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シナリオ詳細

一騎当千

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●邂逅相遇

 遠い春の記憶は満開の大樹の下で、雨のように降る花びらから。
 掴もうと手を伸ばしても、指の隙間を零れ落ちる一片を――私はその時、自分に見立てて青ざめた。
 深手を負ったこの身を顧みる者はもはや、激しい乱戦にもつれ込んだ戦場(いくさば)において誰もいない。

"アイツはもう駄目だ。終わっている"

 敵も味方も、私が初めて視界に入ると、声なき声で呟いては戦うべき相手を探して視線を逸らす。
 後はもう無視するだけだ。此方へ見向きもしなくなる。

 刻一刻と命の終わりが近づいて来ているというのに、まるで私だけがこの乱世から隔絶されてしまったかのような疎外感。

 嗚呼。あまり武勇に優れた人生だったとは言い難いが、せめて死ぬ間際くらい……殺意や敵意であれ、向けて貰いたかったものだ。
 本当に惨めな――

「大丈夫だ」

 孤独に抱かれた死を迎える、筈だった。

「なんとかする。だから生きろよ!」

●沈着大胆

 後に知ったのだが、それは彼――陵才(りょうさい)の口癖だった。
「大丈夫だ、李栄(りえい)なんとかしよう!」
「またソレか。君という男は本当に前向きだな」
 あの戦場でなんとか一命を取り留めるに至った私は、さりとて武将として復帰する事も叶わず文官として国を支える事になった。
 最初は苦手で避けてばかりいた政治に無理だと枕を濡らした日もあったが、何だかんだでこうして続けられているのはこの男のおかげである。

「俺だって戦場は怖いさ。でも、"ダメだ、どうしよう"よりも"出来る、なんとかしよう"って言った方が、本当にできそうな気がするだろ!」
「大した者だ。私は逆立ちしても、陵才のようにはなれないよ」
「李栄はネガティブすぎるんだよ。眉間に皺寄りっぱなしだし! ほら、また寄ってる」
「えぇい、指で伸ばそうとするな!」

 戦場から離れた後も、陵才の武勲は臣下を伝に私の耳にも入り続けた。
 戦況は良いと言い難い。徐々に不利になっていく中で、それでも彼の部隊だけは勝ち続ける。
 いつしか国の者達の期待は陵才へと集まっていった。

「何だこの陣形は。まるで君の部隊を"動く盾"と言わんばかりの配置じゃないか!」
「まぁ大丈夫だ。なんとかするさ」

 この男は変わらない。今も、この先も。

「そう言うと思った。無謀だが、君が任されたとなると期待せずにはいられない」
「……」
「陵才?」
「……ああ」

――そう。これは罰だ。
 彼の生温い笑顔。その違和感に、あの時気づいてさえいれば――。

●一騎当千

「はぁ、はぁ……」
 瓦礫をかき分け、ナマクラ手前の槍を引っ張り出す。
 折れていない事を確認すれば、後はもう納屋の方へと走るだけだ。
 あちこちで立ち昇る煙を避けながら、痛む身体を引きずって、見るも無残な城の跡を駆ける。

 我が国は敗戦した。
 国の中心となる城は奇襲部隊によって陥落し、王の首は跳ねられた。
 諸行無常。乱世では仕方のない事だ。大人しく投降してしまえば、地位もさほど高くない私は世渡りの術を尽くしてなんとか生き永らえよう。

 しかし、そんな事はどうでもいい。

『陽動部隊はまだ戦ってるのか? 首級があがったのに』
『わざと報告を遅らせてるんだと。この国の筆頭格の武将を潰してからってな』

 敵兵の噂を耳にした瞬間、鳥肌が立った。あの時感じた違和感。その正体は。

『あぁ、戦ってる最中も耳にタコが出来るくらい名を聞いたぜ。陵才様、陵才様って』
『頼られてさぞ気持ちよかっただろうが、可哀想になぁ』

――違う!!

 陵才は好きで背負っていたんじゃない。
"大丈夫、なんとかなる"
そうやって国民に頼られ続けて、無理だと言えないままに潰れかけてしまっていたんだ。
 取返しもつかないほど、支えきれないほどの大きな期待を背負ったまま――。

「李栄様、馬をどうするおつもりですか!?」
「えぇい、邪魔をするな! 助けに行くのだ!」
「無茶を仰らないでください! 戦力差は4000人にも及ぶというのですよ?」
「大丈夫だ! なんとかなる!!」

"私は逆立ちしても、陵才のようにはなれないよ" 

 あの言葉は事実だ。私には、彼のように力もなければカリスマ性もない。
 現に今、引き留めようとした家臣達は"手遅れの者"を見るような目で馬上の私を見上げている。

 それでも。
 
「英雄になれずとも――友を見捨てる人間だけには、なりたくないのだッ!!」

「まぁ。まるで震える雛が鳥籠から羽ばたく様ですわぁ」
 決意を込めた私の叫びに応えたのは、いつからそこに居たのだろう――花を纏った妖しい女だった。
 悩まし気なため位置と共に彼女は言葉を続ける。
「勇気と無謀を履き違えられたままでは困りますが、貴方が死ぬのはもっと困りますから――少しばかり奇跡の力を授けましょう」
「奇跡だと?」
「えぇ」

 女は嗤う。馬に跨る四人の勇士を示しながら。

「一騎当千の奇跡を4人ほど」

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 天下無双。最強の名をこの世界に轟かせていきましょう!

●目的
 4000人の敵を恰好よく倒す。

●異世界《李栄記》
『三国志』で語られていたくらいの文化レベルの世界です。
 乱世のただ中、群雄割拠していた時代。鉄砲は無く、遠距離攻撃に弓が主力として用いられていたりします。魔法の類はなく、武将が兵を率いてお国のために戦っています。

 戦場はだだっ広い平原。遮蔽物は特にありませんが、屍累々なので盾には困らないかも。
 味方の兵は壊滅しており、頼りにならないようです。

●エネミー
 『典』国の兵士×4000人
 敵国の兵士です。馬に跨った武将や、弓・槍・剣をそれぞれ手にした歩兵がわんさか。
 魔術が普及していない世界なので物理攻撃以外してきませんが、とにかく数が多いです。

●その他登場人物
 陵才(りょうさい)
『蘭』国で英雄として担ぎ上げられた武将。
 武勲に秀でて民から信頼されている名将ではありますが、期待を重荷に感じながらも言い出せずにいたようです。窮地に陥っており戦力としては期待できないでしょう。

 李栄(りえい)
『蘭』国の文官。元々は武将として戦場で戦っていましたが、怪我を負って以降は城内で細かな事務作業をしていました。陵才を助けようと槍を持ち出したものの、ブランクが長すぎて自衛で精一杯のようです。

『境界案内人』ロベリア=カーネイジ
 特異運命座標をこの世界に連れて来た境界案内人です。呼び出されればサポートしますが、敵を直接倒すような事は恐らくしません。だってか弱い境界案内人ですもの。

●その他
 この世界での特異運命座標は、ロベリアにあらかじめ『一騎当千の猛者』として召喚されています。どれだけ補正がかかっているかというと、本来単体のスキルが範囲攻撃になったり、その場で考え付いた秘儀が(4000人を一人で即死させる程でなければ)実現したり、ひと薙ぎするだけで歩兵がぶわっと蹴散らされて空を飛びます。その威力、無双系ゲームの如し。

 普段以上に強化された神秘術で敵を格好よく吹き飛ばすもよし、強そうな敵将を見つけて馬上で一騎打ちするもよし。皆さんの考える『一騎当千の活躍』をぜひプレイングにぶつけてください。

 それではご武運を!

  • 一騎当千完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月12日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)
夢為天鳴
ボーン・リッチモンド(p3p007860)
嗤う陽気な骨
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
ヒナゲシ・リッチモンド(p3p008245)
嗤う陽気な殺戮デュラハン

リプレイ

●気炎万丈
 高い空を一羽の鳥が飛んでいる。
 眼下に広がるそれは、戦争とは名ばかりの、ただの殺戮。蘭国軍の被害は甚大だった。
 屍の山の中、槍を握る兵士は敵の圧に負け、ジリジリと後退している。
「降伏しろ、これは命令だ!」
 拙い防陣の中で、大怪我を負った陵才が叫ぶ。
「陵才様を見捨てる事など出来ませぬ!」
「大丈夫、なんとかなるさ」
 その台詞に幾度も救われてきた者達だからこそ分かる嘘。

 降伏は確実に陵才の死を意味していた。

「泣かせてくれますねェ。……ま、降伏しても皆殺しますけどォ!」
 蹴散らそうと騎馬隊の兵長が号令を放つ。

 刹那、吹き飛ばされたのは騎馬隊の方だった。
「なっーー!?」

 右手に結祈燈、左手に結祈飾。
 戦地に降りたなら、目を閉じ呼気ひとつ。
「戦渦に身を置く以上、滅びは誰にも訪れ得る未来
 なればこそ、必滅は此処に」
 言葉に詰まる兵長の耳に、凛とした声が響き渡る。
「恐れぬのなら抗いなさい
 アナタ達にも、彼らにも――そして、私にも。其の権利は有るのだから」

 氷纏舞奏の二振りを構える彼女の気迫は気高く、凛とした気を帯び。
『ヴァルキリー、ユースティア・ノート・フィアス』
『――其の悪夢を、此処で断ち切ります』

 踏み込み、一閃。翻す様に、二閃。向かい来る兵の数だけ、幾重にも剣閃は重なってーー
 軽やかに舞踏を披露するかの如く、蒼の剣閃は流麗に刻まれ続ける。

 後に残るのは、儚さを際立たせる六花の煌き。

「おおおぉ……! 我が軍が散ってゆく。何なのだ貴様ッ!」
「名乗りは済ませた筈です」

 彼女が剣を奮う度、ある者は魅了され、またある者は恐れに震えた。
 両軍がユースティアに警戒する中、馬に跨り颯爽と現れたのは金髪の騎士。
「蘭国の民よ、今一度奮い立て。私達は味方だ!」
 マナガルムの言葉に戸惑う蘭国の兵士。混乱の中で陵才だけが、その言葉に嘘偽りがない事を悟った。何故なら彼のすぐ後ろに、震えながらも座っているのはーー。
「李栄!?」
「陵才、君をっ……助けに来た!!」

 友を助ける為に危険を顧みず、戦場へ立とうとする勇気。
 それはマナガルムに出来なかった心残りであり、尊く眩しい光その物だ。
「ユフィ、退路を!」
「承知しました」

 大気がひやりと冷気を帯びた。
 ユースティアが想い描くのは、如何なる障害も撃ち貫き、前へと進む幻影。

 其れは忘却の中の己か、或いは憧憬の誰かかーー蒼白い光の奔流の中、其の想いを形にする様に、半歩下がって剣を構えて
 纏うオーラは、狼の咆哮にも似た荒々しく凄絶。
「まずい、退け! 退けーーっ!!」
 撤退の号令も、敵の兵も。全ては星の輝きにかき消され。

「——雪華幻刀・結明紡!」
 突き穿つ光は、鳳が天を翔け抜ける様に風切りーー放たれた刺突は何処までも射線上の敵を貫いて、咲いては砕ける、六花の煌きを刻んでいった。

 ゾクリ。
 怯え戸惑う兵士の中にたった一人、武者震いに震える男がいた。
「面白くなって来たじゃねぇか」
 呟きは喧噪に掻き消され、翻るマントは返り血に染まるーー。

●比翼連理
 時を同じくして、典国軍の中央部。
「合図代わりに派手にとは言ったが、ありゃ凄ぇな」
 吹き飛ぶ兵士と輝きの奔流を遠巻きに眺めながら、ボーン・リッチモンドは陽気に笑った。
 大軍を相手取るにあたり、パーティーは2つに分かれていた。陵才を助ける救援隊と、敵の頭を討つ遊撃隊である。後者に手を挙げたのは元夫婦のボーンともう一人。
「HAHAHA! いやぁ!いきなりこんな戦場に送られるなんて…殺意高いねー♪
 ダーリン、君ロべリアさんにナニやったんだい?」
 ヒナゲシ・リッチモンド。前の世界でボーンの妻だった元勇者の美少女だ。
「カッカッカッ! 思い当たる節はまぁ色々だが、確かに大盤振る舞いだな!
 こんだけ敵兵が居る状況なんていつ以来の事やら……。ロべリアちゃんも本当に骨使いが荒いぜ!
……まっ、そんな所も可愛いがな!」
「さっすがダーリン! ボクとしても久々の共同作業にワクワクのドキドキさ!
 し・か・も! 見た感じ『三国志』に似た世界っぽい!」
 気分は長坂橋の張飛のようだ。あれは確か、味方へ続く橋を落として仁王立ちでもしたのだったか。
 差異はあれど、味方のために万軍の兵士に槍やら剣やら向けられるこの状況!
「くぅー! これは無双出来ちゃう感じかな!
 逝くぜー、ダーリン、セキト! 元魔王と元勇者の蹂躙だー!」

 シュン、と転身の音と共に典国の軍勢の真っただ中に現れた2人に、多くの敵意が向けられる。
「聞け! 我が名はヒナゲシ・リッチモンド!異世界の元勇者兼死を告げるデュラハンなり!
 今よりこの戦場から逃げるなら良し! 逃げずにボクと戦うなら……その命、悉く貰い受ける!」
「さあさあ! 俺様こそはボーン・リッチモンド……異世界のしがない元魔王兼骨野郎さ。
 今すぐ俺達の前から消えるなら良し。立ち向かうというのなら……死を覚悟して貰おう」
「くぅー! ダーリンかっこいいっ! やっぱり名乗りって必要だよね!」
「な、なんだ貴様ら!」
 真っ先に槍を突き出した兵士が、ヒナゲシの魔剣で音もなく刈り取られる。
 恐れおののく兵士達に、ボーンは魔王の気迫を持ってニヤリと笑った。
「では、尋常に……殺し合おうか!」

「はい! どーん!」
 どかーん!
「どりゃー!」
 ばぼーんっ!!
 名乗りは完璧に上げたヒナゲシだったが、その後の戦い方は適当である。
 それでも滅茶苦茶に強いのだから、典国の兵士は笑えない。蹴散らされた兵士がアニメの演出かと見紛う程に派手に吹き飛ばされていく。
「セキトひき殺しちゃえー!」
「逃げろ、こいつアホみたいに強……うわあああぁ!」
 しかも跨る愛馬ーーセキトで駆け出し始めれば、後はもう止められない!
「ヒィッ!」
 馬が立ち止まった瞬間、兵士の槍がヒナゲシの首を狙って放たれる。

 ひょいっ。
「なっ……!?」
「もう……ヒドイじゃないか! デュラハンじゃなければ死んでた所だったぞ!」
 首から彼女の頭が軽々と離れたのを見て、兵士はそのまま泡を吹いて倒れこんでしまったとか。

 ほどよく彼女が活躍したところで、頃合いだとボーンは前へ進み出る。
「さて、景気づけに一発かますか! 幸いにここなら材料は豊富だしな!」
 嫁が築いた万人の屍。その身体にほの暗い力を灯して彼は命ずる。
「……我が名において死者達よ、その無念を糧に我が僕と化せ……目覚めろ!」

 戦場に阿鼻叫喚が木霊した。蘇る屍は生者を喰らい、屍の徒を増やしていく。
 あまりの地獄絵図に動けぬ者も、あっという間に淘汰されーー誰も彼もが死の淵へと堕ちていった。
 その惨状は、恐らく味方であれ見慣れぬ者には辛かろう。部隊を分けるようにしたのは、そういう理由もある。

「必殺技みたいなのやろうぜ! ダーリン♪」
「おっ? ヒナゲシ、久々にやっちゃうか?じゃあ、こっちは任せな!」
「いっくよー!」
「……必殺!」
「死に狂え『禍つ煉獄』!!」「『骨哭』!!」

 兵士の足元が崩れ、ヒナゲシの固有結界にのまれていく。擦り切れて燃え尽きた命は彼女の糧となり、逃れようとする兵士の動きから炙り出される人物が一人。
「悪いな、あんたに恨みがないが……消えて貰うぜ?」
 最優先で守られるべく守備を固められた場所が大将の居場所だ。首級をあげたボーンが高らかに叫ぶ。
「敵将、討ち取った! この戦は終いだ!!」

●一騎当千
「さあ、邪魔をしてくれるな! 我らの道を阻むならこの槍が容赦はしない!」
 大将首があがったにも関わらず、典国の兵士は喰らいついて来る。
 違和感を覚えつつも、マナガルムは突き進む。先鋒が動きを止めてしまえば、その隙に多くの命が失われるーーそれが戦場というものだ。
 力任せに薙ぎ払い、屍山血河を超えて血路を開き、残された者に激を飛ばす。
「未だ拳を握り、死にやった戦友達を思い、足を、腕を突き動かす者が居るならば同道せよ!」
「だが、命を惜しめる、この先を生きようとする意志がある者は下がれ。それは逃げる事ではない!」
ーー真に帰りたい場所があるならば、そこに帰るべきなのだ。
 その言葉の重みを軽んじるように笑う声がした。
「お優しいこって」
 返り血を吸ったマントを翻し、黒馬に跨る典国の武将。その姿を見据えて悟る。
 敗走する兵も多い中、尚も狩りを楽しむように食らいつく典国兵。あれらは彼の配下だろう。
「悪夢だ……」
 李栄が顔を歪ませる。それ程に相手は名の通った男のようだ。
「すまないユフィ。李栄を守っていてくれ」
「分かりました。ご武運を」
「なっ、マナガルム殿! まさかーー」
 馬を降ろされた李栄が心配そうに見上げる。
 思い出すのは戦に出る前の一幕。

「……この感覚が懐かしいと思ってしまうのも、皮肉だな」
 自嘲気味に呟き、自らの愛馬を撫でるマナガルムの姿は、どこか寂し気に李栄の瞳に映った。
「以前は俺もまたこの世界の様に戦争の中で槍を振るっていた。守りたい物の為に、自分の信ずる物の為に──」

「いけません、マナルガム殿!」
 止めようと叫ぶ彼へ微笑みだけを残して、マナルガムは戦場の只中へ舞い戻る。
 槍で敵を突き刺し、矢を打ち払いーー黒馬の男と相対す。
「臆せず来たか。手負いの獅子を狩るよりも面白そうじゃねぇか」
「我らに立ち塞がる者が居るならば名乗りを上げよ! 貴様らの敵は此処に居るぞ!」

「性は呂豪、名は天。字は才牙! 典の”凶星”ここに在り!!」
「ベネディクト=レベンディス=マナガルム。いざ、尋常に!」

 駆け抜ける駿馬。すれ違い様に交わる矛と槍。

「でやあああぁーーっ!!」
「はあぁぁぁーーーっ!!」

 マナルガムが馬上でぐらつく。
 ニヤリーー勝利を確信して笑う才牙のその身が、どうと崩れ落ちた。

 その日、蘭国の兵士の歓声が戦場に響いた。
 四人の噂は大陸に広まり、やがて伝説となる。

 一騎当千の勇士であると。

成否

成功

状態異常

なし

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