PandoraPartyProject

シナリオ詳細

茨の棘のユメ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 もし、私がお姫様ならば。
 毎日おいしいケーキを用意して、愉しいティーパーティ。
 舞闘会を開いて王子様に出会うの。
 きれいに着飾って。きれいにお化粧もして。
 
 だから、もしも願いが叶うならば。


 「いらっしゃい。茨の森に」
 少女は――茨姫は貴方に手をのばす。
 其処は茨の森のお茶会。薔薇のアーチをくぐれば、ましろいテーブル。その上にはサンドイッチとマカロンとプチケーキにタルト。おいしいものばかり乗った三段トレイ。
 香るは高級な茶葉の紅茶。
 そこは素敵なお茶会。
 ――でも気を付けて。茨姫は寂しがりや。茨姫は皆皆を連れて行く。死者の世界に連れて行く。
「さあ、どうぞ。とても美味しいのよ。 人のお肉を挟んだサンドイッチ。生き血のマカロン。プチケーキには目玉を飾って。タルトは人肉たっぷり! 三段トレイ!」
 香るは人の生き血の鉄錆。
 其処は森のお茶会。骨のアーチをくぐればまっかなテーブル。
 茨の棘は逃さない。貴方を死者の世界に連れて行くために。
「素敵なパーティ。喜んでいただけると嬉しいわ」
 ――願わくば。
「貴方と一緒にずっとずっとずっとずっとずっとお茶会をし続けていきたいわ」
 少女はまるで真紅の薔薇のような微笑みで貴方を見つめる。
「ずっと、こんな幸せな世界が続くの。とってもとっても素敵」
 


「薔薇の魔女が老衰死んでしまったのです」
 いつもはピコピコと元気な青い羽根がしょんぼりとしている。情報屋ユリーカ・ユリカ(p3n00002)は今回の依頼の説明を開始する。
「それだけなら、よくある話なのです。ですが、彼女が住んでいた森は通称、薔薇の森。魔女には願いがあったようなのです。願い叶わず死んだ彼女は、この世界に未だとどまっているのです」
 死んだ魔女はゴーストになり自らの住処である薔薇の森を異界化した。近隣地域の迷い込んだ者を森に取り込んでお茶会に参加させているのだ。
 もちろん取り込まれは人間は衰弱して死んでしまうか、魔女の逆鱗に触れて人肉のパイにされてしまう。
「というわけで、この魔女をやっつけてほしいのです」
 ユリーカはペコリと頭を下げると、気を付けてくださいね、と付け加えた。

GMコメント

・成功条件 
 魔女の退治。
 彼女を成仏(世界観的にこの言葉が正しいかは不明ですが!)させるか戦闘で勝利してください。

 ・ロケーション
 魔女の薔薇の森。異界化していて、何らかの決着がつかない限りは一度入れば戻ってこれません。
 お茶会の会場は20m×20m程度の広さの場所ですので攻撃レンジにはお気をつけください。
 外周の薔薇の檻にふれると棘が刺さって痺れたり、毒状態になったりします。
 
 ・薔薇の魔女
 少女の姿のゴーストです。何らかの願いが彼女にはありました。
 今は、薔薇の森に迷い込んだ人物(便宜的)をとりこみお茶会に誘っています。彼女の願いを叶えることができたら戦闘はないかもしれません。(ただし明確なNGワードは存在していますので、それを誰かが口にしたら戦闘は避けることはできません)
 会話は可能です。彼女は自分が死んだことには気づいていません。薔薇の魔女は老婆ですが若返って少女の姿になっています。
 ですが、以前に彼女に囚われた人々の亡霊が彼女との会話中にも生きているものに対して助けを求めてすがりついて攻撃してきますので対処してください。そこそこに殴れば退治できます。
 8体くらいいます。
 亡霊の攻撃方法は抱きつき(痺れ・近接)、怨嗟の声(中、遠距離攻撃)
 魔女の攻撃方法は、全範囲攻撃の魔女の檻。ノックバック付きの中・遠距離攻撃。ノックバック付きの貫通攻撃などになります。吹き飛ばされると薔薇の檻に接触することになります。
 
 ・まだ生きている少女
 森に迷いこんだ少女です。まだかろうじて生きていますがそうとう疲弊しています。
 亡霊は少女も狙います。
 彼女の生死は成功には関係ありません。

 以上面倒な状況ではありますがよろしくおねがいします。

  • 茨の棘のユメ完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月25日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)
希うアザラシ
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)
ShadowRecon
朱洛院 奉明(p3p004795)
朱き洛印

リプレイ


 ステップを踏んで。
 くるりと廻って。こんどは足を踏まなかった。
 廻って、回る時計の針。時計の針は12時を告げている。
 灰かぶりのユメはもうおわり。茨の棘が消えていく。
 伸ばした手はいまはもうしわくちゃで。それでも、それでも。
 私はとても幸せだったのだろう。
 薔薇と共に過ごした長い時間。恋をすることもなかった。暗い森で独り薬を作ることしかなかった私のユメが叶うなんて思ってもみなかった。だから、
「■■■■■」
 ねえ、伝わったかしら? それと。
 迷惑をかけてしまって■■■■■■。


 ……くだらない。
 願い? 違う。こんなものは呪いだ。薔薇の茨の呪い。
 暗い森の中、まるで其処だけが異世界のように咲いた赤い薔薇のアーチを見て『朱き洛印』朱洛院 奉明(p3p004795)が舌打ちをする。
「まあ、間違いなく『アレ』じゃな」
 『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)が両手にお菓子を抱えながら異界に続くアーチを見つめる。
 一行は事前に薔薇の魔女――茨姫の情報を得ることにした。曰く、優しげな風貌の老婆で薬を作ってもらった。曰く、薔薇の世話は丁寧にしていた、もしかすると誰かを待っていたのかもしれない。という話がきけただけだった。
「自身の願いを叶える為に死んだ事を忘れた魔女……」
『何処の世界でも未練を残したまま死ねぬ存在はいるものだ』
「哀しいことだけど、生者に干渉するのは許せない……かな」
 「神様」と会話するのは『穢れた翼』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)。だから終わらせると、薔薇を見つめる。
「寂しかった、のかな? 独りで……」
 『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)は思う。一族の元で箱入り娘だったイリスは常に誰かに囲まれていた。それは冒険に出た今だって同じ。独りの寂しさはわからない。それでも、だからこそ、こんな暗い森のなかで独りでいることを考えるとぞっとする。
「助けを求める声、聞こえるっキュ」
 『自称聖獣のアザラシと犬獣人』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)は助けを求める声を感知し、皆に告げる。助けて、助けて、ここはもういや。お家にかえりたい。それはまだ生きている少女のものだろう。――茨姫は、助けなど求めてはいなかった。
 丁寧に、心をこめて作ったフラワーババロアの入ったバスケットをグリュックがきゅっと抱きしめる。
「お茶会、たのしめたらいいとおもうっキュ」
 不安を隠しレーゲンは空気を明るくしようと高い声をだした。
「ユウレイってやつとは殴り合ったことないんだけれどさ。テンプルとかレバーとか弱点ってあるのかな?」
 不器用ながらにレーゲンの様子に気付き『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)も明るく話しかける。
「まあ、元々ガードの上からフンサイするから関係ないんだけれどね」
 にしし、と少し恥ずかしげに笑った顔は年齢より少し幼く見え、周囲の緊張を解いていく。
「そうね、せめて素敵なお茶会にしましょう」
 皆で用意したお菓子の数々。気に入ってくれたらいいと思う。『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)もまたお菓子のつまったバスケットを持ち上げて微笑んだ。
 「ではいくのじゃー!」
 デイジーがいの一番に薔薇のアーチをくぐる。


「まぁ、まあ、まあ、まあ、今日はお客様がたくさん」
 金色の髪の赤いドレス姿の少女が迎えにくる。
「妾はデイジーじゃ。これは茶会に招いて貰った礼の手土産じゃ。受け取って欲しいのじゃ」
 茨姫が二の句を告げる前に、デイジーは前にでて、両手いっぱいのお菓子を差し出す。
「僕はレーさんで、こっちはグリュックっだっキュ!」
 レーゲンもまた、同じようにお菓子を渡しながら名乗れば、茨姫よ、よろしくねと茨姫が指先でスカートをつまみ、右足を斜めに引き、左足を軽くまげた、美しいカーテーシーで挨拶をかえす。
「お茶会にいらっしゃい、先にきた子はなんだか元気がなくて」
 至極残念そうな顔の茨姫の視線の先をみればぐったりと意識のない少女の姿。イリスと奉明はアイコンタクトをすると迅速に彼女のもとに向かう。
「大丈夫、気絶してるだけみたい。でもそうとう疲れてそう……っ!」
 抱き上げたイリスと奉明の足を冷たい手が触れる。犠牲者の亡霊だ。
 イグナートとティア、エスラが反応し、各々の戦闘準備を整え、亡霊に対峙する。
「あの子たちは、私の薔薇がきになるのかしら? うふふ、いくらでも見ていっていいわ。とてもきれいでしょう? 大切に育てているの」
 茨姫には亡霊は見えていない。彼女にとって、生命を奪ってしまったその残滓はいなくなってしまっただけの『友人』だ。
「あのね、こんな素敵なお菓子はじめてだわ。このババロア素敵!薔薇のかたちね。食べるのがもったいないわ! そちらのひとたちも、薔薇に飽きたらいらっしゃい。とっておきの紅茶もあるの!」
「あの……! 友達の調子が悪いみたいで、付き添ってあげてもいいですか?」
 すこし悲鳴にも近い声で、イリスが亡霊からの攻撃から少女を護りながら叫ぶ。
「優しいのね。彼女が大丈夫になったら、貴方もいらっしゃい」
 茨姫はにこりと優雅な笑みを浮かべ、お茶の準備をする。
(お茶だけは……まともっキュね……)
 目の端に映る人肉パイや目玉の乗ったカップケーキを極力みないふりをするレーゲンがせめてものまともな部分にほっとする。
 
「ご招待ありがとう、姫」
「まあ? まあ、まあ、まあ」
 王子姿の『ShadowRecon』エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)が優雅に一礼をすると茨姫の頬が薔薇のように真っ赤に染まる。
「貴方は王子様?」
 問われればエイヴはにこりと微笑む。
「まあ、まあ、まあ」
「ほら、茨姫こぼしてしまうぞ!」
 デイジーの言葉によそ見をしていた茨姫があら、いやだとポットを持ち直した。

『たすけて、たすけて、おうちにかえりたい』
 亡霊たちは生者である奉明たちに手を伸ばす。
 奉明はギリと歯を噛み締め乱雑に取り出した呪符を気絶する少女を狙う亡霊に当て、吹き飛ばした。
 ――朱洛院の血。退魔師として自分はその才を持たなかった。それが原因で蔑まれてもきた。しかしこの幻想では、思うがままに力を振るえる。なんという皮肉。なのに亡霊の言葉には応えることはできない。彼らはもう死んでしまった彼岸のモノだ。
 退魔師らしい割り切りと残酷さでもって奉明は彼岸と此岸を分かつ。
 ――すまない。その身を切るようなつぶやきを聞くものは誰もいない。
(人肉のお菓子……珍しいものは好きだけど、でもさすがにね)
 エスラは魔力を放出しながら手を伸ばす亡霊を振り切った。
「次はそっちね」
 亡霊の手が振り向くエスラを狙う。
「っと、エスラ、ダイジョウブ?」
 自然な体捌きでエスラと亡霊の間に滑り込んだイグナートが肉薄し強打を亡霊に与える。
「え、ええ、助かったわ」
「ブツリで倒せるユウレイでよかったよ、殴れないのが一番コワイ!」
「だったら重畳ね。まだまだ倒せるでしょう?」
「ヒトヅカイ荒いね! でもまあ、まかせておいてよ」
 軽口を交わすエスラとイグナートは顔を見合わせ、不敵な笑みをむけた。

「ねえ、お姫様はお茶会が好きっキュ?」
「ええ、とっても。毎日、毎日お茶会だったら嬉しいわ」
 レーゲンの問いに、もらったお菓子を嬉しそうにフォークで突きながら茨姫が答える。
「なら次はレーさんが主催のお茶会に来てほしいキュ!」
「それはいいのう、レーゲンの作るお菓子はとても美味しいのじゃ!」
 レーゲンとデイジーはお菓子でいっぱいになったましろいテーブルを茨姫と囲んで微笑み合う。とはいっても此の二人が油断をしているというわけでもなく、いつでも対応できるように警戒はしている。
「お茶は不安だけど……」
「ならば、茨姫に淹れてもらえば、美味しい紅茶×美味しいお菓子で、すごく美味しいお茶会なのじゃ!」
「まあ、お上手。デイジーは食べる専門ね。私こんなに楽しいお茶会は初めて」
 茨姫は幸せそうにころころと笑った。
「レーさんもはじめてのお茶会なんだっキュ。お誘いありがとうだっキュ」
「こんな素晴らしい茶会に招いて貰って手土産だけで済ませてはなんじゃの。此度のもてなしの礼に、妾たちが出来うる限りお主の望みを叶えるというのはどうじゃ?」
 デイジーは如才なく茨姫の願いを聞き出そうとする。レーゲンはナイス! と後に控えるグリュックにサムズアップさせた。
「そう、願い……、願い……」

 ふわりと天使のように浮かんだティアは亡霊に逆再生の術をぶつける。既に生命はないが、だからこそ世界に残った生命の残滓をさかしま回しにすることで、世界の理を歪めて消失させていく。
「彼らはどこにいくのかな? 神様」
『ここではない何処かだ、だが、ここで茨に縛られるよりはましだろう』
「うん、そうだね」
 生者を疎む死の残滓を刈り取る「天使」がティアという存在。魂魄を導き、魂魄を帰るべき場所に還すもの。
『ありがとう』
 かき消えた魂が最後の力で五文字をティアに残す。ティアは目を閉じ、その先行きが幸福たらんことを願う。
 あと5体。迷える魂魄を全て導くことが今回の仕事だ。
「神様」
『うむ』
 短いやり取り。それだけで十分だ。彼らは繋がっている。

「えっと、えっとね?」
 頬を真っ赤に染めた茨姫がちらちらと王子様の方に視線を向ける。
「なんじゃ? なんでも言うといいのじゃ」
 身を乗り出したデイジーが続きを促す。
「恥ずかしいもの」
 いやいやと首をふりながら茨姫は俯いた。そんな茨姫の前にエイブは跪いて、白い手を取る。
「姫、私と踊って頂けますか?」
「えっ?」
「姫君よ、女たるもの、王子の誘いは受けておくといいのじゃよ、恥ずかしいならほれ、妾たちも一緒に踊るぞ? なあ、レーゲン」
「僕っキュか?」
 水をむけられたレーゲンが一瞬あせるが、グリュックを操りデイジーの手を取る。
「レーさん、踊ったことないっキュけど」
「こういうのはノリじゃよ」
 にししと笑ったデイジーが茨姫にみせるようにくるりと回る。
「私、あまりダンスは上手ではないの、足を踏んでしまうかもしれないわ」
「それも愛嬌、でしょう? 姫。3回までなら内緒にしておきます」
 意地悪な王子様ね、4回踏んじゃっても嫌いにならないでね?」

「ダイジョウブ、大丈夫よ」
 イリスは意識がない少女に声をかけ続ける。それは目の前で失われていきそうな生命を前に自分の不安も消し去るため。絶対に守ると思った。だから。
 口にはださないけれどその二人を守るように戦い続けるのは奉明。奉明もまた、ティアとおなじく犠牲となってしまった者たちの魂の開放をもとめているのだ。
 茨の檻は魂の監獄でもある。この監獄を解き放ち魂を開放する。それすらできなくてなにが退魔師だ。

 くるくると、ドレスの裾を翻して、茨姫は踊る。最初こそ、ぎこちなかったとはいえ今では王子様(エイヴ)のリードでいくぶんかうまくなってきた。足はまだ二回しか踏んではいない。
「楽しいかの?」
 すれ違う度にデイジーが聞けば、はい、と茨姫は答えた。
「こんなに、こんなに楽しいのははじめて」
 ユメが、叶った。と呟いて、茨姫の足が止まった。エイヴが訝しげに彼女をみれば、涙。
「なにか、泣かせるようなことをしたかい?」
「いいえ、いいえ、思い出したのです」

 ふと、ふと。
 茨の檻が。固く組み上げられた茨がするりと綻んでいく。美しく咲く薔薇の花びらが解けるように散っていく。
 いち早く気づいたイグナートが茨姫を見れば、少女だった茨姫の姿は無く、老婆がそこに佇んでいた。
『ああ、あ……』
 亡霊達は歓喜の声を上げ、綻んだ茨の檻の隙間から天に還っていく。
 ティアは両手を組み目を閉じる。
「開放、されたのね」
 エスラはほっと息をついて、還っていく魂を見つめる。可愛そうな魂が還るべき場所に還れますようにと、銀の十字架に牙付きの魔女は祈る。
 イグナートは老婆の前に出ると崩れずに残っていたましろい薔薇を老婆の髪に飾り、へへっと笑った。それはロマンチストな彼なりの送る言葉だったのかもしれない。
「もう一度、踊ってくれますか? 姫」
「私はお婆ちゃんだわ」
 エイヴはもう一度、茨姫――薔薇の魔女に手を伸ばす。
「薔薇の姫、でしょう?」
 今はもう茨に囲まれた茨姫ではない。茨の檻はとうになくなった。
「もう一度、皆で踊って、舞踏会じゃの」
 デイジーが微笑めば、少しの逡巡のあと薔薇の魔女はしわしわになった手をエイヴに差し伸べた。
 

 私は外の世界を求めた。だけど、彼女は――。
 これはもう終わった後の話だった。永遠に続けられるはずもなかったIFが続いて終わっただけだ。
 イリスは思う。彼女が消える前に囁いた五文字。
 きっとそれはイリスが願ったそのとおりになった証だと、そう思った。


 一つだけ、あと一つだけ。やり残したことがあるとしたのなら。
 でも、これは心のなかにしまって持っていくことにする。其処まで望むのはわがままにすぎるだろう。
 ――ああ、恋がしてみたかったな。

成否

成功

MVP

エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)
ShadowRecon

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 まるで答えをみられたかのようにNGワードも魔女の願いも見通されてしまいました。結果魔女との戦闘はありませんでした。ちなみにNGワードは「貴方は死んでいる」願いは「王子様とダンスを踊る」でした。
 脳内あてにならないかな? と心配したのですがあっさり看破されて皆様の洞察力の素晴らしさに拍手を送りたくおもいます!すてきな王子様にMVPを!
 わがままな魔女に付き合ってくださってありがとうございました!

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