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シナリオ詳細

魔女サラ・フレイアの研究~燈鉱の窯

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「やあ、よくぞ来てくれたね。早速だが、迷宮森林へ行って『注文の品』を揃えて来給えよ」
 自称にして火薬の魔女。陽の光を集めたようなロングヘアーを高く結い上げ、焔の色の瞳を細めたグリムアザースの『サラ・フレイア』は尊大な態度でそう言った。典型的な魔女のコスチュームに身を包んだ彼女の言葉に「何時もの事か」とクロバ=ザ=ホロウメア (p3p000145)は肩を竦めたのだった。

「それで? 迷宮森林へ向かえばいい……のよね?」
 サラからの『御遣い』を請けて、迷宮森林へと歩を進めるアルテミア・フィルティス (p3p001981)の言葉にクロバは頷いた。
 曰く、迷宮森林を中心にフィールドワークを行っている言うサラ・フレイアは自分の代わりに古代遺跡の中に存在しているであろう『燈鉱』を確保してきて欲しいとのことだ。それは彼女自身の研究にも使えるが――クロバも『彼女の研究の恩恵』を受けるため、個人的に確保しておくのも良いと考えていた――ガンエッジ、またはガンブレードと言った特異な武器の専門家たる彼女が齎す恩恵は様々な冒険者にあるはずだ。
「その、燈鉱って聞いたことないんだー。サラさんに聞いておけばよかったかな?」
 首をこてりと傾いだアウローラ=エレットローネ (p3p007207)にヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)は「聞いておきましたわー!」とサラより手渡されたメモを読み上げる。

 古代遺跡の内部に存在する『燈鉱』は赤く焔をその中に含み光輝いている。
 外見からは想像つかないが練達に調査を依頼すれば魔力が焔を模しているだけの銀であるそうだ。
 その強度は折り紙付きだが『燈の窯』と呼ばれる古代遺跡の中でしか採取できないため、非常に貴重な鉱石である。

「――らしいですわ」
 ヴァレーリヤはこの鉱石を売れば美味しいお酒がたんまり、まで考えたが首を振った。そんな事考えるのは天義の某シスター位なのだ。
「ンンッ、それで、『燈の窯』ってどんな所なんですの?」
「聞いた限りですと、非常に熱く服などと溶かしてしまう瘴気が発生しているだとか……」
 困ったという様にクラリーチェ・カヴァッツァ (p3p000236)が腕を摩る。出来れば肌を露出したくない。そう思えば何か対策が必要なのではないか――と考えた彼女の傍らで健全なる男子高校生の上谷・零 (p3p000277)は「そう言うの練達で販売してる漫画で見た事ある……」と呟いた。ちなみに、普通にしていればフランスパンも溶けてしまう。
「フランスパンが溶けちゃうのはちょっと……」
「ああ、それについてだが、サラさんが『対策』をくれたぞ」
 練達謹製の防衛装置を取り出したリゲル=アークライト (p3p000442)はチョーカー型のそれを付けてさえいれば『防衛魔術』が防具に施されるらしいと胸を張り――装着。
「……?」
 傍らに立っていたポテト=アークライト (p3p000294)は首を傾ぐ。
「……ポテト?」
「……あ、ああ、いや、リゲル。何時もの騎士の姿も格好いいが、その格好も土いじりがしやすそうで素敵だなっ」
 にっこりと微笑んだポテトの言葉にリゲルは自身の衣服に視線を落とし――そして、「ええ?」と声を漏らした。
「こ、これは……」
 ジャージだった。
 防衛装置を起動すると、自身らの身に纏う装備はジャージに変化している。
 先ほどまでは凛としていた女騎士であったアルテミアとて、ジャージだ。
「ど、どういう!?」
「……まあ、練達だからな」
 クロバのため息を聞きながらアルテミアは、ジャージ姿で遺跡内を行かねばならないのかと呻いた。そう、ジャージ姿じゃなければ装備は溶けるのだ。溶けてくれると嬉しいかもしれないが、とりあえずは、何があるかも分からないのでジャージを着用して進んでほしい。
「ひ、一先ず、燈鉱を確保しに行きましょう」

GMコメント

 リクエストありがとうございます。どうして、ジャージ……?

●成功条件
 燈鉱を確保する事

●燈の窯
 深緑に存在する古代遺跡の一つ。焔の様な瘴気を発しており、服などを溶かしてしまいますが魔術的な防衛装置による作用であり、人体にはそこまで有害ではないようです。
 モンスターが遺跡内には存在し、マグマを思わせるスライムや、ゴーレムが歩き回っています。
 連戦になります。一体一体はそこまで強くありませんが、継続戦闘を行えるように気を付けてください。

●燈鉱
 サラ・フレイアが求める鉱石です。赤く焔をその中に含み光輝いています。
 外見からは想像つかないが練達に調査を依頼すれば魔力が焔を模しているだけの銀であり、触れることに気を付けるなどは必要ありません。
 武器の細工など様々な用途がありますがダンジョン内に存在することから、貴重な鉱石だと言われているそうです。

●防衛装置
 練達謹製チョーカー型。なぜか防具がジャージになります。
 防衛装置が発動しなければ燈の窯の瘴気で服が溶けます。壊れることはきっと、多分、ないでしょう。多分。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、ゲットしてきてくださいね!

  • 魔女サラ・フレイアの研究~燈鉱の窯完了
  • GM名夏あかね
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊

リプレイ


 魔女サラ・フレイアによる『おつかい』で『燈の窯』に訪れた特異運命座標達――
 鮮やかな葉の茂る巨大樹ファルカウを中心とした迷宮森林には遺構たる古代遺跡が多数存在していた。サラが目を付けたのは特異な鉱石を得ることが出来るという古代遺跡『燈の窯』。焔を思わせる赤々とした瘴気を発したその場所には通常、足を踏み入れることは出来ない。
『準備はしておいた。練達の研究者――まあ、研究者の趣味が反映されたことは否めぬ――が準備した防衛装置だ。これを使用すれば、悠々と遺跡に踏み入れることが出来るだろう』
 やけに存在な態度でそう言ったサラは『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)を始めとするイレギュラーズをささっと依頼へと蹴り出した。研究者の趣味という言葉に、『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)がどういう事なのかと表情を暗くした事だけは追記しておこう。

「サラの奴、相変わらず研究に余念がないというか……っていうかこき使い過ぎというか。
 まぁギルドの方に武器回してもらってるのもアイツのおかげなんだけど」
 頬を掻き困ったような表情を浮かべたクロバに『祈る者』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)もおかしそうに小さく頷く。
「燈鉱の確保のお仕事。魔力を有する銀……。不思議な鉱石があるのですね」
 戦闘も調査もある程度の経験をイレギュラーズとしてこなしてきたクラリーチェはふと、防衛装置を気にするそぶりを見せる。今まで、様々な任務をこなしてきたが――この、研究者の趣味が大幅に反映されているという防衛装置は……。
「防衛装置なら障壁とかバリアだと思ったのに、なんでジャージなのよっ」
 ジャージ姿の戦乙女、アルテミア・フィルティスはそう吼えた。その美貌に陰りを帯びさせた彼女は自身が身に纏っている防具が『ジャージ』と呼ばれる異世界の――詰まる所、『死兆パン屋さん』上谷・零(p3p000277)の様な――学生が体操をする際に着用する衣服になっていたのだ。
「た、確かに着ぐるみだとか全身タイツだとか、奇抜なモノじゃないだけまだマシだけど……」
「奇抜だと日常的に使えませんものね。それにしても、このじゃーじ? 初めて着たけれど、動きやすくていいですわね! くつろぐ時に着たい……」
 アルテミアが言いたいのは『魔法障壁が張られることを期待した』という事だが――『辛味オイル歓迎』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837) の脳内ではサラのお使いで得た鉱石を転売してついでに、美味しい酒をGETするという所謂『辛味オイルエンドまっしぐら』なのである。
「それにしてもじゃーじっていう服になっちゃうのも不思議ー。
 動きやすいんだけど足に擦れるのはなんか変な感じがするねー」
 だぼだぼとした袖や裾。あまりに余ったそれは『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)の動きを阻害しそうだ。それでも尚、いつも通りの機動力が誇れるのは流石は練達の技術という所か。
「ジャージ戦隊、ジャージブルー参上!」
「え、えと……ジャージ戦隊、ジャージグリーン!」
 勢いよくポーズをとって見せたジャージブルーこと『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の傍らでは頬を赤く染めながらも戸惑いポーズを取ったジャージグリーン、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)が立っている。本日のアークライトご夫妻はジャージ戦隊として戦うのだ。
「……こうみえて熱さに耐えうる素材というのが流石練達製だな。
 ポテトも農業を生業とするポテトらしさが出ているというか……そんな素朴で、自然への愛情を体現するかのようで素敵だな。髪が乱れたら結い直すから言ってくれ」
 練達製の防衛装置を確かめながら、背に顔をうずめた愛しい妻を気遣い――そして、盛大な愛を口にしながら――リゲルは柔らかに微笑む。
「練達の技術凄いけど、恥ずかしさも凄いんだが……!」
 ジャージを身に纏うと、どうしても農家としての血が騒ぐとでもいうのか。無意識にタオルを首に巻き、髪を束ねた彼女ははっとした顔をして「いや、今から行くのは遺跡であって畑じゃない……!」と首を振った。
「と、ともあれ、これで服は溶けないみたいだから、壊れでもしない限り安心して探索は出来るわね……ホント壊れたりしないわよね?」
 ――それは神のみぞ知るのです。


「えへへ、おっさけーおっさけー! 美味しいお酒が私を待っていますわーー!!」
 るんるん気分で前往くヴァレーリヤの背を眺めながらアウローラは首をこてんと可愛らしく傾げる。だぼだととした袖口は口元へ。電脳美少女はあざとく可愛いものなのです。
「鉱石の中に焔が入ってるなんて不思議ー。燈鉱って綺麗なのかなー? 見つけれる様に頑張るよー!」
 楽し気なその姿を眺めながらクラリーチェは戸惑っていた。小豆色のジャージに合わせてひとまとめに結い上げた銀髪が揺れている。活発な運動少女の装いと言えばやはりジャージ&ポニーテールだ。
「普段よりだいぶ身軽な格好なので、落ち着きませんね…。ジャージの着心地自体は悪くないのですが、普段修道服しか身に着けないので……」
 防衛装置の大本であるチョーカーに触れながらううんと小さく首を捻ったクラリーチェにとって不慣れな格好は何処か緊張するというものだ。途惑うものもあれば喜ぶものもいる。寧ろ、練達の技術者に金でも積んだのかというレベルでクロバは漲っていた。
「――ん? ジャージ? ジャージ????? オーケー。俺は最初からマックスだぜ!!!!」
 クロバ=ザ=ホロウメア。彼はジャージ党である。
 眼前現れるは燈の窯へと蔓延るモンスター。ジャージ戦隊ブルーとして「発見した!」と告げたレッドにクロバは大きく頷いた。
「炎すら飲み込我らの情熱! 纏ったジャージは決意の証!! ジャージ戦隊!! ジャァァレンジャァァァ!」
 ドゴォと爆発音が響く――! ジャージ戦隊の効果音の為に、お前の武器を用意したわけではないとサラ・フレイアの苦情が聞こえてきそうだが、彼は堂々たる仕草でモンスターへとガンブレイドの切っ先を向けた。
 先ほど同じくピシッとポーズを決めたブルーに未だ戸惑いを拭えぬグリーン。そして、困惑の零はアークライト夫妻とクロバを見た後「……え、戦隊? なんで? 夫婦のコンビネタじゃなく?」と呟くのだった。
「いや、まぁやる分にはいいが………逆に襲われない? 大丈夫? 優先的に殴りつけられたりしない? えぇいままよ! ジャージグレイ!!ズバッと参上……!!」
 その時、ジャージ(フランスパン)グレイは戦隊モノの番組をもっとちゃんと見ておけばよかったと呻いた。どちらかといえばそういう分野の専門家はローレットにもいる。因みに、山田という。
「戦隊ってなんか面白そう! アウローラちゃんなんだろー?
 えーと、えーっと………じゃーじスカイブルー! いっくよー!」
 俄然やる気のアウローラ。此処まで仲間が名乗ったのであれば、皆、名乗らぬ訳にも行かないだろう。アルテミアは「え? えぇ?? わ、私も名乗らないと駄目なの!?」と困惑を浮かべているが――そもそも、ジャージだったことからして、もはやどうにでもなぁれだ――「じゃ、ジャージホワイト、推して参る!」
 アルテミアも名乗ったのだ。もはや何も分からぬクラリーチェだが自身の身に纏うジャージのあずき色を宣言しようとし、ハッとした顔を見せる。
「あ、あずき……いえなんでもないです……だって戦隊ものにあずき色とかないですし……。あずきは美味しいですが」
 声が萎んでいく――だが、ジャージ戦隊には小豆が居たってかまわないのだ。
 そう! 彼女――
「ジャージ辛味オイル、参上致しましたわ―!」(※酩酊はしていない。素面のヤケクソである)
 ――ジャージ辛味オイルが居るように!


 遺跡の中を気を付けて進むをオーダーとしながらも現れたモンスターと相対するレッドことジャージの伝道師『クロバ=ジャージ=ホロウメア』。ジャージぢからにより増強した己の魔力を伴う一撃を放てばマグマを模したスライムの体がぼこりと歪む。
「なんかもう見た目からして怖いわここのモンスター……っ!」
 怯え孕んだ声を漏らした零はフランスパン『boule』の硬度を増し飛び交うマグマを避ける。べちゃりと音を立てたマグマの攻撃をふわりと避けたアウローラが顔を上げる。
 普段は可愛くスカートを揺らしてウィンク一つ、微笑と共に敵へと攻撃する可愛いの権化であるアウローラ。今日という日は萌え袖で「えいえい」とモンスターを撃退する他にはない。
「さて……一体一体はそこまで強くないみたいだけど、こうも数が多くて戦闘が続くと厄介だな。クラリーチェ、回復を分担しよう」
「ええ、承知しました」
 農業スタイルはいつもと違うやる気を漲らせるような気さえする。ポニーテール二人は継続戦闘の為に回復を分担し、手厚く前衛進む仲間たちを支援し続ける。
「こんな場所にもモンスターはいるものなのだなあ。生命力逞しいというか……
 鉱石の魔力が動力源になっている、なんということはあるのだろうか?」
 鉱石の性質である焔と似通ったモンスターたちを見ながらリゲルは唸った。銀の剣を翻すように持ち直す。そこへ飛びこむゴーストの腕を叩き落せば、ぐらりと傾いだ石塊をリゲルは其の儘に両断する。
「何にせよ、降りかかる火の粉は打ち払おう。縄張りに侵入したのであれば、申し訳なさもあるけどな」
 連戦状態であるとなれば流石に疲労はする。だが、信頼できる仲間たちと共に在ればこそ、だとリゲルが微笑めばクラリーチェとポテトは頷いた。
「魔力が焔を模しているという事は、それだけ魔力濃度が高いという事の裏返しだと思うのよね。
 なら、スライムやゴーレムが魔力に引き寄せられて集まっている場所なんかが怪しいかしら?」
「それなら、うーんと、いっぱい倒しながら探さなくっちゃだねー?」
 アルテミアの推測にアウローラはにんまりと微笑んだ。炎の怪物より飛ぶ火礫に零が「危ないっ」と慌てた声を漏らせばアウローラは「ホントに燃えちゃいそう~」と小さく笑う。
「倒すというのは……危険も大きいでしょうけど、上手くいけば多く手に入るかもしれないしね?
 まあ、私も新しい武器の素材に使ったりしたいし? 気を付けていきましょう」
 その方向へ進むとなれば戦闘は避けられない。暑さに喉も乾く感覚がするがどこか休憩するポイントを探せないのも現状だ。瀟洒な細剣を握る細い指先に力が籠められる。アルテミアが切り裂くスライムの体より飛び込む焔に対し、ヴァレーリヤは『どっせえーーい!!!』やる気を見せ――そして、クロバは「ヴァレーリヤ!」と鋭く彼女を呼んだ。
「ええ、どうかしましたの!?」
「辛味オイルは!?」
「勿論、持っていますわ!」
 何故か、持っている。何故か、手放せない。辛味オイルである。
 クロバはそうかと呟いたがリゲルとポテトは「休憩せずにさっさとここを抜けよう」という意志を固くした。
「辛味オイル!? フランスパンには合わなそうなやつだな……」
「うんうん。アイドルバラエティで挑戦することになりそうなオイルでビックリしちゃう……」
 零とアウローラも僅かな危機を感じていた。どうして、辛味オイルを用意してしまったのだろうか。
 どうして……。
 辛味オイルと共にイレギュラーズはずんずんと進む。退けるモンスターたちの数が多くなるが、それと共に彼らは捜索スキルを使用して鉱石を探す。
 薄らと赤く光るそれは様々な石に埋もれてはいたが確かに魔力を発していた。流石は魔女が求めるだけのものだ。周囲の意志を取り除けば輝かんばかりに赤く燃え盛るその焔がしっかりと見て取れた。


「これが、燈鉱か。
 サラにこれでもかと成果として突き出すのと、なんか武器に使って貰おうかな」
 石を眺めてほう、と息を吐いたクロバ。確かにガンブレイドとは相性がよさそうな鉱石だ。
「貴重なんだろうけど燈鉱ちょっと欲しいなー。
 アクセサリーとかに出来たらきっと綺麗だと思うし!」
 まるで焔が滾る様な。美しい鉱石はルビーの煌めきにも劣らない。アウローラがそう言えば、ヴァレーリヤはがっぽり大儲けしている様子を考えたのか先ほどの辛味オイルは何とやら涎をたらりと口端より垂らす。
「燈鉱で大儲けすれば、美味しいお酒が私を待ってる!!! ふへへ……」
 彼女は聖職者です。
「ああ……これまでは買えなかった深緑ワインに海洋果実酒、それからそれから……」
 彼女は聖職者です。
 鉱石をしっかりとマントで包んだリゲルは「綺麗なものだな。加工するのもよさそうだ」とちらりとポテトを見遣る。加工して、彼女に送るならば小さなネックレスがいいだろうか。視線が克ち合えばポテトはにこりと微笑んだ。
「これが燈鉱……炎みたいなのに銀なのか……不思議なものだな。でも確かに奇麗だ」
 それはポテトとて、同じ。銀なら装飾品にもできる。リゲルに何か贈りたいという考えが頭の中を巡り始める。
 赤々と輝く鉱石をリュックの中に詰め込みながら零は「こんなに輝いてるんだな」と呟いた。
「確かに、売れると高そうではあるけど……装備素材として何か使えないかな……。練達辺りとかで上手く装備に出来ねぇかな……」
 きっと練達ならばどうにかしてくれそうな気がする。その前に魔女に提出してみなければならないが。
「そういえば、どれくらいの量が必要なのでしょう? 多いに越したことはない……かしら」
「さあ? 一応多めに詰めていこう」
 クラリーチェの疑問に零は一先ず沢山詰めておけば余りをイレギュラーズにも、と素材として加工してくれるかもしれないと詰め続ける。サラ・フレイアは魔女でありながら、ある種のアーティファクトクリエイターでもあるのだろう。うまくいけば彼女が何らかの素材として提供してくれる可能性だってあるのだ。
「……防衛装置、壊れないですよ、ね? 壊れたら大惨事ですもの」
 そう言ったクラリーチェを振り向いたのはアルテミア。そう、防衛装置は練達謹製といっても装置でしかないのだ。こうした場所には長居は無用だ。
「後は、何が起こるか分からないわ。早く離脱しましょう。
 防衛装置があるから余程の事や不運が無ければ大丈夫でしょうけどね、なにも無ければ――っ」
 アルテミアがそう言いかけた時、彼女の背後で「ああ」という声が聞こえたかと思えば――大量の辛味オイルが宙を待って居た。
「あーー足が滑ったーーーーー」
 ファンブルしたのだから仕方がない(クロバ談)。ウォッカと間違えて握っていた辛味オイルは無常にも空を舞う。
 ぐるぐると周囲に中身をぶちまけながら飛んでいく辛味オイル。「あ」とアウローラが声を出しても時すでに遅しだ。
「あ、ああーーーー!? いけませんわーー!? こ、これは何かの陰謀ですわー!?」
「ヴァレーリヤ! 辛味オイルは出てからだ!」
 ポテトの静止空しく、辛味オイルは見事にアルテミアのチョーカーを攻撃した。ヴァレーリヤ此処に眠るという勢いで辛味オイルに沈んでいく彼女。
「ヴァ、ヴァレーリヤ! い、急いで出よう!」
 遺言のように地面に描かれた『辛味オイル』。そして、ぷしゅうという音と主に停止したアルテミアの防衛装置。そして、通常装備に戻った彼女の服が溶け――
「さっさと出ましょう!」
 ――走り出す。
 此の儘ではアルテミアがえっちっちになってしまう。勿論、スライム君たちは燈の窯には居るのだ。
「サラに鉱石を届けて、防具を何とかしなくちゃいけないわ!」
 走るアルテミア。その溶けかけたジャージを纏った背を眺めながらクロバは「ジャージ、布教しよう」と小さく呟くのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ジャージ戦隊! 無事に作戦終了!

 ※サラ・フレイアは「ならば私はジャージフレイムだ」とのことでした。

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