シナリオ詳細
ぴよもふランドへご招待!
オープニング
●黄色のひよこはどこへ行く
とたた。
とたたたたた。
とたたたたたたたたたっ。
「ローレットまであともうちょっと……ですかね!」
はふーと息をつくヒヨコことブラウ(p3n000090)。小さな体にそれ相応のリュックを背負った彼は、帰省から舞い戻る最中であった。
普段は情報屋見習いとして仕事に追われる──事故にも同じくらい追われる──彼であるが、まだ齢14の少年である。ひよこだろうとか突っ込んではいけない。齢14の少年である。家族へ顔を見せに行きたいと思うのも当然のことであった。
というわけで許可を得てブラウは帰省していたのである。元精霊の少女や精霊種の青年を始めとして知らぬ者が多かったのは直前にドタバタして挨拶する暇がなかったから。まあ年末ギリギリまで海洋に赴いたりしていたので、さもありなん。
ローレットまではあと2日と少しといったところか。人間姿になればもっと早く着けるのだが、いかんせん彼はそこまで考え至っていない。
「よし、今日は次の町まで──」
行くぞ、と言おうとした時だった。右の方から何やら騒がしい声が聞こえてくる。
コココココ、コケーッ!
コォケコッコー!!
ピィ! ピピッ!
まさか自分の仲間か? 親戚か? とブラウが足を止めると、その声は段々近づいてきているようで。間もなくして姿を見せたそれにブラウはぎょっと目を剥くと走り出した。
いやいやいや、何だあれ。仲間でも親戚でもなかった。何だあれ。何だあれ!!
●いざ行かんぴよもふランド
「ブラウさんが発見されたのです」
これをどうぞ、と依頼書を出す『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。あの1週間以上も行方知れずとなっていたひよこが見つかったのだという。
「一部の人には言っていたらしいんですけれど、慌てていたみたいで上手く伝達がいってなかったみたいなのです。年末まで働いていましたしね」
「なんだ、帰ってたのか……」
『Blue Rose』シャルル(p3n000032)は安堵の息をつきながら依頼書へ目を通す。その表情は文字を追っていくごとに困惑で彩られた。
「……ユリーカ」
「書いてある通りなのです。ブラウさんは『ぴよもふランド』なる場所に連れていかれたみたいなのです」
「何それ」
「……ちょっとボクもよくわからないのです」
へにょ、と眉尻を下げるユリーカ。けれどいつの間にかぴよもふランドという場所が幻想国に出来ており、そこで妙にちっこいひよこが確認されたのだそうだ。
「ぴよもふランドは入場料無料で、いつでも入退館可能なのです。でもモフモフを身に着けていないと見つけられないのです」
そこはふわもこの楽園であり、ふわもこを持つ者のみが入ることを許される、ということらしい。じゃあ無理じゃないの、というシャルルにユリーカはあるものを取り出した。
「はい、これをどうぞ」
「……ナニコレ」
いや、聞かなくてもわかるけれど。ふわもこを持つ者って身に着けているだけでもアリなのか。そういうことなのか。
「これを付けて入って、ブラウさんを取り返してきてほしいのです。ブラウさんを外に出そうとすると邪魔されるみたいなので、えいえいってして脱出してくださいね」
あ、尻尾いります? というユリーカにシャルルは無言無表情で首を振った。ふわもこなんぞこの──猫耳カチューシャで十分である。
- ぴよもふランドへご招待!完了
- GM名愁
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年02月01日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(2人)
リプレイ
●ふわもこになり、いざ!
「ブラウさんが帰ってこない!?」
「また攫われたのか!」
一大事だよ、と『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル(p3p006816)は目を丸くする。あのふわもこは──夏は暑いけれど──貴重なローレットの宝物だ。放っておくといつまで経っても帰って来られないだろう、と告げるのは『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
ちなみに彼が"また"と付けたのは、かのひよこがローレットと関係することとなった一件に起因していたりする。
「うう、作戦の為にはこの服を……」
断腸の思いでフランが出したのはもふもふな猫の着ぐるみ──と、貸し出し用のBIGひよこちゃん。大きめのひよこである。それをどうするのかというと。
ある部分がぶっかぶかな服の中へひよこちゃんをIN。
自分は着ぐるみへIN。もふもふなおててを装備。
「泣いてないもん!!」
着ぐるみ暖かい。ぶかぶかなところもいつもより暖かい。なのに悲しい気持ちになるのはどうしてだろうか。
着ぐるみから聞こえた『ぐすん』という声に、一同は聞こえなかったフリをすることにした。そうだ、早く皆ふわもこを装備して救出に行こう。
自分の分はどうしようかと視線を落としたカイトはふと思う。温かいと言われる自前のファーは、今回の依頼におけるふわもこなのでは? と。
「私はシャルルさんとお揃いだよ!」
『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は猫耳と肉球グローブを装備して、ぱっと『Blue Rose』シャルル(p3n000032)へ手を広げてみせる。ぷにぷにな肉球に彼女は目をぱちりと瞬かせた。
「……それだけなら良かったんだけどなぁ」
「え? 肉球?」
うん、と頷くシャルル。いかんせん猫耳を見ると、以前猫たちに追いかけ回されたことを思い出すのだと言う。
「まあ、受け取っちゃったし。これでも良いんだけど」
シャルルはそう呟きながら持っていた猫耳を装着する。白猫シャルルの完成だ。
「最近全然見かけないと思ったら、里帰りしてたのね、ブラウちゃん」
『調香師』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)は二重の意味でホッと胸をなで下ろす。勿論その身柄が発見されたこともそうだが、子供である彼が里帰りをしていたことも込めて。
(久々の家族水入らずの時間、ゆっくり過ごせたかしら)
ローレットで忙しく働く彼は、一体どのような話を家族にしたのだろう。そんな話を聞くためにも戻ってきてもらう──いや、連れ帰りに行かねば。たとえ向かうのが誘惑の塊とも言える名前の場所だとしても、かのひよこを保護するまでは誘惑に負けられない。
まず自らがふわもこにならなければ、とジルーシャはちょっぴりあやしい雰囲気の猫耳カチューシャと尻尾を借りて装着した。とあるお伽話に出てくる猫の姿である。
「ファントムナイトでもこんな感じの格好だったのよ。フフ、似合うかしら?」
指を軽く握り込んで、猫のポーズ。ファントムナイトの魔法にかかった時のように、少しの高揚感があるのは──ぴよもふランドが楽しみだからかもしれない。
ジルーシャへこくこくと小さく頷いてみせた『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)の羊耳がパタパタ揺れる。ブラウがネギマになっていなかったとこれまた違う意味で安堵していた彼女は、これから向かう場所にワクワクしていた。
「いったいどんなふわもこ体験が、待ち受けているのでしょう、か……」
ぴよもふランドの住人は皆ふわもこ。入場するイレギュラーズたちも──メイメイを始めとして、何名かは自前だが──ふわもこ装備。ふわもこが沢山いる場所を想像してふふと笑みが漏れる。
そこへ「あの」と声をあげたのは『言祝ぎの祭具』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)だ。つい最近この混沌へ、ひいてはローレットへ訪れた睦月はブラウと呼ばれる情報屋をよく知らない。なので特徴だけでも教えて貰っておこうと思ったのだが。
「ひよこ、ですね」
「それ以外に言いようがないよ」
「とてもふわふわなのよ♪」
「あとはなんだ、よく攫われてる気がするくらいか?」
まあ概ねこんな感じの反応である。はぁ、と何とも言えない返事をした睦月は狼耳のカチューシャを受け取った。非常にふわもふである。
(ぴよもふランドなる魔境は、ブラウさんの偽物がたくさんいるということでいいのでしょうか……)
行ってみなければわからないか、と睦月は手元のカチューシャを見下ろしたのだった。
●ふわもこは人をダメにする
こんなところにあったっけ、と思うような場所だった。とても見つかりやすそうだというのに、これまで全然話を聞かなかったのはどういう訳か。
そんなぴよもふランドの前まで来てシャルレィスはあれ、と思う。
(ひよこがいっぱいなのににゃんこさんになっちゃっていいのかな?)
ここは住人に倣ってひよこやニワトリの着ぐるみなどを着て来た方が良かっただろうか。最も、住人たちが着ぐるみなのか否かは不明だが。
(でもきっとぴよもふランドならぴよにゃん仲良しだよね!)
もふもふならひよこもにゃんこもきっと仲良し。シャルレィスはうんうんと頷いた。
「突撃突撃ー!」
『何事も一歩から』日車・迅(p3p007500)の声とともに一同は園内へ足を踏み入れる。門には看板が掲げられていた。
『ようこそ! もふもふ達の楽園へ!』
(僕は狼なので皆に逃げられたりしないか心配ですが、時間が経てば慣れてくれると信じましょう!)
狼の姿でいる迅は様子を伺うようなニワトリとひよこたちを見る。これは探すのが大変そうだ。
「ここがブラウのいるぴよもふランドか、面白そうな場所だな!」
『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は興味深げに園内をきょろきょろ。ヒーロー活動をしていたわけでなく、帰省していたというひよこを迎えに来たのだ。だって早くしないとお土産の餅がカビてしまう。
しかし入って早々、カイトがニワトリたちに捕まった。
「いや俺は住民じゃないぞ? え? いやだから……」
否定の言葉もなんのその。あっという間に背中を押されつつかれ連行された彼は住人たちに取り囲まれた。
これはどういう状況だ。周りが一斉にぴよぴよ鳴き出したぞ。自分も言えば良いのかそうかぴよぴよ。ぴよぴよ。
「あ、あ……なんという、なんという……」
メイメイは目の前の光景にふるふると震える。入った瞬間から見渡す限りの魅惑空間。ぴよびよでもふもふでふわふわでもこもこ。
「さ……触っても、いい……ですか……?」
恐る恐る近づいて聞いてみると、キャラクターたちは「おいで!」と言うように翼を広げ、腕を広げ。そこへもふもふ、ふかふかとすれば虜にもなってしまうもの。
さあ、このままだと皆ひよこ捜しをしている場合ではなくなってしまう。
「私、探し物は得意だよ! 任せて!」
そこに胸を張るシャルレィス。ブラウだって見分けることができるはずだ。……大量のふわもこひよこを見ていると、最後に『多分』とついてしまうのだが。
しかし捜そうとすれば、必然的にふわもこたちや点在するソファなどが目に入ってしまうもので。
「あそこのソファ、すごく気持ち良さそうだなぁ……」
ふらふらとソファに近寄ったシャルレィス、そのままごろん。気持ちの良い感触にふにゃぁと蕩けた声が出る。そこへもふもふと寄ってくるのはひよこたち。添い寝するようにシャルレィスへくっついていく。
「うわぁ、すごいふわもこ……! 幸せ……! ふにゃにゃにゃ……」
シャルレィスは幸せいっぱいでダメになった。ふわもこの幸せパワーは凄まじい。
一方、解放されたカイトは気を取り直して人探し……いやひよこ探し。その手元には鳥をダメにする卵型クッションが抱えられている。そして彼もまた──ふらふらと。
(あの鳥の巣良さそうだなー……)
鳥の巣、もとい鳥小屋にはダメクッションが敷き詰められている。ダメにならないわけがなかった。
相変わらずふわもこを堪能していたメイメイは不意にはっと顔を上げる。そこには大量のもふもふ、ふわふわ。
(もしかしたらブラウさま、も、この中に……埋もれ、て?)
「ピピさん……一緒に、捜して、みましょう」
頭の上にぺたりと乗っていたピピがキュイッと返事する。メイメイは十分にもふもふを堪能しつつ、ひよこ探しを始めた。
これはまずいわね、とジルーシャは頤へ指を当てる。次々とイレギュラーズがダメになっていき──自身もまた、もふもふの呼び声に耐えている状況だった。
だってあんなに素敵なもふもふふわふわボディである。抱きしめたい頬ずりしたい顔埋めたい。
自らを戒めながら周囲の精霊を探すジルーシャ。ふわりふわりと寄ってくるそれに案内を頼もうとするが──。
「我慢、我慢よアタシ……!」
そこに立ちはだかるのは、ふわもこキャラクターたちだった。くっ、と耐えるジルーシャとは対照的に、ワモンは気にした風もなく声を出してひよこを探す。
「おーい! ブラウー! どこだー?」
一斉にぴよぴよ泣き出す住人たち。ちょっと判別が難しいが、人助けセンサーも併用してワモンは確実に近づいて行っている……と思う。姿が見えないので何とも言い難いが。
「ブラウ殿ー。ブラウ殿はいらっしゃいませんかー」
迅も地道に足で捜索していた。が、ついついそこにあったソファへ座る。
(もしかしたらブラウ殿もソファの虜になっているかもしれません)
同じように座れば何かわかるかもしれない。そう、これは大事な調査だ。何らおかしいことはない。もふもふなキャラクターたちと戯れることも力量をはかるための一環で大事な(以下略)。
「なるほど確かにここは天国」
ふぅと息をついた迅。堪能しがいがある……じゃなかった捜さねば。
「ブラウさーん、ブラウさーん、いらっしゃいますかー?」
睦月が辺りを見回しながら声をかける、そんな中。
♪ねぎまにーもも肉ーつくねー筋肉にはーささみがーいいんだよー
手羽もおいしいー皮はジューシー
ぼんじり砂肝ーハツに軟骨ぅ↑↑
とても楽しげな──そしてかなりアレな歌声が聞こえてくる。睦月の視線を受けた相手は我に返った。
(……はっ危ない、焼鳥の歌歌っちゃってた!)
猫の着ぐるみことフランは危ない危ない、と口元へ手を当てる。どことなく周りのキャラクターたちが恐れをなしている気がして悲しい。
──だが。
「何ですか今の歌!? 僕食べられる!?」
ぴよーという悲鳴。ブラウ(p3n000090)の存在をキャラクターたちという壁越しに感じたフランは「仲間だよ!」と叫んだ。
見つかったのならシャルレィスがもふもふにされている、壁となるキャラクターが少ない内に助けなければ。そういえば彼女はどうしているだろうかと視線を向けると、すやすやふにゃりとお昼寝中。
(……なんか先輩すごい幸せそうだねー)
羨ましいなんて思ってない。嘘ついた、超羨ましい。
不意にばさりと空から舞い降りる。目覚めて紅の翼を広げたカイトだ。飛ぶ直前にはひよこたちが「パパ」と呼んで引き留めようとする何とも微笑ましい一幕があったのだが、彼からしてみればとんでもない。まだ結婚もしていないし子供だっていないのだから!
カイトは急降下すると、ブラウを捕まえて再び空へ。突然捕まったひよこはぴぃと悲鳴をあげた。
「いやだーーー食べられたくないーーー!!」
「大丈夫だって。ほら空の旅だぞー?」
ぐーるぐーると旋回し、やがてイレギュラーズたちの元へ戻るカイト。ぽてん、と地面に降ろされたブラウは一息つくと彼らを見上げた。
「ハァイ、ブラウ。久しぶりね、迎えに来たわよ♪」
「ブラウー! 迎えにきたぜー!」
「あなたがブラウさんですか。ご無事で何よりです。お怪我はありませんか?」
ジルーシャを、ワモンを、睦月を見てブラウは目を潤ませる。えぐえぐと泣き出したブラウはジルーシャに頭を撫でられた。
「ブラウ、男だろー? 涙は隠れて流すもんだぜ!」
「だ、だって、帰れないと思ってたので」
「ふふ、ちゃんと連れて帰るわよ」
ワモンの言葉に言い返し、ジルーシャの言葉に頷いたブラウ。そこへ猫キャラクター……ではなく着ぐるみがやってくる。フランだ。
「はいブラウさん、ここに隠れれば安全に帰れるよ!」
着ぐるみの顔を外したフランがBIGひよこちゃんを服から出した。ぶかぶかのそこは確かにブラウが入る大きさ、だが。
「ぴぃっ!? え、いやその、僕も思春期の男の子なのでちょっと……!」
挙動不審にばっさばっさと翼をはためかせるブラウ。
ここまでして来たのに断られたことを悲しむべきか。それともぶかぶかだろうと女の子として見られたことを喜ぶべきなのか。
複雑な乙女心のままに、フランは元どおりBIGひよこちゃんをぶかぶかなそこへ納めた。
さあ帰ろうかと踵を返そうとした時、睦月がすっと目を眇める。その視線の先はぴよもふランドの住人たちだ。
「……周りの視線が、少々不穏な雰囲気ですね」
一様にこちらを見ている様は少し不気味かもしれない。しかしよくよく見てみれば、その表情は悲しげだ。何となく「もう行っちゃうの?」とでも言われてる気さえしてくる。
「よーし、とりあえず帰る前に軽く遊んでこうぜ! ブラウも面白そうな場所みつけたんだったら、オイラもよんでくれよな!」
「来たくて来たわけではないんですが!?」
行くぞー、と連れて行かれるブラウ。フランが着ぐるみを脱ぎ、体に合ったサイズの服と猫耳猫尻尾へ着替えて最後に猫グローブを装備する。遊ぶ準備はバッチリだった。
とても寝心地の良いソファへダイブし、持ち込んだ枕なども用意してもふもふする3人……じゃなかった2匹と1人。菓子を用意してきたフランはそれを食べようとするが。
「待って、このねこの手取れないよ!?」
「よし、俺たちヒーローの出番だぜ、ブラウ!」
フランのグローブを嘴でくわえ、くいくいと引っ張るブラウ。そんな小さな騒動の傍らでは他のメンバーもくったりまったりしている。
しかし、睦月はしばらくキャラクターと見つめ合っていた。
「……」
困った。すごく困った。何せ遊ぶということを全然してこなかったのだ。
「……ニワトリさんは歌留多をなさいますか? 和歌を詠まれたことは?」
当然ながら何それ、という反応である。餌をやれば喜ぶだろうかと餌箱を探し始める睦月。ここでようやくシャルレィスがガバリと起き上がった。
「ブラウさん! ブラウさんは見つかった!? っていうか、みんな大丈夫!?」
大丈夫〜と口を揃える仲間たちは誰も彼もダメになっている。だがその中にブラウの姿も見つけたシャルレィスはホッと一息ついた。
「みんな心配したんだからね!」
「すみません〜……」
「もう! ……おかげで猫耳シャルルさんなんて貴重なものも見られたけど!」
えへへと笑うシャルレィス、えっと体を起こすブラウ。そういえば彼女は何処へ。
「めえ……何だか、こんもり……?」
不意に小山のように積み上がった住民たちにメイメイが気づき、首を傾げる。そっと1匹を退かすとむにゃむにゃ寝言を漏らすシャルルが発掘された。
いつまでもここに居続けるわけにはいかない。睦月は餌箱から餌を撒いて住人たちを引きつける。今のうちに、と促された一同は出入り口へ向かった。
しかし餌に釣られなかった住人たちが行く手を阻む。先に行けと立ち止まったのはシャルレィスだ。
「我が名はもふもふラバー、シャルレィス! ここを通りたければまずは私をもふもふにしてから行けーーー!!!」
仁王立ちする彼女へ容赦なくもふもふが集まる。悲鳴をあげたシャルレィスは、しかし嬉しそうな表情で。
「……すごい幸せそうだなー」
フランの呟きは今度こそ口から零れ落ちる。しかしきっと理性は残っているはずだと迅は告げた。
「シャルレィス殿は僕にモフモフを伝道してしてくれた先生……!
先生なら自分を見失わずに引き付けてくれるはず! たぶん!」
僕も盾になります! と第2の壁(住人)に立ち向かう迅。あの師にしてこの弟子ありである。
(羨ましい、ですね……)
敵を抑えるという役割も、今回に関してはご褒美のようだ、とメイメイは思った。
壁はもうないが、後ろから住人たちが追ってくる。あともう少し、というところでカイトの危惧していた通りブラウがすっ転んだ。傷つけないように、と思いながらジルーシャが住人たちへ拳を握ったところで。
「ちょっと待って、毛並が乱れてる子がいるじゃない!」
折角のふわもこが! と駆け寄ったジルーシャ、住人の毛を梳き始める。少しでも動こうものなら注意が飛ぶので、住人は大人しくなった。
さらにお日様の香りをつけてもらい、ちゃっかりブラウもお揃いに。
一方でワモンはブラウを連れて帰れるよう説得中。しかしアシカと間違われた彼は思わずアシカクラッシャーアタックを見舞った。ころろろんと転がった住人に睦月が治癒符を使う。怪我らしい怪我も見当たらなかったが、ダメージは負っていることだろう。
「あの、その、ごめんなさい……。ブラウさまは、いただいていき、ます」
ぺこり、と頭を下げたメイメイ。一同はそのままぴよもふランドを脱し、ローレットへと向かったのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
もふもふでした、イレギュラーズ。
ブラウを連れ帰って頂きありがとうございます。ローレットではまたひよこが駆けてこけて転がる姿を見られることでしょう。
それでは、またのご縁がございましたらよろしくお願い致します。
GMコメント
●すること
ふわもこで遊んで帰る(ついでにブラウを連れ帰る)
●ぴよもふランド
ふわもこを身に着けた者のみが見つけ、入場することができる夢の国。
中のキャラクターは一様にふわもこであり、大きなぬいぐるみが歩いているようです。ひよこや鶏が多いです。
中にアトラクションはなく、人をダメにしそうなソファやクッションなどが点在しています。
ブラウを連れて出ようとすると阻止されますが、とても弱いです。Lv1でも十分倒せます。
●NPC
・ブラウ(p3n000090)
ローレットの情報屋。30cmほどのひよこです。
帰省の最中、ぴよもふランドの住人(キャラクター)たちに連れ去られたようです。
・『Blue Rose』シャルル(p3n000032)
ローレットに所属する旅人の少女。元々は精霊だったようです。
猫耳カチューシャをつけてぴよもふランドへ同行します。
●ふわもこ
ぴよもふランドを発見し、入場するためにはふわもこを身に着けていなければなりません。
ユリーカよりふわもこの動物耳カチューシャと尻尾を借りられます。元からふわもこであれば付ける必要はありません。
●ご挨拶
愁です。ぴよもふランドにずっといたい。
この場所ではキャラクターに抱き着いたり添い寝してもらったりとまったり過ごすことができます。ちゃんとブラウと一緒に帰ってきてくださいね。ネギマになってないよ。
ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。
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