シナリオ詳細
殲滅! 悪逆ゴブリン退治
オープニング
●悪逆! ゴブリンたちの襲撃計画
「ゲッゲッゲ! あの村、もう収穫の時期だゴブ」
「待った甲斐があるゴブ。楽しい略奪のときだゴブ!」
「ゴヘヘ、あそこにはめんこいガキもいるゴブ!」
とある集落を見下ろせる丘の上――。
数匹のゴブリンたちが獲物の品定めをしている。
コブリンたちは、ここから見下ろせるのどかな集落ガシャイヒ村に目をつけたのが、今から三ヶ月前のこと。
そのときは、襲撃をかけずに見逃した。
慈悲のためではない、収穫期を迎えて実った作物で村が豊かになったところを襲うと決めたのである。
下等な連中だが、そのくらいの知恵はある。といっても、悪知恵であり褒められるようなものではないが。
「ゲッヘッヘ、近くの村からも手伝いが来てるゴブ! 祭りをやるつもりだゴブ!」
「だったら、うまいもんも金目のもんも集まるゴブ! かわいい女もだゴブ!」
「なら、祭りのときが襲撃の日だゴブ!」
下卑た笑いを浮かべながら、楽しそうに囃し立てる。
豊穣の恵みを祝う平和な村に、暴虐のときがやって来ようとしている。
ゴブリンたちは、他にもいる仲間たちを呼んでこの哀れな村を襲撃しようとしていた。
――と、そのゴブリンたちが引き上げて間もなく。
がさがさと草むらが揺れ、ひとりの男が顔を出した。
とっさに身を隠し、ゴブリンたちの悪だくみを聞いていたのだろう。
彼は、ガシャイヒ村の農夫だ。
近くの幼馴染の女性と、夫婦になって一緒に暮らすことを夢見るどこの田舎にもいる純朴な青年である。
音が善良でおとなしいだけに、その顔色は真っ青になっていた。
「た、大変だ! みんなに報せなきゃあ……」
男は、一目散に村へと降りて行った。
●求む、ゴブリン退治の勇者たち
「大変、大変なのですよ!」
ギルド・ローレットでは、『新米情報屋』ユーリカ・ユリカ(p3n000003)が慌てふためいていた。
どうやら、何かのトラブルが持ち込まれたらしい。
つまり、依頼になるのだ。
「幻想の田舎にあるガシャイヒ村がゴブリンの群れに襲われそうなのです! 村人さんが、急いで冒険者たちを寄越してほしいって言ってます」
ゴブリン――。
知能も高くなく、身長も大きくはならない。
しかし、徒党を組んで集落を襲うモンスターの定番ではある。
いわゆる雑魚モンスターであるが、何の訓練も受けていない人々にとって、脅威であることは間違いない。
モンスターとしては弱いが、彼らは残虐で容赦はない。
また、弱いと言っても人間と同じように武器も使う。
戦闘力が皆無ではなく、悪知恵も働くので油断はできない。
「まあ、駆け出しが慣れるにはちょうどいい依頼だ。こっちもサービスで集められる情報をざっと集めてきた」
ベテラン情報屋の『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、すでに下調べを終えているという。
もたらされる情報は、以下の通りである。
「ゴブリンは、全部で15匹いる。そのうち、1匹はホブゴブリンっていう体のでかいゴブリンだ。そいつが群れのリーダーだな。他には飼い慣らした狼に乗るゴブリンライダーが2匹……こいつらの武装は槍だ。あとは、弓を使うのが4匹、残りの8匹はみんな短剣を使うようだ」
かなり詳しく調査してきたようだ。
その情報の精度も期待していいだろう。
「この15匹の群れは、ガシャイヒ村から半日ほど北に行った山にある洞窟に棲み着いている。話によると、村の祭りを待って襲うつもりのようだ。その前にこの洞窟に向かって片づけてくれ。ああ、それと――」
ショウは続ける。
「村で迎え撃つって作戦はなしにしてほしいそうだ。村祭りは、みんなが楽しみにしているそうなんでね」
ガシャイヒ村は、のどかな田舎の村である。
村人たちには、戦うすべもない。
ゴブリン相手の争いに巻き込まれたくないのだ。
ただ、洞窟までは村の青年が案内してくれるという。
「村の人たち、すごく困っているみたいで……。報酬も出してくれますし、お礼に村祭りに呼んでくれるそうです。いっぱいご馳走してくれるって言ってます」
ユーリカが、あせあせしながら説明する。
おそらく、報酬はそんなに高い額ではないのだろう。
祭りで振る舞われる村の実り……酒や潰した家畜は存分に振る舞うということだ。
さて、このゴブリン退治に挑む冒険者はいかに?
- 殲滅! 悪逆ゴブリン退治完了
- GM名解谷アキラ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年02月01日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ガシャイヒ村を救う勇者たち
その日、ギルド・ローレットから派遣されてきた冒険者たちがガシャイヒ村にやってきた。
たかがゴブリンと思うなかれ。
油断して悲惨な目に遭った駆け出し冒険者たちは枚挙にいとまがない。
ここに結集した冒険者8名は、いずれもイレギュラーズである。
高レベルであるというのに、油断する雰囲気はなかった。
ゴブリンたちを一網打尽とすべく、ガシャイヒ村に到着する前に奇襲で片をつける方針をまとめていた。
「どんも、よろしくお願いしますだ」
純朴な青年が、ゴブリンが巣穴にする洞窟までの案内を買って出た。
奇襲は朝方に実行することで一同の意見が一致している。
体力を温存するためにも、移動は八人が乗れる馬車まで用意しているという徹底ぶりだ。
これが高レベルの冒険者というものなのだろうなと、ガシャイヒ村の青年も納得する。
腕っぷしが強いばかりではなく、用意周到に事を運ぶ経験こそが物を言うのだ。
「この村を襲うってのか。おうおう好き勝手やってるじゃねえか、在来種がよォ」
「ひっ! ゴ、ゴブリン……!?」
青年が驚くのも無理がないことであった。冒険者の中には、あの忌まわしい小鬼が混ざっている。
『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)である。
「ご安心を。キドーさんは依頼でやって来ているから襲いはしないから」
『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)が青年に告げる。
ゴブリンには、在来種と外来種があるらしい。
青年にはよくわからないことであるが、キドーはウォーカーであり、別世界からやってきた侵略的外来種である。
在来種との共存などありえないのだ。
駆逐してテリトリーを拡大するという本能がある。
「いいゴブリン……なんてのは口が裂けても言えねえが、ギドーは義理欠いた真似はしねえぜ。俺じゃあ保証にならないかもしれんが」
青年に言ったのは、『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398) であった。
その言葉には、独特の威圧感と重みがある。
青年も、これを受け入れざるを得ない。
「しかし、ゴブリンと言えども祭りが盛況な時に襲撃しようとする狙いは、中々頭がいい」
「そうなんです。あいつら、おいらたちが汗水たらして働いて、ようやく収穫するって頃合いを見計らって襲う算段をつけているらしくて……」
「ならばこちらも油断せず、全力で討たなけりゃならねえな」
ゴブリン(キドーのような外来種は例外として)は、基本体格が劣り、力も弱いとされる。
しかし、力に劣ることを自覚している分、悪知恵が回るし、必死になって手を尽くす。
カタギ衆を舐めて逆襲を食らった者は義弘の知る世界でも意外に多い。
「今回のゴブリンは普通のやつなんじゃな! 前にダクテンゴブリンとか言うのを相手にしたんじゃが、こう、いろいろやばかったからなんというかホッとするのう……!」
『田の神』秋田 瑞穂(p3p005420)がその話を聞いていろいろ思い出したようだ。
この混沌では、ゴブリンと言っても様々である。
なにせ、外来種までやってきているのだ。
「とは言え気を抜かずしっかり依頼をこなそうぞ!」
「そのとおりだな」
義弘も大いに頷くところである。
「おー、このままだと悪いゴブリン襲って来て、『お祭り』が『血祭り』に変更? ソレ、良くない。お祭り妨害禁止!」
『天然蝕』リナリナ(p3p006258)が危惧するのは、収穫の祭りが中断されることである。
収穫の祭りとなれば、実りが饗されるものだ。
報酬には、ここで振る舞われるガシャイヒ村の宴会料理が含まれている。
リナリナもお祭りを守ろうという気概に溢れていた。
「そうだそうだ、ガシャイヒ村のお祭りは邪魔させないんだぞ」
『刺天の輝虹子』湖宝 卵丸(p3p006737)もリナリナと同じ心意気である。
村の平穏を乱すものは、正義の海賊としても見過ごせない。
「まあさっさと斬って終わらせましょう、切り合うには楽しめそうにない相手だし」
『鬼薊』白薊 小夜(p3p006668) にとって、ゴブリンは満足できる獲物ではない。
前に戦った吸血鬼は、心が踊ったがそのような高揚感が得られそうもない相手だ。
彼女は、視覚以外の研ぎ澄まされた感覚でもって敵をうつことで剣の技の研鑽を「図」るという修羅である。
それでも依頼を受けたのは、思うところあってのことだ。
「では、山の地形について教えていただけますか?」
「は、はい……!」
「行き来を手早くできれば、お祭りへも早くお呼ばれできますし」
青年が戸惑ったのも無理はなかった。
『司令官』桜咲 珠緒(p3p004426)は、儚げな巫女である。
異なる色合いの瞳を持ち、触れれば手折れそうな雰囲気なのだ。
彼女のような少女がゴブリン討伐に挑むとは思えなかったのである。
しかし、怯えた様子や薄弱さが感じられぬ不思議に首を捻るばかりだ。
「馬車で行きなさるんなら、この村から半日程度です。一本道ですから、ゴブリンどもが逃げてくることもないです」
「そうですか。なら、安心ですね」
「悪ぃな、道案内を頼む」
「ええ、途中までついて行きますんで」
青年が義弘の要請に応じた。頼もしい八名が揃ったと感じ、安堵した。
これなら大丈夫だと。
「あと、昼食用のお弁当もお願いできるかな?」
蛍がついでとばかりに頼み事をする。
お安い御用だと、ガシャイヒ村の女たちが用意したライ麦パンと干し肉を渡してもらった。
出発は早朝、空が白み始める前と決まった。
●奇襲作戦決行
まだ日は昇りきってはいない。
空気は澄んで、山中には朝靄がかかっている。
「見えますかね? あそこです……」
青年は、声を潜めて冒険者たちを案内し、山中の岩場までやってきた。
気づかれないよう、馬車を降り、遠くから観察する。
「……… アレがゴブリン洞窟? 見張り居る?」
リナリナが遠目から覗き込む。
ゴブリンたちが察することのないよう、馬車から事前に降り、遠くから様子を窺うことにしたのだ。
「じゃあ、珠緒さんお願い」
今のうちとばかりに、蛍はパンと干し肉を齧りながら言った。
顎が疲れるほど歯ごたえがあるが、素朴な味でお腹には溜まりそうだ。
「はい、油断なく堅実に確実に。焦らずに参りましょう」
馬車から降りると珠緒は、周囲への索敵を行なう。
彼女には、広範囲の情報を感知する能力がある。
望遠鏡並みの超視力が大きく口を開けた洞窟の前に、ゴブリンが二匹いるのを察知した。夜通しの見張りだったのか、眠たそうにしている。
幸いなことに、こちらが察知された様子はない。
「よし、俺たちはこっちで待機だ」
義弘ほか、リナリナ、珠緒、蛍、瑞穂が残って草むらに身を隠した。
斥候を引き受けるのは、キドー、小夜、卵丸の三名である。
そのうち、キドー、卵丸がさらに先行する。
ふたりは、特に気配を「絶」つ技能に長けていた。
まず、キドーが忍び足で音も立てずに背後から接近し、ゴブリンの口を塞いで喉元を掻っ切る。
「中の仲間に合図はさせないんだぞ」
驚いたもう一匹が声を上げる前に、いつの間にか回り込んでた卵丸が不意打ちする。
キドーと卵丸が視線を交わし無言で了解をすると、小夜に対して合図を送った。
「……風は奥から吹いているわ」
小夜がその卓越した感覚で空気の流れを読む。
つまり、中にいるはずの嗅覚の優れた狼に臭いを察知される恐れは少ないということだ。
「部屋が三つ……大部屋に何人かいるぞ。大きいヤツがその奥で、狼は右の部屋だぞ」
卵丸は耳を澄ませ、内部を把握する。
彼はコウモリが超音波で暗闇の中を飛ぶように、音の反響によって地形と状況を把握するというエコーロケーション能力を有しているのだ。
「騎手のゴブリンは、右ね」
卵丸の告げた情報を聞き、小夜は鞘を払い刃を抜いた。
●一網打尽へ
「動きがありました。いきましょう、皆さん」
ハイテレパスを持つ珠緒は、先行した三人が見張り二匹を仕留め、内部の様子を知覚するとこれを思考として全員と情報として共有できる。
「草木からも聞いたが、ゴブリンたちは他におらん。全員洞窟の中じゃ」
瑞穂の情報も有益となろう。
なら、一網打尽とすることが可能だ。
「おー、リナリナ、戦闘係! みんなと行く。だから、アンタそこで待つ!」
「わ、わかった。気をつけて」
リナリナに言われ、青年は草むらに身を隠して待機する。
戦闘は、ローレットから派遣されてきた冒険者に任せる。
「おし、行くか」
「うん、珠緒さん。指揮は任せたよ」
義弘、蛍が前衛となって洞窟に向かう。
「おう来たか。見な、見張りは仕留めたぜ。卵丸が言うにゃ本体とボスは奥だぜ」
「相変わらず見事なもんだな」
洞窟内部で待っていたキドーたちと合流する。
本格的な奇襲攻撃の始まりだ。
「じゃあ、派手に行こうぜ」
「突撃! さすがに味方のゴブリンさんとは見間違えないゾ」
キドーとリナリナが突進し、義弘と蛍も続いた。
「ゴ、ゴブ!? て、敵だゴブ……!」
洞窟の大部屋でゴロ寝していたゴブリンたちが慌てて飛び起きる。
大人数ゆえに奇襲に混乱する。
しかも、そのうちの一匹に文字通り尻に火がついた。
「ぎゃああああっ、熱ッ!? 火、火が」
「うまくいったのう」
瑞穂が忍び寄ってマジックフラワーで火をつけたのだ。
そいつが跳ね回って暴れたせいで、混乱に拍車がかかる。
「何事だ、騒々しいホブ! おっ……!?」
奥から登場したのは、ひときわ大きいホブゴブリンだ。
おたつく部下の様子から、奇襲を受けたことを察する。
携えた大斧を両手に構えた。
そのホブゴブリンを惹きつけるのは、蛍の役目だ。
「貴方たちに村は襲わせない…あの村人達の笑顔、絶対守るわ!」
蛍が全身を発光させると、幻惑の花びらが舞った。
彼女が持つスキル、散華による氷雪色の幻影だ。
ゴブリンたちもしばし呆然となる。
さらにはゴブリンライダーA、B二騎が狼にまたがり槍を「手に」駆けつけようとするが、小夜がすれ違いざまに放つ落椿の斬撃と刺突が早業で決まり、Aが落馬した。
狼の駆け音を耳にした義弘は、すぐさまそちらに向かう。
「おい、おまえさんを使わせてもらうぜ。悪く思うな」
「ゴ、ゴブ……?」
なんと、短剣を構えるゴブリンAを、途方もない腕の力で頭から鷲掴みにして振り回し、ぶん投げたのだ。
突撃してきたゴブリンライダーBとゴブリンB、C二匹を巻き込んで吹き飛ばし、壁まで叩きつける。
強面の筋者を暴れさせてはいけない。
しかし、ゴブリンたちがその教訓を活かすことはないだろう。
「矢だ、矢を射かけるホブ……!」
蛍の生み出した散華の幻影と、怪物じみた義弘の腕力に呆然としていたホブゴブリンが部下に指示を飛ばす。
「わかったゴブ……!」
ゴブリンたちの弓はショートボウに分類されるが、矢というものは弦に矢をつがえて引くという動作を必要とする。
その動作の最中に、キドーは自己にライトフォースを付与する。
「ギギ、ギッ?」
隙を突こうとしたゴブリンアーチャーAであったが、弦を引けない。
ピューピルシールによって弦を断たれていた。
「この、ニンゲンに味方する裏切り者ッ!」
「裏切りだあ? こちとらテメェみてえな軟弱な在来ゴブリンとは違うんだよ! げひゃひゃ」
キドーはそう言って在来種ゴブリンたちを囃し立てる。
これぞ侵略的外来種の振る舞いである。
そして、壁を蹴って背に回った卵丸がキルデスバンカーを打ち込んだ。鉄帝国工房で開発された特注のパイルバンカーで、ゴブリンアーチャーBを串刺しにする。
「ゴ、ゴブ、こ、こいつら……えっ?」
ジリジリと下がるゴブリンアーチャCであったが、ざくりと背後から胸までに白刃が貫いていた。
ずるり……と前のめりに斃れると、小夜がその刃を引き抜いて血振りして刃を払う。
「るら~!」
雄叫びを上げ、ルナルナが乱戦に突っ込んでくる。
残るゴブリンアーチャーDが矢をつがえたところで謎撃が決まり、なんだかよくわからないまま頭がひしゃげた。
ゴブリンD~Iと乱闘になる。
噛んで、噛んで、雷撃を帯びたギガクラッシュ!
ゴブリンをも圧倒する野性的な戦いだ。
戦いに文明など無用だと言わんばかりの暴れっぷりである。
「よし、もうひと息じゃ皆の衆!」
瑞穂に応援され、義弘がさらにゴブリンたちを殴る、蹴る!
キドーも在来種を根絶せんばかりの勢いである。
「あと、残るはひとりです」
珠緒が告げる。
今まで、蛍が十分に引きつけていたホブゴブリンが残った。
「ぐう……!」
蛍に惹きつけられていたホブゴブリンは、手下たちが為すすべもなく倒れゆくことに気づいたが、もう遅かった。
こうなれば自慢の大斧でひとりでも多く打ち倒すしかない。
「おまえさん、降参する気もなさそうだな」
「当たり前だホブ! こうなれば冥土への駄賃に連れて行くホブ!」
ホブゴブリンにも矜持があるのだろう。
彼もまた、剛の者である。最後の一兵卒になろうともニンゲンごときの軍門に下るのを潔しとしないのだ。
大斧を振り回し、意地を見せる。
「いいだろう。一発、ぶちかましてやるとしようぜ」
「欲張ったのが運の尽きなんだからなっ……! 喰らえ音速の一撃、零距離銛打ち術だっ!」
卵丸と義弘の攻撃がホブゴブリン相手に繰り出される。
その大斧が振り下ろされるかに見えた刹那、狂咲が決まった。
「終わりね、これで」
蛍が、ゴブリンたちのボディカウントをチェックする。
全部で十五体、これで依頼完了となるはずだ。
案内役の青年にも、実地検分を求めた。
「はい、確認しました。ありがとうございます。ガシャイヒ村に戻りましょう」
●村祭り
「おー、お祭りだゾ! リナリナいっぱい食べる!」
リナリナも大喜びであった。
ガシャイヒ村では無事に収穫の祭りが執り行なわれる。
ささやかなものであるが、実りの喜びと平穏を祝う。
「これは五穀豊穣の神の出番じゃな」
瑞穂のご利益があれば、来年は豊作だろう。
村人たちはそうとは知らずに歓待している。
酒も、食い物もある。
キドーと義弘は、酒を酌み交わしていた。
強面の義弘はともかく、キドーに対しては、やはり村人たちも警戒しているようだ。
卵丸の周囲には、村娘たちがきゃいきゃい言って寄ってくる。娘たちばかりか、男たちも容貌に勘違いしたのか寄ってくる。これは困りものだ。
「この光景を、笑顔を、ボクたちが守ったんだって誇ってもいいのかな」
「もちろんですよ」
蛍は、率先して依頼に立ち向かうというのに、手柄を誇示するような振る舞いは苦手なのだ。
そのことは珠緒もよくわかっている。
誰よりも彼女のことを見ているのだから。
「さっ、最後まで楽しみましょう。ゴブリンは襲ってこないのだし」
村人たちの歓声を聞きながら、祭りの夜が更けていくのを小夜は感じているのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした。リプレイは以上で終了となります。
ゴブリン退治、いかがだったでしょうか?
王道にして基本なものですが、初心者GMとして一歩を踏み出せたかと思います。
またすぐシナリオを用意すると思いますので、よろしければお付き合いください。
GMコメント
■このシナリオについて
皆様こんちは、解谷アキラと申します。
ファンタジーRPGの定番、王道のゴブリン退治です。
村を襲おうとするゴブリンを殲滅するのがお仕事となります。
ゴブリンたちは幻想の片田舎、ガシャイヒ村を狙っています。
村祭りを待って襲撃するので、逆に言えばその日までは安全です。
底から半日ほど歩いた山の洞窟に潜んでいますで、襲撃前に退治してください。
・ゴブリンのうちわけ
ゴブリンの群れの構成はオープニングでもあるとおりです。
・ホブゴブリン×1
群れのリーダーです。身体がでかく、それなりに知恵もあります。
武器は両手持ちのアックスで、動物の骨を兜にしています。
・ゴブリンライダー×2
ゴブリンの中でも騎士クラスです。
飼い慣らした狼に乗って、槍で突撃してきます。
洞窟の中だと、広いところでないと騎乗を活かせません。
奇襲が成功するとただの槍を持ったゴブリンになるでしょう。
・ゴブリン(弓)×4
ゴブリンアーチャーというやつです。
ショートボウを持っていて、遠距離射撃できます。
・ゴブリン(短剣)×8
一般的なゴブリンです。
雑魚ですが囲まれたり油断すると脅威になりえます。
・洞窟について
岩山にできた洞窟です。
途中まで、村の青年が案内してくれます。
内部についてはそれなりに広いようです。燻すなどしても効果は薄いでしょう。
罠の類については、心配しなくても構いません。
底まで知恵が回ってないようです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それではイレギュラーズの皆さん、よろしくお願いします。
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