PandoraPartyProject

シナリオ詳細

エメラルド・ドミネート・ワスプ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●エメラルド色に輝く巨大狩蜂
 深緑の迷宮森林には、巨大な霊樹がいくつも存在している。幻想種達は、霊樹そのものや霊樹の周辺に集落を作って生活していると言う。
 その集落の一つ、クシャージィの村を、隣村に住む幻想種の青年が訪れた。
「……あれ? こんにちは、誰かいませんか?」
 だが、村に人の姿はない。時間は昼頃、村人が普通に活動しているはずの時間である。
 青年は訝しみながらも、キョロキョロと人影を探して回る。その最中にある家のドアが開き、中から壮年の男が出てきた。
「ああ、よかった……って、い、一体何を!?」
 顔見知りが出てきたことに安心するもつかの間、壮年の男は感情を失ったかのような無表情で、手に持ったダガーを振るい青年に襲いかかった。
 後方に跳びすさり、辛うじてダガーを回避する青年。その視界に、エメラルド色に輝く一匹の巨大な蜂が入ってきた。
(何だ、あれは――!?)
 蜂の正体について青年が考えていられたのは、一瞬だった。次の瞬間には急速に迫ってくる蜂に本能的な恐怖を感じ、全力で逃げ始めた。

●巨大狩蜂に支配される獲物
「――急ぎ、深緑で巨大狩蜂を退治してくれる人はいませんか!?」
 『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)が、目の前に集まったイレギュラーズ達に訴えた。普段はだらだらとしているこの男には珍しく、その口調は切羽詰まっている。
「深緑の集落、クシャージィ村にエメラルド・ドミネート・ワスプが出現したという情報がありました。合わせて、この討伐依頼がローレットに来ています」
 エメラルド・ドミネート・ワスプは、全長数メートルに及ぶ狩蜂である。この蜂は大型の野生動物を襲って卵を産み付け、幼虫の餌とする習性がある。
 特に特徴的であるのは、「ドミネート」の名が示すとおり、獲物を支配することだ。獲物とされた動物は、卵を産み付けた成虫の、あるいは卵から孵った幼虫の意のままにコントロールされてしまう。卵や幼虫にとって危険が迫れば、獲物に排除させるか、そうでなければ獲物を逃走させて安全を確保すると言う。
 その狩蜂がクシャージィ村に現われ、村人たる幻想種達を獲物にしてしまった。それを知った近隣の集落から、放っておけば自分達が次の獲物になりかねないので、討伐の依頼が出されたと言うわけである。
「問題は、おそらくエメラルド・ドミネート・ワスプだけではなく支配された村人達とも戦わなければならない点です。厄介ではありますが――どうか、よろしくお願いします」
 苦い表情をしながら、勘蔵はイレギュラーズ達に、深々と頭を下げた。

GMコメント

●成功条件
 エメラルド・ドミネート・ワスプの殺害
 ※クシャージィ村村人の生死は不問

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●エメラルド・ドミネート・ワスプ ✕1
 今回の討伐目標です。全長4メートルの巨大な狩蜂です。
 生殖の際に幼虫の餌とするべく大型の野生動物を襲って卵を産み付けますが、今回はクシャージィ村の村人達が獲物にされてしまいました。
 卵を産み付けた獲物を支配し、卵や幼虫に危険が迫ると獲物の能力で対処させる性質があります。
 能力としては回避、反応が特に高く、外骨格も金属並に硬いため防御技術も高くなっています。EXAもそこそこ高いです。
 特殊抵抗はそれほどでもありませんが、【封印】はかなり効きにくく、抵抗に高い補正が入ります。また【怒り】に関しては、【怒り】を与えた対象に後述する【支配】が入ると、【怒り】が解除されます。

・攻撃手段
 顎(通常攻撃) 物至単
 麻痺針(アクティブスキル) 物至単 【災厄】【麻痺】
 産卵(アクティブスキル) 物至単 【災厄】【支配】

・BS【支配】
 今回のシナリオ限定のBSです。
 エメラルド・ドミネート・ワスプに卵を産み付けられて支配された状態を表します。
 このBSを受けた者は、エメラルド・ドミネート・ワスプの意のままに行動させられてしまいます。また、このBSの効果中はBS【混乱】【狂気】【魅了】【怒り】は無効となります。
 このBSはターン経過では解除されません。このBSを解除するには、1ターンを費やして物理的に卵を除去するか、BS回復スキルを使う必要があります(BS回復スキルでも、ポロッと落ちる感じで卵は除去されます)。

・基本戦術
 空中からのヒットアンドアウェイを狙ってきます。
 イレギュラーズ達を敵と同時に幼虫の獲物としても認識しているため、まず麻痺針での【麻痺】を狙います。
 【麻痺】が通れば、産卵で卵を産み付けると同時に【支配】します。【支配】が通れば、対象の【麻痺】は解除されます。
 産卵は対象の【麻痺】が前提であるため、【麻痺】していない対象には産卵することはありません。

●クシャージィ村の村人 ✕?
 クシャージィ村の村人達です。エメラルド・ドミネート・ワスプに卵を産み付けられ【支配】されてしまいました。
 クシャージィ村の人口は50人程ですが、何名が卵を産み付けられ、何名が戦闘に参加してくるかは不明です。
 【支配】されているため、BS【混乱】【狂気】【魅了】【怒り】は無効です。
 基本的に能力は高くありませんが、武器や所有するスキルは使ってきます。

 戦闘不能に陥らせた場合、その攻撃が【不殺】であるか、後述する手加減でない限り、高い確率で死亡します。

・手加減
 このシナリオにおいては、対象を死なせないように手加減しての攻撃が出来ます。
 ただし、加減を見極める必要があるため、命中と威力が半減します。

●クシャージィ村
 森の中の開けた場所に建てられた村です。
 村の中央に開けた広場があり、それを中心に一戸建ての家が何軒も建てられています。
 空中にもけっこうなスペースが広がっているため、空中戦闘には影響がないものとします。

・空中戦闘について
 空中でエメラルド・ドミネート・ワスプと戦闘を行う場合には、「飛行」スキルが必要となります。
 ジェットパックや媒体飛行で空中戦闘を行おうとした場合、精度の問題から判定に大幅なペナルティーが入ります。ご注意下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • エメラルド・ドミネート・ワスプ完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月30日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女

リプレイ

●エメラルド・ドミネート・ワスプの脅威~エロが如何とかは関係ない、はず~
「え、それなんてエロマンガですっ? そんなスケベな蜂がっ? 幻想の森にっ? ……なるほど、これは全年齢的に速やかな対処が必要ですねっ!」
 エメラルド・ドミネート・ワスプのことを知って、『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)が放った第一声がこれであった。エメラルド・ドミネート・ワスプがもし人語を解したならば、おそらく――エロマンガやらスケベやらと言った部分は猛烈に否定したであろう。
「全年齢的――と言うのはよくわかりませんが、速やかに倒す必要があるのは同感です。一刻も早く、エメラルド色の蜂が築き上げた牙城を崩しましょう!」
 ヨハナの言葉に部分的に首を捻りながらも、『また薄い本が出た』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は同意する。如何にエメラルド・ドミネート・ワスプが生存に必死であろうとも、だからと言ってクシャージィ村の村人を見捨てるわけには行かない。
(エメラルド・ドミネート・ワスプ……聞いたことくらいはあるわ。私の同胞を襲うなんて、ひどいことするじゃない。調和を乱した蜂は駆除しないとね! 蜂には悪いけど、私達も仲間を苗床にされるのを黙って見ているわけにはいかないの……!)
 これは幻想種とエメラルド・ドミネート・ワスプとの生存競争と認識しているのは、『かつての隠者』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)。当然、負けるわけには行かないと闘志を見せる。
(支配して操る……生きるためなんだろうけど恐ろしさしか感じないよ……必ず倒してみせる!)
 『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)も、この依頼をローレットで最後の仕事と決めていることもあって、絶対に完遂すると意気込んでいた。
「寄生させた生物を操って、っていう話はそれなりに聞いた事あったけども……まぁ、人の意志を支配するっていうのは聞き捨てならないよな。俺に会ったが不運と思ってもらって、いざ駆除と行こうか」
 独り言ちるように、『死神二振』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)が呟く。エメラルド・ドミネート・ワスプに悪意があろうと無かろうと、それが引き起こしている事態は放置することは出来ない。
 かくして、イレギュラーズ達はクシャージィ村へと向かっていった。

●ファミリアーによる偵察
(生きたまま幼虫の養分になるなんて恐ろしいけれど、まだあの人達も助けられる可能性があるって所は救いがあるね)
 クシャージィ村に着いて早々、『未知の語り部』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)はヨハナと共にファミリアーを放って偵察を行った。外には全く人影はなく、家々の扉は閉ざされている。窓から中を覗き込ませると、うなじに野球ボールくらいの大きさの卵を産み付けられた幻想種達が、椅子やベッド、あるいは床に、力なく座り込んでいるのが見えた。
(――ここであの蜂を確実に仕留めて、同胞達を一人でも多く救えるよう頑張ろう)
 エメラルド・ドミネート・ワスプに支配された同胞達の姿を実際に目の当たりにして、ウィリアムは彼らを救うべく改めて気合いを入れた。
(んんっ? 支配されていない人はいないのですっ……!?)
 ヨハナは支配されていない村人を探してハイテレパスで交信するつもりであったが、ファミリアーで探せる範囲では支配を逃れている村人は発見出来なかった。
「――状況は、如何ですか?」
 『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が、ウィリアムとヨハナに、偵察の結果を尋ねる。二人の答え次第では、今すぐにでも斬り込まねばならなかったからだ。だが、まだ卵が孵っている様子は見られないと聞いて、ドラマは夜まで待つ余裕はあると判断した。
「そうですか。では、夜まで待ちましょう……その時には、同胞に害する害虫を、徹底的に潰して差し上げましょう」
 基本的に、寄生蜂や狩蜂の獲物は、幼虫が孵化して早々には殺されない。幼虫にしてみれば蛹になるまでの間、その獲物で食べていかねばならないのだ。それに加えて、獲物の能力で危険に対処させるこの虫においては、獲物を殺してしまうことは危険に対処する手段を失うことになる。昔読んだ本の記述と自身の推測からドラマは方針を決めて、ゾッとするような静かな声で他のイレギュラーズに告げた。同胞たる幻想種を獲物とされて、ドラマは生物学的な興味を惹かれる一方で静かに怒りを湛えていたのだ。

●地に墜とされた蜂
 夜、ドラマが用意した夜目の利きやすくなる目薬『ナイトゲイザー』を点したイレギュラーズ達は、クシャージィ村に入り村人の救出を試みる。夜目が利かないであろう蜂や村人の隙を衝いて、状況を有利に運ぶ狙いだ。
「――そう簡単には、やらせてもらえませんか」
 ウィリアムやドラマが手近な家に入り込んで、何人かの村人に産み付けられた卵を除去したところで、元々暗視が可能であるシフォリィが空を見上げて呟いた。エメラルド・ドミネート・ワスプが現われたのである。さらに、「敵」を排除するべく、家々から幻想種達が現われた。その数、三十近く。
(迷宮森林には、こんな魔物のような生物が居るのですね。人里を襲うとは……深緑には深緑なりの悩みもあるという事ですか)
 エメラルド・ドミネート・ワスプの姿に、『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)はそんなことを考えつつ、紅の両眼に戦意を宿す。
「――あなたの次の獲物はここに居ますよ。さあ、来てみなさい!」
 リースリットはエメラルド・ドミネート・ワスプとの距離を詰めると、魔眼の力を用いて『魔晶剣・緋炎』を焔の魔法剣と化して振るう。紅焔は金属のように固いはずの外骨格を易々と斬り裂き、エメラルド・ドミネート・ワスプを炎で包む。
 いきなりの直撃に、エメラルド・ドミネート・ワスプはリースリットにその複眼を向け、反撃に出る。だが、エメラルド・ドミネート・ワスプはリースリットに取り付くことさえ出来ず、獲物を麻痺させる針は空を突いた。
「素早くて更に硬くても! この剣戟と爆炎からは逃れられないと知るんだな!!」
 リースリットに続くべく、クロバが仕掛けた。ただ速やかに斬り捨てる――その一念に専心したクロバの武器が、無我の境地を示すかのような眩いばかりの純白の炎に包まれる。クロスエッジ・フルバースト三連撃からのディバイン・ディバイド、そして追撃のフォウスタート・ソウルイーター。しかも、その全てが直撃である。
 まず、白い斬撃と爆炎の乱舞が、エメラルド・ドミネート・ワスプの羽根を跡形もなく焼き尽くした。さらに、地に墜ちたエメラルド・ドミネート・ワスプの腹部を光の斬撃で一閃して斬り裂く。そしてソウルイーターで外骨^を斬り刻み、生命力と魂を奪っていく。
「アタシはこっちだ!  こっちにこい! ――痛いけれど、我慢してねっ!」
 同時に、村人達が密集する中へとミルヴィが駆け込んでいく。ミルヴィは疾走の勢いを利用して倒立すると両足を大きく開き、、地面に突き立てた腕を中心にして回転蹴りを放った。旋風と化した脚に蹴り倒されて、瞬く間に十一人の幻想種がバタバタと昏倒する。彼らのうなじに産み付けられていた卵は、ポロリ、と力なく外れて落ちた。
「畳みかけるよ……!」
 ウィリアムはゲイザー・メテオライトで、エメラルド・ドミネート・ワスプを射る。羽根を喪い飛べなくなったエメラルド・ドミネート・ワスプの動きは鈍く、放たれた矢は外骨格を斬り裂かれて出来た傷に、深々と突き刺さった。
「――!!」
 積み重なったダメージによる苦しみにか、ジタバタと暴れてガチガチと顎を噛み鳴らすエメラルド・ドミネート・ワスプ。だが、その受難はまだ終わらない。
「あなたかーっ! あなたがエメラルド・エロゲー・ワスプですかーっ! ニッチなエロゲに出て来そうな都合のいい設定も今日でおしまいですよーっ!」
 エメラルド・ドミネート・ワスプがもし人語を解したならば、ブチ切れてヨハナを攻撃したことであろう。ここまでとは違った意味で、エメラルド・ドミネート・ワスプにとっては受難であった。もっとも、ヨハナはリースリットを庇いに入ったので、この時点でエメラルド・ドミネート・ワスプは人語を解していなくてもヨハナを攻撃することになるのだった。
「どうですっ、皆さん蜂さん見えますかっ! 溢れてはち切れんばかりのヨハナの気迫っ! 今のヨハナをエロ同人みたいな目に遭わせることができるならやってみなさいっ!」
 その気迫は、災厄に苛まれた上でなお状態異常に耐えうる程であった。
「かつて混沌に存在せし猛き暴威よ、その一端を知らしめよ――」
 ドラマは、突出した形になっているミルヴィが孤立しないように村人達の前に出つつ、威力を抑えて手加減した嵐の王を放つ。四人が吹き飛ばされ、地に伏した。
「行くわよ……少しだけ、眠っててね」
 アルメリアもドラマに合わせるように前に出て、ドラマやミルヴィを包囲するかのような動きを見せた村人をマーシーポールによる魔法陣から突き出た魔力の棒で殴りつけ、二人を昏倒させた。
 エメラルド・ドミネート・ワスプの受けているダメージの深さに、シフォリィは決着が近いと判断。不知火を真っ直ぐに突き出してC・フィエルテを放つ。その太刀筋に注意を奪われたエメラルド・ドミネート・ワスプは、隙を晒してしまった。

●最後の足掻き
 だが、エメラルド・ドミネート・ワスプも必死である。傷口から体液を垂れ流し、身体の半ばを焼かれながらも、リースリット目掛けて卵を産み付けようとする。しかしながら、その攻撃は身を盾にして庇うヨハナに命中することになる。
「来ますかっ! わからせ返してやりま……グワーッ! イタイモノハイタイーッ!」
 最期の死力を振り絞っている故か、エメラルド・ドミネート・ワスプはヨハナを何度も針でグサグサと突き刺していく。度重なる攻撃を受けながらも麻痺に耐えるヨハナだったが、不運にもそのうちの一撃が、ヨハナの脊髄を直撃した。
「ああっ! ……身体が、痺れ、て……ますっ! これ、から……ヨハナは……ニッチな、エロ同人みたいな、目に……遭わされて、しまうのですね……っ!」
 麻痺に陥るヨハナであったが、エメラルド・ドミネート・ワスプの攻勢はそこで限界であった。なお、卵を産み付けられずに済んだとわかった時のヨハナの表情は、安堵と期待外れが半々で入り交じっているように見えた。
 ミルヴィは、エメラルド・ドミネート・ワスプへの止めを他に任せると、再び村人が密集している場所に飛び込んでメディ・ルアーを放つ。今度は、九人が回転蹴りの餌食となって次々と倒れていった。
 さらにドラマが嵐の王で、アルメリアがマーシーポールで村人を倒していったため、支配されてイレギュラーズ達に立ち向かってくる幻想種はこれで全員倒された。
「――これで、終わらせます」
 アーリーデイズで自身の能力を高めたリースリットが、身を灼く痛みを歯を食いしばり堪えつつ、レヴァティアの刻印の力を引き出して『魔晶剣・緋炎』に纏わせる。そしてリースリットが緋き焔に包まれた剣を大上段に振り下ろすと、エメラルド・ドミネート・ワスプの頭部が真っ二つに断ち割られた。
「――ふ、う」
 明らかな致命傷を与えて、エメラルド・ドミネート・ワスプが再び動かなくなっているところまで確認すると、緊張から解き放たれたのかリースリットは大きく息を吐いた。

●戦闘後の後始末
 エメラルド・ドミネート・ワスプが倒された時点で依頼達成ではあるが、イレギュラーズ達はクシャージィ村の村人達をそのままにしておくことは出来なかった。手分けして、他に卵を産み付けられた者はいないか。あるいは、村の外に逃げだした者はいないか捜索に当たっていく。
「家に隠れていたのは、これで全員ですね」
「聞いていたより、少ないな……後は、村の外まで探すしかない、か」
「ウィリアム達が見つけてくれてると、いいのですが」
 シフォリィとクロバは、家々を捜索して、隠れるかのようにして意識を失っている幻想種十名ほどを発見した。五十名ほどと聞かされていたが、戦闘時に倒れた者と合わせても十名ほど足りない。残りは、村の外まで捜索に出ているメンバーに任せることにした。

「見つけましたーっ! リースリットさん、捕まえて下さい!」
「わかりました!」
 村の周辺。ヨハナがファミリアーで逃げていく幻想種を発見し、リースリットに捕えるよう指示する。リースリットは自分達から逃れようとする幻想種の女性を、タックルで抑え込んだ。
「もう逃げている人はいないようですが……」
 ウィリアムは、ヨハナと同じくファミリアーを用いて逃げる幻想種がいないか捜索しつつ、アウェイニングで幻想種から身体を支配している幼虫を除去し、ライフアクセラレーションで幼虫に着けられた傷を癒やしていく。幸い、幼虫は孵化したばかりであり、幻想種達は重篤な傷は負わされていなかった。

「この人は、応急処置で大丈夫そうだね。この人には、メガ・ヒールをお願い」
 ミルヴィは、戦闘に参加して倒れた幻想種達の、傷の具合を次々と確認していく。その中で、命に別状はないもののダメージが大きいと判断された者については、ドラマやアルメリアにメガ・ヒールでの治療を頼んでいった。
「……本当に、よかったです」
 ドラマは、同胞から死者が出なかったことに胸を撫で下ろしながら、卵や幼虫が残っていないことを念入りに確認して次々と幻想種達にメガ・ヒールを使っていく。
「うっ……これ、孵ってる!? うえぇぇ……ええい、これも依頼よ!」
 アルメリアもドラマと同様にしていたが、その最中にうなじに傷を付けて体内に潜り込もうとしている幼虫を見つけてしまった。気持ち悪そうに呻きながら、アルメリアは幼虫を除去して、傷口にメガ・ヒールを施していくのであった。

 その後、回復した村人達によって、村人全員の無事が確認される。イレギュラーズ達はそれを確認すると、クシャージィ村を後にした。
(――さようなら、ありがとう。ローレット)
 「最後の依頼」を無事に完遂したミルヴィは、ローレットへの別れを胸の中で告げつつ、これからの旅に思いを馳せるのだった。

成否

成功

MVP

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者

状態異常

ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)[重傷]
自称未来人

あとがき

シナリオへのご参加、どうもありがとうございました。
クシャージィ村の人々は、皆様の手によって見事に救われました。
同時に、イレギュラーズを【支配】してパーティーアタックをさせたいと言う私の邪な野望も、見事に打ち砕かれてしまいました(苦笑)

MVPについては、戦闘開始早々にエメラルド・ドミネート・ワスプから羽根を奪った上に大ダメージを与え、早期決着に大きく貢献したクロバさんにお送り致します。
EXA判定が連続で成功したのもありましたが、CT型の【連】【恍惚】が恐ろしく見事にハマった結果と言えるでしょう。

それでは、お疲れ様でした。
よいお年を、お過ごし下さいませ。

PAGETOPPAGEBOTTOM