シナリオ詳細
コットンハウスと暴食の蟲
オープニング
●妖精からのご招待
白銀にきらめく鱗粉を浴びて、シルキィ(p3p008115)はふわふわと浮かび上がった。
「おいでおいで、風にのればいいんだよー」
手招くコットンフラワー妖精のコットンが、シルキィを先導するように高い木の上へひゅるひゅると飛んでいく。
目指すは木のてっぺん。
クリスマスツリーの飾りめいてのっかった、大きな大きな白い毛糸玉。
その名もコットンハウスである。
全長にして30センチ程度の小さな妖精(精霊種)のコットンに招かれて、シルキィと仲間たちはコットンがこちら側の空間との出入りに使っているという妖精郷の門(アーカンシェル)へとやってきていた。
アーカンシェルは妖精たちの故郷である『妖精郷アルヴィオン』への行き来を行うための門であり、アルヴィオンからやってきた者でしか行き来ができない特別なものである。
それゆえ人を招き入れる必要もなく、コットンがよほど仲良くならない限りは場所すら教えてもらえないものなのだが……。
「シルキィはともだちだからねー。お茶してけお茶してけー」
「ありがとうねぇ」
えへへえと笑って、シルキィは羽根をぷるぷるといわせた。
いかにもお空を飛べそうな見た目をしたシルキィだが、異世界からこちらへ召喚されるにあたって飛行能力を失ったという。より厳密にいうなら、得たものと失ったものが大きすぎて比較が難しいはなしなのだが……。
「箒も使わずに飛べるなんて、楽しいねぇ」
「でしょでしょー。『妖精の粉』ってゆーんだよ。コットンハウスのまわりにだけパラパラしてるの」
コットンはそう言って、巨大な毛糸玉の『入り口』へと着地した。
人がかがんでやっと通れる程度の小さな穴をくぐると、中には広い空間があった。
広さにして七坪程度の球形ハウスは先ほどのきらめく粉によってまんべんなく照らされ、天井まで登る白い螺旋階段のさきには虹色のサークルがあった。つまりはあれがアーカンシェルなのだろう。
が、コットンが見せたかったのはどうやらそれではないらしく。
「みてみてー、自信作」
大量の木の実や葉っぱで作ったおもちゃがあちこちに転がり、コットンはその中から『妖精の木馬』を取り出して見せびらかしてきた。
木の枝と木の実を組み合わせてつくった馬で、丁寧に彫刻したことで本物以上に馬馬していた。
今日のご用事は、こうしてお友達を呼んでおうちで遊ぼう……というものだったらしい、が。
「なんだか、外が騒がしいねぇ」
シルキィの鋭敏な聴覚が、ブブブという耳障りな音を野外からずっと聞き取っていた。
気になって顔を出してみると、なんと……。
●暴食の蟲
浅黒いバッタの群れであった。
――と、表現するのは正確性にかける。
一見したシルエットは羽根の生えた人間であり、その表皮は昆虫のように硬く、蝗害をもたらす際に見せるバッタの浅黒い模様をしていた。
手足は一般的なバッタのそれと同じくかぎ爪状になっており、顔面はそれこそバッタそのものであった。
彼らは羽根をブブブとならし、こちらを威嚇するかのように口を開閉させている。
「……敵意満々、だねぇ」
彼らのおおきな複眼にうつっているのは、一様にこのコットンハウス。
一部が猛烈なスピードでコットンハウスの側面に飛びつき、ペンチのように強靱な顎でハウスの側面を食いちぎりはじめる。
「ひいー! この子らおうちを壊す気だよー。やだあ」
うええという顔をしたコットンが、シルキィに目をやる。
シルキィは片眉をちょっとだけあげて見せると、ぴょんと飛び上がって手からカイコ糸を発射した。
仮称『ベルゼクルス』。
コットンハウスを目当てにしてあつまったこの出自不明のモンスターは、群れを成して一カ所を攻撃し続けるという習性をもつらしい。
体長は50~70センチ程度で、とにかく大量に数がいる。
個体ごとの戦闘力は低いものの、数の力で押し切る戦法を得意としているようだ。
コットンハウスに張り付いたベルゼクルスを糸で無理矢理ひきはがし、シルキィはふわりと飛び上がる。
「おやぁ? どうやら、ここなら自由に飛び回れるみたいだねぇ」
「だねー?」
コットンハウスの中から声をかけてくるコットン。
「おうちに招いておいてナンなんだけどー……」
「いいよいいよぉ」
シルキィは、仲間達ににっこりと笑いかけた。
「今日はおうちを守る依頼、ってことにしようねぇ?」
- コットンハウスと暴食の蟲完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年03月17日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●コットンハウスをまもれ
小さな出入り口から顔を出し、『白夜月』シルヴェストル=ロラン(p3p008123)は外の有様に顔をしかめた。
「今日は息抜きがてら遊びつつ、この周辺を見て回ろうと思っていたけれど……予定変更のようだね」
シルエットだけで見るなら空飛ぶ暴徒の群れ。
おきている事実は麦や家屋を喰らうこう害である。
浅黒い人型のバッタ『ベルゼクルス』の群れがコットンハウスの側面へ次々に張り付き、表面の漆喰めいた素材を食いちぎり始めている。
放っておく道理はあるまいと外に飛び出し両手の爪による魔力放出をアクティブにしていく。
一方で、お茶の用意をしようとポットを温めていたリュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)はため息をついてティーセットを即席テーブルに置くと、地を蹴って野外へと飛び出した。
「この場に居合わせたのは幸運……ということでしょうか。害虫の駆除のお手伝いをさせて頂きましょう」
携帯していた弓に魔法の弦をはると、握りを通して魔術変換機能をアンロック。ありもせぬ矢をつがえる動作によって真っ黒な矢を顕現させた。
「家を破壊されると大変ですからね……」
「まったくもう! ほんとだよね!」
『蒼銀一閃』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は慣れた様子でぴょんと野外に飛び出し、身体に浴びた粉の力でもってくるくると螺旋状に上昇をかけていく。
「折角楽しい時間を過ごせると思ったのに台無しだよ!
素敵なおうちを壊させたりなんかしないから!」
ベルゼクルスたちの上をとると、腰の後ろに収めていた短剣を引き抜いた。それだけでぶわりと力をもった風が彼女の周囲を渦巻いていく。
と、このようにやる気満々の者がいる一方で、『大砲乙女』ティリー=L=サザーランド(p3p005135)は露骨に癒やそうな顔をしていた。
人型をしているとはいえ虫の群れ。ある意味当然の反応である。
「気持ち悪い……何よあのバッタみたいなのは。あの大きさでさえ直視するのな抵抗あるのに、ヒトの形までしてるなんて。どうしてあんな生物が生まれてくるのかしらね……度しがたいわ」
ティリー自身モンスターに詳しいわけではないが、記憶する限りこんなモンスターがいるという話を聞いた(ないしは文献で読んだ)ことはなかった。
虫のおぞましさをそのままに、作業能力だけを意図的に高めたような……乱暴な言い方をすれば誰かが悪意をもって製造したかのようなモンスターだと感じた。
「案外恐ろしいというのは巨大な獣よりもこういう無数の塊(クラスター)で迫ってくる肉食の蟲だったり、とかな」
すっかり戦闘モードになった『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)が空中でバランスをとって飛行状態を素早く身体に慣らしていく。
「何か起ころうとしてる……ってことかしら」
「かもな。だが、考えるのは後だ」
「そうね。今はコットンハウスを守るのが先決」
「もれなく全部駆除だ!!」
クロバはガンエッジを起動。スロットした爆炎術式を刃に薄く纏わせる。
ティリーのほうは空中でハンモックで仰向けになるような姿勢をとると、金色の装飾がはしったライフルの安全装置を解除。ベルゼクルスの群れへと狙いをつけた。
「一匹残らず殲滅よ。コットンハウスと私の平穏を守るために、ね」
先ほどから皆が当たり前のように飛行できているのは、コットンハウスのまわりに散布されている『妖精の粉』の効果である。
「わぁーすごーい!飛行種でもないのに空を飛んでるー♪
これならあのキモチワルイ生き物を倒すのにも、問題はなさそうだね
せっかく遊びにきたのに、それを邪魔するなんて許せないよ!」
『優しいカナ姉ちゃん』カナメ(p3p007960)は余った袖を大きく振ると、『ガンブレイズバースト』を起動した。
「大丈夫だよ、カナたちが守ってあげるから任せてね☆」
「ふむ、何十年と生きてきたが宙を舞う経験はまだ無かったな。これは……意外に楽しい」
腕組みをしたままふわふわと浮かぶ『特異運命座標』翁(p3p008177)。
「このままひと眠りと行きたいところだが、騒音の所為で快適な眠りになるとは言い難いし、コットンハウスとやらが壊れれば妖精の粉の効力も弱まるかもしれん。……俺に対して害を与えるというのなら全力でソレを排除するだけだ」
翁は拳に力を込めると、なにもない空を蹴ってベルゼクルスたちへと突撃していった。
「ほえー、みんなめっちゃ行くじゃん」
「そういう人たちだからねぇ」
コットンハウスから顔を出すコットン。『特異運命座標』シルキィ(p3p008115)は羽根をぷるぷるとやって空を飛ぶと、身体のあちこちを自らの生み出した糸で包んで防御を固めていく。
そして、ベルゼクルスたちへと目を細めた。
「虫同士だけど、キミ達とは仲良く出来なさそうだねぇ……ともだちのお家を荒らすのは許さないよぉ、覚悟してねぇ」
ぐん、と身体を縮めたかと思うとシルキィは見えない壁を蹴って飛び出した。
●天地無用の防衛戦
「虫――ほんっっっっっと嫌!」
ティリーはライフルに魔術炸裂弾を装填すると、コットンハウスにはりついたベルゼクルスたちめがけて発射した。
広がる花火。夢中になって食らいついていたベルゼクルスたちが驚いて飛び退き、その一部がティリーたちへと警戒の目を向け始める。
複眼が大量にむく様子にウッと顔をしかめるティリー。
リュティスはそんな彼女の前に割り込むようにスライドすると、黒い魔矢を発射。
コットンハウスに張り付いていたベルゼクルスの背に突き刺さり、小さな蝶の群れになってベルゼクルスを包み込み始める。
混乱して暴れるベルゼクルスに、シルキィの放った糸が絡みついた。
糸を伝って雷の魔力が伝達。バチンという音と共にベルゼクルスが真っ黒に焦げ付き、転げるように落ちていく。
「倒すことはたやすいですが、このままではキリが無いですね」
「今はコットンハウスに夢中みたいだからねぇ」
「まずは表面に張り付いてる連中を引き剥がそう。こちらに注意を向けさせるんだ」
クロバはコットンハウスの頂点へ着地すると、夢中で食いついているベルゼクルスめがけてガンエッジをたたき込んだ。
一匹叩き潰し、二匹目――と剣を振ったところで手首をかぎ爪状の手に捕まれた。
「――ッ!」
歯を食いしばるクロバへ群がり始める周囲のベルゼクルス。
シャルレィスはその横を突風のように通り抜けながら、ベルゼクルスたちを次々に切り裂いていく。
「大ぶりなスタイルにこういうチクチクした戦いは相性わるいかも。お互い気をつけようねクロバ君!」
「……ああ、そうしよう」
背をつけあい、周囲に注意を向けるシャルレィスとクロバ。
飛びかかってきたベルゼクルスの背に、魔矢と銃弾が浴びせられ、伸縮性の高い糸が巻き付きコットンハウスから離れた遠くへと放り投げられていく。
シャルレィスたちの周りに集まってくるティリーたち。
「攻撃をしかけて注意をひけばいいんだねぇ?」
「りょーかい☆ そういうことなら」
カナメが剣を振りかざしてベルゼクルスに殴りかかり、げしげしと蹴りつけた。
蹴りつけてから、人型のバッタをどう煽ったもんかと首をかしげ……。
「うーん? えーっと……ば、ばーか!」
「ギギッ!」
首を180度回転させ、かぎ爪のついた手で斬りかかってくるベルゼクルス。
「うわあ本当にきた!」
「結構ではないか」
翁の鉄拳がベルゼクルスの頬部にたたき込まれ、顎を粉砕していく。
「……なんだ、恐ろしく脆いな。子供の顎とてこうはいかんぞ」
「楽……なのかなあ?」
カナメは剣のトリガーをひきぼうっと刃に炎を纏わせ、身構える。
そこへ、シルヴェストルがどこか慣れた様子で通り抜け、踊るように両腕を振ってベルゼクルスたちを攻撃していった。
シルヴェストルは空間を爪でひっかくかのような動作で離れた位置に居るベルゼクルスたちを切り裂く。
「あの生物、ハウスから引き剥がすと言わず、この世から叩き落とす方が手っ取り早いかな。
ごっそりと数を減らされたら、嫌でもこちらを脅威として見てくれるだろうし」
その狙いが功を奏したというべきか、彼女たちを無視してコットンハウスの破壊にばかり集中していたベルゼクルスたちがコットンハウスから飛び退き、改めて戦闘の陣形をとってシルヴェストルたちを狙いはじめた。
ここからは、今まで通りにはいくまい。
●疾風怒濤の空中戦
コットンハウスの破壊をやめ、あらためてシルキィたちへの敵対行動をとりはじめたベルゼクルスたち。
彼らは体長50センチ強という小ささでありながら集団での行動に優れていた。
ジグザグに飛行するカナメを追い詰めるように回り込み、四方八方から飛びかかってはかぎ爪の手を食い込ませたり噛みついたりといった攻撃行動をとりはじめる。
「ああぁ~! ちくちく痛気持ちいいー……えへへ、もっともっとぉ……♪」
常人なら身の毛もよだつ体験のはずだが、カナメはむしろ喜んでいるように見えた。
一通り楽しんだ末、『ガンブレイズバースト』のトリガーを握り込んで炸裂術式を発動。ベルゼクルスをまとめて斬り付けると、うち一体を貫いて別の個体へと叩きつけた。
「交替だ。任せろ」
翁はカナメと入れ替わるように前へ出ると、固めた拳でベルゼクルスへと殴りかかっていく。
そんな翁を取り囲んで一斉攻撃の構えをとるベルゼクルスだが……。
「来るか。まあいい……」
対する翁は手刀の構えへと転じ、襲いかかってくるベルゼクルスの攻撃を器用に受け流しながら鋭いカウンターを次々に打ち込んでいった。
「手間になるが味方が減るのは痛い。それに新参者の俺ならレベルも低いし、戦力も高くない……捨て駒とするならこちらからだろう」
こんな風に言っては居るが、彼の立ち回りはベルゼクルスたちに対しては非常に優れたものだった。
一生懸命に群がるベルゼクルスを四方八方に迎撃しながら――視線だけで『今だ』とシグナルを送る。
受け取る先は彼からやや距離を離していたリュティス、シルヴェストル、そしてシルキィの三人である。
「三方向から囲もう。交差地点を複数作れる」
「いいアイデアです」
「じゃあわたしはこっちから行くよぉ」
まっすぐにツッコミ、翁をギリギリかするようなラインを見極めて両手を突き出すシルヴェストル。
血色の魔方陣が複数現れ、ダイヤルのように小刻みに回転を始めた。
「一気に行くよ」
ため込んだ魔力が解き放たれ、血色をした蝙蝠の群れがベルゼクルスたちを次々に食いちぎっては通り抜けていく。
かと思えば、攻撃ラインと交差するように側面に回り込んだリュティスがひときわ太く強力な魔矢を形成。
「どうやら人型をしている割には知能が低いようですね。ひとつの対象に群がる修正が抜けきっていません。それが隙になるとも知らずに」
魔弓『宵闇』の弦をつよくひき、漆黒の矢を解き放つ。
まるで海を駆け抜ける美しい魚のように、ベルゼクルスたちの肉体を次々に貫いてはゆるやかに蛇行しながら数十メートル先まで走って行く魔力の矢。
矢が最後に突き刺さったベルゼクルス個体の胸で止ま――ったかと思いきや、そのすぐそばに回り込んでいたシルキィが両手から白い糸を無数に発射した。
眼前のベルゼクルスはもとより、そのずっと先に密集していた無数のベルゼクルスたちに絡みつけ、最も遠いところではシルヴェストルのコウモリにやられたばかりのベルゼクルスの首へと絡みついた。
「びりっと行くよぉ」
立てた指をきゅうと引くと、シルキィの腕から発した雷の魔術がベルゼクルスたちへと伝達。テーザーガンの要領で彼らをまる焦げにしていった。いや、対象をまる焦げにするテーザーガンなどないが。
それぞれの交差地点にいたベルゼクルスたちが墜落。
効率的なトライアングルショットをきめた三人は、すぐさまティリーへと場を譲った。
「ほんっっっとに、虫なんて大っ嫌い!!」
ライフルを水平散弾モードに切り替え、シェルを装填。
射撃の気配を察して飛び退いた翁やカナメたちを確認すると、即座にベルゼクルスたちへと発射した。
振り返り一斉に食らいつこうとしたベルゼクルスたちへゼロ距離から放出された弾が水平に拡散。限定されたキルゾーン内のベルゼクルスたちの胴体を無慈悲に粉砕していく。
残りわずかになったベルゼクルスが、ギギギと鳴いてコットンハウス内へと逃げ込もうと飛び出した。
が、それをみすみす逃がすクロバたちではない。
「――滅ぶのはお前らだ暴食の蟲たちだ。ただ生きてるだけかどうかは知らないけど、俺らの前に立ってしまった事を本能的に悔いるんだな!!」
「その通り! このおうちも、仲間も絶対にやらせるもんか! どうしても狙うっていうなら、まずは私が相手だ! かかってこいっ!」
前方をシャルレィスが、後方をクロバがそれぞれ挟み込む形で回り込み、同時に剣を繰り出していく。
大ぶりな二人の斬撃をベルゼクルスは大きく回避し、シャルレィスの肩へと食らいつく……が、シャルレィスは歯を食いしばってこらえ、短剣をベルゼクルスの胴体へと突き立てた。
「クロバ君、パス!」
「――よし!」
剣から遠心力で抜く要領で放り投げると、ガンエッジをクロスしたクロバが飛んできたベルゼクルスをX字に切り裂いた。
●ティータイム
「汚れちゃったわ、まったくもう……」
身体を拭ったり湧き水で洗ったりするティリー。
その横ではクロバがコットンハウスのあちこちを見て回っていた。
「すぐに対応したとはいえ、そこそこ壊されてるな。補修したいけど、どうやったらいいんだ? この素材、木材じゃあないよな」
「……裁縫は最低限しかできないんだけど……貼り付けたり、繋ぎ合わせたりすればいいのかな?」
同じく表面をなでながら考えるシルヴェストル。
コットンはその周りをのんびりと飛びながら、それこそのんびりとした調子で応えた。
「んー? 糸かなんかをぐるぐるやったらよくない? 家なんて作ればいーんだしさ、それより遊ばん?」
「比重が軽い……」
物質に執着しないタイプなのだろうか。
そういえばベルゼクルスに家が壊されていた時も『やだあ』程度で済ませていた。
「糸なら沢山だせるよぉ」
シルキィが手から糸をまきまきしてはコットンハウスへ新たに巻き付けていた。
「やるじゃんシルシル」
「えへへー」
カナメは『この分なら大丈夫そうだな』と察して、あらためてティータイムを堪能することにした。
「お茶するんだっけ?」
「それもいいが……俺は寝かせて貰う。そろそろ眠い」
翁はフリーダムにコットンハウスの中にあった大きなクッションに横たわると、すやすやしはじめた。
家主からしてフリーダムなので全く問題はないらしい。
さておき。
「改めて、はじめまして、コットンさん。私はシャルレィス・スクァリオ。
コットンさんはシルキィさんのお友達なんだね」
「お茶は私が淹れましょう。よい茶葉を持ってきましたので」
リュティスが手慣れた様子でポットを暖めなおし、人数分のお茶をいれはじめる。
ふんわりと香るセイロン系の深緑茶葉。
シルキィはお菓子やましゅまろをかご一杯に広げ、早速みんなでティーパーティーを始めることにした。
また好きなときに遊びにくればいいね。
なんて、約束をしたりして。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
■成功条件
・コットンハウスの防衛
ベルゼクルスはコットンハウスに群がりダメージを与えます。
蓄積した建造物破壊ダメージが限界まで達すると依頼失敗となります。
そうならないように、ベルゼクルスを引きつけたり次々と倒したりしながらコットンハウスを守りましょう。
・妖精の粉
この戦闘中、コットンハウスから遠く離れなければ飛行しながら戦闘することができます。
また、コットンハウス周辺では飛行戦闘ペナルティが除去されます。
●ベルゼクルス
50~70センチのバッタとヒトの要素を掛け合わせたようなモンスターです。
といってもヒトっぽいのはシルエットだけで、性質は麦畑を喰らうバッタの群れそのものです。
彼らは数匹で1ユニットとして扱います。
攻撃手段は以下の二種です。
・むらがる:物至単【スプラッシュ5】【崩れ】
・くらう:物至単小ダメージ【必殺】
・ともぐい:HP大回復(消費AP大)
前半はとにかくコットンハウスにはりつくベルゼクルスを引き剥がして倒しまくるターンが続くでしょう。
しばらくそれを続けると、今度はベルゼクルスがこちらに攻撃対象をシフトさせるはずなので、スプラッシュや必殺攻撃に対応して戦うようにしてください。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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