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シナリオ詳細

伝承の領主に勝て!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■彼は名君也
 その地方は山深く。夏は涼しく過ごしやすいが冬は雪に閉ざされ飢える地。
 そんな場所でも、人はたくましく生きていた。そして人が集まれば、当然統治する長も必要となる。
 若き頃の彼は、領主たる父が愚かである事をわかっていた。早く、早くこの地を治めるのが自分の役目だと知っていた。
 ある時の父は、雪で閉ざされた山の中を、配下を率いて進軍し。そして、冬将軍に破れ、戦う事なく敗走した。
 しかし彼は違った。殿を自ら引受け、敵を、味方を欺き奇襲を仕掛け。見事寡兵で勝利を収めた。

 時は立ち、彼は父が物見遊山にでかけたのを機とし。関所を封鎖し二度と父に故郷の地を踏ませないようにした。跡を、無断で継いだ。
 しかしてこれに反対するものは一人もおらず。暴君であった父に代わり、彼は名君と仰がれ、よく地を収めた。
 彼の人望はやがて人を惹きつけ、優秀な配下が集い。いつしか人々は、彼に国全てを収めて欲しいと願うようになった。

■名君は、時に敗れる
 宿敵との戦も終え、彼は人々の願いを聞き届け。その為にまずは国の中央に向かわんとする。
 多数の配下に守られ、征く先々の人に歓迎され。このまま行けば、戦乱は終わり世は平和になると思われた。
 だが……それを良しとしない、群雄が。彼に暗殺の刺客を向け。
 彼は志半ばで倒れる事となる。
 息子が跡を継ぎ、進もうとするも。かの魔王にそれは断たれ。再び世は戦乱に包まれる。

■名君は、今一度立ち上がる
「……よっぽど無念だったんだろうね。その名君は、成仏できず。自分が死んだ事を理解できず、まだ進もうとしているんだ」
 境界案内人のカストルが、辛そうな表情でそう説明する。何故、名君と慕われた人が、悪霊にならなければいけないんだろうね、と。
「だから例によって、討伐をお願いするよ。気をつけてね、彼の人望は死して尚、生きているんだ」
 共に死んだ、無念の思いを連れて。

NMコメント

 なんでこれシリーズ化してるんだろう。以下略です。
 そんな個人的な疑問はさておいて。今回も強敵です。いつものことです。
 以下敵詳細。
■仮面を被った名君×1
 目を隠す仮面を被り軍配を持った、初老の男性です。彼個人の戦闘能力は割と平凡ですが特殊能力が厄介です。
P風林火山:風の陣→林の陣→火の陣→山の陣→風の陣と1ターン毎に変化し、彼と彼の味方全員に対応したステータスアップを【瞬付】します。これは彼個人の行動とは別に起き、彼が戦闘続行可能である限りターンの最初に起き続けます。
 風の陣:味方全員の反応+1000、防技-30、抵抗-30
 林の陣:味方全員にHPAPBS回復、物理攻撃-100、神秘攻撃-100
 火の陣:味方全員に命中+20、物理攻撃+200、神秘攻撃+200、CT+10、反動ダメージ有り
 山の陣:味方全員に防技+100、抵抗+100、反応-100
Aジャイアントスイング:物理至近単体攻撃。【防無】【飛】
A頭突き:物理至近単体攻撃。【追撃40】

■親衛隊×4
 名君を護るべく、死してなお忠義を果たす武者です。剣、槍、弓、銃の四人がいます。全員能力値は同じで、平均的な能力をしています。
 剣の武者は物攻に優れ、反応依存の攻撃を持っています。
 槍の武者は防技に優れ、射程がレンジ1。防技抵抗依存攻撃があります。
 弓の武者はレンジ3。武器の性能で神攻が高め。
 銃の武者はレンジ4。命中が高いです。

 以上となります。
 変幻自在の陣を操る名君、どうか成仏させてくださいませ。

  • 伝承の領主に勝て!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月16日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

■飄々とした名君
「む、なんじゃねお主達は?」
 亡霊のように、否、実際亡霊なのだが。ゆらりと揺らめきながらも歩み続けるソレの前に、イレギュラーズ達は姿を見せる。
 皆、想いは一つ。何故彼のような名君と呼ばれし者が浮かばれないのか。そして、引導を渡すことこそが使命と。
「恨みはないが……や死した人間はもう蘇る事は出来ない、ここで止めさせて貰う!」
 『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160) が2本の槍を手に高らかと宣言する。その凛々しき姿に何を見たのか、名君は……仮面で見えないが目を細め懐かしむ。
「ほほ、若いの……お前さんはどこか、あやつに似ておるの」
「思い出話もいいけど、こちらを無視しないでね!」
 パリパリと、身に宿す雷が存在を主張する『雷虎』ソア(p3p007025) の姿に、なるほど、と顎を撫でる名君と呼ばれし者。
「前途ある若者達を押さえつけるのは好きじゃないんだがなぁ」
 そう言いながらも、腰を深く落とし戦闘態勢に入る。彼に呼応するかのように、揺らめいていた存在は武者の姿を形作り、主を護るべく各々の武器を構える。
「無念で心残りはあるのはわかるよ……でも、ここで止めるのがたった一つの冴えたやり方!」
「せめて安らかな眠りを贈るのが最上よね」
「だよね、美咲さん!」
「ええ、ヒィロ!」
  『咲く笑顔』ヒィロ=エヒト(p3p002503) と『紫緋の一撃』美咲・マクスウェル(p3p005192)は顔を見合わせ、頷きあう。お互いをよく知る間柄だからこそ、安心して戦いに赴ける。
 そんな彼女達を見て、名君は一つ笑い。そして一つ憂う。
「わしは……お前さん達のような若者が平和に暮らせる世を作りたかったんじゃがの……」
 邪魔をするなら致し方ない。そう呟くと、次の瞬間には身体の内から殺気と漲らせる。それは歴戦のイレギュラーズに勝るとも劣らないもの。
「皆のもの、ゆくぞ!疾きこと、風の如し!」

■風林火山
「はや……っ!」
 名君の号令に合わせて動く鎧武者達は、まさしく風。イレギュラーズ達の誰もが反応できない素早さで槍を持った武者以外が一斉攻撃を仕掛けてくる。
 とりわけ、剣を構えた武者の一撃は鋭く重く。まともに受け止めたベネディクトの腕からは夥しい出血が。更に弓、銃、名君も彼に対し追い打ちをかけるべく襲いかかるが、彼とて歴戦の猛者。或いは受け流し、手甲で受けるなどして被害を抑える。
「ベネディクト君!」
 一斉攻撃が終わり、ようやくイレギュラーズ達も動き出す。美咲は深手を負ったベネディクトに治療術を施し傷を癒やす。彼女の確かな魔術は一瞬にしてベネディクトに生気を戻し。
「感謝する。今度はこちらの……!?」
 仲間内で決めていた通り。作戦の要となる美咲が狙われないように、銃と弓の武者から狙おうとした彼だが、槍の武者に進路を阻まれ足を止める。
「ユカセヌ……!」
「くっ……ここは俺に任せて、二人は作戦どおりに!」
 咄嗟の判断でベネディクトは槍を構え直し、周囲のいる剣、槍、名君に対し乱撃を繰り出す。俺を狙い撃ちにするなら好都合だと。
 槍の武者の脇を、ソアがすり抜ける。狙いは弓を持つアイツだと定め、右腕に力を込める。狩猟本能を全開にする。
 彼女の本能に従い、雷が音を鳴らす。それはまさしく神鳴に他ならぬ。ソアだけが感じる感覚。
「並の人間なら、この一撃で黒焦げのぺちゃんこだよ!!」
 思い切り振り抜いたその一撃は、弓の武者を確かに捉え大打撃を与える。叫び声と共にふらつく弓の武者、もしベネディクトが追撃できていればすぐに倒せていたのだろうが……。
「君達の相手は、ボクだよ!」
 大切な思い出をおまじないとして胸に宿し、前線にまで出向いてきた三人の敵に対して吼えるはヒィロ。ソアが飛び出したのでこちらの前衛は実質二人。対する敵の前衛は名君入れて三人。このままでは美咲が狙われると、ヒィロは己に課した役目を果たす。
 その一喝はたしかに三人を囚え、視線がヒィロに向く。が。
「静かなる事、林の如し!」
 名君の令が武者達の耳に届く。冷静な判断を取り戻させる。
「厄介だね、本当!」
 対するヒィロも負けじと、闘争本能を剥き出しに今一度吼える!
 再び剣と槍の武者の意識はヒィロに向かい、彼女に襲いかかるが。常人離れした彼女の敵ではない。
「流石ねヒィロ。これなら……!」
 今なら動ける。そう感じた美咲は、弓の武者へ全魔力を撃ち出す。
 それは正しく砲台。名君達が見た事のある鉄砲の数十倍はあろうかという、魔力の質量が。ソアの一撃でふらついていた弓の武者を飲み込む!
「負けておれんな!」
 武者のマークがとれたベネディクトも駆ける。もう、弓の武者は虫の息だ。数の不利を打ち消す為にも逃さないと槍に腕の力を込めて、駆ける力もそのままに突き出す!
「これで……一人!」
 霧散した弓の武者。これで四対四。
「やりおる……こちらも攻めるぞ!火の陣じゃ!」
 名君が再びの号令を放つ。武者達が一斉に殺気立つ。そして、軍配を掲げ宣言する。こちらの連携を乱す者がいるならば、逆に利用するまで。
「狙いはあの娘っこじゃ!」
 剣と槍の武者を引きつけたヒィロに、銃口も向く。名君自身も彼女に接近し、その腕を掴み。
「えっ!?」
「捕まえたぞい……そりゃあぁぁっ!!」
 ヒィロの一瞬の隙を突き、豪快にぶん回しそして投げ飛ばす。その一撃は、火の陣の効力でヒィロの防御も貫き。
 更には投げ飛ばされたヒィロへ、銃弾が。鎧武者が襲いかかる!
「ヒィロ!?」
「だ、大丈夫だよ……なんとか!」
 受け身を取り、身を捩り。直撃だけは避けていたヒィロだが、全身傷だらけになっている。慌てた美咲が治癒を施し、力を取り戻させる。
「ソアさん、お願いね!」
 立ち上がったヒィロが再び前線へと戻り狙うは銃の武者。強敵と認めたからこそ、一気に崩すしかない。ヒィロの闘志は武者を捉え、身体から力を奪う。
「まっかせて! ベネディクトさんも!」
「おう!」
 二人の剛撃が、銃の武者を霧散させる。これには流石の名君も慌てだし。
「こりゃ不味いかもしれんね……今は耐えよ!」
 反撃の機会を探るべく、防御を固める。
 しかし、イレギュラーズには通用しない。何故なら……。
「そんな防御、こじ開けちゃうよ!」
 ソアの放つ雷が、剣の武者を貫く!
 それは正しく防御すら無慈悲に貫く一撃。鎧武者の全身に電流が走り、身体が痺れる。それでも武者は倒れず、立ち上がり。ヒィロへの攻撃を止めない。
「さっきは油断したけど……!」
 ひらり。舞う姿は蝶か蜂か。最小限の動きで刀を翻し、続く槍の武者の厳かな一撃も躱してしまう。その間にも美咲の援護を受け、ヒィロの傷は癒えていき。
「俺達は、負けない!」
 強引に、守りの上から槍を叩きつけるベネディクト。彼の腕力に、技量に裏付けされた一撃は、守備の上からでも体力を奪う!
「……このような若者、欲しかったのぅ」

■名君は地に眠る
 お互いに連携を重視した、それは正しく決戦。
 此度の戦は、イレギュラーズが勝利した。傷つきながらも、お互いの強みを最大限に活かし、信じあった四人の勝利である。
「ほっほ……時代には勝てぬ、か」
 膝をついた名君が、悔しさなど微塵も感じさせずに語る。四人を順番に見つめる。
「かつての儂は、民の願いを叶えるべく頑張りすぎたのかもしれんな……」
 その顔は、若者に希望を見出した表情……仮面で素顔は見えないが。
 対するイレギュラーズも、頷きで返す。絶対に、彼の期待に背かないと。
「ボク達は絶対に、負けないよ。だから、安心して」
 徐々に力をなくす名君に、ソアは力強く語りかける。
 何があっても、乗り越えてもっと強くなるから、と。
「貴方の築いた名声と故郷を治めた成果は、必ず後世に残るから……胸を張って、あの世へ旅立ってほしいな」
「……ありがとうよ、カワイコちゃん」
 最期の時が近づいていても、名君はどこまでも楽しげで。ヒィロに対し、口の端で笑って見せた。
「俺は今日、あなた達と戦えた事を忘れない。さらばだ、かつての英雄達よ」
「ああ、儂も忘れんよ。お主の事」
 がし、と力はないが、心はしっかりと繋げて。ベネディクトと熱い握手を交わす。
 彼のような若武者が、かつては配下にいたのかもしれない。それが、名君を最期まで繋ぎ止めたのかもしれない。
「おやすみ……眠りにふさわしい闇を、みせるよ」
「……ああ、ありがとうよ」
 魔眼の力を開放した美咲の、無慈悲であり、慈悲の一撃が名君の胸を貫く。
 感謝の言葉を遺し、彼は部下達と同じ場所へ逝く。

 仲間がいるから、信じてくれる者がいるから。人は英雄になれる。
 彼は力は劣っていたかもしれない。けれども、正しく配下を信じ、民に応えたからこそ。
 英雄なのだ。

成否

成功

状態異常

なし

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