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シナリオ詳細

<学園PPP>幻のパン戦争

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●パンはパンでも
 ――私立PPP学園。
 それは、とある世界にある超マンモス校。
 その学園では、毎日昼休みに戦争が起こっている――。

(スニーカーの紐、オッケー。シミュレーション、オッケー。よし、今日こそ……今日こそ俺は食パンをゲットしてみせる!)
 2年P組出席番号4番、柔道部所属、御徒町鉄郎。
 彼は教室の前方中央の時計を、瞬きひとつせず凝視する――時計の針が全て上を向くまであと5秒、4、3、2、1……。
 そして鳴り出す授業終了終わりの音に――。

「オラアアアアアアアアアアアアア」
「邪魔だゴルァアアアア」
「どくのですボクがメロンパンを食べるのです!!!」

 一斉に生徒が教室を飛び出す。
 落とし穴を飛び越え、バールで邪魔者をないないし、番長を躱し――そうして勝者が辿り着いたのは校舎一階の端の部屋。広がるカウンター前に並んでいる目当ての品を握り、お金と共にそこの主に差し出せば――。

「あいよ、メロンパン100円ね!」

 勝利の味を、堪能できるのだ。

●食べられるパンです
「幻のパン、食べたくない?」
 チョココロネの先(細い方)をちぎり反対の穴からチョコを掬い口に頬張った案内人のシーニィが告げれば、丁度昼時だとイレギュラーズも唾を飲む。
「PPP学園って所の購買には、それは素晴らしいパンが並ぶそうなんだけど――それを手に入れるのは、もう毎日が戦争らしいの」
 戦争になる程のパンとは、さぞや美味なのだろう――はたまた、そこかで聞いたことがあるような学園名に心が惹かれたか。
 いずれにしても挙手をしたイレギュラーズを境界の向こうへとシーニィが誘いながら――あぁそうだ、と付け加える。
「矢が飛んできたり怖い顔の教師が襲ってきたり最強の番長がいたりするから、気を付けてね」

 どんな学園だ、そう抗議をする暇もなく――気付けばあなたは、PPP学園に入学していた。

NMコメント

 米粉パンが好きな飯酒盃おさけです。

・目標
 購買でパンを買う

・舞台
 PPP学園。
 なんでもない日にどこかで見たかもしれないあの学園によく似た、そんな普通のマンモス校。

・お品書き
 食パン:シンプルな美味。食べると曲がり角で運命の出会いが!?
 焼きそばパン:マジヤバくてパネェグッドなソースが使われている。食べると黒ギャル(男)になる。
 チョココロネ:ツインテールの生えた美少女型。食べるとお嬢様言葉になる。
 メロンパン:ふっかふか。食べるとどこかとは言わないがサイズがメロン大になる。
 パンツパン:食用パンツで包まれたパン。食べるとパンツへの造詣が深まる。

・障害
 大量の生徒たち:物理的に邪魔。数が多いだけなので簡単に蹴散らせるが、時々強力な必殺技を使ってくる生徒も……?
 落とし穴・飛び出る矢・その他罠:たくさん。
 鬼ケ原先生:パンチパーマで竹刀を持った赤ジャージの生徒指導担当。顔が怖い。
 PPP学園定時制最強の番長:百発殴っても倒れない。
 びしょうじょ:血染めのバールを持っている。誰かに似ているけれど気のせいです。

・プレイングの書き方
 転入生としてPPP学園に入学したあなたは、授業終了のチャイムと共に戦争に繰り出すことになります。
 教室のある二階端から購買のある一階反対端まで駆け抜け、購買でパンを買いましょう。
 何故かこの世界に来たあなたは制服に着替えているし、そのポケットにはお金が入っているのでお金の心配はありません。

 あなたの座席は教室の最後列廊下側、ベストポジションです。
 ただしチャイムの前に教室外に出ようとすると、扉・窓から高圧電流が流れ危険です。フライングは厳禁!

 学園での設定
 狙うパン
 こんな罠・こんな相手にはこう対処する(全部に対処すると大変です、いくつかに絞るのがおすすめ)
 食べた感想

 上記を軸に、自由にやりたいことを書いてみてください。
 部活動や委員会に入っている人は、その部活で培った必殺技が出せるかも――?

・サンプルプレイング
俺は柔道部、受け身で鍛えたEXFには自信があるんだ。
食パンを手に入れて、曲がり角で黒髪三つ編み眼鏡図書委員の子と運命の出会いを果たしてみせる!
大量の生徒の中をかき分け走っていくと、きっと天敵の剣道部がいるな。アイツの「血と汗と涙の結晶スメルボンバー」で投げられた面を喰らっても――「先輩に投げられマクリステック受け身」でいなしてみせる!

 それでは、楽しい学園生活を!
 よろしくお願い致します。

  • <学園PPP>幻のパン戦争完了
  • NM名飯酒盃おさけ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月30日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!

リプレイ

●決戦は昼休み
 私立PPP学園の四時間目、その空気は異様である。
肩を回し首を捻り準備運動に励む者、愛用の武器を舐め上げる者、目を閉じ静かに道筋を思い返す者。
 彼らはこれから始まる戦いに挑む生徒達。
 そして今日、そこに四人の転入生が参戦するーー!

●庭球部の花
『Righteous Blade』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は、廊下を駆ける。
「チョココロネは誰にも渡さないわ!! 絶対に手に入れて、静かな庭園で優雅な昼食タイムを過ごすんだから!」
 高速ラリーで鍛えた動体視力で飛んでくる矢を上半身を捻り躱せば、銀糸を掠めたその矢は隣の男子生徒に直撃し――。
「アルテミアさん石鹸のいい匂いでぐわー!」

「よう、アルテミア」
 曲がり角で待ち受けていたのは、バットを肩に担ぐ一人の坊主頭の男。
「お前、今日こそ俺の女になれ! 俺がお前をコーシエンに連れていくんだ!」
「貴方とは今日登校中初めて会ったのよね!?」
 アルテミアの正論に、肩をすくめる野球部員。
「水臭いことを言うな……えぇい、受けてみろ俺の『地獄の業火マシンガン千本ノック』!」
 野球部員は担いでいたバットを構えると、ポケットから取り出したボールを軽く投げフルスイング。たちまち分裂して千の火の玉と化したそれに、アルテミアは深い青色のテニスラケットを取り出す。
「負けないわ!『千道万華のクイックカウンターショット』!」
 青き炎を纏ったラケットで、数多の火の玉を軽やかに撃ち返していけば――。
「お、お婿に行けないー!」
 パンツ一枚を残し制服を燃やし尽くされた野球部員が、内股で逃げ帰っていったのだった。

「さて、それじゃあーーあら?」
「ここは通さないのです、ボクがメロンパンをーー!」
 血染めのバールを持ち仁王立ちするびしょうじょ(ローレットの看板娘とは一切関係ありません)に、うーんと一つ考え。
「貴女の分のメロンパンも買っておくから、生徒を抑えておいてくれるかしら?」
「はいなのです!」
「ほら、私はメロンパンでこれ以上大きくなっても邪魔なだけだしね?」
 必要ない、とその胸元を揺らすアルテミアに逆上したびしょうじょの叫びは、押し寄せる生徒達で掻き消されていったーー。

 そして、庭園にて。
「まぁ、柔らかなパンに繊細な甘みのチョコレートクリーム! これこそ至高の品、というものですわね! オーッホッホ!」
(手に入れる為に少々はしたないことをしてしまいましたが――仕方がないことですわ!)
 吹奏楽部の練習に耳を傾けながら、紅茶を片手に優雅な一時。
 メロンパンは買い忘れてしまったけれどーーよいことにしましょう!

●アザラシVSアシカ
「あれが転入生のアシカくん!? は、速すぎる!」
「オイラはアシカじゃねぇ!」
 チャイムと同時に持ち前の速さと機動力で飛び出した『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)の速さに目を丸くする生徒達。扉はアザラシ型に穴が開いた。
(幻のパン……どんな味のパンなんだろうな? こりゃ是が非でも食べなきゃ収まらねぇぜ!)
 抜群の速度で廊下を滑っていくその姿は、他の追随を許さない独走態勢かと思われたが――ワモンの目に入ってきたのは、その前を行く黒づくめのアシカのシルエットだった。
「おー、なんだなんだ? お前らオイラよりはえーのか!」
 後ろから声を掛ければ、アシカは振り返り――黒光りする全身タイツから目と口だけを覗かせ、大声で言ってのける。
「フライングの高圧電流がなんだ、この科学部特製のゴムスーツがあれば電気なんか怖くない!」
 そう高らかに笑い廊下を滑っていくアシカに、ワモンの正義の心が震える。
「なんだとー、フライングはおいらが許さねぇぞ! 唸れおいらのアザラシパワー!」
 謎の光に包まれるワモン、そして地面をヒレで蹴り上げ――。
「オイラはアシカじゃねぇぇ!」
 物理法則を無視し、前を行く科学部員に向かい錐揉み回転しながら突っ込んでいくワモン。
 直撃を受け吹っ飛んでいった科学部員はそのままガラスを突き破り――外に真っ逆さま。
「お、おのれアザラシいいいい!」
「ふん、ひき逃げの前にゃこえーせんせーだろうがばんちょーだろーがアシカだろーが関係ねーぜ!」
そう胸を張るワモンに。
「ほー、そうかそれなら俺もひき逃げされるのか?」
「当たり前だろー、おいらの奥義だ……あ」
「ほう」
 竹刀を片手に笑う赤ジャージのパンチパーマ男。『般若』としか思えないその姿は――。
「やべー鬼ケ原せんせーだ!! 逃げろ!!」
 必死のワモンは、足元のロープに気付くはずもなく。
「ぐわーーー!!」
 ロープの罠に引っ掛かり、吊るしアザラシとなるのだった。

「ふー、危ないところだったぜ」
 一度は罠にかかりながらも、決死の抵抗と追い上げで最後の焼きそばパンを手にしたワモン。
「これが噂の焼きそばパンか……!」
 唾を飲み込み、横取りされないうちに頬張れば――その姿はこんがり焼けた黒アザラシに!
「うめー! これマジうめーんだけどー?」
 うますぎてウマになる――そう頬張り続けるワモンは、残念ながらちんまりとしたフォルムのアザラシのままだった。

●テッペン目指せ
(どうやら俺は秀才のポジションに収まったようだな……)
『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)は、椅子に座ったままじりじりと身体を教室の扉へと近付ける。
 その姿は、普段の彼から想像される地元の商店街にたむろしバイクを吹かす不良ではなく――詰襟にセンター分け、銀縁眼鏡の模範的優等生であった。
(俺はPPP学園全日制最強。焼きそばパンもP学のテッペンも渡さねぇ)
 眼鏡をそっと指で押し上げると、中央の時計の秒針をじっと見つめる。頂上を回った瞬間――千尋は陣取っていた扉前から立ち上がり、廊下へ飛び出す。
「ッシャア! 待ってろ焼きそばパン!」
 座っていた椅子をその場に残せば、後続の生徒達が足を取られ雪崩上に転んでいく。
(フッ、秀才である俺の頭脳プレーが光ってしまった……)
「オラァ!」
「邪魔だテメェどきやがれ!」
 迫りくる生徒達(※このフロア一帯だけ生徒の柄が非常に悪い)を軽くいなし、時には拳でその意識を白く染め上げる。飛んでくる矢に足元で呻く男を掴み盾にすれば――千尋の前には生徒達が道を作っていた。
「サンキュー、それじゃあゆっくり買わせて頂くと……」

「よぉ転入生チャン?」

 購買の前で待ち受けていたのは、気だるげに立つ一人の男。
 跳ねるリズムのBGMを背負う彼は、知る人ぞ知るPPP学園定時制最強の番長――。
「山村ァ!!」
「オメーも焼きそばパン狙いか」
「やっぱりテメーを倒さないと焼きそばパンは手に入らないようだな……」
 千尋はゆっくりと眼鏡を外し、詰襟の内ポケットにしまい――遠巻きに見ている女子生徒が「喧嘩で眼鏡外すのヤバ」と零した。
「P学の番長、ここで決めようじゃねえか!」
 そう千尋が放つ拳に、山村は笑いながら応え――。
(以下、スローモーションカメラによる殴り合いにモノローグ)

 拳が胸に入る。
 その腕を掴み、投げ飛ばした。
 何十発、いや百発以上は入っている。
 それなのに、どうして、どうして――!

「まだだ……まだだぜ……俺とお前……何が違うってんだ……!」
 力の入らない足を撃ち付けて気合を入れ、最後の力を振り絞った左拳はーー。

「あー……何でだよ……ん?」
 廊下で一人、大の字で寝そべる千尋。
 腹に飛んできた物体を手に取れば――それは、食べかけの焼きそばパンだった。

●悪魔の昼食
 着崩した制服を纏う不良生徒を模した『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は、生徒達が走る廊下の中央を優雅にーー呻き声をあげる生徒達の背中を踏み歩く。
(『学園』か。私には馴染みのない場所ではあるけれども、その意味は理解しているよ)
 悪魔の自分が、学園などというものに属し生徒になること。それだけでも想像の及ばぬ楽しみであるが、まさか。
「パンを奪い合うひと時を過ごそうとはーー楽しいね?」
 からからと笑う彼女は、この戦いにおいて全くもって異質であった。
 開戦間際、ひりつく教室内。ペンをくるくると回しーー電流が流れる、とされる扉に目を留める。
「ねえ、君」
 隣の生徒に声を掛ければ、こちらを向いた彼の襟元を掴み上げ。とん、とその背中を優しく押せばーー。
「え、あ、ああああ!!」
「おや、本当に作動するんだね」
 黒焦げになる生徒に、装置の効果を実感し楽しげに笑う。
「ほら、これが開戦の音だろう? 早く行かねば」
 チャイムが鳴っても慄き動けない生徒達に悪魔が甘く囁けば、我に返った生徒達が我先にと廊下に飛び出しーー。
 悠々とその後ろを歩くマルベートは、生徒を押し出しその背中を橋に落とし穴を渡り。
 腕の立つ生徒には「君のことを疎む者がいる」と手頃な生徒を指し示し争いを呼ぶ。
 呻き、争い、その地獄絵図の中央を歩きーー、悠々と購買へ辿り着くのだった。

 そして、歓談の声と呻き声とが混じる教室の隅。マルベートは上機嫌に鼻歌を歌いながら、勝者の時間を過ごしていた。
 黒いレースのランチョンマットを机に敷き、丸みのあるグラスを転がし葡萄ジュースを一口。口腔に広がる香りと、メロンパンの甘みの調和に笑みが零れる。
「ふふ、まったくもって甘美な蜜の味だね――それに」
 自分を見る敗者達の悔しそうな顔、廊下に目をやれば、罠にかかって吊るされた生徒の苦悶の顔。それらは食事の極上のスパイスとなる。
「ああ、でも折角ならデザートも……おや?」
 目に入ったのは、廊下に転がったままの生徒。
 マルベートは口元をナフキンでそっと拭うと、「大丈夫かな?」と甘く囁き――。

 その日、PPP学園から一人の天使が姿を消した。
 それは昼休みの戦争にも、美食家の転入生がいたことにも、きっと関係のない話。

成否

成功

状態異常

なし

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