カミサマ大惨事乱殲、君の信仰を召喚しよう！

オープニング

●説明しよう、世界は滅亡する！
　地下からの起き上がる触手の塊。天から舞い降りる人型の超越存在。宇宙を抱擁する母性的な膨張。真実と偽りを見定める球体――嗚呼！　正に世は滅亡の寸前で、それは人類が引き起こした大惨事乱殲で在った。遡る事『七日前』。
　俺の神様が世界の真実だ！　青年は堂々と宣言した。世界は神『ぬんちゃらかんたら』のもので在り『ぬんちゃらかんたら』が想像したと信じて疑わない。そして隣のおばさんが説いた。いいえ。違うわ。わたしの神様が最も世界を愛しているのよ。世界は神『まぁま』の胎内に在り、全ては『まぁま』の掌に――その神様自慢が七日間続き、今現在に至る。ヒカリアレ。

　つまり。
　世界は産み落とされ続けた神様達によって滅亡するのだ！

　そんな莫迦な！　僕の神様がこの戦争を終わらせるでしょう！　ああ、視よ。新たなる神様が顕現したぞ。此れで世界は混沌に呑まれるのだ――ラーメン食べたい。今度は丼から這い寄って来たぞ！　誰かこの世界を鎮め給え！　ふんぐるいふんぐるい。おや。今度はなんか蛸っぽい邪な神様が目覚めたぞ。隣には愉しそうな暴力の女神だろうか。ああ。世界に！　世界に！

●何だって！？
「……あ、頭が痛い。何よこの物語。終わりも始まりもテキトウじゃないの。ああ。心配しないでちょうだい。今の私はしっかり正気よ。問題はないわ。誰か薬持ってないかしら……説明しましょう」
　境界案内人たるコスモが頭を抱えたならば、正気も狂気も関係なく混ざり込む。彼女の表情を観たイレギュラーズは『一応』その内容を訊ねた。
「ええっと。その世界で『カミサマ』がたくさん召喚されたらしいの。人々が自分の創った神様を召喚し過ぎてね。インフレって言うの？　それともパワーバランス？？？　それで崩壊寸前って事らしいわ。だからね。あなた達の【カミサマ】で彼等を鎮めてほしいの。簡単にはいかないだろうけど、お願いね」
　そうして頁は開かれる。

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第1章

第1章 第1節

　莫迦げた世界はお祭り騒ぎで、もはや神様は容赦なく天地を揺るがす。轟々と啼き叫ぶ巨大な夜鷹が、数多の魂を攫って飛ぶかの如くだ。最初に物語の頁を捲ったのは『情報食い』アエク（p3p008220）で在る。胸元の美しいコアが世界の中央で閃き、その設定は偉大なる神に牙を剥くだろう。成程――癖が強い。口下手と謂うべきか。言葉は世に出る事無く、脳内で完結する。我は納得した。神が乱立したならば最も強靭な神が『勝つ』のは必然。強靭とは即ち狂ったような信仰の集合体だ。つよいもの、つまりは特異運命座標の産み出すようなものであれば――神威を。神意を伝えるのには充分だろう。ならば。想像……思いを描くのが最も正しい情報だ。その情報を喰らいながら『絵』に成せば好い。アドヴァンテージは何か。それは【戦わずして勝利する】最適かつ快適な知識の『多さ』だ。思考の果てに辿り着いたのは――システム。神と称される機械。デウス・エクス・マキナ。と、いう事だ。如何だ。とある異界には『地獄という存在』の神が在るらしい。名をタルタロス。なればこそ……設定は物語に刻まれる。我が想像する神は。

　神滅装置。

　神を殺す為の装置【カミ】だ。形状はない。考えていない故に『ない』。それは物理攻撃への完全否定。それは神々への真なる冒涜。適当でいい。一言で蹂躙する、光への嘲笑か――顕現した瞬間に数億の神々が吹き飛んだ。終末ではない終幕……我は望む。

成否

成功

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第1章 第2節

次に頁を捲ったのは『理想のにーちゃん』清水 洸汰（p3p000845）だ。自称ニホン出身の彼ならば素敵な神様を召喚するだろう。遊びたい盛りの少年は……何処かの神様に年齢を問われたが関係ない。マジ！？　楽し気にカオスを眺めた。オレの考えたサイキョーのスッゲーヤツが呼べちゃうの！？　其処で脳髄が定めたのは『守護神』だった。一切を通さぬ『壁』の如き存在か――パーフェクトクローザーだ！　かっこいい。どのような神様が顕現するのか。

　――説明しよう。この世界にスポーツは存在しない。

　圧倒的なピッチングの前には、どんなバッターも破れ去り！　強そうだと住民が立ち上がる。負けられないと誰かが設定を練り直し始めた。どんなランナーも、ベースを踏むことは叶わない！　ランナーってなんだ？　ベースとは踏む事で発動する兵器なのか？　闘志に火を点けられた神が長物を掴んだ。幾つもの魔球を産み出す右腕、何者も逃がさない俊足が自慢さ！　恐ろしい響きだ。気を失った信者と神が消滅する――相手が強ければ強いほど、その右肩が冴え渡る！
　そしてパーフェクトクローザーは子供や初心者に優しい。ちょっと手加減して球体を投擲するのだ。敵わない。ああ。この神様には敵わない。逃走した神は数知れず――まさに、オレが願う守護神だ！　明日のヒーローインタビューはいただきだな！
　だいぶだって。かなりだよ。野球によりすぎてもまあいいか！

　試合終了。

成否

成功

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第1章 第3節

　俺の神……俺だけの神！
　分身体とはいえ俺の声に応えていただけるとは！

　世界の真ん中、神々荒れ狂う領域の内で万々歳と嗤うのは。壊れて恋われて、歪んだ『正気度0の冒涜的なサイボーグ』ベンジャミン・ナカガワ（p3p007108）のラジオじみた病的な言辞だろう。讃える神は『俺の神』で、その思い込みは邪な神様すらも凌駕する、破滅的かつ創造的な矛盾。設定だとか『そのような愚かさ』は存在せず、底知れない善良の裏側には外れた螺子の行方すら解せない、業々――触手犇めく塊は頭部でしかない。俺の神の分身体が矮小なる神々を蹂躙し、睨み付けるだけで吸収する。胴体が現れた時には『発狂』する者も多いだろう。妖艶な肉体が放つ視線は、悉くの精神を凍てつかせる――悪魔じみた翼が闇を引き連れ、纏った輪郭は正しく、俺の神！　決して死に絶える事の無い『光を殺す暗黒』。蔓延った門から飛び交うのは地獄からの猟犬か。地獄とは即ち時空で在り、正体不明の不浄は生命に餓えている。滴った膿が肉を溶かし、牙が生命体を急襲した！　俺の神の影よ。分身体よ。所有物たる俺の前で、応えてくれるとは――外なる存在が座に着いた！
　別宇宙の貌が神々の存在を踏み躙り、その名称は『皆の知る』ものとは違う。俺の神は俺の神なのだ。俺の神以外に在り得ない。神に代わり人々を愛せ。それが神に愛される絶対条件だ。ひゃ……人とは思えぬ哄笑が、俺の神の存在を証明している。

成否

成功

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第1章 第4節

　この世界はとても混沌で在り、それは自由と破滅の狭間を意味する。故に『なんで女物の制服なんですか！』ヨハン＝レーム（p3p001117）と称号丸々晒さねば成らない。神様は形而上の面を有しており、しかし鉄帝の血が覚める事は在り得ない――うーん――首を傾げても腕を組んでも、尻尾を揺らしても素敵な設定は浮かばない。神様とはそもそも何なのか。よくわからないですね……ならば手段は一個だろう。なんかこう、お任せコースってないですか？　他の神様に問うても答えは無いが、真のカミサマはその台詞が『聞きたかった』――あっ、変なのはダメです。あの、正気を失ってなんとかかんとかのゾーヴァ……問答無用で召喚されるのは旗を立てた者への褒美だろうよ。いくぞ！　丸投げ召喚！！　カモン！！　僕のカミ……。
　視よ。聞け。世界に巨大な猫が降りてきて、猫がカレーライスに浸っているぞ。カレーライスが沸騰して其処から鶏が飛び出しコケコッコー！！！　朝を告げると突撃する牛が目玉を転がしてメカメカしく合体。構えた牛乳パックから注がれたのは愛情の証。証を付着させたなら他の神々が、融合するだろうか。知るが好い、世界に蔓延る方程式の解放感を！！！　数字が生命を並べては幸福が破滅を押し留める筈だよ。そうして出来上がったのはウネウネと波打つ冒涜的な……変なのはダメっていったじゃないですかーーーー！！
　変なので悪かったなショタ本ぶつけるぞ！

成否

成功

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第1章 第5節

　何分。違う。秒だ。病的なまでの瞬間で、神々はぽんぽんと世界を包む。そんな神様で滅びる世界。可哀想と思ったのは『今は休ませて』冬宮・寒櫻院・睦月（p3p007900）が最初だろうか。八百万風情に殺され潰され壊されるなら、踏み尽くさねば『終われ』ない――我らが祭神さまは古より根の国へおわすのだもの。祈願すべきは勝利だ。勝利の為ならば具を愚に晒しても掴む。攫われた。触れらた世界は深い設定に応えるだろう。いと貴き災いと穢れの祭神よ。根の国よりお目覚めになられませ――此処に在るのは何者だ。何物だと所以を解す……これなるは冬宮の寒櫻院睦月。ご加護を賜りませ――地に降臨するのは巨大機械。腕も脚も胴体も頭も、遍くが『造り物』に変わらない。お出での祭神様の方に乗り、ああ、総てが小さく見える。あいつもこいつも邪魔だから、ねえ。※※ちゃん。
　御簾を降ろし鴉を殺し、枕を並べて紅さして、ゆるゆると朝寝の可なる床を延べお待ち申し上げる――がんばれー。元気に腕を上げれば向こう側は塵だろう。放たれた目からビームは楽しさと崩壊の合図で、なあ、此れが貴様の『愛』ならば哀しいものか。物語も混沌も……わー。神様も街も人も吹っ飛んだ。あは、は、あははっ……めまいで落ちないようにしないと。祟り神も生じちゃう。ちゃんと墓場で処分するから、安心して平穏の礎に成り果て終え。

　いけいけ無敵の祭神さま、今度はロケットパンチで如何だ。

成否

成功

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第1章 第6節

　先輩達に続いて頁を捲ったのは『イワ死兆』フラン・ヴィラネル（p3p006816）だ。地に足をつけた瞬間にカレー猫が吹き飛んだり名状し難い何かが犬を放ったり他諸々の神々の暇潰し。あっちもこっちもかみさまだらけでかみさまが喧嘩してうわーってなって大変で！　少し深呼吸し給え。言葉が混濁して意味が不明のイワシが空飛ぶ大惨事――つまりあたしもかみさまを呼んで一緒に戦ってこの世界を助ければいいんだね！？　その通りだ。疑問符を取り払えばもっとその通りだ。強くて優しい存在に身を委ね、世界を平穏に着地すれば好い。よーし。あたしが一緒に戦うかみさま。神様は偉そうに存在するだけではない。一般的な存在に目玉を向けねば成らない。そう。想像し創造し設定として映すべき輪郭は――ゴリラだー！！！　なんで！？
　うっほ。ウホホィ。ホッホーゥ。ホッホッホ。本当にゴリラが出ちゃったよ。学名なんだったっけゴリラは世界を救うに決まっている。これ常識。そんな常識混沌にも無かった筈だけど気の所為ですね。ふんぬ！！！　地面に叩き込まれた拳が星々を割り、其処から天へと流れるのはいわしの滝！！！　バナナを捧げろ。捧げれば大きくなって願いを叶えてくれるんだなんか筆舌に尽くし難いもの生えてるけどゴリラに違いないですドラミング。ちょっと違う気がするのは世界の認識が歪だった故だ。まぁ、いっか。いいね！　立派なおむねのゴリラが雄叫びを上げた！

成否

成功

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第1章 第7節

　あなたを救いましょう――鳥肌。『極夜』ペッカート・Ｄ・パッツィーア（p3p005201）が召喚したカミサマは嫌悪すべき『存在』だった。くそ忌々しい、元の世界のあんなムカつく野郎の事。思考する程度で吐き気がする。しかし。如何だ。神とは本来『人の縋る為』の文字列で在り、その質に変化は在り得ない。別に召喚して『あいつが活躍』する結末とは限らないのだ。ならば襤褸雑巾の如くやられる可能性だって……悪魔の血が騒いでいる。想うだけで唾が呑まれる。それなら全然、問題などない。負ける枠のカミサマだって必要だ。
　外見はひどく『光輝』で『高貴』だった。金髪蒼眼の慈悲深い面。神々しさがわざとらしく、不死に生死の尊さを説いていたに違いない。巨大な武器を構えた姿は人間で、王様気分の抜けていない時代旧れだ。ぶんぶんと振り回した黄金色は時々で変わり、終いには『それ』は正しいと証明する。如何なる攻撃も無効化し、ああ……あなたを……ケッ。気持ちわりぃ。他の神様。其処の『冒涜的』な連中が真面に視得てくる。カミサマなんぞロクな奴が居ないのさ。異物と見做せば嘲笑ってくる。
　堕ちた天使サマの感情がよくよくわかる。カミサマに歯向かいたいのは悉くの性質だ。運命に反抗するのは生命の権利で、果実を齧らせた蛇に感謝せねば成らない――なんだその目玉と微笑みは。文句が有るならさっさと共食いで戯れやがれ。結局、ヒトサマの掌上で踊るんだぜ。

成否

成功