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シナリオ詳細

お子様ランチのなる木

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●オサコマ霊樹の美味なる恵み
「ヨッ、スイカ食ってるか!? 今日も深緑で一仕事しようぜぃ!」
 二本指をビッて立てるスイカちゃん。
 ここは皆ご存じ深緑(アルティオ=エルム)の広大な森林地帯……に、位置する霊樹集落。
 オサコマ霊樹を中心とした小規模コミュニティだ。
 横に広く複雑に伸びた樹木は崩壊を防ぐため無数の柱と台によって支えられ、民はその上で過ごすという。
 民の100%がハーモニア種族であり、外国とのつながりも薄いのが特徴だ。
「オサコマさんちはあんま外に出ないんだよな。
 ってーのも、オサコマ霊樹は水も食料も家も全部まかなえちゃうすんげー霊樹だから、一生こいつのお世話をし続けるっていう生き方がここでは平和な生涯って言われてるんだよな。
 ま、トーゼンだろ。このオサコマ霊樹って……」
 スイカちゃんは頭上にぶら下がってるスイカをぱしっと掴んだ。
 ねじっとやってもぎ取ると、ナイフで切れ目入れてぱかってやってみせる。
 すーるーとー?
「ほら、ほかほかのカレーライスが実るんだよ」

 オサコマ霊樹の恵みは実質おいしい洋食屋さんである。
 毎日丹精込めてお世話をすると、そこそこ大きいスイカが実り、パカッと開くと中身はカレーライスやオムライスやスパゲッティナポリタンやハンバースプレートになっているのである。
 開くまでほこほこに保温される上に地元民は植物疎通能力で中身が分かるので毎日がお子様ランチみてーな暮らしをしているのだ。
「けどなー。こういう豊かな場所って人に狙われやすいんだよな。
 山賊っていうか……森賊? けっこーくるんだよ。この前もタカリにきてたからさ、今回こうやって傭兵集めて、襲撃しにくる森賊を追い払おうってハナシなわけ」

 森賊は10人前後で構成される略奪者たちである。
 森林迷宮の素材で作った魔術性の高いアイテムを主に装備し、武力によって霊樹の民から恵みを奪おうとするのだ。山賊や海賊がいるように、森にも森賊がいるというわけである。
「こいつらを追い払えたら、夜はご飯たべてっていいらしいからさ。一緒に食べてこーぜ!
 あっ、私エビフライカレーがい――ふんぎゃ!?」
 近くのスイカにダイビングキャッチしようとしたスイカちゃんが足場の枝に躓いて顔からいった。

GMコメント

 森賊を追い払って『大人のお子様ランチ』を食べよう!
 あっスイカちゃんは今めっちゃ鼻血でてるので戦闘には不参加です。

●森賊退治
 10人程度で構成される略奪者たちです
 彼らの目的は武力で脅して無理矢理スイカ(ご飯入ってるやつ)をもぎ取っていくことなので、霊樹に火ぃ放ったりはしません。自分たちが後々困るやつだからねそれ。

 彼らのスペックは大体同じ。
 神秘攻撃とAPが高く特殊抵抗は並。
 スキルは中~超距離への魔術攻撃とハイ・ヒール。
 中には範囲攻撃もちらほらありますがこっちが押しくらまんじゅうしながら攻めるんでもないかぎり使う機会はまれでしょう。
 その他のスペックはやや個人によってばらつきがある模様。
 なお、オサコマ霊樹の民は死生観が特殊なので『別に殺して根元に埋めちゃっていいよ?』と言っています。

●ごはんたべよう
 追い払ったあとはご飯タイムです
 オサコマ霊樹のごはんは洋食屋さんで出てくるような大抵のもんはあるので、『これたべたい!』て言えば大体出てきます。
 スイカちゃんも地味にいます。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • お子様ランチのなる木完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月25日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
ティル・エクスシア(p3p007028)
憐れな子羊
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
言葉 深雪(p3p007952)
護りたい意思の欠片

リプレイ


「お子!」
 なびく金髪縦ロール。
「様!」
 森ガール風のレース服が風になびき。
「ランチ!!」
 十字のきらめきが画面(?)を風のように覆い尽くして去って行く。
「それは夢の玉手箱! 夢と言えばこの――」
 指を鳴らした『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)が

  \きらめけ!/

  \ぼくらの!/

\\\タント様!///

 のコールとともにドリームクリームエクストリームポーズで両手を振り上げた。
「――が、守って見せますわー!」
 オーッホッホッホッとキレのある高笑いをするタント様をよそに、『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は『なるほど夢かあ』と腕組みしていた。
「確かにかわいらしい名前をしているものね。憧れや夢を感じるよ。今日は悪魔の食事をおやすみしてひとつ、そんな夢に浸からせてもらおうかな」
 地球ジャパンにおけるお子様ランチの起源については諸説あるが、共通して『海外から導入された食文化を日本で独自に作ったもの』でできているというのが定説である。
 ハンバーグ、ナポリタン、エビフライ、オムライス、ビーフシチュー。みなおよそ明治時代に成立した日本洋食だ。よって洋食店に行くと『大人のお子様ランチ』なるメニューがあることもそう珍しくない。
 なにがどうなってそんな日本洋食だけが実るオサコマ霊樹ができあがったのかサッパリわかんないが、子供の想像する夢のような木が実在し、それに寄り添って末永く共存する部族があるというのは、なかなか浪漫のある話であった。
「深緑っていうのはラサや練達と比べて閉鎖的な国なのよ。ファルカウ内の階層都市でさえ互いの行き来がさほど活発じゃなくて、一度外に出てみるとまるで知らない世界が広がっているのも珍しくないわ」
 『かつての隠者』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)は肩に掛かる髪をサッをはらって、そして遠いどっかを見た。
「だからってお子様ランチがなる木ってなによ!!」
 せっかくだからちゃんと解説しておこう。
 深緑ファルカウ外には広大かつ鬱蒼とした森林迷宮が存在し、探索の困難さもあってどこに何があるかなんてよほど道を開拓しきった商人とかでないと分からないらしい。それゆえまばらに点在する特殊な霊樹にできた集落は小規模ながら独自性の高い文化を築きやすく、それが保たれやすいのだ。
「同じ国の人から見てもフシギな霊樹なんですね! 森が都市になる時点でももう私には不思議で一杯です!」
 すごいすごいといってかわいらしくガッツポーズ(?)してみせる『憐れな子羊』ティル・エクスシア(p3p007028)。
「こんな素敵な霊樹に略奪をはかるなんて悪いひともいるんですね。それはもう、退治しなくてはいけません!」
 まっしろ真面目光線を出すティルを、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が『このひと天使みたいなこと言うなあ』という顔で見ていた。
「ところで、あのスイカ様は大丈夫なのでしょうか……」
「いつもあんなだから気にしなくていいぞ。というかスイカの人が戦闘してるの見たことない」
 ちなみに石槍を投げるバトルスタイルらしいよ。
「盗みはいかん」
 ウッドデッキにあぐらをかいて腕組みしていた『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)が、話をしれっと元に戻した。
「悪しき手で得たものを食せば心が腐るという。
 殺すつもりはないが、当人のためにも多少は痛い目には合わせねばなるまいて」
「そうだね……」
 『護りたい願望の欠片』言葉 深雪(p3p007952)がそばでこくこくと頷いた。
「彼らの好きにさせるのもダメだから、止めれるものは、止めなきゃね。
 ……だけど殺すつもりは、ないかも。流石に気分が良くないし、ね」

 大樹は大きく広がり、強固な柱を添え木とした枝の下には無数の屋根なし平屋。
 豪雨でさえも吸い尽くしてしまうという巨木ゆえに日差しはすくなく、しかし霊樹の頂上から魔術式集光器によって保存された光が各枝にぶら下がったマジックトーチで淡くオレンジの光を作っていた。
 広いオサコマ霊樹の外周部分には、丸太による塀がぐるりと巨大な円形をつくる。葉がイエローに輝き夕日が照る頃になると一部を赤くそめるので、この霊樹は外から見ると巨大なオムライスのように見えた。
 そんな霊樹に建設された門をくぐり、外へと出る。
 外では、『お子様ランチをよこせ』『独り占め反対』『森賊にも人権を』『燃やす』とかかれたノボリを背負った森賊たちが待っていた。


『しかし略奪者、ですか。この略奪者共は同族なのでしょうか……だとしたら、嘆かわしい限りです。同族の場合は多少手心を加えてあげましょう』
 っていうのがドラマさんの五分前の台詞。
 で今がこう。
「オレサマは森賊友の会会長ゴツゴウオーク! 略奪大好きブルーブラッああああっついっっっ!?」
「手が滑りました」
 ふくよかなぶたさんを強火であぶるドラマさんがいた。
 最近顔を赤くしてわたわたしたりたまにめそったりするドラマさんだが初期に獲得したイメージをここぞとばかりに発揮していた。
「私達の食事に手を出すなんて悪い子だね? お仕置きしてあげよう」
 マルベートが繰り出した槍に拘束されゆっくりとぐーるぐーる回され、下からはドラマさんの開く本よりガスバーナーかなってくらいの炎を出してあぶり続けるっていうちょっとした拷問だった。
「……おっと、きょうのご飯は君じゃなかった。ついつい癖が出ちゃったよ」
 マルベートは回転をとめ、ゴツゴウオークさんを放り出してやる。
「欲もオークのアニキをあぶってくれたな!」
「オークさんは火に弱いんだぞ、悪魔め!」
「悪魔は私なんだけどな」
 地面に突き立てていた三叉槍を抜き、くるくると左右で交互に回転させはじめるマルベート。
 くらえーといってジャンピング黒ギャルフォームで飛びかかってきた森賊たちの放ったマジックナイフを高速で回転しはじめた槍で防御。おかえしに槍で二人をたたき落とした。
「強すぎる、悪魔的だァ!」
「そう言ってるよね」
「任せて。僕がやる」
 強い自己暗示によって冷酷な目になった深雪が、背負っていたごっつい剣を手に取った。
 両手で握り生命認証を行うと、古代兵器からとったらしい柄に赤い光の線がはしっていく。
「それ以上は行かせない……僕も止める……!」
 大きな刀身が赤く発光し、バチバチと刃まわりに火花がちった。
 飛びかかり、激しい一閃を繰り出せば森賊たちは一斉に吹き飛んだ。
「チイッ、森林迷宮で手に入れた装備じゃ防ぎきれねえ!」
 ゴンゴンと木の板で作った鎧を叩く森賊。
 その後ろでは、ゴツゴウオークさんが仲間に一生懸命ふーふーされていた。
「アニキ大丈夫ですか!」
「いたいのいたいのとんでーけー!」
 これがハイ・ヒールの使用シーンだっていって信じる?
「いつまでやってるのよ!」
 アルメリアちゃん特性マーシーポールが飛び出しふーふーしてる森賊たちを突き飛ばした。
「お子様ランチとかいうトンチ木な空気で命を失いたくないでしょ! 反省しなさい! 顧みなさい!
 そうすれば命だけは助けてやるってんのよ! このっ! このっ!」
 倒れたオークをひたすら棒でなぐるアルメリア。
「さもないと霊樹の根元に埋められるわよ!」
「そうだぞー、巻き込まれるぞー」
 サイズが横から鎌で殴る。
 囲んで棒で殴るシステムである。回復持ちにはこれが手っ取り早いんだよ。
 サイズはアイススフィアによって妖精の血を活性化。擬似的に再現された妖精魔術で氷の結晶がサイズのまわりに展開し、鎌のさえを取り戻させる。
「まあ今回のメンバー、八人中二人くらいしか悪魔いないから安心したらいいよ」
「そうだね……下郎には後悔させてあげようね……」
 目が怖い深雪。
「ごめん三人だ」
「天使の名において、貴方をここで倒します!」
 ティルが囲んで殴られていたオークの襟首をつかみあげ、顔面の鼻の付け根んとこに『天使のメリケンサック』で思い切りガッていった。
「ぎゃあああああ!?」
「覚悟! して! ください! これ! 以上の! 進行は! 許しません!」
 ガッていくたび天使の羽根と髪が真っ黒に染まり、天使の爪切りをスッて出したところでサイズが手首を掴んだ。
「ごめん四人だ」
「ハッ、ついうっかり!」
「なんだこのチーム半数悪魔じゃん」
「たまにこの子、悪魔より悪魔なんだ。ごめんね」
 モノホンの悪魔(マルベート)がちょっと引いていた。
「いっ、いけませんわこのままでは……!」
 両手でほっぺたをはさむタント。
「あとでお子様ランチを食べるという楽しげな依頼が悪魔勢によって血みどろになってしまいますわ!」
「悪魔勢?」
「待ってくださいもしかしてと思ったんですがそれ私も入ってるんですか? (←オークをあぶるひと)」
「ここは天使勢としてこの依頼をハッピーな雰囲気にしなければなりませんわ! ですわよね――ベルフラウ様!」
「私か!!!!」
 ビッて自分を指さすベルフラウ。
「ええ、ええ! まずはわたくしから行きますわ!」
 タントは両手でピースをつくって同時に目の横にやると、舌をぺろって出してウィンクした。
「タント様ウィンク!!」
「ぐわあああああああああああああああ!!!!」
 オークが胸を押さえてのけぞった。
 のけぞって。
「痛くない!」
「痛くないんですか!?」
 二度見するティル。
「わたくしのウィンクはノーダメージな上に命中力まさかのZEROなのですわ!」
「それはもはやただのウィンクなのでは」
「DE☆SU☆GA!」
 タントはキラキラしながらオークたちのまんなかへキャットウォークで歩いて行くと、きらめきながら振り返った。
「わたくしを無視できませんわね!?」
「いやそんなのが効くわけ……」
 森賊たちが一斉にジャンピング黒ギャルフォームで飛んだ。
「「無視できねえ!」」
「効いてる!?」
 一斉に発射される森賊ビーム。
「くらえー!」
「ちょいやー!」
 絶妙な位置におでこがくるようにポーズをとってビームを跳ね返すタント。
「なんと……いかにも無防備に見えるタントが鉄壁の防御とタフネスを備えるのはポージングによる防御術を獲得していたからであったか!」
 劇画調の顔で身を乗り出すベルフラウ。
 その両肩をアルメリアが後ろからがしりと掴んだ。
「おちついてあなたまでおかしくなったらこのチーム終わりよ」
「おっとそうであった。任されよ。この勝負、私が決着してみせようぞ!」
 そういって背負っていた旗をよいしょと手に取り、巻き布を開いて固定する。
「我が旗を見よ!!!!!!!!!!!!」

 かの旗を見よ。
 強固なポールウェポンに装着された折りたたみ式軍旗にたなびくはゼシュテル帝国の国旗である。
 旗を掲げられればお子様ランチ気分を感じずに入られまいだろういられまいなあ!?
 お子様ランチが出てきたにもかかわらずとのメニューよりさきに一旦旗をつまんじゃう子供心を絶妙に刺激したこのフォームから繰り出されるのはなんと赤の熱狂。いやさケチャップの熱狂である。
 オムライスにケチャップ。ナポリタンにケチャップ。オーロラソースにもケチャップ。お子様ランチになくてはならない洋食要素それがケチャップなのだ。
 そんなのぶちまけられたらもうスプーンを取るしかあるまい? あるまなあ!? なあ!?
「この私を、無視できまい!」
「いやその命中値で怒り付与がそうそう効くわけ」
「「無視できねえ!」」
 ジャンピング黒ギャルフォーム・ザ・森賊。
 二度見・ザ・ティル。
「効いてる!?」
「この勝負、まけるはずが無――痛い!? 待たれよお子様ランチは仲良くみんなで痛たたたたた」
「ベルフラウ様いま行きますわ!」
 囲んで棒で殴られるベルフラウへとびゃーって走って行くタント。
 この勝負、いなかる決着がつくものか!
 答えはCMの後!


「もうしません」
 ボコボコになったゴツゴウオークと森賊の会のみなさんがツタロープでぐるぐるまきにされた状態で正座していた。
 あのギザギザする板の奴の上にである。
「いい心がけです! 悪いことはしちゃいけませんからね!」
 腰に手をあててにっこりするティル(悪魔フォーム)がいた。
 それを指さすサイズ。
「えぐくない?」
「私よりはマシかな、あれは」
 マルベートが苦笑しながら自分の膝にスイカを置いた。

 ぱかっとスイカを開く。
 するとどうだろうか。
 デミグラスソースがたっぷりかかったハンバーグとウィンナーとフライドポテトそしてライスのセットプレートがほかほか湯気をたてているではないか。
「わぁ……」
 深雪はほくほく顔でフォークをいれ、ハンバーグを切り分けていく。
 その横ではドラマがまじまじとエビフライを持ち上げ、目をぱちくりさせていた。
「これがお子様ランチ……贅沢ですね……」
「わたくしハンバーグカレーとオムライス! ですわー!」
 スイカをぱかぱか開いてハンバーグののったビーフカレーとトマトソースのかかったオムライス(ライス部分はバターで軽く炒めたもの)に手をつけていく。
「けどこんなにもぐもぐたくさんもぐもぐ……食べきれませんわね。スイカ様、半分こはいかが?」
「たーべーるー!」
 さっきまで働いてなかったスイカちゃんがさも当たり前みたいにフォークとスープンを両手にもってトンできた。
「スイカさんは、好きなメニューがあるんですか?」
「アタイなんでも好きだぜ!」
「……そんな気はしていました」
 などと言いながら、エビフライを早速ひとかじりしてみるドラマ。
 ザクッと歯の表面を焼くような熱さ。しかしパン粉はややしっとりと寝かせてあり口当たりは優しく、かみちぎると太い海老のぷりっとした食感とともに一気に頬張ることができる。海老のエキスとさっぱりした油が絡み合い口の中がなんかほこほこするというその未曾有の感覚に、ドラマはほっぺにてを当てたまましばらくぽーっとしていた。

 一方でサイズ。
 野草をもぐもぐするサイズの横で、ほかほかのお子様ランチを抱えたアルメリアがやってきた。
「ねえ」
「はい」
 正座させられていたオークの前にかがみ、膝のあたりにビーフシチューいりのお椀を乗せる。
「森を襲うほど食い詰めてたんでしょ。これあげるから、人生やりなおしてみたら?」
 木のスプーンでビーフシチューをひとすくいした。
 ほろほろと煮込まれた角切りの牛肉を、そーっと口の所へもっていくアルメリア。
 オークは。
 ていうか森賊のみなさんは。
「「や゛り゛な゛お゛し゛ま゛す゛!!」」
 て言いながら口を開けた。
 サイズはそれを見ながら『餌付けだな』とつぶやいた。

 はいこちらはティルとマルベート。
 そしてベルフラウ。
「ウチはオムライスです!」
「私は……そうだね、スパゲッティにしてみようかな」
 ほくほくとしたスパゲッティナポリタンにフォークを立てるマルベート。
 くるくる手繰っていくとマッシュルームが顔を出し、留め具代わりに突き刺して口へと運んでいく。
 熱さとわずかな酸味。それをカバーする深いコクともちっとした食感。
 横でオムライスをまぐまぐしていたティルと一緒に、マルベートはほっこりとした気持ちに目を閉じた。
「皆満足できたようであるな」
 ベルフラウはそういって巨大なプレートに開いたスイカを次々と逆さにソォイしていった。
「ハンバーグとエビフライフライドポテトご飯ものはたまのりの掛かった白米と迷うが半円に固められたチキンライスの上に旗が刺さったものをつけ唐揚げにスパゲティも――」
「お子様ランチ乗せすぎじゃあ?」
「これはお子様ランチではない」
 キリッと振り返り、ベルフラウは言い切った。
「何様ランチである!!!!!」
 贅沢な洋食をなんでもかんでも食べたい。
 そんなワガママこそが、ほんとのお子様ランチの定義なのかもしれない。

成否

成功

MVP

ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神

状態異常

なし

あとがき

 おなかすきました!

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