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シナリオ詳細

<虹の架け橋>双子スミレと積木の街

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●晴れ時々弾雨
 けたたましい軍靴の音。
 空気を切り裂くようなアサルトライフルの連射音。
 声を掛け合うのもばからしいくらいのやかましさのなかで、ジェック(p3p004755)は仲間にハンドサインを出すと遮蔽物にしていた三角積み木から身を乗り出し、積み木の塔や積み木の滑り台から顔を見せるおもちゃの兵隊めがけてライフルを構えた。
 ガスマスクのゴーグルにうつる、まるでおもちゃ箱のような風景。
 その奥で目を細め、白い眉をしかめた。
 はてさて、どうしてまた、こんな事態になったやら……。

 ジェックをはじめ多くのイレギュラーズにとって『はじまり』と言うべきタイミングは、妖精郷アルヴィオンからやってきた妖精ストレリチアのお願いをローレットの仲間が引き受けた時だっただろうか。
 妖精と、それに敵対するとおぼしき存在。モンスターを使役する『何者か』の狙いが妖精門アーカンシェルであることは明白だった。
 門を遅うモンスターたちを倒し、妖精たちの依頼を解決してきたローレットたち。
 だがノーガードだった門が破られ、一部の魔物たちがアルヴィオンへと到達してしまったという報が寄せられた。
 無事だった門もシャットダウンし、多くの妖精達が深緑側へと取り残される。
 双子妖精のスミレが、深緑のカフェでアイスコーヒーをちゅーちゅーしていたジェックたちに助けを求めたのは、そんな折のことである。
「「このままじゃ妖精王が危ないの。一緒に来て。ヘイムダリオンを使えば、妖精郷へたどり着けるはずだから」」
 ヘイムダリオンとは、『虹の架け橋』の歌を使って妖精門から入ることのできる大迷宮である。
 内部は無数の領域に別れ、広大な空であったり海であったり狭い部屋であったり森であったりと領域の形状は様々。その悪書に眠る『虹の宝珠』を手に入れ集めることで、妖精郷へと到達することができるのだ。
 これは、そんな宝珠あつめのうちの一つとなる。

 ジェックたちが連れてこられたのは『積木の街』というダンジョンだった。
 入り組んだ街の中央に収められている虹の宝珠をゲットすればこのダンジョンは攻略完了となる……が、そこへ至るまでに町中に配備されている『おもちゃの兵隊』を突破しなければならないという。
「おもちゃの兵隊が実弾を撃ってクルなんて、聞いてナイよ?」
 兵隊の頭を破壊。人間のマネでもしてるのか、木でできた頭が砕けただけで兵隊はその場に崩れ落ちる。
 ジェックは遮蔽物へ戻り、さらなる弾幕をやり過ごした。
「「言ってナカッタよ?」」
 だめだった? といって同時に首をかしげる双子スミレ。
 ジェックは息をついて、まあいいけどねと振り返る。
「やるべきコトは、街の攻略。……じゃなくて、『積木の街の攻略』、カ。皆、準備はいい?」

GMコメント

■オーダー
・成功条件:積木街の攻略(宝珠の獲得)

 おもちゃの兵隊たちが防衛する街を突破し、宝珠が収められているという建物へ突入、獲得してください。
 この場合誰が獲得してもいいので、『ここは任せて先に行け』スタイルを繰り返して速度を上げていく作戦も有効です。

■積木の街とおもちゃの兵隊
 おもちゃの兵隊はこの巨大積木でできた街を防衛しています。
 兵隊は木でできていて、ライフルや剣も木ですが威力はホンモノ。彼らは連携し、こちらを包囲したり集中攻撃したりと苦しめてくるでしょう。

 積木とはいえ戦闘は主に市街戦。
 馬車やバイクで障害物を避けながら突っ込むスタイルや、空中から爆撃するスタイルや、罠を仕掛けたりこっそり進んだりするスタイルも有効になります。
 アイテムやスキルを活用し、活躍の幅を広げてください。
 ※こっそりスタイルや手の込んだトラップは中盤くらいまでなら通用するはずです。そこから先は流石に見つかります

・狙撃ルール
 この『積木の街』は特殊な魔法がかかっているため、銃による超距離射撃の有効レンジが場合により倍以上に拡大します。
 これにはいくつか条件があり、銃ぽい武器を装備していることやそれが単体攻撃であることなどがあげられます。
 高い場所からの狙撃支援やスキマをぬっての必殺スナイプなどにご活用ください。

・街の構造
 途中の障害物がやたら多く、道路もまっすぐ整備されていません。
 そのかわり建物(?)の高低差が激しく、そしてとてもカラフルです。

・おもちゃの兵隊
 主要武器はライフル。サブウェポンとしてナイフや拳銃。グレネードなども装備しています。
 多くは歩兵ですが、飛行ユニットを装備した兵士や木馬にのった兵士も混ざっており、ごくたまーにおもちゃの戦車が配備されていたりもします。主に終盤の強敵となるでしょう。

・魔物注意報
 街の中には未知の魔物が潜んでいることがあります。
 希ではありますがエンカウントに注意してください。

●備考
 このシナリオではイレギュラーズの『血』『毛髪』『細胞』等が、敵に採取される可能性があります。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • <虹の架け橋>双子スミレと積木の街完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年04月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
サイズ(p3p000319)
妖精■■として
アト・サイン(p3p001394)
観光客
グリムペイン・ダカタール(p3p002887)
わるいおおかみさん
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
かんな(p3p007880)
ホワイトリリィ

リプレイ


 おもちゃの兵隊をスナイプし、『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)は積木のガレージへと逃げ込んだ。
「またナンカ、変なトコに来ちゃったナァ……」
 両肩にそれぞれ座ったスミレの双子妖精がガスマスク越しに顔をのぞき込む。
「じぇっく……なぜにげるにゃ……」
「じぇっく……一緒にいようにゃ……」
「ヒィ!? どこで覚えたのそんなノ!」
 反射的に身震いするジェック。スミレが『あの人が言えって』と指さすと、大きな段ボールがひとつぽつんとおいてあった。
 『まぐろ』と書いてある段ボールがぱかっと開き、頭をお団子ぽくした『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が顔を半分出す。
「大迷宮の探索には結構慣れてきたつもりではいましたが、こんなに広大な街まで内包しているとは……。
 驚いてばかりでは居られませんね。古き友、妖精さん達の危機です。急いで攻略致しましょう!」
「真面目なハナシして流さないで?」
「虹の宝珠を手に入れるにはこの積み木の街と言うダンジョンを突破しないといけないのか……真正面から行きたいが……」
 その横で木箱から顔を出す『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。
 流行ってんのかな、って思ったけど他の仲間は馬車の手入れに熱心だった。
 小窓から外をのぞき見て兵隊の接近を監視する『実験台ならまかせて』かんな(p3p007880)。
「カラフルで素敵……なのだけれど……。積み木って、こんなに物騒なものだったかしら?」
「わかんないけど、おもちゃの街が宝珠を護ってるって考えたら面白いよね!」
 『雷虎』ソア(p3p007025)はガレージの入り口に巨大な積木をがんがん積み上げてバリケードにしつつ、馬車を用意する時間を稼いでいる。
 触ってみての直感だが、こうして多少力があれば持ち運び可能なブロックがある一方で、建造物として積み上がったブロックは一般家屋やブロック塀のように破壊が困難であるらしい。
「玩具箱の底の底。大事なものが転がっているのはよくある事さ。
 そうゆう時というものは、得てしてひっくり返さねば見つけ難いものなのだがなあ!」
 『わるいおおかみさん』グリムペイン・ダカタール(p3p002887)が相変わらず愉快そうにしている。
「まあいいさ、私はまだまだ仕舞われる予定はないものでね。
 子供が起き出す頃までは、この話に付き合ってやろうじゃないか」
 一方で、『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は高所から街の構造を観察していた。
 ラダの持ち込んでいた馬車に三頭の馬を接続して馬力をあげ、御者席につく『観光客』アト・サイン(p3p001394)。
「みんな乗って。一気に駆け抜けるぞ、市街地だから大通りを突っ切ることになるから抵抗は激しいぞお!」


 街を抜けるにあたって、ドラマは若干の隠蔽効果をもつ段ボールを被って単独で進むことにした。
(……このおもちゃの兵隊達は此処最近の人工の魔物達とは違って、この街のギミックなのでしょうか?
 だとしたら、魔種の手勢が潜んでいるかも知れませんね)
 兵隊のいる場所では小さくじっとして、穴から様子をのぞきみる。
 兵隊たちは糸でつったかのようにカタカタとぎこちなく動き、やけに直角な足運びで歩行していく。
 彼らの注意はほとんど本隊の馬車に向いているらしく、移動する兵隊をやりすごせばなんとか突破することができた。
 兵隊がいなくなったのを確認して段ボールを被ったままシュタタタタと走って行くドラマ。
 ふと見ると、自作の木箱を被ったサイズが人目(?)をさけるようにして街をたかたか移動していた。
 身体を小さくはしていたが、ドラマがチラ見して分かる程度には隠蔽が足りていないようである。
 同じようにサイズを発見した兵隊がライフルを発砲。
 サイズは木箱を脱ぎ捨て防御と回避に移行すると、残りの距離を突破するために戦闘を開始した。

 一方でこちらは本隊の馬車。
 御者席で馬を走らせるアトは、自己複製弾を込めた拳銃を乱射。
 建物の間からライフルを撃ってくる兵隊や、前方に立ち塞がろうとする兵隊たちの排除にかかる。
 おもちゃの兵隊は人間同様に攻撃を仕掛けてくる一方で生存本能に乏しいらしく平気で馬車を身体で止めようとしてくる。
「トランプの様に吹き飛ばしてやろうとも。
 玩具箱に帰り給えよ。めでたしめでたしといきたいものだね!」
 ダカタールはそんな兵隊に対して『狼の息吹』を行使してできる限り吹き飛ばし、障害を排除するのが役割になっていた。
「とはいえ、無限にこんなやり方が通用するものではないぞ?」
「分かってる。大体馬車で突入できる道幅のルートなんて限られてる。兵隊も先回りし放題だし、いけて途中まででしょ」
「それじゃあ、いけるところまでいけー!」
 馬車の上に飛び乗り、電撃を四方八方に撃ちまくるソア。
 そんなソアめがけて、上空から飛行ユニットを装備した兵隊が爆撃をしかけてきた。
 グレネードが次々と降り注ぐ。
 その一部をソアは雷の爪撃で打ち払ったが、はらいきれなかったぶんの爆発が馬車を襲う。
 更に前方にある塔からライフルで超長距離射撃を狙う兵隊を発見。
「ジェック、塔のやつを任せる。私は右側面。かんなは左側面だ」
 ラダは馬車からライフルを突き出すと、右側面の建物から馬車を狙い撃ちにする兵隊たちめがけて一発ずつヘッドショットを打ち込んでいく。
「ウーン……いいけど」
 ジェックはどうも乗り気じゃなかったが、仕方ないといった様子で塔から狙う兵隊めがけてライフルで狙いをつけた。
 発砲。着弾。
 白い猫の幻影が大量に兵隊に通知することで兵隊を破滅させた。
「ナイスショットにゃ……」
「ヘッドショットにゃ……」
 両耳のそばでささやく双子スミレ。
「ウってるコッチまで嫌な気分にナってくるんだケド!」
「お楽しみのところ悪いんだけど……」
 かんながちょんちょんとジェックたちの身体をつついた。
「馬車、そろそろ終わりみたいよ」
 外を指さすと、木でできたおもちゃの戦車が建物の影から現れ、こちらに大砲を向けた。
 ズズンという轟音の直後、人の腕ほどある弾が馬車へと着弾。当たり前のように粉砕され、アトたちは外へと投げ出された。
 ここぞとばかりにナイフを振りかざし群がってくる兵隊たち。
 かんなは馬車から投げ出されつつも素早く転がり、ナンバーレスを顕現。
 投擲し自壊させることで兵隊とその後続の兵隊たちをまとめて破壊していく。
「さてと、面白くなってきたわね」
 くるくると回転して着地するソア。
 くつくつと笑ってがれきを払うダカタール。
 ジェックやラダは近くの障害物へと飛び込み銃撃を防ぐと、ハンドサインを出した。
 ここから先は、強引に突破するほかなさそうだ……と。


 取り囲もうと展開する兵隊に対して、サイズは真っ先に近場の建物へと飛び込んだ。
 入り口から入ってくる兵隊に向け、魔力撃によって反撃するためだ。
 積み上がっている独立した積木を崩し、入り口付近へ簡単なバリケードにしてフィールドを形成。
 兵隊はこちらを警戒しながら扉脇に背をつけつつ、サッと身を出しライフルを撃ち込んでくる。
 サイズは射撃をバリケードで防ぎ、時折顔を出しては魔力撃で反撃を続けていた。
 と、次の瞬間。
 建物の壁が爆発したかのように吹き飛んだ。
「うおっ!?」
 壁が独立ブロックになって飛んでいく。
 サイズも一緒に吹き飛ばされたが、すぐに飛行モードになって体勢を維持。反転して魔砲を連射した。
 戦車を一発がかすり、もう一発が正面に着弾。
 ――と同時に、巨大な悪魔の腕が戦車の大砲を握り込み、無理矢理にへし折った。
 爆発し、中から逃げ出していく兵隊。
 それを駆けつけたドラマが『リトルブルー』によって斬り付けた。
「――」
 ドラマの背後。物陰から飛び出す二人組の兵隊。
 ドラマは急速反転すると鞘と剣の疑似二刀流によって防御。
 即座に距離を詰めると、三日月を思わせる斬撃によって兵隊を切断。ふところに潜り込まれたことでナイフに持ち替えた兵隊――の背後へ滑るように回り込んで背をつけあい、逆手に返した剣を脇越しに突き立てることで兵隊を破壊した。
「……ぷはあ」
 息を止めて一連の動きをこなしたドラマは、そこで大きく息をついた。

「今の僕は簡単には倒れない! どんどんと寄ってくるがいい!」
 四方八方からライフル射撃やグレネードが飛んでくるなか。砕けた馬車をなんとか盾代わりにしつつ、大通りの真ん中でアトは反撃にいそしんでいた。
「ここは僕らが引き受ける。誰かひとりでも宝珠をゲットできればいいんだしね」
「そのためにはまず道を空けねばならないな」
 ダカタールはバリケードから飛び出すと、『狼の息吹』を行使して前方の道を塞ぐ兵隊たちを吹き飛ばした。
 直後に空から降り注ぐ爆撃に顔をしかめる一方、かんなが新たに槍を顕現。
 上空の兵隊めがけ槍を発射した。
 破壊され、砕け散っていく兵隊。
 降り注ぐ破片のなかで、かんなはピッと開いた道を指さした。
「『ここは任せてさきに行って』……なんて、一度は言ってみたい台詞じゃない?」
 頷き、馬にのって走り出すラダたち。
 一方でアト、ダカタール、かんなの三人はおもちゃの戦車と兵隊たち相手に戦わなければならなかった。
 こちらを向く大砲。
 大地が振動するほどの砲撃。大して、アトはナイフを抜いて前へ出た。
「おっと……!」
 ナイフで防御……するも、アトはその場から吹き飛ばされ建物の壁を破壊し、屋内へと転がり込む。
 ダカタールとかんなはそれを横目に見つつも、あえて戦車へと接近をかけた。
 ここまでの戦いで、戦車は攻撃の威力が高い一方でリロードに時間がかかることを発見していたのだ。
 跳躍し、戦車のハッチ部分に飛び乗るダカタール。『山猫軒の皿の上』を発動させ、装甲を無視した攻撃を開始。
 兵隊たちがハッチを強引に押し開き飛び出してきたところで、かんなが槍を刀へ形態変化させつつ跳躍。
 空中で高速回転をかけると、兵隊の首を切り落とした。

 一方こちらはラダたち。
 ラダ、ジェック、ソアの三人は馬車につないでいた馬にそれぞれまたがり、宝玉の収められた建物目指して走っていた。
「アタシ、馬とか得意じゃないんだケド」
「ボクも。ちょっと酔ってきたかも」
「心配するな。すぐに終わる」
 ごごんと音をたて、坂道の向こう側から現れる戦車。
 砲撃がまっすぐに飛び込み、地面が爆散した。
 素早く馬から飛び降りていたラダは転がって寝そべる姿勢をとると、ライフルを構える。
「折角の機会だ。『戦車殺し』といこうじゃないか」
 発砲、と同時にロール。
 戦車の左右から現れた兵隊の射撃がはずれ、一方で兵隊たちが途中で魔術的に拡散したラダのライフル弾にぶつかり転倒。更に発砲したラダの魔術徹甲弾が戦車の装甲を抜く。
 もう一発の砲撃はラダの頭上を抜け、寝そべったままリロードしたラダはさらなる銃撃を戦車に打ち込んだ。
 爆発。細かいブロックがばらばらになって飛んでいく戦車。
 残った兵隊めがけ猛烈な速度で突っ込んだソアは、四つ足走行からのキャットジャンプで兵隊をひっかいていく。
 爪撃ひとつで電撃のラインがひかれ、兵隊たちがバラバラに吹き飛んでいく。
 ジェックはライフルを斜め下に向けたままその横を走った――が、急に殺気を感じてその場から飛び退いた。
 足もとをはねる黒いライフル弾。
 弾道が明らかに『ジェックの足だけを射貫く』ラインだったことを察してジェックは素早く低い積木の壁へと飛び込んだ。
 ポケットから鏡を取り出し、そっと向こう側をのぞき込む。
 塔のてっぺん。こちらを見るレンズの光を発見――した直後、鏡がライフル弾によって破壊された。
「…………」
 今までの兵隊に比べて射撃があまりに正確すぎる。
 ジェックはこれを『おもちゃの兵隊』とは別物であると仮定して、まずソアに手招きをした。ソアを狙う射撃を間一髪のところで回避し、遮蔽物へヘッドスライディングですべりこむソア。
「え、なにあれ。兵隊ってあんなに精度いい狙撃したっけ?」
「違うと思ウよ。例の魔物ってやつじゃないかナ」
 どうしたもんか……と考えること一秒。ジェックはソアに(ガスマスク越しに)耳打ちした。

 高い塔の上。バラバラになった兵隊たちのそば。真っ黒い姿をした人型の魔物が自らの一部を変化させたライフルでもってジェックたちを狙っていた。
「フフフーン……フフーン……」
 鼻歌をうたっている。生まれたときから頭の中にあった知らない歌だ。
「フフー……フーン……」
 狙いをごくごくわずかにそらす。
 遮蔽物から猛烈なスピードでソアが飛び出したのを見たからだ。
 どうやら狙撃手が狙い直せないほどの速度で走り抜けようという算段だろうが、それは甘い。飛び出すであろう方向をあらかじめ予測し、『彼女』はもう狙いをつけていた。
 トリガーをひく。
 まるでそうなることが決定されていたかのように、ソアの足をライフル弾が射貫いた。
 ――と同時に、魔物の頭を鉛玉が射貫いていった。
「――!?」

 遮蔽物から身を乗り出し、フウと息をつくジェック。
「狙撃の腕はたいした物だったケド、同じ場所から二度撃つとはね……」
 経験は未熟、ってとこかな。とつぶやきながらジェックは走り出す。
 足を打たれ膝を突いたソアの援護射撃ならぬ援護雷撃を受け、ジェックはついに……宝珠の台座へと到達した。


 台座から宝珠を取ったその途端、町中の兵隊達が動きを止めた。
 まるで遊びの時間は終わりだと言わんばかりに、積木でできた街から積木が次々と焼失し、ただただ広いだけの空間に変わっていく。
 手の中で宝珠をもてあそぶジェック。
「これで任務完了?」
「「そういうことかな」」
 服の内側から出てきた双子スミレが、にゃんにゃんといって手招きした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――踏破完了
 ――大迷宮の攻略に近づきました

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