PandoraPartyProject

シナリオ詳細

からっぽカカシ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●秘匿資料より『概要』
 Aー8d6449は全長2~3メートルのカカシの外見をしています。
 胴体を模した縦シャフトと腕を模した横シャフトが組み合わさり、上部先端に球体が接続されています。
 発見時、シャフト交差部分と先端球体に人間が通常着用するような衣服を着用していました。このことから便宜上『胴体』と『頭』と呼称します。
 Aー8d6449は衝撃を与えて転倒させても自分から起き上がり直立状態を維持します。
 水没、高所からの落下、人力による圧迫などを試しても強い力で立ち上がり、直立状態を維持することが分かっています。
 Aー8d6449を観察した結果、胴体・頭ともに内部は空洞になっており、科学知識をもった■■博士は科学的動力は存在しないと結論づけました。

●秘匿資料より『観察記録』
 Aー8d6449を破壊した際の観察記録。
 収容施設からAー8d6449が脱出しました。
 従業員3名が死亡、7名が重軽傷を負い、戦闘部隊2名による攻撃で破壊と沈黙に成功しました。
 直立状態を維持する以外の目的で動作したのはこれが初めてであり、Aー8d6449の前で■■■■博士が収容手順について専門的指示を行なった直後のことでした。
 破壊したAー8d6449を観察した結果、頭から有機物が発見されました。
 分析の結果それは人間の脳をとても細かく砕いたものであるとわかりました。

 以下は生存した従業員からのインタビュー記録です。
『僕は■■■■博士から収容の指示を受けていました。
 ガラス越しの監視だけしていたのですが、■■■■博士がその……ベネ……ベネ、ディ、なんだっけ?
 そう、ベネディクト魔力交差現象の影響があるかもしれないと言っていて……。
 え? いや、なんのことかなんて分かりませんよ。僕ぁ学校なんて出てないんだ。
 ■■■■博士にもそう言いましたよ。そうしたら■■■■博士がくどくどと説明を初めて……それで……あのカカシが動いたんです。
 最初は見間違いかと思ったんですけど、カカシは■■■■博士の頭をパイプの腕でたたき割ると、中身を≪※検閲削除≫したんだ。
 僕ぁ逃げて……逃げたんだけど、■■■■博士や他の連中は……』

 Aー8d6449の収容手順について。
 Aー8d6449は一片3メートル以上の魔力処理及び防音処理を施した透明壁ゲージの中に置き、24時間3交代制による監視を行なってください。
 Aー8d6449には一切の接触をしてはいけません。
 もしAー8d6449が直立状態を維持する以外の目的で動作した場合はただちに報告し、緊急警報を行なってください。

 Aー8d6449の収容手順について・改訂1。
 Aー8d6449は一片3メートル以上の魔力処理及び防音処理を施した完全不透明なゲージの中に置き、監視カメラによる24時間3交代制監視を行なってください。
 Aー8d6449には一切の接触を行なってはいけませんし、Aー8d6449が視認できる場所ないしはAー8d6449側から何らかの観測ができる場所での発言ないしは動作の一切を禁止します。

 Aー8d6449の収容手順について・改訂2。
 Aー8d6449に対する観察及び研究状態を終了し、完全破壊処理命令を直ちに実行してください。
 不可能である場合、または領地からの脱出が起きた場合は適切なギルドへの破壊依頼を行なってください。

●からっぽカカシ。別名『脳みそちゅるちゅる君』
「やあ、丁度良かったよ。幻想貴族からモンスターの破壊依頼が来てるんだ。
 受けてみる気、あるかい?」
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)はそんな風に、カードサイズの依頼書を翳して見せた。

「破壊対象は『からっぽカカシ』。
 練達のどこかに居るっていう誰かさんが作ったナニカ、さ。
 出自なんてどうでもいいよね。
 要は壊すことが求められていて、僕らはそれを壊せるって事実さ」
 カードにはおおまかなデータが書かれている。
 『からっぽカカシ』の形状。予想される戦闘スペック。個体数。必要戦力。
 そして確認されている現所在地。
「今ここに居るメンバーで対処はできるはずだよ。
 見つけて、壊して、帰ってくる。オーダーされてるのはそれだけさ。
 あっ、と……もう一つあった。
 『詮索をしないこと』だってさ」

GMコメント

【依頼内容】
 『からっぽカカシを全て破壊すること』
 戦闘によって対象を全滅(HP0化)させた時点でシナリオクリアとなります。

【からっぽカカシ】
 合成金属でできたカカシ。
 一本足ではあるが高速で移動ができる。予想機動力は4~5。
 金属シャフトを回転させる打撃に警戒せよとのこと。
 物理攻撃力、防御技術、反応が高いと思われる。
 個体数は3~4体。
 全個体の完全破壊にはイレギュラーズ8人を要すると言われています。

 所在地は幻想東南の荒野地帯。
 付近に一人暮らしの学者がいたと言われていますが、観察した所今は無人のようです。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • からっぽカカシ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月31日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

フニクリ=フニクラ(p3p000270)
歪んだ杓子定規
ジェニー・ジェイミー(p3p000828)
謡う翼
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
アイリス・ジギタリス・アストランティア(p3p000892)
幻想乙女は因果交流幻燈を夢見る
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)
特異運命座標
タツミ・サイトウ・フォルトナー(p3p004688)
TS [the Seeker]

リプレイ

●Aー8d6449『からっぽカカシ』
 塗りつぶしだらけの資料を、『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は頑強そうな表情で見つめていた。
「ははぁん、吾はこういうの、知っておるぞ。こういうものまでいるとは、混沌は面白い!」
 リンゴでもつぶせそうな拳で資料を握りつぶす百合子。
 隣で難しい顔をする『特異運命座標』ヴィエラ・オルスタンツ(p3p004222)。
「必要以上の事は知る必要はない、か。まあ、私が知った所でどうしようもない相手な気もするしね」
「詮索するなと言われると余計気になるが……命あっての物種だ、妙な真似はナシでいこうぜ」
 『TS [the Seeker]』タツミ・サイトウ・フォルトナー(p3p004688)は横から資料を覗き込んでいたが、すぐに興味を失った。掴めない雲には手を伸ばさない主義なのだろうか。
 とかく、彼女たちの目的は対象の撃破であり、それ以上でもそれ以下でも無いという考え方だ。ある意味、標準的なものの見方といえた。

「ある物語に曰く、カカシは自分のからっぽの頭を疎んで知恵を求めたという」
 『私は考える葦ではありえない』フニクリ=フニクラ(p3p000270)は遠くを見るような、しかしどこも見ていないようなガラス玉の瞳に空を映していた。
「さてこのカカシもそのように、知恵を求めてあのような行動をするのだろうか。誰が作ったのか、あるいはもとからそうあったのか。わからないけど実に趣味が悪い……そしてとても興味深い。そう思わないか」
「『お前が長く深遠を覗くならば、深遠もまた等しくお前を見返すのだ』」
 そう述べたのはどこの誰だったか。
 『幻想乙女は因果交流幻燈を夢見る』アイリス・ジギタリス・アストランティア(p3p000892)は何者かの言葉を引用するように述べると、小さく首を振った。
「観察しているつもりが逆に観察されていた。これ以上の皮肉はないでしょう……その一部となれて良かったですねと言うべきなのでしょうか? 不愉快ですね」
 知ろうとすればするほどに謎は深まり、泥の沼が如く自身を飲み込んでゆく。それを忌避するのも、深い興味を抱くのも、また標準的なものの見方といえるだろう。

「ヘンな生き物。……生き物? まあ、勝手に動いてるんだから、生き物か。どう思う」
 『謡う翼』ジェニー・ジェイミー(p3p000828)は資料を見ながらそんな風に話していた。
「どこから見ても狂気しか感じないわ」
 『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)はむっつりとしたヘの字口でそう述べると、資料を畳んだ。
「神がそれを望まれる」
 と呟いて。
 一方で、『暗黒騎士(自称)』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)ぼんやりとカカシの姿を想像していた。
「合成金属で出来た案山子かぁ。どんな感じに作られてるかは興味あるかも!」
(でも、なんだか不安だな)
 言葉の裏で不安を募らせつつ、ユーリエは肩にとまらせていた蝙蝠にファミリアーの術をかけた。蝙蝠が空へと飛んでいく。

●知は力なるや
 干し肉をひたすらに噛みながら、イーリンは資料を読みあさっていた。
「…………」
 有効では無い場合も沢山あるという前置きの上で述べるが、こと今回の案件において事前調査はそれなりの効力を持っていそうだった。
 といっても、調査にさける時間は有限であったために、資料をピンポイントで探ることにはなったが、このときイーリンが手にした資料は町に置いてあった新聞紙であった。
 なんでもない場所で突如起きた殺人事件。棒状の金属による撲殺。遺体は頭部だけがピンポイントで破壊されている。近隣の人間が疑われたが容疑を否認。
「なにか分かったか」
 こうしてイーリンが読んでいる資料は、フニクリが効率的に流し読みした中から厳選したものだ。
「殆ど分からないわ」
 資料がなさ過ぎてピンとこない、といった様子だ。
 だがイーリンの調査の焦点は『敵は逃走を試みるかどうか』だ。接敵してみれば分かることもあるかもしれない。

 土に紛れるように工夫して丘に伏せ、ジェニーはじっと対象を観察していた。
 『4体』のカカシが奇妙な移動方法をとりながら西へと一直線に進んでいる。
 進んでいるのは砂地。もう暫くは砂地のままだ。
 浮いているのかなんなのか、足跡(?)は見えない。
 ヴィエラもまた同じく伏せ、耳をすましてみる。
「……どうやって移動してるのかしらね、例の対象って。」
 風の音くらいしか聞こえない。遠くからは移動の音が拾えないが、近づいてみれば風をきる音くらいはする筈だ。
(音を立てないように、目立たないように……っと
 タツミも同じように身を伏せ、カカシを観察していた。
 ざっくりと見て分かることは、『すっごくカカシだなあ』ということと、金属棒を十字にしたきわめてシンプルな作りをしているっぽいのに、どうやって作るのか検討が突かないと言うところである。
 それはファミリアー等を使って観察していたユーリエも同じで、どうやって動いているのかは勿論、どうやったら止まるのかも検討が突かなかった。道具の扱いにかけては自信のあるユーリエでも分からないとなると、他のメンバーにはもうさっぱりである。
 とりあえず粉々に破壊すれば止まりそうなのだが……。

 一方で、アイリスは自然会話を活用してカカシが分散しているかどうかを探ろうと試みていた。
 非常にざっくりではあるが、『カカシがまとまって通った感じがする』くらいのことが分かった。
「…………」
 調査の様子をじっと観察する百合子。
 暫くキリッとした顔をしていたが、正直他に出来ることは無いので意味深にこっくりと頷くにとどめた。
 さて、調査にかけられる時間はそろそろ終わりのようだ。
 カカシは人の住んでいるエリアに近づいている。
 (別にダメではないが)人のいない場所のほうが今回の作戦はうまく行きやすそうだったので、彼女たちは作戦を決行することにした。

●からっぽカカシ。別名『脳みそちゅるちゅる君』
 砂地を進むカカシの集団。
 それを阻むように展開する八人のイレギュラーズ。
 カカシは彼女たちを迂回するように動き始めたが、逃す彼女たちではない。「仕掛けるわよ! ブロック担当、任せたわ。ユーリエ、気合を入れなさい!」
「言われなくたって……!」
 イーリンは薬液の瓶を握ると、回転をかけてカカシへと放り投げた。
「シャフトまで溶かしてあげる」
 一方でユーリエはフランベルク(波線状の両手剣)を地面に突き立てると、刀身でもって自分の腕を切りつけた。
 吹き上がる血がそのまま魔力の対価となり、真っ赤なコウモリの群れが現われる。更にカカシたちのいる場所に暗い霧を生み出したが、うまくは当たらないようだ。ユーリエの体感だが、5回に一回効くか効かないかといった感じだった。
 カカシはイーリンの投げた瓶をシャフトの回転で破壊。そのまま薬液をくぐり抜けるようにしてイーリンへと突っ込んできた。
 させるか、とばかりに組み付くフニクリ。
 サイズを構えて体当たりをかけ、回転するカカシをはじき飛ばす。
 他のカカシもイーリンを狙いにかかるが……。
「ここから先は通さねぇぞ! かかってきやがれ!」
 ソードブレイカーを構えたタツミが間に立ち、金属シャフトによる殴打を受け始めた。
 残る個体は二つ。
 そこへ百合子が両腕を広げるように構え、勢いよく突撃していった。
 白百合清楚殺戮拳がひとつ。遅刻しそうになって食パン加えながら走ると曲がり角で異性の転校生とぶつかるヤーツである。(正式名称だれか教えて)
「血刻――血刻ゥ!」
 歯を食いしばり肩からぶつかっていく百合子。ダメージこそないものの、押し倒されたカカシは百合子と争わざるをえない。
 ここまで分散すれば好都合。イーリンは残った一体への応戦を始めた。
 まずは一体への集中砲火だ。
 ジェニーは砂地から僅かに浮き上がると、ロングボウの狙いをイーリンと交戦中のカカシへと定めた。
「……細い。狙いにくい」
 などと言いながらも、ほぼ正確に中心シャフトに矢を命中させるジェニー。
 射撃をくらったカカシは回転を一旦やめ、地面に軸をついて傾きを調整しはじめた。
 一方アイリスは死骸盾を使用。防御を固めると、応戦中のイーリンへと回復薬を投げて渡した。
 アイリスとイーリンの間で情報を交わした限り、敵の打撃一発に対してSPDの回復量では補いきれないラインのようだ。
 回避こそできていないもののうまく受け流しているので、これがクリーンヒットしだすとちょっと追いつかないかもしれない。そんな所である。今回の作戦上、戦闘不能者を出さないのは難しいだろう。
 ヴィエラは剣を構え、カカシへ急速に間合いを詰めていく。
 空気がきらめくような気品ある踏み込みから、一気にカカシの頭部へとスーサイドアタックが炸裂した。
 衝撃で大きく飛ばされ、カカシは軸で砂地をがりがりと削った。
 倒れる寸前ほどまで傾き、ぐいんと直立状態へと戻る。
 話には聞いていたが、かなり硬い。
 さて、作戦が噛み合っていればいいが……。

●噛み合い
 作戦をまとめるとタツミと百合子の二人をブロック担当にして食い止め、残るメンバーで集中攻撃を浴びせて1体ずつ倒す作戦だ。
 相手の反応の高さを警戒してマークではなくブロックを選択したのはナイスな判断だったようで、カカシからの集中攻撃を最大2体分までに分散することができた。更に確実を期すため、ないしは後衛へブレイクスルーをかけられるのを防ぐためフニクラもブロックに加わり、3体3個別の耐久レースが始まった。
 残る5人はいちはやく1体を倒したい所だが、攻撃力と防御技術の高さから倒すのに時間がかかっていた。
「そこよ――」
「その頭の中身と一緒に、眠りな」
 ヴィエラの剣とジェニーの射撃が交わってカカシの頭部を粉砕させた。
 今度こそ倒れ、起き上がらなくなるカカシ。
 攻撃をひたすら受けていたイーリンも、アイリスがSPDで熱心に回復してくれたおかげでそこまで酷い消耗はしていなかった。体感でまだ半分といったところである。
「ここまではまだ計算通りよ」
 息をついて回復薬を飲み干すイーリン。
 ここへきてもまだ、カカシの考えていることがよくわからなかった。判断材料が足りないのだろうか。
 そうこうしていると、フニクリがカカシ相手に肉弾戦を開始。
 ブロック担当者たちはここへ至るまで相当なダメージを蓄積している。アイリスの回復にも取捨選択が求められていた。
「…………」
 フニクリは陶磁器のような肌でもってタックルをかけ、カカシにおおきくヒビを入れる。対抗するカカシの殴打によってフニクリは倒れたが……そこだ、とばかりに勢いをつけたユーリエがコウモリの群れに紛れて突撃をしかけた。
 高速回転しながら対抗を始めるカカシに、一斉に群がるコウモリ。そうしてがら空きになったシャフトの交差部へ、ユーリエはフランベルクを叩き付けた。
 真っ赤なオーラがほとばしり、シャフトをばきんと破砕させる。
 そうしている間に、飛び込んだジェニーがフニクリを抱えて急速後退。
 それを追いかけようとするカカシを、タツミが思い切り蹴飛ばした。
「硬ぇヤツらだな……!」
 カカシはおかしな挙動で起き上がり、タツミへと殴りかかっていく。
 死にそうな一撃を受けるも、ギリギリの所で奇跡的に回避。こめかみをかすっていくシャフト。
 カウンターぎみにソードブレイカーで思い切り殴りつけ、カカシの腕を粉砕した。
「いい加減沈みやがれっ」
 相打ち……の一歩手前だ。
 タツミは再びの殴打で殴り飛ばされ、それをキャッチしたアイリスが急いで後退。
 庇うように前へ出たヴィエラとイーリンが、それぞれの攻撃でカカシをばらばらに崩壊させた。
「ラスト1体!」
 ジェニーとアイリスは戦闘不能になった仲間を離れた場所まで抱えていく役目がある。
 そして百合子は……。
「もはやここまで……後は任せた!」
 全身傷だらけで、カカシに強烈なパンチを浴びせた。交差したシャフトの殴打が側頭部を直撃し、派手に吹き飛ばされていく百合子。
 残る仲間たちの攻撃をかいくぐり、傷だらけのカカシがイーリンへと迫る。
 高速回転。狙うは頭部。
 直撃を受けるその寸前、ふと思ったことがあった。
 『なぜ、カカシたちははじめにイーリンを狙ったのか?』
 スローモーションのように続いた一瞬は過ぎ去り、イーリンもまた殴り飛ばされていく。
 致命傷を外したイーリンはそのまま転がり、すぐさま倒れた百合子を抱えて走り始めた。
 ちらりと振り向けば、ヴィエラとユーリエが突きだした剣がカカシの頭を貫いていた。

●犠牲ではないもの
 戦闘後、暫くしてのことである。
 タツミはむくりと身体を起こして、まだ痛む頭を押さえた。
「さっさと帰ってひとっ風呂浴びてえな。欠片の一つも持って帰れねぇし」
 見れば、カカシの残骸が一箇所に集められている。
 金属のシャフトと球。球内部からは謎の有機物が漏れ出ていたが、その辺りは資料にあった通りである。
「今回は、ちょっと手こずっちゃったかな」
 剣をしまうユーリエ。
「そうでもないわ。損害は軽微」
 怪我の調子を確かめるイーリン。
 フニクリや百合子も目を覚まし、アイリスたちに介抱をうけている。
「……」
 ジェニーが、積み上げられたカカシの残骸を見やる。隣に立ったヴィエラが腕組みをした。
「誰かさんが作った、か。こんなもの、量産でもされたら嫌な予感しかしないのだけど……」
「まさか」
「そうね、やめやめ。考えても詮無い事よね。また出てきたらもう一回壊しちゃえば良いんだしね」
 背を向ける。
 カカシたちが再び動き出すことは、ない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 ――good end!

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