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シナリオ詳細

幽霊屋敷の亡者退治でござる

完了

参加者 : 8 人

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オープニング


 鉄帝某所。
 人里離れた高い山の上。断崖絶壁に館が構えられていた。
 そこに住む鉄騎種の老人『GG助五六』からの依頼。
 先日、ローレットのイレギュラーズ達は彼らと力試しをして認められ、本格的な依頼を預かるに至る。
 GG助五六がローレットへと依頼していたのは2件の武具回収。
「お疲れ様です。こちらが依頼の刀です」
 先日、とある洞窟でイレギュラーズ達が回収した『夜月(やつき)』を、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がローレットへと受け取りに訪れたGG助五六達へと手渡す。
「かたじけないでござる」
 彼は老執事と同伴でローレットへと訪れ、イレギュラーズ達へと礼を告げた。
 2人がローレットへとやってきた理由はそれだけではない。
 昨今、混沌各地で様々な事件が散発しており、イレギュラーズ達もかなり忙しそうな状況だ。
「鉄帝も少しきな臭い状況になっておりまして。我がメイド達にも様々な任務を申し付けております」
 老執事が合いの手を挟み、説明する。
 この状況もあり、GG助五六は老執事と共に老いた体を押して、しばらく棚上げになっていた依頼……刀の回収を自らイレギュラーズ達と共に行うことにしたらしい。
 ただ、筋肉粒々でとても老体とは思えぬ彼だが、それでも力押しでは叶わぬ相手と見ている。
「露払いを拙者達で請け負うので、刀を持つ亡者を倒してほしいでござる」
 室内の椅子に腰かけ、彼は今回の依頼の説明を始める。


 場所は、鉄帝某所の幽霊屋敷。
 放棄されて久しいこの建物は、数々の事件を引き起こしていた場所でもある。
 数年前は幽霊が出るということで当初は子供達の肝試しスポットになっていたのだが、どうやら帰ってこない子供達がいたらしい。
 後日、近場でその子供達の遺体が発見されたそうだ。
「その後、鉄帝の強者が何人も屋敷に向かったのであるが、内部の亡者と対した者の死に物狂いで帰ってきたのでござるよ」
 それで、なかなか勝てる者がいない状況が続く中、この幽霊屋敷は人々から興味が薄れて忘れられてしまったらしい。
 地主すらもその存在を放棄して久しい状況の中、GG助五六の従者達がこの屋敷について調査し、刀の存在を知ったようである。
「拙者が求めているのは、緋色の刀身を持つ『夕闇(ゆうやみ)』でござる」
 長い間失われていたその刀、どうやら亡者に挑んだ者の1人が持っていた物らしい。
 敗北した彼が刀を放棄して逃げてしまい、その刀を亡者が使っているようだ。
 このまま亡者に持たせておくには惜しいとGG助五六は長らく考えていたのだが、相手の強さもあって入手に当たるのが難しく、ローレットならと考えていたらしい。
「それで、その目的の刀ですが……」
 アクアベルが説明をしようとしたのを遮り、老執事が口を開いて。
「幽霊屋敷は2階建ての洋館でして、入るとすぐたくさんの刃が侵入者へと襲い掛かるようでございます」
 浮遊して襲い掛かってくる刃を蹴散らしつつ、入って正面の階段を上って右奥にある部屋を目指したい。
 そこにいる骨だけとなった亡者は2本の刀を両手に持ち、周囲に3本の妖刀を浮かせ、襲い掛かってくる。
「亡者の右手にある緋色の刀が御屋形様の求める一振り、『夕闇』でございます」
 なお、左手の刀は『朝陽(あさひ)』と呼ばれる業物と分かっている。
 蒼い刃が光を受けると、朝日を思わせることから付けられた名前らしい。混沌特有の金属を使っているものと思われ、なかなかの名刀らしい。
「できるなら、回収していただければ幸いでござる」
「……と、いうことですね」
 アクアベルはすっかり役どころを奪われてしまい、苦笑いしてしまう。
 刃舞う幽霊屋敷。過去には帰らぬ者がいたというのであれば、油断は禁物だろう。
 先程告げたが、GG助五六と老執事が入口付近の刃物を相手にしてくれる。
 基本的には問題なく相手にしてくれると思われるが、何せ高齢の2人だ。
 依頼者に怪我を負わせぬようにするなら、1~2人残して刃物の殲滅に当たらせてもいいかもしれない。

 状況は以上とのことで、問題なければすぐにでも鉄帝へと出発したいと彼らは言う。
「何せ、今の鉄帝の状況は我らも見過ごせぬでござる……」
 メイド達に当たらせているのは、鉄帝スラムで起きている事件だろうか。
 それはそれとして、今回は元々棚上げとなっていた依頼解決。
 了承したイレギュラーズ達は老執事の用意した馬車に乗り、GG助五六と共に鉄帝へと出立していくのだった。

GMコメント

イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
関係者依頼ですが、どなたでもご参加いただけます。
筋肉爺様と老執事共に、
鉄帝某所の屋敷跡に留まる亡霊の討伐を願います。

●敵……魔物
○亡者……1体
 骸骨となり果てたこの館の住人です。
 両手に妖刀を握り、近づいてくる者に襲い掛かってきます。
 その右手にある刃が今回の依頼品『夕闇(ゆうやみ)』です。
 なお、左手には『朝陽(あさひ)』という別の業物も握っております。

・烈風連斬……(A)物近列・連・出血
・疾風空牙……(A)物遠貫・麻痺
・旋風刃……(A)神中範・苦鳴・致命
・呪いの刃……(A)神中単・呪い・呪殺
・アンデッド……(P)精神系BS無効

○妖刀……3体
 怪しく煌めく3本の刀です。
 至近~中距離から突き、斬り、なぎ払いを行います。
 まれに毒、痺れ、出血、不吉を及ぼします。

○武器……30本ほど
 入口付近で待ち構える弱い力を与えられて浮遊する武器の数々。
 ナイフ、両手剣、槍、斧など、刃がついた近接武器のみです。
 倒せば全て刃は欠けるか、折れてしまうようです。
 GG助五六さんと老執事が基本相手にしてくれますが、彼らにこの場を任せるか、数名を共に戦わせるか選択可能です。

●NPC……2名
 今回は入り口付近に浮かぶ刃物の相手をしてくれます。

○関係者、GG助五六
 今回の依頼者。エーラ・アルブム・ビィストール(p3p002585)さんが鉄帝で仕えていた館の主です。
 鍛え上げられた体の上から無骨な鎧を纏っており、老いてなお血気盛んな爺様です。
 身の丈2m程もある自らの愛刀『五六丸(ゴロマル)』を操り、対してきます。

・空牙一閃……(A)神中貫・出血
・轟烈斬……(A)物近列・飛
・剛腕爆雷断……(A)物至単・感電
・覇気……(A)神中範・ショック・乱れ
・高所暮らし……(P)窒息耐性

○従者
 老執事のみ同伴します。ライフル銃を使い、後方支援してきます。
 頬ずりしてしまうほど銃が大好きらしいです。

●状況
 鉄帝内のとある幽霊屋敷に住み着く亡霊討伐です。
 この幽霊屋敷は放棄されており、討伐依頼が出されることはありませんでしたが、GG助五六さんが亡霊の持つ妖刀を求め、今回の依頼をローレットへと頼んだ形です。
 屋敷は2階建ての洋館で、入ると同時に多数の刃が襲ってきます。
 2階奥の部屋に対象の刀を持つ亡者が3本の妖刀と共に待ち受けていますので、この討伐を願います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

それでは、よろしくお願いいたします。

  • 幽霊屋敷の亡者退治でござる完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月09日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
冷泉・紗夜(p3p007754)
剣閃連歌
綺羅々 殺(p3p007786)
あくきつね

リプレイ


 鉄帝某所へとやってきたローレットのイレギュラーズ達。
 行きの馬車の中、メンバー達は挨拶を交わす。
「BS二重呪殺連型の殺じゃ」
 九尾のレガシーゼロ、『九尾の狐』綺羅々 殺(p3p007786)がこの場のメンバーへと自己紹介する。
「GG助五六さんはお久しぶりです」
 水色の髪に猫耳の少年、『孤高装兵』ヨハン=レーム(p3p001117)は以前の依頼からかなり鍛えたと笑顔で胸を張っていた。
「うむ、よろしく頼むでござる」
 傍の老執事と共に、依頼者GG助五六は丁寧に頭を垂れる。
「ふむ、ご老人も相変わらずの様子だね」
 機械の四肢を持ち、金髪にゴーグルを装着した『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)もその再会を喜ぶ。
「ぶはははっ、この年の瀬に刀狩りたぁ、なかなかの趣味人っぷりだな。嫌いじゃねぇぜそういうの!」
 大柄な豚人間の旅人、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は高齢の依頼主が興じる趣味に対し、豪快に笑う。
「あのお爺ちゃん、まーた刀集めしてんのねぇ。相変わらずお好きですこと……」
 長い銀色の髪の持つ垂れ目が特徴的なゼファー(p3p007625)も依頼人と面識があり、微笑ましげに呟く。
「ふふっ、件の刀もひと目確認しておきたいね。……ああ、もちろん依頼は達成するけれど」
 ゼフィラも、曰くつきの物品収集を行っており、GG助五六の趣味に理解を示す。
「もう未来も心も、思いもない亡者が持つには過ぎたる刀ね」
 儚さを感じさせる和風少女『風韻流月』冷泉・紗夜(p3p007754)も、今回回収目的となる刀は願いを成す者の手へと渡り、受け継がれていくべきだと語る。
「本当の依頼は刀を持ち帰る事だが……、そこを気にして斬られても仕方がねえ」
 任侠の世界で生きてきた過去を持つ『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)も幽霊屋敷の亡者に着目し、その討伐に専念すべきだと意気込みを見せた。
「けっこう人的被害が出てるんだね……」
 鷹の飛行種、『猫さんと宝探し』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は老執事から改めて状況を聞き、肝試しにと屋敷に忍び込んだ子供達が遺体となった話に顔を顰める。
「未来ある子供だろうが、構わず殺すような亡者野郎はとっとと地獄に叩き落さねぇとな」
「刀をゲットするだけじゃなくて、後の被害をなくすためにもやっつけてしまわないとね!」
 これには真顔になるゴリョウに同意し、アクセルは亡者退治に強い意欲を見せる。
「……ってことで、今日もお仕事お仕事!」
 こうした依頼があるお陰で食い扶持に困らないと、ゼファーは正直な感想を口にしつつ、近づく鉄帝の街を見つめるのだった。


 それからしばらくして、ローレット一行は問題の幽霊屋敷の前まで移動する。
 メンバー達はここに到着するまでの間、打ち合わせの上で作戦を練っていた。
 扉を開き、真っ先に突入していったのは、アクセルとGG助五六、老執事の3人だ。
 屋敷内のロビーであちらこちら煌めく刃は魔物化したナイフ、両手剣、槍、斧など、刃がついた近接武器の数々。
 数々の刃が戦闘態勢に入る前に、アクセルは激しく瞬く神聖の光を発し、刃を纏めて撃ち落とそうとする。
 識別効果のある光は、味方には一切被害を及ぼすことはない。
「今のうちだよ!」
 アクセルの呼びかけを受けて2階へと素早く駆け上がるメンバー達を、宙に浮かぶ武器が追いかけようとするが。
「……参る!」
 全長2mもある愛刀『五六丸』を抜いたGG助五六。
 老いたとは思えぬ刃の一閃で浮かぶ刃を切り伏せんとする彼に続き、後方から老執事がライフルで追撃し、早くも2本を撃ち落としてしまう。
 思わず見とれかけてしまうが、ゼファーは躊躇して留まる方が却って彼らの負担が増えると思い至って。
「……ってことで、此処は任せましたっ!」
「そちらもよろしくお願いしますね。ご無事で!」
 可及的に速やかに移動するゼファーに続き、ヨハン、急いで階段を駆け上がっていく。
 討伐対処を倒せば、あの武器は止まるかもしれないし、応援に戻ることもできる。
 そう考えた義弘もまた、この場を3人に託して移動する。
「悪いがご老人、こちらはお任せするよ!」
 ゼフィラも同じく、上階を目指すのだが。
「ああ……後で1本ぐらい持ち帰れないかな」
 2階に着いてすぐ、一度多数の刃を振り返ったゼフィラは仲間を追いかけていくのだった。

 屋敷の2階、右奥の部屋。
 こちらの手前で布陣を整え、7人のイレギュラーズ達が突入する。
 真っ先に部屋へと飛び出したのはヨハンだ。
「……我が眠りを妨げるのは、何者ぞ」
 それは、骸骨となり果てたこの館の住人。
 亡者となった男は両手に刃を持ち、部屋へと突入してきたイレギュラーズ達を空虚な瞳で問いかける。
「『夕闇』の刃が映すは、新しい夜明け、次の持ち主の瞳……とね」
 紗夜は語り掛けつつ、亡者の右手に握られた緋色の刀を見つめて。
「死者の手にあれば、次へと託される想いも、物語も閉ざされた儘なのだから」
「死者……? 何を言っておる」
 亡者は紗夜の一言に対し、真顔で返答する。
 どうやら、相手は自らの死すらも自認できていない様子だ。
 敵は周囲に3振りの妖刀を浮かび上がらせ、イレギュラーズ達を威嚇する。
「人の血を啜って来たのかのぉ? 儂の黒綺羅星もまだまだ成長盛りじゃ」
 妖刀に心躍らせつつ、殺は直接言葉が通じることを確認して亡者に語り掛ける。
「主は何故ここにおる?」
「我が自らの屋敷にいて、何が悪い……?」
 彼は自らの屋敷に侵入した輩を討伐した、くらいの気持ちでしかないらしい。
 しかしながら、一行の認識としては目の前の相手はすでに一度命を落とした存在だ。
「儂がお主の言葉を物語として広めてやろう」
 ならばと、殺も自らの刃に手をかける。
「それまで斬り結ぼうぞ、死の先までな……!!」
「さぁ、行くぞ! 地の底へと追い返してやる!!」
 一通り問答し終え、ヨハンは大盾を構え、敵陣へと飛び出していくのである。


 1階ロビー。
 アクセルは2人の鉄騎の老人達と宙を舞う近接武器を相手取ることとなる。
 彼は片っ端から神聖なる光で、刃を叩き落とそうとする。
 識別は可能だが、発動するに当たって老人達の邪魔にならぬよう立ち回り、術を発動し続ける。
「はああっ!!」
「逃がしませんぞ」
 GG助五六も老執事も動きは決して素早いとは言えぬが、その短所を長い経験で培った技量でカバーし、無駄のない動きで飛び交う刃を一つずつ撃ち落とす。
 さすがに刃の数も多く、無傷と行かない。
 それでも、最小限の傷で立ち回る依頼人たちの姿に、アクセルは目を見張りながら激しい神気閃光で纏めて刃を発し、手早く浮かび上がる武器の無力化に当たるのである。

 2階右奥の部屋でも交戦が始まる。
 その主軸となるのはヨハンだ。
「この盾の意味を教えてあげましょう!」
 彼は改めて亡者の注意を引くべく前線で『ヴァンガード・ウォーシールド』を携え、統率の力で仲間達の指揮に当たる。
 まずは、ゴリョウが続き、最前線で亡者を挟み撃つ形で位置取り、反撃を狙いながら、仲間の回復に当たる構えだ。
「小癪な連中め……!」
 亡者は2本な刀を素早く回転させ、ヨハン、ゴリョウを含め、近づこうとするイレギュラーズを纏めて薙ぎ払おうとする。
 屋敷の一室ということもあり、メンバー達はほとんどが射程内。
 疾風の刃がイレギュラーズ達を襲い、苦しめてくる。
 しかしながら、メンバー達は毅然とした態度でこの場の敵対勢力の攻略を急ぐ。
「斬妖、斬鉄といきましょう。止まる刃にあらずと」
 紗夜もヨハンに続く形で至近距離にまで迫り、まずは周囲に浮かぶ3本の妖刀を見据える。
 速力を威力に変え、紗夜は緋願刀「龍鳴」を目の前の妖刀目がけて打ち込み、鮮烈なる一撃を見舞っていく。
 なお、多少の反撃は、ヨハンがカバーに当たってくれる。
「盾として身を削り、防ぎ、守ってくれるのであれば、剣で斬り伏せて応えるが剣士の務め」
 紗夜は一気呵成に攻め立て、全力で妖刀の排除に当たる構えだ。
「さて、悪いがまとめて痺れてもらうよ」
 ゼフィラは他メンバー程には近づかず、連なる雷撃によって妖刀を巻き込んで亡者を撃ち抜いていく。
 刀身に電撃を走らせる妖刀達は空中で苦しむように身を震わせながらも、刃で切りかかってくる。
 それらはほとんどがヨハン、ゴリョウの2人が受け止めてくれた。
 彼らはその身から血を流し、体を毒に侵されても、意に介することなく立ち塞がる。
 さらに、義弘、ゼファー、殺も敵へと近づいて。
「さすがに妖刀を放置はできねえな」
 義弘も亡者の刃の勢いを気にはかけるが、空中を飛び回って鋭い一撃を与え、かつ様々な状態異常を及ぼしてくる妖刀を後回しにはできないと判断する。
 敵の攻撃回数を減らす意味もあり、義弘も亡者、妖刀を巻き込むように位置取り、自らの両腕を回転させる。
 任侠の世界で生きてきた義弘にとって、鍛え上げた腕力こそが武器。
 それを回転させることで小さな暴風を巻き起こした彼は、敵を纏めて圧し折る勢いで攻撃を叩き込む。
「アレもそこそこ金目のモノな予感ですけど!」
 ゼファーは亡者の持つ2振りの刀に高値が付きそうなことは疑わないが、周囲に浮かぶ妖刀もまたなかなかの値になるのではと感じて。
 とはいえ、メインは亡者の持つ2振りだけなので、妖刀には両手に持つ槍「run like a fool」でゼファーは容赦なく攻め入る。
「相手は兎に角、技が多彩で厄介みたいですし」
 近づいて戦う以上、相手の技が気にかかるが、様々な状態異常をもたらしてくるのが厄介なところ。
 そして、いくらヨハン、ゴリョウがカバーに当たってくれるとはいえ、烈風を伴った連続切りは近場を纏めて襲ってくる上、威力を伴う為注意したい技だ。
 攻撃を受けるのは仕方ないこと。だが、仲間を巻き込まないようにとゼファーが考えながら戦場を動き回る。
「手加減はしませんけど、お目当ての品をぶっ壊しちゃ元も粉もないですからね」
 妖刀が刃を突いてくるタイミング、ゼファーは自らの膂力でカウンターを叩き込み、妖刀に強い衝撃を与えて動きを止めようとしていた。
 重傷を負った状態でこの戦いに臨む殺もまた、ゴリョウの近くへと位置取って。
「ヨハン、お主の様な可愛い女子に守られるなど儂の威厳に関わる……んん?」
 若干、可愛らしいヨハンの外見もあり、男性かどうかと迷った殺だが、それはさておき。
 まずは亡者の動きを止めようと、殺は刀「黒綺羅星」へと怨嗟の魂を憑依させて切りかかる。
「ぐ……」
 亡者が僅かに硬直したことで、殺も狙いを妖刀へと移して。
「……て言うか、刀欲しいのぅ」
 折角だから、妖刀に語り掛けてみようと、殺は試みるのである。

 一方、ロビーでは、アクセルが魔物となった刃を光で灼き、次々に地面へと落とす。
 老執事がライフルで刃に弾丸を撃ち込んで破壊し、ここぞと筋肉を見せつけるGG助五六も雷を纏わせた刃を叩き込んで武器を砕く。
 思った以上に早くそれらの討伐終え、アクセルは小さく息をついて。
「お疲れ様! 傷は大丈夫?」
 彼は床に腰を下ろす2人へと神聖の光を振りまき、癒しに当たる。
 成人済みのアクセルだが、その様子はさながらお爺ちゃんの面倒を見る孫を感じさせるのだった。


 2階右奥の部屋での交戦も、少しずつ状況が進む。
「カバーに当たります! 回復は声がけ願います!」
「ぶははっ、片っ端から癒してやるぜ! 喝ッ!」
 ヨハンが声をかけながら敵の攻撃を抑え、ゴリョウが仲間達に生じる恐怖の感情を打ち払っていく。これが今回の要だ。
 その間に、攻撃に集中するメンバーが妖刀を始末していく。
 絶えず動き続け、ステップを刻む紗夜。
 再度、音速の殺術を繰り出した彼女は、妖刀1体の刀身を破壊してしまう。
 その間、後方のゼフィラ目がけて妖刀が飛ぶ。
 後方から狙撃していた彼女の胸部を刃が貫き、さらに亡者が疾風を走らせてゼフィラを追撃する。
 血を垂らしつつパンドラを砕き、ゼフィラはさらに雷を蛇の如く撃ち放つ。
「成れの果ての割には随分と芸達者ですこと」
 ゼファーは感心しながらも、しっかりとカウンターを叩き込んでいく。
 そこで、再度、暴風域を巻き起こしていた義弘が纏めて敵を捉えて同じく妖刀を根元から圧し折ってしまった。
 もう1体は殺が切りかかりながら、語り掛けていて。
「ほぅ! これは綺麗な血じゃの、もっと散るところを見せよ!!」
 思いっきり切れば、少しは鎮まるのではないか。
 殺は尻尾を使った回転斬りで奇襲しつつ、さらに語り掛ける。
「儂と共に旅をしたい魂は共に来い、道中の恨み話なら得意じゃぞ」
 言葉と共に、殺は呪いの妖気纏わせた一撃を叩き込んだ妖刀を倒してしまうが、その魂だけはしっかりと自身で導いていたようだ。

 そこで、階下の武器全てを倒したアクセルが合流する。
 彼は素早く状況を把握し、位置取りを行う。
 残る亡者に対し、ほとんどのメンバーが至近から攻撃を繰り返す中、距離を取ってマギシュートを発射する。
 さすがに屋敷の室内とあって、距離を保つのは難しいが、それでも入り口付近に陣取ってアクセルは攻撃を繰り返す。
 骸骨の見た目に反し、この場に強い思い入れを抱いているのか、亡者はイレギュラーズから幾度も攻撃を受けてなお倒れる様子はない。
「もう一息! 頑張りましょう!」
 ヨハンはここにきて仲間を鼓舞し、士気を高める。
 支援を受けた義弘は仲間達の状況を確認しつつ、亡者目がけて髑髏の呪いを叩き込んでいく。
 殺もまた全力で切りかかり、傷を増やす。
 だが、敵の両手の刃はこちらの攻撃を切り払い、防御の役割も果たしてなかなか効果的なダメージを与えられない。
 亡者も様々な技を披露し、侵入者の排除をと赤と青の刃を振るい、メンバー達を切りかかり続ける。
「ぶはははッ! いい加減成仏しとけや、死にぞこない!」
 そんな相手にゴリョウは爆笑しながら、仲間が万全に戦えるよう回復支援に当たり続ける。
 ゴリョウの調和の力は、仲間達の戦線をしっかりと支えていく。
「我は、倒れぬ……!」
 自らの持てる技を尽くしなお、倒れぬイレギュラーズ達。
「もう少し堪えて、私が支えるよ」
 ゼフィラも想定を超える敵の鋭い刃を体感し、亡者の及ぼす呪いを自らの号令で振り払う。
 その上で、彼女は折を見て亡者へと悪意を放ち、亡者を追い詰めていく。
 儀礼剣「ジ・エンド」に殺が武器を持ち換え、亡者に呪いを纏わせた一撃を刻むと、呪いに侵された敵を紗夜が見据えて。
「疾風の名は、亡者の剣の冴えにもでしょうけれど……生憎、譲る気はないの」
 刃を疾風の如く駆け抜ける敵の2本の刀。
 ――越え、そして、斬る為に
 紗夜はそれよりも速く、緋願刀「龍鳴」で亡者の身体を切り裂いてみせる。
「ぐ、うう……!」
 亡者を崩し、乱し、動きを止めた紗夜の一太刀。
 そこで、とどめにとゼファーが連続した突きを亡者へと見舞う。
「腕が立つのは結構ですけれど、死んでなお迷惑バラ撒くのは感心しませんわ?」
 1撃目は敵の骨を砕き、そして、2撃目で心を砕く。
「お、のれ、口惜し、や……」
 槍の連撃によって、完全に力を失った亡者は姿を崩してしまう。
 程なく、灰のようになってしまったその体の上には、2振りの刀が転がっていたのだった。


 亡者となり果てたこの屋敷の住人を討伐したイレギュラーズ一行。
「爺さん達は大丈夫かね」
 アクセルがこちらにやってきている以上、無事だとは確信していたが、義弘は依頼主であるGG助五六達を気に掛ける。
 ロビーへと戻ってみれば、そこではどこかからか椅子を持ってきてのんびりと舞っていたご老体2人の姿が。
「もう終わったでござるか」
「さすが、ローレットの皆様でございますな」
 事も無げに告げる2人の姿に、彼らは亡者達も倒せたのではと感じさせてしまうのである。

 その後、事後処理を始めるメンバー達。
 ゴリョウは屋敷の入り口で両手を合わせ、この場で亡くなった子供達の冥福を祈る。
 そして、回収した刀「夕闇」を義弘は依頼人へと差し出して。
(使う事はあっても、保管は専門外だったしな、昔から)
 そう考えた彼は直接本人へと納品して、依頼を完了した形だ。
 さらに、ゼファーももう1本、「朝陽」は老執事へと差し出す。
 ロビーに浮いていた武器は並の武器で全て破壊されてしまったこともあり、報酬弾んでもらえたら、めっけもんと考えていた彼女だったが。
「業物っていうくらいだから、お金になりそうだと思ったんだけどな」
 残念ながら、そこまでの大盤振る舞いは出来ぬ状況とGG助五六は嘆く。
 元々、生活を切り詰めていた話もあったご老人達ではあったのだが。
「生憎と、現状鉄帝のスラム関連の解決に部下を向かわせておるのでござる」
 ここから、彼らはスラム……モリブデンで起きている事件の解決に当たる必要があると嘆く。
「すまぬが、そちらにも力を貸していただけると助かるでござる」
 改めて彼らの言葉を受け、イレギュラーズ達はそちらの依頼も確認してみようと、考えるのだった。

成否

成功

MVP

ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは前線で盾となり、仲間を統率していたあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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