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シナリオ詳細

絶島フリーフォールズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●暴力坂テッドのフリーフォール強襲作戦
 飛行生物からぶら下がった大旅籠より、グリーンの軍服を羽織った若い男が顔を出す。
 あずきアイスを口にくわえると、豪快にかじり取った。
「おーおー、くっそ高えなあ。素で落ちたら死ぬんじゃねえの? この世界の連中って確か全員飛べたりとかしねえもんな」
 そんな風に言いながらも、しかし男は楽しそうだった。
 あなたへ向けて振り返る。
「そんじゃ行こうぜ。スカイダイビングだ」

 練達から南方に離れた小島に、ある実験施設がある。
 内容はフクザツすぎてよくわからないが、どうやら自然のエネルギーをどうのこうのしてモンスターを作り出す召喚術めいたアレを研究・実験している島であるらしい。
 ちょっとイカれた研究者がよその世界から流入した技術と組み合わせてすげーもん召喚できるんじゃないかと試したところ、海によどむ怨霊だの海の元素だの空気中のなにかだのが大量に合成され、巨大かつ制御不能な怪物ができあがってしまったという話である。
「ま、下の連中がやらかしたら始末つけんのがボスの仕事だろ。俺一人で行ってもいいっちゃいいんだが……たぶん死ぬよなあ、あれ」
 テッドはこちらを見上げる赤い巨人達をゆびさして、部下に説明を促した。
 瓶底眼鏡に白衣をきた部下が資料を読み上げる。
「えー……仮称『赤の巨人』。元素結合及び浄忌機関技術の複合実験によって発生。
 研究者諸々は避難を完了し、破壊処理へと移行。
 機動部隊『姉ヶ崎』が船によって接近、攻撃を開始するも海上の時点で破壊光線を受け部隊半壊。上陸時を狙われ船ごと壊滅。
 よって松戸博士の提案により超高高度より急速な降下によって接近、迎撃が満足に行えないうちに攻撃可能範囲内へと侵入し撃滅する……という作戦が実行にうつされました。
 作戦指揮官は暴力坂テッド社長。及び民間傭兵団体の――」
「バッカヤロウ!」
 テッドは資料を棒読みしていた研究員のあたまをひっぱたいた。
「ローレットを傭兵呼ばわりしてんじゃねー。常識ねえのかてめえは」
 わりいな、と手をかざしテッドは説明を引き継いだ。
「うちの機動部隊が全員病院送りになっちまったもんでな。『世界のピンチヒッター』の出番ってわけだ。
 俺んとこの不始末でわりいが、ちっとばかり付き合ってくれ。あとでイイ焼き肉おごってやるからよ」
 へへ、とどこか獰猛に笑うテッド。
「方法はシンプル。ここから飛び降りて巨人に突っ込む。でもって倒す!
 そんじゃあいくぜ。いちにの――!」

GMコメント

■オーダー
・成功条件:『赤の巨人』の撃滅

 空から飛び降り、急降下突撃によって『赤の巨人』たちを倒します。
 巨人は5体ほどおり、これら全てを戦闘によって破壊しなければなりません。

●急降下パート
 空から一斉に飛び降ります。
 降下による速度上昇を用い巨人へ急接近。戦闘可能圏内へ飛び込みます。
 このとき、巨人は射程100mを越える破壊光線で迎撃してきますが、こいつを受けるのはせいぜい一発。
 受けてる間に距離をつめられるので、まずはキツい一発をたたき込んでやりましょう。

 SF世界から流入した落下制御装置を装着しているので落下ダメージはかかりません。
 ※装置を半端につかって落下の勢いをそこそこ乗せて攻撃することも可能ですが、その場合は自身に3000の防御無視ダメージがかかります。HPで殴れ。
 ※急降下中に射撃によって攻撃することも可能ですが、その場合命中値に大幅なマイナスがかかります。超命中ビルドの出番です。

●陸戦パート
 着地に成功したら戦闘開始です
 巨人の破壊力からして集中攻撃を受けるとやべえので、2~3チームくらいに分散して戦いましょう。
 5体の巨人をそれぞれ1人ずつマークできるフォーメーションを基本に考えると良いでしょう。(後述しますが作戦に味方として参加するテッドが1人抑えてくれるので、実質4人でOKです)

 巨人は格闘攻撃と広範囲にむけた拡散破壊光線をもちいて戦闘します。
 高いHPや攻撃力に注意してください。巨人には『精神無効』『不吉無効』がついています。

■味方NPC:暴力坂テッド
 素肌に直で軍服を羽織ったウォーカーの若い男です。
 好物はあずきばー。特技は戦争。夢は世界平和。
 練達を拠点に民間軍事会社を経営しておりますが人員が少ないのでキツいときはローレットを利用しています。
 ハイバランスタイプの近接ファイターで、主に殴る蹴るで戦います。
 一応銃器全般を使いこなせますが、素手のほうが強いみたいです。

 今回は巨人相手に前衛として活動してくれます。彼を盾にしたり連携したりして巨人を倒しましょう。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • 絶島フリーフォールズ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年05月14日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

亘理 義弘(p3p000398)
義に篤く
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ロゼット=テイ(p3p004150)
月光
ハンナ・シャロン(p3p007137)
武の幻想種
遠野・マヤ(p3p007463)
面白れェ女
ンクルス・クー(p3p007660)
鋼のシスター
ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)
夢為天鳴
ラヴ イズ ……(p3p007812)
おやすみなさい

リプレイ


 虹色のプリズムラインを通り抜け、雲の高さへ至る。
 黒いもくもくとした飛行生物に大きな旅籠が接続され、その中から暴力坂テッドは顔を出した。
「ま、こんだけ高けりゃいいだろ。おめーら、落ちる準備はできてるか?」
「そう、ね……」
 備え付けのベンチに腰掛け、拳銃にマガジンを装填しおえた『おやすみなさい』ラヴ イズ ……(p3p007812)。
(テッドさん。特技は戦争、夢は世界平和。なんて。ちょっと……親近感かも)
 彼女のなんともいえない視線をうけて、テッドは片眉をあげて振り返ったがそれ以上特に追求はされなかった。
 そのかわりに『探究者』ロゼット=テイ(p3p004150)が隣に立って話し始める。
「さっき眼鏡さんを叩いてたけど、ローレットって傭兵みたいなもんじゃないの?」
「『みたいなもの』を混同して呼び始めると扱いまで一緒になるからな。モラルを守りたかったら言葉遣いってのは徹底させねえといけねえ」
 固そうなアイスバーをがりがりとかみ砕いて棒だけ残すと、テッドはピッとロゼットの胸元をさししめした。
「傭兵の定義はこうだ。『金で働く』。相手が憎かろうが汚かろうが、金にならないならやらない。ばかばかしいって考え方だ。おめーらの目的はパンドラ収集であって金と実績は副次的なモンだろ。だから場合によっちゃタダでも働く。タダ受け仕事でも末端のスタッフに金出してるところは立派だがな」
「ほー……んー……?」
 ロゼットはこの違いがよくわからなかったようだ。ラサ傭兵商人連合における傭兵の定義はもっと自由で、かつ広義にとらえられがちなためである。
 テッドの主張には『なので個々人の主張やモチベーションを問わない』という意図がこもっていたが、今の会話でそれをくむのは難しい話である。
「これはまた……」
 『夢為天鳴』ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)が安全バーを掴んだまま遠い眼下の風景を見やる。
 落下制御装置を使わなければだいぶ死ぬ高さだ。資料にはかなりの巨体とあった『赤き巨人』の姿がひどく小さく見える。
「流石にこの高さから飛び降りた事はありませんね。あなたは?」
「何度かあるぜ。空挺にいたからな」
「くーてー?」
「しかし、制御不能な魔物を産み出すとは、なかなかろくでもないな」
 話を若干巨人側によせつつ、『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が落下制御装置を装着する。
 ランドセルのように背負う仕組みのようで、ぱっとみパラシュートリュックのようにも見えるが、説明によるともっと魔術的なものらしい。
 ちなみにトリセツには『信憑性を浮力とする』と書いてある。なんやねんそれは。
「実に興味深いな……」
 『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は説明書を熟読しつつ、自分の手帳にいくらか書き写していた。
「簡易飛行装置の方が有用性ははるかに高いが、降下作戦においてのみ有効……というわけか」
「いいね、わくわくするよ!」
 後ろでは落下制御装置をつけて上機嫌の『鋼のシスター』ンクルス・クー(p3p007660)がY字ポーズでぴょんぴょんはねていた。
 空飛ぶ乗り物のなかでぴょんぴょんできるのはかなりの度胸である。
「上空からの急襲作戦! とても良いね! 高さが足りてるって奴だね! 『天罰』って感じがするよ!」
「天罰って……そういう物理的なものでしたっけ?」
 『殴り系幻想種』ハンナ・シャロン(p3p007137)は首をかしげながらも、しかしこの力尽くっぽい作戦が嫌いじゃあなかった。
 Y字からガッツポーズへうつるンクルス。
「わくわくしない?」
「しますね! 上手く当たるかは不安ですが、たぶん大丈夫でしょう!
 外れたとしても、当たるまで頑張れば良いのです。いつも通りですね!!」」
「いつもこんなじゃ困るけど……」
 荒々しくなびく髪を抑え、『処刑用BGM』遠野・マヤ(p3p007463)は後ろで『ドッドッド――』というBGMを流していた。
「まるでアニメよね。けど、なかなか燃える展開だわ。
 イレギュラーズになる前はまさか自分がこんな経験をする事になるなんて思いもしなかったけれど……」
「おい、そろそろ行くぞ。『落ちるのやっぱなし』ってヤツはいねえよな?」
 テッドは一度淵から離れると、あえて助走をつけて天空へとダイブした。
 顔を見合わせ、しかしこれに続いて走り出すマヤやハンナたち。
 九つの影が天空へと躍り出て、暴風を突き抜けて自由落下を始める。


 空気の層をえぐるように突き抜ける。
 はじめは痛いほど感じていた圧力も、テッドに教えられたとおり体勢を細くして地に落ちる杭のように整えることで苦にならなくなった。
 なにより天空を『不自由に』飛ぶことの快感は、そう簡単に味わえるものではない。
 義弘たちは自由落下の興奮を味わいながらも、落下制御装置がアラームを鳴らすと同時に姿勢をシフト。落下のスピードがゆるくなり、ようやくこちらに気づいた巨人たちが見上げ、そして目をカッと光らせた。
「来るぞ」
 義弘は両腕をクロスして防御。
 島へ機動部隊を送り込んだ際に船ごと閉められたというあの破壊光線が来る。
 こちらは落下によるかなり無防備な状態だが、相手も相手で急速に落下してくる対象を狙撃するなんてマネがそうそうできるわけではない。
 仮に直撃コースに入ったとしても――。
「飛べない翼にも使い道があるのだと示したいこの者」
 ロゼットは身体をまるくして腰からはえた義翼を展開。
 破壊光線が直撃するも、無理矢理拡散しロゼットのモフ肌に傷すら作らせなかった。
「単純に遊びだったらよかったんだけど、普通にビーム飛んでくるから遊びじゃないんだよなあ、これ」
「そうかあ? だいぶ楽しい『ケンカ』だと思うけどな」
 ロゼットたちは落下制御装置による逆噴射で最後の処理を行い、着地。
 パージされた装置をよそに、だだんと着地した。
 一方のテッドは途中で装置を強制パージし、自由落下の勢いをそのままに巨人を蹴りつける。
 ズドンという衝撃とともに巨人が蹴り飛ばされていき、テッドは片足がへし折れたが気合いでそれを自己治癒した。
「っし。こっちの一体は俺が貰ってくぜ」
「おう……」
 着地した義弘は拳を鳴らしてもう一体の巨人へと身構える。
 一方で落下地点をずらして別の二体を狙っていたゼフィラたち。
 片腕を突き出すような姿勢からエネルギーショットを打ち込むが、同時に巨人からの破壊光線が浴びせられた。
 お互いの攻撃がお互いをかする。
 空をなぞるようにはしった光線がマヤへと迫ったが、マヤは刀の柄を握って姿勢制御。
 鞘部分にあるレバースイッチを押し込むと、エネルギー噴射によって高速抜刀が行われた。
 光線を切り裂き、強制的に回避。
 それでもかすった衝撃で回転し、残るユースティアはもう一体から浴びせられた光線を交差した剣で受け止めた。
「恐れは、否定しません。
 されど、呑み込んで臨むのが、闘いと言うもの」
 光線のダメージを半分以上カットすると、強引に迫って接触直前のタイミングで制御装置を起動。相手の額を蹴りつける形で距離を取った。
「さあ、往きましょう。其の悪夢を、断ち切ります」
 同時に着地したマヤとゼフィラがざざんと地面を靴底で削り、ユースティアと並ぶ。
 ゼフィラは二人と意識をペアリングさせると、戦術補助のデータを送信しはじめた。
「はじめは攻撃に集中だ。危なくなったら回復支援に回る。それでいいね?」
「構わないわ。『速攻』は得意だもの」
 マヤの流すBGMのテンポが、引きあがる。

 残る一体。ハンナは急降下を続けながら破壊光線をまっこうから引き受けていた。
「長期戦向きではないもので。まずは一発だけ、引き受けますよ……!」
 空中で抜刀。その勢いでぐるんと回転すると、二本の剣を迫る光線に叩きつけるかたちで無理矢理防御した。
 光の線を切ったり目で追ったりなんてことは普通できないかもしれないが、どうやらそれが可能な飛び方をこの破壊光線はしているらしい。
 そもそもが意味の分からんものの集合体なので、どんな攻撃をしてもおかしくはない。
 が、もっとおかしいやつも世の中にはいる。
「天から天罰をお届けするよっ!」
 ンクルスは自由降下中の『きをつけ』姿勢のまま、頭から巨人の頭に激突。
 超高高度ダイビングヘッドバッドをたたき込むと、かるくふらつきながらもその場から離脱。
 あまりの衝撃に巨人のほうもよろめき、ンクルスたちを危険視するように距離をとりはじめた。
「まるで流れ星になったみたいだったわ。
 こんなふうに風景が流れるなんて、初めての経験。
 ……なんて。景色を楽しんでばかりいられないわね」
 まわりより早めに落下減速を図っていたラヴは二丁の拳銃を突き出し、穏やかに微笑んだ。
 流星の輝きのごとくマズルフラッシュを連続させるラブの拳銃。
「まるで、本当に……夜が空から降ってきたかのようでしょう?
 私の小躯が、おおきなおおきな空に思えたのなら
 もう、おやすみの時間よ」
 思わず防御した巨人の目の前にあえて着地すると、ラヴは巨人めがけてプレッシャーをかけた。
 肩をぶるりとふるわせる巨人。
 ラヴをただならぬ存在だと認識したのか、大きく口を開き意味不明な叫びをあげて殴りかかってきた。


 迫る巨大な拳。
 大地を撃ち爆散する土と石。
 大きくとびのいたラヴは雑草だらけの地面を転がると素早く立ち上がり、踏みつけを仕掛ける巨人の真下を超高速で駆け抜けた。
 背後をとり、高速反転。二両の拳銃をフルオートモードにして全力射撃。
 ――の後にその場から横っ飛びに離脱しつつ連射。
 ラヴを追いかけて暴れる巨人の攻撃を次々に回避しながら、ラヴは巨人を全方位から撃ち続けた。
 が、永遠にというわけにはいかないようで、マグレ当たりした巨人の蹴りがラヴを豪快に吹き飛ばした。
「ラヴさん!」
 慌てて振り返るハンナとンクルス。
 咄嗟に防御姿勢をとったものの、まともにくらったらしくラヴは派手に地面をバウンド。枯れ木を破壊しながら更に飛び、最後に岩を砕いて止まった。
「つ、つ……」
 頭から流れた血を手首でぬぐい、気合いで立ち上がる。
「倒れないわ。だって。終わったら……焼肉だもの!」
「ん?」
「ん?」
 ラヴたち三人の間で一瞬だけ妙な空気が流れた。
 咳払いするラヴ。
「……今の、口に出してなかったわよね?」
「全ての戦闘が終了したら美味しい焼肉のお時間ですね!」
「皆で楽しくわいわくはとても良いかな! 確かに楽しみ!」
 同時にグッと親指を立ててみせるハンナとンクルス。
「出てたのね……」
「そうと決まれば、一気に決めましょう!」
「さんせい!」
 ドッと地面を蹴りつけて走り出すハンナ。
 ラヴのヘイト効果がきれたのか、巨人はハンナめがけて殴りかかろうとする……が。
「ハンナさん、『一本背負い』で行こう」
 ピッと巨人の足首を指さし、ンクルスは跳躍した。意図することを察したハンナは小さく笑い、巨人の足下めがけて急速接近。
「一仕事終えた後のお肉はとても美味しいですよ! お腹いっぱい食べましょう!」
 叫びながら二本の剣を力一杯たたき込み、そのまま豪快に回転。
 回転ノコギリもかくやという勢いで巨人のすねをごりごりと削り取ると、バランスを崩した巨人の拳――の上にンクルスが飛び乗った。
「プロティータ・キュオミール・ジャイアントスペシャル!」
 腕を駆け上り、巨人の顎を蹴りつけるンクルス。
 見上げるほどの巨体が空中をぐるんとまわり、地面に頭から落下した。

 一方こちらはゼフィラ。
 拡散破壊光線に対して両腕を大きく広げる姿勢で対抗。
 ペアリングしたマヤとユースティアの自然治癒能力を強制的に高めていく。
 彼女の前に立ちはだかったマヤは斬撃の速度をブーストさせた刀で激しい空圧を起こしながら、ユースティアは青白い光をたたえた剣から雪結晶を散らしながら打ち込まれる光線を次々に打ち払っていく。
「どうも、巨人は破壊力こそあるものの知能は高くないらしい。このまま範囲攻撃を誘いながらじわじわ行こう」
「じわじわね……」
 マヤたちの耐久能力は万全というほどではなかった。
 しかし巨人の攻撃をじわじわ耐える時間が稼げるほどには高いようで……。
「さて、ここからは支援に集中する。攻撃はまかせたよ!」
「タイムリミットは数十秒ってところですけれど、ね!」
 ユースティアはゼフィラによるペアリング範囲内から出ることなく巨人へ接近。
「体躯の大きいものほど、其の重量を支える脚を崩せば勝機も見えるというもの
 ――大きいどころではありませんし、核となる物がはっきりしない限り他に狙うのも厳しく。なれば、一点に絞って下から崩していきましょう」
 剣による力の奔流を束ね、巨人の足を集中的に狙って破壊していく。
 一方でマヤは刀を再び鞘に収め、じっとその場に停止した。
 彼女をつかまえようと接近し、腕を伸ばしてくる巨人。
 攻撃が触れるかふれないかの瞬間。『無音』をBGMとしたマヤはその場からかき消えた。
 否。巨人が体勢的にマヤを見失うごくわずかな一瞬を狙って移動していたのだ。
 どこへ消えたときょろきょろする巨人――の背後。もとい肩の上で、マヤはささやいた。
「遅いのよ」
 びぎゅん、という音がした。
 マヤが巨人の両肩を超高速で行き来しながら首をまあるく切り取っていった音が一瞬に凝縮されたものである。
 二つの巨人が同時に転倒し、マヤとユースティアはそれぞれすたんと着地した。

 地面をなでるように焼いていく破壊光線を、ロゼットは右へ左へ激しくスウェー移動をかけながら回避していく。
「しかし、ビームがビュンビュン飛んで焦げ臭い匂いしてるし、デカブツの攻撃は質量感凄くておっかないね! まあ、それで芋ひくつもりなんてサラサラ無いけども!」
 接近し殴りつけてくる巨人の攻撃に、助走をつけて飛び上がった義弘の蹴りが正面から激突。
 衝撃が風となり、義弘のスーツをなびかせていく。
 周囲の草や砂が放射状に吹き飛んでいき、義弘は大きく飛び退いた。
 肉体にかなりのダメージが蓄積したのか、血の混じったつばを吐き捨てる。
「俺も巨人も、血反吐吐くまで殴り付けてやるとしよう」
「あれって血ぃ吐くのかな?」
 ロゼットは再び義翼を展開すると、再度殴りかかってくる巨人相手に跳躍。腕の周りを螺旋状に駆け抜けると、相手の肩を蹴って巨人後方へと跳躍。
 振り返り腕を伸ばそうとした巨人だが、ロゼットの翼によって切り裂かれていたことにそのとき初めて気づいた。
 輪切りにされて落ちていく翼。
 吹き出る血や霊魂といった様々なエネルギー。
 ダメージを自覚しているのか、慌てておさえようとあてた手を見て、義弘は小さく笑った。
「そこまでデカいなりをしてもまだヒトのつもりかよ」
「何をどう間違えたらこんなん生まれちゃうのか、まったく混沌は訳わかんない事だらけだね、本t……えっなにそれは」
 振り返って二度見するロゼット。
 義弘はその辺でぶちおれた木をまるごと担ぎ上げると、力任せにぐるんぐるん振り回した末に巨人めがけてぶん投げた。

 ズズンと地響きのような音をたてて崩れ落ちる巨人。
「しかしまあ、こちらに来てスカイダイビングを初体験する事になるとはな。
 そういうのに縁がある人生じゃなかったが、おもしれぇ事になったもんだ」
 ぱしぱしと手を払う義弘のもとへ、テッドがジャケットのポケットに手を突っ込んでぷらぷらと歩いてきた。
「なんだおい、もう終わったのか。やるじゃねえか」
 テッドは歯を見せて笑い、そして上空を旋回している飛行生物めがけて信号弾を発射した。
「んじゃ、肉食おうぜ肉。高い肉な!」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――任務完了
 ――暴力坂テッドとのコネクションが生まれました

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