シナリオ詳細
奇跡の塔2F:生と死をつかさどる者
オープニング
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天義某所。
地平線の彼方まで広がる草原の中央に、白い巨塔『奇跡の塔』が聳え立つ。
現状、ハルトヴィン・ケントニスという名の初老の男性主導で、この塔の調査が進められている。
大罪の魔種が残したとされるこの大罪の塔の頂上には、一体何があるのだろうか……。
奇跡の塔へと向かったイレギュラーズ一行。
ローレットへと一度戻り、仲間を連れてきたユーリエ・シュトラール(p3p001160)はこの地に滞在しているハルトヴィンへと会いに向かう。
「先生、お疲れ様です!」
「ユーリエ君もお疲れ様。準備はいいようだね」
ハルトヴィンは捜索拠点で休憩しており、やってきたメンバー達を見回す。
「ティア・マヤ・ラグレンです」
「愛と正義の魔法少女セララだよ!」
「アーリア・スピリッツよぉ」
前回の調査時から半数のメンバーが続投しているが、初参戦のメンバー、ティア・マヤ・ラグレン (p3p000593)、セララ (p3p000273)、アーリア・スピリッツ (p3p004400)が入れ替わり挨拶を交わす。
「ハルトヴィン・ケントニスだ。今回は協力感謝するよ」
混沌世界に存在するアイテムの使い方、作り方などについて纏めた年刊誌『幻想道具図鑑』の著者。
もしかしたら、初参戦のメンバー達も聞いたことのある名前だったかもしれない。
さて、今回の調査は2階層へと移って行うことになる。
前回調査の後、しばらく調査は停滞していたのだが、回収した水晶玉が情報端末としての力を持つことをハルトヴィン、ユーリエは確認していた。
書かれていた模様は宙を浮かび、天使を思わせる模様を示していた。
「1階層の骸骨に続いて、今度は天使か」
前回の依頼では、おびただしい数の骸骨……アンデッドと戦ったことをポテト=アークライト (p3p000294)を思い返す。
「私は、生と死をつかさどる者を暗示しているとみているよ」
「まさか、今度は多数の天使と戦うことにはならないよね?」
ポテトの夫、リゲル=アークライト (p3p000442)が今度もまた骨を折る作業になるのではと語るが、果たして。
階段を上った一行がそのフロアで見たのは、真っ二つに区分けされた空間だった。
「こっちは草原? ちらほらと動物がいるね」
ミラーカ・マギノ (p3p005124)はその中央にあるものを見つめる。
高さは1mほど。何かを載せられそうな大きさがある自然の台座だ。
「こちら側は荒野ですね。……白骨化した動物の屍が散見されます」
エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ (p3p000711)もまた、荒野の中央に骸骨でできた高さ1mの台座を発見する。
そして。
草原と荒野の境目、フロア中央に青い石碑があり、そこには異様な姿をした者がいた。
「生者と死者……なぜにそれらは存在するのか」
中性的な外見を思わせるその人影の半身は白い翼を生やす天使。半身は白骨化した骸骨。
そいつの顔には怒りが漲っていて。
「ならば、生と死は平等であるべき……」
「【憤怒の天使】ラースエンジェル……」
「先生、下がって!」
守護者の姿を見て言葉を漏らすハルトヴィンに、ユーリエが一度階段を下りて退避するよう促す。
「汝らの考えは……如何に」
試されるのは、この塔に散りばめられた情報を把握する力、それを実践する力、そして、困難に立ち向かう力。
それらを試す為に、憤怒の天使はイレギュラーズ達へと襲い掛かってくるのである。
- 奇跡の塔2F:生と死をつかさどる者完了
- GM名なちゅい
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年02月17日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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天義某所に聳え立つ奇跡の塔。
その新たなフロアの攻略の為に、イレギュラーズ達が来訪する。
「天義にこんな不思議な塔があるなんてねぇ」
半数は初めての参加であり、そのうちの1人、のんだくれのほろ酔いお姉さん、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が眠たげな瞳で頭上を見上げる。
「昇りきれば、奇跡が起こせるのかしら?」
――例えば、眠り続ける妹が目覚める……なぁんてと、アーリアは顔を背けて呟く。
「魔法騎士セララ参上!」
ウサギ耳を思わせるヘアバンドをつけた『魔法騎士』セララ(p3p000273)もまた初参加。
守護者が存在し、いかにもお宝が眠りそうな謎の塔と聞いては、彼女も黙ってはいられない。
「最上階まで登り切って、この塔の秘密をあばいてお宝をゲットしちゃうのだ! いっくぞー!」
気合を入れるそんなセララと共に、塔に入るイレギュラーズ一行。
「先生、お疲れ様です!」
「ユーリエ君もお疲れ様。準備はいいようだね」
この地で塔の調査に当たっていたハルトヴィン・ケントニスと合流し、メンバー達は階段を登って一つ上層の階に至る。
茶髪の樹精『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)が草原と荒野に区分された2階層のフロアを見回す。
「1階とはまた全然違う雰囲気だな……階ごとに仕様が変わるなんて、小さい迷宮みたいだ」
草原には様々な草食動物、荒野には白骨化した動物の骸。それぞれの区画の中央には台座が設置されていた。
そして、それらの中央、青い石碑の手前に、異様な姿の天使がいた。
「生者と死者……なぜにそれらは存在するのか」
半分は天使、半分は骸骨という容姿の【憤怒の天使】ラースエンジェルである。
「全く、生きてるのか死んでるのか、ハッキリしないわね」
吸血鬼の血を引く魔女、『夜天の光』ミラーカ・マギノ(p3p005124)がそんな敵の姿に難色を示す。
「天使ですか」
頭と背から2対の羽根を生やす『愛欲の吸血鬼』エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ(p3p000711)がぽつりと呟く。
エリザベートのいた世界では、天使とは教会の所属員が戯言で作り上げた存在とのこと。
「まぁ、禍々しいこんな姿のほうがよほど、現実味があるのです」
そんなエリザベートは普段、気怠げな態度をとっているが、相方である栗色の髪の少女、『慈悲の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)と一緒だからか微笑ましく傍に寄り添っている。
そのユーリエは長らくこの塔の調査に当たっているものの、全容把握には至っていないものの。
「でも、わかる。この天使は私たちより上の存在だと」
「生と死を司る天使か。天義らしい試練のようだ」
天義出身の銀髪の騎士、『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)はこの塔の攻略の為、目の前の天使の与える試練を皆と乗り越えるつもりだ。
「生と死を司るなんて、神様みたいだね?」
『私とは似てはいるが、違うだろう』
「それはそうだよ。相手は私と同じ天使で神様は神様なんだから」
一見、自問自答しているようにも見える2対の黒翼を背に生やす『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)だが、会話しているのはティア本人と胸元の十字架から彼女を操る神様だ。
『何にせよ、調査はしっかりとな?』
「ん、やれる事をやってみるよ」
沈着冷静な神様に対し、ティアは丁寧に頷いて身構える。
「ならば、生と死は平等であるべき……」
すでに憤怒の天使は戦闘態勢に入っており、こう問いかけてくる。
「汝らの考えは……如何に」
「先生、下がって!」
ユーリエがハルトヴィンに階段を下りる様促すと、フロアの仲間達もまた身構えて。
「今回は戦いながら問いかけに答えろ、か」
ポテトは横目で草原と荒野の台座を見やる。
台座に何かを載せろということだろうと彼女は判断していたのだが、セララがセララフィールドを……保護結界を展開することで台座の破壊を防ぐ。
「しかし、この自然にはありえない、あからさまに手入れされた環境……」
戦闘直前のタイミング、賢く聡明だと自称するミラーカもまた骸や塔の外壁が崩れないようにと保護結界を重ねてから、フロアの謎を解き明かそうと周囲を見回して。
「困った時の賢い行動! 現地の人に聞く! ……よ」
どや顔で胸を張るミラーカは程なく、この場の全員が呆気にとられていた事に気づいて。
「何よ、間違ってないでしょ。ただの他力本願じゃないったら!」
「……とにかく、まずはこのフロアを突破しましょ!」
――奇跡は自分の手で起こすもの、だもの!
そんなアーリアの一言に同意し、ユーリエは大切なエリザベートを始め、仲間達と視線を交わして。
「皆さん力を合わせて、頑張りましょう!」
右手首に巻いた鎖を緑に輝かせ、ユーリエは呼びかけた仲間と共に目の前の天使に、そして、このフロアの謎に挑むのである。
●
襲い掛かってくるラースエンジェル。
天使の手を伸ばす敵は、光の波動をメンバー達へと浴びかけてくる。
近場のメンバー達がそれに巻き込まれる中、距離を取っていたアーリアはその波動から逃れて。
「おねーさんはか弱いもの」
直接喰らって恍惚としようものなら、大ダメージは必須と考えての立ち回りだ。
「だめ、まずはゆっくり貴方とお話がしたいの」
そんなアーリアはスキルを使いつつ、ラースエンジェルへと語り掛けようとしていた。
フロアの謎を解きたくとも、ラースエンジェルは攻撃を行ってくる為、イレギュラーズ達は応戦と同時並行して謎解きに当たることになる。
ユーリエは距離を取りつつ、仲間や草食動物に当たらぬよう配慮しつつ、儀礼剣ブラッディナイトメアを弓に見立て、赤い魔力の矢を射放つ。
骸骨の腕でユーリエの一撃を防ぐ天使へ、アイテム効果で毒と精神異常対策を講じていたリゲルも、銀閃の煌めきと共に銀の剣で抜身の斬撃を浴びせかけていく。
気を引くことが狙いだが、相手も抵抗力が高いのかなかなか注意を引いてはくれない。
続き、くるくると回転するティアは杖を手に回転する。
目の前の天使の運命を誘うように、否定するように。
ティアは相手が自分に見とれるようにと気を引いていく。
セララも攻撃に出ていたが、このタイミングはどこからか取り出したドーナツをもぐもぐしながら、次なる一撃の為に右手の聖剣に正義の心を宿していた。
その間に、フロア攻略に乗り出すメンバーも。
ポテトは意思疎通する精霊達に、骸と動物についてそれぞれの種類と数を訪ねていた。
(種類と数が分かっていたら、後々楽かもしれないし)
ミラーカはというと、生きている動物と意思疎通していて。
(恐らく、この子達が生者、亡骸が死者、あたし達がバランス悪い生者の過多……この子達が代わりに死んだりしないわよね)
生者が増えることで、生きている動物達が骸になってしまわないかとミラーカは気を回しかけて大きく首を横に振る。
「ええい、そういうの考えるのは後!」
ともあれ、彼女は近場にいたヤマアラシに対し、子供に呼びかけるような気持ちで話しかける。
「あたし達みたいな人がここに入ったとき、何があったのかしら」
ミラーカの問いに、ヤマアラシはよくわからないと小さく首を傾げてみせていた。
エリザベートは調査に向いたスキルがないとのことで、ウロチョロする動物を魔眼で見つめて催眠状態とし、落ち着かせていたようだ。
そのエリザベートの傍から、ユーリエは再び赤い魔力の矢を飛ばしながら、攻撃のヒントを探すべく温度視覚を使ってラースエンジェルを見つめていた。
天使は骸骨の爪で近場にいたメンバーをなぎ払ってくる。そこに、体温などは一切感じさせない。
「なんで怒るんだい?」
直後、リゲルが問いかけながら、再び断罪の斬刃で天使に切りかかる。
「生死の区別ありし世に憤怒するのは、自明の理なり」
手応えは十分だったが、天使がまるで自分に注意を向けてこないことを察し、リゲルは敵のマークや仲間のカバーへと回る。
「……ハイラックス、クロクスクス、テンジクネズミ、インコ、ハチドリ、オオコウモリ……」
そんな伴侶の姿に表情を綻ばせかけるポテトは、精霊達の情報を纏める。
このフロアにいる動物はいずれも1mに満たない程度の大きさをした草食動物ばかりで、1体ずつ10種が草原側に存在している。
また、同じ種類の白骨した骸が荒野側に転がっている。丁度、種類ごとに生死でペアになるような状況だ。
「……以上だ。謎解きの一助になれば幸いだ」
それを耳にしながら、セララは聖剣ラグナロクを十字を振るい、ラースエンジェルに斬撃を刻む。
しかしながら、多少の傷でラースエンジェルはビクともせず、猛然とメンバー達へと反撃を仕掛けてくるのである。
●
交戦の間、少しでも情報を集めようと動くイレギュラーズ達。
「私達が死んだら、貴方はどうするつもりなの?」
距離を取って質問していたアーリアは、戦うラースエンジェルへと死生観について探りを入れる。
「個々の死に、我の介入する術はなし」
すると、敵は態勢を低くして身構え、光と闇の力を高める。
同時に、草原側の台座が白く、荒野側の台座が黒く、それぞれ淡い光を放ち始めた。
強力な攻撃が来ることを察するメンバー達だが、それが何かのトリガーになっていると、ユーリエは察して草原側の台座へと動き出し、台座に水晶を近づけていた。
ポテトは天使の歌を響かせ、さらに声援によって仲間達の回復に当たってこの後に備える。
「だめ」
仲間達が台座の謎解きに動く中、アーリアは「プッシー・キャットの我儘」によって橙色の魔力を発しながらさらに問う。
「天使さん、貴方はどうして生と死を平等にと思うの?」
「この世に生まれ出でて、死していく。それらに如何なる価値がある?」
アーリアはなおも問いかけて相手の阻害をしながら、謎解きのヒントをつかもうとする。
天使の力を封じらればいいのだが、さすがにそう簡単にはいかないようだった。
光る台座へと動くメンバー達。
リゲルは誰も向かっていない荒野側へと移動していく。
「自然の台座に骸を、骸の台座に生きている動物を」
そう考えるのだが、ユーリエが持つ水晶玉から得た情報待ちだ。
そこで、ティアが霊魂疎通を行い、荒野側を飛ぶ動物の霊魂に呼びかける。
「草原の方に行きたいの?」
『ん、遺体を動かす必要がありそうだな』
どうやら、遺体が荒野にあり、動くことができないと霊魂は訴えかけていたようだった。
草原側に向かうエリザベートは先程のポテトの調査から、色々考える。
「憤怒といえば、竜・一角馬・狼・猿・鼬でしたっけ」
しかしながら、該当種が個々には一切存在しないことをエリザベートは気にかける。
ウサギは色欲で知られるが、さすがに他の動物からするに、七つの大罪が絡んでいるとは考えにくそうだ。
ミラーカは草原側で、何体かの動物と意思疎通を行う。
「素直に考えれば、光る台座が荒野なら亡骸、草原なら動物を乗せる! ……よね」
逆の可能性も考えるからこそ、ミラーカは近場にいたウサギに話しかけつつ、抱っこして移動する。
ウサギはラースエンジェルに怯える様子は一切ない。
しかしながら、荒野側に向かうことを恐れていたことをミラーカは察したのだった。
時間がないこともあり、ユーリエは仲間達へと伝達より先に、荒野側の台座へと向かって水晶玉を近づける。
先程もそうだったが、彼女はここでもスキルを駆使しようとした。
ただ何かイレギュラーがあったのか、ユーリエは少しだけ渋い顔をしていたようである。
セララは手近で捕らえた動物と骸をそれぞれ1体ずつ移動していて、すぐに台座へと動物、骸の双方を載せられるようにと移動させていた。
「こんなこともあろうかと!」
そうして、セララがどこからともなく用意したのは、ニンジンだ。
丁度、近くに寄ってきたウォンバットを抱え、彼女は荒野側へ。そしてすぐ、近場にあった何かの白骨化した骸を用意し、ユーリエの言葉を待つ。
「おそらく、生と死は同価値だと……」
技能があれば、完全に解読できたかもしれないが、これまで調べた知識を頼り、ユーリエは水晶玉から浮かび上がってきた言葉を仲間達に告げる。
「載せる骸と動物は一致させないといけない気がするね」
仲間達が台座の謎解きに動いていたこともあり、リゲルは動かずに力を溜めるラースエンジェルに近づく。
狙っている相手をティアと見定め、リゲルは彼女の方へと向かってカバーに当たる。
ポテトはそんな伴侶の体力が万全であることを確認し、台座の問題を手伝おうと考える。
「とりあえず、最低1:1で載せておこう」
さすがに、全ての生物を載せるのは厳しい。特に、骸側の判別はかなりの手間だ。
動物はともかく、骸の判別は難しい。まして、知らない動物のものはなおさらだ。
そこで、一行は比較的わかりやすいウサギとその骸を一致させることにする。
「生と死が平等なら、こういうことでしょ!」
同タイミング、アーリアは草原側台座にウサギの骸を載せ、荒野側へとやってきたミラーカがポテトを介して、そちらの台座へと不安がるウサギを載せる。
すると、載せていたウサギとその骸が同時に消え、それぞれの台座の輝きが一層強まる。
双方の台座の光が同時に、ラースエンジェルへと集まって。
「お、おお……!」
次の瞬間、天使の内に高まっていた力が霧散していったのである。
●
このフロアの守護者、ラースエンジェルにできた大きな隙。
その隙をイレギュラーズ達は逃さず、一気に討伐を再開させて。
序盤は回復役となっていたエリザベートだったが、現状仲間達の傷がほとんどないこと、草原、荒野双方の台座付近に仲間達が散っていたことを受け、攻勢に出る。
敵の四方から血の鎖を召喚したエリザベートはそれらを一気に敵へと襲い掛からせ、敵の体を傷つけていく。
ラースエンジェルは炎や毒を受けてよろけながらも、草原と荒野の中心で踏みとどまる。
「汝らの知を見たり。残るは……」
なお、怒りの形相は収まらず、憤怒の天使はその感情をイレギュラーズ達へ……ティアへと差し向ける。
元々至近から仕掛けるつもりだったティアは回転しながらも、格闘と魔術を織り交ぜた攻撃をラースエンジェルへと叩き込んでいく。
全部の動物を試したわけではないが、フロアの台座の攻略を済ませたこともあってか、メンバー達は全力で天使の討伐に当たって。
「だめよ」
幾度目かの橙色の魔力を発したアーリア。
どうやら、先程の一撃によって、相手の抵抗力が大きく削がれたようだ。
「ガンガン切り込むわぁ!」
次なる攻撃を準備していたアーリアだったが、他メンバーがそれ以前に倒してしまいそうな勢いで攻め立てる。
「あたしの魂の一撃、喰らいなさい!」
ミラーカが手にする星官僚のタクトから、自らの精神力を弾丸に変えて撃ち出し、ラースエンジェルを恍惚とさせる。
間髪入れずに、ポテトの声援で力を貰ったリゲルが肉薄して。
「命あるものは皆死ぬ。そして、死は輪廻を通して生あるものへと転生する。死は皆の前に平等なんだ」
星凍つる剣の舞で切りかかるリゲルが憤怒の形相をした天使へと一太刀浴びせてから、問いかける。
「死者を生き返らせることこそが、摂理を乱す不平等……そうは思いませんか?」
「…………」
さらに、銀閃を煌めかせるリゲルに対し、無言のラースエンジェルが少し速く動く。
天使と骸骨の身体で連撃を浴びせようとした憤怒の天使だったが、力を封じられていたこともあって直接攻撃で応戦するのみ。
嫁ポテトの支援もあって敵の攻撃をリゲルが堪える間に、『雷神』のカードをインストールしたセララが聖剣に雷光を纏わせて。
「全力全壊! ギガセララブレイクッ!」
振り下ろされた刃は憤怒の戦士の体を灼いていく。
「汝らは既に、答えを得たり……」
すると、その体はゆっくりと薄れて。
それと時を同じくしてフロアの光景が変わり、草原も荒野も、動物も骸も消え去っていく。
程なくし、フロアは青い石碑を残して無機質な石の床、壁が露出していく。
その後、床が上方へとせり出していき、さらなる上層に向かう階段が現れたのである。
●
憤怒の天使ラースエンジェルを撃破したイレギュラーズ一行は2階層のフロアの謎解きを完了したが、どうやらこの塔で解くべき謎はまだまだ残っているらしい。
「とりあえずこの階はクリア、かな」
「無事に攻略出来て何よりです」
ポテトの声に応じ、ティアが仲間達に大きな被害が無かったことを確認する。
「生と死が平等、考えさせられるわよねぇ」
「ふむ……」
階段から再びこのフロアに戻ってきた無傷のハルトヴィンが興味深そうに唸り、1階と同じような造りとなったフロアを見回す。
「塔の中を調査なのだー」
セララは改めて、この塔の由来、秘密を突き止めるべくあちらこちらを探索し始める。
「さて、また忙しくなりそうですね」
近場にいたエルザベートと目配せしたユーリエは腕まくりしつつ、水晶玉を手にしながら中央の石碑の解読から着手するのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
2階の攻略、お疲れ様でした。
皆様がこの塔の完全の攻略をできることを祈っております。
今回はリクエストシナリオのご依頼、ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます。
●目標
【憤怒の天使】ラースエンジェルの討伐。
●敵……【憤怒の天使】ラースエンジェル
身長は180cm程度。金の長髪、中性的な印象を受ける相手です。
左半身が天使を思わせる姿、右半身は骸骨となった姿をしています。
多少、会話は可能ですが、さほど多くは語りません。
以下のスキルを使用します。
・光の波動……神中域・【恍惚】・【窒息】
戦場の一点から周囲に広がる光の波動を放ちます。
・闇の爪牙……物近列・【出血】・【毒】・【暗闇】
骸骨の腕で近場の相手を殴り掛かってきます。
・生死を平等に……物近単・【不殺】・【致命】・物攻+
天使と骸骨の身体で猛然と体術を叩き込んできます。
・現世への怒り……神遠単・【万能】・【混乱】・【怒り】
ピンポイントで相手に怒りの感情をぶつけます。
・怒りの一撃……神遠単・【溜4】・神攻+
光と闇の入り混じった非常に強力な一撃を見舞ってきます。
(このスキルを使用中は一切の攻撃を無効化します。
スキル使用時、下記にある2つの台座が連動して光ります)
●状況
このシナリオは、影絵 企鵝GM『奇跡の塔1F:永遠の命』、拙作SS『奇跡の塔 1.5F:螺旋に描かれる天使』の続編に当たります。
戦場は塔の2階層フロア内で戦闘を行います。
半径がおよそ30mの円形の広場になっており、フロアの半分がそれぞれ草原、荒地となっております。
草原、荒野にはそれぞれ、高さ1m程度の石碑があり、何かを載せるよう要求しているものと思われます。
障害物は一切存在せず、中央にある石碑も互いの攻撃を阻害することはありません。
・草原側……
ウサギ、ヤマアラシ、オウム、ウォンバットなど多数の小型草食動物が存在し、草原側のみ移動します。
また、自然の台座が設置されております。
・荒地側……
多数の白骨化した動物の屍が存在し、骸骨の台座が設置されております。
・フロア中央……
塔の入り口に蒼の石碑があり、各階層に同じものが設置されております。
(PL情報)
その層を攻略すると
石碑の機能が復活し次の層へ上る階段が出現します。
また、クリアした階層は普通の階層へと変化します。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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