シナリオ詳細
壊れたテレビは叩けば……?
オープニング
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練達某所。
「来たか、こっちだ」
ローレットでの依頼を受けてやってきたイレギュラーズ達は手招きする『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)を発見し、そちらへと向かう。
今回、依頼があったのは、練達のとある廃棄物処理場だ。
「練達の技術で作られた……ワラビだか、カルビだか……そうそう、テレビってものの処理を頼みたいって話だ」
職員によると、『壊れたテレビ』は3台。
なんでも、『叩けば直る』ということで、ある練達の民が科学者から貰ったそうなのだが……。
電源を入れるなり、怪しげな挙動をし始めたテレビ。
言われた通りに叩いてみたら余計に壊れてしまい、廃棄物処理場に送られてきたそうだ。
「テレビってのがアタシにはいまいちわからないが……。殺戮ロボットかなんかなのかね?」
「…………!!」
「…………?」
「ブーーーッ!!」
オリヴィアの言葉に、旅人を中心として驚いたり、呆れたり、思いっきり吹き出してしまう者までいた。
一応、そこでテレビなるものの認識について共有するイレギュラーズ達。
多少の語弊はあるかもしれないが、電波などによって離れた場所から送られた映像を受信し、映し出すことのできる機械のはずだ。
「いや、アタシにはあれはそうした機械には見えないんだが」
職員に処理場建物内を案内してもらい、オリヴィアが指さした先の区画で、激しく暴れている3台の違った型のテレビがあった。
一番小さな1台は箱型のブラウン管テレビ。さすがにカラーではあるが、古き風情を感じさせる見た目をしている。
2台目はプラズマテレビだ。ブラウン管と比べてかなり薄くなったのが特徴的だ。
一時期、とある世界においては液晶テレビと市場を2分するほどの勢いがあったそうだが、現在では液晶の優位性が強まり、時代に取り残された規格となったらしい。
一番大きな3台目は4Kテレビ。プラズマよりさらに薄く、指で摘めるほどというから驚きだ。
そんな時代の違うテレビが密閉された空間に閉じ込められ、滅茶苦茶暴れている。
画面を光らせ、大音量を上げ、放電し、怪しげな電波を発しており、迷惑極まりない。
だからこそ、『壊れたテレビ』なのだろうが……。
さすがに、廃棄物処理場の職員もこれには手を焼き、処分もできずに困っているとのことだ。
「アンタ達なら、アレの処分方法を知っているんだろう? なら、頼んだよ」
さすがに、練達の技術はさっぱりだと告げる彼女に促され、イレギュラーズ達はその区画へと立ち入る。
広さは十分。30m四方に15m程度の高さがある。
うまくやれば、遠距離、超遠距離攻撃も使えるが、よほどうまく立ち回らないと難しいだろう。
ザザッ、ザーーーーーーッ。
ガガガピッ……。
ピーガガガッ……。
時代の違う3台のテレビは区画へと入ってきたイレギュラーズ達へ、見境なく攻撃を仕掛けてくるのだった。
- 壊れたテレビは叩けば……?完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年03月31日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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練達へとやってきたイレギュラーズ達。
彼らは現場である廃棄物処理場内へと通され、職員によって問題の区画へと案内される。
「ふむ。ふむ。壊れたテレビ……いや、叩くなよ。精密機械だぞ」
練達育ちの『迷い狐』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は思わずツッコミを入れていた。
「テレビ……」
まさかの相手に、黒いテンガロンハットが印象的な『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)が呆れを見せて。
「いや、混沌に来て暴走するロボットやら何やらの相手はしてきたが、家電ってオイ……!」
さすがに、旅人のメンバー達にはその認知度は高く。
機械の四肢を持つ冒険者、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)も唸りながら、ふと思い返して。
「……テレビを見るのは割と好きだったが、そう言えばコチラに来てからは機会が無かったな」
「我も旅人故、テレビくらいは知っていたつもりでいたが……世界は、広いのだな」
情報屋を自称する気分屋、『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)は自分の知らない挙動をするテレビに興味を示すが。
「だが、どの世界でも壊れた機械の行く末は決まっている」
「壊れたテレビは叩けば壊れる!」
すかさず、柔和な印象を抱かせる眼鏡の青年、『炒飯作った!』秋宮・史之(p3p002233)が持論を展開する。
「叩いて直るように見えるのは内部の接触不良を一時的に解消してるだけだから、もう壊れかけてるんだよね」
「そもそも我が故郷ながら、なんでテレビが暴れているのかしら」
地球人である旅人を母に持つ『特異運命座標』遠野・マヤ(p3p007463)もこの状況に思うことがあり、壊れた理由について考えていたようだ。
「内部機構の故障が暴走の原因だったりしないかな」
そこで、史之が言葉を返し、しばらく議論を重ねるメンバー達だったが、一方で、練達出身以外の混沌メンバーの反応はいまいち鈍い。
機械の猫耳と尻尾を生やす『砲撃用意!』ヨハン=レーム(p3p001117)は、今回の相手を未知の敵と言い切っている。
「テレビ……よくわからないもの。でんぱってなあに?」
ラサから来たという猫科の獣種の『砂漠の冒険者』ロゼット=テイ(p3p004150)も、電波が見えない光や波のようなものと職人に説明を受けても理解に苦しんでいたようである。
さて、問題の区画へとやってきた一行。
ザザッ、ザーーーーーーッ。
ガガガピッ……。
ピーガガガッ……。
ガラス越しに討伐対象を目の当たりにし、しばらくメンバー達は討伐対象を観察する。
「それにしても、これはどうかと思うのだが……。作った人間は何を考えていたのやら」
ゼフィラが目視で確認したのは、画面サイズがやや小さいブラウン管、中型のプラズマ、やや大型の4Kの3種類のテレビだ。
「……儂が使ってるのは、でかいやつのどちらかじゃな……何が違うんだ」
リアナルも新しい2種の区別までは分からなかったようである。なお、長くなるので、プラズマと4K……液晶の違いは割愛したい。
密閉区間で暴れるテレビは時折瞬き、大音量を上げるという状況もあって、マヤは眉を顰めてしまう。
「……目にも耳にも、とことん悪そうな依頼よね」
マヤは自らのギフトの効力の影響で、おかしなBGMが流れるのがかき消されそうな点だけは助かるとしていたのはさておき。
「科学者が面白がって、何か別の機能でもつけようとしたのかしらね?」
「最近のは電子部品使ってるから、そこがイカれると一発でアウト。4Kとかさ!」
ふとそんな考えに至るマヤに対し、史之は最新機種の脆弱性も指摘する。
そんな仲間達の意見を聞きつつ、ゼフィラは仕事をこなすべく戦闘態勢を取って。
「ちなみに練達に放送局はあるのかな?」
職員によれば、一応は存在するらしい。今回の事件もニュースになるのだろうか。
「四角くて硬そうなやつが1番強そうだし、最初に片付けてしまいたい気持ちもあるけれど……」
発してくる音、映像は広範囲の仲間に悪影響を及ぼす可能性もある。
「何してくるかわからないものは、弱くても十分脅威になりうるかもしれない」
ロゼットは弱そうな4Kに対しても、何をしてくるか分からぬ不気味さを抱いていたようだ。
「あれこれ勘繰っても始まりません。頂いた情報を元に正攻法を導き出してみせます!」
未知の敵だが、ヨハンは現状で最善策を講じつつ撃破をと仲間達へと促し、隔離された区画へと入っていく。
「しょうがねぇ、ブチ飛ばしてやる!」
「真相はどうあれ、まずは大人しくしてもらうわよ……!」
続き、アラン、マヤも覚悟を決めて入っていき、リュグナーは3台のテレビを前に構えを取って。
――さぁ、己のパーツへの別れは済ませたか?
すると、リュグナーへとテレビ達が画面を向けてきて。
ピーガガガッ。
ザザーザーーーーーッ。
ガガガ、ピッ……
「今再び、貴様らの時代を終わらせてやろう」
時代の流れに取り残されたテレビへと引導を渡すべく、リュグナーは大鎌を手にし、距離を取りつつ攻撃を開始するのである。
●
3種あるテレビはそれぞれ時代を感じさせる趣があるが、いずれも黒いカラーリングをしたそれらは一斉にこちらへと移動してくる。
ただ、それらのテレビが連携を取ることはなく、ここに暴れている印象だ。
イレギュラーズ達はそこに付け入り、個別の撃破をと考える。
優先撃破対象は比較的耐久力がないと思われる最新機種の4Kテレビだ。
「まず弱い敵から。狙わない理由もありません」
天才参謀クェーサーとしてこの場に立つヨハンが手早く指示を飛ばせば、同意するマヤが4Kテレビへと狙いを定めて。
「ディスプレイ部分を狙っていけば、脆そうかしら」
相手は薄さたった5センチの敵だ。
耐久力には難があるはずと、マヤは練達製ブースターで加速。
速力を威力へと転化しながらも、マヤは風鷹剣『刹那』で脆そうなディスプレイ中央を貫く勢いで斬撃を見舞っていく。
気力の問題もあってそう何度も連発はできないが、思った通りに敵の弱点となっているのは間違いないと踏む。
「弱点はディスプレイ部分で間違いないと思うな」
相手を観察していた史之はそう見定める一方で、敵の攻撃はほぼほぼディスプレイ部分を起点に放たれることを察し、なるべく正面には多々内容に立ち回る。
討伐優先順は、4Kテレビの後、プラズマ、ブラウン管の順番だとロゼットは再確認しつつ仲間と4Kテレビを取り囲む。
「何をしてくるかわからない相手は、ある意味一番危険だね」
以前、ロゼットは故郷である傭兵のおじさんから、『わからん殺しされて被害を被る前に、囲んで棒で殴ろう』と聞いたそうだ。
要は、相手のペースを握ってしまうこと。
危険な個性は発揮される前に封殺することが肝要とロゼットは把握している。
まさかこんなところで、酔っ払いのおじさんの与太話が役立つ機会があるなんて、ロゼット自身は夢にも思ってはいなかったものの。
相手の出鼻をくじいている今のうちにと、刹那自らの能力を飛躍的に高めたロゼットは見えない悪意を放って薄型の4Kテレビを攻め立てる。
一方のテレビ達の攻撃に備え、ヨハンは名もなき兵士ですらも英雄に変える号令を発して。
「テレビの攻撃は感電や混乱を伴うものと予想しています」
抵抗力の高いヨハンはどうにかなると踏んでいたが、アランやリアナルなどのアタッカーが状態異常まみれになってしまうと危険だと彼は話す。
そんな危険な相手を前に、リアナルは自らの体を茨の鎧で包み、さらに豪運を味方につけて自身の状態を最高潮にする。
弱い奴を先に叩くのは道理と、仲間の意見に賛同するリアナル。
火力が低いことを自認していることもあり、リアナルは最初から全力で4K目がけて流星のごとく攻め立てていく。
「……ところで、これのエネルギーはどこからきているんだ?」
この手のものはバッテリー内蔵型でもなければ、コンセントがあるのではないかと考える。
それを抜けば終わるのではないかと彼女は期待したのだが、ふとコンセント状の尻尾を持つヨハンを注視して。
「あ、コンセント刺さってない猫がいたわ」
そんなわけで、彼女は早々にエネルギー切れを誘う線を諦めたらしい。
そのヨハン同様、ゼフィラもエスプリ効果を最大限発揮できるよう仲間に統率能力が行き届くよう立ち回りつつ、4Kテレビを見据えて。
「さて、家電製品に水をかければ壊れるものだが、防水加工はされているのかな?」
家電ならではの弱点を突いてみようと、ゼフィラはこの場に多量の水を呼び寄せ、テレビのみを巻き込んで飲み込んでいく。
水辺でなくとも、電気で動く機械であれば効果は覿面だとゼフィラは手応えを得ていたようだ。
「ご自慢のテレビ画面にでっかい風穴開けてやる……!」
態勢を崩す4Kテレビへ、やることは単純明快と自身のアドレナリンを爆発させていたアランが接敵して。
「ぶち壊れろ! ポンコツがぁぁぁ!」
身構えた彼は敵の放電にもお構いなしに深く踏み込み、異形の大剣「Code:Demon」で神速の刺突を見舞っていく。
なお、画面の外枠に当たる部分は硬く、おいそれと簡単にダメージは与えられない。
「お目覚めになられませ祭神よ。これなるは秋宮の史之。ご加護を賜りませ」
ともあれ、仲間達が順調に攻撃できるよう支援に当たる史之はかつてあった世界と自らを繋いで、氏神の加護を授かっていた。
その状態で、史之は仲間達が万全に立ち回れるように大天使の加護を与え、最良の状態へと近づけていく。
「壊れているとはいえ、相手は機械だ……」
心に左右されない戦略程厄介なものはない。
そう考えるリュグナーは油断禁物と気を引き締め直す。
そして、リュグナーは地獄の大総裁オセの狂気を借り、4Kテレビから精神力を奪い取っていく。
少なからず、衝撃を与えることができ、画面に亀裂が入っていく4Kテレビ。
「貴様らに脳の代わりとなる部位があるかは分からぬが、この眼でバグくらいは起こせるやも知れぬと思ってな」
再度、速力を力に変えたマヤが一気に、手にする刃でその画面を貫く。
ピー……ガガ、ガッ……。
ついに画面は反応を見せなくなり、4Kテレビはその大画面を区画の床へと横たえていったのだった。
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テレビ達は同じスキルで攻撃を仕掛けてきてくる。
広範囲に発する放電はメンバーに痺れを与え、眩い画面はこちらの目を眩ませ、大音量はこちらの態勢を崩す。
また、催眠音波は文字通り、こちらの思考を奪ってしまう。
それが運悪く突き刺さり、重なるように別のテレビが画面フラッシュを浴びせかければ、意識を持っていかれてしまう。
プラズマテレビを狙っていたゼフィラはテレビ2台の連撃を浴び、パンドラ復活を余儀なくされてしまっていたようだ。
また、テレビは攻撃と同時に自らの力を高めることがあり、マヤがすかさず魔術と格闘を織り交ぜた連撃を見舞っていき、その力を霧散させていく。
「うおおおおらぁぁぁ!!!!」
アランは2体が丁度纏まるタイミングで、大剣を大きく回転させて発生させた暴風に巻き込んでその体を引き裂かんとする。
だが、旧型のブラウン管がここぞと踏ん張りを見せ、彼へと直接大音量を浴びせかけた。
まさに耳をつんざくような音は激しい衝撃となり、アランは意識を持っていかれそうになるが、パンドラの力に頼って身を起こしていた。
「ちょっと黙っててくれないかな?」
ブラウン管がかなり厄介だと判断した史之がそこで、相手に簡易封印を施していく。
僅かな間ではあったが、ブラウン管の攻勢が削がれたそのタイミング、イレギュラーズ達は一気にプラズマテレビの攻略を加速させて。
仲間達の攻撃が重なり、敵が弱った……という言い方が正しいのかとリュグナーは疑問を抱きながらも、動きが鈍ったのを確信して。
「今度は真っ当な電化製品に生まれ変わる――いや、リサイクルされるが良い」
ここぞと、リュグナーは自らの精神力を弾丸へと変え、プラズマテレビの画面中央を撃ち抜く。
ガ、ガガ、ピッ、ガ……。
すると、こちらも横たわるように崩れ落ち、画面と共にその全身の動きを止めてしまった。
「あと1体……か」
これまで精神耐性のおかげで、洗脳電波から逃れてはいたリュグナーだったが、それでもダメージまでは避けられない。
ブラウン管はそれだけ混沌の地で年季が入っているだけに、強さまで兼ね備えているのだろう。
「純粋に3倍の戦力を見ていたけれど……」
リアナルの想定以上にブラウン管テレビはイレギュラーズ達を苦しめる。実際、2人を倒しかけていたのだから。
とはいえ、やることは変わらない。
リアナルは全力で攻撃を繰り返し、気力が尽きれば強固な呪いを持って殴り掛かっていく。
もっとも、痛みはほとんど与えることができないのだが。
「ただ、擦れば吸われるぞ?」
何度も何度も、ブラウン管が動きを止めるまで、リアナルはその気力を吸い尽くさんとする。
「異常回復は僕が続けます。恐れず攻めるんだ!」
ブラウン管はかなりタフだが、ヨハンはテレビの壊れ具合が激しくなっていくのを確認しつつ、仲間に声援を送りながら調和の力で癒し続ける。
「ザザッ、ザーーーーッ!!」
画面の点滅や電波と攻撃を止めぬブラウン管だが、やはり動きに精細さはなくなってきている。
「いい感じに状況が動いてる! 負けないで!」
史之も一気に敵を打ち倒す為に、戦う仲間達を強烈に支援し続ける。
一度は倒れかけたゼフィラ、アランも力を振り絞る。
術式を展開したゼフィラは魔光を発してブラウン管の筐体を穿って痺れを与えた直後、再び自己強化したアランが攻め込む。
「ご迷惑な家電が……! 今からスクラップにしてやるよォ!」
序盤から変わることなく、アランは鮮やかな刺突を繰り返してブラウン管へと風穴を穿たんとしていく。
しかしながら、倒れた他2台のテレビとは違い、こちらは厚みもあり、なかなか倒れてはくれない。
「あの奥行きがあって、ガラスも分厚いあのあれ、ちょっと小突いたぐらいだとむしろ調子が良くなってそう……」
一時的に腰から光り輝く羽根を生やすロゼットは、暴れ続けるブラウン管から理力を奪う。
イレギュラーズ達が来る前から暴れ続けていた状況もある。さすがに、力は尽きるとロゼットは思っていたのだが……。
そこで、マヤがハッと何かを思い出す
「叩いたら余計に壊れたとの事だけれど……もしかしたら、角度が悪かったのではないかしら?」
時代設定が古めの創作物や、旅人である母から聞いていたこと、それは……。
「叩いて直すなら、斜め45度からだって……!」
そこでマヤは正面から飛び込み、風鷹剣『刹那』を斜め45度から振り下ろす!
「ザザッ、ザザザザザザーーーーー!!」
なぜか、そこで刹那活力が漲るような素振りを見せたブラウン管が周囲へと放電する。
危険と判断したリアナルが、ゴムブーツでマヤをドロップキックし、退避させる。
「もしかしたら、叩いても暴れだしたという情報から、並々ならぬ底力を持っているのかもしれませんね」
ヨハンは丁度、史之が仕掛けるタイミングを見計らい、全力で見えない悪意を発していく。
「奥の手はちゃんと残しておくものだよ」
スキルを使わず攻撃を仕掛ける史之は攻撃の度に攻性結界を展開し、呪殺の力を込めた一撃を遠距離から見舞っていく。
味方識別も可能なので、彼は心置きなくブラウン管を痛めつける。
だが、まだ微妙に体力を残していたらしい敵を、ロゼットが確実に仕留めるべく見えない悪意を重ねて。
「ザ、ザザ……」
かなりのタフさを見せていたブラウン管もようやく力突き、物言わぬジャンクと化したのだった。
●
全てのテレビを討伐し終えて。
見た目以上に手強い相手で、イレギュラーズ達の被害もかなり大きく重傷者も出てしまっていた。
とりわけ、アランやゼフィラは絶対安静で、ヨハンや史之が手当に当たっていたようである。
そんな中で、マヤはあちらこちらで残骸となったテレビを見下ろして。
「……貴方達がどうして暴れ出したのかは解らないけれど、散々叩かれた上に捨てられたんじゃ、そりゃ嫌になるわよね」
マヤはせめて、後は静かに休ませてあげようと考えている。
ただ、そんなテレビ達に興味を抱く者もいて。
「壊れた理由が分かるやもしれぬからな」
リュグナーは4Kテレビのパーツをいくつか回収し、コネクションを当たってその調査に動く構えだ。
このテレビもまだ使われたかったのかな、なんて。
ヨハンも回復の手を止め、持ち帰って別の機械として使えないかと技師に尋ねようと考える。機械に対して慈悲を与えようとするのは、鉄騎種らしい考え方ともいえた。
そんな仲間達の行動に、マヤは一つ嘆息して。
「まだまだ、眠ることはできそうになさそうね」
あのテレビ達が今後どういう行く末になるのだろうかと考えつつ、彼女はこの隔離区画を後にしていくのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ公開です。
MVPはテレビ1体の撃破と合わせ、
正しい(?)叩いて直す方法について語っていたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。GMのなちゅいです。
練達の謎技術シリーズ。一見普通のテレビですが、中身がいろんな意味でおかしいです。
練達に放送局は存在するのかとかツッコミどころはありますが、誰かが配信するくらいの技術は練達にはきっとあります。
それはさておき、壊れたテレビの修理(物理)を願います。
●敵……テレビ×3体
大きさは4K>プラズマ>ブラウン管。強さはブラウン管>プラズマ>4K
イメージは、昭和、平成、令和のテレビです。
いずれも色は黒。攻撃方法は同じで、
放電、画面フラッシュ、大音量、洗脳電波といった攻撃を行います。
敵としての交戦データはない為、射程距離、BSなどの追加効果は不明です。
〇ブラウン管
昔懐かし箱型のブラウン管。奥行きも60cmくらいあります。
〇プラズマテレビ
デジタル化に対応したテレビ。少し古めの型らしく、薄さは10cm程度。
時代に取り残されてしまった悲しき存在。
〇4Kテレビ
現在の最新モデル。驚異の薄さ5cm。
……なぜ壊れたのでしょうか?
〇場所
練達の廃棄物処理場で暴れる3台のテレビを大人しくしてしまってください。
さすがに叩いて直るというわけではなさそうなので、容赦なく廃棄処分にしてどうぞ。
事後はジャンク品であれば持ち帰りは可能です(アイテムとしての発行はありません)。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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