃう!
天義の未来の為、おねーさんが正しく手解きするわぁ」
ぴとっとビール缶に頬をあてるアーリア。
一斉に前屈みになる草野球中の市民達。
「たしかに。何事も、抑圧や、溜め込み過ぎは、よくない、な」
一連の理由がわからない『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はこくこくと頷いて、あらためてビニール袋の中につまった本を一冊手に取った。
「ところで、これは、何のための本、だ?」
開いてぱらぱらめくる。
『ほう』とつぶやいたあと、そっと本を閉じた。
「これを、マリアが、配って回れば、いいんだな、な?」
前屈み市民たちがそのままうつ伏せになった。
陽光木漏れ日蝉の歌。
麦わら帽子に半袖の白Tシャツ。胸に『ごっど』と書かれたシャツにぱたぱたと風をいれながら、『例のゴッド』御堂・D・豪斗(p3p001181)は手にビニール袋を下げて歩いていた。
長い石階段を下り、目指すは川辺。橋の下。
下駄をからんと鳴らし、立ち止まる。
「人の子よ、バース&インクリース、そしてアースに満ちよ!
ヤングなユースのアウェイクニングを邪魔してはならない!
ウォーターを差すものをシャットアウトだ!」
「なんと?」
一度じゃなにいってんだかわかんないことを述べるゴッドに、上着の着物を脱いでいつもよりずっと軽装になった鷹乃宮・紅椿(p3p008289)は二度見で振り返った。
「ヤングなユースのアウェイクニングを邪魔してはならない」
「すまぬ、二度聞いてもわからぬ……」
やれやれと首を振り、再び石階段を折り始める。特殊ゴムの靴底がこぷこぷとかわった足音をたて、腰ベルトに固定した刀が静かに鳴る。柄頭にさげた護符もまた、風鈴飾りのように風にゆれた。
(妾も依頼にゆく時がきたようじゃが……これで良いのかと思わなくも、ない)
しかし取りようによっては青少年の健全な未来を守る立派なお仕事。
天義的にもオールオッケー。あばよ性癖よろしく正義。そのためのセンシティブブックである。
「しかしなぜこんな本で…………本で……」
横をゴッドが追い抜いて行く。立ち止まった紅椿はそっと袋からセンシティブブックを一冊抜き出し、しずかにページを開いてみた。
「……ほう……」
紅椿の頬がわずかに染まった。
蝉は今日も歌っている。
●
「えいっ」
空き地でマジカルステッキを振る二十六歳がいた。
通りがかった小学生が一瞬こっちを見て、なにか見てはいけないものを見たと本能的に察した顔で早足に去って行った。
「くうぅ……!」
なぜこんなことをと思いながら、背景に星が散るほどにステッキをふりふりした後ファンシーな竹箒にチェンジ。ゴミや枯れ葉のたまった空き地を掃除し、雑草をむしむししていく。
「…………」
一方、頭髪を大量のマジックハンドに変えてあちこちの雑草をむしりにむしってゴミ袋へ集めるエクスマリア。
一通り空き地を綺麗にしたところで、土管の中や隅っこのわざと雑草をのこした辺りにセンシティブブックをそっと隠した。
空き地は子供たちの遊び場。大人が見過ごすような隅々まで探索し続ける彼らは、きっとこの本を手に取り、控えめに言ってどすけべなお姉さんや無自覚エロスが服着て歩いてるようなロリが置いていったエロ本に謎のロマンを感じることだろう。性癖ねじ曲がらなきゃいいな。
と、そこへ――。
「空き地で斬新な性癖を目覚めさせようとしていた女は貴様かァ!」
「そのセンシティブブックを渡せ! 学校の校庭でキャンプファイヤーにしてやる!」
金ラメのはいった黒い全身タイツの集団が、空き地に突如詰めかけた。
ところかわって河川敷。
落ちてるゴミを拾ったり草刈りしたり、一通り綺麗にしたわんこと紅葉は草むらにそっとビニール包装したセンシティブブックを忍ばせた。
「年端もいかぬ娘ッ子が何してんだとお叱りを受けそうな気もしマスガ、わんこは機械なので無問題デス……キャヒヒヒ……!」
「そういう問題なのかしら。第一これ、表紙を見ただけじゃそういう……あれだって分からないわね。内容も綺麗な漫画だし」
HENTAI漫画はアートかポルノかという未だに議論の激しい話題はスルーしておくとして。
「貴様ァ! 河川敷にいかがわしい本を置くなど、教育に悪いとわからんのか!」
「子供がエッチなものに触れるなど言語道断。綺麗な国のため、灰となるがいい!」
棍棒を構え、詰めかける全身タイツの集団。
「ほんと、なんの恨みがあってそこまで拘るのかしら」
「キャヒヒッ! 飛んで火に入るなんとやらデース!」
むくりと立ち上がり、紅葉とわんこはギラリと目を光らせた。
橋の欄干によりかかるゴッド。
長い年月を感じさせる、細かい傷のたくさんついた手すりで指をとんとんとリズミカルにならし、大きくのけぞるようにして橋の下をのぞき込んだ。
「センシティブブックはブリッジの下とレートが決まっている!
適度なシークレット感がよりエキサイトを高めるであろう! エンジェル!」
「えっ!? う、うむ。安心しろ。ちゃんと分かるように隠している」
慌てて本を閉じた紅椿はビニールテープでぐるぐるした後段ボールにそっととじて橋の下のなんかあの雨宿りできそうなエリアに配置した。
そんなとき。橋へ近づくおおくの足音に紅椿はぴくりと耳を動かした。
一方で欄干へだらりとよりかかり、視線だけをそちらへ向ける豪斗。
「ザ――」
ギュンと身体を起こしその勢いで跳躍。
回転しびしりと『ゴールデンベルト』の集団へ指を突きつけて道の真ん中に着地した。
「ゴッドクイーズ!」
「何ッ!?」
「トゥデイもエントリー、ジェントルによるジェントルの為のゴッドタイム!
ザ・ゴッドクイズ!アンサーシートのゴールデンベルトよ、リッスン! ドントムーヴだ、ゴッドビームがロックオンしているぞ!
さて、ゴールデンボーイよ。ライフのストリームはどこからやってくるか知っているか?
セルディヴィジョンのスタートは? はっきり言おう、それは恥じるものなどではない!」
「なんと?」
橋の下から顔を出した紅椿が眉を左右非対称にゆがめるが、対するゴールデンベルトの全身タイツ男もゴッドに対抗して指を突きつけた。
「そのフューチャーにはコンセントできぬ! チルドレンのフューチャーにクライムのシャドウを落とす!」
「なんて?」
後ろのゴールデンベルトタイツマンが左右非対称に眉をゆがめた。
「ならば!」
「必然!」
ゴッドとゴールデンベルトマンは同時に跳躍し、陽光をあびポージングした。
「「ゴッドジャッジターーーーーイム!!」」
「「なんて?」」
舗装されたアスファルト道路とブロック塀が並ぶ住宅街。
側溝の蓋をアリの列が歩いて行くのを、ティフォンはぼーっと眺めていた。
「ティフォンさん、空き缶ってこっちのゴミ袋でいいのかな」
「ん? ああ、いいんじゃねえ?」
ポケットから煙草を取り出し、魔術式のジッポライターで火をつける。
一度ゆっくりと肺に煙をとりこむと、よっこらせと言って立ち上がった。
集めたゴミ袋を一通りまとめ、散らかっていたゴミ捨て場を片付けていく。
変な話だが、散らかった場所を綺麗に片付けるとそれだけでちょっと気持ちが良いものだ。
自分も気持ちよくて他人も嬉しいことなのにどうしてこう後回しにされるのだろう。そうか疲れるし面倒だからか。などと納得しつつ……ここからが本題。
「エチエチエッロイム、っと」
ビニールひもでまとめた本のタワー。表面には哲学の本があるが、そのすぐ下からずっとセンシティブブックである。
「ドーモ、『河原のエロ本』サン――ゴミ収集センターです」
綺麗にオジギをした黒い全身タイツの男達。
彼らは手にガスバーナーを持ち、『では早速』といってほんの束にバーナーを近づけた。レバーを押し込もうとした瞬間。
「させっかオラ!」
ティフォンの喧嘩キックが炸裂した。
来ていたシャツを脱ぎ捨て、ドドンと構えるチャロロ。
「来るのは分かってたよ、感情センサーが反応してたからね!」
チャロロは自分の頭頂部から立ってる旗がくるくる回っているのを指さした。
「それは一体……」
「『えっちなのはいけない』っていう感情のセンサーだよ!」
「そんなばかな」
「とにかく、少年達にきれいなおっぱ――じゃなかった健全な未来を届けるため、本は守らせて貰うよ! え――えちえちえっろいむ!」
●ゴールデンベルト?
わんこはぺたんと乙女座りしてしくしく鳴き真似をすると、上目遣いで全身タイツのおっさんたちを見つめた。
さっきいかにも迎撃する感じだったじゃんと思った彼らだが、乙女がいきなりぺたんこしたら話を聞かないわけにはいかぬ。
「鎌持って頭巾被ったおにぃさん達に脅されてやったんデス……許して下サイ……」
「えぇ……」
「マジなのあいつら引くわぁ……」
どうする? つってひそひと始めたゴールデンベルトのスネに向かって突然の下段スライド回し蹴り。
はうあといって転倒したタイツさんの顔面めがけ、紅葉は青白い炎を拳に纏わせてガッてやった。
具体的には鼻と両目の間んとこに突起させた中指第二関節をねじ込むように殴りつけた。リアルにくそ痛いやつである。
「フッ――私の『蒼き御手<ブルーフレイム>』に苦しみもがくがいいわ」
「いや今の完全に物理だったよね」
「ブルーフレイム!」
「げふう!?」
後ろからツッコミいれたおっさんに裏拳からの後ろ回し蹴りをたたき込んで(物理的に)黙らせた。
「マリア、ぱんち」
「げっふう!?」
幼女の繰り出すシュッてかんじのふつうのパンチで、全身タイツのおっさんがきりもみ回転しながら吹っ飛んでいった。
二人連続で吹っ飛び、空き地のブロック塀に卍の形でめり込んでいくおっさんたち。
「みねうちだ」
「今の峰打ちって言うの!?」
「本気は……多分、すごく痛い、ぞ?」
シュッシュッてシャドウしてみせるエクスマリア。
わりと数少ない、実力(レベル)で相手を黙らせられる機会が今であった。
どうしよっかな逃げよっかなってなったゴールデンベルトのおっさんに、魔法少女アーリア(26)はそっとしなだれかかった。
「実は貴方達だってこういう本……気になるんじゃないの?」
胸の谷間(?)からスッて取り出してくるアーリア先生本。
「くっ……!」
目を瞑って顔を背けたが、アーリアはその耳へとささやきかける。
「見てみたくないの? ……こ、こ」
「ど!? こ!?」
「コ、コ」
同人誌の刺さった(?)胸元を指さすアーリアの、TOIKI。
「もっと素直になって、おねーさんに改宗しない?」
「う……!」
この後、ゴールデンベルトは本を一冊貰って帰って行ったと言う。
「このワールドの神がいかなるセオリーでこのライフを組み上げたのかは知らぬ!
だがゴッドと同じと信じよう!
アニマルも、人の子も。そこにあるのはラヴ!故にゴールデンボールよ、ユー達はセンシティヴを正しく知らねばならぬ!
ところで、諸君はヴァーチャルガールとマリッジしたジェントルを知っているかね?
ディメンションの違う彼らはノータッチ!
しかし彼らの間にはベイビーがバース!
これぞミラクル、ゴッドのブレス! 教えよう、そのメソッドは……」
すげえ早口でまくし立てるゴッドにゴールデンベルトたちが『なんて?』てなってる間に。
「今だっ!」
「くらえぃ!」
絶妙なタイミングで跳躍した紅椿のキックが顔面に炸裂――と見せかけて滑り込むかのようななめらかさで太ももサンド。身体をねじる勢いでゴールデンベルトのおっさんを地面にゴッて引き倒した。
「ぐはあ!? なんとドスケベな技」
「まだやるなら、もっと痛い目にあうことになるぞ? ……て、誰がドスケベか!?」
「なんてドスケベな女!」
「ドスケベが服を着て歩いておる!」
「ミムミリ顔のドスケベめ! 立っているだけで我らを魅了する気か!」
「ええい……!」
こうなったら! といって狐面を被ってバーサーカーモードになると、鞘に収めたままの剣でオッサン達をぼこぼこにたたきのめした。
一方その頃、道ばたでゴールデンベルトのおっさんたちとバチボコに戦いまくっていた一団があった。一団って言うかチャロロとティフォンである。
「これは男の夢の塊、センシティブブックには触れさせねぇ」
身を挺してエロ本を守り、おっさん二人の腰にガッとしがみつくティフォン。
一方で両手を組み合う形で力比べ姿勢になったチャロロとおっさんが、至近距離でにらみ合う。
「天義の人だって大人になったら恋をして愛しあって子どもを作るんだよね?
そのときに女の人の体のことを何も知らなかったら困るよね?
だからこういう本も必要だと思うよ!」
「そういうのは保健体育でやるのだ!」
「それじゃあ足らないよ絶対!」
口でだめなら拳だーといってチャロロ渾身のパンチが炸裂。
一方ではティフォンがおっさんをバックドロップでのしていた。
チャロロはともかくティフォンがだいぶボロボロだったが、それはオッサン達もおなじこと。
「くっ……今日の所は引き上げだ!」
おっさんたちは悔しげにその場を撤退していった。
「なんとか……」
「ああ、守れたね!」
ティフォンは頷き、チャロロはそっとイレーヌ美乳本を懐にいれた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
かくしてセンシティブブックは少年達の手へとわたり、健全な未来が守られたのであった。
エチエチエッロイム!
GMコメント
OPで話したとおり、皆さんの役目はセンシティブブックを少年たちが偶然見つけられそうな場所にいかにも捨ててあるっぽい見た目でスッと隠しておいてあげること。
そして敵対組織であるゴールデンベルトからセンシティブブックを守ることであります。
なにいってんだこいつらと思われるかもしれませんが、ローレットにお仕事があまたあるなかでこれを選んだってえことは、ある程度は賛同したってえことにしませんか。させてください。
・町並み
昭和の日本を若干ファンタジー寄りにした街。
河川敷とかゴミステーションとか土管が積んである空き地とかが普通にあります。天義なんだよね? ここ?
・ゴールデンベルト
彼らはそこそこハナがきくのでセンシティブブックを隠している現場をわりとおさえます。
そこそこの確率で遭遇するので、彼らを撃退してセンシティブブックを守りましょう。
撃退つっても彼ら別に殺しにくるわけじゃないので、軽くぽこぽこ殴り合ったりする程度だと思われます。ガチの殺しは……やらないほうが良い気がします。聖なる儀式が穢れるかもしれないので。
・センシティブブック
持ち寄りお持ち帰りはやりすぎなければ自由とさせていただきます。
未来の青少年の優しいライフを応援しよう。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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