PandoraPartyProject

シナリオ詳細

妖精美酒ロマンチカ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●妖精王の伝統
 新たな年の始まり。妖精女王は若草の髪に桜色を煌めかせながら、ほぅと息を吐いた。
 新年。人間よりも遥かに長命である妖精からすれば、一年が過ぎ去ってゆくのも些細なことに過ぎない。
 然し、昨年のクリスマス。転機は訪れる。
 サンタに焦がれたティターニアを喜ばせるために、全ての人々が立ち上がった。
 今ティターニアの髪を束ねる髪飾りは、他でもないイレギュラーズの手によって贈られたプレゼント。唯一人、人間と馴染むことのなかったティターニアを人間と結びつけるアイテムとなった。
 それ以来、妖精と人間との間に結ばれた絆はより強固なものになっているのだ。
「──私もそろそろ、先代達の残した最後の仕事を継がないといけないわね」
 蜂蜜色の瞳が揺れる。その声は面倒臭いと言いたげだが、言葉の裏に隠れた喜びが隠しきれていない。
「ティターニア、おしごとー?」
「ぼくらもてつだえる?」
「答えはノーね。これは王としての勤めなの」
「そっかー……」
 落胆した様子で肩を落とす妖精たち。
「ふふ、応援していて頂戴な。
 この仕事が終われば人間達と沢山遊べるわ」
「ほんとー!?」
「やったぁー!!」
 嬉しそうに飛び回る妖精達に宣言するように、ティターニアは立ち上がり前を見据えた。

「これより、妖精美酒づくりに取りかかる!」

 ティターニアのいう仕事とは、妖精美酒の作成。己の魔力とこの世界に咲く花を用いて作った酒を人間達に振る舞い、更に親睦を深めるのが妖精王の一番の勤めだ。
 花の咲き誇る世界で作られる妖精美酒。そのお味は、さてはて──。

●妖精美酒ロマンチカ
「新年明けましておめでとう!
 ブルーム・ブルームから新年最初の依頼が届いているわ」
 ふふ、と微笑んだポルックスは、手の内にある依頼書を元気よく読み始める。
 仄かに漂うアルコールの香り。新年に相応しい柔らかであたたかい空気に酔わされそうになる。
 和やかな空気に後押しされるように、ポルックスは笑みを浮かべた。
「ティターニアの作ったお酒を試飲して欲しいらしいの。
 なんでも、妖精達に飲んで貰うのはタブーらしくて」
 難しげな顔をして、ポルックスは依頼書を見た。
 新年最初の依頼が飲み会になりそうなことを危惧しているのかもしれない。
「あ、おつまみとかも用意されているみたいだし、何より未成年向けの子供ビールもあるんだって!
 気兼ねなく来て欲しいらしいわ!」
 いってらっしゃい、とポルックスはこちらに向けて手を振った。

NMコメント

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
 はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。染と申します。叶うことならお年玉をあげたくない正月です。
 お酒は沢山飲みましたか。このシナリオでも沢山飲んでいただけますと幸いです。

●依頼内容
 妖精美酒ロマンチカの試飲。
 ついでに新年会。

 ティターニアが人間との親睦を深めるためにつくり上げた、若草色のお酒です。人々や妖精に振る舞う前に、花冠師(フルール)である皆さんの感想を聞きたいとのことです。
 沢山飲むとティターニアが喜びます。
 未成年の方向けにティターニアのつくった子供ビールがありますので、そちらの感想も求めているようです。

●妖精美酒「ロマンチカ」
 透き通るような若草色の美しいお酒です。
 すっきりした味わいが特徴。ティターニアが魔力を注いで作ったために、飲むと魔力(AP)が満たされるようです。
 花を浮かべると色を蜜色に変えます。

 歴代の王の妖精美酒や、おつまみも用意されているようです。何かお酒を持ち込んで、新年会としてしまいましょう。
 
●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

 新年ということで、沢山の門松が飾られています。

●NPC
・ティターニア
 妖精女王。引き摺るほど長い黄緑の髪が特徴。エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
 試作した酒の味見を頼むべく、今回依頼したようです。本人はザルです。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。
 未成年ですので子供ビールをちびちび口にしています。

●その他
 何か困ったことがあればNPCのふたりに声をかけていただければどうにかします。
 お酒に酔うもよし、新年の抱負を語るもよし。皆さんで楽しんでください。
 また、アドリブを入れても構わないというかたは、アドリブ歓迎と記入していただければ助かります。

●サンプルプレイング
 妖精美酒ロマンチカ! 素敵な名前!
 ふふふ、二十歳になったお祝いのお酒にしちゃいましょ!
 いただきます!
 ……わぁ、なんだかほんのりあまくていい感じ。ティターニアさん、おかわりくださぁい!

以上となります。
皆様のご参加、お待ちしております。

  • 妖精美酒ロマンチカ完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月13日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
惑(p3p007702)
かげらう

リプレイ

●はじまりのかおり
 ブルーム・ブルームの地下世界は妖精たちの住処である。
 花冠師として依頼に参加してくれた四人を妖精たちが招いてくると、ティターニアは嬉しそうに顔を綻ばせて出迎えた。
「今日は来てくれてありがとう!
 沢山あるから好きなだけ飲んでいって頂戴ね」
 清潔感のある大広間に通されると、そこには件の若草色の美酒『ロマンチカ』が無数の透明なワインボトルを満たしていた。

(お酒か…まあ、味を確かめるだけなら、コアである鎌に少したらせばわかるし、問題ないかな…)
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319) はいつも通り顔色悪く馳せ参じていた。未成年ではないが妖精の身体に飲ませるのは危険だと思い、鎌に酒を垂らすことにした様子だ。
「鎌のフルール、お酒はつよい?」
「たぶん……? 飲んでみないと分からないけど」
「そっかぁ〜!! ティターニアのためにも、たくさんのんでね!」
 きゃっきゃと声をあげて妖精たちはサイズを囲んだ。
 しかしこの後サイズは恐ろしい目にあう。
(花と魔法で満ちた世界かぁ。なんだかファンシーで素敵やんな!
 お酒はそんなに強くないけど、新年くらいは酔ってしもても文句言われへんやろうし今日は飲むで! 「花冠師」としてのお仕事やしなぁ。)
 『かげらう』惑(p3p007702) は辺りを見渡しながら小さく拳を作って決意を固めていた。周りを飛ぶ妖精たちも嬉しそうに声をかける。
「温もりのフルール、なんだか美味しそうなにおいする……!!」
「ん? あぁ、きっと持ってきたお菓子のせいやね。未成年の子のためにって思って持ってきたんやけど、おらんみたいやし妖精ちゃんにあげるわ」
「ほんと〜!? わぁい、ありがとう!!」
 手に持った袋から妖精たちに向けてお菓子を渡すと、嬉しげに飛び回る妖精たち。そんな姿を微笑ましく見守る惑であった。
(うふふ、美酒と聞いたら私が駆け付けないわけないわよねぇ!
 色んな世界のお酒が飲めるなんて、本当に境界図書館さまさまだわぁ)
 混沌でも有名な酒好きである『だって酒好きなんだもの』アーリア・スピリッツ(p3p004400) は意気揚々と酒を見つめる。
「ご招待頂いたからには、女王様が満足する位どーんと飲み倒しちゃいましょー!」
「ふふ、頼もしいわね」
 声を弾ませたティターニアに笑みを返すと、アーリアはテーブルに近づいていった。
(妖精女王のお酒ねぇ、どんな味なんか気になるわぁ。
 あんまり酔える方やないけど沢山飲んでええなら飲みたいねぇ)
 『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611) もテーブル上の酒に興味津々だ。何せ混沌では飲むことの出来ないお酒なのだ。
 テーブルに案内されると、四人はさっそく荷物を下ろして椅子に腰掛けた。
「……ところで門松並べすぎちゃう? こんなもんかな?」
 惑のふとした問いかけにティターニアは思わず恥ずかしげに声を上げた。
「気合いが入って飾りすぎちゃったのよね……恥ずかしいわ」
「あはは、ありがとうなぁ! わてらとしては歓迎されてるみたいで嬉しいで」
「そ、それなら良かったわ……」
 ほっと胸を撫で下ろしたティターニアにサムズアップで返した惑であった。

●酩酊
「美酒を頂くんだもの、まずはこちらからお酒をふるまうわぁ」
「あら、いいの? どんなものがあるのかしら?」
 ティターニアが嬉しそうに近寄ると、アーリアを筆頭に四人持ってきた酒を紹介した。
「まずは私のお気に入り、トワイライト・シンデレラ!」
「おさけのフルール、これ甘い匂い……!!」
「ふふ、ご名答ねぇ。甘酸っぱくてとーっても美味しいのよぉ」
 とくとくとく、お酒をグラスに注げば瑞々しいフルーツが卓上に置かれたかのような雰囲気に。ティターニアもうっとりと目を細めた。
「ワインがお好きなら天にも昇る美味しさのW・Heavenもおすすめねぇ」
「あぁ、それなら私からも……幻想で買ってきた赤ワインだけど、良ければ飲んでねぇ」
 アーリアの持ってきたW・Heavenのラベル──アライグマのイラストに、紫月は思わず笑みを浮かべた。赤と白のワインボトルが並ぶと、惑もお気に入りの酒を取り出して卓上には五種類の酒が並んだ。
「本当に沢山あるんだけど……大丈夫?」
「私たちにはおつまみもあるしねぇ。酔い潰れたら一日泊めてもらえると嬉しいわぁ」
 紫月が安心させるようにティターニアに告げると、小さく頷いたティターニア。卓上には枝豆にチーズにソーセージにベーコンと色々並んでいた。
「それじゃあ……遠慮なく飲んで頂戴?」
「ええ、そうさせて頂こうかしらぁ! かーんぱぁーい!」
 アーリアが四人分のワイングラスにティターニアの作ったロマンチカを注ぐと、乾杯の音頭をとった。
「乾杯」
「かんぱぁい」
「乾杯!」
 ごくっと喉を通る音が聞こえる。ティターニアもごくりと様子を眺めた。
「……ん。色で苦いかと思うとったけど、口当たりが甘くて飲みやすいなぁ。
 これならいくらでも飲めそうやわ。ばっちりおいしいで!」
 惑の感想にぱぁぁっと顔を綻ばせてティターニアは何度も頷いた。
「ありがとう、惑。とっても嬉しいわ……!!」
「ティターニアちゃんの髪色ともよう似とるね。あ、そうやティターニアちゃん、歴代の王の妖精美酒も飲ませて欲しいんやけどええかな?
 ああ、沢山飲んだら無くなってしまいそうやし少しずつでええよ」
「わかったわ! 少し待っていて頂戴」
 ぱたぱたと飛んでいくティターニアの背を見送った惑は酒を眺めつつ思考を巡らせる。
(魔力を注いで作るお酒、かぁ…わても無駄に溜まった魔力を取り出して保管する事あるし、応用できそうやなぁ。
 花を浮かべると蜜色に変わる性質もどういう原理なのか気にな……いや、人前で魔術オタクしたらあかんわ。我慢せな)
「これはねぇ、ティターニアの魔力にはんのうしてるんだよ!」
 えっへんと胸を張って告げる妖精に目を瞬かせると、惑はなるほど、と納得したように酒をまた一口口に含んだ。
「ふっふーん♪」
 色んな酒を飲み進めるアーリアの傍ではメカバーテンダー・ルシアンくんが並び美味しいカクテルを振る舞っていた。アーリアが酒の上に花を浮かべると、上から下へと蜜色に染まっていく。
「不思議なお酒ねぇ、本当に力が湧いてくるわぁ。
 ふふ、色んなお酒を飲んでるから私の髪もすごいことになってそうねぇ」
 ご名答である。アーリアの髪は天辺に葡萄酒色を残し若草、毛先は蜂蜜とティターニアの髪色に近くなっていた。
「アーリアの髪、ティターニアとお揃いみたいやねぇ」
 あたかもジュースであるかのようにグラスに残る酒を飲み干す紫月はその髪を指さしてふ、と笑みを浮かべる。
「あらぁ、ほんと? 私のギフトのお陰かしらねぇ」
「お揃いの髪色って素敵ね……!」
 歴代の妖精王の酒を持ってきたティターニアはアーリアの髪を見ると頬を喜色に染めた。
 惑は歴代の妖精王の酒を飲みながら、ふむ、と声を漏らす。
 空色、橙色、桃色、黄金色。様々な色の酒を少量ずつ口に含んだ惑は
「……どれも色や風味が微妙に違うんやね。ティターニアちゃんのが一番若い風味やわぁ。作り手の性格も出たりするんかな?」
 と感想を口にした。惑のコメントにティターニアは首を傾げた。
「あら、そうなの? 私も実は飲んだことがないから……惑の感想はとても助かるわ。ありがとうね」
 実際ティターニアの酒はすっきりとした甘みが特徴的だ。空色の酒はどんな人でも飲みやすいであろう万人受けする味わいがあるし、桃色の酒は癖は強いものの慣れると美味しい。アーリアや紫月も感嘆の声をあげて妖精王の酒を口に含んでいった。
 ところで。サイズが先程から出てこないのには訳があった。
「うう……なんだか頭がガンガンする……」
 隅の方で休んでいたサイズは所謂二日酔い状態に。ティターニアの酒が大量に含まれた酒であるから、仕方ないのかもしれない。魔力が溢れて対処しきれなくなっていた。酒に濡れた鎌を拭くとティターニアは水を置いて行った。
 暫く休憩した後サイズは周りに置かれた酒を少しずつ鎌に垂らして行った。すると少し元気になったような気がするものだから、またほんの少し垂らしていった。
「……これならいけるのか?」
 おつまみを食べつつサイズが何度も酒を垂らしていく。じんわりと侵食するような酒の甘みにほう、と呟くと、新たな発見ができて嬉しいサイズであった。

●祝福
「ねぇティターニアちゃん、一戦どぉ?
 お酒で頭が回らない時のゲームって、面白くなるじゃない?」
 酔いが回って来た頃、アーリアはパンドラ・ウォーズを取り出して遊ばないかと声をかけた。
「勿論よ! 酔ってるからって舐めないで頂戴ね」
 参加者は紫月を除く四名。紫月は審判兼盛り上げ役ということで歌を歌ってくれることに。柔らかな調べが周囲を満たす。
「それじゃあ行くわよぉ……!!」
 ダイスの音が響く。パンドラをかけた勝負は白熱したものに変わる。
 パンドラ勝負に飲み比べを提案したアーリア。ゲームオーバーに悲鳴をあげるティターニア。着実に駒を進めた惑。ちゃっかり一抜けしたサイズ。美しい音色を響かせる紫月。楽しんでいた新年会も終わりが近づいた。
「新年の抱負ってもう決めた? わてはなぁ…守ってあげたい子がおるから、ヒーラーとして腕を上げたいなぁって思うんよ。
 思うんやなくてせなあかんな、あはは!もっと強くなりたいわぁ!」
 笑い上戸である惑が笑顔の花を咲かせると、それぞれが抱負を告げだした。
「ティターニアは?」
「私? 私は──」
 ぽつりと呟いた抱負にアーリアが優しく微笑みかける。紫月は素敵やね、と声をかけ、サイズは小さく頷いた。惑はさらに笑みを深くする。
 誰からともなくグラスを持ち上げると、カチンとグラスが交わされる。

 素敵な出会いに、乾杯!

成否

成功

状態異常

なし

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