PandoraPartyProject

シナリオ詳細

光を放つコウモリ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 幻想某所。
 メインの街道から外れた場所に、現地民しか使わないトンネルがある。
 元々は、坑道として使われていた場所だったが、すでに廃坑となって久しい場所。
「その後、奥側が開通したことで、そこは抜け道として利用されるようになったそうさ」
 ローレットにて、『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)がこの依頼について説明をしており、イレギュラーズ達が耳を傾ける。

 ここまでならば、なんてことの無い幻想における穴場紹介でしかない。
「現地民から、この抜け道に魔物化したコウモリの群れが住み着いたとの情報があり、討伐依頼が出ている状況だよ」
 体型は全長20センチ程度と普通のコウモリと変わらず、超音波を発して相手の位置を探りつつ、吸血を行ってくる。
 そこまでなら、魔物化していない種類とさほど変わらないのだが、コウモリだから光で倒せるかと言われたら、そうではないらしい。
「面倒なことに、光を使いこなせるようになった個体が混じっているらしいのさ」
 内部には30体ほどのコウモリが確認されているが、その内10体が視力を得て光を使いこなす変異種となっている。
 素早い相手で、纏めて撃破も難しい状況だ。倒すには何かかしら一工夫行う必要があるだろう。
「あと、坑道跡って場所も注意しないといけないね」
 ここは住民達が抜け道として利用している通路だ。
 下手に高い火力で落盤でも起こそうものなら、現地民から反感を買ってしまいかねない。
「範囲攻撃は程々にすべきだね。誤って壁や天井を攻撃する状況も避けたい」
 幸い、坑道跡というだけあって、空洞は広い。
 4,5人が横に並んでもなお幅はあるし、天井も5mは優にあるので思ったよりはスペースに余裕があるはずだ。
 また、坑道には所々照明をつけることができる燭台がある。ちなみに、現状はコウモリの出現もあって全てが消えている。
 戦いにも利用できるはずなので、率先して使っていきたい。
 
 討伐が終わったら、トンネルの手前の集落へと報告に戻りたい。
 後は直接礼金を受け取ることができるが、追加でドーナツの差し入れを貰うことができる。
「血を取られてしまった分、甘味で補填するのもいいかもしれないね」
 取られないことに越したことはないが、折角の差し入れだ。美味しくいただくといいだろう。
「現地民が困ってるんだ。アンタ達の力で助けてやりなよ」
 オリヴィアはそう説明を締めくくり、イレギュラーズ達を現地へと送り出すのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 とあるトンネルに魔物と化したコウモリの集団が住み着き、近隣住民が迷惑していますので、討伐を願います。

●敵……コウモリ×30体
 全長20センチ程度。見た目だけでの判別は難しいようです。
 いずれも飛び掛かっての吸血、超音波を使用します。

○光コウモリ(変異種、仮称)
 視力を得て、光を行使するようになったコウモリです。
 光は破壊の為に攻撃で用いるだけでなく、回復をすることも可能なようです。

○コウモリ(魔物化した通常種)×20体
 こちらは一般的なコウモリで視力に乏しく、超音波をメインに使って攻撃を行います。

〇場所
 幻想某所に現状抜け道として利用されている廃坑があり、そこに魔物となったコウモリが住み着いてしまったようです。
 通行しようとする現地民に襲い掛かって危険な為、内部にいる魔物化したコウモリ全ての討伐を願います。

 事後は近隣住民からドーナツの差し入れがありますので、お召し上がりください。飲み物も希望がありましたら、可能な範囲で付与させていただきます。
 幻想で入手可能な紅茶、コーヒーなどなら振舞うことができるかと思います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 光を放つコウモリ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年06月09日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
オカカ(p3p004593)
兎に角
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
スカル=ガイスト(p3p008248)
フォークロア

リプレイ


 ローレットにて依頼を受けたイレギュラーズ達。
 彼らは一度近場の集落へと立ち寄り、依頼に取り掛かることを伝えてトンネルを封鎖してから、現場へと向かう。
「ここだな、件の廃坑は」
 幽霊を語るヒーロー、『ゲシュペンスト』スカル=ガイスト(p3p008248)がその外観を見回す。
 元は坑道だっただけあり、入り口はかなり大きく、トロッコなどが運べるよう線路などが敷かれた跡がまだ残っている。
「近隣の住民さん達が困っているなら、正義の海賊としては放って置けないんだぞ……」
 海賊宜しく頭にバンダナ、セーラー服着用の『蒼蘭海賊団団長』湖宝 卵丸(p3p006737)は、このトンネルに巣食う魔物を1匹残らずやっつけるんだぞと気合入れる。
「ドーナツがもらえるって聞いてきたけど、おしごと終わってかららしいから、早く片付けちゃおうよ、はーやーくーー」
 頭に角が生えた兎といった容姿の『兎に角』オカカ(p3p004593)は心底ドーナツが欲しいらしく、仲間達へと早くトンネルへと突入するよう促す。
「けっ、決してドーナツに釣られたわけじゃ、ないんだからなっ!!」
 ツンとして明後日の方向を向きながらも、卵丸はちらっとこっちを見ながらそう否定していた。
 そんな様子の彼は、何とも言えぬ可愛さがある。
「このトンネルを使う人のためにも、そしておいしいドーナツのためにも、頑張ってコウモリさんをやっつけよう!」
 炎の神と人の子のハーフである『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)もまた、人々とご褒美の両方の為にと気合を入れる。
 ただ、今回の魔物も簡単に討伐できる相手ではなさそうだ。
「30匹程の蝙蝠か……」
 黒髪の和装美人、『月下美人』久住・舞花(p3p005056)も、中を覗き見ていた。
「コウモリって、そんなに危ない、生き物なの……?」
 狼の耳と尻尾を持つ『闇と炎』アクア・フィーリス(p3p006784)が首を傾げて尋ねる。
「それ程の数棲みついたとなると、成程近隣住民にとっては非常に危険な話ね」
「……そっか、危ないから、依頼来てるんだったね」
 舞花が納得する理由を口にすると、アクアも安全の為だと合点がいったらしい。
 今のところ、被害はこのトンネルとなっている廃坑道のみだが、放っておけば数が増えて外まで拡散することまで舞花は見越して。
「そうしたら、何れ被害が出る場所が廃坑道の中だけとも限らなくなるでしょう」
「蝙蝠退治、多い数を相手にするのは、あんまり得意ではないのだけれど」
 早急に退治するべきだと主張する舞花に対し、やや眠たげな表情をした猫科の獣種の少女、『探究者』ロゼット=テイ(p3p004150)などは難色を示す。
「吸血鬼としては、蝙蝠を傷つけるのは何か思う所はありますが……」
 栗色の髪の『慈愛の英雄』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)も異なる理由で、コウモリの討伐に少なからず抵抗があったようだが。
「しかし、集落の人たちが襲いかかってくる蝙蝠に迷惑しているとのことであれば、立ち上がらないわけにはいきませんね!」
 私達でしっかり対処をと意気込むユーリエは今回、誤解を生みかねない吸血鬼形態をとらずして討伐に当たる心構えだ。
 すると、ロゼットも思い直したようで。
「こういう仕事も、地域の生活の為には必要不可欠なことだよね」
 農作物が獲れないと国が細る。国が細れば経済は回らなくなる。経済が回らないと手取りが減る。
 そうなれば、依頼者となる近隣住民も干上がってしまうとロゼットは語る。
「情けは人の為ならず、頑張ろうね」
「行こ? 早く、終わらせて……ドーナツ、早く食べたいの」
 ロゼットの言葉に小さく頷くアクアは本音を口にしながらも、仲間達にトンネル内部へと入るよう訴えかける。
「早速、害獣駆除を始めるか」
 ある程度仲間達の準備が整ったところでスカルが改めて仲間達に促し、一行はトンネル内部へと足を踏み出すのだった。


 住民がトンネルとして利用している廃坑ではあるが、ここしばらく魔物コウモリが発生していたからか、照明となっていた燭台の炎が全て落ちてしまっている。
 そんな中に巣食うコウモリだが、どうやら3分の1程度が変異種となっていたようで。
「暗闇にいるのに、光を使うって、変なの……」
 ぼんやりと頭上を見上げ、アクアが呟く。コウモリらしく暗闇でひっそり生きていればいいのに、と。
 そこで、暗視を活かして先頭を歩くオカカが自身のいた世界で友達だったオオコウモリの話をする。
「ほとんど目が見えないけど、急にあかるくなるとね、目がすんごい刺激でビックリして思わず逃げちゃうって、いってたよ」
 光コウモリなる変異種は目がいいという情報もあることを、オカカは思い返して。
「ふつうのコウモリくんよりは、光にビックリしないんじゃないかな、きっと」
「なるほど、洞窟内を光らせてその光コウモリを見分けるのはいいですね!」
「あ、わたしの炎は、熱も光もないよ……ごめんね?」
 そんなユーリエの言葉に、ギフトによって常に漆黒の炎を発するアクアはすまなさそうな表情をしていた。

 話し合いの結果、オカカが光を放つことに。
 それまでは、できるだけ光を灯さず歩くことになり、焔のギフトを使った灯には後ほど頼ることになる。
 ユーリエだけは優心の指輪をほんのり発光させていたが、その彼女も吸血鬼印の飴を舐めて暗い空間に慣れていた。
 基本、皆光には頼らず、舞花は暗視で天井や壁面の燭台の陰など、コウモリが潜めそうな場所を探る。
 また、舞花は鳴き声、羽音といった音にも注意していたが、こちらは卵丸のエコーロケーションの力も借りる形だ。
「何かいるぞ」
「うまく仕掛けられるようにしたいですね」
 声を潜める卵丸。舞花もこくりと頷き、仲間達と情報共有する。
 その間に、ユーリエはスイーツタイムを使ってスキル使用の能率アップ。
「では、オカカ。手筈通り頼む」
「うん、まぶしくて、すんごい音もするからきをつけてー」
 状況を見たスカルが頼むと、オカカはバッグから「聖夜ボンバー」を取り出して仲間達へと注意を促す。
 皆のGOサインが出たところで、オカカはそれを角でカッキーンと打ち、コウモリ達がいる真下辺りで爆発させる。
 突然の光の爆炎に、慌てた魔物コウモリ達が右往左往し始める。
 しかし、中にはほとんど反応することなく、こちらをじっと見つめてくるコウモリ達が光を放出し、牽制攻撃を仕掛けてきた。
「やはり、予測通りでしたね」
 舞花の予測通り、普通のコウモリは突然の光にパニックを起こすが、変異種である光コウモリは動揺することなく迎撃してくるほどの冷静さを見せている。
「思った通り、こちらが見えているか」
 スカルはオカカの飛ばした「聖夜ボンバー」の燃えカスや相手の放つ光が光源になりそうだと判断する。
 周囲の燭台に火を灯すのを後回しにし、スカルもまずはこの変異種の駆除に動き出す。
「音で察知は、お前達だけじゃないんだからなっ」
 コウモリだけに、超音波も合わせて使っているのは間違いない。
 卵丸もまた反響音をしっかりと感知し、飛んでくる光コウモリから狙って攻撃を開始するのである。


 多数のコウモリは闇の中で発生した光にうろたえ、戸惑いを見せていたのだが、そんな光を受けてなお襲い来るコウモリ達の羽ばたきを音で感じ取る。
 この場にいるコウモリの数は多いが、空間よりも広範囲の攻撃で纏めて攻撃すれば壁や天井をも破壊してしまう。
 落盤でも起きようものなら、近隣住民の不評を買ってしまうことだろう。
 その為、卵丸はまだ距離があると判断して、速力を破壊力に変換して光コウモリへと接近して。
「今、蒼き彗星となって……全てを打ち貫く!!」
 彼は言葉通りに、そのコウモリをパイルバンカーで強かに貫いていく。
 ユーリエもまた、溢れ出る意志の力を光の弓矢に変換して。
「光に包み破壊する……! ガーンデーヴァ!」
 次の瞬間、ユーリエの射放った光の矢に穿たれた相手は、彼女へと近づいてくる。
 すでに交戦を始めるメンバーはいるが、焔は先程のオカカのアイテム使用で判別した光コウモリへとギフトで炎を灯してマーキングしていく。
「今だよ!」
「焔くん、ありがとう」
 礼を告げたロゼットは攻撃の為に光り、かつ焔が炎を灯すコウモリを狙う。
 渡りの技術によって総合力を高めるロゼットは光る飛べない羽を伸ばすことができ、ぺしぺしと叩き落とすように光コウモリから理力を奪い取る。
 光コウモリからもしっかり反撃は受けるが、回避、防御の力が高まったロゼットは簡単には落ちないと交戦を続けていった。
 舞花もまた、まずは変異種を狙って水月鏡像の如く心を速やかにして変幻の刃で光コウモリを惑わし、その刹那の虚において敵を切り裂いていく。
「場所が、場所だから……」
 アクアも爆炎、雷といったスキルを避け、仲間と攻撃対象を同じくして双刀『黒魔』に暗闇を纏わせて切りかかり、翼を切り裂いた光コウモリを地面へと落としていく。
「1、2……倒し残しがあってはいけないからな」
 スカルは倒した敵の数を数えながら、自らの拳を叩きつけてさらに討伐カウントを増やそうとする。
「こうげきー」
 スカルに合わせ、オカカも光を放つ光コウモリを見定め、頭の角を振りかざして突撃。思いっきりグサリと敵の腹に、オカカは翼に鋭い角を突き刺していった。

 その後、通常種のコウモリ達が落ち着きを取り戻しつつある中、イレギュラーズ達は光コウモリの討伐カウントを伸ばす。
 光コウモリ達も数で群れ、吸血、光での回復と継戦能力に優れる手強い相手。
 だが、通常種と別に対処するイレギュラーズ達の前では、自分達の力を最大限に発揮はできていなかったようだ。
 パイルバンカーを振りかざす卵丸は、戦乙女の加護を纏って確実に光コウモリの体を穿ち、とどめを刺していく。
 そして、焔も闘気は火焔へと変え、手にする槍「カグツチ天火」で猛撃を食らわし、光コウモリを倒してしまう。
 まだ討伐は8体だが、粗方光コウモリを倒したと判断し、一行は周囲の燭台の点灯へと移る。
「ごめんね。火点けるよ」
 ユーリエは通常コウモリを隅っこに追い立てるようにして火を灯していく。
「焔ちゃん、準備は良い?」
「うん、大丈夫だよ!」
 ロゼットに促されて態勢を整えた焔がギフトを使い、槍の先へと炎を灯す。
 その焔と共に、ロゼットは炎を使って残るコウモリを倒しやすい場所へと誘導していく。
 ただ、そうなれば落ち着きを取り戻したコウモリ達が群がり始め、一斉に血を吸おうと牙を剥く。
 その中に紛れ、マーキングされた燃え上がる光コウモリが。
「……? あ、危ない! 光るコウモリ、残ってた!」
 仲間が点火へと動く間、コウモリの奇襲を警戒していたアクアは、すぐに迎撃へと当たる。
「邪魔をして来るか」
 スカルも全ての光コウモリを倒していないことは把握していた。最初の地点で全てを巻き込んでいなかったからだ。
 ともあれ、スカルも火を灯す燭台の数を増やし、通常種の活動領域を狭めようとしていく。
 しかし、燭台の光がトンネル内へと広がってくれば、コウモリ達も自分達の縄張りを守る為か、超音波を浴びせかけてこようとする。
 舞花は近寄ってきた通常種へと剣閃を放つ。
 燭台の光で刀身が煌めき、コウモリ1体を仕留めはするが、何せ通常種も数が多い。
「久住・舞花……相手になります。いざ」
 名乗りを上げた彼女は一旦防御の構えを取り、その攻撃を引き付ける。
 そこで、オカカが鋭い角でグサグサと通常種を突き刺して1体を貫き、さらに残るコウモリ達を牽制して。
 その中に紛れていた光コウモリ確実に仕留めるべく、卵丸がパイルバンカーで1体を貫いてとどめを刺す。
 アクアも距離がまだ開いたままだった光コウモリが光を発してくるのをこらえながらも、漆黒の炎で作られた異形の手で残っていた変異種を引き裂いてしまったのだった。


 トンネル内の燭台に炎が灯っていき、通路が明るくなってくる。
 光コウモリが倒れれば、後は群がる通常種のみ。
 それらは数を活かして飛び掛かってくるが、ユーリエが英雄の光で自らを輝かせ、さらに能率を上げながらも仲間へとポーションを振る舞い、回復に当たる。
 ロゼットも聖なるかなで敵に触れられぬよう包み、前線で光輝く羽を伸ばして近場のコウモリを叩き落とす。
 油断すれば、全身の血を吸い取られかねない相手と数。
 だが、下手な攻撃は落盤を引き起こす可能性がある。
「でも、こう数が多いと1匹ずつ潰していくのは大変だし……」
 焔はなんとか効率的に倒せないかと考え、通路に対して縦方向、かつ上の方に向かって炎の斬撃を飛ばす。
 そうして、上手く2体を撃破、さらに2体と、焔は効率的に撃破数を増やしていた。
「海賊の卵丸が相手になるんだぞ!」
 卵丸もまた纏めて撃破できる方法を考えており、敢えて名乗りを上げてコウモリ数体を引き付ける。
 ある程度、敵後方に空間があるのを確認し、卵丸はタイミングを計って仕掛ける。
「かかった……刺し貫け、神速雷鳴の一撃!」
 パイルバンカーによる雷の一突き。
 トンネル内の駆け巡った雷は、コウモリを纏めて焼き払う。
 大きく頷いた卵丸はさらにエコーロケーションで周囲を探りながら、1体の打ち漏らしもないよう退治に当たっていく。

 魔物コウモリも数が減れば、攻勢が弱まってくる。
 とはいえ、残る相手は居場所を守ろうと、必死になって血を吸い、超音波を発して襲ってくる。
 アクアはなんとか気力を持たせて暗闇の刃でコウモリの体を切り裂き、鋭く踏み込んで肉薄するスカルも肉弾戦で敵の頭を殴りつけて地面へと叩き落とす。
 数が減ってくれば舞花も防御を解き、残影を生みながらの神速の斬撃でコウモリを切り伏せ、さらに眩惑の剣で別のコウモリを切り刻む。
 さらにアクアが残るコウモリを狙おうとすると、動物疎通をしていたオカカが首を横に振って。
「もうめいわくかけないで暮らすって。にがしちゃってもいい?」
 どうやら、オカカによれば降参の意思表示をしているらしい。ユーリエもまた子供のコウモリを保護しており、これ以上は戦う意思はないようだ。
 そうまで言われると、アクアも強くは出られず、素直に攻撃するのを止めることに。
 そうして、オカカが話すと、ここではもう暮らせないと首をコウモリが横に振る。
 その為、オカカやユーリエは人と生活圏が被らない別の場所へとその魔物コウモリ達を誘導することに。
 その間、焔は戦場跡で天井が崩れそうになっていないか確認して。
「うん、大丈夫かな」
 意図的にコウモリ達が破壊したような素振りもなく、再びトンネルとして機能を果たすことができそうだ。


 その後、全て終わった後、イレギュラーズ達は近隣の集落へ報告へと向かう。
「……といった形で終わらせた」
 数体のコウモリを別所に連れて行ったことは伏せ、スカルが状況を伝えると、住民達も胸を撫でおろして。
「本当にありがとうございました」
 頭を下げて感謝を示す人々は、ささやかなお礼にと集落のドーナツ店へと案内してくれる。
「ねんがんのドーナツだー! いっぱいたべるぞー!」
 テーブルの上に積まれたドーナツは定番のシンプルなものから、フレンチ、ポンデと呼ばれるリング型、ボール型や星型、ハート型のものも。
 また、味付けは砂糖のみまぶしたものから、チョコ、果実などのフレーバー付きまで様々。これなら飽きることなく食べることができそうだ。
「あっ、飲み物はココアとかあったらもらいたいな。というわけで、いっただきまーす!」
 一通り仲間の傷の手当てを終えた焔は飲み物と聞かれてオーダーし、早速一つかぶりつく。
「ドーナツ、ドーナツ……!」
 アクアもまたむしゃむしゃと食べ、その甘さを焔と共に噛みしめていた。
 卵丸も目をキラキラと輝かせながらも、頼んだ紅茶を飲みつつドーナツを一口。仲間や住民の視線に気づいて、彼は頬を赤らめながらも食べ進めていた。
 報酬は多いに越したことはなく、貰えるものは貰っておこうとスカルもドーナツを口にして。
「ああ、甘いな」
「こういう心遣いは正直ありがたいなあ」
 手当は受けたが、血をたんまり吸われてふらふらしている状態は変わらないロゼット。
 彼女は薄めのコーヒーを飲みつつこうした心遣いにありがたみを実感し、嬉しさを感じて笑みを零す。
 また、オカカはこの場で思いっきり食べるだけでなく、お土産として自身の角に輪投げのように引っかけて持ち帰ろうと考えていたようだ。
「ところで、どうして、光るようになったの、かな……?」
 皆、ドーナツへと夢中になっているところで、アクアがふと疑問を口にする。
「欲しかったから、そうなった、の?」
 それは、混沌という地ならではの進化か、はたまた……。
 メンバー達はその事実を頭の片隅で考えながらも、さらにドーナツへと手を伸ばすのだった。

成否

成功

MVP

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

状態異常

なし

あとがき

リプレイ公開です。
MVPはトンネルの燭台に火を灯し、
さらにコウモリを効率よく倒す方法を考えたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!

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