PandoraPartyProject

シナリオ詳細

雨の日、雫を持って

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●しとしと、しとしと
「雨だねぇ」
「雨だなぁ」
「雨ざーざー」
 仲良し小妖精トリオが窓辺に並んでしとしとと雨が降る外を見ている。
「こんな日はあれがくるんだよね」
「雨の日のお楽しみ!」
「でもう放っておくと大惨事!」
 楽し気に笑う小妖精たちに、マフィンを焼いていたシルキーが首を傾げる。
「今年は湖の皆忙しいから、手伝ってくれないよ」と。
 それを聞いて小妖精たちは焦る。
「僕たちだけであれ倒すの無理ー!」
「助っ人求!!」
「シルキーは!?」
 わちゃわちゃと騒ぎ出した小妖精たちを横目にシルキーは焼き立てのマフィンを四つに割って、そのうちの一つを口にする。
 ふんわりほかほかなマフィンはふわりと口の中で蕩ける。
 クリームチーズとブルーベリージャムが良い感じだ。
「あ、シルキーずるい!」
「わたしも食べる―」
「僕もー!」
 あっという間にマフィンに気を取られた小妖精たちが残りのマフィンに齧り付く。
「……来てくれるかな……」
 青の湖の危機から、シルキーのうっかりによる後始末まで手伝ってくれた彼らなら手伝ってくれるかもしれない。
 そんなことを思いながら、シルキーは紅茶の準備をするのだった。

●雫をぶつけて
「焼き立てのマフィンって美味しいよねぇ」
 残念ながらフェリーチェの手元にあるのは冷めたマフィンだけど、これはこれでしっとりとしていて美味しいものだ。
「『フェアリーテイル』でね、雨の日に現れる妖精を倒して欲しいんだって。あ、倒すって言っても、別に戦闘で命を奪うわけじゃないよ」
 聞けば基本的に雨の降る場所でボーっとしているだけの妖精だが、雨に当たるたびに大きくなって、限界を超えると爆発して周囲に水害をまき散らすらしい。
「だからね、雨のかわりに妖精たちが用意してくれる雫を当てて、水害をまき散らす前に爆発させちゃうの」
 その妖精も雨に当たるのは好きだけど、その後周囲に迷惑をかけることに関しては申し訳なく思っているようだ。そこで雨ではなく別の物を当てて、楽しみながらほどほどのところで帰宅してもらうのが毎年の事らしい。
「その妖精も濡れて楽しんでるから、遠慮なくあてに行ってね!」
 雨の中で思いっきり遊んだら、その後はシルキーの焼き立てマフィンと紅茶で温まるのはどうだろう?

NMコメント

 とうとう梅雨ですね……!
 雨の日はうんざりも多いけど、その分楽しいこと考えて明るく過ごしましょう!

●成功条件
・雨好き妖精に雫をぶつけて帰宅してもらう
 雨好き妖精からは基本反撃はありません。が、雨が降る中で行うことなので濡れるのはご覚悟ください。
 カッパとタオルは用意してありますし、希望者はお風呂も入れます。

●一緒に遊ぶメンバー
・ノリのいい小妖精トリオ
 元気な僕っ子
 やんちゃな俺っ子
 のんびりわたしっ子

●雫について
・妖精たち特製の水を閉じ込めた水球。
 触るとぷにぷにしていて、強めの衝撃で破裂します。
 仲間にぶつけたらびしょぬれ間違いなし!

●その他
・シルキーは家の中でお風呂やお茶の用意をしています。
・みんなで楽しく遊びましょう!

  • 雨の日、雫を持って完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月12日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ミミ・エンクィスト(p3p000656)
もふもふバイト長
羽住・利一(p3p007934)
特異運命座標
アルジク=G=グリットサンド(p3p008304)
荒れ砂の眷属

リプレイ

●しとしとと雨が降る中
 半透明な水の塊がゆらゆらと揺れている。
 高さは成人男性程度。
 だけどその姿は人というより人型を模したぬいぐるみのようで、雨に濡れて嬉しそうに手足を揺らしている。
「あの方が雨好き妖精さんですの?」
 雨好き妖精を見て『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が瞬きを繰り返す。
 のほほんとしていて、口はなくて円らな目だけがぱちぱちと瞬きを繰り返している。
「雫をぶつけるなんて、要は雪合戦とかのノリですねぇ」
 ぱたぱたと尻尾を揺らす『もふもふバイト長』ミミ・エンクィスト(p3p000656)に、『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934)がカッパと着替えを差し出す。
「雨に打たれる前にまずは準備をしようか。カッパがあるとはいえ、ずぶ濡れになりそうな予感がするし、濡れても乾きやすい服に着替えておこう」
「確かにこのままだと大変なことになるので、ミミも着替えるのです」
 二人が隣の部屋に行くと、『荒れ砂の眷属』アルジク=G=グリットサンド(p3p008304)もカッパを羽織った。
「えと、ノリアさんは、そのままで行くのか?」
「はい。わたしは、海種ですから……雨に濡れることなんて、そんなに、困ったりはしませんの。
塩分が、少なめなことだけは……ちょっぴり、落ちつかない気分には、させられるのですけれど」
 何故か恥ずかしそうに言うノリアに、アルジクはそうなのかと頷く。
「まだこの世界の事は詳しくないけど、海種も大変なんだな」
 アルジクはなんだかちょっぴり間違った知識を得てしまったかもしれない。
 そんな風になんだかほのぼのしている間に耳と利一の着替えも終わり、四人は外に出た。

 雨合羽を着込んで傘もさして、バスケットには山盛りめいっぱい雫を詰め込んだミミは、雫を持って投げる真似をする。
「……ちょっと動きにくいですけど、傘とバスケット同じ手で保持すればまあなんとか雫を投げる事もできそーですね」
 同じくしっかり着替えた利一は軽く体を動かして準備万端。
「それにしても……水遊びをすることが仕事になるなんてね。
 とはいえ単なる遊びでもないみたいだ、水害をまき散らす前に何とかしたいね」
 楽しい遊びにしか見えないが、これでも災害を抑える大事な仕事だ。
「妖精、妖精ね。
 あいにく精霊にしか知り合いはいなくて……似たようなもんだろうか。親戚の……親戚の親戚ぐらいか?」
「近いかもー?」
「精霊は元素で、妖精は物質から生まれる?」
 小妖精に引っ付かれたアルジクは、楽しそうな様子を見て頬を掻いた。
「妖精が好きそうな香水か……。なんか考えてみるかな」
 妖精が好む香りは気になるが、今は頼まれごとを解決するのが優先。
「ぷにぷにで、なんだか癖になる感触、ですの」
 用意された雫を手に取れば、ぷにぷにひんやり、ついずっと触っていたくなる。
「確かに、これはなんだかクセになるぷにぷに感だな」
 ノリアに続き利一も片手でぷにぷにぷにぷに。
 アルジクも片手にとって
「このぷにぷにした……めっちゃぷにぷにしてんなこれ。
 なに? どうやって作ってんだ……? いくつか欲しい……!」
 雫のぷにぷにに魅了されてしまった。
「いや、違う。今は依頼中!」
 アルジクがはっとなって声を上げると、ノリアたちもはっ! と雫を置いた。
「恐ろしいぷにぷに……!」
「あぁ……。歴戦のイレギュラーズをここまで虜にするなんて……!」
 でも癖になる感触ってあるよね。

「そういえば、依頼内容なんだけどさあ……。いや、大丈夫とは聞いたんだけどさ。ほんとにいいのか? だって破裂って……」
「それは私も思った。だけどこれも依頼だから」
 頷く利一にアルジクは唇をへの字にする。
「ああ、うん。やらないって訳じゃあない。混沌もすげーけど境界世界ってのもアレなんだな……」
 特にここは妖精たちの世界。人の世界とは大きく異なる点も多い。
「大丈夫だよー。雨好き妖精も楽しく遊んで早くお家に帰れるだけだから」
 雫を抱えてのんびり笑う小妖精の言葉に、そういう考え方もあるのかと気づく。
 雨好き妖精は破裂するまで家に帰れない。
 早く家に帰れるように手伝うのだと思うと気が軽くなった。
「なるほど。それなら思いっきり遊んで家に帰らせてあげよう」
 そんな利一の言葉で、全員が持っていた雫を投げた。

●雨の中で大騒ぎ!
「さあ……誰が、いちばんぶつけられるのか、勝負ですの……!」
 海水の代わりに雫を使った水鉄砲で先陣を切ったのはノリア。
 水鉄砲言っても、水を掛け合うおもちゃではない。ノリアが愛用している攻撃用のスキルだ。
「わたしは、水鉄砲を、おもいっきり、ぶつけてしまいますの……!」
 だがここは戦場ではなく楽しく遊ぶ時。勿論ノリアの水鉄砲だって、当たった人を傷つけてしまわないように、拡散させたり、地面や壁にぶつけて反射したしぶきだけかかるように気を配っている。
 海中の代わりに空中をすいすい泳ぐノリアは、
「海種ならではの、水のあつかいを、ご覧に、いれますの」
 と縦横無尽に動きながら水鉄砲を放った。

 そんなノリアの陰で腕をグルグル回して準備運動していたのはミミだ。
「レッツゴーなのです! 張り切って、えいえいおー! ですよっ!」
 雫片手に勢いよく腕を天に突きあげると、早速一球目!
「えぇい!!」
 ぺちょん!
「とやぁ!」
 べしゃぁ!
「格好良く決めましたけど、ぶっちゃけミミ、ものすんげーノーコンなのです」
 当たらない雫を見て、真顔になるミミだった。
「大丈夫なのかそれ……?」
 思わずアルジクも不安になる。
「戦うお仕事で爆弾投げたりするんですけど、まともに当たった試しが無いんですよねぇ」
 大丈夫! 普段のミミは可愛い癒し手! 攻撃が当たらなくても問題はない!
 ミミの分まで当てているのは利一。
 最初は「加減が分からないし、強くぶつけるとかわいそうだから」と小妖精たちを参考にしながら軽めに当てていたが、今はコツをつかんだのかガンガン当てている。
「良いぞ利一ー!」
 小妖精たちもノリノリで応援するが、そんな小妖精たちにも雫が襲い掛かる。
「あ、悪い」
 アルジクの言葉を聞いて、小妖精たちがアルジクにお返しとばかりに雫を投げつける。だがそれはアルジクではなくミミに当たって――。
「ちょ、ミミに当てるのはなしですよ!?」
 勿論ミミも投げ返すが、それは小妖精たちではなく周囲に被弾する。
 もうこうなれば敵も味方も関係ない。みんなびしょ濡れになるのに時間はかからなかった。

「えい!」
 ノリアが雨好き妖精の後ろから近寄って、頭に被せるように雫をぶつければ小妖精たちも真似して頭を狙う。だけどその雫はノリアに当たって、ノリアもびしょ濡れ。
「もぅ……! でも、海種ですから、効きませんの!」
 笑いながら水鉄砲をまき散らせば、雨好き妖精が一回り大きくなる。
「くぬっ、くぬっ……! こら、避けんなですー!」
 投げてもあたんねー。と段々近づいてって、最終的に目と鼻の先から小妖精たちに向けてミミが投げれば、外れた雫が当たってもう一回り。
 コツを掴んだ利一も、ちょっと目先を変えて、やんちゃな俺っ子妖精を目掛けて雫を軽くぶつけてみたり。
「こういうのは皆で同じ体験をした方が楽しめるんじゃないかな?」
「そうそう。せっかくならみんなでやらないとな」
 小さいころ、雨に濡れながら遊んだ時のことを思い出して楽しくなってきたアルジクは、全員に向かってぽいぽいと。
 狙った物が、流れ玉が当たって、雨好き妖精はいつの間にか初めの倍以上の大きさに。
「お、そろそろだな」
「うん。また今度、遊ぼうねー!」
「ばいばーい」
 小妖精たちの言葉に円らな瞳がにっこり弧を描く。
『ことしも ありがとう』
 雨の中、小さくそんな声が聞こえた。その次の瞬間、ぱしゃん! と雨好き妖精が弾けて消えた。
 次の瞬間、土砂降りの雨が降り注ぎ、激しく水飛沫が上がる。
「……終わったのか……?」
 突然のことに呆然としてしまった利一の言葉に、ミミのふかふかの耳がピンと動く。
「見てください! 雨が止んだのです!」

●お楽しみの時間
 合羽を着ていたにもかかわらず、雫をぶつけあったり土砂降りの雨に降られたりでびしょ濡れになった一行は早速お風呂へ。
 ノリアだけはタオルで水気を拭いて、乾いた服に着替えて一足先にのんびりと。
「雨好き妖精さんが、爆発してしまったのは……ちょっぴり、寂しいですけれど、きっと……これからも、雨と一緒になって、見まもってくれるのでしょう」
 今は止んでいるけれど、きっとまたすぐに降り始める。その中には、あの円らな瞳の妖精がいるかもしれない。
 窓越しに空を眺めていると、ほかほかになったアルジクがやって来た。
「良いお湯だった……」
 最近のアルジクはお風呂に目がない。
 ハーブの入った妖精たちのお風呂は香りも良くてご満悦のようだ。
「なんだか、いい香りです」
「おふろに、ハーブが入っていたんだ」
 何のハーブかシルキーに聞きに行っている間に、さっぱりとしたミミと利一も戻ってきた。
「さっぱりしたな」
「疲れもお湯に溶けて行ったのですよー」
 テーブルの上に紅茶を置かれると、ミミはバスケットからお茶菓子を取り出した。
「お茶菓子はバッチリですよ、じゃじゃん!」
 シュガーラスクをはじめ焼き菓子をバスケットから次々に取り出すと、小妖精たちが早速群がるのだった。
「焼き立てのマフィンなんて食べる機会滅多にないけど、美味しいな!」
 お風呂でも妖精たちと一緒につい水遊びに興じていた利一は、そんな様子を見せずに焼き立てマフィンを堪能する。
 冷えた体とお腹をぽかぽかに満たしながら妖精たちと他愛ないお喋りに興じていると、いつの間にかまたしとしとと雨が降り始めていた。
 その雨音を聞きながら、ノリアもノリア好みに冷めたお茶とお菓子に手を伸ばした。

成否

成功

状態異常

なし

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