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シナリオ詳細

笛吹き男と小さな冒険者

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●笛吹き男
 とある世界の、とある村に、旅人がやってきたんだ。
 
 世界の名前?
 村の名前?
 旅人の名前?

 そんな事はどうでもいいじゃないか。
 とにかく旅人は男で、僅かな荷物と短剣、それに笛だけを持っていたのさ。
 男は病で弱っていて、異国の知識を教える代わりに滞在の許可を求めた。可哀想に思った村人は、空き家を貸してやり、男はそこで暮らし始めた。

 え? ああ、上手くやってたよ。しばらくは、ね。
 ある日、幼い姉妹が行方不明になった。何処を探してもいやしない。
 そう、そうさ。分かるだろう、そういう時に疑われるのが誰か、ね。
 姉妹は男に笛を吹いてもらうのが大好きだった。
 ある村人が姉妹が笛の鳴る方へ歩いて行ったと言い出し――本当にそうかは分かったもんじゃないがね。ただ男を気に入らない誰かが、追い出そうとして言ったのかもしれん――勿論男は知らないと否定したさ。だが村人の怒りは凄まじく、捕えられ火あぶりにされ処刑されてしまった。男は呪詛の言葉を吐きながら焼かれたってえ話でね。

 酷いだろう。
 だが、これで終わりじゃあないんだよ。
 ほとんどの大人達が礼拝で教会に行っている間に、今度は村の子ども全員が消えちまったのさ。家にいた数人の大人が言うには、笛の音が聞こえて、子ども達がふらふらと家から出て行った。止めようと思ったが、魔法でもかけられたように眠くなって倒れてしまった、と。
 これが丁度男を処刑して1年後だったから、村人達は震え上がったのさ。

「笛吹き男が帰ってきた」とね。

 それからがまたひと騒動。
 なけなしの金を出し合って、冒険者が雇われた。
 2週間後、森で見つかった子ども達がどんな状態だったかは自分の目で見た訳じゃないが、まぁ歴戦の戦士が胃が空になるまで嘔吐するくらいだって聞いたよ。冒険者達は、それでも森の奥で笛吹き男を見つけ、追い掛けたんだけれど、どんなに走っても歩いている男へ追い付けなかったそうだ。冒険者の1人の魔術師曰く――あれは――。


●子どもだけの世界
 はい、ストップ~! どなたか存じませんが、説明有難う。
 ここからは案内人の私に語らせてね。
 
 語り部さんの話通り、非業の死を遂げて、怒りと復讐の念から魔に堕ちた笛吹き男を倒してっていうのが、あなた達イレギュラーズへの今回のお願い。
 
 だけどね、問題があって。それも大きな。
 彼の――笛吹き男の結界に入れるのは、小さな子どもだけなの!
 つまり、あなた達には無力な子どもの頃に戻って、笛吹き男が帰ってきた凶行の日に時間遡行し、犠牲となった子ども達を救ってもらう。
 
 え、子どもの姿でどうやって戦うかって? 笛吹き男の所持品のどれかが魔の力の源になっていて、それを清めれば結界は破れて、あなた達は大人に戻り、元の力を取り戻せるわ。
 
 頼んだわよ!

NMコメント

 どうも、かそ犬と申します。
 子ども達が行方不明になった日に時間遡行し、笛吹き男を倒して凶行を阻止して下さい。
 
 子どもに戻るのと、事件当日への時間遡行は境界案内人がやってくれますので、イレギュラーズは笛の音につられて歩いていく子ども達に混じり、笛吹き男を追跡するところからスタートです。誰かが大人のまま残って追跡しても、見失ってしまいます。必ず全員が体力的に10歳(異種族でもそれに相当する年齢。成人するずっと前)くらいになります。記憶は維持していて、仲間も認識していますが、あまり複雑な作戦は覚えていられません(なにせ10歳です!)。
 
 境界案内人から渡された2本の聖水(これ以上は隠し持てません)を隙を突いて笛吹き男の所持品にかけ、清めていただきます。当たりはひとつだけで、他の所持品にかけても効果はありません。笛吹き男の肌に直接かければ、大きな隙が生まれます。
 清めるのに成功すれば、イレギュラーズは大人に戻り、成り立ての魔など問題としないでしょう。

●プレイング
①【笛】【短剣】【背負い袋の中身】【笛吹き男本人】2本の聖水で、何を狙うかを必ず記載して下さい。
 互いの理解力が(10歳にしては)高ければ、囮になったり、仲間と連携できるかもしれません。全員が同じものを狙わないよう、打ち合わせた方がいいでしょう。異能は使えませんが、種族特有の能力(飛行するとか動物に変身するとか)は使える可能性があるのでトライしてみて下さい。

②【仲間が捕まった時、どうするか】助けにいくのか、あくまで所持品を狙うのか、記載して下さい。

③【キャラクター設定】子どもになっている間の内面は、キャラが実際に子どもだった頃の影響を強く受けます。キャラ設定欄の特徴(内面)、口調や一人称二人称が、今と変わる場合は記載して下さい。トラウマを書いて下されば拾えるかもしれません。


 サンプルプレイング
①笛吹き男本人に1本使って、隙を見て背負い袋の中に1本使う。
②聖水は①通りに使いたいから、脚に噛みついて邪魔してみる。
③子どもの頃は【超弱気】で【泣き虫】なんだけど、そこは勇気を出して克服する感じで頑張る。今は仲間がいて、独りじゃないから。

 
 以上となります。
 ご縁がありましたら宜しくお願いいたします。

  • 笛吹き男と小さな冒険者完了
  • NM名かそ犬
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月16日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ミミ・エンクィスト(p3p000656)
もふもふバイト長
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
トーラ・ファーレングッド(p3p007299)
帰る場所
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
先導者たらん

リプレイ

●小さな冒険者たち
 頼んだわよ――――境界案内人の声が遠くなり、ぐるりと視界が一転した。
 天地の感覚が落ち着き、目の前に件の村らしき風景が現れると、自分の身体を触って確かに子どもになっているのを確認する。身体だけが子どもになって精神はほとんどそのままかと思ったが、感覚としては子ども時代の自分に、さっきまでの記憶がインストールされたと言った方が近い。
 心身の違和感は強烈だが、既に笛の音が聞こえてきており、のんびり考えている時間はなさそうだ。早速仲間達と行動を開始しよう。

「――て、ええっ!?」
『もふもふバイト長』ミミ・エンクィスト(p3p000656)は、隣でぽやっと突っ立っている『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)を見上げ、思わず叫び声を上げた。彼は、小さくなった自分より軽く頭ふたつ半は大きい。というか、大人のまま全然変わっていないように見える。
「ランドウェラさん、子どもじゃねーですよね? そんなのアリなのです?」
「本当だ。ランドウェラ君だけ、うまく子どもになれなかったのかな」
『貴族騎士』シューヴェルト・シュヴァリエ(p3p008387)も眉を寄せて、彼を見上げた。彼は子どもになってもどことなく仕草が格式張って見える。

「うわあああ、ぼくだけ子どもになってない! みんなだけずるい! ずるい!」ランドウェラがじたばたとぐずり始め、一同は顔を見合わせた。これはもしかして中身は子どもになっているのではないか、と。
 
「ランドウェラさん、大丈夫よ!きっと身体はおとな、頭脳は子どもなのよ! あなたは今、子どもなのよ!」『帰る場所』トーラ・ファーレングッド(p3p007299)が、僅かに羽搏いて彼と視線を合わせると、彼女のギフトの力でランドウェラは、なんだぁそうか~と落ち着きを取り戻した。実はコピー体で子ども時代の肉体のないランドウェラに関して、境界案内人の力がバグったのであるが、それは彼らの与り知らぬところである。

 4人が辺りを見回せば、笛の音に釣られて歩き出した子ども達の姿は疎らで、既に大多数が遠く離れてしまっているようだ。追うなら猶予はない。家の外で寝息を立てている大人が数人いるが、それがランドウェラに効いていないところを見ると、やはり彼は子どもの扱いになっているのだろう。

 「急ごう」シューヴェルトを先頭にイレギュラーズは小走りに駆け出した。歩幅が大人のままのランドウェラがすぐに先行してしまうが、待って念の為一番後ろがいいんじゃない? と皆に言われ、渋々最後尾につく。
 
 追い抜きざまに見る子ども達は一様に目が虚ろで足取りも怪しく、まるで夢遊病者のようだった。数人を追い抜くうちに周りに子どもの数が増え、村の外れにさしかかったところで遠くに大人の男の背中を発見する。
 笛吹き男だ。
 聖水をかけるには、ふらふら歩いてゆく子どもや木の影に隠れながら気付かれぬように接近するべきだろう。
「みんな、慎重にいこう」
 シューヴェルトが振り返って言うと、わかったですよ、わかった~、そうね、と皆にこやかに返事だけはいい。笛吹き男と子ども達がやがて森に入ると、互いの位置が確認しにくくなり、最初は一番びくびくしていたミミがいつの間にか男のすぐ斜め後ろにまで近付いていた。仕掛けるのか? 何か策があるのか? とシューヴェルトは緊張したが、ミミは聖水を投げつけるでもなく、男が笛を吹く様を歩きながら見詰めている。
「……笛うめーですね、どこで覚えたんです?」
 ふいに彼女が声を掛けると、笛吹き男はぎょっとした顔で振り返った。好奇心が勝り、思わず声に出してしまったが、あっこれはやべーかも、とミミ自身――当然、仲間の何人かも――思いはしたのだ。

 だが、不思議そうに小首を傾げた笛吹き男は、立ち止まると膝を折ってミミと目線を合わせ、興味深げに彼女の顔を覘き込んだ。
「なぜ……きみは……笛を聞いても平気なのかな?」
「へ? は? いや~きっとくるみ亭のパンを食べてるから? おじさんも1つどーで……わ! わっ!」
 突然、がっと手首を掴まれ、ミミは痛みに悲鳴を上げた。男は笛を短剣に持ち替え、冷たい刃を彼女の柔らかい腹部へ押し当てる。
「私はぁ、何もしていなかったいなかったいなかったのにいいいいい、殺されてしまいましたたたたた! 何故! 何故? ……きみは真実を知っているのかな? 真実はきみの、キミの、君の、お腹を裂けば、そこにあるのかななななな!」
「いたっ!」
 
 刃に力が込められ、再び悲鳴が上がったのを聞いて、仲間達が物陰から飛び出した。
「友だちに何してるんだようわああああん!!! さわるなばかあああ!」
 ランドウェラが叫びながら投げつけた小瓶は、屈んでいた笛吹き男の頭部に見事命中した。聖水をまともに浴び、男は悲鳴を上げて焼かれた頭を掻き毟る。さらにミミががぶりと手首に噛みつくも怪人は彼女を強引に振り払い、怒りの視線をランドウェラに向けて向かってきた。
「うわああああ!!! ぼくにもさわるなああああ!」
 涙目で腰の引けたランドウェラを庇って、シューヴェルトが男の前に立ちはだかった。
「ぼくが相手だ!」
「では! きみから! ぶちまけるがいい!」
 騎士の剣は今はシューヴェルトの手元にない。得物はさっき拾った木の枝だ。
 正統剣術の教育を受けてきた彼の体さばきは子どもながら見事なもので、怪人の短剣を受け流しながら何度も手首を打ち据えた。だが、武器には重さが、彼には腕力が、今は足りない。
 
 腹を蹴られてシューヴェルトが倒れると、背後から隙を窺っていたトーラがえいっと荷物に跳び付いた。狙うは背負い袋の中身――何だかは分からないが――なのだが、口がぎゅっと紐で絞ってあって、それを解こうとトーラは焦った。当然笛吹き男は振り落とそうとして身をよじり、彼女を掴もうと手を伸ばす。
「こっちがおるすです!」
 ミミがベルトに挿してあった笛にうまく聖水をかけたものの、特に煙が上がるような様子もなく、怪人も注意を向けない。
「く、笛じゃねーですね!」
「やっては……みてるんだけどぉ!」
 背負い袋にしがみつくのが精一杯のトーラは、自分めがけて振り上げられた短剣へ聖水を浴びせて一旦離脱した。男が倒れて下敷きになったら、助けが間に合うか分からないからだ。本来なら荷物を先に狙いたかったが、選択肢がひとつ消せるならそれも悪くはない。
「おのれええええ!!」
 手首から剣にかけて煙を上げて顔をしかめる笛吹き男だが、やはりそれ以上の変化はなかった。

「荷物だよおお!!!」
「袋の中身できまりか」
「いたた……」
「だいじょーぶです?」 
 ランドウェラとシューヴェルトが聖水瓶を構えて、にじり寄る。尻餅を突いたトーラにはミミが駆け寄り、助け起こしている。
 
 焦りと怒りを滲ませながら4人を見回した笛吹き男は、すっと真顔に戻ると、いきなり笛を吹き始めた。
 何をした――全員に緊張が走ったが答えはすぐに出た。笛の音が止まってから棒立ちだった村の子ども達が、聖水を奪おうと4人へ向かってきたのだ。手荒に扱う訳にもいかず、3人が逃げ惑う中、ふわりと宙へ避難したトーラへ、く、くっと笛吹き男の顔が向く。
「やはり! きみは一番先にお腹の中を調べるべき!」
「きゃ!」 
怪人は人間離れした跳躍で空中のトーラを捉え、着地するやすぐに短剣を彼女の腹へ押し当てた。私は何もしなかった、我慢したのに、と呟きながら。
 やってくる鋭い痛みに備えてトーラが思わず目を閉じた、刹那――――大人の身体で村の子どもを振り切ったランドウェラの投擲が笛吹き男の後頭部へと命中し、聖水が溢れる。
「あ、あああああ!! 熱い! 熱いぃ!」
 
 トーラを突き放し、ランドウェラを追おうと笛吹き男が立ち上がりかけているのを見ていたミミに、そこで稲妻のようにひらめきが走った。神の啓示でもただの思い付きでもこの際どちらでもいい。
「シューヴェルトさん、アレを使って、袋を!」
 男に警戒されぬよう多少暈したが、彼女の身振りで少年騎士はすぐにそれを理解した。シューヴェルトは子ども達を振り切ると聖水の小瓶を怪人へ叩き付けて隙を作り、腕に飛びつくや一気に短剣を奪って、それを一閃する。
 笛吹き男、ではなく、その背負い袋にだ。
 叫びながら飛びかかったランドウェラが両手でさらに袋の裂け目を広げると、そこから覘いたのは古びた本。
「いまだよおおおお!!」
「えいっ!!」羽搏いたトーラは、本めがけて小瓶を思いきり投げつけた。溢れ出た聖水がかかると、黒ずんだ本から悪臭と煙が沸き上がり、笛吹き男は凄まじい悲鳴を上げて全身を掻き毟る。「私だって、やるときはやるんだから!」

「あ」
「戻っ……た」
 イレギュラーズは唐突に精神と肉体が元の状態へ戻っているのに気付いた。身体だけでなく装備もいつも通りだ。笛吹き男の結界が破れたので、境界案内人による子ども化も解かれたのだろう。

 ふと見れば、掻き毟っていた男の喉が割れ、無数の手が生えだしている!
 が、力さえ取り戻せば最早敵ではない。
 騎士が悪夢の如き魔手を斬り落とし、ランドウェラの稲妻が炸裂すると、笛吹き男はざあっと灰のように崩れて本に吸い込まれ、その本も風化するように風に溶けて消えてしまった。

●笛吹き男の真実?
 男が手に入れた手記はいわば魔導書の類だったらしい。暇つぶしがてらそれを翻訳しつつ読み進めていた彼の魂に、何かが起きていたのか? 彼は本当に何もしていなかったのか? 今となっては知る由もないのだが。

「どうなる事かと思ったよ」
 シューヴェルトが苦笑いしながら言った言葉に仲間達が頷いた。
「戻れてよかったよねえ。あ、こんぺいとう食べる?」
 1人あまり変わっていない風のランドウェラの言い様に、また仲間達が苦笑いした。

成否

成功

状態異常

なし

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