シナリオ詳細
<虹の架け橋>妖精ズンチャカ音楽祭
オープニング
●緑のステージ
大迷宮『ヘイムダリオン』へ――。
妖精たちは、アーカンシェルが使えなくなってしまったため、故郷アルヴィオンにいたるためにこの迷宮を突破しなくてはならない。
「テス、テステス、あー、聞こえますかレディース・アーンド・ジェントルメン! 今より、素敵な音楽祭を開催しまぁーす!」
大迷宮の中に。大きなステージがある。
そのステージには純白のタキシードをまとい、マイク片手に陽気にステップを踏む男性がいた。
どうも、司会進行役らしい。
いったい、どういうことであろうか?
「そこのレディ、まだおわかりでない? ここは、“妖精ズンチャカ音楽祭”の会場ですよ」
司会進行役は、おどけた調子で言う。
何かの会場だということはわかった。
しかし、“妖精ズンチャカ音楽祭”、これがわからない。
「いや、難しいことはありませんよ。みんなで楽しくなれる音楽だったらどんなものだっていいんです。ロックとかヒップポップとか、演歌やポップス、民謡だっていいんですよ」
この世界には、さまざまな音楽がある。
異世界から来たと思われる多数あり、根付いている。
で、大迷宮の中では多様なジャンルの音楽を楽しむステージもある、そういうことだ。
「とにかく、ズンチャカなノリでこのステージに上がれば、音楽を奏でる権利があるんですよ」
そういうことらしい。
このステージで、歌い、曲を奏で、聞く者に感銘を与えればなんでもいいようだ。
「私の好みで言ったら、ロックですけどね。こう、ヘビィでズーンと響くやつ。ともかく、ステージでいい音出してくれた人には、『虹の宝珠』を与えちゃいますよ」
●音楽を奏でろ!
「そういうわけで、妖精さんたちのために音楽を奏でるのです! ロケンロー!」
『新米情報屋』ユーリカ・ユリカ(p3n000003)はノッていた。
必要なのは、音楽である。
大迷宮『ヘイムダリオン』にあるステージに上って音楽を奏でれば、『虹の宝珠』が得られるという。
「妖精さんたちは、そこで賞品となっている『虹の宝珠』が必要なそうです。なので、ボクたちがゲットしてあるのです」
そんなわけで、ステージはイレギュラーズの音楽を待っている。
ジャンルはなんでもいいらしい。
盛り上がったら、賞品がゲットできる。
上手いも下手も関係ない。ステージに上ってい思いっきりかましてやってほしい。
- <虹の架け橋>妖精ズンチャカ音楽祭完了
- GM名解谷アキラ
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年04月21日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●レッツ! ズンチャカ!
「さあ、さあ! ズンチャカ音楽祭の始まりでぇっす!!」
純白のタキシードをまとい、マイク片手に陽気にステップを踏みながら、ステージを温める司会進行役であった。
会場は、この“ズンチャカ音楽祭”を楽しもうと集まった妖精たち、そしてどこからかこの祭りの開催を聞きつけて集まった諸々の立場の人々で埋め尽くされている。
ジャンルはなんでもいい、そういう趣旨である。
いったい、どのような音楽が奏でられるのか? 興味が募ろうというものだ。
「昔取った杵柄――仙界での宴会用に会得した音楽スキルを披露する時が来たようだな!」
くわっと目を見開き、真っ先にステージに切り込んできたのは、『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831) である。和風ゴシックパンクな衣装も決まっていた。
着物と仙狸としてのミステリアスなセクシーさと妖怪的なホラー要素も加味しつつ、観客の目を惹きつける。構えた楽器は、和の弦楽器のひとつ、三味線だ。
「野郎ども! ノってるかぁー!」
『ノってるぜえええええっ!!』
求めに応じて、熱いオーディエンスが返ってくる。
どこまでズンチャカして、どこまで連れて行ってくれるんだろう?
そんな期待が観客席に沸いていた。
「皆さんお待ちかね、イレギュラーズの登場だ! 耳かっぽじってブチかまされる準備はOK!?」
『おっけーいっ!!』
べべん、べん!! 三味線をかき鳴らすと、魔法のアンプから弦の音が大気を振動させた。
ここからが、汰磨羈の三味線ターンである。
ギンギンに津軽三味線の曲弾き風に撥で弾いていく。
「弾けるソウルを御覧じろ! Here we go!!」
『Hey! Hey! Hey!』
手拍子と合いの手が入ると、和ロックのビートで熱唱が始まった。
If you think, this world is not a permanent home.
俺達は喚ばれたWanderer
草葉の白露、水面の月より不確かで
しかして、何よりも強かなIrregular
人の世、化天に夢幻も越えて
踏みしめてみせるさ Over the rainbow!!
人々の拍手が追いつかないほどの三味線撥さばきと、幻想的で心を震わす和ロックフレーズ。
三味線スローハンド演奏に、妖精たちも酔いしれた。
「YeeeeaaaaH!!」
『WOoooooooo――!!』
見事なズンチャカっぷりに、大いにステージも震える。
「……聞いてくれてありがとう。最高だぞおぬら!」
一曲終えた汰磨羈が続いてのズンチャカを紹介する。
「続いてはコイツだ! 『お嫁殿と一緒』黒影 鬼灯(p3p007949) with 嫁殿ぉ!」
盛り上がりが、続いての奏者を求めた。
現われたのは忍者装束の男と、愛らしい人形であった。
「さて、紳士淑女の皆様ご機嫌よう。今からお目にかけるは忍にして黒衣の妙技。そしてこちらにおわす愛らしい歌姫、嫁殿の歌声だ。ぜひ楽しんでほしい」
『一生懸命歌うから、みんな見ててね!』
黒影鬼灯と美しい嫁殿のコンビ。
その仲睦まじさは、観客席からでも妬けるほどである。
「あなたが愛してくれるなら、わたし、あなたの人形でもいいわ。一途な恋はここにあり……。それでは、歌っていただきましょう!」
司会進行役の口上が終わると、三味線がメロディを奏でる。
嫁殿を肩に乗せ、鬼灯とのデュエットソングを歌う。
低い声と高い声のハーモニー、この歌声に愛を感じぬものなどいようか。
盛り上がったところで、演奏が止まって語りが入る。
「愛しい貴方、どうか俺の事など忘れて幸せになってください」
「愛しています、永遠に」
そして、ここからサビに移る。歌とは、ドラマである。詩である。
こみ上げる情感を言葉とするのだ。
「散るが定めの桜の花よ」
『どうか貴方と共に眠らせて』
「また来世で出逢えたならば」
『その時はまた愛してください』
揃って一礼する鬼灯と嫁殿。
ステージの引けまで含めて、ばっちりであった。
●まだまだズンチャカ!
「さあ、続いてもデュオでの参加です!」
純白タキシードの司会進行に促され、『深海の金魚』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)と『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390) のふたりがステージに立った。
エクスマリアは、緊張しているのか少し固さがあるように見える。
「歌うのは、あまり得意な方ではない、が……好きでは、ある」
そう語るエクスマリアの楽器は、太鼓である。
カタラァナは、キーボードを担当する。
パーカッション&キーボードというシンプルな形だ。
「せっかく妖精さんのお誘いだもの。楽曲や歌詞の基本理念はマリアちゃんの郷里のものにしたいなって」
「わかった。やってみる」
まずは、リズムを作る。
打楽器は最古の楽器である。足踏み、手拍子、心の蔵……。
炎のゆらめき。水のせせらぎ。風のそよぎ。地のどよめき。
それがいずれ音楽になり、喜びの讃歌となる。
雨音が音符となるように、鳥が囀るように。
エクスマリアも自然と歌っていた。
思い出す、故郷の光景を。
妖精たちに、その景色を伝えたい――。
そよ風を伴奏に、鳥を観客に響かせた旅の歌を。
昼間は太陽とともに、夜は月を供にして口遊んだ、素朴で陳腐な、あの歌を。
とん、とん、とん、とん。
足踏みと手拍子、太鼓の音がエクスマリアの心情を表現していく。
やがれ語る言葉となり、歌となって響いていく。
カタラァナのキーボードが、ふさわしいハーモニーを奏でていった。
(ん、ん、マリアちゃんの歌が下手……なんじゃないね)
歌うのは、得意ではないとエクスマリアは語っていた。
そうなのかもしれない。
彼女の歌声は、広い音域を行き来する。
調子が外れてしまうように聞こえるかもしれないが、音楽というのは規則正しさのみが魅力ではないのだ。
(平均律の曲じゃないんだ。わあ! 素敵!)
カタラァナのコーラスと合わされば、聞こえないはずの倍音のうねりが聞こえてくる。
いくつもの音が合わさり、透明な歌声となる。
妖精たちにも、エクスマリアの郷愁が伝わるだろう。
――――ああ、懐かしい、な。
エクスマリアの胸に去来する、望郷の念。
歌声は、乱れていないだろうか。太鼓の音は、狂っていないだろうか。
自身の思いが、漏れ出てはいないだろうか?
その歌声を耳で捉えながら、即興で調律するカタラァナのことを案じている。
ぼくは ぼくは
それはとても
きれいだなっておもったんだ ♪
カタラァナが、そんな一節を歌詞にして一緒に歌う。
会場からの万感の拍手が、ふたりを讃えるのだった。
続いて、『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361) 『うつろう恵み』フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)がバンドでやってくる。
びょぃぃぃぃぃぃぃ―――ん!! べんべんべん!!
「イエーイ! のってますー!?」
ブーケが弦を弾く。津軽じょんがら節のリズムである。
するとベース風にチューンし、ディストーションがゴリゴリにかかった三味線の不思議な音色が響き渡った。
これに、フェリシアが速弾きギターリフをかます。
冷静沈着かつ圧倒的なテクニック! 聞いているだけでどんどん運気が上がりそうだ。
まさに会場はズンチャカと盛り上がる。
「ヴォオオオオオオオオイ!」
そして放たれる攻撃的なデスボイス!
『ゆるふわ薔薇乙女』ポムグラニット(p3p007218)がタンバリンを鳴らしながらリズムを合わせる。
ゆるふわな雰囲気からの迫力あるデスボイス、さらに8の字を描く首がもげそうなヘッドバンギングはインパクト抜群で、妖精たちの度肝を抜いた。
タンバリンも地獄からの使者が叩いているようだった。
「近所のパン屋のおっちゃん、いつもサンドイッチ作る時耳を落とすのが雑ー!」
「ヴォオオオオオオオオ!」
「闇市で3回連続おっさんのパンツ出てきたんやけどー!」
「イエエエエエエエ!」
曲の間奏に、ブーケが入れる日常にあふれる爆発しそうな不満と政治的メッセージに、そして喉ぶっ壊れているんじゃないかと思うポムグラニットのデスボイスが合わさる。
コールアンドレスポンスは、インプロの基本である。
集まった人々の感情のうねりを取り込んで吐き出させるのだ。
日々の鬱憤がズンチャカな勢いで沸騰し、オーディエンスは爆発寸前のマグマのようであった。
「死んでも合わせるのが……バンドマンだと聞いたような気も、しますので……意地でも演奏します、ね?」
これから外れないフェリシアのギターテクも見事であった。
ライターオイルをまぶし、火をかけながらギターを弾くというパフォーマンスもぶつける。
わたしが せいれいに めざめるまえ
まだ おはな だったころ
“ろっく” っていう おんがくを よくきいていた きがするの
ポムグラニットがポエットな心情をデスボイスに込める。
もうこれは新しいジャンルのロックかもしれない。
とりあえずは“混沌ロック”としよう。
●そしてトリ!
パチン! ステージで指が鳴った。
\きらめけ!/
\ぼくらの!/
\\\タント様!///
「オーッホッホッホッ!」
お嬢様風の高笑いが響く。
『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)の登場である。
「ずんちゃか騒ぐのでしたらば! そう! このわたくし! 御天道タントにおまかせあれですわーー!」
待っていた、ステージはタント様の登場を待っていた。
ノイジーエナジーファンタジーと決まったところで、いい感じポーズ!
「フッ、決まりましたわ……!」
きらめく金髪ときらめく桃瞳!
衣装もバッチリきらめいて、うるさいほどにズンチャカである。
「此度のわたくしは……ラッパーですわよ! 新進気鋭のお嬢様ラップ! バイブス上げていきますわーー!」
今日今宵、タント様の武器はマイクと言葉である。
それでは、お嬢様ラップの真髄を聞いていただこう!
ぱかだくらのうた Rap ver.~
作詞:わたくし
作曲:あなた
ぱっぱっぱー ぱかだくらー
光が……欲しいか……?
ならば差し上げますわ!
みんなでなかよく
ぷちょへんざーー!
っぱ! っぱ! ぶちょへんざっ! ※ポムグラニットのデスボイスボイパ
C'monわたくし太陽の娘 花びら敷き詰め 道なき道を進め
良いこと教えて差し上げますわ アゲていく混ざりゆく人の輪 それ人生に必要な挿話
皆様とここでズンチャカ それが最高の文化だ 言うじゃないですのYo!
RapなSoul それpassionable とりあえず困ったらプチョヘンザ それでいいさ
Are you HAPPY? まだまだ躍起? 飲めや歌えで死んでも騒げ
騒ぐことマジ大事 対峙して教示 してくれた皆様へ 彼方まで
届けチェケラ! ですわ!
ライムが利いたリリックから繰り出されるお嬢様ラップのパンチラインに妖精たちも酔いしれる。
最後に、汰磨羈も鬼灯と嫁殿も、エクスマリアとカタラァナも、ブーケもフェリシアも、やっぱりポムグラニットのデスボイスも、最後にひとつになって歌う。
これぞ、妖精ズンチャカ音楽祭を〆るにふさわしい大騒ぎである。
●ズンチャカを終えて
「いやあ、心にしみるズンチャカでしたぁー!」
純白タキシードの司会進行が、マイクを持ってステージに上ってくる。
「いやー、歌わせてもらいましたわー。みなさんもズンチャカってノッて溜め込んだもんを吐き出せたんと違います?」
インタビューに向けられたマイクに、ブーケが語る。
会場に集った聴衆のに求めにも応じ、存分にボルテージを高めることができた。
「ありがとー、ありがとー!」
汰磨羈が、手を振って熱狂に答える。
「俺も嫁殿も、存分に歌えて満足だ」
『満足なのだわ』
鬼灯と嫁殿は、歌い終わってからもラブラブだ。
鬼灯の肩は乗り心地が良かったのか、嫁殿はまだちょこんと乗ったままだ。
「その。感動を届けられた、だろうか?」
「僕たちも、楽しくズンチャカできたからみんなに感謝だよ」
エクスマリアとカタラァナも、ステージを降りる前に感謝の言葉を述べる。
「妖精の皆さん、わたしたち、バンド名……募集中です」
「おんがく って たのしいわね!」
フェリシアとポムグラニットがステージから歩み出て、妖精たちにバンド名を募集した。
このままだとバンド名は、“ズンチャカーズ”に決まりそうである。
「皆さんには、感謝を込めてこの虹の宝珠をお持ち帰りしていただきます!」
司会進行から、参加したイレギュラーズの代表としてタント様に宝珠が渡される。
「ありがとうなのですわー!」
彼女が受けた取った虹の宝珠は、祝福するかのように七色の輝きを放つのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
というわけで、妖精ズンチャカ音楽祭は終演となります。
見事、盛り上がったので虹の宝珠をお渡しします。
みんなにひとつという形となります。
多彩な音楽が集まり、リプレイ執筆もはかどりました。
みなさんもズンチャカしていただけると嬉しいです。
それでは、またお会いしましょう。
GMコメント
■このシナリオについて
皆様こんちは、解谷アキラです。
そんなわけで、大迷宮の中での音楽祭です。
観客はほとんどが妖精たちです。
司会進行の好みはヘビメタっぽいですが、気にせずかましてください。
言うまでもありませんが、歌詞はオリジナルなものでお願いします。
バンドを組むとかデュエット、コーラスで参加する場合はプレイングでその旨を書いてください。
なお、戦闘はありませんが対バンはあるかもです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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