PandoraPartyProject

シナリオ詳細

大か、小か、運試し!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●秘湯とは如何に
 戦ったり、貴族からの依頼を請け負ったりしているイレギュラーズ。
 そんな彼らを労う意味で、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、イレギュラーズにある提案をしてきた。
「秘湯に行ってきて堪能してみませんか?」
 秘湯。秘められた湯。通常であれば、人里離れた山の中にあったりするような小さな湯。そんなものなのだろうが、ユリーカが話した情報は違っていた。
「既に整備されているので、男湯と女湯に分かれているのですが、効能は疲労回復以外にも変わった事がありまして」
「変わった事?」
「はい。何でも、人によっては大きくなったり小さくなったりするようなのです」
 人によっては、とはどういう事か。
 それを問い質せば、少女は手元の情報をもう一度見やってから答えてくれた。
「女性なら身長かお胸が、男性なら身長かお腹が、それぞれ変化するのですが、どういった条件でなるのかは全く規則性が無いのです。一説には、望んだからとも言われているようですが、確証は無いのです。現に、報告書には、望んだのに正反対になったという報告もあるのです」
 どうなるかはその時まで秘密。そういう意味でなら、確かに秘湯と呼ぶのかもしれないが。
 ちなみに効能は永遠なのか尋ねると、「どんなに長くお湯に浸かっても、一時間で効果が消える」のだという。
「興味があれば、行ってみるといいのです。周囲にモンスターも居ないので、戦う事もないのです。ただ、男湯と女湯に分かれてるので、時々女湯覗き事件は起こってるようですが、イレギュラーズの皆さんなら大丈夫な筈なのです」
 それはどういう意味なのか。
 「返り討ちに出来るよね?」か、「覗きなんてしないと信じてる」か。両方だとしたら……考えたくはない。
「地図を渡しておくので、行きたい方はどうぞなのです」
 ユリーカから渡された地図を受け取って、とりあえずは楽しむ為に向かう事にしたのだった。

GMコメント

●情報確度
 B。
 不規則性なものにより、何が起こるのかは不明。
 判明しているのは、女性が胸か身長、男性がお腹か身長が、大きくなるか小さくなるか、という事である。

●温泉について
 男湯と女湯があり、混浴は無い。
 岩づくりの広い温泉だが、男湯と女湯の間には木材で作られた柵が設置されている。高さは二メートル半。覗こうと思えば覗ける高さ故か、時々覗き事件(主に女湯側)が起きている。

●マスターより
 前回と打って変わって、日常回をお届けします。
 少年誌の範囲内でのエロをお届けする可能性が高そうですが、それはそれとして。
 皆様には、何処を大小にしたいか、希望があればその旨を記載していただきたく。ただし、全てが希望通りに行くとは限りません。
 希望通りになった場合と希望通りにならなかった場合の反応も記載がありましたら、是非記載をお願いいたします。
 リプレイでは、イレギュラーズ達は既に秘湯に辿り着いた所から始まります。
 覗きをしても良いですが、その場合はお仕置きされるかもしれませんね?
 それでは、皆様とのご縁をお待ちしております。

  • 大か、小か、運試し!完了
  • GM名古里兎 握
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年04月14日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レンジー(p3p000130)
帽子の中に夢が詰まってる
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
ジョゼ・マルドゥ(p3p000624)
ノベルギャザラー
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
叶羽・塁(p3p001263)
此花咲哉
ケイティ・アーリフェルド(p3p004901)
トラッパーガール

リプレイ

●おーんせん!
 イレギュラーズが辿り着いた時から、その木造の建築物は入口を二つに分けていた。
 立て看板には、男性用と女性用の入り口が指し示されている。そんな事をせずとも、入り口に掛けられている布は男性用の青色と女性用の赤色で染められており、大きな文字で男女の文字が描かれているのだが。
 念には念を、なのか。それとも最初は立て看板だけだったのでその名残なのか。成り立ちは知らないが、予想するだけ野暮というもの。
 今日は秘湯を楽しみに来たのだから!
 集まり、やってきたイレギュラーズは八名。
 さあ、別れようとなった時、問題が一つ発生する。
「わたしはどっちに入ればいいんだろうね?」
 『大賢者』レンジー(p3p000130)が、首を傾げて仲間に問いかけた。
 レンジーは無性別。中性的な子供の姿をしているが、その種族は花。本来耳がある場所には花びらがついている事がその証拠だ。
「別に男湯に入ってもいいんだよ。何せこのメンバーには男が少ないからね、賑やかしの一人になるのも楽しそうだ!」
「いや、オイラはいいけど、カイトはそれでもいいのか?」
「問題ないな!」
 『ノベルギャザラー』ジョゼ・マルドゥ(p3p000624)と『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)が特に問題ない事を告げれば、女性陣からも反対の声が上がる事は無く。
 実際、レンジーの言う通り、男性は二名、女性は五名。問題と言える部分も無く、するりとレンジーの問題は解決した。
「ジョゼとカイトが女湯を覗いてしまわないようにしないとね!」
 だが、レンジーが屈託の無い笑顔でそう言ったものだから、女性陣が少し警戒をしてしまったのも、まあ、無理はないという事で。

●まーっぱ!(おんなゆ)
 脱衣場に入ると、イレギュラーズの他に女性客はたったの数人。それも、割と高齢ではないかと思われる年代の者達だ。
「……逆にホッとしたかもしれません」
 自分達のような年代の女性が集まっていれば、女湯を覗こうという意識が高い男性も増えるのではと密かに危惧していただけに、胸を撫で下ろす『此花咲哉』叶羽・塁(p3p001263)。
 安心して服を脱ぎ始めた女性陣の横で、『小さな思い』リトル・リリー(p3p000955)は、疑問に思った事があれど、口にするまでも無いと判断し、つぐんだ。
(ここのおんせん、ふしぎなことがおこるんだよね。おばあちゃんたちもそれがたのしみできたのかな?)
 仮にリリーがそれを口にした時、きっと誰もが頭に何かしらを想像してしまうだろう事は容易に予想がつく。
 口にしなくて良かったのかもしれないが、口にせずとも後で判明する事になるのだが。
 脱ぎながら期待に満ちた笑顔を、『誓いは輝く剣に』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は浮かべた。
 誰かと温泉に入るという事がとても嬉しいし、楽しみだ。
 『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)もまた、同じような笑顔を浮かべる。
「こういう所を見つけると、気分が高揚します」
 フィールドワーカーにとって、旅の途中でこのような場所がある事は幸運でもある。
「お風呂から上がりましたら、少しばかり皆さんでお菓子でも食べますか?」
 鞄に入れている小休憩用のお菓子を前に、リリーが「たべるー!」と言えば、柔らかく微笑み、頷く。
 自分の服をたどたどしく脱いでいるのは『トラップ令嬢』ケイティ・アーリフェルド(p3p004901)。家が貴族であっただけに、慣れぬ作業をしている彼女。
 なんとか脱ぎ終えた彼女は湯の作法について尋ねる。
「私、誰かと一緒にお風呂入った事ってありませんの……あ、侍女は別ですわよ。それで、何かマナーとかありまして?」
「お風呂に入る前に体を洗うのがマナーですよ!」
「ふむふむ、お風呂に入る前に体を洗うのがマナーですのね」
 タオルを持って引き戸を開ける。
 立ち上る湯煙と共に現れる石造りの風呂と床。身体を洗うスペース。木造の桶やタライ、椅子なども所定の位置にきちんと収められている。
 露天風呂の周りには木造の柵が立てられている。太い紐で補強されているようなので、そう簡単に倒れはしないだろうが、高さは二メートル程ある為、覗く為に登ろうとする事は出来そうだ。どういう方法で覗くつもりでいるのかは考えたくないが。
 祈りを軽くすませてから行水する樹里。程よくついたふくよかなものを上と下に備えた白い肢体をタオルで隠す事もせず、水滴を滴らせる。
 その後に持ってきた、拳大程の大きさなもけぴろの卵を八個、蓋付きの籠に入れて温泉へ沈ませる。
「じゅりー、なにしてるのー?」
「温泉卵を作っているんです。出来上がりましたら、皆さんで食べましょう」
「たべるー!」
 リリーが目を輝かせ、楽しみだと笑う。
 基本、三十センチ程しかない彼女は、脱いでもそんなに目立たない。少しばかりなだらかなものをさらけ出す事にも抵抗は無い彼女は、シフォリィによって抱き上げられる。
 普段は貴族としての服装で押さえつけていた胸元が、待ち望んだ開放によってその形を歪ませる事無く周りへ見せつける。抱き上げたリリーがその胸元に触れた時、「やわらかーい」と隙間に入りそうになったぐらいだ。
「樹里さん、身体の洗いっこしましょう!」
「いいですね」
「塁さんも、是非!」
「背中流しっこですか? ……まあ女性となら」
 少しばかり考えた後、頷き、三人の方へと近付く塁。
 お椀型の小ぶりなそれは形を崩しておらず、美しさを保っていた。小ぶりな臀部の肉付きも、胸元とのバランスが取れている。
 近づけば近づくほどに、シフォリィと樹里のもつ大きさなそれと自分の肉体を思わず見比べてしまう。
(別に私は自分の身体に関して不満はありませんので、ええ。この肉体は人造物、私の責任でもないですし)
 言い聞かせるように胸の内で呟くが、それでもやはり、望みというのは生まれるもの。
 もう少し胸囲が欲しいと願うのも、無理らしからぬ事であったし、創造主に若干恨みがましくなるのも無理ない事だった。
「ケイティさん、何をしてらっしゃるんですか?」
 柵の手前で何やら持ち込んだ物を設置しているケイティへ樹里が尋ねれば、「秘密♪」と仕草で返される。
 皆の下へ戻ってきたケイティは、何故集まっているのかと首を傾げた。
「みんなであらいっこしよーって!」
「あら、いいですわね。分かりましたわっ、では早速洗っていただけます事?」
 すぐに座って腕を広げるケイティ。貴族なので人に洗われる事が普通な彼女なので、肢体を見せる事への羞恥心も無い。
 腕を大きく左右に広げたケイティの体は、幼少の頃が虚弱であった影響の為か、年齢に対してその胸は慎ましやかだ。その代わり、トラップ作成(主に穴掘りによって)培われた体力と筋力によって引き締まった体をしている。貴族の筈だが、貴族以上な身体だ。
 準備万端な彼女へ、塁はやや遠慮がちに声をかける。
「えっと、洗いっこなので、ケイティさんも誰かを洗うんですよ?」
「あら、私も洗うんですの? 洗いっこってそういう事なのですわね。とっても楽しそうですわ! 頑張って洗いますわ!」
「力は程々にお願いしますね」
 引き締まった体から想像する筋力を想定し、塁はシフォリィに頼んでリリーを彼女に任せる事にした。これならば彼女も変に力を入れすぎる事も無いだろうとの判断だ。
 リリー、ケイティ、シフォリィ、塁、樹里、という順番に並んで身体を洗いっこする事となった。
 洗いながらの雑談は賑やかだ。女三人寄れば姦しいと言うが、五人ならば尚更その姦しさは増大する。
(そういえば、あの柵の向こうには殿方がいらっしゃるんですわね)
 男湯の方からは特に賑やかな声も聞こえない。此方が大きいだけかもしれないが。
 覗かれませんようにと、設置した物を見ながら願うのだった。

●へーんげ!(おとこゆ)
 脱衣場にレンジーが入ってきた時、一瞬ざわめいたのは最初だけ。
 レンジーが自分には性別が無い事を耳と共に説明すれば、来ていた客からは安堵の溜息が零れた。
「しかし、他にもやっぱり男性客居るんだな」
「そりゃ当たり前だろ」
 カイトの呟きに、ジョゼがやや呆れた声で返す。
 男湯の方には少年が数名。全て人型な彼らとすぐに意気投合したレンジーとカイトによると、効能が面白そうだからという興味と、あわよくばおねーちゃんの艶姿を見ようという下心で来たらしい。
 しかし、彼らが期待に胸を膨らませて辿り着くと、来ているのは老婆のみと知って落胆した。
 効能だけ楽しんで帰る事にしようと思っていた所にカイト達が来た、という訳だ。
 それを聞き、自分達の他にも女性が来ている事を告げるべきか悩むジョゼの横で、「なんだそんなことなら、安心していいぞ」とレンジーが声を上げた。
 ジョゼが驚いて振り向く前に、レンジーが言葉を続ける。
「私達の他に、女性が五名程来ているぞ」
「アンタ達との美的感覚が一緒かは分からないけど、なかなかの美女だと思うぞ」
 続くカイトの言葉に色めき立つ少年達。
 勢いよく脱ぎだす彼らと、どこか楽しそうな顔をした二人を前に、ジョゼは肉球で己の目元を覆う。
 ふと、気が付くと、カイトの姿が無い。既に風呂場へ直行したようだ。
 なんだか嫌な予感がして、ジョゼも風呂場へ出てみれば、少年達に混じってカイトが居た。
 ツッコミたい言葉を飲み込んで様子を見ると、彼らはまず黙々と行水を行ない、それからお湯に浸かった。
 さっきまでと打って変わっての静かな様子に警戒しつつ、ジョゼやレンジーも倣い、湯に浸かる。
 すると、どうだろう。自分に変化が見られるのが分かった。
 視界が――いや、見下ろす世界が少し変わった。そんな気分はどうも間違いではないようだ。湯船の中で立ち上がれば、確かに見下ろした時の高さが違う。
 隣で「おや」と零すレンジーを見てみれば、先程より幾分か小さくなったように見える。
「私は身長が低くなったようだな」
 ジョゼとレンジーが身長となると、カイトは?
 純粋な疑問から少年達と一緒に居るカイトを振り返ると、身体を震わせている様子で。
「カイト、どうだった?」
「増えた……」
 少しばかり困ったような返事が来て、それだけで彼はお腹に変化が来ていた事が分かった。
「体……重いな。これはちょっと飛びにくいぜ」
「よく見ると丸みを帯びているな。食材とするなら恰好の姿ではあるが」
「……俺は食材じゃねーぞ!」
 レンジーの真面目な言葉にツッコミを入れつつ振り向いた事で、その姿が判明する。鷹人の姿で入浴したからか、その腹部が膨らんでいた。
「それで飛べるのかやってみてほしい」
「重いから無理だ! 無茶言うな!」
 鳥類が飛べるのは、翼に当たる部分に筋肉が集まっているからだ。ただし、胴体の重さが変われば飛ぶための筋肉が足りない為に飛べなくなる。
 今のカイトの姿では飛んで柵にしがみつき、女湯を覗くという行動は行えそうにない。
 ひとまずこの姿で覗く事は無さそうかとジョゼが密かに安堵し、少年達の方に気が付いてその動向を見守る。
 彼らの反応は三者三様だった。
 身長が大きくなった事に歓喜する者、小さくなった事やお腹が凹んだ事を嘆く者。
 悲喜こもごもな様子に、どうか彼らが覗きをする意気込みを忘れます様にと祈った……が、どうやらその願いは届かなかったようで。
「あら、少し軽くなりましたわ」
「みんなー、ちいさくなっちゃった?」
「リリーさんが大きくなったんですよ。私は……モデル体型というやつですね、ふふ」
「おーっほほほほほほ! なんだか嬉しいですわ!」
「身長が……身長が……」
 女湯から聞こえてきた声に、男達の耳が大きくなる(ように見えたのはジョゼの錯覚だろう)。
「諸君! これから是非ミッションのクリアを目指して向かおうではないか! これしきの障害を乗り越えてこそ、我々が目指す理想郷への光景を目に焼き付けられるというもの!」
 身長が伸びた少年の言葉に顔を上げ、カイトを含む少年達が拳を突き上げて賛同を示す。
 ジョゼが止める為に動こうと思った矢先、湯船からレンジーが立ち上がる。
「おっと、そうはさせないよ。覗きがしたかったら、わたしを倒してからだよ!」
 そう言って少年達の前に立ち塞がる……のだが、如何せん、その身長が小さい為に防波堤としては心許ない。
 だが、見た目が幼く見える事や知り合って間もない故にレンジーを無碍に扱う事も出来ない少年達。
 そんな彼らに助け舟を出したのはカイトだ。
 彼はレンジーを抱きかかえると、ジョゼの下へやってきて、「よろしく」と渡した。
 お姫様抱っこのまま反射で受け取った彼が呆気にとられたその数秒がロスとなる。
「あーーーーっ!」
 果たして、女湯と少年達の命運や如何に。

●のーぞき?
 時はほんの少しさかのぼり、数分前。
 湯船につかった女人達の結果が判明しようとしていた。
 樹里は胸から感じていた重みが軽くなったのを見て感想を漏らす。小さくなっても、その身の美しさは変わらない。
 彼女的には、これくらいの重さならフィールドワークに助かる、程度の感想でしかないが。
 シフォリィに抱っこされた状態で入っていたリリーは少しばかり近くなった距離に目をみはる。
 三十センチ程の身長は、一メートル程と予想外に大きくなっていた。自分がギフトを使った時のような大きさが幻ではなく実際になった事に喜ぶリリー。
 喋っている口調が口調なので、「これが本当のロリ……いや、幼女……」と、後に言われるのだが、割愛する。
 塁は嬉しい結果に、緩みそうになる頬を隠し切れなかった。立ちあがり、変化した身体を見下ろして確認していく。伸びた足が長く、その長さを確かめる様に手で撫でる。見慣れぬ足の変化は思った以上に嬉しいものだ。
 令嬢二人は対照的な結果となった。
 重みを感じる胸は、その形を綺麗に保っている。垂れる事もなく張りを見せるそれを、触って確かめて、嬉しそうに笑うケイティ。
 逆に落ち込みを見せているのは、シフォリィ。身長が縮んだ事で地面に近付く視界に、肩を落としている。
 だが、案ずるなかれ。身長はリリーよりも上であり、その豊かな双丘は形を崩す事無く鎮座している。合法なロリきょ……コホン、幼女と胸の組み合わせだ。
 お互いに声を掛け合えば、自ずと気持ちも変わるもの。少し経てば周りの女性達の変化を確認するまでに至る。
 法則性があるのかどうかなどの議論に持ち込もうとした時、男湯から聞こえた叫び声に女性陣の目が男湯の方を振り返る。
 男湯を隔てている木の柵。二メートル程のそれの上に、何やら見える、毛と、肌色のもの。
「よい……っしょ!」
 気合を入れて顔を覗かせたのは、見知らぬ人型の少年。
 彼と女性達が「あ」と声を挙げたのは同時だった。
「きゃーーーー!」
 と叫んで湯船の中を走ろうとするシフォリィ。走ってはいけませんお嬢様。
 少年の次に顔を覗かせたのは鷹の顔。カイトだ。
「おぉ、絶景だ」
 彼がそう言ったのは、「あらあら」と隠す事もせずにそのまま自分を見上げている樹里の姿を見ての事。
「の、覗きですわーーー!」
 ケイティの叫びが状況を的確に表してくれた。
 その横で、風呂から上がった塁が持ってきたタオルで身体を隠す。
「覗きはいけませんよ、カイトさんと見知らぬ少年?」
「いやぁ、ほら、やっとくべきかなって?」
 カイトの言葉は、少しばかり塁の神経を逆撫でしたようだった。
 新たな少年が顔を覗かせた時、リリーの素直な言葉が少年達に突き刺さる。
「のぞくのって、たのしいー?」
 幼女に無垢な瞳で尋ねられ、言葉に詰まる少年達。
「塁さん、それを使ってくださいませ!」
「わかりました」
 ケイティの言葉を受けて了承した塁は、彼女が指し示した物を掴むと、それを頭上に向かって投げた。彼女の故郷で言う、パイ投げの要領で。
 反射で手で受けた少年が、腕に引っ付いた物を取ろうとしてカイトに頼むが、片手でどうこうできるようなものではない。
「くっそ、なんだこれ!?」
「トリモチですわ。役に立ちましたわね」
 誇らしげな彼女の横で、立ち上がったのは、高齢の女性達。先客の彼女達が立ち上がると、そこにははちきれんばかりに豊かなものがあった。ただし、垂れている状態で。
「あんた達、元気はいいけど、やめんさいね」
「……Oh」
 見たくない物を見た衝撃と、男湯のメンバーから引き下ろされたのとが相まって、少年達の姿は柵の向こうに消えたのだった。
 「地獄だ」という言葉を繰り返すカイトや少年達に、ジョゼは一体何を見たのか気になったが、聞かない方がいいと判断した。賢明な判断である。
「ふー、幸せ! わたしの家にも温泉が引けたらいいんだけどね」
 ただ一人、マイペースで温泉を楽しんだレンジーが、ある意味この温泉での勝者かもしれない。

●さーいごっ
 風呂から上がったイレギュラーズのその後は比較的のんびりしたものだった。
 樹里が用意した温泉卵を食べたり、埋めようと円匙を持ったケイティを止めたりもしたが、さておき。
 ジョゼは青い顔になった少年達を見てお仕置きする気が失せて、レンジーが持ってきた冷えたお茶を飲み。
 レンジーは鳥状態のまま落ち込んでいる様子のカイトを拭き取ったりとしていた。
 脱衣場を出た後にも男女が混合できるような余裕があれば、塁辺りがカイトの羽を拭き取っていただろうが、分かれている以上は仕方がない。
 それぞれの楽しみと地獄を思い出として頭に残し、イレギュラーズはその温泉を後にしたのだった。
 一時間後、落胆の声が出たりもしたのは、内緒の話。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

覗きハプニングイェーイ!の筈が、どうしてこうなったのか(真顔)
女性の皆さんは災難でしたね。男性は、約一名のみ災難でしたけれども……。
描写に力を入れてみました。男性は、その、察して。
女体はいいものです。
改めて、皆様お疲れ様でした。

PAGETOPPAGEBOTTOM