PandoraPartyProject

シナリオ詳細

妻の寝言をどうにかしてほしい

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 仕事を頑張っているところが偉いなって。頑張ってるなって。かわいいなって。
 気になり出したらもう止まらなくて、気づいたら好きになっていて。
 彼女も同じ思いだって知ったときはすごく嬉しくて、それで結婚して……。
 幸せだ。とても、とても幸せだ。
(なのに)
 隣で寝ている彼女の顔をふと、見つめる。
 あぁ、『今日もまた同じ』だ……。
 俺の心配を知ってか知らずか、眠り続けるきみ。
 俺が彼女に出来ることは、ないんだろうか。

「キミたちは寝言を言うことはあるかい?」
 特異運命座標を待ち構えていたのは境界案内人のそんな唐突な問いかけであった。
 まぁ、寝言を今だかつて口にしたことがない者は珍しいのではなかろうか。それこそ、赤ん坊のときを含めれば誰もが確実に一度は発しているはずだ。
 ただし、相手は寝言だ。
 寝ているときに言う言葉が寝言であり、寝ているということはつまり意識がない状態。つまり大体の場合、自分が寝言を言っているかどうかを調べる術はない。
「今回の物語(ライブノベル)はある夫婦の悩みを解決する話さ。『妻の寝言を止めてほしい』」
 物語の舞台は現代の日本によく似た世界。登場人物はある一組の夫婦だ。
 夫いわく、妻は結婚当初からうなされるような寝言が多い人だった。
 けれどここ最近、以前よりもうなされる頻度と声量が増しているようだ。
「キミたちは彼らにアドバイスができる。彼との関係性は如何様にもできるから安心してねぃ」
 どうやら特異運命座標たちは『昔からの知り合い』や『仕事場の同僚』といった風に認識されるようだ。
 さらに図書館の中には図書館らしからぬもの……布団やまくら、ぬいぐるみなどが用意されている。
「色々と試してみると良い。幸い、ここは図書館。安眠についての本の五冊や十冊くらいあるだろうしねぃ」
 自分の経験談だけではなく、ここで得た本の知識や寝具など様々な組み合わせを実際に試して良いとのことだ。
 個人的にオススメのグッズをプレゼントしてみてもいいかもしれない。
 これで世界が滅びる訳ではない。が、夫婦の悩みを解消することは巡りめくって破滅の運命を阻止することに繋がるかもしれない。
「あ、流石に向こうで実践はできないから試すなら図書館の中にしてねぃ」
 さぁ、立ち上が……横になっておやすみなさい、イレギュラーズ!!

NMコメント

 寝言って聞いてると楽しいですよね。
 今回は寝言をやっつけるシナリオです。えいえいってやっちゃってください。
 以下、補足です。

【目的】
 妻の寝言を少なくする。
【世界について】
 物語の舞台は現代日本に非常に近い世界です。
【出来ること】
 1)妻の寝ている寝具に近いもので実際に寝てみる。
 2)本で寝言についての知識を調べる。
 3)アドバイスとして彼らに伝える。(夫、妻、どちらでも構いません)
 4)良さそうなグッズを勧める。
 ※1)2)は図書館内で『そういうことを試した』として扱います。
 ※3)4)については本人たちの前で話したこととして扱います。
 ※グッズは参加者様が装備している必要はありません。また、装備していたとしてもなくなることはありません。

【妻】
 うなされるような寝言が多い。
 最近では以前よりも大きな声でうなされ(呻き声をあげ)
ている為、心配されている。
 自分ではそんな風に寝ている自覚はなく、夫に言われて気にしている。
 ぬいぐるみを抱いて寝ている。ちなみに運動が嫌い。

【夫】
 夜中、ふとした拍子に目が覚めると妻がうなされているのが気になる。
 夏場の寝相が悪い。寝るときはうつ伏せ。

        (おやすみなさい!!)
 それではみなさん、よろしくお願いします!

  • 妻の寝言をどうにかしてほしい完了
  • NM名樹志岐
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月06日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
ダスティ・ミケル・ジャスパー(p3p004221)
DJ
オズ・ヨハネス・マリオット(p3p006699)
魔科学ドール
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

リプレイ

●夫に助言
 地方都市の駅前は幻想王都に比べると賑やかさにはかけるものの、人通りはそこそこといったところだ。
 商業施設の一角に出店しているパン屋やコーヒーショップから漂う香ばしい匂い、路上ライブを行う若者たちの歌声、学生たちのたのしそうな会話。
 そんな喧騒の一角で男は誰かを待っていた。
 手のひらサイズの情報端末をちらり、見ると待ち合わせの時間にはやや余裕がある。
 そういえばこの近くに、妻の好きなパン屋があったか。時間潰しがてら行ってみよう。
 男の足が一歩、前に出たそのときだった。
「あれ、もしかして……?」
 初めて聞くような、どこか懐かしいような声が聞こえ、男がそちらの方を向く。
「えっ? もしかしてお前……」
 目の前にいたのは地元の高校の同級生……に、彼には見えている『言祝ぎの祭具』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)であった。
「うわぁ、すげぇ久しぶりだな! なんでここに?」
「いやぁ、なんといいますか……社員小旅行? みたいな」
 なるほど、社員旅行。彼は納得したように頷いた。
 では、後ろの方にいる小柄な少年は新卒の社員だろうか。
 睦月と彼がはじめましての再会を喜んでいる中、話を切り出したのは新卒社員……こと、『助手』ヨハン=レーム(p3p001117) であった。
「ところで、いささか浮かない顔をされているようですけど……なにかお悩みですか?」      
 まさか自分よりも年下であろう人間に心配されるとは思わなかったのか、すこし驚いた顔をした彼は『じつは……』と話を切り出す。
「なるほど、奥様が寝言を……」
 それはさぞかし心配でしょう。相手に寄り添うように、肯定的な態度で話を聞いていく。
「それなら『朝までぐっすりすやすやのプロ』である僕におまかせください!」
 ぴっと上げた手と一緒に尻尾が伸びる。
 色々と安眠グッズなんてものはあるんでしょうけど、と前置きをした上で、ヨハンはこう主張した。
「たいていの場合は日光不足ですよ、お外でわーって暴れてわーって動いてればだいたいぐっすりです」
 確かに。空腹が食事をより美味しく感じさせるように、疲労は何よりの睡眠薬となるのかもしれない。
 荒療治のようだが、くたびれてしまえば寝言を言う暇などないのだと彼は自信満々に語った。
「では僕からもひとつふたつ、アドバイスをば」
 話を聞いた上で、原因として気になったのは睡眠の質と悪夢。そしていつも抱いて寝ているという『ぬいぐるみ』だった。
 もしや、ぬいぐるみを身体の上に乗せて寝ていないか。ならば呼吸が阻害され、悪夢を見やすくなるだろう、と。
 それから、日光に当たること。これはヨハンも言っていた事ではあったが、日の光を浴びることで体内時計を整えて夜にしっかりと眠れるようにすること。
「……まぁ、実際のところ寝言そのものは病気の類ではないので、そういった心配はしなくて大丈夫ですよ」
「そうそう、結局のところ、原因とかばちっと解明できるものではないと思います」
「うん、わかってる……わかってるんだけどさ……」
 それでも心配なのだと、煮え切らない様子の男に睦月は更にもうひとつ助言をする。
「運動がお嫌いだというのなら帰宅後に散歩に誘ってみるといいかもしれませんよ」
 季節の花を探し、会話をすることで安心感を抱き、安眠が期待できるだろう。
 なにより、一緒にいる時間は夫婦関係を良好にして意思の疎通もスムーズになる、かもしれない。
 ……そういえば、この結論に至るまでに図書館であれこれ試した。
(あそこにあったあのソファー、寝心地よかったなぁ)
 持って帰っていいか尋ねたが、もちろんダメだったのが悔やまれる。戻ったら親友にねだって買ってもらおう。
「じゃあ僕からも、とっておきの『良いこと』を教えてあげましょう。……いいですか? これは門外不出なのです」
 門外不出のとっておき。一体何事だろうか。
 男は真剣な眼差してヨハンを見た。
「実は……なんと毛布は布団の上に乗せて寝たほうが暖かいのです」
 なんと有益な情報だろう!(知ってる!)
「布団のひんやり感を避けて毛布を体に当てたいところですがね、ぽかぽか感が全然ちがってくるのです」
 な、なんだって……!?(知ってた!)

●妻に助言
 今日は夫が夜勤で居ないから。
 せっかくだから外に出てみよう、と立ち寄ったのは普段は全く足を踏み入れない、職場近くの居酒屋だった。
 彼女の仕事先はあちこちにある。
 家々を訪問し、仕事をこなして次の家に。それが終われば事務所と呼ばれる拠点へと向かい、事務仕事をこなす。
 大変だが、辛くはなかった。行く先々で元気を分け与え、同じ程の感謝をもらえる今の仕事は、彼女にとって天職だった。
(でも……)
 彼女の脳内をぐるぐると渦巻く悩み。
 それはこの間、夫に言われた一言。
『最近またうなされてるけど、大丈夫?』
 以前からそう言われていたものの、無意識のうちのそれについて対策などできるはずがない。
 しかし心配はかけさせたくない。どうしたらいいのだろう。
 彼女は今日、何十回目とも知れないため息をついて、手にしたグラスの中身をあおった。
「おや、なにかお悩み事?」
 空になったグラスをカウンターに置くと、女の子が声をかけてきた。
 酒を提供する場にいるのだから成人はしているのだろう。けれど彼女『機械仕掛けのマリオネット』オズ・ヨハネス・マリオット(p3p006699)はまるで人形のような容姿と人懐こそうな笑顔のおかげで幾分幼い雰囲気を漂わせていた。
 それが逆に話しやすい要因であったようで、酒の勢いもあって彼女はオズにぽつり、ぽつりと悩みを打ち明けた。
「ふむふむ。とりあえず魘されるってことは深く眠れてないってことだから、まずは寝る準備だねぇ」
 確かに、夫に『寝言を言っていた』と指摘された日はほぼ決まって夢を見ているような気がする。
 不思議な世界に迷い込んだ夢、悪夢のような夢……内容は様々ではあるが、夢を見ているということは熟睡出来ていないのだろう。
「でも、運動は苦手で……」
「じゃあサウナなんてどう? サウナなら運動しなくても代謝が上がって程よく疲れるよ?」
 サウナ。盲点だった。
 そういえば近くの入浴施設にはサウナがあった。行く度に五分ほど入ってみたりなんかしているが。
「あとはねー、寝るときは体温が二度下がったときがいいよ」
 いわく、お風呂に入ってしばらくしたら眠くなるのと同じ事らしい。
 交感神経と副交感神経というヤツだろうか。アルコールの回った頭でぼんやりとそんなことを思っていた。
(あ、ヤバい)
 いつも以上に酒が回るのが早い。彼女のアドバイスも少し遠くの、夢の世界のよう。
 夢? トリップ? 旅立つにはまだ早い。
 そういわんばかりに彼女を引き戻したのはあまり目にしたことのない奇抜なファッションに身を包んだ……。
「……ラッパー?」
「NO! NONO! オレはダスティ、通りすがりのDisc Jocky!
 そうつまりDJ アンタの心配解消しに来た親切Boy!」
 おしぼりをマイクに見立ててラップ調で言葉を紡ぐ『DJ』ダスティ・ミケル・ジャスパー(p3p004221)の姿に、店内にいた他の客からも注目が向けられる。
 ちょっと恥ずかしいかもしれない。妻の心境を他所にダスティは続ける。
 この話を聞いたとき、彼はあるひとつの仮説を立てていた。
 現代社会で生活するものから切っても切り離せない要因――ストレス。
 だから図書館で不眠の原因やストレスを解消する方法などの本を読んで知識を得た。
 そして彼が導きだした、ストレスを解消する方法がこれだ。
「日々の散々 ちっとの不満 声に出そうぜ 奏でちゃおうぜ、ライムに乗せて思いきり!」
 日頃思っていること、感じたこと、感動も不満も全て大きな声で吐き出してしまえばいい。 
 ライム、つまり韻をふむのはちょっと難しいけれど、モヤモヤした気持ちを音に乗せて!
 思いのたけを声に出せばそれはいつしか周囲にも伝わり、何時の間にか店中で大合唱が始まっていた。
「どうだたまには悪かねぇだろ、ビート刻んで叫ぶのも」
 でもあまりストレスを溜めすぎんなよ、とDJは彼女の肩を軽く叩いて颯爽と立ち去ろうとしていた。
「オズもそろそろいかなきゃ。あ、そうそう、最後に」
 オズは最後に妻が抱いて寝ているというぬいぐるみについて触れた。
「……あ、ありがとう。ところで」
 あなたたちは? 妻が問いかける。
「ん? オズは何者かって?」
 隠していたわけではない、が、聞かれたのならば答えなければなるまい。
「オズは魔法使い! あなたが困っていたらオズの魔法で助けてあげるからねぇ♪」
 なお魔法は魔法でも物理魔法らしい。
 昔遊んでいた人形にもよく似た彼女は口許に手を充ててパチリとウィンクをして見せた。

●それからの二人
 閑静な住宅街を、一組の夫婦が歩いている。
 二人の休みが偶然合ったこの日、二人は散歩をすることにした。
 それぞれ仕事で思ったこと、感じたことを胸中に溜め込めずに発散しながら。
 寝言はまだ相変わらず、続いている。
 けれど古い友人と、見知らぬDJと、魔法使いの後押しを受けた二人は以前よりも幸せだった。

成否

成功

状態異常

なし

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