シナリオ詳細
魔物従えし山羊の獣人
オープニング
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深緑の迷宮森林には、ハーモニアの集落が点在している。
そうした村のいくつかには、古くから『妖精伝承』(フェアリーテイル)が伝えられていた。
一説によれば、妖精郷の門(アーカンシェル)から現れた妖精は、薬花を摘み、遊び、人に可愛らしい悪戯をしたりするらしい。
時に、村人と交流する伝承も残され、幻想種の人々に語り継がれている。
その伝承によると妖精や妖精郷の門は、深緑やその周辺の森で稀に目撃されてきたらしい。
つい先日、ストレリチアという妖精が魔物に襲われ、深緑の迷宮森林警備隊に保護される事件が起こった。
ローレットのイレギュラーズは深緑からの依頼で魔物を退治し、ストレリチアを妖精郷の門に送り届けるに至る。
道中でイレギュラーズと打ち解けたストレリチアは、門の向こうを『妖精郷アルヴィオン』だと語ったとのこと。
また別の日、妖精郷の門を破壊する魔物と、それを引き連れた『謎の少女ブルーベル』が現れた。
ブルーベルとイレギュラーズは交戦し、少女は魔物を『とある男から預かったもの』と告げたのだそうだ。
そうした出来事が起こった後、ローレットには深緑経由の依頼が出回ることとなる。
なんでも、その依頼者は妖精郷アルヴィオンから来たという妖精とのことだった。
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幻想、ローレットに並ぶ依頼を確認するイレギュラーズへ、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が近づく。
「よろしければ、こちらの依頼をお願いしてもよろしいでしょうか?」
彼女が手にした依頼は、とある魔物討伐の依頼だ。
なんでも、深緑の森のやや深い場所に魔物を連れた獣種らしき女性の姿が確認されているとのこと。
「その女性は以前、幻想種を目の敵にして襲っていたことが確認されています」
ともあれ、この女性も気にかけたいところだが、連れている魔物が森の村の周囲を徘徊している状況なのだと言う。
いつ襲ってくる変わらぬ状況もあり、村人達も気が気でない。
「魔物達の狙いは幻想種だけでなく、村に伝わる妖精伝承とそれと合わせて存在する妖精郷の門ではという話もあります」
最近、深緑各地にある妖精郷の門を魔物が狙う事件も頻発しており、今回の1件も無関係ではないとみられている。
というのは、女性が連れている魔物の特徴にある。
「いずれも、錬金術で生み出された魔物を思わせるといいますか……」
連れている魔物は6体。2体は人工精霊と思わせる水の豹。別の2体は粘土でできたゴーレム、そしてもう2体はオートマタ……自立機械人形なのだそうだ。
それぞれが特徴のある動きを行う為、しっかりと相手したい。討伐の必要はなく、村から撃退させれば問題ない。
「ただ、あくまで依頼地点の情報です。すでに、皆さんが村に到着した時には襲撃されている可能性もあります」
アクアベルには、弱いながらも未来視の力がある。何か不吉なものが見えたのかもしれない。
ともあれ、幻想種や妖精達を安心させる為にも、魔物は撃退せねばならない。
依頼を受けたメンバー達は深緑を目指し、出立を決めたのだった。
- 魔物従えし山羊の獣人完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年03月23日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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深緑、迷宮森林。
ローレットのイレギュラーズ達は深い森の中を、とある村を目指して歩く。
「この頃、深緑を騒がす事件が多いですね」
「以前も妖精関連で、幻想種の村が襲撃を受けたと聞きます」
『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が思い返すようにいくつかの事件について語ると、『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)が言葉を返す。
「正義感なんて持ち合わせていませんが、同種として見過ごす訳にはいきません」
皆、オーガストと同じ気持ちではあるが、そこに来て今回の事件。
「獣種の女性……気になる所ではありますが」
「情報に聞く山羊の獣人……ですが、今は撃退が優先ですね」
『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)に続き、こちらもオーガストが小さく唸って応じる。
「探るにしても、まずはやるべき事をやってからですね」
「どうして幻想種を目の敵にしてるのかはわからないけど、考えるのは助けてからだ!」
鶫もまずは、目先の事件の解決を優先すべきと意思を示すと、『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が力強くその救出を誓う。
「事件を起こす獣人女性……深緑で無法は許しません。陰謀を砕いていきましょう!」
ドラマも仲間達が気に掛けるの目的を阻止すべく、全力を尽くす構えだ。
「将来、私の店のお客様になってくれるかもしれないハーモニアや妖精の皆に助太刀しようじゃないか」
『脚癖が悪いバーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は自らの経営している喫茶兼酒場のアピール、さらに自分の足で情報を得ようと考えてこの依頼に参加しているようである。
意気込み十分の仲間達に、ドラマがこのところイレギュラーズの頭髪、血液を採取していく魔物が確認されていることを示唆して。
「注意しておきましょう」
何をされるか分からぬ不気味さも感じながらも、一行は現場である幻想種の村へと急ぐのである。
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現場となる妖精伝承の残る村が近くなることで、警戒を強めるイレギュラーズ達。
すでに村が魔物に襲撃されていたことに気づき、メンバー達は急いで中へと駆け込む。
ガルルルル……。
幻想種の村人達を追い立てるように、身体が水で構成された豹がしなやかな動きで駆け回っている。
人工精霊と思われるそいつは時折、水のレーザーを放ち、村民へとのしかかるべく躍りかかっていた。
「先ずは星の精に贄を」
危険を察した『にんげん』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)はブロッキングで自分に対する非戦能力を無効化させる。
「おっと、今から寝る子に無粋は止して欲しいものだ」
『わるいおおかみさん』グリムペイン・ダカタール(p3p002887)も周囲にジャミングを展開して、敵のテレパスなどを阻害する。
2人とも、この戦いを見ているであろう獣人女性が満足に情報を集められぬようにとの配慮だろう。
また、オーガストが村民の避難誘導に当たると、ドラマも最近組み上げたばかりだという速度を重視した戦闘術式で、早急に人々を安全地帯へと導く。
一方で、水豹はアレクシアが引き付けを行っていて。
「みんなは逃げて! さあ、幻想種はこっちにもいるよ! かかってきなさい!」
彼女は近場から逃げるように村民へと声をかけつつ、敵の引き付けに当たる。
「貴様等。上質な肉が望みならば私を貪り給え。此処には美しき脂と柔らかな文字列が存在するのだ。Nyahahahaha!!!」
さらに、オラボナが独特の言い回しで敵の気を引くと。
「侵略にしてもやっている事が雑過ぎる。実験にしては放り投げすぎだ」
グリムペインもまたこの状況に主観を交えながら告げる。
「私ならこの黒幕に軍略史を読む事をお勧めするね!!」
仲間や村民からも注目を浴びるグリムペイン。
「おっと、もしやお好みではなかったのかな?」
獣種女性や使役する魔物、自身をも悪役と自称し、愛や勇気でどうにかなる存在ではないと言い放ち、グリムペインは笑ってみせた。
ともあれ、この場の水豹は2体。
モカも直接体術を叩き込むべく至近にまで迫るが、事前情報からまだ敵はいるはずと、鶫は小鳥を、『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は犬をファミリアーとして呼び出し、それぞれ逆側に位置するようにして増援の出現に警戒させる。
「波状侵攻……一体どのような意図があるのでしょうか」
そんな準備を行う2人にドラマが問いかけるが、ベネディクトは分からないとしながらも、人の手によって作られた可能性の高い敵を目の当たりにして。
「事件の背景に、別の何者かが関わっているのは間違いなさそうだ」
ともあれ、目の前の相手を退けるのが先決。そんなベネディクトの意見にドラマが同意して。
「ええ、早急に討滅しましょう!」
害なす魔物どもを確実に倒すべく、すぐに戦闘態勢に入るのだった。
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村を荒らす水豹を撃破すべく向かうイレギュラーズ達。
「集中攻撃を仕掛けて落としていきましょう」
ドラマは素早く手近な1体に狙いを定め、自らを加速させながらも蒼い刀身で切り刻んでいく。
続いて、モカが相手の間合いへと踏み込み、回し蹴りを叩き込む。
「面倒な獣どもだ。思考に手繰られて仕掛けるとは人間らしい」
こちらへと敵意を見せる水豹をオラボナは数字に例えようとしたが、小さく首を振って自らに神聖なるものを降ろして。
「――兎角。私は貴様等を受け止め、退けねば成らぬ」
狙うは短期決戦。オラボナは離れる幻想種の村人を優先的にかばいこの場の敵の攻撃を引き受けようと身構えていた。
アレクシアはできる限り村の設備に被害が出ない場所、立ち位置を心掛けて立ち回る。
「壊れちゃったら、直すの大変だからね」
相手を引き付けるアレクシアは仲間の注意が向いていない水豹の1体を魔力の花弁で穿ち、強く注意を引く。
そんな盾役となるメンバーに水豹達は飛び掛かり、水レーザーを発してくるが、その回復にはオーガストが当たる。
彼女は一旦戦況を注視し、最も傷つくメンバーへと調和の力を回復に転じて施していた。
さて、攻撃に出るメンバー達。
「舞台は少々味気ないし、ティンカーベルとは犬猿の仲ではあるのだが、夢の裾野を開くには十分だ」
数々の物語を紡ぐグリムペインにとって、今回の1件すらも紡ぐべき物語。
「さあ、昔話にしてやろう!」
彼は仲間の攻撃が集中する敵へ、絶対不可視の刃で切り裂いていく。
個別に攻撃が集まる状況もあり、ベネディクトも同じ敵に鋭い踏み込みで肉薄して手にする軽槍グロリアスを突き出す。
相手はただでさえ素早い敵だ。ベネディクトも狙いを定め、的確な狙いで相手を攻め立てる。
圧倒的な眼力で戦場を見回す鶫は仲間達からやや距離を取りつつも、水豹2体をうまく狙えるように射線を調整する。
そして、僅かの間だけ召喚兵装を顕現させ、霊子ビームを発射した。
2度、攻撃を行った後、鶫は高い位置に放っていた小鳥のファミリアーで何かを感知する。
重い足音、固い粘土の擦れる音。これは……。
「クレイゴーレム……きます」
鶫がその方向を伝えると、すぐさまアレクシアが動いて。
「村に手出しはさせない! 貴方達もこっちをみなさい!」
同じ方向から来る2体のゴーレムへと、彼女は纏めて花の魔力を振りまいて引き付けを試みるのである。
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体を粘土で構成されたクレイゴーレムは、遅い動きでアレクシアへと近づいていく。
「戦力の逐次投入……こちらの力量を図っているつもり?」
鶫は次々に襲い来る魔物の姿から、敵の狙いを推し量る。
数が増えれば、狙いがぶれてしまいそうだが、予め情報として襲い来る敵種について分かっている。
それもあって、鶫は冷静に仲間と決めた戦術を維持して砲撃を続け、とりわけ水豹の足腰を狙って機動力を削いでいたようだ。
新手のクレイゴーレムだが、粘土弾を飛ばすことはあるものの、基本は近距離戦。
そいつらをうまく抑える間に、一行は弱ってきていた水豹の討伐を加速させる。
グリムペインは突如として出現させた列車に水豹とゴーレムを轢き潰させると、水豹が全身に刻まれた傷より体内の水を流れ出しており、長くないことを感じさせた。
鶫がゴーレムと纏めてそいつを霊子ビームで撃ち抜いてとどめを刺すと、そいつはどろりと溶けて水たまりとなってしまった。
もう1体の水豹はオラボナがアレクシアを庇う形で抑えている。
ある程度、幻想種の村人達の避難が落ち着いたこともあり、オラボナは仲間達のカバーへとスライドしていた。
「神性に偽りなし。不滅で在れ」
戦線を維持する為、オラボナは倒れないよう自身を回復をしながら敵の攻撃に身構えていた。
また、オーガストもそんな仲間の癒しを続け、異常が重なったと感じれば、仲間の恐怖を打ち払う。
「大丈夫、落ち着いて対処しましょう」
皆が万全と尽くせば、問題ない相手。オーガストもまた自分のできることをと冷静に仲間の状態を注視して万全に戦えるように力を尽くす。
そんな皆の働きもあり、水豹のもう1体も動きが鈍ってくる。
素早い青い三日月の如き剣閃が敵を確実に捉えて切り裂き、ただの水へと化してしまう。
だが、彼女は敵として機能しなくなったモノから興味をなくして。
「次はクレイゴーレムでしょうか」
見た目以上に体力のありそうな相手とあって、まずは牽制しつつ切り崩しにと考えていたようだ。
そのゴーレムは現状、アレクシアが強く引き付けに当たる。
さすがに巨体のゴーレム2体相手では消耗が激しく、彼女も調和の壮花を使って自らの傷を塞ぐ。
接近しているモカもその粘土の塊へと拳を突き付けているが、相手の回転ラリアットを喰らうこともしばしば。
そうした仲間の維持も合わせて、アレクシアは動く。
現状はクレイゴーレム対処を続ける状況。ベネディクトは至近の範囲攻撃に警戒しながらも、その曲へと槍を突き入れて。
「……何ッ!?」
呼び出したファミリアーの犬に反応があり、ベネディクトが察知したのは自律機械人形2体の接近。
オートマタと呼ばれるそれらは銃砲と化した両腕から、こちらへと銃撃を放ってきたのだった。
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オートマタは水豹程ではないが、かなりの機動性で遠距離から攻撃を仕掛ける。
「オートマタ、ですか? バラバラにしてあげます!」
ドラマは水豹同様に速度を上げて切りかかっていく。
アレクシアがそちらも引き付けようとするのだが、すぐに散開したオートマタは片方が素早く接近してくる。
ゴーレム対処に当たっていたモカを狙った敵は、電流を纏わせた一撃を彼女の腹へと打ち込む。
刹那、意識を失いかけた彼女が何とか持ち直すが、その傷は決して浅くはない。
アレクシアがそちらのオートマタの引き付け、さらにオラボナがモカのカバーに当たりながらも、イレギュラーズ達はそのオートマタに攻撃を集中させると、鶫がそのオートマタを狙い撃ち、無力化する。
どうやら、オートマタの耐久力は高くはないようだが、遠距離攻撃を行っていた1体が鶫に近寄り、序盤に水豹の水レーザーで掠った傷へとオートマタが触れ、そのまま逃げ去っていく。
アレクシアが咄嗟にそれを察して香水をぶつけたのをグリムペインは確認して。
「なら、この物言わぬ巨人の対処が先だな!」
泳がせることで追跡できると、グリムペインはゴーレムの対処を先に進めることにしていた。
その後は敵増援もなく、淡々とした形で戦いは進む。
ただ、じっと仲間達が戦う姿を見て、癒しをもたらすオーガストは何か視線を感じて。
「これは……」
何とも言えぬ不安を感じながらも、彼女はゴーレムと対する仲間に治癒術を振りまき続ける。
そんな中、所々が崩壊し始めていたゴーレムへ、グリムペインがとどめにかかる。
彼は空中に出現させたフォークとナイフで敵を攻め立て、まるで料理を食するかのような振る舞いで敵を突き刺し、切り裂き、ゴーレムの体を崩してしまう。
残る敵が少なくなれば、勢いはイレギュラーズが勝る……と思いきや。
「例えどの様な相手だろうと、貫いて見せるッ!」
そんな気概でゴーレムに立ち向かっていたベネディクトの体を、最後のクレイゴーレムは力任せに蹴りつけ、彼の体力を奪い去ってしまう。
短期決戦で臨んだこともあり、気力の消耗も大きい状況の中でドラマが集中しながらも不可視の悪魔の腕で掴みかかる。
相手の身体の崩壊が近いと察したオラボナは、ホイップクリームのごとき一撃をゴーレムへと叩き込むと、なんとか戦闘態勢を取ったベネディクトが追撃をかける。
――俺に出来る事は一つだけだ。
彼はその巨躯に対し、自らの槍を突き入れ、貫いていく。
その瞬間、ゴーレムの動きは止まり、仰向けに倒れていったのだった。
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魔物を撃退したところで、アレクシアが先程ぶつけた香水を浴びたオートマタを気にかけて。
「後を追ってみよう」
「不用意な接触は避けるべきです」
グリムペインを含めて追いたいメンバーもいたが、ドラマは連戦状態で相手にするのは難しいと主張する。実際、一行は一戦交えた後とあってかなり消耗していたのだ。
それもあり、妥協案として相手に手を出さないという前提で、様子見することに。
そこで、逃げたオートマタが山羊の獣人女性と接触するのを確認する。
こちらも手の内は隠すべきとグリムペインが様子見する中、オラボナが尋ねる。
「貴様が何者かは問わぬ。私が成すのは肉壁程度だ。総ては役割の結だろうよ――兎角。戦闘の意思は私に無い。如何に?」
「邪魔が入りましたわね……」
山羊の角を生やす金髪女性が苦々しい顔で告げ、オートマタを逃がす時間を稼ぐ。
「お前たちの目的は何だ」
ベネディクトがダメ元で問いかけるが、返答はない。
魔種に違いないこの獣人女性も何か狙いがあるのか、この場は退避する様子。
「……俺はベネディクト、そちらは?」
「エイプリルですわ。いずれまたお会いしましょう」
血塗られた斧を手にした彼女は名前だけ告げ、この場から走り去ってしまう。
追ってきたメンバーはそのまま相手を見送る形だったが……。
鶫が飛ばした小鳥の視覚情報。彼女のギフトによって、それを共有していたオーガストが怪訝そうな表情を浮かべていたのだった。
逃がした敵はいたが、妖精伝承の残る村から魔物を退けたイレギュラーズ達。
さすがに、被害皆無とはいかなかったこと、また狙ってくる可能性が否定できない事もあり、不安を拭うことができずにいたようだ。
そこで、ドラマが天使の歌を織り交ぜながら、手にする本のおとぎ話を歌い聞かせ、心のケアに努める。
近場では、オーガストやアレクシアが傷ついた村人の治療に当たり、他のメンバーも修復作業に手伝いをしていると、村人達がやってきて。
「本当ありがとうございます。大したもてなしはできませんが……」
彼らが差し入れてくれたのは、ハーブティーにナッツクッキー。
「ありがとう。後でごちそうになるね!」
アレクシアはもうひと頑張りしてからいただくと話すと、オーガストは丁度いい頃合いだったのか手を止めて。
「では、いただきますね」
口の中で木の実が弾け、風味が鼻へと突き抜けていく。
逆に、そこへハーブの香りが鼻孔をくすぐり、口の中でマッチする。
「私は甘味を欲する。何者も休息は不可欠よ。物語には緩急の要が在るのだ」
オラボナもまたそれらを希望するが、紅茶は牛乳と砂糖を倍々で頼み、ミルクティーとしてから頂く。
「血肉に染み込むたまらないものだ」
その味をオラボナも堪能し絶賛していたようだ。
長年生きている幻想種達が好む茶菓子。その美味さに、重傷を負うモカも黙ってはおれず、自分の店でも出せる様に仕入れたいと交渉する。
幻想種の民がそれ自体を断ることはなかったが、流通の問題など難もある。実現したとしても、かなり高級品になってしまいそうだ。
ところで、ベネディクトはハーブティーをご馳走になっていたが、クッキーには手を付けずに。
「良ければクッキーの方は俺の分は包んで貰えないだろうか」
お菓子好きな友人の土産にと彼が頼むと、村民達は快く布製の袋に包んで手渡してくれた。
鶫も差し入れの品を口にしつつ、山羊の女性についてこう語る。
「今回のが様子見だとするなら、再度の襲撃がある筈。しかも、次はより確りとした戦力で」
実際、同じことを考えたドラマが村の修繕、防衛強化をと村人と話をしている。
「堅固な警戒態勢が必要になりそうですね……」
鶫の主張に同意したオーガストは先程女性のいた方向、木々が立ち並ぶ森林を一瞥するのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは敵の接近の感知、2体の討伐と活躍を見せたあなたへ。
ご参加ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
深緑の迷宮森林内、妖精伝承と門が伝わる幻想種の村を守っていただきますよう願います。
●目的
全てのキメラの撃退
●敵……魔物×6体
いずれも全長2m程度。
魔種となった獣種の女性に連れられていたことが
すでに目撃証言として挙がっております。
○水豹×2体
人工精霊の類と思われます。
豹としてのしなやかな体で近接攻撃を行うだけでなく、
水を操って相手に貫通レーザーを放ったり、
窒息を狙ったりなど、遠距離攻撃も得手としております。
○クレイゴーレム×2体
粘土を固めて造られた人型のゴーレムです。
その体は衝撃に強く、見た目以上にタフさを感じる相手です。
直接、拳や蹴りで重い一撃を叩き込んでくる他、
粘土弾を飛ばすこともあります。
○オートマタ×2体
自律型の機械人形です。
内蔵された銃砲を使った遠距離攻撃を得意としております。
近距離も苦手というわけではないようで、
電流を纏わせた一撃を叩き込んでくることがあります。
●NPC
○山羊の獣人女性
詳細不明です。見た目は獣種のようですが、血で染まった斧を手にしており、不気味さを感じさせる相手です。
●状況
妖精伝承の残る幻想種の村を、魔物が襲ってきます。
魔物は波状侵攻してくる形をとり、
水豹2体のみが村を襲っているところにイレギュラーズが駆けつける形となります。
その後、2,3ターンおきにクレイゴーレム×2体、オートマタ2体が襲撃してきます。
討伐は必須でなく、追い返していただくだけでもOKです。
事後は幻想種の人々と交流するといいでしょう。
無事に村を守ることができた場合、お礼にハーブティーと、ナッツクッキーをごちそうになれます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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