PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ワーム・ワーム・ワーム

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●始まりは卵から
 その住民は卵生だった。しかし。親たる住民は産み落とした瞬間に死に絶え、もはや世界は絶滅の危機に瀕していた。沈黙する天地が卵の揺り籠と成れず、絶望とした現実が嘲笑を浮かべている。そうした世界にぽかりと生えた、大きな大きな新鮮な葉っぱ。それはきっと神様からの贈り物で、未だ生と無の狭間に在る『卵』達の唯一の希望――うねり。うねり。透明な殻の内側で蠢動が蹴った。生きるか死ぬかは此処からだ。住民の亡骸が新たなる『祝福』を願ってとろける――お腹を空かせて飛び出す時、其処には育ての『親』が不可欠だ。ぴきゃ……卵が遂に罅割れて、ゆっくりと子供。蛆虫が産声を上げた。
 おぎゃあ。おぎゃあ。お腹空いたよ。おなかすいたなぁ――この葉っぱを食べたら如何だ。むしゃむしゃ……不味い。此れは食べられない葉っぱだ。困った。ああ。酷く身体が尺取りうねり、このままでは餓死して終う――絶滅して終う。
 誰か助けて。誰でも好いから、助けてください。お願いします。おねがいだから……その言葉は。意識は。何者にも届かない。おや、兄弟達が絶望の世に生じてきた。

●餓死からの救済
「ねえ。あおむし。今回の物語の世界には蛆虫がいるのよ。ええと。そんなに引かないで。意思疎通は可能だから。喋れないだけで」
 コスモは顔色を失ったイレギュラーズを引き留めるように声を上げた。狂気に中てられ易い『案内境界人』の一人だが、如何やら今は正気らしい。
「物語のタイトル。世界の名前は『ワーム・ワーム・ワーム』蛆虫の住民が生きていた世界よ。今は死んでいると言っても可笑しくはないわ。親が力尽きて子供の前。卵の状態の『仔』が多いの。そして餌が無いわ。生まれて餓死が待つなんて絶望、嫌でしょう? だから皆には【蛆虫を育んでほしい】の。立派な成虫。大人の住民になれば餌の取り方・作り方もわかるでしょう。お願いね」
 そうして頁は開かれる。

NMコメント

 にゃあらです。
 ワーム・ワーム・ワーム。

 今回の世界は【卵から孵った蛆虫達、餌が無いので死ぬしかない】そんな物語です。イレギュラーズの皆さんの力で餌を与えたりしてください。

 サンプルプレイング
「餓死する子供達なんて。たとえ蛆虫だとしても赦されない筈だ」
 日の当たり方や雨が降るのかを確認して種を撒きます
 成長が遅いので肥料などを駆使して育てます。
 植物の育て方を蛆虫達に教えます。

 もしも植物以外を食べれるなら他の物も考えます。
「さあ。好きなごはんを選んで」

  • ワーム・ワーム・ワーム完了
  • NM名にゃあら
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月13日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

●ワーム・ワーム・ワーム
 ぼこり。一匹の蛆虫が君達の気配を知った。横たわった絶望が希望に変わる音。お腹が空いた。美味しそうな匂いだ。楽しみだなぁ。愉しみだ。ころころと転がってきょうだいを待っている。大丈夫。きっと寿命で死ねるんだ。ぐじゅぐじゅぐじゅ――色の悪い血管が欠陥品じみた世界を巡る。たすけて。たすけて。たすけてください……嗚呼。おなかすいた。

●生きているだけ
 ああ、可哀想にねぇ――物語を捲る者は登場人物に感情を垂らすだろう。しかし糸が蜘蛛の救済だと思えず、『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361) は生まれて直ぐの蛆虫を視た。ころころ転がる矮小の隣には巨大な死骸。茫洋とした世界に餌は存在せず、果たして水分すらも曖昧なものだ。滴るのはタダの暴力的なまでに静かな『死』で、餓えが緩やかに這い寄り始めた。ここにはなぁんもあらへんよ。卵の殻が空を映せば、腐り掛けた母親を反射し淡々と地獄を語る。そして不味かった葉っぱと。未だ絶望も知らずに夢に微睡む幸せな弟妹達――うぞ、うぞ。一匹、言葉は知らずとも意味は食める。嵌まった意識は伝達され、兎の耳に沈み込む。可哀想にねぇ。感情を。言葉を繰り返しても傷を舐った程度だろう。可愛いねぇ。好みの問題ではないと、ぐにぐに尺取り兎にウネって……畝でも在れば良かったのだ。俺はそういう子――胎児よ胎児よ何故躍る、母親の記憶も父親の記録も、オマエ自身の脳味噌も雑乱だと吐くのに。生れ落ちて尚うぞうぞ。そうやね。お腹が空いた。お腹が空いたんだ。助けを求めて偉いねぇ……なんで。何でそんなにも、誰かさんは無慈悲なのか。俺は他のどの子でもない、お前だけは愛そうね……酷い事を告げる。それでも、生きたくて往きたくて総てが巡る。神様は居ない。だから。たった一匹、お前だけは死なへんように守り与え慈しんであげる――俺は正直、生きてたくない。活きたいなんて面倒臭い。もう。生まれてきたくない……誰かさんもご飯が美味しくなかったの。【それは理解せんでええ】。お前は、俺と違うて生きたいんよね。とても美しい。そうだ。生命は其処に存在するだけで褒め称えられるべきだ。その生傷が柔らかそうでたまらなく……ここには色々あるよ。卵の殻。空を見上げるよくある死骸。大きな大きなにがい葉っぱ。それと。嗚呼。なんて恐ろしい事を――生きたいならば全部おたべ。好き嫌いはアカンよ。気分が悪い。吐いてしまいそう。要らない。食べられない。お願い。お願いだから……美味しそうに鳴かないで、誰かさん。馳走を用意でけへんかった。油か湯か判らないが、ぴょこんと兎が跳び込んで。再生する味わいが、ただの一匹を愛でて往く。有難う。ありがとう。みちち、ぶちぃ。

●シンプル・イズ・ベスト
 ややこしく思考する必要は無い。なんとかなる、の精神で『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201) は孵化する連中を眺めていた。不死。悪魔。如何呼ぶべきかは関係なく、普段の己ならば蛆虫どもが死に果てるなど気にしないが。依頼は依頼。物語は物語だ。頁を捲らねば世界は終を得ず、自らが餓える可能性も生じる。重ねて。普段から世話になっている。屠った対象を分解するのは地中の役割だ。此れは一種の恩返しか。つまり。絶滅すんのは問題だよなぁ――何を貪るのか。問うても彼等は蠢くだけだ。空腹でぐってりと留まった個体も複数。先ず探すべきは水場だろう。何処かに綺麗な溜まりはないか。そもそも、此れは本当に生物なのか……葉っぱだけが被さって、影が差すと嘲笑している。何もない……仕方がない。取り敢えず。俺の血液でも飲んどく――臓物に這入るのはナシだ。蛆虫以外に無いならば寄生能力も無いだろうが。べり。小指の腹が抉られた。こぼれた肉に群がってむぐむぐ。小腹程度は満たされる。んで、食いものだが、キミらってなに食うの? 腐食した物は如何だ。積み重なった親の死骸。何? 齧れない? 発達途中だって。細切れに与えれば喜ぶに違いない。親に感謝してな……じゅるる。これからは植物の時代だ。葉っぱが存在するならば甘い果実も成るだろう。蜜に釣られた蛋白源も素敵な馳走に変わるだろう。種を撒いて水をちょろちょろ。最適な日当たりを定めて教え、最後に大きな葉の大切さ。ほら。ゆりかごから墓場まで、なんて上手い事を先人は説いた――覚えてくれよ? ぼろり。向こうの世界でも人気な食物。独特の香りに穴だらけ。黄色と黴の演奏だ。その名はチーズ。栄養価も味も完璧な、蛆虫視点で素敵なものだ。わらわら現れたウネリは波の如くで、アッと謂う間に穴は失くなった。ごぐん。ふと、一個体があなたを見上げた。太らせて。肥えさせて。魂を……いや、別にキミらを食おうとは思ってないぜ? 多分な。その一言で群れが一斉に離れた。ぶるぶる。ぷるぷる。ゼリーじみて怯えたのか。やはり生命の本能とは凄まじいものだ。縋り付くように。

●枕
 お子さんは葉っぱが嫌いで捕食者が怖い。最初に学んだ味と心。優しさと野生の合間に沈み、微睡んでころころ戯れている。『今は休ませて』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900) が彼等を呼んだ所以は『たんぱく』に在った。植物がダメならば肉は如何だろう。真っ赤な滴りを与えれば充分に育つに違いない。故に。狩りを教える事も重要だろう。世界がたとえ蛆虫だとして、鹿ぐらいは……たぶん鹿だ。目玉に映り込んだ物質はおそらく鹿だ。鹿らしい鹿、己は見た事も聞いた事もない。だって鹿はてけりゅうと啼く生命体だろう――ごめんなさい――麻痺させる縄を投擲し、その後頭部に強烈な一撃……ずる、ずる。蛆虫では運べない重量だ。何せ自分が戻るのも一苦労。ほら、お肉だよ。お食べ――群がった蛆が鹿と思考出来る肉を齧る。啜る。舐る? もしや蛆虫に舌が在ったのか? 血色がよくて幾分か『大きく』成ってきた。食べる量も増えて……親御さん、は、もう尽きてますね。既に蛆虫の胃袋です。もっとたくさん、食べないといけません。何匹かを懐に這わせて『狩り』にもう一度。今度はちゃんと連れて行こう。その場で貪る事も絶対の経験です。ああ。がんばっても、返り血は帰ったら拭いたいものだ。シャワーを浴びれば幸せだろう――一休みだ。親の温もりを解せない子供を撫でて、擽って、愛で……がぶ。いたい。治癒の御札をぺたりと自分に。遠慮もせずにひとのにく……少しなら。いいですよ。ああ、立派な姿ですね――ぶくぶくと丸っこい蛆虫は未だ成体で在らず、何処まで喰えば餓えないのか。もう親指よりも……今は休ませて。がぶり。ああ、また。可笑しい。なんだか、食べられた方が育っているように。きっと僕の血が足りない所為。引いてきた顔色は如何に惹かれていて、きぶんがいいような。

●いわかん
 異世界。響きとしては聞き飽きたが、実際に起きたならば鮮度抜群に極まりない。『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160) は蛆虫を視る。先程よりも二回り肥えたのは気の所為だろうし、助けてと請われて放り出す事は出来ない。こういう世界には世界なりの救済が必要なのだ。俺は俺なりのやり方で手助けを――歓喜した蛆どもが盛大に身体を揺らす。持ち込んだ肉の香りが彼等を活性化させ、半ば暴走気味でうねりがわらわら。添えた野菜は緑か黄で、ご機嫌な咀嚼がたいらげる。葉っぱほどの苦味はなかった。そして野菜を『つくる』方法は理解した。種を渡せば勝手に蠢くだろう。気に入った全部――誰かしらこの世界の事情に詳しい者が誰か居れば良かったのだが。首を傾げる。そもそも。絶滅の危機に瀕しているのは何故だ。天災か? 天敵が増殖した結果か? しかし天気は快晴で、天敵と呼ぶほどの生物は見当たらない。それとも別の原因か。それを突き止めるのは……俺達だけでは難しい。ついでに土壌でも観てみるか。どんな質で何が育ち易い。導く為には水場も不可欠だろう。その人間性で蛆を引き連れ、いちにと伝えれば最適だ。君達は言葉は解るようだから、考え、実行する力を持っている――耕して肥料を撒いて、新たに種を。何時か役に立つ『大人』の知識だ。次の世代の為に、次の次の世代の為に。選択肢を増やせば豊かに生命を謳歌出来るだろう。どうか絶望に塗りつぶされず――ぶくり。最初の一匹が『人と同じ』大きさに? まさか? あげすぎたのか。

●ワーム・ワーム・ワールド
 君達をきっとあげすぎたのだ。

 イレギュラーズの懸命な活動・伝授によって蛆虫どもは餓死の危機を逃れた。兎の甘やかしを受けて笑い。悪魔か不死かのチーズを凸凹、齧って這って笑い。鹿のような肉を食みながら笑い。育むべき緑を撒いて笑い――それで。君達は何処まで教えて『しまった』のだ。この世界が蛆虫だけの所以。この世界で絶滅寸前だった所以。兎は如何して齧られた。悪魔か不死も如何して。休めなかった理由は。絶望に塗り潰されたのは、本当は何者だ――いやな予感。全員の背中に『触れた』蠕動。ありがとうの一言が、妙に『本能』じみて……早く物語を閉じろ!!! 視得るのだ。聴こえるのだ。空腹の音がぐぅぐぅとやかましい、蠅の音! ぶぶぶ。ぶぶぶぶぅ。此れなら魂を喰っても良い筈だ。それで、ドウヤッタラ逃れられる?
 ああ、可哀想にねぇ。なんとかならねぇのか。ごめんなさい。俺に何が出来るのだろうか――そもそもの餌は骨まで親に喰い『消されて』いた。胎児よ胎児よなぜおどる、母と父の食欲に溺れて、絶望していたのか。人類は排泄もされずにご馳走様……しかし。イレギュラーズ。ワームが理性を獲得できたのは君達のお手柄だろう。今度こそ「休ませて」と囁いて【了】

成否

成功

状態異常

なし

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