PandoraPartyProject

シナリオ詳細

本当の今は、

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


混沌世界に召喚されてからいったいどれくらいの時が経ったのか。もう二度目の冬が過ぎ去ろうとしている。特異運命座標としての日々は行きつく暇もなくせわしない。それを苦だとは思わない。だが、忙しくなればなるほどに過去の……元の世界での記憶が薄れていくのではないか、そのまま消えてしまうのではないか。そんな漠然とした不安があった
朝。目が覚めるとどこか懐かしい風が頬を撫でた。昨夜確かにいつものベッドで眠りについたはずだったがおかしい。青く澄んだ空。さわさわと体をくすぐる草原の雑草。何故外にいるのだろうか。不思議に思いながら服についた草を払いながら重い体を起こす
「母さん! 早く!」
「あらあら、そんなに急いでいると転んでしまうわよ」
「あは、大丈夫だよ~」
 ふと、どこか聞き覚えのある優しい声が辺りに響いた。それは、混沌世界に召喚される前の自分と、今は亡き母親の声だった
「リオン、そんなに急いでいるのはなぜ?」
「ふふふ、着いたらわかるよ」
 自然と涙が零れた。魔物のに殺されたはずの母が生きている。幸せそうに微笑んでいる。俺に手を引かれながら。母の自慢の美しい亜麻色の髪を風に吹かれながら
 だが何かが引っかかる。母が殺されたのは俺が12歳だった時だ。だが、母の手を引いている俺は今の俺と体格が似ている……だが最早そんなことどうだっていい。母が生きているのだから
 母は俺が生まれてすぐに病で死んでしまった父の分まで俺に愛情を注いてくれた。父のいない俺に寂しい思いはさせまいと、女手一つで俺を立派に育ててくれた
「着いたよ」
「あら、ここはお父さんのお墓じゃないの」
「……はい。母さん。誕生日おめでとう!」
 俺が母に小さい木箱を渡した。母はその木箱を開けると中から妖精が跳ねている様な可愛らしいメロディーが流れた
「まぁ、オルゴールね。ありがとう。大切にするわ」
 母は受け取ったオルゴールを嬉しそうに見つめている。そんな母を見て俺も頬が緩んだ
 そうか、今日は母さんの誕生日だったのか

 気づくと、いつものベッドの上だった。窓の外からは、朝日の眩しい光が差し込んでいる
 忙しい日々の中で忘れかけていた過去の記憶。母のこと。それらが一気に脳裏によみがり、また涙がぼろぼろと零れた

「誕生日おめでとう、母さん」


● 
 あなたにも会いたい人はいますか? 大切な人はいますか? その人達のことを忘れてはいませんか?
 あんなことが起こらなければ、こんなことがあったせいで……そう時々思いませんか?
 なら、見にいきましょう? あなたの本当の【今】を

NMコメント

 こんにちは、こんばんは。初めましての方は初めまして。佐茂助と申す新人NMです
 七本目くらいのノベルです。シリアスなのを書き申した

 OPはリプレイの例です。プレイングは、母の誕生日の日に母にプレゼントを渡している俺を見るみたいな感じだと思います

【目的】
 本当の自分の今の姿を見に行くことです
 自分の故郷に限りなく近い世界に自分と大切な人がいてそれを見るみたいな感じです。なのでまぁ、あまり干渉とかはできません。ただ見る感じです

【プレイング】
 本当の自分の今と会いたい人の設定とかを書き込んでください
 悪までも自分中心なんで会いたい人は少なくお願いします。あと、そんなに描写できないと思います。OPみたいな感じに仕上がりますのでOPを参考にしてください


皆様のご参加お待ちしております

  • 本当の今は、完了
  • NM名伊与太
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月01日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
フィリップ・マケドニヌス・ユージーヌ(p3p008044)
貴族の息子

リプレイ


 『ホンノムシ』赤羽・大地(p3p004151)はいつの間にか背の高い本棚に囲まれていた
「ここは……」
『さっきまで外にいたのにナ』
 深く息を吸い込み呼吸を整える。改めて辺りをぐるりと見渡してみると、どうやら図書室のようだ。しかも見覚えがある。そう、前にここを見たことがある
「くっそ、一週間以内にレポート終わらせろとか! あの教授鬼かよ!!」
 大地が記憶を辿っていると、本棚の向こう側から若い青年の声が聞こえてきた
『大地、今何か喋ったカ?』
「いや俺は何も喋ってないぞ」
 大地の声に似た青年は慌ただしそうに二人の目の前を通り過ぎた。サラサラと靡く黒い髪、燃えるような真っ赤な瞳。彼は身長や体格まで大地そっくりの形をしていた。ただ一つ違う所上げるとするならば『赤羽』がいないこと。どうやら大地そっくりの彼は本棚を漁っているようだ。そしてブツブツと文句を言いながらも手を止めずに次々と本を手にとってはページを捲っていく。目的のものでなければまた次の本に手を伸ばす。だが途中から手を伸ばす本棚が変わり本のページもゆっくり捲っている。そうして彼はくすりと笑った。暫くそうしているとふと我に返ったように顔を上げ壁に掛けてあった時計の針を見ては、急いで散らかっている机に戻っていった
 ――そうか、アイツは【三船大地】なのか
 混沌世界に召喚される前の俺。混沌世界に召喚されず、無事志望校に合格して平穏で時に慌ただしいキャンパスライフを送っているようだ。……あの『兎』に襲われることもなく、『赤羽』と出会うこともなかったもう一つの未来。俺が望み、そして諦めた何の変哲もない平凡な未来

……正直元の世界に戻りたい、と思ったことはあるけど、仮に帰る手段があったとて、俺はまだそれを選べないだろう。選んだところで、この俺があっちの俺のように日常を謳歌できるわけでもない……というのもあるけど、何より、今帰るのは中途半端だ

ちゃんと終わりまで、混沌の物語を見届けないと、俺はすっきりしない……だから『赤羽』、もうしばらく俺に付き合えよ?

『本当に大地は……仕方ない奴だナ』
 帰りたいならそうはっきり言っても良いんだゼ。だって……
 全てを言い終わる前に赤羽は口を閉じた。これ以上言ったら大地が変な目で俺を見るかもしれないからナ



 『闇と炎』アクア・フィーリス(p3p006784)は時々思い出す。水色の髪が綺麗な猫の男の子のことを。不良の様な風貌で口も悪い。でもわたしは知っている彼は実は真面目だってことを……。わたしの数少ない大切な友人であり一つ下の後輩。イレギュラーズになってからは一度も会ってない。彼がどこにいるのかも分からない……会いたい

 じわりと瞼が熱くなったアクアは、ぱちりとまばたきをする。すると、目の前には後輩の姿が映し出される。それともう一人、アクアに似た女の子が俯いて座っていた。彼は俯いているアクアに他愛のない話をしていた。アクアはそんな後輩の言葉に上の空で相槌を打っていた
「表情が固い」
 上の空だったアクアに見兼ねた後輩は、突然アクアのほっぺたをむにぃと引っ張り始めた。アクアはあうあうと目を瞑りながら抵抗する
「いい加減一人で抱え込まないで、嫌な気持ちも悪い感情も全部ぶつけろ。全部受け止めるし否定しない。怖くなったら逃げても良いし頼って欲しい。」
 真剣な顔でアクアの瞳をじっと見つめる後輩の声を聞き、アクアの心が揺れた
「わたし、ひとりじゃ、ないの……? 甘えても、いいの? キミが、困らない……?」
不安げな表情を見せて後輩の顔を覗き込むと、彼は笑って言った
「当たり前だ、友達だろ?」
アリアのボロボロに壊れていた心が、わずかだけど心のカタチを取り戻していく。ずっと無表情だったアクアの口角が少し上がって、後輩ににへらと下手くそな笑顔を見せた
「え、えへへ……わたし、変な顔、してない……かな?」
「あぁ」

アクアは静かにただじっと見つめていた。そして、膝をついて涙を流す。ぽたぽたと落ちる大粒の涙がアクアの服を濡らす
「ねぇ……寂しいよぉ、どこにいるの……また、会いたいの……」

――もしキミに会えたら、わたしもあんな風になれるかな……?



「本当の今の自分…少しだけ気になる…かしら」
 瞼をそっと閉じ、『熱砂への憧憬』Erstine・Winstein(p3p007325)は小さな蝋燭に火をつけるようにぽつりと呟いた
 Erstineは始祖から受け継ぐ吸血鬼の一族として生を受けた。彼女の父はその血を受け継いだ吸血鬼の王として君臨していた。母はその横で微笑んでいたのを彼女は鮮明に覚えている
しかし、現在から約千年も昔、彼女がまだ幼い頃。突然彼女の平穏は音を立てて崩れ落ちた。両親が殺害されてしまったのだ。そうして彼女は孤独という名の闇に飲み込まれた。あまりにも残酷すぎる運命は幼い彼女に重くのしかかる。その後、王の資格もない普通の吸血鬼の貴族に引き取られ、王の地位も奪われていった……

――もしあの時…実の父と母が死んでなければ

私はまた別の人生を歩んでいたのかしら……?

例えば今みたいにひねくれていなくて。素直で…無邪気で…可愛いドレスにも物怖じせず。笑顔で……楽しめていたりしたのかしら?
そんなまるで『別人』のような人生が……あったのかしら? ――

 Erstineの瞳から大粒の涙が零れ落ちる
視界が歪み、目を擦ると、そこには殺されてしまったはずの両親が笑顔で肩を寄せ合っていた。二人の視線の先には、美しいドレスに身を包んだErstineに似た少女が嬉しそうに鏡に自分の姿を映していた。サラサラと自慢の黒髪を揺らしたり、ドレスの裾を掴んでくるりと回ってみたり

「これが……本当の今の私なのかしら」

 幸せそうに抱き合う三人を見つめながらErstineは深く息を吸い込み、それから胸に手を当てる
この未来の私はとても幸せそう……でも、やっぱり今の混沌に来た自分がいい。ifを考えてもキリがない。……だってどんなに考えてみたって

“ここ(混沌)で見つけた『あの方』はその未来にはいないんだから”

前居た世界では誰かに焦がれる事もなかった
どんなにいい方にダンスに誘われても
彼等は私と言うアクセサリーにしか興味のない方々だったのだもの
落胆と虚無と諦念…そんな感情で満たされていたのに

……でも、ここでは違って
どうしてか……どうしてか……惹かれてしまったの

「……いいものを見たかもしれない……けれど、私にとって今程ではないわ」

――今の方が……とても楽しいの……ふふ?



『貴族の息子』フィリップ・マケドニヌス・ユージーヌ(p3p008044)が目を開けると、そこはどこまでも広がる草原だった。草たちは日の光をいっぱいに浴びて、まるで緑の海の様にきらきらと輝いている。どこか懐かしいその草原がフィリップの思い出を蘇らせる
 暫くの間草原を歩いていると、遠くの方から馬のひひーんという鳴き声が聞こえてきた。振り返ると、そこには男性とも女性とも区別のつかない容姿をした少年が馬に跨っていた。どこか幼さを感じさせる少年は、過去のフィリップによく似ている
少年の視線は遥か彼方をとらえており、頬に受ける春風をどこかくすぐったそうに感じている。……そして円らな瞳をいっぱいに見開いて輝かせていた

ふと鼻をつくのは春の青くさい匂い

春風に赤毛を靡かせ、少年の傍で馬を走らせている人物がいる。彼は少年になにか楽しそうに話かけていた。それはフィリップの大切な友人にそっくりであった。……フィリップがまだ12歳の時に残酷にも命を落としてしまった友人に

フィリップの父は貴族だった。民のことを第一に思っていた父には力と決断力が無かった。地方の領主とのいざこざの際に、父が行ったのは、彼らとの講和を待つということであった。だが物事は上手くいかぬ方が多い。父の願いとは裏腹に彼らは暴力を選んだのだ。父の弱さは結果、友人である彼の町が犠牲にしてしまった。そして彼もまた、短い生涯に幕を下ろされてしまう

――彼にまた会いたい

彼にまた会うことができたなら、昔誓ったように

“どこまでも共に進んでいく”

……そう再び誓い合いたかった

幸せそうに笑い合う二人を遠くから見つめながら、フィリップは一粒の涙を零した

成否

成功

状態異常

なし

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