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シナリオ詳細

寒月のお茶会

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●甘くて苦い
 花を模した手のひらに乗る小さなお菓子。
 しっとりと甘いそれを口に含めば甘さが口いっぱいに広がる。
 そこに苦みのあるまろやかなお茶を口に含めば、甘さが洗い流され、次が欲しくなる。
「美味しいけど、中々減らないね……」
「一度に沢山食べる物じゃありませんからねぇ……」
 しんしんと降り続ける雪を見ながら、黙々とお菓子を食べ、お茶を飲む。
 途中でお茶の種類を変えて気分を変えても、消費出来たお菓子は全体の3割。
「あ、こら。おせんべい食べるなら和菓子消費してよ!」
「飽きた! 口の中甘すぎてしょっぱいのが欲しい!」
 お菓子消費に勤しんでいた三人だが、とうとう飽きてしょっぱい物に手を出してしまう。
「詩織、これ以上は無理」
「私じゃなくて、貰って来た父様に言ってよ!」
 付き合いで貰ったと渡された箱に入っていたのは大量の和菓子。しかも日持ちしない上生菓子。
「もうこれ以上和菓子消費出来ない! お茶会で使って!」
「今日明日で開けるわけないでしょう!」
 言い合いながらも二人揃っておせんべいに手を伸ばす姉弟を見ながら、付き人の翔はさっぱりとした緑茶を淹れるのだった。
 今日明日でお茶会に来てくれる人はいるだろうかと考えながら。

●寒椿と抹茶
「……みんな、正座出来る?」
 突然の呟きに思わず首を傾げる。
「後、苦いの平気?」
 お茶会のお誘いだよね? と首を傾げられ、フェリーチェが本を差し出す。
「お茶会のお誘いなんだけど、和風のお茶会なの。着物を着て、正座で、和菓子と抹茶を楽しむんだって」
 和菓子は餡子を使った物がメインで、一つ一つは小さく、見た目もとても凝っている。ただしほぼ餡子で出来ているのでかなり甘い。
 そして抹茶は逆に苦い。とはいえ良いお抹茶を使って上手に点てるとまろやかな苦さと仄かな甘味があるという。
「雪と寒椿を見ながらのお茶会で、着物はなかったら貸してくれるって。お菓子を持て余した子供たちが開催するお茶会だから基本的なマナーさえ守れば大丈夫」
 抹茶を飲む際の手順も、気になるなら教えてくれるという。
 寒い時期ならではの光景を見ながら、いつもと違う和風なお茶会ーーお茶席で一服どうだろう。

NMコメント

 今年は花弁餅を食べ損ねました。
 代わりに、美味しい和菓子で一服如何でしょうか!

●目的
・お茶席に参加して和菓子の消費を手伝う。
 和菓子は直径5㎝程の物が40個ほど。種類は色々。
 美味しいのですが、ほぼ餡子なのでかなり甘いのと結構お腹に溜まるのが難点。2,3個で口の中が甘さでいっぱいになるので、口直しをしながら頑張って消費しましょう!
 お茶は抹茶の他に緑茶、ほうじ茶も用意されています。
 口直しは漬物に塩昆布、おせんべい、一口おにぎりに澄まし汁等。
 ちょっとがっつり口の中変えたい人には煮物も。

●主催者たち
・詩織
 多分お茶席の主催者。それなりに良い所のお嬢様。
 今回行き当たりばったりだし、かしこまった席でもないのでかなり緩い。

・春樹
 詩織の弟。
 食べ盛りなのでそれなりの数を食べ、既に和菓子はもういらない状態。
 一応お茶席なので一つは食べるけど、その後は口直しに走りそう。

・翔
 二人の付き人。裏で色々準備してくれる。
 基本裏方だけど、声をかけたらお茶席の方に顔を出す。

●その他
・窓から雪と寒椿が見える中でのお茶席。
・着物は貸してもらえるので、どんな着物を着たいかお気軽にどうぞ。なければ詩織が適当に選びます。
・緩いお茶席だし、お菓子の消費が目的なので畏まったのは最初だけ。すぐに緩ーくなります。お喋りしたり、お好きなだけ和菓子を食べたりしてください。

 それでは、緩いお茶席にてお待ちしております。

  • 寒月のお茶会完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月02日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
ライアー=L=フィサリス(p3p005248)
嘘に塗れた花
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人

リプレイ

●雪の中で
「お茶席に来てくれて有難う!」
 主催者の詩織は、やって来た四人を見てぱっと花のような笑みを浮かべた。
 目的が目的だけに、人が来ないかもしれないと思っていたようだ。
「本日はお招き頂き、感謝致しますわ」
 『嘘に塗れた花』ライアー=L=フィサリス(p3p005248)が代表して礼を言うと、詩織は早速四人を見る。
「和装の方もいるけど……皆さん着替えます?」
 和装姿の『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)と『百錬成鋼之華』雪村 沙月(p3p007273)を見て首を傾げると、全員が是非にと頷く。
「じゃぁどんな着物が良いか見に行きましょう! えぇと……」
「ゲオルグだ。今日は宜しくな」
「有難う。ゲオルグさんのは父様の服があるから大丈夫ね。
 あ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。私は詩織。こっちは弟の春樹と従者の翔よ」
「宜しくな!」
「本日は宜しくお願いします」
 にっと笑う春樹と丁寧に頭を下げる翔を見て、イレギュラーズ達も自己紹介を始める。
「私はヴァイスよ!」
「ライアーです。宜しくお願いしますわ」
「雪村沙月と申します」
 『お道化て咲いた薔薇人形』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)を始め女性陣も挨拶すると、早速着物選び。
「着物は自前のがあるにはあるのだが、自分で選ぶとどうしてもデザインとか偏るのだよな。なので私が着る分は選んでもらおう」
 新しい発見があるかもしれないな。と笑うゲオルグにと選んだのは、茶の紬と市松模様の帯に、青磁の羽織を合わせて。
「だんでぃーなおじさまだけど、ちょっと冒険してみるのも良いかと思って」
 紬特有の模様が美しく、市松模様の帯が良いアクセントで遊び心満載だ。羽織は淡めの色合いで、市松模様が全体を引き締める。

「普段から着ておりますが、他の方に見立てて貰える機会はあまりないので選んで頂けると嬉しいですね」
 こちらも普段から着物に慣れ親しんでいる沙月も、詩織に選んで貰いたいと言う。
「お姉さんは淡い色でちょっと儚げな雰囲気もあるから、きりっと濃い色はどう?」
 選んだのは梅紫に白と淡い紫の小菊模様。帯は淡い紅色で、猫が歩いたかのように配置された肉球模様が可愛らしい。
「まぁ、可愛らしい帯ですね」
 凛とした雰囲気の目元が、肉球模様を見てふっと柔らかく緩む。

「ねぇ、私はどんな着物? お花の紋様が入ってると嬉しいわ」
 沙月に選んだ着物を見て、ワクワクを隠せないのはヴァイス。
 そんなヴァイスには紅梅に大振りの桜を描いた柔らかな着物。帯は濃い紅で、白いウサギと桜色の薔薇が可愛らしい。
「まぁ、薔薇模様ね!」
 ぱっと笑顔を浮かべるとヴァイスはにっこり微笑む。
「着物はね、着てみたいと思っていたのだけれど。機会に恵まれなかったから、こういう場があって嬉しいわ!」

 最後はライアー。
「茶道だと、色無地が良いのだったかしら? ごめんなさいね、詳しいことをよく知らないの。よろしければ見繕って頂けるかしら?」
 困ったように微笑むと、詩織は「別に無地じゃなくて良いのよ」と笑う。
 ライアーには淡い水色に大きな白い円が複数ある着物。円の中には梅の花が上品に咲いている。帯は萌葱に色とりどりの手毬が描かれたもの。
「手毬が華やかですね」

 着付けが終わったら女性陣は髪結いを。
「あまり頭が重くならないように、かんざしは軽めのものが良いわ」
 揃いも揃って女性陣は長い髪の持ち主。それだけで頭が重いので、簪を軽めに。というのは当然の事だろう。
 軽い簪から好みの物を選んで、上品に結いあげれば準備完了。
「先に軽く頂いてるぜ」
 とっくに着替え終わっていたゲオルグは、寒椿を見ながら温かいお茶を片手にすっかり寛いでいる。
 さぁ、お茶とお菓子を楽しむ時間です。

●甘い和菓子と苦い抹茶
「甘い和菓子がたくさんあるのよね? あまり食べたことが無いから、楽しみだわ!
 それにこういう……和風、でいいのかしら。私はあまりそういう文化に触れなかったから、ワクワクしちゃうわね!」
 簪を揺らしながらヴァイスが楽しそうに微笑む。
「そうだな。大量に残っている和菓子を消費するという名目で美味しい和菓子食べ放題。しかも抹茶までついてくる上に口直しの準備もバッチリ。こんな至れり尽せりな仕事はそうそうないだろう。遠慮する必要はないみたいだから心ゆくまで楽しむとしようか」
 その隣でどっしりと座るゲオルグも、翔が持ってきた皿を見て目を輝かせた。
 本日の主菓子は花弁餅。新年限定でしか食べられない変わったお菓子だ。
「ところで、今日の作法はどのようにしたら宜しいでしょうか?」
「今日は和菓子食べるのが目的だし、緩く楽しめば良いんだよ」
 そう言ってにっと笑うと、春樹は口調に似合わず上品な動きで点てられたお茶を置いて行く。
「そうですか? では、お言葉に甘えさせて頂きます」
 経験者ということで、お手本役になった沙月は特別な作法はないと言われてほっとする。
 隣に座ったゲオルグに「お先に」と一礼してから基本的な作法に沿って飲み干すと、空になった器を春樹が回収していく。
「成程。そうやって飲むんですね」
 出された和菓子をもぐもぐと食べながら頷くヴァイスを見て、春樹が笑いながら三人にもお茶を持って来る。
「お先に」
 沙月の真似をしてヴァイスに一礼をすると、ゲオルグも正面をずらして抹茶を口にする。
「苦い……」
「その分和菓子の甘さが嬉しいよ」
 続いて抹茶を口にしたヴァイスはその苦さに思わず顔をしかめるが、ライアーの言葉を聞いてすぐに和菓子を放り込む。
 慣れない苦みでいっぱいだった口の中が、上品な甘さでいっぱいになる。そして残っていた抹茶を飲み干すと、今度は甘さが消えてすっきりする。
 久しぶりに来た着物で動きが少しぎこちないライアーも、ピンと背の伸びた綺麗な正座で抹茶と和菓子を楽しむ。
「ん……。餡子が詰まっているのね。甘くて美味しいわ」
 一度全員の前から和菓子もお茶もなくなると、堅苦しさを残したお茶席はここまで。後は緩く美味しく楽しむだけだ。


 大皿に盛られた色とりどりの和菓子を見て、沙月はどれを食べようか悩んでしまう。
「どれを選んだら良いのか迷ってしまいますね……。ライアーさんはどれにしますか?」
「私はこのネズミのが良いわ」
 ライアーが選んだのはネズミの形をした和菓子。
「可愛らしいですね」
 そう言いながら沙月は梅の和菓子を取る。他のメンバーより和菓子を食べる機会が多い彼女は、皆が食べたい物を選べるようにしているようだ。

「何この子ふわふわ!」
「まぁ可愛い」
 ゲオルグが呼び出した手乗りサイズのふわふわ羊のジークを見てはしゃぐのはヴァイスと詩織。
「私の家族で、ジークと言うんだ。ジークもお茶会に参加しても?」
「勿論よ! こんな可愛いお客さんは大歓迎!」
 ふわふわの毛を撫でられるジークには和菓子そのままは大きいから、持てる大きさに切った物を。
 小さな手で掴んで嬉しそうに食べるジークの可愛さに、三人はあれもこれもと差し出す。
 どうやら、このお茶席を一番満喫しているのはジークのようだ。

 和菓子を沢山食べて口の中が甘くなったら口直し。
「口直しも色々ありますね……。どれが良いでしょうか……」
 小鉢に並んだ口直しを見て、どれに手を伸ばすか悩んでしまう。
「春樹様は、お勧めの口直しはどれがお勧めですか?」
「色々あるけど、好きな味は?」
「私の好みは塩昆布。噛めば噛むほど味が出る、みたいな食べ物が好きですの。ほら、噛んでいる間に餡子のお味もなくなってきませんこと?」
 ライアーの言葉に、春樹は塩昆布を混ぜ込んだ一口おにぎりを指差す。
「口の中ほっとするぜ」
「そうなのですか。では、お一つ頂きますね」
 おにぎりを口にすれば、口の中に残っていた甘さが消えていく。そうしたらまた和菓子を食べて、今度は塩昆布そのものを。
「中々通だな」
 美味しそうに塩昆布と和菓子を交互に含む姿を見て、春樹は笑う。
「あら、意外に思われるかしら? もちろんおせんべいも好きよ。緑茶もほうじ茶も。生粋の日本人ですもの。あ、煮物を頂いても良いかしら!」
 その答えは、差し出された煮物が全てを物語っている。

 同じく口直しを求めてやってきたゲオルグは、緑茶と煎餅を所望する。
「無理のない程度で大丈夫ですよ?」
 焼きたての醤油煎餅を差し出す翔に、ゲオルグは大丈夫だと笑う。
「いや、食べようと思えば一気に食べることもできるのだ。だが、それは如何なものかと思ってな。口直しを挟みながら、ちゃんと和菓子の美味しさを楽しみながら食べたいのだ」
「そうでしたか。では、どうぞごゆっくりお楽しみください」
 焼きたての熱々煎餅を食べる機会は滅多にない。嬉しい出会いに、ゲオルグは熱々の煎餅を頬張るのだった。

 用意してあった色んな漬物を口直しにと試した沙月は、お気に入りの茄子と野沢菜の浅漬けを多めに貰う。それから塩昆布も。
「沙月さんお漬物好きなの?」
「はい、あっさりしているのにしっかりと味があって美味しいと感じます」
 こくりと頷く沙月に、ヴァイスは和菓子片手に色んな話を振って行く。
 普段の生活。甘い物の話。それから、恋の話も。
 生憎恋の話は特になかったけど、和装やお茶会のあれこれは中々面白かった。
「ヴァイスさんは、このような席は初めてですか?」
「えぇ。初めてのことだらけでワクワク楽しいわ!」
 明るいヴァイスの声に、ライアーが花を模した和菓子片手にやって来る。
「寒いばかりかと勝手に思い込んでいましたけれど、良いものですわね。冬の……寒月のお茶会も」
 その視線の先には降り積もる雪と、その中で咲き誇る寒椿。
「はい。綺麗な景色を眺めながらお茶を楽しむというのも良いものですからね」
 穏やかな沙月の呟き。それは、この茶会の空気によく似ていた。

成否

成功

状態異常

なし

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