PandoraPartyProject

シナリオ詳細

巨大なポップコーン鍋

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●不思議な来訪者
 幻想のとある山間に位置する小さな関所。そこには小さな砦があった。領主の命で送り込まれた十人ほどの兵士が砦に詰めて、モンスターが侵入しないか常に見張っているのである。
「おい、誰かこっちに来たぞ」
 見張り台に立った白髪交じりの男が、山道を指差して叫ぶ。黒いマントに身を包んだ青年が、いかにも人のよさそうな笑みを浮かべて手を振っていた。
「すみません、ちょっと寄らせてもらってもいいですか? 歩き疲れてしまったもので」
「分かった。待ってろ、今迎えに行くから……」
 顔を見合わせた兵士達は、急いで階段を駆け下りていった。
 
「やれやれ、ありがとうございます。助かりました」
 砦の一角に設けられた宿舎に通され、青年はほっと溜め息を吐く。兵士の一人が木のお椀にコーンスープを注ぎ、青年へ差し出す。彼は深々頭を下げると、早速スープを啜り始めた。兵士は彼が持ち込んだ鞄についている国章に気付き、その顔を覗き込んだ。
「あんた、練達の出身なのか?」
「ええまあ」
「練達の人間が、何だってまあこの辺鄙な土地に来たんだ?」
「うーん……まあ旅行ですよ。外に出てみないとわからない事ってたくさんありますからね」
 青年は笑みを浮かべたまま応える。兵士は肩を竦めた。
「練達の連中は全員家に引きこもって出てこないと思ってたよ」
「酷いなあ。そんな風に思われていたんですか……それにしてもこのスープ、美味しいですね。コーンの味が良く分かります」
 青年が言うと、兵士は得意げに胸を張る。その視線の先には、中庭の畑と、そこですくすくと育つトウモロコシがあった。
「まあな。よく出来てるだろ」
「ええ、とても」
 青年はそのトウモロコシをじっと見つめ続けていた。

●オバケモロコシの暴走
 次の朝、兵士達が起きてみると砦は大変なことになっていた。銃声のような音が中庭で激しく鳴り響いている。慌てて宿舎から起き出してみると、昨日の数倍には巨大化したトウモロコシが畑の中でひしめいている。成長したトウモロコシの実が急に弾け、壁や地面に跳ね返っていた。
「なんだなんだなんだ! どうした!」
「わかんねえよ! 急にトウモロコシが爆発して……!」
 兵士は鎧を着込んで叫ぶ。しかし足下に転がった穂が炸裂し、脚を血だらけにして倒れ込んだ。
「ぎゃああっ! トウモロコシが爆発した!」
 別の兵士が倒れた兵士を慌てて救出する。中庭は既に手の付けられない状態になっていた。
「バカな! 一体何なんだよ!」
「兵長! 練達の奴がいつの間にかいなくなってます!」
「何だと!?」
 兵士は慌ただしく宿舎へと駆け戻る。すると、彼が泊まっていたはずの部屋がもぬけの殻になっていた。
「まさか、あいつの仕業か!」
 しかし、いなくなった奴に腹を立てても仕方ない。このままだと中庭がポップコーンでいっぱいになってしまう。しかも一発喰らったら血だらけになる威力だ。とても近づけない。兵長は勢い良く叫んだ。
「ローレットだ! イレギュラーズを呼べ!」

 かくして、オバケトウモロコシを伐採するため、君達は砦へと駆り出されたのである。

GMコメント

●目標
 オバケモロコシの討伐

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 幻想に存在する石造りの小砦で戦闘を行います。
 口の字型の歩廊と四隅の見張り塔及び宿舎で構成されています。廊下の広さは人が二人並んで歩ける程度で、内部と屋上にそれぞれ通路が通っています。
 オバケモロコシの活動で、既に壁などが彼方此方崩れ落ちています。

●障害物
☆オバケモロコシ×15
 小砦内で育成していた非常食用のトウモロコシが巨大化、暴走した。巨大化した穂から粒を弾丸のように飛ばす場合と、穂を切り離して直接投げ込み、手榴弾のように破裂させる二パターンがある。一発一発が強烈な威力であるためふざけていると危険。

・特徴
→繁殖
 繁殖の為にとにかく実を辺りにばら撒こうとしています。最初は特に敵意がありませんが、採取しようとすると指向性のある攻撃を試みるかもしれません。
→美味
 厄介者ですがポップコーンにすると絶品の味です。
→堅牢
 茎は堅牢で、ちょっとやそっとでは折れません。

・攻撃方法
→ポップショット
[物中単]の攻撃です。ポップコーンを弾丸のように飛ばして攻撃します。当たると痛いです。
→ポップグレネード
[物近範]の攻撃です。ポップコーンが一本まとめて大爆発します。直撃すると死ぬほど痛いです。

●TIPS
☆焼き払うのは簡単だが、その後の調理的な展開が少ない。
☆トウモロコシ系の料理なら何でも合う。



影絵企鵝です。痛い目にも美味しい目にも合う依頼です。戦いが長引くとポップコーンばかり食べる事になるので、多少無理しても早めに片付けると後々美味しい思いが出来るかもしれません。

ではよろしくお願いします。

  • 巨大なポップコーン鍋完了
  • GM名影絵 企鵝
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
猫さんと宝探し
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
咲く笑顔
オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)
石柱の魔女
美咲・マクスウェル(p3p005192)
紫緋の一撃
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘いかおり
庚(p3p007370)
宙狐
冷泉・紗夜(p3p007754)
風韻流月

リプレイ

●はじけるコーン
「輝く魔法とみんなの笑顔! 魔法騎士セララ、参上! さぁ――」
 いつものようにバッチリと決めポーズを作ったセララ(p3p000273)。しかしそのセリフは高らかに弾けるポップコーンの音で遮られる。セララはびくりと肩を弾ませた。
「うわっ。何だか大砲撃ってるみたい……でも、トウモロコシはトウモロコシ! 華麗に収穫して、トウモロコシ料理にして美味しくいただいてやるんだ!」
 セララは意気込むと、早速左のこめかみに指を当て、目に魔力を流し込んで透視を始める。分厚い壁の向こう、歩廊の中に敵の姿は見えない。今のところは中庭でぎゅうぎゅう詰めのようだ。セララは盾を掲げ、光を放った。
「セララフィールド!」
 天へ放たれた光が、砦を包み込んでいく。石を砕く鈍い音が、鉄を打つ様な甲高い音へと変わった。
「これで壊れかけの場所も大丈夫! みんな続いて!」
 セララは剣を抜き放つと、揚々と中庭へと踏み込んでいく。ヒィロ=エヒト(p3p002503)と美咲・マクスウェル(p3p005192)は二人並んでその後に従うが、バケモロコシは身を震わせ、大量のポップコーン弾を放ってくる。最早ちょっとした弾幕だ。
「おおっと」
「美咲さん危ないっ!」
 咄嗟に飛び出したヒィロは、全身でそのポップコーンをその身に受ける。一つはその額にクリーンヒットした。額にたんこぶ作ったヒィロは、思わず目を見開いて叫ぶ。
「いっ、たぁーい!」
「大丈夫?」
「うう……」
 ヒィロは額を抑えてその場に蹲る。額が熱を持っていた。
「食べ物で遊んじゃいけません、ってレベルじゃないよ……あ、でもサクサクで美味しいかも……」
 手元に落ちたポップコーンを食べると、その歯応えが病みつきになる。戦意を取り戻したヒィロは、拳を固めて立ち上がった。
「こうなったら絶対止めて……美味しく食べちゃう! お腹一杯間違いなし!」
「よかった。じゃあヒィロ、いつも通りに前衛役は任せるわ」
「うん! 頑張っちゃうよ!」
 二人はハイタッチを交わすと、別々に分かれて走り出した。オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)は美咲の後を追いかけて階段をぱたぱたと駆け上がり、歩廊に立って中庭の様子を窺う。中庭でぎゅうぎゅうにひしめき合った巨大トウモロコシは、中庭の淵を走り回るセララとヒィロにポップコーンを浴びせ続けていた。
「まさかトウモロコシがこんなことになるなんて。食糧の下克上とでも言いましょうか……なんてふざけてる場合ではありませんね」
 セララに治癒の光を当てながら、オーガストはぽつりと溜め息を吐く。弾けた粒は歩廊にも飛んできて、二人は咄嗟に石壁に身を隠す。美咲は溜め息を吐いた。
「何をどうしたらこんな事になるのよ、もう……」
「情報では練達の放浪者が何か仕掛けた可能性があるそうですね」
「らしいわね。一宿一飯の恩を仇で返す、というか。そういうとこよ、練達が偏見持たれる原因は」
 口を尖らす美咲。オーガストは肩を竦めた。
「その通りかもしれません……が、すでに消えてしまったようですし、今は目の前の事に集中しましょう」
「ええ、そうね。全部弾ける前に止めるわよ。映画館も無いのに、ポップコーンばっか食べてらんないっての」
 美咲も身を乗り出すと、ポップコーン塗れのヒィロに治癒の光を当てる。彼女達の話を横で聞いていた冷泉・紗夜(p3p007754)は、背負った大太刀をその手に提げ、柄にそっと手を掛ける。
(練達の仕業、ね。何が起きても不思議ではないのが練達の生み出したものではあるけれど)
 彼女達の言う通りに悪戯目的でこんなことをしでかしたのか、それともお礼のつもりでこんな大失敗に至ったのか。どちらにしても、この事件は喜劇的に劇的なものである。
「ならばこそ、笑って終えられるように尽力しましょうか」
 紗夜は歩廊の塀に足を掛け、一気に中庭へと飛び降りる。落下速を載せて鞘から刃を抜き放ち、諸手に構えてトウモロコシへと切り込んだ。目にも止まらぬ一撃。風が唸り、刃が閃き固い茎に突き立った。
「ふむ……ただの植物でない事は分かっていましたが、どうやら一筋縄ではいかないようですね」
 彼女はさらに身を翻すと、更に茎の反対側に刃を突き立てた。

 一方、アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は大きく翼を広げ、中庭の上空からバケモロコシをじっと見降ろしていた。セララの張った保護結界によって、いよいよ鉄鍋へ放り込んだようにポップコーンが激しく跳ねまわっている。
「完全にマッドサイエンティストだあ……ごちそうしてもらったものを改造するなんて! ポップコーンの方が美味しいとか、そんな考えだったのかな?」
 中距離の間合いから、アクセルは手にしたバイオリンを弾き奏でる。音色が宙で擦れ合い、空間がよじれて眩い光が溢れ出す。放たれた光はトウモロコシに直撃したが、纏わりついた葉っぱが燃えて舞い散るばかりで、茎を叩き折るまでには至らない。逆にポップコーンの弾丸が襲い掛かってきた。アクセルは慌てて身を翻す。
「うわわわっ! もうちょっと距離を取らないと……」
 慌てて更に上空へ舞い上がる彼を、庚(p3p007370)は歩廊から見上げていた。その間にもトウモロコシが一本、ロケットのように飛んでくる。カノエは慌てて歩廊の物見塔へ身を隠す。トウモロコシの実が爆散し、歩廊を一気に巨大なポップコーンで埋め尽くす。カノエの隠れた物見塔にもいくらか押し寄せてきた。慌ててカノエは棚の影に身を隠す。
「これはこれは。昨今の植物は怖いですね……敵意が無くとも、石も砕く実をばら撒かれてはまともに暮らしていけませんし、こうなったらもう全面戦争です! これは恐ろしゅうございますよ」
 ポップコーンを掻き分け何とか歩廊に戻ってきたカノエは、素早く呪文を唱えて中庭に土塊人形を呼び出す。
「さあ、行きますよ!」
 カノエが右腕を振るうと、人形はトウモロコシを引っこ抜こうと飛び掛かった。トウモロコシは次々に破裂し、人形の左腕や脇腹を吹き飛ばす。身を削り合う戦いぶりだ。どんどん実が減っていく。ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)は貧相になっていくトウモロコシの房を見て嘆息した。
「せっかくの美味しそうなトウモロコシなのに! このままじゃ色んな料理に使いたいのがポップコーンオンリーになっちゃう!」
 天を舞ったポップコーンがミルキィの頭上に降ってくる。彼女は咄嗟に口で一粒キャッチした。
「うーん……これもサクサクで美味しいけど……でもどうせならいろんな料理が作りたいよね! 急いで倒して、美味しいトウモロコシをたくさん収穫しなきゃ!」
 シュガーランドのパティシエールは、既にたくさんの料理イメージを固めていた。指をパチリと鳴らすと、素早く竪琴を奏で、大量のジェラートの塊をトウモロコシの束に降らせていった。
「さあ、どんどん行くよ!」

●つきささるコーン
 畑に深々と根を張ったトウモロコシの株は、梃でもその場から動こうとしない。ただその茎を右へ左へ揺すぶって、トウモロコシを手榴弾のように放り込んでくる。弾けた粒は、中庭で戦っていたセララ達に襲い掛かる。背中を撃たれたセララは思わず飛び上がった。
「痛っ! やっぱり痛いよこれ!」
「みんな、一旦下がって!」
 アクセルは宙高くへ一気に舞い上がる。砦全体を俯瞰しながら、素早くバイオリンを弾き奏でた。寒々しいメロディに転調した瞬間、彼の周囲に次々と雹が浮かび上がり、次々畑へと降り注いでいく。軽快にポップコーンをばら撒いていたトウモロコシだったが、氷の塊が直撃した瞬間、トウモロコシは僅かにその身動ぎを止める。その隙を突いて、再びアクセルは高度を下げてトウモロコシの根元に狙いを定めた。
「ついでにもう一撃!」
 アクセルがさらに一小節弾き切ると、放たれた音波の螺旋はトウモロコシが纏う分厚い葉っぱを吹き飛ばす。セララは剣を素早く抜き放つと、肩に担いでトウモロコシの根元をじっと見据える。
「どれもこれもしぶといよ……なら、これで根っこから叩き折っちゃうんだから!」
 セララは剣を空へ突き上げる。その瞬間、雷光が閃き彼女の剣へと吸い込まれていった。そのまま目の前のバケモロコシへと踏み込むと、渾身の力で剣を横へ振り薙いだ。刃が根元に直撃した瞬間、刃に込められた雷が眩く弾け、茎を真っ二つに叩き折った。倒れたトウモロコシは、しばらくゆさゆさ揺れた後、やがてぴくりとも動かなくなる。
「よし、今日も切れ味冴え渡ってる!」
 懐から取り出した手帳を、素早く目の前へ突き出す。セララが必殺技を叩き込む姿が、勝手に手帳に浮かび上がっていくのだった。

 ヒィロは両腕を構え、ばら撒かれるポップコーンを受け止める。展開した障壁のお陰で致命傷は避けているが、元より石壁を砕くような弾丸を何度も何度も受けていては腕も足も痛みで痺れてくる。彼女は思わず呻いた。
「ううう、このままじゃこんなへんてこなトウモロコシ相手にパンドラの力を使わなきゃならなくなる!」
 思わず呻くと、その足に狐火を纏い、ヒィロは素早く空へと飛び上がった。ポップコーンの弾幕を何とか躱しながら、美咲の側へと飛んでいく。
「美咲さん! そろそろいつものヤツ行こうよ!」
「そうね。散々ダメージは与えたはずだし、そろそろ決め時かな?」
 美咲はその眼を紫色に輝かせ、バケモロコシの根元を睨む。彼女の視線がトウモロコシに突き刺さった瞬間、茎は見る見るうちに萎び、炭化していく。株はいまだに折れないが、次第にグラグラと揺れ始めている。
「じゃあ行きましょうか。ヒィロとの連携はずっとやって来たんだもの。動かないトウモロコシ相手に失敗するなんて有り得ないわ」
「オッケー! 行こう!」
 ヒィロは再びトウモロコシの目の前まで飛び込むと、拳を突き合わせてその身に覇気を纏わせる。
「たかがトウモロコシ、されどトウモロコシ。手加減一切なしだよ!」
 彼女の気迫に当てられ、トウモロコシは彼女へポップコーンを飛ばして来る。その隙にじっくり狙いを定めた美咲は、闇黒の魔眼でトウモロコシの根元を射抜いた。その瞬間に炭化した根元が抉れ、株は中庭に倒れた。

 畑の端から徐々に切り倒されていくトウモロコシ。見下ろしていたミルキィは、竪琴を掻き鳴らし、再び空に大量のジェラートを浮かべる。ミルクとチョコとメープルと、甘い匂いが辺りに漂う。
「さあ、出血大サービス! もう一回ジェラートをご馳走しちゃうよ!」
 最後にさらりと弦を撫でると、一気にジェラートが降り注いだ。トウモロコシの穂が一本一本折れ、次々地面に転がっていく。カノエは懐から炎の紋様が入った札を取り出すと、トウモロコシ一本一本に目掛けて投げつけていく。盛んに弾けていたその株も、札が巻き付いた瞬間、その動きを止めた。
「さあ、これ以上弾けさせたりはしませんよ!」
「善し。一気呵成に攻めましょう」
 紗夜はその隙を見逃さず、素早く懐へ潜り込んだ。大太刀を脇に構えると、鋭く踏み込みながら刃を叩きつけた。そのまま眼にも止まらぬ身のこなしでもう一撃叩き込む。氷の魔法で霜付いていたトウモロコシの茎は、遂に砕けて折れた。紗夜は息を整え、素早く背後へ飛び退く。次の瞬間、地面に転がった一本がまとめて弾け、大量のポップコーンがまとめて紗夜へと襲い掛かった。
「くっ……」
 彼女は半身になって弾丸の塊を何とかやり過ごす。それでも袴や着物が裂け、あちこちから血が滲んだ。オーガストは咄嗟に身を乗り出し、そんな紗夜へ素早くバイオリンの弓を振り、賦活の光を放って紗夜の傷を一つ一つ癒していく。
「大丈夫ですか?」
「……ええ、助かりました」
 再び紗夜は大太刀を構えると、再び畑へと踏み込んでいく。隣にいたセララと目配せすると、二人で一斉に得物を振り上げた。
「スピニングセララソード!」
 セララは刃に旋風を纏わせ、二本の茎を纏めて切り裂く。その背後から更に踏み込んだ紗夜は、音速の太刀で次々にその茎を断ち切った。
「さあ、残るトウモロコシが全てポップコーンになる前に、この暴れトウモロコシの収穫を終えてしまいましょう」
「任せて! 最後の一本まで手加減しないよ!」

 美咲やアクセルが魔法をばら撒いて茎を弱らせ、紗夜にセララが鋭い一撃でトウモロコシを刈り取っていく。ポップコーンの抵抗は相変わらず続いていたが、彼女達は最後まで仕事をやり遂げたのであった。

●おいしいコーン
 恐ろしいポップコーン攻撃を何とか切り抜け、生存競争にピリオドを打ったイレギュラーズ。中庭に残された大量の株には、まだ何本か無事な巨大トウモロコシが残っていた。セララは戦装束の内側から大きな袋を取り出すと、小刀でトウモロコシを切り落としていく。
「よーし、回収完了! 美味しいコーン料理を作ってお腹いっぱい食べるのだー! ポップコーンにコーンポタージュ。焼きトウモロコシにツナコーンピザとか……」
 思いつく限りのトウモロコシ料理を呟きながら、セララは袋にトウモロコシを詰めていそいそと砦を後にする。入れ替わるようにアクセルはパタパタと中庭にやってきて、中庭いっぱいに撒き散らされたポップコーンを柄杓で掻き集めて袋の中に放り込んでいく。
「このポップコーンはどんな味付けにすればいいかなぁ? シンプルに塩を振ったり、お砂糖やキャラメルのシロップを垂らしてみたり、スパイスを振るっていうのもありだよね」
 麻袋がいっぱいになるまでポップコーンを放り込むと、目の前に残るのはちょっと土に汚れたポップコーンである。鳥のアクセルには特に抵抗がない。拾って軽く埃を叩き落とすと、そのままポップコーンを口へと放り込んだ。
「ふーん……冷めるとちょっと固いかなぁ? ちょっと温め直した方がいいかも……」

 たっぷりのコーンを背負ったミルキィは、スキップ交じりで揚々と宿舎の厨房へと駆け込む。既にトウモロコシの焼ける香ばしい匂いが漂い始めていた。
「さ、ボクも今からパティシエとして頑張っちゃうよ!」
 ミルキィは早速大きなボウルを取り出し、小麦粉を注いで砂糖と卵を混ぜこんでいく。オーガストは横からミルキィの様子をじっと窺う。
「今から何を作る予定なんですか?」
「コーンドーナツだよ。色々な食感が楽しめて結構美味しいんだ!」
「ふふーん……」
 生地を捏ねるミルキィの手つきをオーガストはじっと窺う。怠惰で鳴らすオーガストだが、お菓子作りには多少の心得がある。興味深々の口ぶりで尋ねた。
「私もお手伝いしますので作り方を教えてくださいな」
「いいよ! じゃあ、ちょっとこのトウモロコシを茹でて貰っていい?」
「ええ、どのくらい茹でればよいでしょうか……」
 そんな彼女達の隣で、カノエは石臼を持ち出し生のトウモロコシをゴリゴリと曳いていた。元々水分の少ないバケモロコシの粒、粗挽きだが多少は粉のような雰囲気になっている。
「カノエは、小麦粉ではなく、トウモロコシ粉で作りましたとるてぃーやが食べとうございますよ」
「トルティーヤねえ……この世界だと中々お目にかかれない食べ物ね。確かにこれくらいなら……小麦粉とちょっと混ぜて練り込めば使えそうかしら?」
 石臼から零れ出したバケモロコシ粉を指で掬い、美咲はじっと見つめる。
「ええ、ぜひお願いします! カノエ、新しい食べ物にはとても興味があるのですよ」
「そうねえ……あ、良かったらもう少しトウモロコシを挽いてくれない? ついでにパンも焼きたいのよ」
「良いですとも! どんどん粉にしていきますよ!」
 美咲が生地を練り始めた横で、カノエは一生懸命石臼をゴリゴリと回し続けるのであった。ヒィロは美咲の練った生地を受け取り、両手で更に強く捏ね上げていく。既にヒィロは眼をキラキラさせていた。
「ふふーん、美咲さんの美味しい料理……」
 そこへ紗夜がからころ下駄を鳴らして歩み寄ってきた。彼女は皿に幾つも焼きトウモロコシを載せている。バターと醤油の香りが鼻腔をくすぐる。ヒィロはピクリと耳を震わせ、慌てて紗夜に振り返った。
「それは!?」
「茹でて柔らかくしたトウモロコシを、バター醤油で焼いてみましたよ。料理としては素朴ですが……これでもとても美味しそうでしょう。お食べになりますか?」
「うんうん! いただきまーす!」
 ヒィロは早速一本手に取ると、普通のそれより二回りは大きい粒に勢いよくかぶりついた。
「うーん、美味しい! やっぱり働いた後にはしょっぱい感じの味がたまらなく美味しく感じちゃうよね!」
「それはよかった。量を作って、後で兵士の皆さんにもお出ししましょうか」
 紗夜はくすりと微笑む。ヒィロも頷いた。
「賛成! 料理が完成したら、みんなでお食事会だね!」

 数時間後、兵士達も食堂に集めて、イレギュラーズはコーンパーティーを始めた。テーブルに乗っているのは何から何までトウモロコシ料理である。トウモロコシパン、スープ、ドーナツ、とにかく色々だ。
「さあ、食べよっ! 美咲さんのパン……」
 早速パンへ手を伸ばしたヒィロを合図に、早速兵士達も仲間達も料理に手を伸ばす。口へ運ぶと、トウモロコシの甘さ香ばしさが次々口の中へと広がった。
 かくして、彼らは大量のご馳走を楽しんだのであった。

 おわり

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お世話になっております。この度はご参加ありがとうございました。今回のトウモロコシは歩きませんでした。次のトウモロコシは歩くかもしれませんが……回復も十分でしたし、今回は戦闘不能/復活使用者ナシとなりました。

うちの地域だとトウモロコシはとうきびと言ったりします。皆さんのところだとどうでしょうか。

ではまた、ご縁がありましたらよろしくお願いします。

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