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シナリオ詳細

<Despair Blue>ワンダージャッカルと赤紫の海

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ウスタリ海兵隊の撤退
 迫撃砲が連続して轟音をうち、灰の香りと耳をうつような衝撃が連続する。
 キーンという耳鳴りのすぐ後に、連続した爆発が遠い敵船舶の上で巻き起こった。
 直後。まっすぐに飛んでくる無数の砲撃。
 弾頭は人間の頭蓋骨そのものであり、着弾と同時に呪いの爆発を巻き起こしていく。
 ディープシーの兵士たちは呪術にやられ血を吐き激しいけだるさに襲われた。
 新たな海を夢見て志願したという新米兵士に至っては発狂して先輩兵士につかみかかる始末である。
 ウスタリ海兵隊の隊長ホーガン・ムリーマンは額からとめどなく流れる血と汗をぬぐい、あらん限りに叫んだ。
「生きてるものは負傷者を船内へ! ケビン、ロケッツ、船を反転。全速力で撤退するぞ。このままじゃ全員奴らの仲間入りだ!」
 急速にターンをかける船。敵船舶は猛烈なスピードでこちらをとらえ、風もないというのに帆を大きく満たして進んでいた。
 嗚呼、見よ。
 船は大量のフジツボに覆われ、魔術大砲を肩に担ぐ巨漢やサーベル二刀流でギシギシと笑う剣士たち。彼らが全て、全て、前進を藻やフジツボや珊瑚に覆われた骸骨でできているではないか。
 彼らの目の奥には強い執着の光があり、正者への嫉妬と未練、そして夢追う者への憎悪に満ちているのがありありとわかった。
 迫る船。
 悲鳴をあげる新兵。
 だが、諦めるなかれ。
 彼らには……いや、海洋王国には、まだ『あなた』がいるのだ。
『――――』
 そのときあなたは、なんと言って割り込んだものだろうか。

●絶望の青を目指せ
 海洋王国大号令の冬。近海掃討を終え、鉄帝からの横やりや海賊の大逆襲すらもはねのけてついに海洋王国の民は『絶望の青』を目指す旅にでた。
 といっても、今やるべきは橋頭堡の確保である。
 『絶望の青』は入るどころか近づくだけでも危険な海域だというのは周知のことであり、二十二年前に挑んだ者たちは一人残らず帰ってこなかった。
 いや……『帰ってきた』と自称する者もいるにはいたが、彼らがどうなってしまったのかは、ローレットにとっても印象深い事件であろう。
 さておきやるべきことは全てやり、投入できる戦力は積極的にというのが今回の方針である。それには世界の何でも屋ことローレットも例外ではなかった。
 大規模な増援依頼として舞い込んだ依頼群。
 その中に、この依頼……『ウスタリ海兵隊随伴依頼』が存在していた。
 今回は、その様子について語るべきだろう。

 ウスタリ海兵隊の船炯々丸とその随伴艦として同行したイレギュラーズの船たち。
 はじめは未知の冒険にむけて意気揚々と帆を張ったものだが……絶望の青に近づくにつれ、彼らの顔色は曇りはじめた。具体的には、海の色がおかしくなってきたように思えたのだ。
 深く壮大な海の色が赤紫によどむように見え、波が恐ろしく静まる。
 経験豊富な海兵隊も、この自体に恐怖を隠しきれない様子であった。
 そして、あるとき。
 突如として彼らは現れたのだ。
 海底から猛烈なスピードで飛び出したそれは一隻の船舶であり、いかにもかつてこの海に挑んで破れ、海底に沈んだ船と船員であるように見えた。だがその異様さたるや、死体と死んだ船がそのまま動いているかのようであり、まさに……。
「幽霊船……」
 であった。

 ウスタリ海兵隊は攻撃を仕掛けてくる幽霊船と交戦を開始。ゲストであるイレギュラーズたちを守るように船をはさみ、攻撃を引き受けたが……。
 しかし猛烈な攻撃によって船員は激しいダメージをうけ、すぐさま撤退を選択した。
 残るはあなたを含めたイレギュラーズたちのみ。
 敵は強力な幽霊船。
 幽霊船の側面に刻まれた名は、こうである。
 『ワンダージャッカル号』

GMコメント

■オーダー
・成功条件:ワンダージャッカル号の亡霊兵たちを全滅させる
・オプション:ウスタリ海兵隊の撤退を完了させる

 絶望の青へと挑むさなか、赤紫の海域へと到達したウスタリ海兵隊およびイレギュラーズ随伴艦。
 突如として現れた幽霊船はこちらへの攻撃を開始。交戦状態になりました。
 ウスタリ海兵隊はイレギュラーズを守るべく攻撃を引き受けましたが激しいダメージによって負傷者が大量に出たため撤退を開始。
 追いかけてくる幽霊船との間に割り込むように、いまイレギュラーズの船が突撃します。

■船について
 PCが小型船系アイテムを装備していた場合、一人につき一隻までこの作戦に投入することが可能です。(これによって人員は特に増えません)
 もし誰も投入してなかった場合、ノーマルな小型船が一隻配備されます。

■エネミー
 幽霊船の船員は主に『亡霊砲撃兵』『亡霊剣士』に分かれています。
 砲撃兵は肩に担いだ大砲から呪いの砲撃を発射します。個体によって差はありますが、主にBSが複数混合されており命中力も高めです。
 剣士は攻撃の強いタイプと防御の高いタイプ、そしてバランス型がそれぞれいます。
 数はおよそ10前後の模様です。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <Despair Blue>ワンダージャッカルと赤紫の海完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年02月07日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
クリスティアン・メルヴィル(p3p007388)
Star Lancer

リプレイ

●骸骨船
 海の色が変わりつつある。
 海洋王国沿岸にみあれる爽やかな潮の香りとうってかわって、どろりとした鉄臭さがあたりを包んでいた。
 遠くに見える海洋王国の旗をかかげた船と、巨大なドクロをあしらった海賊幽霊船。
 『うそもまこともみなそこに』十夜 縁(p3p000099)は目を細め、苦々しい様子で舌打ちした。
 この海は、嫌なことを思い出させすぎる。あまりにも、あまりにも『縁』にたしいて辛辣だ。
「あれが炯々丸とワンダージャッカル号、ねぇ。
 ワンダージャッカル号っていやぁ前に王国付近で通り魔的に船を襲ってた幽霊船かい。ここに来てまた会うことになるたぁ、まったく嬉しくねぇ縁もあったモンだ」
「へえ、あの幽霊船って王国付近の海にも出没していたんですか?」
 『砂竜すら魅了するモノ』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)が鯛焼き状態になったまま、両脇(?)に筒状のジェットパックを抱え込んでいた。
「海の底から現れて乗員を皆殺しにしたのち、骨だけひろって帰って行くってヤツさ。あんなにゴテゴテしちゃあいなかったがねぇ」
「ふむ……」
 ゴテゴテ、というのは船体と船員たちにびっしりと寄生しているフジツボのことだろう。
 骨だけのわりに肉付きを感じさせるのはそのせいで、なおかつ異様に堅そうだ。
「まぁ魔種や狂王種が群れで来るよりはなんぼかましですね」
「お前さんが言うと説得力が増すねぇ」
「?」
 『『アイ』する決別』ナーガ(p3p000225)は凶悪な顔のままかわいらしく小首をかしげた。
 十夜やベークが少し前に遭遇した、恐ろしい事件のことはローレットでも有名だ。
 そして彼らが二人に『残して』いった不気味な何かは、まるで首についた手後のようにその存在を主張し続けている。
 ナーガはウーンと唸った後一度理解を放棄して、幽霊船のほうへと注意をむけた。
「ナーちゃん知ってるよ。シんじゃったヒトは、ねむらなくちゃいけないんだよ。
 『よふかし』はダーメ。ナーちゃんがオヤスミのアイをおくってあげるね」
 ね、と言って振り返ると、後続の船で『Star Lancer』クリスティアン・メルヴィル(p3p007388)が手を振った。
「しっかし幽霊船ね。こういうとこで幽霊船ってのは、流石にベタ過ぎんだろ。
 こんなお約束展開、とっとと打破して先に進むぞ!」
「おう!」
 いつでもいけるぜとばかりに身構える『帰ってきた牙』新道 風牙(p3p005012)。
「絵に描いたような幽霊船だな! 想像はしたけど、まさかホントに出るとはなあ。
 でも、笑っていられるような可愛い連中じゃないよな。
 あるいは、彼らもかつてはオレらと同じ、冒険心に溢れる人たちだったのかもしれないけど……」
 風牙には幽霊船から湧き上がる赤紫のおどろおどろしいオーラが見えていた。
 彼らの放つ、妬ましいという感情。そして言葉にするにはあまりに重い妄執。
「彼らを怨讐の海から解き放てるように……行くぞ、皆!」
 風牙が振り返ると、更に三隻もの船が後ろに続いていた。
 『闇討人』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)が舵を取る黒色の屋形船。
「予想はしていたでござるが絶望の青ともなればそう簡単には入らせては貰えぬか!
 いやはや死者の未練とは恐ろしいものでござるなぁ」
 その隣には『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)が操作するパープルカラーのクルーザー。
「そりゃあ絶望の青に挑むんだもの。きっとタダじゃ済まないなーとは思ってたよ。
 でもさ、海まで変になるとか思わないじゃん?
 しかも幽霊船が突っ込んできてるじゃん? 怖いね?
 さ、幽霊船なんとかして皆で帰るよ!! あんなのの仲間になってたまるかー!」
「おー!」
 声に応えて『ハーロヴィット・トゥユー』を振りかざす『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)。
 自身の操作する紫色に微発光する船に旗を掲げ、メガホンを手にとった。
「──‬さあ、Step on it!! その死亡フラグ、ブレイクしてやりましょうか!」
 軽く『船団』となったイレギュラーズたちは、船を加速させてウスタリ海兵隊たちへと接近していく。
 戦闘可能圏内まで、あと――。

●アタック
 放物線を描いて飛ぶ赤紫のアストラル体。吠えるしゃれこうべにもにたそれが船に着弾するたび、ウスタリ海兵隊の兵士たちは発狂して声をあげた。
 中には互いにナイフで傷つけ合うものや、自分の口に弾切れの銃を突っ込んでトリガーを引き続ける者もいた。
「ホーガン隊長!急いで逃げて下さい!
 ここは私達が食い止めますから‪──‬後でビールの一杯でも奢ってくださいね!」
 手を振り、砲撃の間に入ろうとするウィズィニャラァムの船。
「ローレットか! 助かる!」
 ホーガン隊長は汗と血を拭い、すれ違うように海域からの離脱をはかった。
 更に咲耶とティスルの船も間に挟まり、砲撃の盾となる。
「これだけ船があれば邪魔でしょ」
「嫉妬に凝り固まり歪んだその魂、現世への未練と共にこの斬九郎が断って差し上げる」
 船を三隻並べて壁にすると、三人はそれぞれ出撃姿勢をとった。――その直後、幽霊船からの砲撃がそれぞれの船に着弾。
 赤紫のおぞましい呪術が船を襲った。
「うわ、ちょ、これ、なにこれ!? いつのまに乗り移ったの! 敵の新しい能力!?」
 ティスルはいもしない幽霊兵めがけて雷雀の流銀剣を構えた、そんなティスルのあちこちからひとりでに刀傷が開き血が吹き出ていく。
「これは……狂気と出血の呪法でござるか」
 同じく着弾を受けた咲耶は二本指を立てると、己に活を入れて周囲の幻覚を消し去った。
 額から流れる血を拭い取り、ピッと捨てる。
「ウィズィニャラァム殿、ティスル殿。幻覚を振り払うでござる」
「なるほど――ね!」
 ティスルがムチのように展開した流体剣を振り回すと、周囲の幻覚がかき消えていく。
 パズルのように張り巡らされたティスルの状態異常対策はほぼ完璧といっていい。強いて言うなら出血系が防げないが、これがひどく刺さるような能力値ではない。
「甘く見ないでね? 私だって生き残るために色々やってるの!」
「あっそういうアレですか!」
 ウィズィニャラァムは飛んできた呪術砲撃に対して、ギラリとにらみつけた片目で自らの呪術抵抗を増幅。幻覚と出血を吹き払う。
「皆さん気をつけて! 砲兵の攻撃には少なくとも【魅了】や【出血】の効果があります!」

「厄介だねぇ。か弱いおっさんの分までさくっと片付けてきてくれや」
 軽い調子でいいながらも、十夜は猛烈に加速させた船を海面でドリフト。
 激しいカーブを描きながらワンダージャッカル号の側面をごりごりとこすって行く。
「あーあー……船に傷がついちまった。ま、壊れてねぇだけマシかね。
 船が沈んだなんていったら、陸に戻れた所で切り身にされちまう」
 肩をすくめておどける十夜。
 接触したと同時に助走をつけたナーガが船の手すりを踏み台にしてワンダージャッカル号の甲板へとジャンプ。
 こちらへと飛び込んできた亡霊剣士にダブルラリアットをかけてカウンターすると、そのまま相手船の甲板に叩きつけた。
 そんなナーガを取り囲み、剣を突きつける亡霊剣士たち。
 ここから先へは進ませないという強い意志がナーガにちくちくと刺さった。
 が、ナーガはまるで楽しいおもちゃを見つけた子供のように笑い、背負っていた斧を両手で構えてみせた。
「いっぱいアイしてほしいんだね。いいよ。ナーちゃんがアイでオヤスミさせてあげるね!」
 全方位よりの一斉攻撃――が、届く寸前。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!????」
 ジェット噴射で鯛焼きが飛んできた。
 両脇に抱えたリテルゴルロケットが空中で切り離され、甲板に頭側から墜落した鯛焼きもといベークがぼっふんと甘い香りを散布。
 いまさっきナーガに襲いかかろうとしていた亡霊剣士たちの一部(約三割ほど)が一斉に振り向いてベークへと襲いかかった。具体的に噛みついた。
「いたいいたいいたい!」
「ベーク、そのままそいつらを引きつけとけよ!」
 大きくカーブを描いて後方へと回り込んできたクリスティアンの星空のようなカラーリングの鋼鉄船。無理矢理カーブをきったのち、ワンダージャッカル号の後部へと激突した。
「ぶつかりかた激しすぎんだろ!」
「うるせー荒れてる海で敵船にぶつけただけでも俺的にはスゲーんだよ!」
 さっさといけ! と叫びながら手をかざし転星術を発動。
 風牙の全身に正座のようなラインが刻まれ、線が光りをもった。
 彼の施した術は本来対象の防衛能力を高めるためのものだが……。
「よしきた!」
 風牙はその一部を直接攻撃力に変えるすべをもっていた。
 バフによる特殊連係プレイというやつである。
「オレたちはイレギュラーズ! この絶望の海を越え、希望を掴むためにやってきた!」
 輝く脚で敵船めがけて飛び出し、こちらに対応して展開した亡霊剣士に斬りかかる風牙。
 あまりの衝撃に亡霊剣士が吹き飛び、すぐそばの剣士が驚いたように振り返る。
 砲兵の攻撃が集中。
 しかし風牙はクリスティアンのかけてくれた術式と己の強い意志によって幻覚を振り払い、亡霊剣士を飛び越えるようにして砲兵の一人を切り捨てた。
「クリスティアン!」
「分かってる。大暴れタイムと洒落込むか!」
 手すりを飛び越え、ワンダージャッカル号へ自らも乗り込んできたクリスティアン。
 彼に集中した砲撃が、正座のような光のラインがことごとくはじき、呪術を中和していく。
「最後まで気を緩めるつもりはねぇ。最後まで全力で叩き潰す!」
 彼の拳に集中した天狼星の光が、小型の槍となって打ち出された。

●狂気の沙汰
 次々と打ち込まれる砲撃を、十夜は特殊な蛇行運転によって回避していく。
 着弾した呪術弾が海面ではぜ、激しい柱をたてた。
「おいおい、こんなかよわいおっさんを狙うのはやめてくれや」
 運転しながら振り返り、手をかざす。
 斬りかかってきた亡霊剣士の手首をとって、その場にくるりと回して投げ落とした。
「しっかし……」
 ワンダージャッカル号を見やる。
 仲間たちはいやらしいBS攻撃を仕掛けてくる亡霊砲撃兵を真っ先に倒すべく攻め入ったが、亡霊剣士たちに阻まれてうまく攻撃できないでいるようだった。
 ベークが一部を引きつけてはくれているが、それでも突破が容易な人数ではない。
 特にキツいのが【魅了】のBS効果だ。味方の攻撃力がそのまま自分にむくのはできればさけたい。更に言えばこちらの突破力が純粋に一人分減るのもつらいところだ。
 ゆえに砲撃兵を早く消してしまいたいが、邪魔をする亡霊剣士たちも雑魚というわけではないらしく、そう簡単に蹴散らすこともできない。
「やれやれ、もう一働きしなくちゃあいけねぇか」
 十夜は舵をとると、再びワンダージャッカル号へと接近をしかけた。
 一方こちらは咲耶。
「死者は残された生者を見守るのが世の理。死して尚、生者の足を引っ張るのは些か見苦しゅうござる」
 ワンダージャッカル号に直接船を叩きつけ、瓦屋根の上で助走をつけて甲板まで飛び込んでいく。
 彼女を阻もうとする亡霊剣士に、妖刀が激しく叩きつけられた。
 堅いフジツボが剣を阻もうとするが、彼女の剣はそれを易々と切断。
「……成敗!」
 亡霊剣士の腕を切り取り、剣を振り切った。
 一方。
「そこをどけ!」
 風牙の封扇花が亡霊剣士へと繰り出された。
 見えていた赤紫のオーラが振り払われ、剣士のうごきが明らかに鈍った。
「オレたちは乗り越える! 今まで誰にも越えられなかった難所を! 悪意を! お前たちを!
 お前たちができなかったことを成し遂げてみせる! お前たちが見たかったものを、必ず見つけてみせるぞ!!」
 風牙の生命力あふれる宣言に、亡霊剣士は『恨めしい』とつぶやいてつかみかかってきた。
「俺達も、失敗したらこーなるのかね。……いやいや。御勘弁願いたいな、そんなのは」
 クリスティアンは空中に正座のラインを指で描くと、ナーガやベークたちにエンピリアルアーマーを配っていった。
 特にナーガを放置するのはヤバい。彼女の攻撃力がこっちに向いたら地獄も地獄だ。
「やっぱ大事だよなあ、BS対策ってのは」
 などと言いながら、後ろ手に新たなエンピリアルアーマーをショット。
 猛烈な速度で突っ込んできたティスルに、すれ違いざまの付与をかけた。
「あなた達の仲間にはまだなれないの! だから邪魔しないで!」
 ティスルのドリルショットが炸裂。亡霊剣士を爆発四散させた。
 と同時に、彼女の脚につかまって飛び移ってきていたウィズィニャラァムがラカラビの砲撃を放った。
 相当足場(?)の悪い砲撃であったにも関わらず、亡霊砲兵たちが悉く吹き飛ばされた。
「よっしゃ!」
「勝機!」
 飛びかかる風牙と咲耶。
 ベークがナーガへと呼びかけた。
「トドメをさしちゃってください!」
 めっちゃかじられたベークだが、かじった側の亡霊剣士たちが彼のなにかにあたって苦しみだした。
「うん、じゃあいっぱいアイしてあげるね!!!!」
 両目をカッと見開き突っ込んでくるナーガ。
 それを二度見するベーク。
「えっこれもしかして僕ごとj――」
「――ア゛ッ!!!!!!!!!」
 ボッという空気ごと爆発するような音と共に、ベークが空に飛んでいった。
 彼に張り付いていた亡霊剣士たちもまとめて飛んでいき、空中で分解されていく。
 あーと叫んで海に落ちていくベークを、十夜は手を額にかざして眺めていた。
「これにて一件落着、かねぇ。さっさと退散して、美味い酒で乾杯といこうや」





 この後、ウスタリ海兵隊と合流したイレギュラーズたちはけが人を手当し、海洋海軍の中継基地へと送り届けた。
 隊長のホーガンはポケットから手帳を取り出し、ティスルへと手渡す。
「助かった。この情報を持ち帰れなかったらどうしようかと思ったところだ」
「うん? これは……『海底神殿』?」
 ティスルはメモにある文字と地図情報に、目を細めた。

成否

成功

MVP

ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ

状態異常

なし

あとがき

 ――ミッション達成!
 ――ウスタリ海兵隊の撤退を完了!

 ――『青きうつろの海底神殿』の位置情報を取得しました

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