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シナリオ詳細

くっ、コロッケなんて!? 女騎士と揚げるくっころコロッケ

完了

参加者 : 12 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●欠乏なんかに負けたりしない!
「よし、これだけあれば……」

 蛇牙芋(スネークファングポテト)を収穫し、女騎士はひとまず安堵した。
 蛇牙芋は、ほくほくして食味も良い。実際、試食した。
 採れたての蛇牙芋で作った蛇牙バターは最高に美味かった。
 だが、ほかにも芋料理にはバリエーションがあるはずだ。
 蛇牙芋は、揚げると美味い。やはり揚げ物への挑戦は避けては通れない。
 オークやゴブリンの襲撃によって作物が荒らされることもある。
 蛇牙芋は、救荒作物となり得る。
 飢饉や災害などに備え、備蓄が効くし荒れ地でも育つ。
 人々を飢えから救いたい、そんな思いで蛇牙芋を収穫してきた。
 襲ってこない蔓のものを選別すれば、安全な芋に品種改良できるかもしれない。
 ものは試しである。
 そして、この芋を使った美味しい料理を広め、人々を救おうというのだ。

「騎士様、この量を料理するのは大変なのでは?」

 女騎士つきの従者が言った。
 まだあどけなさの残る少年であり、女騎士に憧れの視線を向けるひとりだ。
 女騎士は勇敢なせいで、よくピンチに陥る。
 少年従者は、その度にどきどきしっぱなしである。
 今度は芋を料理するのだから、女騎士も安心安全だ。
 しかし、女騎士の表情は冴えない。

「そ、そうだな……」

 女騎士は、別の意味でピンチなのであった。
 料理の腕は、からっきしなのである。
 芋の皮を剥こうとすると、サイコロみたいになってしまう。
 そのうえ、レシピもよく理解できない。

「騎士様、芋を使ったお料理で“コロッケ”なるものが美味しいそうですよ。揚げ物だそうです」
「くっ、コロッケか! しかも揚げ物はハードルが高い!!」

 くっ、コロッケが揚げられない――!
 てなわけで、女騎士はローレットへ向かうのだった。

●求む! コロッケなんかに負けたりしない者
「あの、女騎士様からの依頼です」

 『新米情報屋』ユーリカ・ユリカ(p3n000003)が、女騎士を連れだってやってきている。
 今回の依頼人は、この女騎士だ。

「材料はひと通り揃えた。私とともに、コロッケなる揚げ物を作り、試食してくれる者を求めている!」

 女騎士がコロッケを揚げる有志を求めている。
 そして食べ物を余すことなく平らげてくれる者を。

「これは、民を救うための試みなのだ。どうか、手を貸してほしい」

 救荒作物とその調理法を広め、民を飢えから救うという目的がある。
 コロッケを揚げることは、騎士道世親に則っとった崇高な行いなのだ。

「その、私も得意料理のひとつくらいは覚えておきたいので……」

 最後、ちょっともじもじしながら小声で言った。
 女子だから料理ができなければならない、などということはないが女騎士も人の子ゆえ、お料理女子への憧れはあるのだ。
 コロッケとか、特に喜んで食べてくれる者が多い料理である。

「そういうわけで皆さん。女騎士様を助けてあげてください」

GMコメント

■このシナリオについて
 皆様こんちは、解谷アキラです。
 今回は、深緑で収穫した蛇牙芋を材料として、女騎士と一緒にコロッケを揚げるイベントシナリオです。
 揚げたコロッケは、美味しくいただきましょう。

・蛇牙芋(スネークファング)
 芋のモンスターです。
 凶暴な蔓を持っていますが、収穫したのでもう普通の芋と一緒です。
 芋の部分は通常の芋と同じく地下茎で、食用に使え、我々の世界で言うキタアカリ並みのお味です。
 煮崩れしやすいところも似ています。

・女騎士と従者
 蛇牙芋を収穫したい依頼人とその助手です。
 女騎士には民衆のために芋を収穫し、調理法も広めようという崇高な目的がありますが、いかんせん料理下手です。
 女騎士は、剣は研げますがお米は研げません。
 レシピの「適量」や「少々」が理解できず、レシピはその場で見れば大丈夫と思っています。
 砂糖を入れすぎたら塩を入れると中和されると思っており、火加減は強火しかないレベルです。
 従者くんは皮剥きはできます。
 皆さんでコロッケを揚げ、食べてやってください。

  • くっ、コロッケなんて!? 女騎士と揚げるくっころコロッケ完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年03月03日 22時05分
  • 参加人数12/∞人
  • 相談5日
  • 参加費50RC

参加者 : 12 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(12人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカ(p3p000996)
悪食の魔女
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
シルフィナ(p3p007508)
メイド・オブ・オールワークス
ロべリア・ハンニバル(p3p007793)
悪意の華
天晴・晃太郎(p3p007902)
太陽神ステーキ
ノックス・ラクテウス・オルビス(p3p007987)
究極のヒモ
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ルリム・スカリー・キルナイト(p3p008142)
勇気のチャロアイト

リプレイ

●コロッケを揚げるために!
 収穫した蛇牙芋(スネークファングポテト)が、大量に積まれていた。
 このうち、凶暴そうでない芋は種芋に回して品種改良の予定である。
 それ以外の芋は、女騎士が募集したローレットイレギュラーズの手によってコロッケにして揚げられる。

「よく集まってくれた。この芋をコロッケとして料理し、民衆を救う料理として広めたい――」

 女騎士は高い志を語った。
 しかし、語ったはいいが肝心なことができないでいる。

「その、恥を忍んでいうが……私は料理が苦手だ!」

 思えば、剣や乗馬など、武術ばかりに打ち込んできた騎士見習い時代。
 オークに捕まっていろいろ覚悟したときも、少しくらいは女の子らしいことをやっておけばよかったかな? もしかしたら別の人生があったかもしれない、などと考えたことがあったのだ。
 そして、芋を料理するときの第一のハードルが皮剥きであろう。
 女騎士の場合、包丁の握り方からして危なっかしい。

「こんにちは、レディーナさん! 半分乗りかかった船なのです。先日に引き続き、お手伝いさせて頂きます」
「レディーナ様、ご機嫌麗しゅうございます」
「ありがとう! 収穫に続いて料理まで手伝ってもらえるとは、手間をかけるな」

 ドラマ・ゲツクとシズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカがまず女騎士に挨拶を交わした。
 この蛇牙芋をともに収穫した仲である。
 手伝いにやってきたメンバーがメイドの格好とかしていると、家事全般ができそうで女騎士からしても心強い。

「料理を広めようとする心意気は良い事。レディーナ様、友人としてお手伝いさせてくださいませ♪」

 そして、女騎士の救出にも尽力した津久見・弥恵。
 オークの魔の手から救い、芋を掘り、今度はコロッケを一緒に作る……。
 友だちができたみたいで嬉しい女騎士であった。

「初めまして、レディーナ様! 私キルロード男爵家が長女、ガーベラ・キルロードと申します。以後、お見知りおきを」
「いやいやいや……ガーベラお嬢様、何でこんなキルロード家にほとんど利益のないご提案を?」

 キルロード男爵家のガーベラ・キルロードとこれに付き従うメイドのロベリア・ハンニバルであった。

「農家として救荒作物は大変貴重です。そしてそれを美味しくいただき、民を救おうというレディーナ様のお考え……大変に共感したのですわ。オーホッホッホッ!」

 人々を救うという高い志、ほぼ農家という没落貴族であるキルロード家にあってもノブレス・オブリージュの精神は忘れないのである。

「オーホッホッホ! レディーナ様! お久しぶりです! ルリム・スカリー・キルナイト、騎士の先輩の危機と聞き付け微力ながらお手伝いにきました! よろしくお願いしますね!」

 そして姫騎士を目指そうというルリム・スカリーキルナイトも蛇牙芋を料理しようとやってきた。
 従兄弟同士の高笑いが輪唱され、大変に華やかである。

「ぶはははっ、民のためにコロッケ作りてぇとはなかなかに良い心掛けじゃねぇか!」

 巨大な影が、のっしのっしとやってくる。
 オークだ、女騎士の天敵とされる種族である。

「むっ!? オークだと!」

 思わず身構える女騎士レディーナ。
 かつてオークの砦に捕らえられた屈辱の記憶が蘇る。

「……あ、ゴリョウさんは良いオークさんなので大丈夫ですよ! 美味しいお米を卸してくれますし!」

 コロッケの下準備に取り掛かるシズカがフォローした。
 不倶戴天の敵ともいえるオークであるが、十人十色というように、悪いオークもいればいいオークもいる。

「いいか悪いかは知らねえが、あんたのことは気に入った! バッチリ手伝ってやるぜ!」

 サムズアップを決めるオークのゴリョウ。
 その決まりっぷりに、女騎士も思わず警戒を解いた。

「そ、そうか。まずは芋を剥かねば」

 芋は大量にある。
 その中から品種改良了の芋を選別する。
 話によると、キルロード家には農園があり、ガーベラもまた豊富な農業の知識があった。選別を手伝ってもらう。
 そして、いよいよ調理に入る。

●芋を剥く、茹でる、揚げる!
「何処かの世界だとコロッケは台風の時に食べる食事、みたいな風習があるみたいだけど……」

 料理の会場は、野外である。炊事場は女騎士が所属する騎士団の兵舎だ
 長月・イナリが空を見上げると、気持ちの良い晴天であった。

「……台風ないのね」

 何故か残念そうなイナリであった。台風の時はコロッケ、そんな伝説がある。
 まあ、それはそれとして芋を洗って剥かねばならない。
 黙々と下準備だ。

「んじゃ、頑張って作りますか。よろしくお願いします、天晴・晃大朗です」

 天晴・晃太郎はコックの格好でやってきた。
 まだ少年の面持ちであったが、その堂に入った雰囲気は女騎士レディーナからしても頼もしい。

「まず身支度、手洗いからと」

 エプロンの付け方と、料理人として重要な手洗いも指導する。
 そして、道具の選別も指導する。
 さっそく、その横で見事な手付きで芋の皮むきを行なうメイドがいた。シルフィナである。
 今回、メイドの方々の参加が多い。

「すごい、芋はああやって剥けばいいのか? にしても、ペース早くないか?」
「コロッケ……たべたいからです!」

 答える間にも、シルフィナによって剥かれた芋が、どんどん積み上がってく。
 コロッケは、シルフィナにとっては思い出深い料理であった。
 メイドとしての賄いで野菜屑を使ったコロッケ、初めてのお給金で買ったコロッケ……。そんなコロッケを作って食べるためには、全力を尽くすのだ。

「コロッケは奥が深い……。俺も元居た世界じゃ中々苦戦したものだ……」

 芋を洗い、剥きながら呟くのは上谷・零である。
 結構いろいろな食べ方、料理方法があるのがコロッケという洋食である。
 その脇で、ウスターソース、タルタルソース、トマトソース、ケチャップソースなど、色とりどりのソースを作っているイナリの様子を見ると尚更そう思う。

「くっ、どうすれば……」

 皆が手際よく芋の皮むきを進めていくのを見て、女騎士は焦っていた。どうしても分厚くなってしまう。

「レディーナ様、料理とは一種の戦です。レシピという名の綿密な作戦の下、いかに普段の努力を十全に活かせるか……それが大事です」
「そうか、やはり刃物を使う以上戦なのだな!」

 ルリムの言葉に何かを開眼した女騎士レディーナである。
 少なくとも、苦手意識は克服した。

「そうです。レシピとは剣術でいう型のようなもの、基礎が蔑ろですと不格好になっちゃいますよ?」
「あっ……」

 女騎士レディーナの手を取り、弥恵は芋をゆっくりと剥く方法を教える。

「ふふ、こうしてると口説いてるみたいですね」
「そ、そんなこと……あっ」

 女騎士の背後から回り込んで、手とり足取り包丁の握り方を囁く。
 なんかこう、距離が近い。触れ合うたびに吐息も絡み、視線も交わる。
 とぅんく……高鳴ってはいけないところで胸の高鳴りがあった。

「包丁が使えなくても、ピーラーというものがあるのです」
「そ、そんな便利なものが!?」

 ちょっとドキドキしていたが、ドラマがお勧めのピーラーで皮を剥く。

「……これなら、私にもできるぞ!」

 女騎士は快哉を叫んだ。
 ピーラーを使うことで芋の大部分を残して皮を剥けたのだ。
 後は、茹でてコロッケの形に整え、パン粉をまぶして揚げるとできあがりである。

「だが、この胡椒少々とか塩ひとつまみとかいう分量がわからない、わからないんだ……!」

 苦悩する女騎士に、助け舟を出したのはノックス・ラクテウス・オルビスであった。

「簡単さ。ひとつまみは親指、中指、人差し指でつまんだ量のこと。少々とは親指と人差し指でつまんだ量のこと」
「そ、そうだったのか!」
「大丈夫、やり方さえ覚えたら簡単だよ」

 重大な気づきを得た女騎士である。
 芋を大量に茹で、マッシュポテトを作り、ひき肉、炒めた玉ねぎと混ぜ合わせ、小判の形に整形していく。

「甘い南瓜コロッケや野菜コロッケも好き、クリームコロッケも好き! メンチコロッケは牛肉も合挽肉も大好き、シンプルで王道にして至高である芋コロッケは大大大好きです!!」

 シルフィナもコロッケの形を整形し、好みのものを仕上げていった。

「これ、意外と難しいな……」
「そこでお勧めなのがまぁ俺と言えばこれだよな。米だ!」
「なん、だと……!?」

 ゴリョウのワンポイントアドバイスが決まった。
 米をつなぎに使う、その発想は女騎士にはなかった。

「いーざすーすーめやー……♪」

 シズカが鼻歌を歌いながらコロッケの形を整え、溶き卵にタネをくぐらせてパン粉をまぶす。
 ついつい力が入ってコロッケを握りつぶしてしまいそうな女騎士であったが、最新の注意を払う。
 そしていよいよ難関、コロッケを揚げるステージに突入する。

「油も準備できたぜー」

 天晴・晃大朗が、太陽熱で揚げ油を用意していた。

「鍋肌から、滑らせるようにするっとな!」
「おおっ!? くっ……こんなに揚がってしまうなんて」

 ゴリョウの手付きを倣い、感嘆の声を上げてしまう女騎士。
 我慢してても、出ちゃった声だ。
 イナリは、人形に整えたコロッケに揚げるのを手伝わせている。やはり、コロッケのことをはコロッケにやらせるのがいい。
 そうして、次々とコロッケが揚がっていく。

●いざ実食
「上手に焼けましたー!」

 正確には揚がったわけだが、やはりこの言葉で締めたいドラマであった。
 キツネ色に上がったコロッケが、次々に並べられていく。
 刻んだキャベツ、パセリも彩りに用意されて盛り付けもバッチリである。

「で、では……」

 揚げたて、サクサクのコロッケを前にして女騎士も緊張していた。
 まずは王道、ウスターソースで味わう。
 フォークに刺して、薔薇の花弁のような唇で口づけするように頬張っていく。

「ああっ……」

 さっくりとした衣の食感に続いて、芋のホクホク感と、ソースの甘辛さ。
 舌をやけどしそうな熱のこもった揚がり具合。

「う、うまい、皆も是非味わってくれ!」
「「いただきまーす!」」

 イレギュラーズ一同の号令でコロッケを頬張ってく。

「さっくさくのほっくほくじゃん! ……あ、そうだ、うちの子たちにも食べさせて大丈夫か?」
「もちろんだ! 遠慮はいらぬ」

 上谷・零が許可を得て連れてきた仲間たちにも進めていく。

「オッケーだ! 落ち着いてやりゃスジは良いじゃねぇか!」

 ゴリョウもその出来栄えに満足げであった。

「……お芋もちゃんと味揚がって最高でしてよ! お代わり、お代わりよ! ロベリア」
「ガーベラお嬢様、揚げ物を食べすぎると、せっかくの体型が……ハッ! ……この料理は有名イレギュラーズがこぞって参加しプロデュースした料理……それを前面に推していけば家庭料理に留まらず、貴族の間でも話題になるのでは?」

 などと、揚げたてコロッケに感動するガーベラの脇で商売のチャンスを張り巡らせるロベリアであった。
 女騎士も思わず敗北を認める“くっ……コロッケ”、きっと何かの需要があるだろう。
 こうして、人々を救う料理ができあがったのである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 というわけでコロッケが揚がりました!
 召し上がってください。きっと近隣の人々も救われることでしょう。
 また何か依頼しますので、そのときはよろしくお願いします!

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