PandoraPartyProject

シナリオ詳細

東の村ゴルドー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●廃村
 かつて、豊かな自然で栄えていた村があった。
 規模としては小さい村だったが、豊富に取れる作物、それらを栽培するのに適した温かい気候があり、住人は争いもなく平和な日常を送っていた。
 近隣には目立った外敵もおらず、たまにあるトラブルと言えば、ごく可愛らしい理由の物ばかりだった彼らにとって、争いは無縁の産物であり、想像する事も出来ないほどに平和な村だった。

 ――けれど。

 ある日、それは突然やってきた。
 土の中から現れたのは巨大なワーム。8メートルはあろうかというその怪物は複数現れ、村の作物を荒らした。
 村人が丹精込めて作り上げた畑も、作物も、そして肥料でさえも無茶苦茶にされ、そして、作物を食べ尽くした彼らは、あろうことか、まだ食べ足りないとでも言うように、村の 人々までも襲い、喰らい尽くした。
 たった一日の間に、その村はすべての命を儚く散らしたのだ。

 たまたまその日、村を離れていた一人の少年だけが、この惨劇から生き残ることが出来た。

 彼はワームの駆逐を貴族に嘆願したが、時既に遅し。
 貴族によって派遣された討伐隊が向った先で見た物は、破壊され尽くした村と、うち捨てられた人だったものの残骸だけだった。
 ワームは、既に満足したと言うかの様に忽然と姿を消しており、しばらくの間探索が行われたが、終ぞ奴らを見つける事は叶わず、探索は打ち切られた。

(悔しい……!)

 生き残ってしまった少年は悔し涙を流し、討伐隊に手伝って貰い、彼らの墓を建てた。

 これが、今から10年前の事である。


●ローレット
「集まってくれてありがとうなのです!今回もよろしくお願いします」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が努めて明るい声で真っ直ぐに言った。
「今回の依頼内容なのですが、内容はシンプルです。ワームという怪物をご存じですか?大きな芋虫って言った方が通じるでしょうか。彼らを討伐して欲しいのです」
 地中を潜る怪物として認識されているそれは、特別珍しい生き物ではないだろう。地中を潜り移動する以外は、ただの大きな芋虫でしかないのだから。
 ただ、気性は荒く、作物や地中の有益な虫などを喰らい尽くしてしまう、という問題は抱えているのだが。
「実はこのワーム、ちょっと因縁がある、というか……」
 ユリーカが目を伏せ、言葉を濁した。
「今から10年くらい前、ここから東に行った先にあった村、ゴルドーという所があったそうなんですが、その村がワームに襲われて壊滅したという事件があったのです。小さな村ではあったのですが、それでも100人くらいの人が犠牲になってしまい、当時の貴族も討伐隊を派遣しました。ただ、彼らが向った時には、既にワームたちは暴れ尽くした後でした。作物だけではなく、建物も倒壊しており、また村人はすべて食い殺されていたとの事です。生き残ったのは、その時たまたま村を私用で離れていた少年が一人だけ、でした。その後、独自に捜索をしていた様ですが、10年間全く音沙汰はなく。けれど、今年に入ってワームの目撃情報があったのです」
 そう言ってユリーカが取り出したのは、一枚の地図だった。大分古い地図の様だったが、おそらくかつての村があった際の地図なのだろう。
「知性があるとは思えないワームなのですが、どうやら廃村となったゴルドー付近にまた現れている様なのです。廃村ですので、誰も居ないのが幸いしていて誰も被害者は出ていませんが、近隣にも村はあるのです。もし、そっちに行くような事があれば、10年前の悲劇を繰り返すという事にもなりかねません。……確認できているワームは全部で2体なのですが、大きさがちょっと大きくて大体8メートルくらいあるそうなのです。動きは素早いですし力もありますが、ただ視力は無いみたいなので、その当りはつけいる隙はあると思うのです。あと、動くときには地鳴りの様な音がするそうなので、探知する事はそれほど難しくはありませんが、絶対に逃げないとは言い切れませんので、そこは注意してくださいなのです。廃村ですので、障害物は殆どあってないようなものですが、廃墟と化した木造の建築物とか、あと森もあるのです。暴れて壊しても支障はないので、好きに暴れて大丈夫なのです!」
 地図を渡されながら、君が視線を上げると、隅の方に一人の顔色の悪い男が見えた。
 彼、『蛍火』ソルト・ラブクラフト(p3n000022)は軽く会釈をすると、君たちに歩み寄る。
「あ、皆さんははじめましてですね。彼はソルト・ラブクラフトさんなのです。今回、ゴルドーへの馬車を操ってくれます。協力者って所ですね。ソルトさんは馬車を守るので戦闘には参加しないのです。ちなみに彼もイレギュラーズなのです。ウォーカーですよ。雑用とか頼めば喜んでやってくれるのですよ。ね、ソルトさん」
「よろしくなのだよ」
 すっと差し出された手を握ると、ソルトが照れた様子で笑う。
 悪い男では無さそうだったが、雰囲気からしてどうも人間では無さそうだった。
 あと、中々手を離してくれないのかは何故なのか、少し不安そうに見上げると、苦笑いのユーリカと目があった。

「ソルトさん、何でもいけるので気をつけてくださいなのです。……色んな意味で」

 少し不安になった君だった。

GMコメント

巨大ワーム2体の討伐です。
寂れた廃村が舞台で、一応建物の残骸はありますが、割とボロボロになっていて、朽ちかけています。
どんなに暴れても迷惑はかけないので、好きに戦えます。
一応、森がありますが、森は光が入りにくい事もあり、必ずしも有利にはなりません。
ただ、障害物としては使えなくもありません。

●ワームの特徴
今回地図と一緒にワームの特徴が書かれた紙を渡されています。

スキルは
・地中を潜る能力
・突進
・噛みつき
の3つしか確認できていませんが、特に毒などのバッドステータスはない模様です。
ただし、突進攻撃には吹き飛ばしがついています。

目は見えませんが、高い感知能力を持っており、地中から突進してきます。
しかしながら、動くときに、その巨体の関係上、地響きの様な音をたてますので、隠密性はあまりありません。

また、今回は先にワームが村に潜んでいる可能性があるため、罠など設置できるかは微妙な所です。

●NPC
ソルト・ラブクラフトが同行していますが、荷物番のため戦闘には参加しません。
話しかけられれば会話はしますが、主役はPCさんなので、本当にどうでもいい雑用などを申しつけ下さって構いません。おまけです。

  • 東の村ゴルドー完了
  • GM名ましゅまろさん
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月28日 21時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
ギルバート・クロロック(p3p000415)
オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)
メリサス街道の三日月悪魔
ティミ・リリナール(p3p002042)
フェアリーミード
赤羽・大地(p3p004151)
遺言代行
タツミ・サイトウ・フォルトナー(p3p004688)
TS [the Seeker]

リプレイ

●道中
 『蛍火』ソルト・ラブクラフト(p3n000022)の操る荷馬車の中、8人はそれぞれの思いでこれから遂行する依頼について考えていた。
「ワームかー。村一つ潰すなんて出来るもんですね」
『こそどろ』エマ(p3p000257)が外の景色をカーテンから眺めながら呟く。
「全長8メートルのワームですから。確かに、そんなものの襲撃を備えなくして受けたら人間はひとたまりも無いでしょうね……」
 『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)が苦い顔でそう呟いた。
 ウォーカーである彼女にとっては、ワームという怪物はあまり実感が沸かないのだろう。
(まるで絵に書いたような怪物の姿そのものですが、そういう世界であると今更驚く所でもないか)
 心の中でそう自身を納得させる。
「10年前の事ハ、俺達には関係ないガ、また幽霊しか居ない淋しいトコが増えるのハ、ぶっちゃケ、寝覚めも悪ィ……。以前、犠牲になった人達への餞、というわけでもないけど。引き受けたからには、しっかりと成し遂げないとな」
 『自称、あくまで本の虫』赤羽・大地(p3p004151)が 己の獲物である謳魔ヶ笛をそっと撫でる。
「ああ、長年の捜索がようやく報われたってワケだからな……同じようなことが繰り返されねぇよう、何とか討伐してぇな」
 その言葉に、『TS [the Seeker]』タツミ・サイトウ・フォルトナー(p3p004688)が強く同意する。
「大切な人を全て亡くして……たった一人生き残ってしまうって、どんな気持ちなんだろうね。ワームの寿命は知らないし、今回のワームは10年前のワームとは違うかもしれない、でも同じ悲劇は、繰り返させない。私達が、絶対に!!」
 『駆け出し冒険者』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)が、自身の眼帯を身につけながら、力強く意気込んだ。
「家族を失う絶望と恐怖はどれほど辛く苦しいものか私には分かります。悔しさ、悲しさ、奈落に落ちていく感覚。だから、絶対に仇をとってみせます」
 『儚き雫』ティミ・リリナール(p3p002042)もまた、決意を新たに胸に置いた手をぎゅっと堅く握りしめた。


●村への入り口
「ついたのだよ」
 ソルトが馬車から降り、荷馬車の入り口のカーテンを開ける。
 雲一つ無い快晴が広がっているのを見て、エマが太陽を遮るように手を翳した。
「日差しキツイですね。雨よりは良いですけど」
「そうですね。雨だと戦いもやりにくいですし、もしかするとワームに有利だったかもしれません」
 ティナが同意するように頷く。
「ソルト、だっけ。ここまでありがとう。馬車の事はよろしく。やべェって思ったラ、すぐに下がるんだゾー?」
 馬の鬣を撫でていたソルトが、大地の言葉に、ひらりと手を挙げて了解、と機嫌良く応えた。
 ソルトもイレギュラーズなので戦えるが、今回の彼の任務は荷物番と帰りの馬車の守護だった。
「村から少し離れた所に置いておいてくれよ。巻き込まれるからよ」
 タツミが、戦闘に巻き込まれない辺りの場所を視線で示すと、ソルトはそちらへと馬車を動かしていた。
 ソルトを見送ると、8人は村の中へと足を踏み入れる。
 今回の作戦は森側へのワームのおびき出しではあったが、まずは彼らに自身たちを獲物だと認識させる必要があるため、障害物の少ない場所に最初は行く必要があった。
「なかなか出会えないということはないとは思うが……」
 村の中へと足を踏み入れた、『梟』ギルバート・クロロック(p3p000415)が、注意深く辺りを見渡しながら呟く。
 獲物を追いかける本能のまま動くワームが、あえて人を避けるとは思わないが、一応最低限の知性はあるだろうと想定しての事だ。
 自然会話で近隣の植物に語りかけながら、周囲を探る。
 『Nyarlathotep』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)も同じく周囲を見渡す。
「蛆虫を屠る物語だ。怪物を殺す英雄譚だ。憤慨を彩る復讐劇だ。素晴らしい。我等『物語』が終幕の記号と頁を与えよう。我等『物語』が最期を齎そう。演奏すべきは巨大の末路。芸術活動の時間だ」
 独特な言い回しで呟くオラボナだが、彼もまたこの悲劇を終わらせるべく活動する事に同意している。 始まった悲劇の物語にもエピローグは必要なのだから。
 退廃した村の中を、それぞれ探索をはじめる。
 幸いな事に殆ど障害物はなかったものの、それでも朽ちた木造の家が所々にあるからだ。
 シャルレィスは、あえて足音を立てて村の中を探索する。
 音に敏感なワームたちを、前衛側が引き受けるのであれば、自身たちをアピールした方が良いと考えてだった。
 単純な相手ではあったが、念には念を入れてだ。
 だが、その作戦は正解だった。
 ズズズ、と地鳴りのような大きな音が響き、あからさまに地中を何かがくぐり抜けている音が聞こえたからだ。
 崩れ落ちた家の影にいたエマは、その音に視線を地面へとやった。

 ――ズニュウウウ!!!

 不可思議な気色の悪い音と共に、エマの足下から巨大なワームの口が彼女に向って襲いかかる。
「げ……!」
 身軽な跳躍で、エマはその攻撃をすんでの所で交わし、朽ちかけた家に足をかけ、飛び退いた。
「エマ様!」
 振動に気付いたアリシスが大きな声をあげるのと同時、周囲を探索してたメンバーも走り寄ってくる。
「まずは一匹」
 オラボナが獲物を認識し、視線を森へと一度やる。
「物語を始めよう。違うな。物語に終わりを」
 パワードレジストを唱えたオラボナに呼応する形で、タツミがマークとブロックでワームの進行方向を誘導する。
 挑発するためにあえて大きな足音を立て、朽ちた建物を回避し、森の方角へと歩を進める。
 大きな地鳴りは鳴り止むことがなく、その巨体に似合わない俊敏さでタツミへと襲いかかる。
「でけぇな……!」
 8メートルの巨体は伊達ではなく、直撃すれば、タダではすまないだろう。
 距離をあえて取った大地は、遠術を巨体へとたたき込んだ。

 ーーキィ!

 耳障りな金属音に似た僅かな悲鳴らしきものは聞こえたものの、致命傷にはまだなり得ない。
 尾側の巨体が後方にいたティミへと襲いかかる。
 巨大な鎌でガードしたティミは僅かに後ろへと吹き飛ばされるが、それくらいで倒れるほどティミは柔ではない。
 すぐに体勢を立て直すと、ワームを追い立てる。
 ミスティックロア後の遠術で、大地と共に攻撃し、ワームへと裂傷を作り出した。
 オラボナの勇壮のマーチが戦場に響き渡った。


●2匹目のワーム

 森への道の途中、新たな気配が地面に現れたのを敏感な聴覚で感じ取ったギルバートは声を荒げた。
「もう一匹じゃ!」
 その声に先行していた大地、タツミ、ティミが視線をやるものの、1匹目がまだ獰猛である以上、そちらへと意識を裂くのは難しかった。
「2匹目は私が前衛張るから!大地たちはそっちお願い!」
 獲物のロングソードを握りしめたシャルレィスが、2匹目のワームへと距離を詰める。
 巨体の頭部に格闘でロングソードを突き刺すと、緑色の血が周囲へと飛び散る。

 ーーグウウ……ッ!

 うなり声をあげた2匹目のワームが、シャルレィスを振り払う。

 2匹とも、森の方角へとその巨体を進めている事から、おびき出しは成功していた。
 ギルバートの魔弾が2匹目のワームの体を焼き、シャルレィスが前衛で音をたてて2匹目のワームを誘い出す。
「……っ!」
 シャルレィスの身体が、吹き飛び僅かに体勢を崩すのを見たアリシアが、その可憐な容姿に似合わない俊敏な動きで、戦乙女の槍で2匹目のワームへと斬りかかる。
 戦乙女の槍は、この世界に来た際にその殆どの力は失ってしまってはいたが、それでも頑丈かつ強靱な槍である事には変わらない。
 目のないワームであったが、その一撃は確かに効いていたのだろう、不快なカナキリ音をたてていた。
「アリシア様、大丈夫ですか……!」
「大丈夫。ありがと!」
 シャルレィスは力強い声で応える。
「勇ましい娘さんたちだのう、本当に」
 魔弾の詠唱を唱えながら、ギルバートが感心した様子で呟いた。
(負けてはいられぬのう)

●まちぶせ
 最初に襲われた後、身軽な動きで森へと先んじて潜んでいたエマが樹の上からワームたちを見下ろす。
「えひひ。なんとも、強烈ですね!」
 遠目からでもワームたちの強烈なパワーは見えていた。
 メリメリと音をたて、ワームたちは地面を、辺りの植物をなぎ倒していくのだ。
(さすがにあれ直撃したら死にますよね、死にたくないし!)
 8メートルの巨体の直撃など喰らえば、下手すれば意識を失いかねない。
 だが、時に無謀な作戦とはいえど、思い切りも大事である。

 一匹のワームが力を貯めるために地面に潜ったのを確認すると、ワームの出てくるタイミングを注意深く観察する。
 獲物のダガーとマインゴーシュを握りしめ、奇襲の、その機会を伺う。
「大地、そっちに向かってるぞっ!」
「分かってるゼ……!」
 地面へと潜ったワームが大地を狙い、地面からその巨体をねじり出す。

 ーーせーの!

 エマが樹から勢いよくワームに向って飛び降りる。
 全力の奇襲攻撃だ。
 握りしめた獲物2本で、ワームの巨体、おそらく頭部にあたる部分を全体重と飛び降りの勢いで突き刺す。

 ーーピギャアアアア!

 一際大きい声が周囲に響く。
 緑の血がプシュウと周囲へと激しく飛び散り、植物を染める。
 ビクビクと体を軋ませながらも、それでも自身を傷つけたエマに対する殺意から、その身体を懸命に震わせ突進する。
 よろめきながらもそれをかわしたエマが、正面を避けるように位置取った。
「逃げる暇があるなんて思ったら大間違いだぜっ! これで沈みやがれっ!」
 明らかに弱っているワームを追い詰めるべく、タツミが地面を蹴った。
「おっとト、こいつは負けてられねぇな!」
 ニィと笑った大地もまた、大ダメージを与えるべく、死者の怨念を束ねる。
(怨念、カどうかはさておき、なぁ!)
 ネクロマンサーとしての力が、大地に彼らの思いを伝えていた。
 その力は確かな威力となり、ワームへと襲いかかる。
 呪殺の一撃を受けたワームは、巨大な身体を激しく震わせた。
 ぎこちない動きをした後、逃げるために地面へと潜ろうとするワームの頭上に飛び上がったタツミが、二本のソードブレイカーでその巨体を地面へと叩き付ける。
 本来は刀をへし折るための武器だが、柔い肌のワームにとっては致命傷だった。
 そして、同時に振り上げたエマの一撃が、ワームの命を絶った。

●残り一体
 1体が地面へと倒れる大きな音が響く。
「我等『物語』が執筆者だ。全体を把握するのは『不変』で在る」
 援護を主軸としたオラボナが、全体を見渡しそう言った。
 2匹の内1匹はすでに倒れ、残りは1匹。
 仲間を失ったワームは、怒りなのか、それともただの本能なのだろうか、激しく身体を軋ませる。
 ギフト「娯楽的恐怖」によって生み出された極彩色の蠢きがワームの周囲を彩る。
 ワームに恐怖というものがあるのかは分からないが、その不気味な攻撃に、ワームは不快そうに、歯を鳴らした。
 体を蠢かせると地面へと潜ろうとしたところを、ティミの遠術が大きな音をたてて威嚇した。
「絶対に逃しません!」
(ここでワームを止めなければ悲しむ人がまた増えてしまいます! それは絶対防ぎます)
 強い意志を持ち、ワームをきつく睨み付ける。
 大切だった人を失った過去。残された一人の村人を少し自身に重ねたのもあったのかもしれない。
 この哀しみの連鎖をここで断ち切りたかった。
 ティミにとって、本当は戦場は怖い。
 恐怖で足が震える。
 けれど、手足枷と首輪を嵌めて感情を封印している今は、強く居られる。
 サイズを握りしめたティミが、距離を詰める。
「援護するぞ!」
 離れた場所より、ギルバートの魔弾が放たれる。
 1匹のワームに対し、こちらは8人。
 もはやワームにはどこにも逃げ場などなかった。
 アリシスとシャルレィスが、ワームの後方から回り込み、獲物で一撃を喰らわせる。
 地面に逃げる事もできず、無茶苦茶に巨体を震わせるワームだったが、その動きは次第に精細を欠いていく。
 力の込められたティミのサイズがワームの身体を裂く。

 ーーピギャアアアアア!!

 断末魔の声が響くと同時、逆再生の力によって、ワームの身体がぼろぼろと崩れはじめる。
 滅び行く過程で苦しむワームを見つめたアリシスが、戦乙女の槍でその身体を貫く。
 かの戦乙女が、ヴァルハラへと導くかのように。

 もはや、ワームは悲鳴を上げることもなく、そのまま地面へと倒れ、二度と立ち上がる事はなかった。

「復讐『物語』は決した。我等『物語』を導いた感情に拍手を。蛆虫の死に拍手を」
 大地に伏した2体のワームを見下ろし、オラボナが語る。
「終わった、んだね」
 ロングソードを鞘に納めながら、シャルレィスが、ふぅ、と息を吐いた。
 見渡せば、2匹の死骸が無残にも大地に倒れている。
「逃がさなくて良かった。これできっと村の人たちも、残された人も救われる、よね」
「これで、無念が晴らせたのか、分からないけど、無事に仕事が果たせたなラ、マ、上々って所だロ」
 大地が同意するようにシャルレィスの肩を軽く叩く。
 見れば全員土埃などでぼろぼろであったが、幸運にも重傷者はいない。
「えひひひ。筋肉痛はありそうですけどね」
「とりあえず皆無事じゃし、問題はないじゃろう」
 ギルバートが苦く笑う。
 倒されたワームたちの一部を袋に入れ、残りの遺体については森の中に埋葬された。
 モンスターとはいえ、死骸を晒しておくのは気が引けたからだ。
 たとえモンスターと言えど、最低限の尊厳は守らなければならない。
「芸術は此処に終を得た。静かな幕閉じは悦ばしい」
 残るのは静かな平穏だけ。
 モンスターの居なくなった村は、また静かな廃村へと戻ったのだった。

●エピローグ
 その後、アリシスの提案で、村人たちの墓を探したところ、難なく墓は見つかった。
 決して豪華な墓ではないが、綺麗に整備された一画に、彼らの墓はあった。
「この村にワームが再び現れた理由、気にはなる所です」
 アリシスの呟きに、エマが、そうですねぇ、と唸る。
 確かに10年も経過してまた現れるなど、何か理由があってもおかしくはない。
「ワームの目的となる場所が此処にあると言う事かもしれません」
「どう、でしょう。理由はあるかもしれないですが、モンスターですから、ね」
 ティミが少し考えた様子で、当りを見渡すが、周囲を探索してみても、特に何か特別な物は現れなかった。
「何カあれば、また探索隊か何かガ作られるだろ。……今はサ、祈ってやろうぜ」
「そう、ですね」
 大地の言葉に、アリシスが頷く。
 墓はおそらく定期的に誰かが整えているのだろう。
 合流したソルトを含めた9人が祈りを捧げるために墓の前に立つ。
「わしも仕事で善悪を超えて殺生をすることも有るが、この村に降り掛かった災厄は同情を禁じ得ないな」
 ネクロマンサーとしての能力で、ここで死した魂へと鎮魂を祈る。
「村の唯一の生き残りが我々に助けを求め、お前たちの仇を取ることができた。
安らかに眠るが良い」
 馬車から現れたソルトが、用意していた花束をシャルレィスへと渡す。
 彼女が事前に用意を希望していた物だ。
 墓前に花を手向け、祈る。
「村で暴れるワームは倒しました……今度こそ安らかに眠ってください。そしてどうか、その眠りが再びワームに脅かされる事がありませんように」
「これで被害者が少しでも浮かばれたらいいな…… 」
 タツミもまた、彼らへの祈りを捧げた。

 ――ヒュウ。

 霊魂疎通のないメンバーには、ここで死した無念の村人の事は見る事も、その声を聞くことは叶わなかったが、そよぐ優しい風の音が、彼らの魂が、まるで「ありがとう」と言っている様に聞こえた。

 けれど、アリシスだけははっきりとその霊視眼で見ていた。
 村の少女だろうか、まだ10代のその娘が、にっこりと微笑みながら、去り逝くイレギュラーズに手を振っていたのを。
 遠ざかる村を見つめながら、アリシスは静かに頭を垂れた。
(安らかに)

 彼らが去った後、そなえられた花たちが、その風に乗り空へと舞い、そのまま空へと消えていった。

10年前の弔いはここに完遂した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂き、ありがとうございます(`・ω・´)
ワームは無事に討伐されました。
10年前の生き残りの村人の宿願は叶い、亡くなった村人も無事に成仏出来たと思います。
またよろしくお願いします。

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