PandoraPartyProject

シナリオ詳細

眠り姫は柔らかな布団の中で

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●おやすみなさい。
 眠かった。
 眠くて眠くて仕方がない。

 ふわあ。

 欠伸が漏れて、ああでもまだ眠いの。

 少女は呟いてまた目を閉じる。温かくて優しい眠りに引き込まれる。
 ずっと、ずっと、微睡んでいたい。だって幸せだもの。

 眠る少女は夢の中。
 とおさまも、かあさまも、じいやもばあやも、メイドのみんなも──だれも、わたしを起こしちゃダメよ。


●その微睡みを守るため
「皆さん、依頼です! 眠り姫を助ける騎士(ナイト)になるのです!」
 ばさり、と依頼書を広げる『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。イレギュラーズたちはそのテーブルを囲むように集まった。
 依頼人は幻想国の某貴族。それはそれは愛妻家で、1人娘もたいそう可愛がっていると有名な人物だ。
「この方の娘さん、とーっても寝るのが大好きなのです。食べるよりも遊ぶよりも、お父さんやお母さんよりも大好きなのですって」
 そのことに関しては大変なショックを受けたそうだが、依頼人はそれで娘が喜ぶのならと睡眠妨害する気はないらしい。
 夫婦が浮気するわけでもなく、娘がグレるわけでもなく、実に平和な家族である。──が。
「そんな娘さんを狙う、わるーい奴がいるのです。そいつは娘さんが眠っている間に殺してしまおうとしてるのです!」
 ユリーカが眉尻を釣り上げる。
 発端は依頼人が恨みを買ったことらしいが、悪者の毒牙にかけてやるわけにはいかない。依頼の内容はまさしくその『悪者の手先を撃退する』というものである。
「悪者さんは夜に乗じて、魔獣を放とうとしているのです。魔獣は屋敷まで一直線、そのまま娘さんを狙うつもりなのですよ」
 イレギュラーズは待ち伏せし、その魔獣を撃退する形になるだろう。上手くいけば魔獣と悪者の繋がりを示す『何か』が得られるかもしれないが、そこまではしなくても良いそうだ。
「第1に娘さん、第2に娘さんなのです。オーダーは魔獣の撃退ですが、それによって得られるのは娘さんの無事ですから!」
 夜間なのでランタンをお貸ししますね! と貸し出しの手続きを始めるユリーカ。イレギュラーズたちは顔を見合わせた。

 顔を知る者もいるかもしれないが、全員が全員知っているわけでもないかもしれない。
 自己紹介から始めようか? あと話し合うなら、出来ること、したいこと、思いつくこと。
 幸い、出発までには時間がある。意見を出し合うことは出来そうだ。


●当日──夕暮れ。
 その日、昼過ぎに集まったイレギュラーズは各々時間を潰していた。夜までは時間があるし、待ち伏せるなら外の──敷地外まで出る必要もない。
 そうしているうちに空は茜色に染まり、端から段々と藍色のグラデーションが移動していく。フクロウらしき鳴き声がホゥ、ホゥ、と静けさに木霊した。
 ほんの少し不気味なそこに──魔獣は程なくして、駆けてくる。

GMコメント

●成功条件
・魔獣の撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●詳細
 眠る少女を狙い、魔獣が放たれています。皆さんは貴族邸の前で待ち伏せし、迎撃する形です。
 魔獣は追い返せばオーダークリアですが、もし死体がある場合は依頼人側が処理をします。

●エネミー
・魔獣×12
 四つ足の獣です。群れで行動する習性があり、リーダーがいると見て良いでしょう。近接物理の攻撃として、牙や爪で攻撃してきます。
 悪者の手下であるようですが、その場に悪者は来ません。魔獣たちはターゲットの匂いを鋭い嗅覚で追っています。

●フィールド
 貴族邸の庭。時刻は夜。月明かりが出ているため、比較的明るいです。さらに明るさが必要であれば、ランタンをギルドから貸し出しています。
 庭はとても広いため、遠くからの攻撃にも支障ありません。またどれだけ破壊されても娘のためなら良いそうです。

●眠り姫
 貴族邸の眠れる少女。依頼人の娘で、今回のターゲット。イレギュラーズが食い止めなければ、彼女の命は散らされてしまうでしょう。
 今夜もぐっすり眠っています。それこそ体に触れられるなどしないと起きない熟睡っぷりなので、戦闘音は気にせず戦ってください。

●ご挨拶
 愁です。
 久しぶりに普通っぽい戦闘ものとなりました。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 眠り姫は柔らかな布団の中で完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年02月17日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談10日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

実験体37号(p3p002277)
鉄拳超制裁!
ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
グリムペイン・ダカタール(p3p002887)
わるいおおかみさん
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
雪乃蔵・柘榴(p3p007365)
ぶっ飛ばす!!
フローリカ(p3p007962)
砕月の傭兵

リプレイ

●茜

「OKOK!!!!
 私らクイックシルバーは皆が寝てる間に仕事するんでね! 良く寝る子は大好きだよ!!!!!」

 爆音クイックシルバー。遠くまで届くこの声が誰のものであるか、知る者も少なくあるまい。
 『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)は本日も、いや今宵も元気よく飛び回っている。その首元を飾るスカーフは眠り姫こと貴族邸の眠れる少女が持っている物だ。ちょっといい匂い。
 『とりあえず殴らせろ!』雪乃蔵・柘榴(p3p007365)も髪飾りのリボンを1本借り、『死線の一閃』フローリカ(p3p007962)もハンカチを借りてポケットの中。『汚したくないとかがあれば無理強いはしないが、最大限安全を考えるなら貸してもらえた方が嬉しい』というフローリカの言葉に、依頼人の娘である眠り姫はいいわよと実にあっさり渡してくれたのだ。
 ちなみに当の本人は昼頃イレギュラーズへそれらを渡すと「じゃあ寝るから邪魔しないでね」と寝室にこもった。それ以来全く出てくる様子はなく、試しに寝室を覗かせてもらうとぐっすり熟睡。先程も見に行ったが、変わった様子も見られなかった。ハッピーの爆音にも負けない爆睡である。
 使用人たちが非常に申し訳ないという表情であったが──。
「これだけ眠れるのはある意味で才能だな……何に活かせるのかはわからないが」
 どこか呆れたような、それでいて達観したようなフローリカの呟きがこぼれ落ちる。うんうんと『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は頷いた。
「ボクだったら寝てるよりお外で体動かしたくなっちゃうけど」
「庭での戦闘を前にしてまだ、寝ていられるなら大層な大物だな」
 外は気持ちいいもん、と大きく伸びをする焔。『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)はそれだけの度胸があるということだろう、と屋敷を見やる。その頭上を『イギョウノショウジョ』実験体37号(p3p002277)のファミリアーが飛んでいった。
「精霊さん! もしこっちの方に魔獣が来たら教えてね!」
 実験体37号は辺りの精霊へ呼びかけ、鳥の視界を借りて魔獣の場所を探る。彼女の通った跡にふわり、と借りた香水の香りが広がった。
 香りは風に流されて、建物の周りにもやってくる。微かに掠めたそれへひくりと鼻を動かして、『わるいおおかみさん』グリムペイン・ダカタール(p3p002887)は屋敷を見上げた。
 豪勢な屋敷で眠り続ける少女。そう、それはまるで──。
「眠り姫は100年の眠りに、というやつだね!! しかしそうであるならば、確りと茨で囲ってやらねばならんだろうなあ」
 保護結界だけでは、眠り姫を守るには心許ない。
 窓や通用口の位置を確認していたグリムペインの口ぶりに、同じことをしていた『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361)が「茨かぁ、」と屋敷を見上げる。
「上まで伸ばすのは大変やろうけど、そしたら正面以外気にせんで良くなりそうやね?」
 さしもの魔獣も、茨にちくちくと突かれたくはあるまい。こうして侵入の危険を考える必要もなくなるだろう。
 他の物語に例えるなら、いたいけな娘を悪いオオカミさんから守る話か──。
「あるいは7人の小人……いや、8人の小人かな?」
 そう告げるグリムペインは、小人というには少々大きい。けれどまあ、少なくとも眠り姫の正しい目覚めを守る者ではあるだろう。

 空は茜から紺青へ。暗くなってきたと感じた焔が神炎を入り口や窓と言った侵入可能箇所へ施す。
(これで飛び込んだりするのを躊躇ってくれればいいんだけど)
 そうでなくても、自分たちの明かり代わりにはなる。あらかた炎を灯した焔は仲間たちと合流した。
「どうかな、もう来そう?」
「……近づいてはいるようだ」
 耳を澄ませたフローリカが複数の足跡を、ほんの微かに捉える。真っ先に「見つけたぜ!」と声をあげたのは柘榴だ。
「クク、魔獣どもが到達する前にギルドショップで見つけてきたハバネロ爆弾をぶちかましてやるよ! オルァ!!」
 投げられるは白薔薇印の黒爆弾──もとい、ハバネロ爆弾。夜の空へ弧を描いたそれに何を考えたか、魔獣たちは全力で駆け始める。
 ハバネロ爆弾と煙が先か、魔獣たちの通過が先か。ギリギリの中を魔獣たちは走り抜け、貴族邸の地を踏んだ。


●紺青
 魔獣たちは戸惑っていた。匂いの持ち主を噛み殺せと命令を受けたものの、この場所には匂いがありすぎる。
 こいつも、そいつも、あいつも。どいつもその匂いをさせているじゃあないか!
「はいこんばんは!! 夜だよ!!! つまり私が仕事する時間さ!!!!」
 ハッピーの大声量とともに門扉がギィコギィコと怪しい音を立てて開いたり閉まったり。鈴のような笑い声はクイックシルバーが悪戯に来た合図──いや、もう悪戯してはいるんだけど。
「どったんばったん大騒ぎじゃおらー!!!!」
 とにかく主張の激しいハッピーへ視線が集中する中、何匹かは別の音を耳にして首を巡らせる。
「俺が相手だ! 来い、イヌッコロども!」
 吠えるような威嚇の声。ジョージの持つ匂いも相まって魔獣たちが牙を剥いた。娘1人にけしかける獣の多さではない。
(多少の恨みを買った程度で、この始末とは。貴族は大変なものだ)
 武器を構える彼の脇を、2人の挑発に乗らなかった魔獣がすり抜けてより匂いの濃い屋敷へ向かおうとする。
「──さて、騎士というような柄じゃあないけど、依頼は果たすとしようか」
 そこへ煌めく2振りの刃。薄く毛を削がれた魔獣の前へ、フローリカが立ちはだかった。グルルと唸りを上げる獣の視線はさらにやってきた実験隊37号へ向けられる。
「悪い人の理由はわからない。けれど、安眠の邪魔をするのは許さないよ!」
 寝ることは実験隊37号も好きだ。だからこそ眠りを邪魔される煩わしさもわかるというもの。
「ボクだっているからね! 眠り姫ちゃんは何も悪いことしてないんだから、ここは通さないよっ」
 焔は元の世界より共にある槍をひと振り。挑発に続く挑発で魔獣たちを引きつける様子に、ブーケは小さく笑みを浮かべた。
「優秀な仲間がおったら楽よねえ」
 とん、と1歩。魔獣を射程に入れたブーケはウサギの軽やかさで近づき一撃、二撃。目を引くほどの火力はないけれど、身軽さと状態異常付与の幅では負けていない。
「取り合えず突っ込んでくるヤツから狙っていくぜ!」
 柘榴の突き出した拳が、拳にはめたグローブのイカしたスタッズが魔獣へ迫る。それでも敵意の弱まることのない相手に柘榴は笑った。
 1撃で沈むようじゃ面白くない。最強を求める柘榴の前に出るのだ、それ相応に戦ってもらわねばこちらも強くなれないというもの。
「折角の舞台に無作法者は要らん」
 虚無の剣を作り出し、仲間と共に斬りかかったグリムペインがそう吐き捨てる。
 舞台に上がるのは役者だけ。こいつら(魔獣たち)は台本にすら載らないモノ。
 さあ、乱入者にはご退場願うとしよう。

 夜闇の中、獣の声が響──。
「私のステージは!! まだ!!! 終わらない!!!ミ☆★☆」
 ──響くよりもハッピーの声が大きい。
 Check it out!! とラップで歌い出したハッピー。あまりに煩くて集まってくる彼女はばっと味方を振り返る。
「必殺属性さえなければ私を巻き込んで攻撃してくれて良いのだよ!!」
 その言葉に柘榴がニヤリと笑う。自分とハッピーが中心になる形で肉薄した柘榴は、その拳をむちゃくちゃに振り回した。いくつかの手応えにはハッピーも混じっていただろうが、そんなことは気にしない。
「まとめてぶっ飛ばして良いってって言ってたしな」
「言った言った!! 何度だって復活するから任せて!!!」
 必殺属性はダメだよ! と付け足しながら起き上がるハッピー。すでに満身創痍だって? 幽霊のしぶとさ舐めんな。
 気合い1発、実験隊37号の力強いアッパーは逆に魔獣へ再起を許さない。小さく息をついた彼女は近くで戦う仲間の元へと向かっていく。その傍ら、炎の斬撃で敵を屠った焔は一際大きな体を持つ魔獣に気がついた。
(あれは……もしかして)
 そう思った矢先、その魔獣が吠える。すると周りの魔獣たちも呼応するように吠えた。
「──あの魔獣がリーダーだ!」
 そちらへ向かい始める焔。一足先にフローリカが力強く地を蹴る。
(頭を失えば離散するかもしれないな)
 撃退してもオーダークリアだと言うならば、こちらの負担が少ないに越したことはない。後の掃除も大変だろう。
 守りを捨て、攻めに重きを置いた型。フローリカの刃が魔獣の余裕を削いでいく。
 幾人かがリーダーを標的としたことにより、少しずつ他の者もそちらへ攻撃が傾いていく。必然と敵を挑発する者たちは耐え忍ぶこととなった。
 堅い守りを持つジョージは、しかし魔獣に噛み付かれて顔を歪める。こちらもハッピー同様に傷だらけだ。
 不意にぐにゃり、と視界が歪んだ錯覚。
(俺は倒れて、負けるのか)
 そう思う傍ら、どこかで『否』を叫ぶ自分がいる。

 いいや、倒れてなるものか。
 いいや、負けてたまるものか。
 子供を、自分の手を汚さずに狙うような小悪党に──負けるつもりはない!

 自らに溜まる運命力(パンドラ)、その欠片を使ってジョージは踏ん張った。息を吸い、ハッピーに負けぬほどの声量で。
「俺はまだまだ、此処に立っているぞ! 1匹たりと、屋敷へは通さん!」
 魔獣たちは起き上がったジョージに驚き、不可解なものを見たかのように警戒の色を強める。そんな魔獣たちをジョージの作り出した暴風が襲った。
「ワタシも、負けていられないよ!」
 体力の底を感じた実験隊37号は防御の体勢で、ひたすらリーダーを挑発する。
(腹立つアホは正面からいてまえばええのに、無力な弱者を狙って自分の手は直接汚さへんなんて)
 性悪やわ、とブーケは流した血を魔獣へ浴びせた。呪いの媒介と化したそれは魔獣を苦しめんとその体へ染み込んでいく。
 そんな中、仲間の挑発から逃れた1匹の魔獣が屋敷の方へ向かっていく。気づいた柘榴は手前で止められないと判断するや否や声をあげた。
「後ろ! 任せるぜ!!」
 その声に呼応して、グリムペインは影の様な怪物を生み出す。それは4つの足を持ち、3つの口と1つの嘴があるナニかだ。
 影に群がられた魔獣は混乱の中で力尽きる。怪物はと言えば──気がつけば霧散していたようだった。
「さあ最後まで飛ばすぜ!!!!」
 ハッピーのラップという挑発はまだ続く。焔は闘志を紅蓮の火焔へと変えて、力のまま叩きつけた。満身創痍の魔獣はとにかく暴れ、イレギュラーズを傷つけていく。そんな魔獣をひょいひょいと避け、ブーケはステップを刻んでいた。
「もうねんねの時間やで。大人しくしぃや」
 魔獣を躱しながら刻まれる狂熱的なダンスが魔獣の運命を弄び──その灯火を吹き消す。

 どう、と音を立てて一際大きな魔獣が倒れた。それを見た獣たちは途端にオロオロとし始めるが、そんなことで倒れた魔獣が──リーダーであった獣が起き上がるわけもなく。
 1匹が尻尾を巻いて逃げ出した途端、後に続く続く。魔獣たちはブーケに投げられた何かで甘い香りをまとわせながらも、夜道を駆けて行ったのだった。


●濃藍
 辺りに漂うのは濃密な血の匂い。そしてイレギュラーズたちの息遣いだった。
「私たちの!! 大!! 勝!!! 利!!!」
 終わったかと辺りを見回す焔。ハッピーは相変わらずのテンションでくるくるとイレギュラーズの周りを飛ぶ。暗闇をも見通す柘榴が焔と同じように視線を巡らせるが、魔獣たちが動き出す様子は──ないようだった。
 ほっと息をつく一同。その中でグリムペインは魔獣たちの状態を確認し、仲間たちを振り返る。
「魔獣の死体は持ち帰っても良いかな?」
 ミンチになっても肉は肉、という言葉に持ち帰った後の用途が察せられる。悪漢であってもヒトを喰らおうとすると『好かん者』が多いのだとか。
 どうせ処理するモノだ、ただ捨てるより必要とする者の手に渡っても良いだろう。
 その前に魔獣の身体を調べたい、というジョージの言葉に頷いたグリムペイン。魔獣をけしかけた者に関して、何かわかることがあるかもしれない。それは早ければ早いほど良いだろう。
 手伝おう、と後を追いながらもフローリカは思わずにいられない。
(それにしても、魔獣をけしかけられて生命を狙われるなんて、どんな恨みを買ったんだ……?)
 相手は眠ってばかりの少女だ。想像しようとしても、依頼人一家の人柄では──聞く限りではあるが──恨みを買いそうにない。
「……これは、」
 ジョージは魔獣の首元にタグのような物を見つける。思い切り足のつきそうな証拠ではあるが、犯人もまさか倒されるとは思っていなかったのだろう。
 それを魔獣の首から外し、ジョージはポケットへ収める。後ほどローレットを通じて依頼人へ渡してもらうのだ。
(こういう事は、根を残さぬ方が良い。眠り姫の安眠を願うなら、尚更だ)
「──さっき投げた香水瓶のことも、一緒に報告せんとねぇ」
 いつのまにやらジョージの傍らに立っていたブーケがにっこり。フローリカに続いて彼も手伝っていたはずだが、ジョージがタグを見つけたことに気づいて寄ってきたらしい。
 眠り姫は起きていないだろうか、と数人が屋敷の方を見る。建物はそれ自体が眠っているかのようにひっそりとしているようだった。
「これだけ騒いでも起きねぇって、図太い眠り姫チャンだよなぁ。ふぁ~……」
 柘榴が耐えられずにあくびを1つ。仕方がない、眠り姫でなくとも一般的に眠っている時間である。
 魔獣たちの死体を持ち帰る準備ができるとイレギュラーズは踵を返した。匂いは風がどこかへ押し流してくれるだろう。あとは報告に行くだけだ。

 後日。
 ジョージの見つけたタグと、ブーケの投げた香水瓶によって犯人は特定されたという話がローレットへ届けられたのだった。

成否

成功

MVP

ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍

状態異常

ハッピー・クラッカー(p3p006706)[重傷]
爆音クイックシルバー

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ。
 眠り姫は次の日の昼まで爆睡だったそうですよ。

 それでは、またのご縁がありましたらよろしくお願い致します。

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