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シナリオ詳細

幻の水軍を殲滅せよ!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■海軍のはじまりとおわり
 その昔。領地の大半が木々の生い茂る山に覆われ、周りを海に囲まれた国がありましたとさ。
 農耕ができる平地は数少なく、このままでは国はやせ細っていくばかり。
 そこで領主は思い立ちました。
「この国には豊富な材木がある!これを使って、頑強な船を作り、水軍とするのだ!」
 それに賛同した領民たちは木を切り倒し、削り、組み合わせ。見事な軍船を何隻も何隻も作り上げ。
 屈強な若者達はその船に乗り込み鍛錬に励み。いつしか一つの水軍へと成長を果たしました。
 彼らはある時は海の通行料を取る荒くれ者。ある時は海賊から商船を守る護衛。
 またある時は、戦に金で雇われ参戦する傭兵と。品変え姿変え。己達の力を存分に世に見せつけていきました。
 しかし、盛者必衰は世の理。精強を誇ったその水軍にもついに終わりの時が訪れます。それも、理不尽な形で。
 ある時彼らは遥か遠い異国の地での海戦に、金で雇われいつものように出陣しました。彼らの実力は異国の地であろうとも劣る事なく。雇い主の国に見事勝利を捧げ、一時は勇者だ英雄だと持て囃されておりました。
 しかし、それを良しとしない雇い主の国にいた、陸軍の者達に逆恨みされ。全くありもしない悪い噂を流され。それを真に受けた雇い主に皆殺しにされてしまいます。
 精強な水軍。それは船の上でのみの二つ名。陸の上では実力を発揮できなかったのです。
 恨み辛み。そして悔いを遺した彼らは今も世を彷徨い。幽霊船となり、海を荒らしているそうな……。

■そういう訳で、幽霊船なのです
「……と、まあ。これが話のあらましだね」
 境界案内人のカストルが、青い背表紙の本を手に、その中身を読み上げて。集まったイレギュラーズ達に説明をする。
「皆にはこれを退治してもらいたいのだけども……そう、敵は幽霊船。船なんだ」
 つまりは、海上戦となるね。と続ける。
 敵は十からなる海賊船。一番最後尾に親玉となる大きな幽霊船がある、とも捕捉され。
「皆には特別な力が働いて、きちんとした船が与えられるようだからそこは心配しないで。ちょっと特殊な事情があるみたいだけど……皆ならきっと大丈夫だよ」
 カストルはそう締めくくり、イレギュラーズ達を異世界へと誘っていく。

NMコメント

 実は水軍の名前を間違えて覚えていた事をここに懺悔します、以下略です。
 個人的な事はさておき、水上戦です。6~7割は船同士の戦いとなりますが、乗り込む事も可能です。また、下記特殊ルールがあるので至近武器しかないという方も安心です。
 以下敵詳細と特殊ルール。
■親玉幽霊船×1
 手下幽霊船×9
 共に特殊なスキルはなく、矢を放つ(超遠距離)突撃(至近距離。威力大、反動有)しか使いません。
 船に乗り込む事も可能です。その場合は船上にいる幽霊を全て倒せばその船は鎮圧となります。幽霊は手にした刀で切りつけてくる程度しかしません。
 親玉幽霊船は、他の船よりHPと防技、抵抗、命中が高いです。

特殊ルール:不思議な船
 今回皆様には船が一艘貸し出されます。
 この船のHP量は、依頼参加者全員のHPを足した量となります。APは各個人で保有します。
 その他のステータスは、全員のステータスを足して人数で割った物となります。
 例:参加者の物攻が400、200、100、50だった場合、船の物攻は187となります。
 また参加者のうち、レンジ0~1の武器を装備した人数に応じて物攻、防技にボーナスが。レンジ2~4の武器を装備した人数に応じて、神攻、命中にボーナスがつきます。
 それぞれの所有武器以外に船上では専用の弓矢と魔法弾も使えます。これらを使わず各個人のスキルで戦うのも勿論可能です。
・船での体当たり(至近距離。高威力。反動有。消費AP0)
・弓矢(超遠距離、物攻判定。消費AP0)
・魔法弾(遠距離、神攻判定。消費AP0)
鍛冶、改造を持った人数に応じて攻撃力、防御力ボーナス。操船技術を持った人数に応じて命中、回避、EXAボーナス。修理を持った人数に応じて【再生】付与。水中行動及び水中親和をもった人数に応じてEXFボーナスなど。一部非戦スキルにもボーナスが与えられます。
 なお、「不思議な船」なので、運転手がいなければ勝手に皆様の意志を汲んで動いてくれます、ご安心を。
 以上となります。少々ややこしいルールですが、やる事は一つです。
 全部張り倒せばいいんです。よっぽど油断しなければ勝てる相手です。よろしくお願いします。

  • 幻の水軍を殲滅せよ!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月08日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
桐神 きり(p3p007718)
長月・イナリ(p3p008096)
狐です

リプレイ

■海戦の始まり
「水軍なのに陸の上でやられちゃったのは悔しいよね。正々堂々の海上戦なら、納得っていうかきっと『本懐だ!』って少しは死を受け入れられるんじゃないかなぁ……」
 異世界に飛び込めば、そこはもう船の上。遠く離れてはいるが、威圧感と異様さを放つ幽霊船を見やり、『咲く笑顔』ヒィロ=エヒト(p3p002503) は少し悲しみと同情を含めた言葉を放つ。
「乱世ってそういうもん、って言ってしまうのは楽だし。水軍の強さを知っていれば、陸で潰すのは当然だけど……やりきれなくて、化けて出もするわそりゃ」
 ヒィロの横で彼女の独白を聞いていた『紫緋の一撃』美咲・マクスウェル(p3p005192)も、同調する。確かに、水軍を潰すなら。彼らの土俵で戦うのは愚かな事であろう。しかし、それがまだ正々堂々とした戦ならばともかく、騙し討ち、裏切りとなれば……恨み辛みが募るのも仕方ないというものか。
「正々堂々の海上戦なら、納得っていうかきっと「本懐だ!」って少しは死を受け入れられるんじゃないかなぁ……だからね、美咲さん――ぜーんぶ、沈めちゃお!」
「OK、やろうか。綺麗に最後を迎えさせてあげよう!」
 途中から本来の笑顔と元気を取り戻したヒィロに、美咲も笑顔で返し。それぞれ弓と魔砲台の置かれた場所へ配置につく。
 彼女らの後ろ。一段高い場所に立ち、手で双眼鏡のようなものを作りながら桐神 きり(p3p007718)は興味深そうに。
「ふーむ、幽霊船ですか。お化けだろうと、殴って倒せるなら恐れるに足りませんね」
 順番に沈めてあげましょう、と不敵な笑みを浮かべ。きりも美咲の隣の魔砲台に立つ。
 そしてもう一人……ヒィロと同じく弓矢を手に、『新米の稲荷様』長月・イナリ(p3p008096) が強化された視力をもって幽霊船を見つめる。確かに骸骨やゴーストといった者達が、せわしなく海戦の準備をしているのが彼女には見て取れた。
「海上戦闘なら、船首に女神像、髑髏のマークの海賊旗にマスト、先込め式の大砲、戦列艦!これが海の男のロマンよ! ……え、主武器は弓矢に魔法弾、衝角(ラム)アタックなの?……まぁ、依頼内容がそれなら仕方ないわね……」
「まず、女の子だよねイナリさん」
 隣にいたヒィロからの的確なツッコミが入る。少しばかり無念そうにしていたイナリが「うぐ」とうなり。気を取り直したかのように弓矢を構え、練習とばかりに番えて見て……うっかり暴発し、放たれた矢は自分達の矢に刺さる。
 すると全員に均等に、ほんの少しの衝撃が走る。これがこの不思議な船の能力。乗船者の命と力を、全て均等に割り振ってしまうのだ。それが利点ともなれば欠点ともなる。
「なるほど……こういう事ですか」
 イナリのうっかりに、渋々ながら回復を施すきり。等のイナリは今の弦の反動で胸を打ったらしく、余計なダメージを負っている。
「ごめん……誰か胸当てちょうだい」
「はい、これ」
 と。なんだか少しピクニックムードであるが……幽霊船は動き始めた。海戦の始まりである!

「来たわね……まずは3艘。こちらに向かってるわ」
 しっかりと胸当てを着用し、戦闘へ意識を向けたイナリが。常人離れした視力聴覚を使いレーダーの役割を果たす。
「了解っ。まずは一番先頭のを狙っていくよ!」
 ヒィロが弦を引き絞り、先頭を走る幽霊船の、弓手を狙い放つ!
 慣れぬ船上とはいえ、持ち前の戦闘センスがあり見事に弓手を貫き倒す。負けじとイナリも続けて放ち、同じく弓手を倒す。
 弓手がいなくなった事で棒立ちとなった先頭の船に、美咲ときりの二人が魔弾を砲台より放つ。二人の強大な魔力を吸い込んだ砲台は、大きな弾丸を放ち。ものの見事に一艘を海の藻屑と変えてしまう。
「なるほど。なんとなく要領は掴めましたよ」
 元いた世界では腕のたつゲーマーだったきりは、飲み込みが早い。美咲も元の世界での経験が功を奏したか、うんうんと頷いている。
「おっと。あちらも矢を放ってきたわね」
 残った二艘の船から矢の雨が放たれるのをいち早く察したイナリが声をあげる。
「それならこちらは後退だね。矢の届かないところまで下がろう」
「そうだね。不思議ちゃん、お願いっ!」
 美咲の提案にヒィロが乗り、船に対して声をかける。すると彼女の意志を読み取ったのか、船は自動的に動き始めあっという間に敵の射程範囲から逃れてしまう。
「この船……どうもあちらさんよりも機動力が優れていますね」
 きりが今の動き方から船の能力を読み取る。そう、ヒィロも、美咲も、イナリも。一般的なイレギュラーズよりも機動力が高い。彼女らの力を吸い上げたこの船も、普通の船より機動に優れるのは当然であった。
「ならばこのまま、当て逃げで一艘ずつ沈めてしまおう!」
 先の一戦で、こちらの攻撃が全て当たれば簡単に一艘沈めれるのは判明している。これなら被害を抑えながら戦える、と全員が奮起する。

■幽霊船の最後
 そこからは。名のある水軍という威名はどこへやら。イレギュラーズ達の駆る船によるワンサイドゲームが展開されていた。
 何分相手より機動が優れた船。相手が近寄ってきたところにカウンターで攻撃を当てて、後はさっさと後退してしまえば良い。それだけで相手の高威力を誇る突撃は防げるのだ。
 矢は何度か受けてしまうものの、癒し手であるきりがいる分イレギュラーズ達の有利であるのは変わらない。彼女が回復に回る間は、他の三人がそれぞれの技能を活かして戦えば。一艘を沈めるのにかかる時間は変わらずに。
 敵も馬鹿ではない。新たに前に3艘出し、二艘が裏手に回って不意を打とうとしたものの。ヒィロとイナリの二人に感づかれ、あっさり回避。それどころか同士討ちを引き起こすという惨事であった。
「これで後は親玉船だけですかね?」
 指折り撃沈した船の数を数えながら、船に治癒術を施すきり。
(ヒールで治るってこの船生きているのでは?)
 とは思ったものの、それは後回しと思い口にしない。きりによる治癒が終わったところ、ヒィロがある提案をする。
「不思議ちゃん、親玉船に体当たり仕掛けて貰える?」
 その言葉に返事はないが、船は親玉幽霊船に向けて船首を向け。加速を始める。思い切りぶつかる気だ。
「え?あの、急に何を?」
 今まで通りにヒット&アウェイを繰り返せば良いのでは?と思っていたイナリが困惑の声を上げるが、ヒィロと、美咲は笑って。
「最後は艦隊戦でなく船戦ってことで! 見せちゃいましょう『八艘飛び』!!」
「皆、のりこめー!」
 ズガンッ!と船が親玉幽霊船にぶつかり、半ば刺さったところ。二人は自前の飛行能力であっという間に乗り込んでいってしまう。
「あ、もう!勝手な真似をして……皆って言われても」
「行くしかないんじゃないですか?」
 残ったきりとイナリは一度顔を見合わせ。肩を竦ませて仕方ないなとばかりに遅れて乗り込んでいく。
 先に敵のど真ん中に乗り込んだヒィロは、限界まで自身の勘を研ぎ澄ませ。それは勘という枠に収まらず、時へ干渉し始める力となり。
「ここは一歩も通さない! ボクが相手だよ!」
 気合の咆哮を一つ。震えそうになる足に力を込め、挑発に乗った骸骨剣士の剣をひらりと避ける。たたらを踏んだその剣士を、美咲の瞳が、視線が。それを捉える。
 すると、その剣士の身体はバラバラに砕け、消える。美咲の魔眼の力に耐えきれなかったのだ。
「まったくもう! 二人で先走らないの!」
 ようやく追いついたイナリが文句を言いながらも、迦具土神を身体に宿しその力を解放し。ヒィロの周囲に集まろうとしていたゴースト達を一斉に焼き払い、成仏させていく。
「おーおー、これなら回復はいらない、ですかねっ」
 船上の様子を見渡すきりも、優位を知り。手にした妖刀で弱った骸骨剣士に引導を渡す。
 始めは20を超える程いたはずの幽霊乗組員。しかしてそれらもあっという間に殲滅され。今や残るは一回り大きな骸骨剣士のみ。
 これが親玉だろうと理解したイレギュラーズ達は、総攻撃を開始する。
 イナリの振るう剣が、爆炎を眼前にくれてやり。
 きりの掲げる妖刀が、妖気を喉に纏わせて苦悶を与え。
「美咲さん、決めるよ!」
「任せなさいっ!」
 ヒィロの昂ぶる戦意が、親玉を魅了し隙を作り出し。それに合わせて迸る魔力を練り上げた美咲の、最大の一撃が親玉剣士ごと、船の一部を削り飛ばしてしまう。
「わわっ! 今の威力ありすぎて船に穴空いてますよ!」
「撤退、撤退ー!」
 飛行能力のないイナリときりが慌てて乗ってきた船に引き返す。対してヒィロと美咲は再び自前の飛行能力で沈みゆく最後の船を見届けて。
「音に聞こえしかの水軍、討ち取ったり! 三途渡しの六銭は不要であろうな……代わりの餞別、味わっていけ!」
 とぷん、と。美咲が持っていた酒瓶をひっくり返し、手向けとばかりに海へ酒を溶かしていく。
「海賊の皆に固い結束があるなら、あの世や来世でまた、泣く子も黙る強い水軍衆として暴れられるよ、きっと! だから――成仏してね」
 垂れる酒に、糸を見出し。これが船員達をもう一度繋ぎ合わせる絆となるように、ヒィロが願う。
「あ、しまった。親玉と話してみたかったのに……」
 思ったよりも簡単に片付いてしまった為に、機会を逃したとイナリが残念がるも。きりが隣でぽつりと呟く。
「いいんじゃないですか?死者に口なし……言い訳、未練など聞かず、送ってやるのも、優しさですよ」
「……それも、そうかしらね」

 ざざーん、ざざーんと波が唄う。
 そこにいたはずの船の残骸を、唄の合間に飲み込んで。
 そこにいた、伝承の水軍の歌を。未来永劫、波は唄い続ける。
 いつかきっと。再びの巡り合わせを。

成否

成功

状態異常

なし

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